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ベース・レジストリ推進有識者会合(第3回)

概要

  • 日時:2025年5月26日(月)15時00分から17時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 公的基礎情報データベース整備改善計画(案)について
      2. 法人ベース・レジストリの民間利用について
      3. 今後の検討スケジュールについて
    3. 閉会

資料

議事録等

日時

  • 2025年5月26日(月)15時00分から17時00分まで

場所

  • オンライン開催

出席者

座長

  • 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)

構成員

  • 板谷越英美(株式会社DATALE代表取締役)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 扇裕毅(Japan Digital Design株式会社Data Advisor)
  • 小川尚子(日本経済団体連合会産業技術本部本部長)
  • 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 隂山克典(日本司法書士会連合会常任理事(総務))
  • 片岡康子(一般社団法人新経済連盟政策部長)
    ※代理出席:小木曽稔(一般社団法人新経済連盟渉外アドバイザー)
  • 高倉健(日本土地家屋調査士会連合会専務理事)
  • 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)
  • 南博一(田辺市保健福祉部やすらぎ対策課課長)

オブザーバー

  • 犬丸淳(総務省自治行政局住民制度課長)
  • 大谷太(法務省民事局民事第二課長)
  • 田中普(法務省民事局商事課長)
  • 津田夏樹(財務省理財局国庫課長)

議事録

杦浦参事官: 杦浦でございます。おおむねおそろいになりましたので、第3回「ベース・レジストリ推進有識者会合」、通称ベラボウを始めさせていただきます。

本日はまたオンライン開催となります。

欠席連絡ですけれども、オブザーバーの個人情報保護委員会事務局と総務省市町村課がご欠席と聞いております。

議事進行につきましては、安念座長によろしくお願いいたします。

安念座長: ありがとうございます。

それでは、議事に早速入ってまいります。本日の議題は、議事次第に記載されている3件でございます。

それでは、まず議題1「公的基礎情報データベース整備改善計画(案)について」、事務局からご説明をお願いいたします。

杦浦参事官: 改善計画案でございます。資料1と2をかいつまんで10分程度お話しいたします。

まず、前回、どのようなご議論をいただいたかというところを簡単にまとめてございます。まずは整備改善計画の記載内容につきまして、運用面で業務とシステムの両方の観点があるというご指摘もございました。もっとも、今回はシステムの整備計画がメインになりますので、業務の話があまり具体的には書かれないところではありますけれども、我々としましては整備改善計画の中でどういったユースケースで具体的に誰が何の目的で使うのかといったことを具体的に書くことで、業務の改善にどうつなげていくのかについても具体的にイメージをしやすいことを心がけて計画としてまとめているという感じで考えてございます。そのほか、言葉の適正化や分かりにくい表現等を修正してございます。

次のページでございます。大きく費用負担や利用範囲といったところでご議論がありましたので、少し振り返りとなります。費用負担の話につきましては、全般的に利用者の側にも相応の負担があってしかるべきではないかというご議論をいただきました。特に登記自体の根幹であるところの制度は当然安定的に維持・運用していく必要がございますので、そちらの予算の確保等々に悪い影響というか、あまり影響が出ないように留意すべきであろうということをご議論いただいてございます。

また、このシステムは当然費用負担が問題になりますけれども、併せてデータにつきましても、例えば地図についての整備率というのはまだ5から6割といったところであることを考えると、ベース・レジストリとしてデータそのものの整備というのもまだまだ必要であろうというご議論をいただいてございます。

次のページに行きますけれども、さらに民間の利用をどう考えるのかというところもご議論いただきました。これにつきましては議題2でも個別に扱いますので簡単にご紹介いたします。前回、民間利用に関してどのように扱っていくのかはこれから考えることではあるものの、大変重要な課題であり、その中でトラスト的な意味でもこのベース・レジストリというものは活用されていくものなので、民間の活用に大いに期待をされるということ、一方で、オープンデータ的なものを活用して既にビジネスの展開をされているプレーヤーも多数いますので、そういったところの企業活動とのすみ分けをよく考える必要があるといったご議論があったかと思います。

こういったご議論を踏まえまして、整備改善計画の本文について、少しアップデートしたところを中心にご紹介をさせていただきます。

まず、大きな変更点といいますか、加筆をしたところは7ページになります。こちらは「利用負担のあり方と利用範囲」及び「民間利用」ということで、今、簡単に申し上げたようなことを今後の将来的な検討課題として扱うという趣旨で書いてございます。特に利用範囲につきましては、イのところで書いているのはまず行政、あるいは準行政的なところを見据えての話になり、民間利用につきましては、具体的なデータ項目等をよく精査して、データのガバナンスの在り方、費用負担、民間事業者への影響も考えた上で論点を洗い出していこうと考えてございます。

続きまして、整備計画自体は今回、不動産のほうで追記をしてございます。不動産のベース・レジストリにつきましては、構造は法人ベース・レジストリと基本的には同じでございますが、大きな横断的課題としては地図の情報といったところがございます。今回、ベース・レジストリとして地図について内容や形式、頻度といったものをニーズと合わせて正確に把握する、既存の取組との整合性もよく考えて対応を検討するといった方針で記載をしてございます。

続きまして、住所・所在地、いわゆるアドレス・ベース・レジストリの部分でございます。こちらは問題意識を少し復習させていただきますけれども、3つ書いてございます。まず、住所・所在地情報については例えば運送・配送の業者さんや地図の事業者さんがいらっしゃいますけれども、複数の主体が同じようなものに取り組んで、社会的に見ればコストが重複しているのではないか、あわせて、行政機関においてもそういった多数のプレーヤーから同じような問合せを受けてデータを提供する、答えを提供するといったことも一定の負担ではないか、また、いろいろなプレーヤーが整備をしている、さらには大元の住居表示と地番の連携が困難であるといったところ、データの互換性、相互運用性、突合、ひもづけといったところが困難なのではないかといった課題認識でございます。これにつきましては今、町字の粒度までは整備をしてございますので、そちらは引き続きデータを最新に保つといった作業をしていきたいと思ってございます。

少し進みまして15ページでございますけれども、もっとも、町字よりも深いところ、細かいところをどうしていくのか、IDをどうつけるのか、表記揺れというのはどんどん出てくるわけですけれども、そういったところをどのように整備していくか、それは今後の具体的な検討課題であると位置づけをしてございます。

また、こちらは不動産登記と同様でございますけれども、やはり地図についてどうするかというところは出てくるかと思っております。地図の話をするときにはオープンデータ的な取扱いで提供されているもの、さらにはビジネス等でされているものも含めてどういったニーズがあるのかといったところをよく考えながら我々として取り組んでいくべきであると考えてございます。

