ベース・レジストリ推進有識者会合(第2回)
- 最終更新日:
概要
- 日時:2025年4月25日(金)15時00分から17時00分まで
- 場所:オンライン開催
- 議事次第:
- 開会
- 議事
- 公的基礎情報データベース整備改善計画案(法人ベース・レジストリ)について
- 法人ベース・レジストリの整備に向けた制度的な対応について
- ベース・レジストリにおける地図の取扱いとアドレス・ベース・レジストリにおけるレジストリの範囲について
- 商業法人・不動産登記データに係る「外字」の取扱いについて
- 閉会
資料
- 議事次第(第2回)(PDF/81KB)
- 【資料1】ベース・レジストリ推進有識者会合の開催について(PDF/126KB)
- 【資料2】公的基礎情報データベース整備改善計画案(法人ベース・レジストリ)について(事務局説明資料)(PDF/736KB)
- 【資料3】公的基礎情報データベース整備改善計画案(PDF/925KB)
- 【資料4】法人ベース・レジストリの整備に向けた制度的な対応について(事務局説明資料)(PDF/712KB)
- 【資料5】ベース・レジストリにおける地図の取扱いとアドレス・ベース・レジストリにおけるレジストリの範囲について(事務局説明資料)(PDF/1,953KB)
- 【資料6】商業法人・不動産登記データに係る「外字」の取扱いについて(事務局説明資料)(PDF/10,014KB)
- 【資料7】京都産業大学原田シニアディレクター(元京都府CIO)提出資料(PDF/368KB)
- 【資料8】国税庁提出資料(PDF/477KB)
- 【資料9】デジタル庁提出資料(PDF/992KB)
- 議事録等(PDF/548KB)
議事録等
日時
- 2025年4月25日(金)15時00分から17時00分まで
場所
- オンライン開催
出席者
座長
- 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)
構成員
- 板谷越英美(株式会社DATALE代表取締役)
- 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
- 扇裕毅(Japan Digital Design株式会社Data Advisor)
- 小川尚子(日本経済団体連合会産業技術本部本部長)
- 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
- 隂山克典(日本司法書士会連合会常任理事(総務))
- 片岡康子(一般社団法人新経済連盟政策部長)
※代理出席:小木曽稔(一般社団法人新経済連盟渉外アドバイザー) - 高倉健(日本土地家屋調査士会連合会専務理事)
- 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)
- 南博一(田辺市保健福祉部やすらぎ対策課課長)
専門委員
- 笹原宏之(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
オブザーバー
- 吉屋拓之(個人情報保護委員会事務局参事官)
- 犬丸淳(総務省自治行政局住民制度課長)
- 大田泰介(総務省自治行政局市町村課長)
- 大谷太(法務省民事局民事第二課長)
- 田中普(法務省民事局商事課長)
- 津田夏樹(財務省理財局国庫課長)
議事録
杦浦参事官: そうしましたら、時間にもなっておりますので、始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
では、私のほうで最初の進行を始めたいと思います。第2回の「ベース・レジストリ推進有識者会合」、通称ベラボウでございます。よろしくお願いいたします。
本日はオンライン開催といたします。落合構成員に当たりましては途中での退室予定、増島構成員は30分ほど遅参の予定と聞いております。
また、オブザーバーは総務省の市町村課様が欠席と伺っておりますので、よろしくお願いいたします。
そうしましたら、議事進行につきまして、座長の安念先生、よろしくお願いいたします。
安念座長: 杦浦参事官、どうもありがとうございます。本日も盛りだくさんのメニューとなっておりますので、皆様のご協力を賜りながらてきぱきと進めてまいりたいと思います。
本日の議題は、議事次第に記載の4件でございます。
それでは、早速議題1「公的基礎情報データベース整備改善計画案(法人ベース・レジストリ)について」について、事務局からご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: 法人ベース・レジストリパートの整備改善計画案でございます。事前にWordの文章で書いた資料はお送りしておりますので、後ほどご意見を伺えればと思いますが、ここでは前回の会合でいただいたご意見をどのように対応しているか、また、記載しているもの、記載していないものがございますので、どういった形でやっているかを3ページ目で簡単にご紹介させていただきます。
前回、大きなところでは基本方針としてベース・レジストリの整備に当たっての考え方等々を盛り込んでいくべきではないか、また、成果あるいは政策効果というところでリードタイム短縮といったところも重要なので取り入れたらどうかというご意見を伺っております。こちらにつきまして、整備改善計画案の中で目指すべき姿等々を具体的に記載しつつ、行政の手続について調べていたりするところもありますので、そういったところを補足しつつ、産業界の方にも必ずしも法令にひもづいていないところをご協力いただきたいなと思っております。また、リードタイムにつきましては、サンプル的な調査をこれからできるかなと考えております。
それから、利用範囲につきましては、一番下の民間利用も含めてご議論いただきました。実質的に国や自治体の行政機関と同等の役割を担っているような機関については利用範囲に含めるという形が自然ではないかといったご意見もいただいております。あと、民間利用も将来的には可能とすべきではないかといったところをご意見いただいております。
これらにつきましては、登記事項の確認、特に公用請求代替の利用におきまして前回資料をお示ししましたが、今はその範囲外となっております行政機関等につきまして、財政上コスト負担の話がございますので、システム運用経費等の費用負担の整理が必要かなと思っております。そういった議論を踏まえて利用範囲を整理していく話かと考えてございます。
また、システム整備面でもどういった情報が格納されるか分かるようにすべきといった話や、今後、登記情報システムの次期更改における検討等についてもご指摘がございました。この辺りも少し記載をしてございますので、ご確認いただければと思います。
そうしましたら、まず私からの説明は以上とさせていただきます。
安念座長: ありがとうございました。
まずは法務省さんからご意見を伺いたいと存じます。法人ベース・レジストリの実現は法務省、デジタル庁の共同プロジェクトになることと思いますが、そのお立場からご発言を願えればと存じます。
それでは、田中商事課長から、カメラとマイクをオンにしてご発言をお願いいたしたく存じます。よろしくお願いいたします。
田中商事課長: 法務省民事局商事課長の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
来年3月から法人ベース・レジストリの運用が開始されます。国民の利便性向上や行政運営の効率化の観点から、ベース・レジストリの整備は重要な取組であると認識しておりまして、法務省としては会社・法人の登記情報を保有し提供する立場として、デジタル庁と連携してしっかりと対応してまいりたいと考えているところです。
他方で、法人ベース・レジストリの整備や運用には相応のコストがかかるため、経費負担の在り方を整理・検討することも重要と考えております。法人ベース・レジストリの運用が開始されると、登記情報を提供する法務省側においてもデータ連携等において発生した障害や問合せに対応するための経費などが発生すると予想されます。法務省では登記制度の安定的な運営のため、相応の予算や人員等のリソースを導入しているところ、今後、法人ベース・レジストリを利用する行政機関の拡大やデータ連携件数の増大などにより、法人ベース・レジストリの運用に係る経費が増加する可能性が高いことを踏まえると、法務省のみがこの運用に係る経費を負担して法人ベース・レジストリの情報源である登記制度の安定的な整備・運用と並行して実施していくことは困難と考えます。
今後、法人ベース・レジストリに継続的・安定的に登記情報を提供していくためには、その運用に際して発生する経費について利用行政機関のニーズに基づき必要なものと整理し、受益者負担という観点から利用行政機関に応分の費用を負担していただくことを検討する必要があると考えております。この点については様々な議論があろうかと思いますが、皆様のご意見も伺いながら、その在り方について引き続き検討してまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
安念座長: 田中課長、ありがとうございました。いずれにせよお金の問題を避けて通ることはできませんね。
ただいまの法務省さんからのご意見も含め、本議題について構成員の方々からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
小木曽さん、お手が挙がっていますか。お願いします。
小木曽構成員: 新経済連盟の小木曽でございます。よろしくお願いいたします。
前回、私が意見をさせていただいたところについて、今後の利用範囲のところについては経費の問題と併せて考えていくというお答えと、もう一つ、次回会合で検討すると書いてあったと思いますが、現状私が興味があるのは資料3の整備改善計画にどう位置づけられるかということがポイントなので、その中で前回も指摘をしたことが記述されるかどうかというところで、ぜひ記述をしていただきたいなと思っております。
また、民間利用のところの費用負担の話なのですけれども、私は民間の場合についてそこを無料でお願いしますということを前提にしゃべっているわけでは必ずしもなくて、物すごく法外に高いというのはおかしいと思うのですけれども、何と比べるかというと難しいですけれども、要するに合理的な費用負担であると思うので、そういうところで民間人にも使わせていただくということのほうが日本経済全体にとって良いことだということがあると思いますので、そういう前提でしゃべっているということで、もし誤解されているといけないので補足をさせていただきます。
よろしくお願いします。
安念座長: ありがとうございました。
その次に、隂山さん、お願いします。
隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。
資料3につきましても発言をさせていただいてよろしいでしょうか。
安念座長: 混ぜ混ぜでお願いします。
隂山構成員: かしこまりました。
先ほどシステム運用コストに関するご発言がございましたので、実務家としての意見を少し述べさせていただいた後、資料3につきましても意見を述べさせていただけたらと存じます。私ども司法書士は、依頼を受けた登記が一日も早く完了することを目指して日々執務に当たっております。予算につきましては、どうしても限られた予算からシステム運営費用を捻出する必要性があるところ、仮にベース・レジストリ構想で大幅な法務省予算が投じられることになった場合には、本来的な登記実務に係る予算が逼迫してしまう可能性があるのではないかという懸念を有しております。その結果、登記の完了が遅滞することになってしまうと、非常に大きな問題が出てくるのではないかと考えています。
ベース・レジストリ構想の中核は最新の情報を適切に把握することができるという点にあると考えておりますが、大元の登記の完了が遅滞してしまうと、ベース・レジストリ構想の根幹にも影響を与えかねない可能性もございますので、費用負担等につきましてはさらなる検討が必要ではないかと感じました。
続けて、資料3につきまして何点か意見を述べさせていただきます。
資料の一覧性という観点から、今般の整備計画で述べる法人ベース・レジストリにつきまして、登記されている法人全てがその対象となるのか、対象とならない法人もあるのかなどに関しての説明を入れておいたほうが分かりやすいように感じました。
