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デジタル庁コンプライアンス委員会(第6回)

デジタル庁は、我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現を目的とするデジタル社会の形成の司令塔となります。デジタル庁に対する国民の期待は非常に大きく、デジタル庁は極めて重い職責を負っています。

本日の会議では、調達における透明性・公平性の確保を図るためのデジタル庁独自の取組である入札制限等のルールに関し、外部の監査法人が行ったその運用状況等に係る調査の結果等について、活発な議論や意見交換が行われました。

本日の議論等の結果については、デジタル庁における各種規範やルール等の策定にしっかりと反映させてまいります。

概要

  • 日時:令和5年6月23日(金)14時00分から15時00分まで
  • 場所:デジタル庁共用中会議室(オンライン会議)

委員会構成員

(五十音順、敬称略)

構成員

  • 名取俊也(ITN法律事務所 弁護士 パートナー):委員長
  • 遠藤紘一(デジタル庁参与)
  • 梶川融(太陽有限責任監査法人 代表社員 会長)
  • 國領二郎(慶応義塾大学総合政策学部 教授)
  • 芝昭彦(芝・田中経営法律事務所 弁護士)
  • 藤森恵子(ASIMOV ROBOTICS株式会社 代表取締役/公認会計士)

資料

関連政策

議事要旨

議事次第

  • コンプライアンス確保に関する調査結果報告書について

  • その他

議事概要

各議事について、事務局から内容の説明がされた後、議論が行われた。主な意見等は以下のとおり。

コンプライアンス確保に関する調査結果報告書について

  • 仕様書作成に関与した職員の兼業先企業は原則として入札に参加できないという入札制限の仕組みは、調達の公正性の確保に相当程度貢献をしていると思われる。他方で、民間専門人材には、仕様書作成前に専門的なノウハウを提供してもらうといった関与が期待されており、その過程でプロジェクトの構想や方針、事業の発注時期等の情報を他人よりも早く知ることもあると思う。調達の公正性の確保のためには、これら内部情報の管理もしっかりと行っていく必要があるところ、引き続き、国家公務員法上の守秘義務の遵守や内部情報の適切な取扱いに関し、職員への周知と指導、教育をよろしくお願いしたい。

  • 適用除外申請が未だゼロ件であることについて、入札制限制度が運用されてしばらく経つが、必ずしも上手く動いていない印象がある。本来の目的は、民間からの知恵を入れて生産性を上げるといったことであるが、適用除外申請が出ない点がネックになっている可能性がある。仮に企業側の理解不足が原因ということであれば、更なる説明を行っていく必要があるが、必ずしもそうではないかもしれない。企業側がリスクに敏感になっていて、過度に慎重になっているのかもしれない。最初の1件ということになると、デジタル庁のみならず世の中からも注目され、もしそこで何か些細なことでも問題が見つかれば、コンプライアンス違反だとして叩かれる。そこで、企業イメージも大きく傷ついてしまう。そういったことを天秤にかけて、敢えてチャレンジをして落札するまでの必要はないと判断しているのかも知れない。

  • 調達に兼業職員が関わっているのであれば、ある程度適用除外申請があってもおかしくないと思う。この制度を軌道にのせるために、例えば、適切な調達を選んで、いわば試験的に適用除外の手続を行ってみるのも考えられるのではないか。

  • 入札というのは、いろいろな人の知見を取り入れて、良い提案にまとめるもの。官僚が出したスペックがそのまま受け入れられるということではなく、(官僚が出した)スペックというのはある目的を達成するために必要な内容を書いているだけであって、そこに企業からの提案が入って健全な形にならないとダメだ。そういうのがなくて、ルールには抵触していなかったということだけで良しとするのは、お粗末ではないかということ。要は角を矯めて牛を殺すことにならないようにするためには、一体どうすれば良いかということで、事務局側も抑える抑えないだけではなくて、いろいろな人から積極的な提案が出てきて、その上で良い形になって落札がされる、というように持っていくべき。このあたりで、何かトライアルをしてみる、試験的に冒険をしてもいいのではないか。

  • 今議論になっていることは誠にそのとおりで、この委員会の存在意義が問われるくらいの感じがするので、何とかしたい。

  • 適用除外申請については、なかなか難しい論点だと思う。トレードオフが生じるのは間違いないので、どこにラインを引くかということだと思うが、弊害がどの程度のものなのかの判断が難しいということもある。

  • 適用除外申請に当たり、調達情報を漏洩していないことを外部に証明することは難しいという意見もあるようだが、ないことの証明はとても難しい。そもそも運用のルールとしてそこまでの証明は求めていないはずである。

  • 専門家というのは一人ではないので、複数の企業出身の職員が入れば偏ることはないと思う。そういった体制の中で、適用除外申請についてこういった証明をしていただいたので問題ないですよ、ということ示すことができれば、職員の皆さんもイメージできるのではないか。ないことの証明は悪魔の証明で難しいので、対象となる取引があり、規則通りの対応が行われたことを証明すればよいというところが関係者に伝われば、状況は変わるのではないか。

  • 適用除外申請が認められるために、企業側にどの程度の負担を課すものなのか。申請に対して警戒感を強めているようであれば、その辺りを実態と合わせて、わかりやすく理解してもらう必要があるのではないか。