大きな変更点・アップデートのところは以上でございまして、残りのパートはおおむね法定された記載事項についての答えというか、取組の方針を書いたものでございますので、詳細は割愛をいたします。

大きな項目で申し上げますと、今、既にデータベースとして整備されているものの一覧表をつけておりますほか、協力を仰ぐ機関、具体的には国立印刷局及びIPAに求めていく役割といったものを具体的に記載しているものになります。

そのほか、最後に政策効果という形でおのおののユースケースについてどれぐらいの効果、主には過去にご紹介いたしましたとおり手続に要する時間を節約することでそれが経済効果として幾らに換算できるのかといったところをまとめてございます。

以上、かいつまんでご説明さしあげました。説明は以上とさせていただきます。

安念座長: 杦浦参事官、どうもありがとうございました。

それでは、次に構成員の中からご発表を1件いただきたいと存じます。意見交換はプレゼン及び関係省庁のご発言が済んだ後にさせていただきます。

それでは、日本土地家屋調査士会連合会専務理事の高倉健様からご説明をお願いいたします。カメラとマイクをオンにしてご説明をお願いいたします。

高倉さん、お願いいたします。

高倉構成員: お疲れさまです。日本土地家屋調査士会連合会専務理事の高倉でございます。

前回、口頭でお話しさせていただいた内容と若干重複いたしますけれども、データ連携の必要性について、少し資料をご覧いただきながら説明させていただきたいと思います。

次のページにめくっていただいて、これは行政機関の届出や申請に提出を求められている書類について記載しております。左側の上段には、公道の境界確認をする際の申請書になりますが、添付図書として公図、登記事項証明書、地積測量図の提供が求められております。その下にあるのは、併せて提出しております筆界検討図になります。若干文字が小さくて見にくいのですけれども、中央にある2筆の土地との道路境界を確認するために隣接する土地の所有者、地積、地目、地積測量図の有無、現況構造物等を実測図に記載しております。実測した各辺長には地積測量図などの数値資料との差を記載して、行政が筆界を検討するための必要な情報を盛り込んでおります。

このケースでは、公図1枚、登記事項証明書9部、地積測量図6枚を提供しております。この情報の取得自体は既存の登記情報提供サービスによって一括で容易に請求できますのでさほどの手間ではありませんけれども、資格者としては必要な調査作業の一環であると認識しております。登記の際にもおおむねこのような図面を報告書の一部として提出して、登記官は筆界の認定を行う際の資料としています。

右側にございますのが、農地法5条の許可、いわゆる農地転用許可の申請に添付しているものでございます。これは農地の転用行為が周辺の耕作地や農業用水路に及ぼす影響を調べることを目的として提供しておりまして、地図、場合によっては公図になりますが、それに所有者、耕作者、地目、地積を重ねて表示したものとなっております。さらに、航空写真を重ねることで登記地目と現況の利用状況の差を明確にするための資料ともなっております。

この2点を見ていただくと、実際に行政が許認可等の審査にどのような情報を求めているかが見えてくるかなと思います。前回も申しましたけれども、まさしくこのGISを紙面に出力したものであって、不動産登記データを統合して可視化した情報になっております。恐らく課税の分野や災害対応などでも行政はこのような情報を欲していて、現状、各自治体は手持ちの少ない資源で対応に苦慮されていると、これまでの自治体からのプレゼンを聞いてそう感じました。

では、どのようなデータ連携が行われれば行政事務の省力化・適正化につながるのかを私なりに考えたのが次のページにございます。左には私の個人の事務所がある付近の住宅地図がございまして、この赤線で囲われた部分を抽出してG空間情報センターで取得したオープンデータ化された地図情報を赤色で重ねた図が右側のものになっております。この図自体は簡易的に私が作成したものでございますけれども、住居表示と地番を視覚的にリンクさせることが可能になっております。例えば「地番:1-193」をクリックすることで吹き出しが表示されて、そこに不動産情報の表示であるとか、さらにそこから図面類の取得をすることができれば、登記データ連携の効用はかなり大きいのではないかと考えております。

一方、実現するための課題としては、前回もお伝えしましたけれども、現状の地図のオープンデータの更新頻度はやや即時性を欠いている。また、このように住宅地図に合成することができる精度を持っている地図や公図の整備は不十分だということになっております。なので、システム整備費用だけではなくそもそもの素材を準備するための費用が必要になるため、短期的にはコストに見合った効果が得られるかを検討する必要があるかなと思います。

不動産登記の特に我々が専門にしております表示に関する登記に関しては、法務省の取組のおかげでかなり電子申請が普及しておりますが、一方、地方自治体の雑多な申請や届出ではそこまで電磁的な手続が進んでいないというのが現状でございます。電磁的な手続が進んでいれば、今回の資料2の4ページにもありますプレプリントのように申請内容となっている不動産情報を自動表示することで職員の手間を省くことができるとは思いますが、現状はそうではなくて、どうしても情報連携に際して手入力の手間が生じてしまいます。人手不足が各所で問題になっておりますけれども、人手不足にあらがうためには行政事務の省力化や効率化が必要であって、このようなGISによる連携が理想像になるのではないかと思っております。ただ、個人情報保護の観点もあって、現段階では行政機関同士の情報連携を想定した場合の理想であって、整備改善については費用対効果を考慮してご検討いただければと思います。

次のページをお願いします。このページは民間企業の取組について記載しております。右側は民事法務協会なので民間というと若干語弊があるかもしれませんけれども、地図を提供する民間企業が関与していますので一例として紹介させていただいております。既にこのような地図データを用いたGISを実装している企業もございます。今回の会合でも議論される予定にはなっておりますが、民間開放への手法によってはこのような企業活動を阻害することも考えられるのかなと思っております。なので、この実情を踏まえてベース・レジストリの整備の議論を進めることも重要ではないかと考えております。

以上でございます。

安念座長: 高倉専務、どうもありがとうございました。

それでは、次に関係省庁にご意見を伺いたいと存じます。まずは法務省さんですが、整備改善計画案に関して、登記制度の所管官庁としてご発言をお願いしたいと存じます。

それでは、法務省民事局、田中普商事課長からカメラとマイクをオンにしてご発言をお願いいたします。

田中商事課長: 法務省民事局商事課長の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

整備改善計画案につきましては、前回会合において法人ベース・レジストリの部分について、利用者である行政機関における利用負担の在り方、利用範囲等を含め様々なご意見、ご議論をいただきました。費用負担に関しましては法務省のみが法人ベース・レジストリの運用に係る経費を負担して、その情報源である登記制度の安定的な整備・運用と並行して実施していくことが難しい状況にあるということを申し上げ、そのような状況にあることについて一定のご理解をいただけたものと考えており、いただいたご意見、ご指摘を踏まえまして、引き続き検討をしてまいりたいと考えております。