第3の1の(2)アからオまでに、それぞれデータベースの利用者が書かれておりますが、そこではいずれも行政機関等や独立行政法人等とされております。資料2の3ページや、資料3の1ページでは、民間におけるサービスの共通基盤の利活用といった記載ぶりもありますが、民間におけるデータベースの利用に関して、今後の議論を踏まえ資料3の記載ぶりも変わる余地があるのかという点、こちらは若干質問めいた発言になります。
第3の1の(2)エのデータベースの利用者で行政機関等とされており、脚注で公用請求の対象となる機関を指すことが記されておりますけれども、他の箇所でも「行政機関等」という用語が使用されている関係上、一見したときに分かりにくいという印象が生じるように捉えました。そのため、本文に「公用請求の対象となる行政機関」といった書きぶりにしておいたほうが、誤解が生じないようにも思われます。
第3の1の(2)オでは、「登記データセット」という用語が使用されております。過去の資料も拝読させていただきまして、「登記データセット」という用語が使用されていることにつきましては承知しておりますが、整備計画のみを読んだ方でも一見して分かるように、「登記データセット」の定義を入れておいたほうが分かりやすいのではないかと感じました。
また、第3の1(3)のアで、こちらもコストに関係する話になると思われますが、デジタル庁が管理するシステムからのリクエストに応じ、随時商業・法人登記情報を提供するとされております。リクエストにつき、どの程度の頻度が想定されているのかに関しましても一定程度明確にしておいたほうが、コストの観点からも分かりやすいように感じております。
なお、現状において新株予約権の登記など、頻繁に登記申請がされる類型の登記がございます。この場合、登記が完了するまでの間はロックがかかるという取扱いとなっておりますけれども、このロックがかかった登記情報システムと法人に関する情報の連携をどのようにしていくのかという検討も必要ではないかと感じました。
長くなって申し訳ございません。以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
板谷越さん、お手を挙げていらっしゃいましたか。お願いします。
板谷越構成員: 私もこちらの計画全体の中でなのですが、1点目が、運用に関する記述を別途漏れないようにする必要があるかなと思っています。扇さんからの事前指摘をピックアップしてしまうのですけれども、運用は業務の観点とシステムの観点のそれぞれがあり、その運用をどう考えて装着していくかという点についての記載が全般薄かったかなと思っています。別途運用設計を行われると思うのですが、どういう内容をどういうプロセスで定め、運用、装着をしていくかということもこの計画に濃いめに盛り込んだほうが運用持続性につながるのではというのが1点目でございます。
2点目ですけれども、本書での課題の設定が、登記に関しては添付書類があることが大きな課題となっているのですが、登記申請そのものに関しては課題とはしていない過去議論があるからなのでしょうか、登記そのもののプロセスなども結構比が大きいのかなと思っていたので、それに関してはほかの資料を参照なのか、それを対象としていない、理由はこうですなのかがあると、計画書を読む上で理解が深まり、読み手にとって分かりやすいなと思いました。
添付書類が毎回大変だなというのは毎回添付を求められるので利用者としてもすごく思います。ただ、登記の変更などを含めた申請もなかなかに大変なので、あれについては別議論ですというエクスキューズがあると、それは考えなくていいのだねと思って読めるのでというところです。私が過去議論を知らないので言っているだけだと思うのですが、念のためといったところでございます。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
私の見解でしかないですけれども、今の後半の部分のご指摘については、そもそも法律の立てつけからして行政が利用するシステムであるというところが出発点であり、そうであるがゆえに、先ほど小木曽さんからも民間への利用の開放というのが重要な論点になるというご指摘があったと私は認識しておりますが、より正確には後ほど、もし可能であれば事務局から何かご発言があればと思います。どうもありがとうございました。
板谷越構成員: ありがとうございます。
安念座長: 稲谷さん、お願いします。
稲谷構成員: 私も小木曽さんと似たようなコメントになるのですけれども、前回も申し上げましたとおり、それから、前回のやり取りの中で事務局からもありましたとおり、民営化されたものの公的な機能を果たしている法人については、国民の側から見ると公的機関と区別がつかないというか、一体として公的機能を担っているということになりますので、費用負担の問題等があるということは承知しておりますし、ほかにも恐らく論点はあるのでしょうけれども、今回の資料3の中で少なくともどこまで含めるかということが検討課題になるのだということはお示ししていただけないのかという点について、少しお願いできればと思っています。
この点は極めて重要だと思っていまして、公的なサービスが公的機関だけで完結しているわけでは現状ないというところがそもそもあると思いますし、不可逆的な流れとしてこのような事情がある以上は、デジタル化を進めていく上でもその点については配慮が必要だと思います。今の資料3の中にはこの点が明示されていないと思いますので、ぜひ明示していただくような方向で整理していただければと思いましてコメントさせていただきました。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
すみません、私は扇さんを見落としていたかもしれません。誠に申し訳ございません。扇さん、お願いします。
扇構成員: 大丈夫です。ありがとうございます。
3点ほどなのですが、皆さんおっしゃっていることも含めてなのですけれども、まず受益者負担については、法務省さん側から見ると、そもそもマンションの一室を使いたいだけであるにもかかわらず、マンション全体の建築コストを負担せよと言われても、それはしんどいですよという話だと理解しているので、そこは広い意味での受益者負担として、それは国といいますか官庁側もそうですし、それから将来的に民間へ開放するということも含めてなのですけれども、そこはうまくロジックづけをやっていきたいと思っています。恐らくこれは今後続く法務省さん以降のこういう同じようなプロジェクトにおいても同様のコスト負担というやり方になるべきなのだろうなと思っています。皆さんがおっしゃっていたことと基本変わりません。
それから、資料3について、6ページ、7ページ辺りにあります例えば情報元、法務省さんの役割、それからデジタル庁さんのデータベース管理という言い方なのですけれども、自治体さんなどの最終エンドユーザーから見たときに、結局このサービスの最終責任者は誰で、例えば平時だったら普通に動くのだけれども、トラブルが起きたときにどうするのだと。一番窓口でフラストレーションがたまるのは、どうなっているのかさっぱり分からないのだけれどもなぜか動かないという状態で、窓口にいらしたお客さんはいらいらするみたいな状態だと思っているので、こういったものは今何が起きていて、どのぐらいの時間軸で動いていますということぐらいは一括して出せるようなポータルと言ったらあれなのですけれども、そういったものがどこかであるといいのかなと。この法務省さんのものがファーストプロジェクトになりますので、最初の段階からいきなりということではないとは思うのですが、後々問いかけの情報がばらばらに届いて結局どこを探っていいのか分からないという状態は絶対回避すべきだと思っているということです。
それを踏まえた上で、7ページにあるデジタル庁さんの「データベース管理」という言い方は、表現がこれで本当にいいのかなと。データベース管理というとあたかも箱をイメージしているのですけれども、何かちょっと違うのかなと。サービスの主体がデジタル庁さんになるのだろうなということだと理解していますので、この辺りはもう少し表現を考えていらっしゃったほうがいいのかなと思います。
最後なのですが、ちょっと漠とした言い方になるのですけれども、明確に自治体の例えば窓口になるような方を想定して、ユーザー体験というか、今、何が困っていて、これをやると本件後にどんなメリットが出てくるかということを一回さらってもいいのかなと。いわゆるユーザーエクスペリエンス系の話だと思うのですが、この辺りは一回まとめてみるといいのかなと思ったりもしました。
私は以上3点です。
安念座長: ありがとうございました。
ほかにご発言はよろしいでしょうか。
落合さん、どうぞ。
落合構成員: 落合です。
既にいろいろほかの皆様もご発言されている中で、まずこのような形でまとめていただいておりまして、非常に、前に進んでいくような内容になってきていると思っております。
私は改めて2点申し上げたいことがありますが、これは極めて重要なことではないかと思っております。
1つ目が、民間利用に関する事項が明示されていないところが、最大限足りないところかと思っております。これは民間利用に進んでいくための道筋を明確にしていくということが、ベース・レジストリと名乗るからには必要なことだと思っております。別途デジタル行財政改革でも、トラスト基盤の整備ということなども議論しておりますが、特に法人の基礎情報などが、トラスト基盤の形成に当たって確実に必要になってくるであろうということは疑いがないとも思います。そういう意味では、こういったデータベースを民間利用できるようにしていくことや、これをどういう工程で整備していくのかは極めて重要な論点ではないかと思っております。これについてはぜひ記入していただいて、その上で確定をしていただきたいと思っております。これが第1点です。
第2点につきましては、費用についての考え方です。既にいろいろご議論もあったところではありますが、ひとつ今後、どういう行政サービス、システムに転換していくのかということも考えて、ある種の先例や、その先例の射程を考えていくことは重要ではないかと思っております。これは今後、ワンスオンリーやプッシュ型行政というのを進めていく場合に、最終的には民間の場合ももちろん応益負担という考え方もあると思いますし、それでいいという場合も多いだろうとも思わないではないところもございます。一方でプッシュ型や、自動的にそういった情報が提供され、そのときに自動的に課金するような仕組みというものが、良い仕組みなのだろうかということもあろうかと思います。ある種、社会で本当に共通的な機能になっている部分というのが、どういう形で費用が負担されないといけないのか、もちろん最終的には商業登記の仕組みそのものもそうですし、ベース・レジストリも収入がなければそれを維持する費用が払えませんので、最終的には収入構造自体はちゃんと維持されるということが前提でなければ、単に収入だけ削ってくださいというのは議論として当然成り立たないものではあろうと思いますが、そういうときに将来的に、どのようにベース・レジストリを使った行政が転換していくのかを考えて、費用負担の在り方もご検討いただけるといいかと思いました。
私は以上2点です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、小川さんでいらっしゃいますか。お願いします。
小川構成員: ありがとうございます。お時間がない中ですみません。
今の落合さんの第1点目と同意見です。デジ行でも議論されていますとおり、今、産業データスペースの整備を経団連でも検討しており、その中で本人性・真正性を含むトラスト基盤の整備は非常に重要だと指摘させていただいております。その意味で、ベース・レジストリの活用に大いに期待しているところです。それが法務省の予算を大きく圧迫することは本意ではございませんので、そうした面の手当ても含めてぜひお願いしたいと思います。