  • ちょっと違う観点から、元々この制度というか、入札をしてもらうというのが、内外のいろいろな知見を上手にまとめて、よりよいものを作り上げようとする第一歩目となっている。だから、いろいろな人がやり取りすることはいいことだと思うが、これはちょっとそれはやめろ、あそこやめろ、ここやめろとなっている。やっちゃいけない、不正な形だったらなんだけど、そこのところ、歯止めをかけるところと、是非やってくださいというところをうまく組み合わせた形にならないといけない。私が1つ思うのは、入札の前に説明会をするわけで、説明会をした後何日か過ぎて、出席した人から質問等があって良い。そこで、価値のある質問や提案がどのくらい出たかというのが非常に重要だと思う。何もでなかったら、いくらこんなものをやってもあまり意味がない。そこのところ、本来の目的と照らし合わせて、どの程度の良い反応が官民から出ているか、ということを1つの指標として持っていないと仏作って魂入れずという形になりかねない。

  • おそらくこのまま何もしなければそのまま行くような気がする。他の委員も言っていたように、このコンプライアンス委員会において、少しやり方を変えてもらうことについて具体的に考えていくべきだと思うが、どうか。

  • 今の意見に賛成だが、全体的には、今回の調査結果をみて、デジタル庁の取組状況は評価に値すると思う。というのは、デジタル庁は発足当初、多様なバックグラウンドを持つ人材が外からたくさん入って、ともすると情報漏えい等の深刻なコンプライアンス上の問題が起きるのではないかという懸念もあった。ところがこの2年間、そのような深刻な事案は起きていない。この結果は、皆さんが高い意識をもって取り組まれた結果なので、それはとても喜ばしいことである。他方で今回、入札制限の制度をめぐって、今日議論してきたように、いくつか課題が見えてきたので、そこは(問題事案が発生していない状況を踏まえて)もう少し緩めてやりやすい制度にしても良いのではないか、というのが今の意見だと理解している。もとより、私は厳しめに見る方なので、特に蟻の一穴が怖いから、厳しい意見を言ってしまうかもしれないが、それでもまずは実務をよく知っている職員の皆さんの側から、もう少しこうさせてもらったらより良い仕事ができるといった具体的な案をいくつかご提案いただき、それをこの委員会で議論するというのがいいと思う。

  • もともと、(入札制限の取組は)やり始めた時から初めてのことであったし、1ミリも動かないものとして考えていたわけではないと思うので、今の意見はそのとおりである。ちょっと時間がかかってしまうかもしれないが、少し案を出してもらって議論してみたい。2年経つタイミングで議論するのは、意味があると思うがいかがか。(委員一同うなずいて賛成)

  • デジタル化というのは、全部デジタルになるってことではない。人間の作業も一緒になって握手してシステムが構成される。だから大切なのは、官が作って出したスペックが、本当にいろいろな問題をカバーできるようになっているかどうかということを、民のシステムを請けようとする人達がよく理解をして、提案をする。ここはデジタルではなくて、人間がやった方がよいのではないか、みたいなことを検討する。ここ人間がやると間違いやすいから、デジタルで歯止めをかけた方がよいのではないか、そういう提案が出てこないと、説明会をする意味がないと思う。知恵を引っ張り出すためにやっているのに、知恵が出てこないのだから。要するに、漏洩しないようといっても、本来何のためにやっているのかということを考えないとダメで、ちゃんと求めているような結果が出てきているかどうかということを確かめながら、このコンプライアンスの問題をやっていかないと、角を矯めて牛を殺すような話になってしまう。その辺を頭に置きながら。デジタライゼーションというのは、デジタルですべてできるということではない、人間をどうするのか、ということを一緒に付記していないと。付記かメインか分からないが、そこを是非考えてもらいたい。

  • ある種の制限というか、趣旨や規定というのは忘れられるから、これだけは本当に普通の良識から考えてまずいでしょという内容を、きちっと掴めるようにしておくことが重要。要するに、真っ黒というか、これは公共の利益に反するね、というものをはっきりさせることがとても重要。その上で、そこから少し可能性みたいなものを考えながら緩めていく。真っ白な話を求め出すと、行動が狭まっていってしまう。真っ白以外はやってはいけないということになってしまうと、当人達が増幅させて、本来は付加価値がつくことなのでやるべきなのに、それを聞いてはいけない、見ちゃいけない、と自主規制をしてしまう。最近の世情で、真っ白じゃないことはやりたくないっていう企業の方が、むしろ多くなってきているかもしれないが、そのあたりを踏まえて考えていく必要があると思う。

  • 基本的にはこれまでも同じような議論をしてきたと思う。ただ、現状やはりデジ庁の中での理解を、つまり制度を見直していろいろいじる話なのか、それともデジ庁の中で意識を共有していただく話なのか。我々が単なるおっかない存在になって萎縮する存在になっているのを、我々は安心してやっていただくために基本的な事を押さえている、というメッセージが伝わっているかどうかで対応が変わってくると思う。

  • うるさい組織だと思われているのであれば正してもらいたい。コンプライアンス一辺倒というか、そういうことを言っているつもりはない委員会と思っているので、その辺はよく説明いただく必要がある。

  • 少し具体的な改善案を考えていただいて、1つに決める必要はなくて、大胆に緩める案とか、いろいろなものをテーブルにのっけてもらって、議論するということでも良いと思う。議論するなかで、何だその案は(けしからん)と言うような人はいないと思うので、その辺は率直に遠慮なく意見を出してもらたい。事務局には少し負担をかけるが、よろしくお願いしたい。

その他
(事務局より、参考資料の内容等について紹介)

以上