また、法人の登記情報につきましては、現在の登記情報連携システムの連携先のほか、裁判所においても利活用を行いたいとの声にも接しておりますが、いずれにしましても、来年3月から行政機関等が法人ベース・レジストリのデータにアクセスして利用できるように、システムの整備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

本日の会合では、法人ベース・レジストリ以外の部分も含めた計画案の全体が議題と伺っております。法務省としては皆様のご意見を踏まえつつ、円滑に運用を開始できるよう、引き続きデジタル庁と連携しながらしっかりと対応をしてまいりたいと考えております。

以上でございます。

安念座長: 田中課長、どうもありがとうございました。

次に、住居表示法や地方自治法を所管する総務省さんからお願いいたしたいと思います。

それでは、総務省自治行政局、犬丸淳住民制度課長からカメラとマイクをオンにしてご発言をお願いいたします。

犬丸住民制度課長: 総務省の住民制度課長、犬丸でございます。

アドレス・ベース・レジストリにつきまして、特に町字以下のデータの整備については今後、具体的な方策を検討していくこととなっておりますので、デジタル庁と連携・協力してしっかり総務省としても取り組んでまいりたいと思います。

以上でございます。

安念座長: 犬丸課長、どうもありがとうございました。

ただいまの関係省庁からのご意見を含め、本議題について構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞお願いいたします。

まず、板谷越さんからお願いいたします。

板谷越構成員: ありがとうございます。

一瞬画面を共有させていただいてもよろしいでしょうか。

安念座長: 事務局、大丈夫ですか。

板谷越構成員: すみません、共有してしまいました。大丈夫ですかね。

先ほどのお話、ありがとうございます。この話について課題をたまたま別の弊社の取組で整理していたので、第1回か第2回のプレゼンテーションで言及のあった課題感をもう一度補足としてご共有したいなと思いましたので、共有させていただきたいなと思っています。

先ほどの重ね合わせで、目で見てこことここは一緒だよねという業務をするときに十分な情報が得られるのは本当に皆様の今までの動きがあったからだなとまず思っています。一方で、第1回か2回目かでプレゼンターから課題感の共有がありましたが、不動産登記簿の調査の業務の中でキーがないのでくっつきませんみたいな話があったと思うのですが、その話と本質的に一緒の課題を共有させてください。これは弊社のたまたま別件でやっているものなのですが、住所情報と地図情報を連動させることについての課題にどう取り組むかみたいな民間企業としての話です。民間なので数万を超える何かの特定の情報、実はこれはEVのスポットの情報の分析を行っているのですけれども、そのスポットに対して住所情報のデータ変換の補正を行わないと、地図情報、XMLデータとのひもづけがまずできないアンド、その地図情報とひもづけた後、道路交通量や人口密度、気象情報といった貴重なデータとのひもづけも当然できないということになり、価値ある分析ができないという課題がありまして、そのため、汎用的に今からお伝えするようなことをやって、他社さんも数十社、調査したら数百とか数千あると思うのですけれども、みんな同じ課題を持っていて、同一的に変換・補正ができるような仕組みの原型を出してみんなでシェアリングしていきたいねみたいな話をコミュニティーでしていたりします。

具体で言うと、今まで出た話をなぞる形になってしまうのですけれども、結構こういう形で元のデータが入っているようなケースがよくあります。字ありで、かつ、漢数字が入ったり、全角ベースだったり。まず課題1としては、データ変換をしなくてはいけない。これは何を言っているかというと、このExcelデータとひもづけるキーが双方にないというのが、片方にしかないか、どちらにもないか、どちらかです。ひもづけるときに町字のIDがあればひもづくのですけれども、ないと何かしら、例えば緯度・経度経由でとか何かしなくてはいけなくてひもづかないというのが本質です。

そこに至るまで何をしているかというと、まず英数字の変換、半角統一、字の除去、外字の変換というのを、ここからここに行くというのをまずやります。その後、何をするかというと、データの補正、郵便番号、緯度・経度、市区町村コード等、町字IDの逆引き付与というのを実は行っています。これをやって、なおかつ、XML側にも必要最低限の市区町村コードか、できれば町字IDをひもづけるということをやっています。それで市区町村コードベースか町字IDベースかでひもづけて、こちらのテキストのローデータにメッシュコード、いわゆるこのエリアはここですよというのをひもづけて、ようやく必要なデータをここにひもづけて分析できるみたいなことをやっています。

お伝えしたいのは、G空間情報のデータは町字IDがないので、現実で言うとG空間情報のデータはまず字なしバージョンの住所です。なおかつ、町字IDもないです。なので、町字IDをくっつけています。左側で言うと、対象データにもよるのですが、よくやるのは字がついているケースが多いので字なしにして半角に統一して、なおかつ、町字IDが大体ないのでつけています。それでひもづけて、ようやくキーが一致して分析できる。100パーセントはできないのですけれども、全然ひもづかない状態から80から90ぐらいまでマッチングはできるので、ない状態よりもずっと一括で分析できるみたいな課題感でした。

今回、登記の情報が話に上がっていると思うのですが、登記の情報も字ありバージョンで全角です、なおかつ、町字IDは当然ない、字ベースなのはたしか不動産登記法上の理由でそうなっているみたいなものが過去、別の案件で調べたときに出てきていたので、結局町字IDがないのでひもづかないよねというのが課題感のコアにあるものかなと思っていますので、つく日が来たらいいなというのと、なくても民間で何とかくっつけたりというのはやろうとしていたりしますという、ほぼ共有なのですが、課題感をお伝えするためにお話しさせていただきました。ちょっと違うよというのがあれば、詳しい方がいらっしゃるので補足いただけますと幸いです。