それから、民間活用のところで、小木曽さんもおっしゃっていたのですけれども、もっと幅広いデータ活用全般について言えることですが、日本人にはデータはただみたいなイメージがありますけれども、データ利活用によって得られた便益に応じた費用負担をするのは当然のことだと思いますので、民間活用に際してはそれなりの費用負担を民間にも求めるということも前提にして考えていけたらいいのではないかと思いました。
ありがとうございました。
安念座長: どうもありがとうございました。
ほかにご発言いただく方はいらっしゃいますでしょうか。よろしゅうございますか。
それでは、事務局、現段階で何かレスポンスをなさいますか。お願いします。
杦浦参事官: そうしましたら、大きく3点だけ私から。
まず、いろいろ書きぶりに関してご意見をいただきましたので、1つずつ見ながら対応していきたいと思います。もっとも、あまり大部になり過ぎるのも避けたいなと思っているので、コンパクトさというのは念頭に置きながら考えていきたいと思います。
2点目は、システムという観点が割と大きいが、サービスという観点も必要ではないかというご示唆があったかと思います。そうなるとやはりUI・UXみたいなところをどう考えていくかというのもありますので、そこは視野に入れながら考えていきたいと思います。
3点目、一番大きなところはコスト負担、これは各省庁の応分の負担もありますし、民間利用のときのコスト負担、これは負担の在り方とともにどうやって徴収するのかということも実務的には大きな課題になりますので、その辺りも将来課題として考えていくべきかと思います。
この辺りは整備改善計画案のどこにどう書くかというのも含めて、今回以降の議論を踏まえて考えたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私からは以上です。
安念座長: ありがとうございました。
活発なご意見をいただきましてありがとうございました。構成員の皆様はご案内のように、この整備経営改善計画と申しますのは、デジタル行政推進法19条2項によって記載すべき事項が法律で決まっておりまして、事務局としてもその枠組みの中でしか書けないと申しますか、そう自由自在に闊達に書けるというものではありませんので、そういう意味での枠組みをはめられているということはあって、そこに苦労がおありだろうと思うのですけれども、このようにいろいろいただいた議論を踏まえて、事務局において関係省庁と相談の上でご対応をお願いしたいと存じます。
それでは、続いて議題2「法人ベース・レジストリの整備に向けた制度的な対応について」です。事務局よりご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: こちらは登記関係ベース・レジストリとして整備しましたときの個人情報の取扱いに関するものでございます。これまでの検討会等における議論を踏まえまして、基本的な路線としましては、まず法務省が持っている情報の利用目的のところに変更をかけるということが大事で、もう一段が、公的基礎情報データベースを起こすことになるデジタル庁のほうで新しくその利用目的を定めるということでございます。
次のページに図示したものがございますけれども、一番左側の法務省の元データのほうで今持っております利用目的を、合理的な範囲内で変更ができるというルールがございますので、そういう形で変更をしたいと思っております。併せてベース・レジストリをデジタル庁のほうでも新しくつくるということでございます。
具体的な書きぶりについて、4ページに記載をしてございます。法務省のほうで商業法人登記、こちらは例えば株式会社といった登記簿ごとに利用目的を定められておりますけれども、それにこういった一文を書き加えるということを考えてございます。なるべく具体的にということで、具体的なことはこの整備改善計画に書かれていくということで、それに基づいてこういったことを行う。一番下のところはデジタル庁での利用目的としてこういった行政機関等に提供を行うということで考えてございます。
というわけで、今日はこの辺りをご議論いただければと思いますので、お願いいたします。
私からは以上になります。
安念座長: ありがとうございました。
この議題については最初に関係省庁にご意見を伺いたいと存じます。まずは個人情報保護委員会事務局におかれましては、資料4の4ページに記載のある具体的な「利用目的の変更/特定(案)」についてご発言をお願いしたいと存じます。
それでは、吉屋参事官にカメラとマイクをオンにしてご発言をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
吉屋参事官: 個情委の吉屋です。よろしくお願いします。
今回ご指摘いただきました、ベース・レジストリの整備に向けた制度的な対応についてのお話をいただきまして、法務省の利用目的の変更ということと、それから、デジタル庁における利用目的の特定ということに関しての案をいただいていると思います。
その上で、そもそも前段の部分を簡単にご説明さしあげたいと思いますけれども、まず利用目的の変更につきましては、資料の5ページにありますけれども、個人情報保護法上の61条3項で、行政機関等が利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないとあります。この相当な関連性というのがこれまでも何度か議論されたと思いますけれども、若干これが曖昧なのではないかというご指摘をいただいていて、実は61条3項の部分については私たちもあまり具体的な解釈をこれまで示したことはないのですけれども、民間のほうも同じような条文がありまして、これは17条にあります。17条の方については私たちのQAにも示してございまして、どういうものが関連性を有するかということについては示してあるのですけれども、例えば新たなサービスや新たな製品に関しての情報を提供するために個人情報を利用しますというふうにもともと目的を特定していて、この目的で収集した個人情報を使って既存のサービスや製品について情報を提供することについては利用目的の関連性を有すると考えてよろしいですかという問いに対しては、考えて結構です、関連性を有するといいますという指摘をこれまでもさしあげています。
それから、関連性を有さないという例でいうと、例えば製品の安全性とか、データの真正性とか、アクセス制御ということをするために、サイバーアタックを防止するためという目的のために個人情報を利用しますということを目的にいただいたときに、その個人情報を製品のサービスのために使うということにして、これは関連性がありますかという問いに対しては、違いますと申し上げています。
ですので、今のような粒度を考えたときに、今回の登記情報をベース・レジストリに使うということに相当の関連性があるのかどうかということに関してはこれまでも議論されていると思いますので、そこの部分は必要であれば今回、有識者の方と議論させていただいてもよろしいかと思うのですけれども、これまでの関係というのも踏まえて適切に整理いただければありがたいなと思うのがまず一つです。
それから、もう一つは利用目的の特定の部分ですけれども、こちらに関してもできるだけ具体的に特定すべきと記載させていただいてございます。今回の利用目的の部分を、先ほど議論がありましたけれども、誰を対象に提供するのかとか、もっと拾うべきではないのかという議論もあったりもするので、ここの部分は私たちは今の時点でどういう利用目的なのかというのが定まっているのかどうかというのも若干定かではないわけですけれども、ただ、先ほど申し上げた今後の閣議決定に基づいてということで明らかになっているということであれば、その説明もつくのではないかという気もしますので、そこの部分はこういう形でご説明ができるかどうかというところはデジタル庁と法務省さんでよく議論いただいて、私たちもそのことを踏まえて整理をさせていただくということで考えていますので、若干歯切れが悪いのですが、今、お話しできるのはそこの中身までかなと思います。
安念座長: どうも吉屋参事官、ありがとうございました。歯切れが悪いとか何とかではなくて、大変有益なご示唆をいただいたと思います。ありがとうございました。
それでは、法務省から再び田中商事課長にお願いしたいと存じます。
田中商事課長: 法務省民事局商事課長の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
法務省の商業法人登記に係る個人情報ファイルの利用目的の変更につきましては、これまでもデジタル庁や個人情報保護委員会と連携して利用目的の変更について検討させていただいてきたところでございます。法務省としては、今後、法人ベース・レジストリの運用開始に向けて、整備改善計画により確定した内容に基づいて商業法人登記に係る個人情報ファイル簿の利用目的の追加といったところの検討というのは引き続き協力させていただきながら進めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、ただいまのご意見を含め、本議題について構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
小木曽さん、どうぞ。
小木曽構成員: ちょっとお聞きしたいところがあって、吉屋さんに対して質問なのですけれども、結論においては全然オーケーなのですけれども、参考でお聞かせ願いたいのが、民間でも利用目的の変更のところというのは解釈が難しくて、過去に取ったデータをうまく使えないというのはよく昔からあるのですね。これはこれで個人情報保護委員会には弾力的な対応をお願いしたいのですが、ここで言う話ではないので脱線しないのですけれども、それとの関係で、今回の措置というのはそういうものを全部柔軟に読めないとベース・レジストリたり得ないので、その解釈で全然いいと思うのですけれども、今回の措置というのは民間との関係での解釈と差分があるのかないのか、あるいは行政機関としての特殊性があるのかないのかというところだけお聞かせいただけるとありがたいです。
安念座長: なかなか難しいご質問ですね。
吉屋参事官、何か現段階でご見解はおありでしょうか。
吉屋参事官: 個人情報保護法は、民間規律の部分と公的規律の部分があるので、そもそも理屈づけが若干違うのでそこの部分だけお話をすると、民間規律のほうは本人との関係で本人との理解を得ながら、また、場合によってはその人たちからそういう使い方はやめてくださいということもお聞きするという関係の中で収集していますということなので、利用するときには利用目的を特定してください。その利用目的を、これまた条文が若干違うのですけれども、資料の5ページの61条3項にあるとおり、行政機関等は「相当の関連性」なのですけれども、民間のほうは「関連性」ということで若干緩んだ形で書いてあります。なので、要するに本人がご理解いただけるレベルなのですというところが民間では求められています。一方で、公的規律のほうは本人がよいかどうかにかかわらず、例えば戸籍などは本人が私は載せたくないですということを許してしまったら戸籍制度が成り立ちませんので、本人がいいかどうかにかかわらず、行政機関等にとって必要なものを強制的に集めていますと、行政機関等は所掌事務として世の中に必要なものしかやっていませんと、その中でそれは適切な中身なのですかという部分がずれていませんよねということでこの「相当の」という言葉が入っていますので、行政機関等のほうが若干狭いという理解ではあります。
ただ、今回のことについて申し上げると、登記のことに関してはそもそも皆さんにオープンにしますという目的で集めていて、それをデジタル庁という個別のところに渡すということに関して、これが今申し上げたような行政機関等の所掌事務として外れているのですか、どうですかという議論は、私たちが今すぐこの場で何とかというわけではないですけれども、そこの部分は法務省ともご議論させていただいていますけれども、かなりの部分が整理され得るのではないかというご指摘をいただいていると思いますので、それを踏まえて、この相当の関連性ということだとしても行政機関等としての議論はできるのではないかという印象を持っています。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
小木曽さん、我々も詰めて議論していかなくてはなりませんね。
小木曽構成員: ありがとうございます。
すごく有益な議論でした。ありがとうございます。