お時間ありがとうございました。

安念座長: ありがとうございました。

今、共有していただいたデータの扱いについてはまた別途ご相談というか、検討させていただきたいと思います。

板谷越構成員: 全然機密性ゼロなので、何の問題もないです。

安念座長: ありがとうございます。

それでは、手が挙がっていらっしゃる扇さん、隂山さん、稲谷さんの順番でご発言をお願いいたします。

扇構成員: 扇でございます。ありがとうございました。

全体を通してなのですけれども、私はどうも個々のプロジェクトもさることながら、横断的な役割を担っていらっしゃるデジ庁さんの役割といいますか、改善計画の7ページ辺りにあるデジ庁さんの役割について、この計画書を無事遂行できればそれにこしたことはないのですけれども、遂行するに当たって特にデジ庁さんが掲げていらっしゃるシステム的・業務的な課題の辺りを今後の整備計画を具体化・ブレークダウンしていく中でより意識してつくっていかれる必要があるのではないかと思っています。特にサービスとして提供しますよということですので、デジ庁さんといえどもサービスを提供するという立ち位置で今後プロジェクトを回していくというのは経験として十分に本当にお持ちなのかなと思っていまして、大変失礼な物の言いようで恐縮なのですけれども、それが市区町村の窓口に広く渡るとなると、しかるべき体制を敷いていかないといけないのかなと思っている次第であります。

加えて、平時は普通にやっていても何とか回るのだと思うのですけれども、トラブルが起きたときにどのように差配していくかということで、これは前回も申し上げましたが、一番後ろのページにあります効果のところを見てみても、結局のところこれはいわゆるみなしといいますか、時間ベースで計算されている効果ですので、トラブルのところでどーんと積み上がってくると体感的にあっという間にすっ飛んでいってしまう系のものなのかなと思っていますので、この辺りはこれから計画を詳細化していく中で一段踏み込んで検討される必要があるのではないかなと思っているということであります。

私は以上です。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、隂山さん、どうぞお願いします。

隂山構成員: ありがとございます。隂山でございます。

資料2につきまして、何点か発言をさせていただきます。

第2の2段落目に「行政機関等が正当な権限に基づいて収集し」というご記載があります。今般のベース・レジストリ構想におきましては、正当な権限に基づいてデータにアクセスすることが可能であることを明確にしておくことが非常に重要であると考えられるところ、適切な書きぶりであると理解をしております。

これに加えまして、利用目的における正当性についても関心事としては高いのではないかと考えています。今回の整備改善計画案の各所でベース・レジストリの利用主体や利用目的などが書かれておりますけれども、念のため、大上段として正当な権限に基づいて収集することに加えまして、収集したデータは正当な理由に基づいて使用することを書き込んでおいたほうが、利用される側からすると安心感がより増すのではないかと感じました。

次に、資料2の2ページ(2)①アなどで添付書面の省略の項目がございます。この点につきましては、稼働後の実務のイメージの共有を少しさせていただきたく存じます。細かい点になりますが、申請等があった時点と行政機関等がベース・レジストリにアクセスした時点で代表者等の情報が異なっていた場合、申請等に係る申請情報とベース・レジストリに記録されている情報にそごが生じるということも考えられます。3ページや14ページなどでプレプリントに関する記載があり、これによって申請者の入力負担軽減や行政職員の突合作業の削減を図るということになっておりますが、先ほどの例のように申請時とベース・レジストリアクセス時点で情報が異なっていたような場合などで実務上の混乱が生じる可能性があるのではないかと感じました。細かい点ですので整備改善計画案に書き込むような内容ではないと考えておりますけれども、今後の検討課題という意味合いも込めて発言をさせていただきました。

また、資料2の8ページ、ウで「データベースを利用する行政機関は申請段階において法人番号を確実に紐づけるよう努める」と記載されています。ベース・レジストリの基礎となる商業法人登記記録には会社法人等番号が記録されており、法人番号は国税庁によって付されるものではありますけれども、念のための確認といたしまして、ベース・レジストリに記録されるのは20ページにある表のとおり法人番号であって、会社法人等番号ではないという読み方でよいかという点につきまして、こちらは確認となります。

以上でございます。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、稲谷さん、お願いいたします。

稲谷構成員: ありがとうございます。

私は、今回の整備改善計画案に反映してくださいという話ではないということを前提にお話をさせていただきます。今回の整備改善計画案の詳細についてはもう既に皆様がいろいろ指摘されているので、私は少し視点を変えたコメントとさせていただくという趣旨です。今回、いろいろお話を伺っている中で何回も問題になっているのが、特にアドレス・ベース・レジストリ、不動産ベース・レジストリと地図情報ないし地理情報空間データをどうひもづけていくのがいいのかという問題かなと思います。その中で私企業の活動というものと、ベース・レジストリ整備との関係性をどう考えるのかという議論も出てきているように私は理解しています。

他方、デジ行財のデータ利活用制度システム検討会では、こちらは落合先生も出席されているのですけれども、デジタル公共財をどうつくっていくかという観点からの議論が結構なされております。ベース・レジストリというのは、基本的なデータについて全ての人が使えるようにすることによって利便性を上げていく、さらに言えば個人個人の幸福追求権実現の足がかりをつくっていくという観点からは、まさにデジタル公共財と同様の性質を持っているわけですが、公共財をつくっていくという議論の中では、公共目的での指摘主体が保有するデータの収用という考え方も何回か言及はされているのですね。つまり、憲法29条3項でそもそも私有財産は公共の目的のために用いることができると規定されているため、補償と引き換えに収用できるのではないかという話があるわけです。

今回のベース・レジストリにおきましても、需要やニーズなど、何がどこまで必要なのかということを調べた上でということになると思いますけれども、ベース・レジストリを構成していく上で、例えば、ある地理空間情報データを私的主体が持っているのだけれども、これがひもづけられるかひもづけられないかで利便性が全然変わってくるといったものがあれば、データ収用のような議論も将来的に視点の先に置きながら、整備していくということを考えてみてもいいのではないのかなと思います。

このデータ収用みたいな仕組みというのは恐らくこの分野だけではなく他の場面でも必要になってくると思うので、どこかできっと制度に関する整備をしなくてはいけないと思うのですけれども、今回のこの論点というのはその話をする上で、良い例なのかなという気もしています。繰り返しですが、今回の整備改善計画案そのものに入れてほしいという話ではなくて、将来的にこの種の取組を進めていく上での話として、論点の大きさ的にはさらに大きな会議体とも連携しながらということになると思いますけれども、この会議体から問題提起をしていって引き取ってもらって、その先下ろしていくみたいな、いろいろなやり方はあると思いますけれども、少しこの論点というものは考えたほうがいいのかなといろいろ議論を伺いながら思いましたので、少しコメントさせていただいたという次第です。

ありがとうございます。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、南さんにお願いしましょうか。

南構成員: 南です。

私からは、先ほど土地家屋調査士連合会様から表示していただいた図面については市町村でも、どれぐらいの範囲でやっているか分かりませんけれども、おおむねああいうものは理解できると思うので問題はないと思うのですけれども、ただ、14ページからのアドレス・ベース・レジストリの部分に関してなのですが、この中でID等を統一していくよという書きぶりがあるのですけれども、そうした中で16ページの「その他整備を行うデータベース」のところに「郵便番号簿」というのがあるのですけれども、ちょうど今日はニュースで日本郵便株式会社からデジタルアドレスというのが出て、これは何だというところでこういったものもそれぞれ出てきていますので、今後、そういう統一したIDというところを踏まえて検討していかなければならないなというところをふと思いましたので、ご意見として述べさせていただきました。

以上です。

安念座長: ありがとうございました。

落合さん、お願いいたします。

落合構成員: どうもありがとうございます。

そうしましたら、まず先に基本計画のほうからコメントさせていただきたいと思います。一つ、先ほど隂山先生のご指摘の中で代表者というお話などがあったと思いますが、ある種共通する課題としてもう少し抽象化して考えていったときにどういうことなのかを考えてみましたが、情報が整合しないというか、代表者も例えば結婚すれば苗字が変わることもあるでしょうし、住所が変わることもあるでしょう。さすがに生年月日はあまり関係ないかもしれませんが、幾つか変わってしまうような変数になるような情報は不動産もそうだと思いますし、会社のほうもあるということで、そうするとこれはベース・レジストリとして、例えば複数のデータベース間で情報が整合せずひもづけできないという瞬間に立ち会うということがすごく増えてくるのではないかと思いました。そうすると、それは使いやすくするためにはどうするか、また、場合によってはプッシュ型の行政につなげていくこともあると思います。直ちにそこまで行くのは大変だということは理解していますが、最終的なデジ庁の目的はそちらのほうにあると思っています。必ずしも全てのデータベースが同時に最新性を確保しているわけではないことを踏まえて、参照をする順序としてこういう場合だったらこちらのベース・レジストリから押していくとか、データベース間の連携に当たってのルール決めがあることは重要かと思います。別途本日ご議論にあったような誰がどうアクセスできるかといった意味でのデータガバナンスもあると思うのですが、単純にデータベース間のリファレンスに関する部分のルールを決めておくこともガバナンスとしては重要ではないかと思いますので、こういった点も少し意識した記載があってもいいかと思いました。

第2点目といたしましては、これはデジタル庁の役割としてという部分ですが、ベース・レジストリをつくって提供していくところもあって、また、利用者側もできるだけ使うように努めてくださいという方向であると思うのですが、デジ庁でやられている取組の中で例えば電子カルテの標準システムや、いろいろな方に使っていただくような手元のシステムをつくっていかれるようなこともあると思います。この先直ちにこの部分でつくっていくことが出てくるのかどうかは必ずしも見えないところもありますが、そういう機会があったらもちろん積極的にいろいろな方が使いやすくなるように、共通機能などはベース・レジストリにつながるような仕組みであったり、いろいろなアプリケーションで使っていただけるような仕組みも可能な範囲で面倒を見ていっていただければと思いました。これはいろいろな予算などの問題もあるのでどこまで書けるかという論点は承知していますが、ある種の目指すところではないかと思いました。

第3点としましては、デジタル公共財について稲谷先生からご発言があった点です。必ずしも全部憲法29条3項だけではなくて、要するにいわゆる相対取引なども含めてデータを官民でやり取りをしていきましょうという話があります。必ずしも強制的なものだけに限らずであり、万が一強制的なように聞こえていると良くないと思いましたので若干の補足ではあります。その調整をしていくことについて、官民でやり取りができるような仕組みは今後、より整備していけるだろうというくらいでご整理いただければと思いました。また、そのときに国としての役割をどう発揮していくのか、要するに国がデジタルのインフラをつくっていくという側面はあると思いますので、もちろん特に今までの時点ですといわゆるデジタルインフラやベース・レジストリという考え方自体がそこまで見えていなかったところもあって、民業圧迫とは言いませんけれども、場合によってそこはコンフリクトが生じる場合もあるというところだとは思うのですが、公としてやらないといけないところはやっていかないといけないのであり、それに対する民業圧迫に関するある種の生産の仕方はまた別の次元の論点として生じることがあると思います。まずは役割論を考えつつ、民業に対して悪影響がある場合にはそれに対してどうある種の救済を図っていくかという形で、順次検討していっていただければと思いました。

司法書士連合会様からご説明をいただきまして、登記データの点について改めてよく見やすい形でご整理いただいたように思っております。一点ございますのが、少し途中でご議論もあったところだと思うのですが、いろいろな図面との整合性をどこまで図っていけるかはやはりあるように思っております。ご説明いただいた中で、例えば航空写真と重ね合わせをして耕作放棄地という話もございましたし、幾つか併せて使われるような場面を租税なども含めてということだと思いますがご紹介いただいたと思っております。一方で、所有権界による地図の特定と、いわゆる住居表示体系であったり、現実の道路であったりといったものは必ずしも重ね合うようにできていないことも多いように思っております。その意味でこのベース・レジストリというのはどこまでの方々を意識して準備していけるといいのかを考えるために、この所有権界に関するこういった地図というのが職務上、司法書士会の先生方でいいますと、どの辺りの図面ですとひもづけていくことがよく見られるかを教えていただければと思いました。住居表示とそのまま合わせるのは私は直ちには難しいのではないかと思っているので、ただ、どこまでの範囲をこのデータで利用していくのを念頭に置くべきなのだろうかを理解するために重要と思いましたので、ご質問させていただきたいと思いました。

以上でございます。

安念座長: では、忘れないうちに、今のご指摘がありましたので、隂山さんから何かコメントがありましたらお願いいたします。

隂山構成員: 恐らく今の地図データなどにつきましては、日本土地家屋調査士会連合会の高倉構成員が発表された点になるかと存じますので、もしよろしければ高倉構成員からお願いできますでしょうか。

安念座長: 高倉さん、お鉢を回して申し訳ないけれども、何かコメントはありますか。

落合構成員: すみません、あと一点だけ、今気づいたのですが、隂山先生など司法書士の先生もたくさん見られていると思いますので、何かの範囲で教えていただけるところがあれば、隂山先生にも教えていただいたほうがいいかと思いました。