安念座長: 本当にね、ありがとうございました。
稲谷さん、お願いします。
稲谷構成員: ありがとうございます。
私も結構難しい論点と関係する、少しプロボカティブなコメントになってしまうのですけれども、今、ご整理いただいているのは現行の個人情報保護法の枠内でうまくぎりぎりいっぱい立てつけるとこういう感じになるのだと、そういうことかと存じます。この点については、ご事情も含めて、すごくよく分かるというところではあるのですけれども、ただ、個人情報保護法のほうも、落合構成員と一緒に出ているデジタル行財政の検討会の方でも、少し動きが出てきている状況ですし、少なくとも民間ではリスクベースで考えていくということになってきていると承知しております。
ただ一方で、行政機関に関してはそもそも行政機関の所掌事務の範囲内で取った情報なのかどうかというところが、いわゆる濫用のようなリスクを考えたときにはいわば一つの防波堤として働いているところもあるので、なかなか難しい話だとは思うのですけれども、ただ一方で、恐らく今、我々が直面している事態というのは、各行政機関がそれぞれの所掌事務をばらばらにやるという世界観というよりは、それらがうまく連携していきながらより大きなサービスを効率的に実現していく、それをデジタル化によってサポートしていくという転換点の中にいるような気がしております。しかも先程来のお話からしますと、さらにそこに関連する公的サービスを担う機関や、あるいは私的な主体もくっついてきてサービスを展開するとすればどうなるのかという議論の中でこの話がなされているのだということを考えてくると、少し将来的な個人情報保護法の改正の方向性というものとも、あるいはそこに対してこういう示唆があるのではないかということを言うというところまでもある意味考えながら、今今というよりは、まさにご指摘も少しあったように専門で議論するところを立ち上げてということになるかもしれませんけれども、そういった大きな全体像の中でどうするのかという議論を今の段階から始めておいたほうが、この後の利用機関の範囲や私的利用の話がくっついてくるということを念頭に置いた場合は特にですけれども、やはりいいのかなという部分はあるように思いました。したがいまして、少しその構造の転換といいますか、個人のデータ、個人の情報をめぐる考え方や状況の変化みたいなものも念頭に置きながら議論できる素地というのも片方で考えていったほうがいいのではないかと思います。
現状、この整理について文句があるというわけでは全くなくて、ただ、今の個人情報がまさにそうだからこそ動き始めているわけですけれども、もともとこのプロジェクトが持っている立てつけとのずれみたいなものをどうやって埋めていくのかということは将来的に問題になってくるというところは申し上げてもいいのかなということを改めて思いましたので、コメントさせていただいた次第です。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
リスクベースの考え方は犯収法などでは随分昔から取り入れられていますね。
吉屋参事官、どうぞお願いします。
吉屋参事官: 稲谷先生の今のお話はまさにおっしゃるとおりと思っています。今回のベース・レジストリも、今の枠組みの下で整理をするとこういう形になりますと。ただ、この話と社会的にそういうものが認められるのかとか、一般国民がそうすべきだと思うのかというのは別の議論として徐々に起こりつつあると思っていますので、むしろ個人情報保護法としてこうすべきだということよりは、社会でデータをどう使うべきなので、それに合わせれば個人情報保護法はこうすべきなのではないかという議論は私たちのほうが後づけなのではないかと思っていますので、私たちのほうに合わせて情報を動かすということよりは、世の中が求めている情報の方向性をしっかり整理いただいて、それに合わせた形で個人情報保護を整理する。
その場合には、若干先ほど申し上げたようなリスクベースの話で全部を統一できるのか、もともとの個人情報保護の立てつけは政府が勝手に個人の情報を使うとこの人たちに監視されて嫌だというところから始まっている部分があるので、それとの関係をどうするかということもあれば、コロナのパンデミックの際の給付の話であるとか、震災のときの給付の話は、申請されて初めて対応するのではなくて政府がプッシュして個人を認識して行うとなれば、これは政府が個人情報を持っていないと対応できないので、そういうものを社会として認めていくのかというところでかなり政府全体としての考え方が整理されないと私たちもなかなか動けない部分があるので、今回についてはそこの部分を半分理解しながら、今の政府の中で今回ご提案いただいたところをどこまで対応できるかということのお話をさせていただいているという理解でございます。
ありがとうございます。
稲谷構成員: ありがとうございます。
ご事情は大変よく承知しておりますし、問題意識はきっと共有しているところだと思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。
安念座長: 大きな図柄を描くのはアカデミアの仕事ですよ。つまり、稲谷さんの仕事だ。よろしくお願いします。
ほかにご発言の方は。取りあえずよろしゅうございますか。
それでは、個情法上の対応については非常に有益なご示唆をいただきましたので、本日提示された案のとおり、引き続き法務省、デジタル庁において進めていただければと存じます。
続いて、議題3「ベース・レジストリにおける地図の取扱いとアドレス・ベース・レジストリにおけるレジストリの範囲について」です。事務局よりご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: 次の議題でございます。
地図に関しまして、前回、さまざまなプレゼンやご意見をいただきました。必要とされるデータの内容や精度にバリエーションがあるということでございました。
今回、整理の仕方として丸を3つ書いております。まず、1番目として、それぞれのニーズに応じ、どんなデータの品質が必要なのかということの整理を試みております。2番目として、現在のデータ整備状況がどのような感じなのかということを踏まえた上で、3番目として、そのデータの中身の状況、正確性及び正当性ということを後ほどご説明いたします。それらに応じてベース・レジストリとしての整備なのか、あるいはそれ以外の在り方があるのかといったところを検討していきたいということでございます。
次のページ、まずどういったデータの品質が必要とされているかということの整理を試みましたところ、一定の正確性が必要なものと、参考程度で一定足りるものの2つに大きく分けられるだろうと承知しております。正確性等が確保されるべきものとしましては、お金に関わるようなところ、時価総額を算出する、あるいは補償の額を算定するといった場合には、位置や形などが一定程度正確なものが必要となってくるということでございます。片や、何らかの予備的な作業や大まかな関係、あるいは隣接している関係等が分かればよいということであれば、そこまでの正確性が担保されていなくても使えるということで、大きく2つあるのだろうと理解をいたしました。
次のページは、現在の位置に関係するデータとしてどういったものがどういう法律等に基づいて整備されているかということの整理でございます。地図の前に文字での情報がございますので、併せて整理をしております。文字ベースに関しましては、いわゆる住居の表示になりますが、地方自治法に基づいて市区町村、自治体が管理しているというものがあり、地番は不動産登記法で法務省が管理をしている。これらについては行政のほうで法律等に基づいて収集・整備しているものであります。当然それは一定程度の正確性がある意味確保・担保されているとともに、現在、正当性と書いておりますけれども、その情報収集には法令に基づいた正当性があるかどうかということで言えば、それは当然あるということになります。これにより、法令に基づいているがゆえに何らかそれに基づいた処分、あるいは権利の確保や主張ができると考えております。
片や、地図のほうに行きますと、これは少し整備の状況にばらつきがございます。町字、街区、建物等につきましては、紙台帳で管理されているという自治体であれば、基本的にその形は書いてあるものの、緯度・経度といった詳細の情報はございません。一方、GISで整備をしているところにおいては、正確な緯度・経度といった位置情報がありつつも、これはあくまで業務の便宜のために整備をしているものであり、今、申し上げたような正当性という意味では必須ではないということになります。
そのほか、様々な地図として登記所備付地図と公図といったものがございますけれども、これらに関しましては少し注釈のほうに落としておりますが、作成された年代等々により精度には差がございます。あと、各種図面に関しましても、何の正確性を担保しているのかというのは物によって違うということでございます。
これに基づきまして、どういったデータとして位置づけるかということは、大きくベース・レジストリということであれば、やはり先ほどの正確性と正当性というものが両方とも担保というか、持ち備えているというものはベース・レジストリとして整備をしていくということがよいのではないか。
片や、そうでなくても一定程度の正確性が期待できるものについては、オープンデータ的な提供というのが考えられるのではないかと大きく2つに分け、今回、色分けを試みております。もっとも、オープンデータにしましても、当然提供コストはただではありませんので、それを誰が整備していくのか、オープンデータだから不正確で構わないというわけにもいきませんので、一定のアップデート等は期待されると思いますけれども、そういったものを誰がやっていくのかに関しては一定程度丁寧な検討が必要と考えております。
そういうわけで、次のページで今後どういった検討が必要なのかということを改めて述べております。まず、アドレス・ベース・レジストリ、こちらは比較的そもそもオープンデータに近い位置づけのものでございますけれども、そうはいっても今回、ベース・レジストリとして位置づけるために町字までのレベルでは自治体に確認をいただいて、これが正しいデータであるというところまで確認をしております。
一方、それをどこまで細かくしていくのか、街区、住居番号等々をどうするのかというのは今後の検討課題でありますし、オープンデータ政策を含めて全体的にどう整備・提供していくのかということを検討する必要があると思っております。
一方、不動産登記のベース・レジストリ、登記情報のほうにおきましては、地図ではない文字の範囲におきましても、現在、登記の原本にあるデータいわゆる登記データセット等々で提供されていない事項もございますので、そういったものをベース・レジストリになったときに加えていくのかどうかといったところも検討課題と認識しておりますし、先ほどの地図に関しましては、情報をひもづけて初めて大きな有用性が出るというところもございますので、どのように整備していくのかは今後、詳しく検討が必要だと思っております。
私からの説明は以上になります。
安念座長: どうもありがとうございました。
それでは、本議題について各構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
高倉さん、お手が挙がっていますか。お願いします。
高倉構成員: 序盤、遅参いたしまして申し訳ございません。
私からは実務的なユースケースを交えながらお話しさせていただきたいなと思っております。土地家屋調査士は登記申請の際に様々な添付情報を提供しておりますけれども、法務局内ではある程度情報連携がされておりますので、少し話はそれますけれども、法人の印鑑証明であるとか、資格証明書等の添付の省略が可能にはなってきております。
一方、行政に対しての申請はどうかといいますと、道路境界の確認申請の際には、道路を管理している部署に対して確認の対象になる土地とそれに近接している土地の登記事項証明書、地図、地積測量図の提出が求められております。私は行政書士もやっておりますので、例えば農地を転用する際の許可申請には転用行為が申請地の周囲に影響を及ぼさないかを把握するために、申請地だけではなくて周囲の情報も添付しております。