安念座長: では、高倉さん、隂山さんの順でご発言がありましたら、お願いいたします。

高倉構成員: すみません、聞き逃していまして、もう一度質問をよろしいでしょうか。

安念座長: 落合さん、もう一回お願いします。

落合構成員: 分かりました。今回、不動産放棄の所有権の書面について、農地の耕作放棄地だったり税務なども含めて、この登記の構図や所有権界の区分をベースにして図面を整備したりすることが有用な場面も幾つもあるということをお示しいただいたと思うのですが、一方で住居表示や現場の本当の実地で管理しているようなインフラの図面などは必ずしも一致しないことも多いと思います。所有権界のほうと合わせにいくとよさそうだということで、所有権界に関する書面を出してほしいと言われるような場面というのはご説明いただいたほかにどういったものが多いのかをお伺いしたいと思いました。そこがある種ベース・レジストリで念頭に置かないといけない射程の範囲なのだろうと思いましたので、先生方が一番よく見られることが多そうだと思いましたので、ご質問させていただきました。

安念座長: どんなものでしょう。

高倉構成員: すみません、意図がちょっと。

落合構成員: 要するに、不動産登記簿の図面と重ね合わせることが有益だとよく実務上言われるような書面というのは、どういう書面がありますでしょうか、という言い方のほうがいいかもしれません。

高倉構成員: 土地家屋調査士で言うと、結局先ほどプレゼンの中で触れたような話になってしまうとは思うのですけれども、所有者の探索であるとか、行政書士のほうでは、農地転用では例えば登記地目と現況の利用状況の差を把握するために必要になってくるといった部分ではないかなと思います。

落合構成員: 分かりました。

安念座長: 隂山さん、どうですか。この点について何かお気づきのところがあったら教えてください。

隂山構成員: 必要とされる場面として、適当ではないかもしれませんが、実務上、最も厳密に聞かれたのは相続人不存在のケースにおける国庫への帰属という局面でした。この際は、かなりシビアに理財局から提出を求められたという経験がございまして、本当に数センチ・数ミリ単位であったとしても、国が管理していくことになる以上は厳格にという点などがあったものですから、そういった点とのつなぎ合わせを考えていった際により正確なデータ、そして地番であったり住居表示であったりという点の紛れが少なくなってくることができ、かつ、そのデータなどをしっかりと把握することができるといったことになると有用性としては増すのではないかと感じております。

落合先生からのご質問に対するダイレクトな回答ではないかもしれず、恐縮です。

落合構成員: いえ、先生方からお話しいただいてよく分かりました。やはりどうしても所有権にひもづいているというか、所有者の把握というのにひもづいている場合がこのベース・レジストリの主な対象で、固定資産税も所有者からお金を取ろうという話ですので、だから固定資産税のほうも利用できるのだろうと理解しました。農地も結局その保有者が居住していたりしてどういう属性の人かということにつながってくるので、それで意味がある範囲が見えてくるということがおおむねよく分かりました。ありがとうございます。

安念座長: ありがとうございました。

大変お待たせいたしました。小木曽さん、お願いいたします。

小木曽構成員: 外出しているもので、顔を出していなくてごめんなさい。

1つ念のために申し上げておくと、行政機関の定義が分からないのでどこまで入るのかというところでの確認です。最近、司法や裁判のIT化の法律も続々できているので、当然広い意味の行政機関という意味で司法機関などは入っていますねということのご確認が一点と、入っていないのであれば入れたほうがいいですよというお話が念のため一点。

あともう一点が、落合先生が言っていることとかぶる部分がなきにしもあらずなのですけれども、不動産関係の情報ということでは所有者をどのように把握するかというところが社会課題として課題になっているので議論をしています。今回のベース・レジストリというのが一つのその大きな基盤の端緒になると思っているのですが、政策体系全体として不動産関係の情報全体がどこまでどうデータ整備がされ、デジタル庁とほかの省庁の役割分担や政策連携というのがどうなっているのかというのが若干分かりにくいなといつも思っています。端的に分かりやすく言いますと、不動産のところで言うと、例えば国交省さんが不動産IDの検討をされていたり、不動産情報ライブラリみたいな動きをやっています。もちろん別にこちらでやっている登記の話と二項対立したりする話では全然ないのですけれども、それぞれこちらをベースとしてそちらを結んでいくのだと思うのですけれども、そこら辺の政策スケジュールの全体が見えないなというのがあります。さっき言った昔の成長戦略だと固定資産税台帳の話などとの連携の話も入っていましたし、あと、さっき農業の話がありましたけれども、農業の台帳というのも作っていたりして、そういうものが全体としてどのように今回つくる登記情報のところと連動してくるのかなということ、全体像がもうちょっと見えるといいなと思います。ここの今いただいているものの記述が駄目だという意味ではないのですけれども、そこら辺をもっと訴えるとベース・レジストリの必要性というのがより浮かび上がってきて、国民やメディアからしても分かりやすくなるのではないかなという気がしているというのが発言です。

2点でございました。以上です。

安念座長: これを小木曽さんに申し上げるのは釈迦に説法なのだけれども、今、議論している整備改善計画案の中でいう「行政機関等」というのはデジタル行政推進法3条で列挙されているいろいろな機関から取捨選択というか、これとこれとを取りますという形で記載されているわけです。それではなお不明瞭な点があるという意味でのご指摘ですか。

小木曽構成員: そこだと司法機関などは漏れてしまいますか。

安念座長: それは漏れる。それはまた別途の議論になりますね。それはさっき法務省からご指摘のあったところです。

小木曽構成員: 分かりました。すみません、そこを聞き落としていました。

安念座長: 分かりました。ありがとうございます。それも大切な問題です。

それでは、増島さん、どうもお待たせしました。

増島構成員: ありがとうございました。

ちょっと小木曽さんの話に似ているかなと思っていたのですが、今出来上がっているところは拝見していて、これまでの議論を良く整理していただいていると思っているのですけれども、他方これは他省庁のいろいろなものの登録を待って追記するとされていて、ここまでのものはすごく統一されて全体が見えているのですけれども、ここに一体何が入ってくるのかなというのがよく分からないなと思いました。さきほど小木曽さんがおっしゃったようなものが入ってくるのか、それともそういうことではなくてということなのかによってこの計画全体の見え方がどういうものになるのかというのが、本当にこれで統一された文書になるのかというのが少し分からなかったところがありました。こういうものが書かれる予定というのはデジタル庁さんが持っていらっしゃるように思いますので、少し何かヒントをいただければと思いました。

以上です。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、一通り発言をいただきましたでしょうか。杦浦さん、どうでしょう。もしレスポンスがありましたら、お願いします。

杦浦参事官: ありがとうございます。

結構多岐にわたったので、全部お答えすると時間があれですので簡単にお答えできるものから幾つかと、我々の受け止めを簡単にご説明いたします。最初のほうの高倉様、板谷越様のご議論から、地図情報やこれからいく登記は、広く言えば住居表示と地番みたいなところをどうやってひもづけていくのかが大きな課題ということで認識いたしましたし、また、そもそものデータのクレンジングやデータそのものの整備がまだできていないところも多々あり、ここをどうするかというのがここの検討課題なのだろうと改めて認識をしております。

あわせて、その中でどこまでやるのかみたいな話をやっていくと、これはシステム整備のみならずデータを所管している制度そのものの在り方、目的、どういった目的でそもそもそのデータを収集しているのかといったところにも関わってくるので、基本的には我々はあるデータをお配りするとか、活用するというところに主眼がありますけれども、そもそものデータの在り方をどうするのかというのは制度に立ち返って検討する。それ自体は制度所管の省庁にご検討いただくことになりますけれども、そういったところにもフィードバックをかけながら、このベース・レジストリの議論というのは進めていくのだろうと感じました。

あと、運用面に関しましては、後ろのほうにも書いてございますが、IPAさんのご協力を得て少なくとも今やろうとしていることは確実にやっていくというところがございますし、あと、利用目的に絡めましてはデータの整備、あるいは利用そのものはいろいろ利用目的をちゃんと書いているけれども、それにアクセスする方につきましては利用範囲にも話が関わりまして、民間利用に関しては少し関係してくるのかなと思いますので、こちらはユースケースごとにもう少し詳しく見ないといけないかなと思いました。隂山様からご提示いただきましたこれについてはユースケースも見ながら考えたいと思います。

そのほか、DPI(Digital Public Infrastructure)の話もありました。これはちょっと大きな話ですのでまた別途ご議論できるかなと思いますし、あと、不動産IDや郵便の関係のIDの話がタイムリーに出ておりました。こういったものはIDをつけるというニーズは当分あるものの、そもそもIDというのは結構つけるのが難しいですよという話と、こと住所に関しましては、郵便局でもお持ちになっている内部の住居表示のデータ自体には揺らぎがあったりするようですので、そこはこちらのアドレス・ベース・レジストリでマスターデータとしてそろえていってそちらをご活用いただくようなイメージでおります。

また、不動産IDを所管している国交省とも都度連携は取っておりますので、そごのない形、あるいは我々のベース・レジストリを利用していただけるところは利用していただくという形でやっておりますけれども、その発展可能性も含めたデジタル庁、あるいはその周辺も含めたような絵姿がどうなっているのかという小木曽さんのご指摘もあったと思います。その辺はまた我々で整理ができたら、また議論の材料としてお示しするのもいいかなと思っております。

あとは、法人番号と登記のほうに書いてある番号自体、関連はしておりますけれども、今回、我々が検索のキー等に使うのは国税庁の法人番号のほうになりますが、データとしては登記のほうの情報として会社法人番号というか、正式な名前を言うと会社法人等番号ですかね、そちらもデータとしてはあるものと認識をしてございます。その辺の具体的な内容は確認をした上でお答えしたいと思います。

また、増島先生からありました、今後の各省からのお話でどういったものを整備していくかというのは、今、お話を各省庁から聞き取っているところで、今回はベース・レジストリの改善計画には入れないことになろうかなと思っています。増島先生にお送りしたバージョンにはまだ入っていたかもしれませんが、最終的にはそこはまとまっていなければ書かないということで考えてございます。

一旦以上とさせていただきます。

安念座長: どうもありがとうございました。

いろいろなご意見を伺いましたが、とりわけ高倉さんからのご発言とその後何人かの方からのご議論があって、住居表示と地番のひもづけに関してはなかなか大きな問題であるということだったと思います。それからまた、法人ベース・レジストリの利用者の範囲についても田中商事課長からご意見があり、さらに小木曽さんからもご指摘がありました。これらについては現状の公的基礎情報データベース整備改善計画案では少なくとも明示的な記載はないようですので、事務局にてご検討をお願いしたいと思います。

そのほか、いろいろなご発言をいただきましたが、計画の中に取り込めるものは取り込む、それからまた、今ありましたように直ちには実現できないので、今後の検討課題にするものはそうするものとして整理をしていっていただきたいと思います。

これまで3回にわたり計画案についてご議論いただきまして、なお事務局に検討していただかなければいけない点は残るのですけれども、その余の点については皆様からのご意見を一応は反映できたかと思います。本計画は閣議決定文書になりますので、今後も様々な関係者の審査等を受けることになります。そこで、皆様のご異議がなければですが、以降の内容修正については座長にご一任いただき、相談が必要な場合には事務局から個別に相談をさせていただくという進め方をさせていただければと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。

(同意の意思表示あり)

安念座長: どうもありがとうございます。

それでは、そういうやり方で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、第1次公的基礎情報データベース整備改善計画(案)に関する本会合としての検討は以上とさせていただきたく存じます。

次の入室者の方はもういらしていますか。

杦浦参事官: 大丈夫です。

安念座長: 大分時間が過ぎて申し訳ございません。続いて、議題2「法人ベース・レジストリの民間利用について」に移ります。議論を進めるに当たり課題や問題意識を共有するため、本日はお二人の方にご発表いただきます。続けてご発表いただきまして、その後に意見交換をさせていただきたいと存じます。

それでは、まずは事務局よりこれまでの検討等についてご説明をお願いいたします。

杦浦参事官: 今、資料を投影しております。簡単にお話をさせていただきますけれども、特に民間に関する利用の範囲、あるいは利用の仕方というのに関してこれまでご議論いただきました。この表にあります一番上のところで大きく2つあるのではないかというお話もございました。その一つは、法令等にこういったことを確認せよと求められているので、それに基づいて例えば登記事項の証明書を出してください、あるいは確認をするといった行為を行っている例、あるいは民間同士の取引の中で当然に法人の基礎的な情報や実在性等を確認するために登記の情報を入手しているといったものはベース・レジストリとして活用ないし利用していく大きな柱になり得るのではないかといったご議論があったかと思います。その中で経費の問題をどう考えていくのかというのは大きな課題として、特にデータはただではないですよといったところをちゃんと皆さんで考えていきましょうというところがあったかと思います。

また、利用範囲が増えてくるとセキュリティー、ガバナンスといったところ、個人情報保護の観点も見ながら、例えば一回開放したり利用可能としたデータをどこまで使っていいのかといったご議論もあるかと思いますので、どういった範囲で使えるのかというのは利用者と利用できる範囲みたいなところも併せてご議論いただく必要があるのかなと認識をしている次第でございます。