具体的に言いますと、登記事項証明書はもちろんですけれども、地図であるとか、いわゆる公図に登記されている地目であるとか、現在の利用状況、所有者の情報を記載して、視覚的に確認することができる書面を提出しています。それはまさにGISを紙面に出力したような書類でございまして、これこそが実際に行政が求めている情報なのだろうと思っております。
この点、最近ではG空間情報センターを通じまして地図情報がオープンデータ化されておりますので、それを活用することで省力化につながる場面も増えてきました。前回も申しましたけれども、理想論としては住宅地図や地図にいろいろな登記データ、例えば所有者情報、土地の面積、建物の有無などをレイヤーで表示するシステムを活用することができれば、住居表示された土地の地番の把握も可能でしょうし、行政間の情報連携が深まって国民の利便性向上、行政事務の効率化に間違いなくつながるとは思います。また、災害時の被害状況の把握にも有益だろうと考えております。
ただ、資料3にもございましたが、短期的には費用の問題になるのだろうと思います。システムそのものの費用、能力もそうですけれども、そもそもこのベース・レジストリの基になっております不動産登記法14条第1項地図の整備率というのは59%にとどまっておりますので、正確性や正当性というベース・レジストリの要件を満たすデータそのものの整理が必要になる可能性も考えられます。なので、費用対効果を見定めるためにも長期的なビジョンが必要なのではないかと思います。
一方、たびたび俎上に上がっておりますけれども、民間への不動産ベース・レジストリの開放についてですけれども、一般的な意味での地図情報の提供をコア業務としている民間企業というのは既に複数ございます。その中にはオープンデータ化された登記所備付地図をレイヤーにして情報を有料で提供している企業もございます。仮に全ての不動産ベース・レジストリを統合して民間にも開放してしまうことで、健全な企業活動を阻害してしまうおそれもあるのではないか。これは老婆心かもしれませんけれども、この部分ではちょっと慎重に事を運ぶべきではないかと考えます。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
最後の点はどこまでの粒度を官の側が持つべきかというのはもともとのテーマだったと私は認識しています。
南さん、いかがでしょうか。
南構成員: 行政の立場からすると、今、おっしゃられましたように、当然ながら公図というか地籍調査の進捗がどうしても1項地図を作るに当たっては必要でありますから、そちらが進んでないという状況で、私どもの市の場合でもまだ4割ぐらいです。なので、全国平均よりも低いのですけれども、そういったところでどうしていくのか。
先ほどおっしゃられましたような住居表示の地区の建物の下の地番が何番地だというのも、同じくここの整備ができていないと本当の正確性は出ないよというところになります。なので、当分の間はそれに合わせて1項地図ができていないところに関しては、この資料の最後のページにもありましたように家屋の平面図とこれの位置図といったものをもって判断していただくということも必要になろうかと思われます。
ですので、どのタイミングでこういった地図を整備するのかというのは必要ではありますけれども、私どものような市の場合ですと、一定の1項地図ができているところ、それから、ここにございます課税のために作った現況地番図というところをミックスさせつつ運用していくというところも今後検討していく課題の一つだと考えております。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
確かに現実的には幾つかのソースを総動員するしかないですね。ありがとうございました。
その次は、板谷越さん、お願いします。
板谷越構成員: 今の資料の5ページ目に「検討の方向性(案)」というページがあったかと思います。こちらを読み解くと、いわゆる法律に基づいて正確性・正当性が求められるものをベース・レジストリの施策として考え、それ以外の法的に必須ではなく実務上整備しているものはオープンデータの施策の枠組みで別途誰かが考えるという意味合いなのですか、それとも、それの検討自体もデジ庁ないしベース・レジストリ関係者が考えるのですか。まずここが気になっていまして、すごくシンプルに言うと、民間企業のデータに関わっている人は全員一緒なのですけれども、GISのポリゴンデータなどはいろいろばらばらにあちこちにあるのですよ。ただ、一個になっていないというだけで何百万も取られているのですよ。そんなに何百万も出せないのです。出せない結果、何が起きているかというと、物すごく人柱を立てて一貫性のない形で血の涙を流しながらやっているのです。それが生産性に影響していたりというのが山ほどあり、そして企業活動を明らかに阻害しています。あるものがくっついていないだけとかなので、あまり正確ではなくてももはやいいのですよ。くっつければ使えるから、ちょっと気持ちのある民間人やデータかいわいの人が出してくれていたりはするのです。そういう状況がとんでもなくあって、それを私たちは強く願っていて、やらないのなら私たちでやるわぐらいに思っています。実際そういう会議もしています。そういう中、無理してくっつけて正確であることを担保してなんて誰も思っていないです。あるものをほんの少しくっつけて置いてくれるだけで私たちはいいという声を強く強くお伝えさせていただきます。
先ほどのご意見の中で、当然それを商いにされている企業があることもそこに何百万も払ってきましたので存じています。ただ、多分民間企業はもう無理です。民間企業だけではないです、みんな一緒なのですというところです。そこのニーズをくみ上げて、売っている側も知り合いがたくさんいるのですけれども、もうこれは無理だなというのは感じています。そんなにお金を出してみんな買いませんので、そろそろみんなの気持ちとニーズを合わせて出していくことができたら、日本は良い国だなと思えるという気がしていますというちょっとエモさも入れさせていただきましたが、よろしくお願いします。
以上でした。ちょっと意見に近いところでした。
安念座長: ありがとうございます。
その気持ちを合わせるときには結構ありもので何とかなる部分があるというご認識と考えていいですか。
板谷越構成員: はい。結構くっつくものがあります。
安念座長: 分かりました。
板谷越構成員: くっつければくっつくのですよ。頑張ってくっつけているのですという感じです。
安念座長: 具体的にまたいずれ伺いましょう。ありがとうございました。
隂山さん、いかがでしょうか。
隂山構成員: ありがとうございます。
同じく先ほどの資料5の5ページでございますが、登記所備付地図や公図、各種図面につきましては、留保付ではありますけれども、正確性は○とされております。ただ、ご案内のとおり、また、既にご意見も出ているところではありますが、正確性に欠けている情報も一定程度存在するというのは周知の事実かと考えています。
正確性の担保となってきますと、この正確性が欠けた情報がひもづいた際に実務上どのような混乱が生じるのかという点も若干の懸念がございます。そのため、官民協力の関係の下、情報の精度を高めていく必要性があるのではないかとは感じています。
一点、資料5の8ページ辺りから住居表示のご説明をいただいております。留意点といたしまして、資料では街区符号のご記載をいただいておりますけれども、いわゆる道路方式による住居表示を実施している地域などもございますので、このデータの取扱いをどのようにしていくのかという点については少し注意が必要になるのではないかと感じております。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
そのほかはいかがですか。
稲谷さん、お願いします。
稲谷構成員: 私は本当に思いつきなのですけれども、さっきの板谷越さんのお話とも関係があるような気がするのですが、オープンデータでいくという話になったときに、くっつけたいとか、ある種一元化したものをつくりたいという意欲のある人が結構いて、かつ、もう既にある部分については結構存在しているのだという話になってくるのだとすると、前回、安念先生が言われたことだと思うのですけれども、ウィキペディアみたいな感じでこれはつくれないのかなというのがすごく気になっていて、そういう上手な仕掛けみたいなものを考えるというのは一つこの部分の解になり得るのかなというのを、官民協働というところもそうなのですけれども、感じているところがあるので、具体的にどうやるのですかという点について今すぐ私に解があるわけではないのですけれども、そういう方向性というのは割と真剣に考えてみる価値があるのかもしれないと思いました。
コメントです。以上です。
安念座長: ありがとうございました。
官だけで、行政だけでやり切れるとはちょっと思えないところがありますね。
小木曽さん、お願いします。
小木曽構成員: よろしくお願いします。
この話を議論するときに、単純に不動産の登記のベース・レジストリをどうするかという話だけで議論しているとうまく議論が進まないなと思っているのは、実は皆さんおっしゃっているのが、不動産関連情報や都市空間に関連する情報というのが、今、国土交通省を中心にいろいろなところで取組がされているのですけれども、そこの方針の話と結びついて、全体として何がどのように進んでいくのかというのが確かに見えにくいと思っています。
なので、先ほどどなたかが大きな方針という言い方をされていましたけれども、大きな方針というのがまさに私はそこだと思っています。その中でベース・レジストリでこの不動産登記のところはこうつくりますよという話がどう位置づけられているかという話と併せて議論をしないと、ベース・レジストリとして整備するデータとそれ以外の有用なデータとして整備しているものに分けてということも正確に議論し切れないのではないかなと思っています。
全部が全部ベース・レジストリとして整備しなくてはいけないということではないというのはおっしゃるとおりで、私もそこ自体は全然異論はないのですけれども、今、国交省さんなどがいろいろやって不動産IDの検討会議などでもロードマップを毎年出しているのですけれども、そういうものとの関係とか、あるいは我々新経済連盟では昔、不動産の総合データベースみたいなもの、要するにさっきどなたかから情報が散らばっていて、それを突合するだけでという話があったと思うのですけれども、まさにそういう趣旨のことを提言で書いていることもございまして、あるいは例えば税務当局が持っている情報と突合させるということも我々は提案したりしているのですけれども、そういった全体の話が昔の成長戦略では結構書かれていたのですけれども、途中からあまりよく分からなくなってしまった感じもあって、そういう大きな話とも接続させながら議論をしないといけないのではないかなと思っております。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
扇さん、お手が挙がっていますか。
扇構成員: ありがとうございます。
先ほど来皆さんがおっしゃっていたところの繰り返しでごめんなさいという感じなのですけれども、この手の話のときには分かりやすさというのは大事で、かつ、データの精度、あるいはそれぞれの例えば地図情報、公図等々の得手不得手というか、情報の精度の限界は、今、使っていらっしゃる方が一番ご存じなわけですね。なので、とにかくまずアナログでばらばらになっているものをまとめて、やったことは、それぞれ8ページにもありますけれども、市区町村や町字まで含めてデータのレイヤーをそろえましたと。なので、一気通貫で調べようと思えば調べられますと。できていること、できていないことは今までどおりなのです、ごめんなさいと。ごめんなさいと言う必要はないと思いますけれども、どんどん使ってくださいという形でとにかく前に進めることが肝要なのではないか。
その後のメンテナンスについては、これまたごめんなさい、皆さんがおっしゃっていることなのですけれども、官庁だけで背負う必要は全くなくて、民間も含めて本当に使いたい人も含め、あるいはエンドユーザーも含めてみんなに寄ってたかって整備していく、メンテナンスしていく。整備という精度の向上の話と今ある水準を維持するという話とを少し分けて考えたほうがいいかなという気がしているのですけれども、そんな形で制度として維持していくことが大事なのではないかなと思いました。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
だんだん議論が収れんしてきたような気もしますが、増島さん、お待たせしました。
増島構成員: ありがとうございます。
先行して法令を整えましょうというのをやっていまして、あのときの議論に似ている部分もあるなと思いましたので、少しご紹介をさせていただきます。法令についても民間で法令の検索サービスを提供する人たちがいて、我々専門家は必ずそういうものを導入して使っています。政府は今、e-Govを運用していて、そこに法令を全部載せるプロジェクトを進めるなか、民間事業者はどうするのかといった話が出てきたわけですけれども、整備や利便性、もしくはアップデートの早さや、過去のものと今のもので比較するとか、いろいろなところで機能が違うという形になっておりまして、我々専門家はそういうものが必要なので引き続きお金を払ってそれを使うということですけれども、一般の人たちは別にそんな機能はなくてもいいみたいなことは結構たくさんあるのですね。
今取り組んでいる地図情報についても同じようなことが言えていて、これがきちんと整うと、例えばドローンが自動的に飛んでいって荷物が軒先に送られてきてという世界がつくれるよ、すごいという話があるのですけれども、そういうものをベース・レジストリに載せて行う必要があるかというと全然そんなことはないといった話が必ずそこにはあるはずでありまして、この峻別をするために、その情報やその精度は誰にとって必要なのか、一般の人たちにあまねく提供するものとしてどのレベルまでが大事なのかという話を見極めるというのが、この境目をどこに置くのかという議論にとって大事なのだというのが一つです。
メンテナンスの部分はその意味で、ベース・レジストリのメンテナンスをオープンデータと同じように多くの人が寄ってたかってやるというのはもしかするとバランス的には違うのかなという感じもしております。誰が担うのかという議論について、特にメンテナンスの部分のデータをきちんと国民に提供するのが国の責任ですよという話と、そうではないところをどう切り分けていくのかというのは非常に大事だろうというのが2点目です。
最後ですけれども、大きな方針からというのはおっしゃるとおりだと思う反面、ドローンの話などを聞いていると、どんどんテクノロジーが発展していくと、これも実はできる、あれもできるみたいな、これがどんどんできるようになっていくみたいな話なので、方針を一回立ててその方針どおりに忠実にやっていくというふうにきれいにいくわけでもない部分がどうしてもあるのだと思います。
なので、方針を立てることは正しいことだとは思うのですけれども、この方針自体が結構イテレーションにかかっていて、方針自体も動かしていかなければいけないし、方針が動くと積み上げていったところもそれに応じて動いていくというふうにはいずれにせよならなくてはいけないものだというところがありますので、方針があって、それを固めて、あとは一個一個積んでいくのだという頭はちょっと持ちにくいかなとお伺いしていて思ったところでございました。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいですか。
それでは、構成員の方々からご意見を承りましたので、関係省庁からもご意見を伺いたいと存じます。まずは不動産登記法を所管する法務省さんからお願いいたします。大谷民事第二課長さんにお願いいたします。
大谷民事第二課長: 法務省民事第二課長の大谷と申します。どうぞよろしくお願いします。
大きく2つのことを申し上げたいと思います。
一つは、このベース・レジストリにおける地図の取扱いについての利用ニーズというのが誰のどのような利用ニーズに基づくものかということを整理していく必要があるのではないかということでございます。と申しますのは、事務局提出資料にもございましたけれども、法務省が持っております地図等のデータは精度に差がある部分もありますし、また、図面は画像データで管理されていて、2次利用に適した形式であるわけでもない。こういった中で、どなたがどういう目的のためにベース・レジストリを使うのか、それによってどれぐらいの頻度で更新していく必要があるのかということも決まってくるところがございますので、利用ニーズを正確に把握して整理することが重要ではないかということでございます。
もう一点は、同じようなことなのですけれども、実は既存の仕組みとの関係ですけれども、今は地図と公図のデータにつきましてはG空間情報センターを通じて広く公開をしております。これも何人かの先生方からご指摘がありましたけれども、これは加工可能な無償のオープンデータとして地図と公図を公開するという形になっておりまして、これは年1回定期的に更新をしているというものでございます。この取組の成果としてある程度の利用ニーズは満たされている部分もあるのではないかと思われまして、それに加えてなおベース・レジストリとして整備しなくてはいけない、頻繁に更新しなくてはならないということがあるとすれば、それは費用対効果の観点からどれほどの意味があるのかということも含めて検討していく必要があるだろうと思っております。
今後、デジタル庁におきまして、ベース・レジストリにおいてどういう情報を取り扱うべきかということが整理されて、費用対効果も踏まえながら検討が具体化されていくと思われます。法務省といたしましては、不動産登記法を所管する立場からその検討に必要な協力をしていきたいと考えております。
以上でございます。
板谷越構成員: おっしゃるとおりGIS関連データが公開されておりますが、そのデータは散在してすぐに使えない状態であるため、現状は各々、結合・整形・変換して使っている状況です。
安念座長: ありがとうございます。
次に、住居表示法、地方自治法を所管しておられます総務省さんからご意見を伺いたいと思います。犬丸住民制度課長からお願いいたしたいと存じます。
犬丸住民制度課長: 総務省でございます。
住居表示法の関係は市町村が実務を担っておりますので、アドレス・ベース・レジストリを整備するに当たっては、市町村のご理解とご協力が不可欠であると考えております。現時点でどういった作業を具体的にお願いするのかというところがまだ固まっていないと思いますけれども、前回、先進自治体からのヒアリングもありましたし、今日も田辺市の南課長のご発言もありましたけれども、そういう先進的であったりご理解が深い自治体の意見だけではなくて、ごく普通のそれほど先進的でない自治体がついてこられるような作業のお願いをしないといけないのではないかという点はご留意いただければと思っております。
その上で、総務省としても当然これはデジタル庁さんを中心に政府全体で進めていく重要なプロジェクトですので、しっかりと連携・協力をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
事務局から何かレスポンスをなさいますか。杦浦参事官、いかがですか。
杦浦参事官: ありがとうございます。
ベース・レジストリとしてというわけで色分けいたしましたけれども、もちろんこのピンク色のものをベース・レジストリとして整備していくということをここで決めるというわけではありませんので、対象として考え得るのではないかと。当然整備改善計画の前文にも書いてございますとおり、費用対効果というのは必ず検証した上で進めていくということでございます。
なお、オープンデータの施策自体もデジタル庁で一定程度関与して基本方針自体を持っておりまして、特に行政が持っているようなデータをどんどんオープンにしていきましょうということを促進しているという枠組みもございますけれども、その一方でG空間情報センターのお話もありましたので、どういった形が効率的で費用対効果が大きいのか、この辺りはよく留意しながら検討を進めていくべきであると考えております。
ご議論をいろいろありがとうございました。
安念座長: ありがとうございました。
続いて、議題4に入っていきたいなと思うのですが、プレゼンターの方々はご入室いただいておりますか。
杦浦参事官: そろっておりますので、お進めください。
安念座長: ありがとうございます。
それでは、議題4「商業法人・不動産登記データに係る『外字』の取扱いについて」に移ります。議論を進めるに当たり課題や問題意識を共有するため、本日は実務をご担当のお立場から3名の方にご発表いただきたいと存じます。続いて、ご発表いただいた後に意見交換をさせていただきます。
それでは、まずは事務局よりこれまでの検討の概要と本日の論点についてご説明をお願いいたします。
杦浦参事官: 商業法人・不動産登記のデータの中で登記統一文字として独自の「外字」が存在しているということで今までご議論いただいております。デジタル庁では一方で、自治体のシステム標準化に関わりまして、行政事務標準文字、「MJ+」と呼ばれております標準的な文字セットというのを策定しているところです。この登記統一文字と行政事務標準文字はどれぐらい違うのだろうということで突合したところ、最大7,000文字程度含まれていない文字があろうということでございます。その中でもこの文字はさすがに登記の中でも使われていないのではないかという疑惑のあるようなものは除いて4,000文字ぐらいが残ると思われます。ここはまだ精査できていない数字ではありますが、仮で例えばこんなものかなという当たりをつけている数字でございます。
外字についての不都合な話は今まで何回も議論しておりますので飛ばしまして、本日ご議論いただきたいポイントにストレートに参ります。先ほど申し上げたような登記に係る外字でMJ+を拡張していくべきなのか、あるいは別の規格として整理をするのか、また、MJ+を拡張したとして国際標準化というところをどう見据えていくかということをご議論いただければと思います。当然のことながら、国際標準にしていくといろいろな一般的に流通しているデバイスで使えるようになるということでございます。仮にそういったことを取り組むとしても、線表としましてはそれなりに長期の取組になろうと思っておりまして、国際標準化というのはすぐできるものではございませんので、その前準備も含めて何年かかけてやっていくということを考えてございます。
今回、新しく資料を追加したものがございますけれども、実際にどんな文字がはみ出るのかということで、商号における外字の例ということで少し出しておりますが、ちょっと惜しい文字からこれは何でしょうねという文字までいろいろございますので、こういうものを我々は相手にしないといけないということでご紹介でございます。
私からは以上です。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、続いて識者の方からご発表いただきたいと存じます。まず、京都産業大学シニアディレクター、原田智様からご説明をお願いいたします。原田先生、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
原田シニアディレクター: 原田でございます。
私は資料にありますように元京都府の職員でして、CIO兼CISOとして情報関係の責任者と、本庁の税務課長も務めておりました。京都府では京都府内の市町村さんと一緒に10数年前からシステムの共同化をベースとした税業務の共同化に取り組んでおります。これは現在国で取り組まれております標準化の先行事例になるような取組でして、システム共同化で情報システムの基盤を整えまして、同じシステムを使うことで市町村さん間にあった業務の差異をなくして、その上で一緒に業務に取り組んで実効性を上げていこうということで、滞納整理から始めて課税も含めて共同化に取り組んでいるところです。
その取組をしている中である市町村さんから、法務局さんから登記データを頂けることになるので、これを共同化システムに取り込んで、手間がかかっている土地、建物を含めた不動産の課税業務を効率化してはどうかという意見が出まして、取り組もうということになりました。しかし、調べてみましたら、なかなかというか、どうやっても取り込めるようなデータではなくて、何とかならないかとかなり調整をかけたのですが、結局のところ相当な費用をかけて変換ソフトを導入した一部の市町村さんだけが対応できたという結果になりました。
国も自治体も業務はシステムが支える状況になっているのに、なぜ両者のシステム間でデータ連携するだけでこれほど大変なのか、苦汁を飲む思いをいたしました。今回のベース・レジストリの取組には非常に期待しておりまして、自治体からも熱い声援を送っていることをご理解いただければと思っております。
資料のご説明に入ってまいりますが、スライド1にありますように、法務局と自治体との間では主に5つの業務で情報のやり取りを行っております。下の③にありますように、法人関係のものにつきましては法人番号で連携されるようになりましたので、非常にありがたい状況になっております。また、④と⑤につきましては民間とあまり差異がありませんので、これは置かせていただいて、本日は①と②の固定資産税関係と不動産取得税関係における情報連携についてお話をさせていただければと思っております。
スライド2にありますように、法律に基づいて法務局さんから自治体にデータを提供いただいているわけなのですが、冒頭に申し上げましたとおり、そのデータを直接自治体側の税システムに取り込むことができていないのです。業務実態としては、下のほうにありますように昔ながらの人力作業でやっています。送られてきたデータを表示して、コピーして、税システムにペーストして検索ということもやれないことはないのですが、実際はセキュリティーの関係もあって、印刷してそれを見ながら税システムで検索し、入力するということをやっている市町村さんが多いと思っております。さらに、入力されたデータをもう一度印刷したものと見比べてチェックするという作業を延々繰り返しております。不動産があまり動かない過疎地域では全く問題ないのですが、不動産の動きが激しい都市域ではかなりの負担になっているという実態があります。
次のスライド3にありますように、一般的にはデータで法務局さんから送られてくるのですから、自治体はシステムに取り込んだほうがよいのではないか、なぜしないのか不思議に思われるのはもっともなお話なのですが、その理由は幾つかあります。そこにありますように第1、第2水準以外の文字が、スライドにも書いておりますが、例えば地名でよく使われます茨城の「茨」の字は異字体がありまして、これは「にすい」の「冫」の部分が斜めなのか水平なのかというので異字体になっています。それから、大塚の「塚」は昔からある問題なのですが、これも異字体があるということです。しかも法務局さんによってどちらの字が使われているのかバラバラで、自治体によるのですが、かなりの頻度で出てくることがあります。
一方、人名なのですが、よくある字で言えば「﨑」、大崎の「崎」の字のつくりが「立」なのか「大」なのかというものですね。それと高島屋の「高」の字が「髙」なのか普通の「高」なのかというのも同じです。第3水準、第4水準の漢字が全部イメージファイルになって送られてきますので、結果としては取扱いが非常に難しいということになります。さらに、CSVファイルを送ってきていただくのですが、これが「○○町大字○○小字○○」という住居表記の場合、最近は大字、小字は古臭いので「○○町○○」という形になっているケースが多いのですが、法務局さんでは昔ながらの「大字○○小字○○」という形で管理されているため、表記が違っているという問題があります。
それと、先ほど飛ばしてしまいましたが、間に空白が挟まっている問題や、CSVで送っていただいている通知文に、制御文字を変換した文字が入ってきてしまうということで、なかなかうまく変換ができないし、取り込めないということになっています。
しかし、取り込んでいる自治体はありまして、取り込むために安いものではなく目茶苦茶高くもないのですが、市販ソフトを導入して取り込んでいます。もちろん優秀なソフトなので高いものではありますが、100%合致することを保障してくれませんので、それなりの手間をかけながらも導入して作業しています。
次のスライド4にありますように、なぜソフトウエアでお金を出してまでデータの取り込みをしているのかというところなのですが、自治体側の事情としましては、まず「無謬」という問題があります。自治体が少しでもミスをするとなかなか許してもらえなくて大きな問題になります。過去に同姓同名で生年月日も同じという方で、間違えるにしても2分の1の確率なのですが、不思議と間違っている方を選んでしまって、誤って差押えして全国ニュースになったりしていました。ほかに課税の誤りもかなり厳しく追及されます。振込間違いで大きな問題になりましたが、課税誤りはもっと大きい問題になるので、自治体はかなり神経を使っています。確実に処理する、誤りを少なくするためには、法務局から送られてきた文字を検索して確実に合わせるには、文字コードがばらばらであると間違って表示されるリスクがありますので、ぜひともこの辺りは統一していただきたいという強い思いを自治体の職員は持っております。
それともう一つは、自治体では人手不足がかなり深刻化してきています。住民サービスの維持さえ厳しい状況になってきていますので、住民サービスに直結しない業務、税の業務は熟練の職員がやらないとなかなかチェックも含めて誤りが出てくる可能性がありますが、そんな熟練のできる職員を間接部門に置いておくほど自治体に余裕がないという状況があります。これ以上人口減少が深刻化しない今のうちに、誰がやっても確実に事務処理ができるようにしておかないと大変なことになる、そのためには文字コードのレベルで違いがあるなどということは、どうしても避けていただきたいというお願いでございます。
次のスライド5にありますように、今、ベース・レジストリ会議に強い期待を寄せているということを申し上げましたが、それはコードで全部情報連携していただいたら、これに勝るものはありません。先ほど申しましたように法人番号もかなりありがたいのですが、それと同じように住所もアドレス・ベース・レジストリで来る、また不動産IDで来る、個人も個人番号で来るということであれば非常にありがたいのですが、現実どうかというと、アドレス・ベース・レジストリへの転換というのはすぐには難しいのかなと思っております。しかも、これ以上遅れますと、先ほど申しました人口減少の影響で自治体側の対応力がなくなってきますので、対応することが難しくなってしまいます。変えるのであれば関係のところを全部変えないといけないのですが、自治体業務の根幹というのは土地と人なので、結構いろいろなところに関係するため、大きな作業になります。しかも間違いは許されないので、なかなか実際は難しいところがあるのかなと思っております。
また、登記簿が公の帳簿である、誰もが見られるということである以上、なかなか個人番号というのは難しいということは理解するのですが、自治体の差し迫った状況を考えていただきますと、当面文字コードだけでもよいので統一していただきたい。別の文字コードが導入されようものなら不効率が固定化されてしまいますし、作業のたびにチェック作業が出てしまいますので、是非とも避けていただきたいと思っております。
自治体職員からすると、国のように同じ組織内なのに部門の意向で統一されるべきものが統一されないということは想定すらしていなくて、別の文字コードが議論されているということ自体「何ですかそれ」というのが本音だと思っています。個人番号のときもかなり問題になって、厚生労働省さんや警察庁さんから別コードの動きはあったのですが、国のご判断で統一していただいたのは非常にありがたかったです。もし仮に各省庁でバラバラに付番されていたら、自治体の負担はかなりのものになっていたでしょうから、それはもう非常にありがたくて、逆にならなかったらと想像するとぞっとするものがあります。
自治体の職員は、文字コードは長さや重さ、メートルやグラムなどの度量衡のように公の器だと思っております。それぞれの組織の意向で左右されるようなものではないですし、統一されないとか、別に整備されるということはあり得ないと思っております。登記簿が公の帳簿であるように、文字コードは公器、公の器ですから、本有識者会議におきまして行政事務標準文字を拡張する形で是非とも整備する方向性を出していただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
安念座長: 原田さん、どうもありがとうございました。公器ですか、なるほど。せっぱ詰まったニーズを伺いました。
それでは、続いて国税庁デジタル化・業務改革室室長、菅沼哲矢様よりご説明をお願いいたします。菅沼室長、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いいたします。
菅沼室長: ありがとうございます。国税庁デジタル化・業務改革室長の菅沼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、当庁から国税庁における登記情報の外字対応へのニーズということでお話をさせていただきます。今、共有されている資料の上の箱、商業登記における観点からご説明を申し上げます。当庁におきましては、法人番号の指定であったり通知、それから適正・公平な課税の実現のために、法務省様から登記事項に係る異動状況等の提供を受けており、様々な場面で活用しているところでございます。そのうち、外字につきましては当庁の基幹システムに取り込むことができないために、ここに記載させていただいているとおりアンダーバーに置き換えて基幹システムに登録をしているところでございます。そのため、必要な場面でしっかりそこの会社かどうかみたいなところを確認する必要がある場合には、別のシステムを用いてイメージデータを確認するという追加の事務が発生しているところでございます。
また、不動産登記におきましても同じような状況が発生しているという状況でございまして、まさにこの商業登記・不動産登記と併せて、ベース・レジストリの整備に当たってこの解決をぜひともお願いしたいと考えているところでございます。
当庁の説明としては以上でございます。
安念座長: 菅沼室長、どうもありがとうございました。
それでは、続いてデジタル庁プロジェクトマネージャー、西窪健太様からご説明をお願いいたします。西窪マネージャー、カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いいたします。
西窪プロジェクトマネージャー: デジタル庁の西窪健太と申します。私は民間専門人材としてデジタル庁で法人共通認証基盤(GビズID)の担当をしております。本日は、GビズIDの業務をやるに当たって直面している文字の課題についてお話しいたします。
最初に、GビズIDで文字の課題が起きる場面としてオンライン申請のところがあるのですけれども、その概要についてご説明をいたします。マイナンバーカードの情報を基にスマートフォンにカードをかざすことによって最初のアカウント発行をオンラインで行えるのですけれども、その裏側ではマイナンバーカードの情報と法務省の登記情報連携システムの登記の情報を突合して、申請した個人がまさに法人の代表者であるということを確認してアカウントを発行しております。そのときに主に見ているのが氏名と住所でして、文字列を機械的に突合することによって登記簿に登記されている情報とマイナンバーカードの本人が一致しているかというのを見ているわけでございます。この氏名とマイナンバーカードの情報と登記の情報は必ずしも一致するわけではなくて、同じ人物なのですけれども、文字が違ってエラーになるという場合がございます。
その説明を次のスライドでしております。これはあくまで架空の例ですけれども、「山田未来」という人がいた場合に、マイナンバーカードはどちらかというと戸籍の文字と違って簡単な文字で利便性のために登録されている場合があるのですけれども、当然登記の文字というのはオリジナルの難しいほうの文字で来ますので、こういった場合は同じ人物で、本来であれば同じ名前であるところなのですけれども、漢字の表記が違うということが起こり得ます。この場合は同一の人物でも文字が違うということで機械的にはエラーになるので、人間の審査員というのが後ろに控えていまして、人間による審査にフォールバックします。
その割合がどれぐらいかというのを次のスライドで示しております。これはGビズIDの昨年1年間の審査のデータを基に算出した数字ですけれども、大体オンライン申請が7万件、紙の申請はこれとは別に9万件ぐらい郵送のものが残っているのですけれども、オンラインのものは7万件あります。このうち約1.5万件が最初に何らかの文字の不一致等によるエラーで突合に失敗します。この1.5万件というのは全て人間の目に回されてチェックして、本当に間違っている場合もありますし、文字の表記が違うだけの場合もありますので、その辺りを確認して通したり、または差し止めたりしているところです。1.5万件というと結構な件数でして、これには人件費もなかなかかかるところがありまして、システムの運用費というのを効率的な運用によって削減していきたいという立場からは、この文字の不一致によるエラーというのは削減をしてシステムの効率的な運営を実現したいと思っています。
文字の件につきましては、こういったエラーが起きないように統一的な文字の規格によってスムーズな処理ができるようなものができるとよいかなと思って、ぜひ整備をお願いしたいところでございます。
発表は以上になります。
安念座長: ありがとうございました。
ただいまのお三方からのご意見も含め、本議題について構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
杦浦参事官: 事務局から一瞬だけ。
安念座長: どうぞ、お願いします。
杦浦参事官: 本議題につきまして、臨時の専門委員として早稲田大学教授、笹原宏之さんをお招きしておりますので、ご紹介となります。冒頭、ご紹介が漏れており申し訳ございませんでした。よろしくお願いいたします。
安念座長: では、南さんの後、笹原さんからご発言がきっとおありだろうと思いますので、その後にお願いいたします。
南さん、どうぞ。
南構成員: 原田先生が言われたように、行政の意見としては全くそのとおりでございまして、私も固定資産税をずっと長らくやっておりましたので物すごく分かる内容でした。
かつ、外字が多い原因というのは、そもそも紙台帳のときに墨でぽつんと落ちた点が幾つかあったとか、人の手によったというのは皆さんご存じだと思うのですけれども、それを日本人であるがごとく忠実に再現したからこのような現状になってしまったという経過もあることですから、そこを生かすことも大事だとは思うのですが、法務局の台帳をコンピューター化する際にも、私は地元の法務局さんともこちらから行政側の資料を提供したりしていろいろやっていたのですけれども、そういうものでありますとか、人の手によって片仮名の「ノ」や平仮名の「の」が「何々の浦」というところの「の」が書いた方によって違ったといったものは一定そのときに統一しているはずですけれども、やはり一部残っているというのもございまして、それだけではないというところも分かります。
私はこの3月までは情報政策課で課長をしておりましたので、システム標準化については同時にやっておったのですけれども、その段階で国がMJ+にされるということで、各市町村では、MJ+へ移行しているところです。ですので、何とぞこちらの法務局さんの文字もMJ+プラス拡張という形で整理していただかないと、おっしゃるように自治体の事務がかなり煩雑になります。なので、ここら辺はできるだけ統一していただきたいという思いでございます。
それと同時に、先ほど最後のデジ庁さんの説明にもありましたように、本当はこれはコードで全部チェックすれば字を見なくていいのです。なので、本当はマイナンバーで連携するといったものをしていただくのが、今すぐでなくてもいいのですけれども、将来的にやっていただいたほうが省力化されるところになるかと考えております。一市町村の意見としてなのですが、行政としては本当に文字を統一していただきたい。でも、この際であるので、MJ+にしていただきたいというお願いでございます。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
笹原さん、いかがでしょうか。
笹原専門委員: ありがとうございます。
MJ+、つまり行政事務標準文字に関わっております関係で意見を申し上げたいと思います。結論から言うと、行政で利用する文字規格というのは、今まで先生方がお話しくださったように単一であるほうがよいと、専門の立場からも考えております。仮に文字規格を複数整備してしまうとなると、まず業務効率が低下するということは間違いないと思います。フォントの使い分けが発生しかねないほか、我々も他の文字コードにおいて苦しんできたところなのですが、その粒度というものにばらつきが生じてしまいます。そして、それらの文字と文字との関係づけの一貫性、体系性が保証できなくなってくるという危険も常につきまとってきます。
そしてまた、自治体にとっては複数の文字規格への対応がどうしても必要となってしまうということで、諸々のシステムなどに対応するためのコストが増加するという問題にもつながるわけです。
また、国と自治体などの間でも、先ほど皆様からもお話がありましたように、円滑なデータ交換というものを実現しなければいけないわけですが、そこにも妨げが生まれかねないという危惧が生じてしまいます。
こうしたことから、今回の登記の外字につきましても、既に自治体で利用する文字として位置づけられている行政事務標準文字、MJ+を拡張する形で整備していただき、これも国がきちんと扱っていくのがよいと考えております。
以上です。
安念座長: ありがとうございました。
だんだん識者のご意見は収れんしてきたようですね。
隂山さん、いかがでしょう。
隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。
まずもちまして、行政関係の皆様におかれましては、私の「隂」の字が外字でございましてご迷惑をかけている点が非常に多くあろうかと思います。その上で、今、ご指摘をいただいておりますとおり、行政事務標準文字を拡張していく方向性につきましては私自身も賛同しています。
第1回の会合でも述べさせていただきましたとおり、依頼者の方の中には文字に強いこだわりを持っておられる方が一定程度おられるという点と、不動産登記における氏名の記録に加えまして、法人登記の商号につきましても外字を用いるケースが見受けられます。特に、商号を決定する際ですけれども、強い思いを持ってこの漢字を使いたいという方がいらっしゃるというケースもございますので、行政事務標準文字の拡張という方向性での検討が好ましいのではないかと考えております。
資料の7ページなどでご指摘をいただいております、CSV形式のもので表記揺れがあると取り込めないといった事象は、全くご指摘のとおりだと考えております。表記揺れなどを一気に解消することはなかなか困難であると考えるところ、第1回の会合でも少し似通った発言をさせていただきましたけれども、一意のデータとして、例えば登記済み通知データに不動産番号などが記録されている場合には、不動産番号をキーとしてうまく情報のひもづけをしていくという方策も検討できるように感じました。
住民票の添付不要の箇所につきまして、登記実務の観点から少しご紹介をさせていただきます。現状、住基コードの提供で住民票の添付が不要となるケースがございますし、委任状や申請情報に対してマイナンバーカードで電子署名を付与していただけば、住民票を添付する必要がありません。署名用電子証明書の情報等をうまく活用することで、登記の場面での自動化についても検討していくことがあり得るのではないかと感じました。
以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、落合さん、戻ってこられましたか。どうぞ。
落合構成員: 申し訳ございません、今ほど戻ってまいりました。
早速今回の外字の点についてですが、今回議論しているところは隂山先生がおっしゃられたところが、一番、ステークホルダーとの関係で、気にして議論をしないといけないところかと思っております。
一方で、ここの考え方の切り分けとしては、既にご整理いただいている部分もあると思いますが、商業登記や不動産登記そのものなのか、それともそれを加工して、ある種の自動化や機械的な処理をできるようにするためのデータベースを今回整備し、それを国の基盤的な役割を担わせていくという目的において作られているデータベースであることを考慮していくのか、いずれであるのかを改めて考えることが重要だと思います。今回のデータベースについては、最終的に、機械的な処理に資するようなデータベースの文字構造や、格納内容の整理がなされていないといけないと思います。そうでないと、今回のデータベース、ベース・レジストリについては所要の目的を達せないので、やむを得ず外字を追加するという処理は行わない、という形で整理していただくことが合理的なのではないかと考えました。
私のコメントは以上でございます。
安念座長: ありがとうございました。
扇さん、いかがでしょうか。
扇構成員: ありがとうございます。
データクレンジングといいますか、データエンジニアリングの王道みたいな話が言えるのかなと思っていまして、外字プラス拡張ということを大原則としつつも、先ほど伺っていると統合できるものはありそうだなと思うので、統合できるものは統合しましょうということだったり、何より大事なのは、途中のレイヤーにいらっしゃる皆さんが作業せずにそのまま使えるようにすることで、上流法務局でお持ちのデータがそのままどんぶらこっこと流れて一番フロントにあるシステムでもそのまますとんと入れられることはすごく大事で、平時はともかくトラブル時にどこでどう間違ったのかというのを全レイヤーで調べるなんて今後あり得ませんよねという話になっていくと思いますので、ここは非常に大事なポイントかなと思っています。
一方で、例えば登記に合わせるという話になってくると、今まで渡辺さんの「辺」の字や斉藤さんの「斉」の字などの一番簡単でシンプルな字を書く、手書きのことを私はイメージしていて、今、窓口で実際に手書きがどのくらい起きているかということは分かっていないので、そういう前提で聞いていただければと思うのですけれども、基本皆さん手書きで申請しますね。そこでマイナンバーカードをくっつけてもきますね。マイナンバーカードは比較的シンプルな表記になっていると思っていて、それと手書きのシンプルなものをぶつけますと。ただ、そうではなくて、例えば皆さんがふだん使っていない字が登記で上がってきたとして、窓口に来られた方がふだん使っていらっしゃるシンプルな字と登記で流れている複雑の字でどこまでその差異を許容するかというのは、最終的にはアナログな部分だと思っていて、下手するとそこで書き換えを何枚もしなくてはいけなくてどこがどう違うのだろうみたいなことにはしたくないなというのも一部であるので、外字というと極力統一していきましょうというのは当たり前の話で、それを前提に窓口の運用をどうするかというのはひょっとしたら別に考える必要があるのかもなと思った次第です。
以上です。
安念座長: なるほど、ありがとうございました。
ほかにはご発言の方はいらっしゃいませんか。
ありがとうございました。
何かこの段階で事務局からレスポンスいただくことはありますか。
杦浦参事官: 特に今回、どちらかというとこのポイントについて拡張ということで意見がそろっておりますので、その方向で具体的にどうしていくのかということの検討を進めたいと思っております。ありがとうございます。
安念座長: どうもありがとうございました。うまくご意見が収れんしてよかったです。
それでは、時間も尽きてきたところですので、本日は以上とさせていただきたいと存じます。活発なご議論をいただきありがとうございました。
最後に、事務局より事務連絡等をお願いいたします。
杦浦参事官: 本日の議事につきましては、議事録作成の上、皆様にご確認をいただきまして公開ということで進めさせていただきます。資料につきましても、デジ庁のウェブサイトに公開ということで進めさせていただきます。
次回会合につきましては、5月26日月曜日の15時からということでよろしくお願いいたします。
事務局からは以上となります。
安念座長: ありがとうございました。
それでは、以上をもって第2回ベラボウこと「ベース・レジストリ推進有識者会合」を終了いたします。
活発なご議論をいただいてありがとうございました。