あと、詳しいところはプレゼン等でニーズ等のご提示があるかと思いますので、そちらにお譲りしたいと思います。よろしくお願いいたします。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、続いてフリー株式会社常務執行役員CPO社会インフラ企画部長、木村康宏様からご説明をお願いいたします。木村常務、恐縮ですがカメラとマイクをオンにしてご説明をお願いできれば幸いです。

木村部長: 木村でございます。

お映しいただいているとおり、ベース・レジストリに商業登記の情報のAPIの公開が進んでいくとしたらこのようなユースケースが考えられるのではということをご説明したいと思います。

1枚おめくりいただきまして、最初に簡単に弊社の事業の紹介ということで2ページを映していただいて、こちらは会計ソフトをはじめいろいろな業務用のソフトを中小企業向けにやっておりますということでございます。会計ソフトや人事労務などのソフトもあれば、法人用のクレジットカードみたいなものを出していたりもいたしますというところです。

3ページに行っていただいて、現状、登記簿の情報を民間で何かしら使うというときは、これまでも話がいろいろなところであったと思いますけれども、オンライン請求をしますと。それが郵便で来るとか、対面で頂くような形になったり、あとは「登記ねっと」を通じてオンライン照会してPDFを頂くような形になっているところを、ベース・レジストリのAPIが開放されればそれを経由していろいろな業務のところに生かしていくことができますということを申し上げています。

4ページからは、まずは先ほど事務局の方からのご説明もあって、小木曽さんからもご指摘があったところですが、要は法定の業務で使うものというのと、法定の業務ではないのだけれども民間でやっている民民の業務の中でそれぞれあるねというお話だったと思うのですけれども、ここからの一つは一番典型的な法定業務ということで、犯収法に基づいて金融機関が加盟店などの審査をするときに登記情報を見ているというケースです。PDFで取ってきて自社のデータベースと照らし合わせるということをしている。加盟店になりたいよという申込みフォームが来ましたら、その情報を見て例えば日経テレコンみたいなものを検索して反社チェックをしたり、登記簿を取ってきて自社の中に蓄積してきたデータベースと照らしてこれは合っている・合っていないとか、本当にこういう実態があるのかという確認をしていく。とはいえ、一件数分でやっていたとしても、これがほぼほぼ正確なデータをAPIで取れてぱっと一定自動化できるのであれば、件数が多ければそれなりに業務は楽になるでしょうということです。

続いて、ページをめくっていただきまして次のケースは法定業務で、これは先ほど特定の事業者が大変な業務をしているということではなくて、下請法の定期調査というものがありますけれども、定期調査の対応をするときに資本金などの登記事項について確認をすることがあります。これも全部が全部細々やっているかというといろいろな実態があるとは思いますけれども、ちゃんとやろうとするとこういうことをするわけです。それをこつこつ今のオンライン照会みたいなことをしながらやっていてはかなり効率が悪いので、これを楽にできるというのが、API開放があればそれを使ったツールみたいなものをつくってこういうものを楽にすることもできるでしょうということです。今の定期調査の項目でこういう商業登記事項でカバーできるものといえば事業者名、資本金、所在地みたいなところを取れるといいとか、所在地が取れれば郵便番号は類推できますねというイメージでございます。

ここまで挙げさせていただいたのが法定のもので、その次のページが、法定ではないけれども民間である種勝手にやっている業務なのですけれども、もし自動化できたら便利そうだなというところの例をイメージしてもらうために書いたものでございます。例えば会計ソフトや人事労務のソフトなどを最初に導入されるお客様は自分で初期設定をするわけです。そこは商号や所在地、代表者というものを初期設定で記録するわけですけれども、もしこれがAPIで補完できるということなら、何かしら法人番号のようなものをキーにしてこういうものを取ってくるということ、あるいはこれに変更があったときにこういう更新情報をフックで送ってくるようなAPIになっていれば、自動検知して変更を自動でするみたいなこともできなくはないだろうということとか、契約管理や販売管理みたいな、あるいは会計ソフトでも取引先の一覧のマスター情報というのを記録して管理するわけですけれども、それもこういった登記情報を基に正確性をクレンジングするといったこともあり得るといえばあり得るだろうなと。

ここら辺はまさに先ほどの費用負担の話も含めてどれぐらい気軽にできるか、どこまでの手間の業務を楽にしたいかというところで決まってくるものだとは思うので、先ほどの法定業務のところよりは皆さんがすぐ何かしらこれを効率化したいというのが今顕在化しているというわけではないのですけれども、便利にできるにこしたことはないという類の業務かなと思います。なので、先ほどのようないわゆる法令でやらざるを得ない業務でできるだけ軽くしたいというところは、人数は少ないけれどもすごく楽になるという人たちは確実にいるものですし、こういったみんな実態はやっているのだけれども必ずしも義務でやっているわけではないのでという、数は多いけれどもやや濃度の低いものというバリエーションがあるのかなというのでイメージのためにユースケースを共有させていただきました。

私からの説明は一旦以上です。

安念座長: どうもありがとうございました。

それでは、続いてシンプルフォーム株式会社事業企画本部公共事業統括責任者、岸井涼様からご説明をお願いしたいと存じます。岸井統括、恐縮ですがカメラとマイクをオンにしてご説明をお願いできますでしょうか。

岸井統括責任者: よろしくお願いいたします。

それでは、シンプルフォーム株式会社の岸井より簡単にご説明させていただければと思います。本日はよろしくお願いいたします。

では、次のページをお願いいたします。当社は2020年に創業しまして、今年の10月で5年を迎えるスタートアップ企業でございます。後述させていただきます審査に特化した事業展開を行っている会社でございまして、まさに登記情報をはじめとする行政データといったところを数多く利活用させていただいております。本日は少し当社の事業内容みたいなところも、簡単ではございますが、少し矢継ぎ早になってしまうところもあるかなと思うのですけれども、ご説明させていただいた後、法人ベース・レジストリへの期待についてお話しさせていただければと考えております。

次のページをお願いいたします。現状、法人間の取引のデジタル化であったり非対面というところが加速している一方で、取引の裏側である審査、金融機関さんであったり、行政、補助金審査等における審査については非対面に追いついておらず、現状、結構アンバランスであると感じておりまして、実際これまで対面時代であれば簡単に確認できていた、そもそも活動しているかだったり、どんな事業を営んでいるか、どんなオフィスにいるのかといった情報の入手といったところが格段に難しくなっているのが現状かなと感じております。

次のページをお願いいたします。取引の安全性を脅かすような詐欺といったところに関しても急増していると理解しておりまして、特にこれまで反社チェックといったことを行っていれば一定防げていたようなものが、トクリュウなどの登場といったところもあって反社とは異なる存在の関与というところも指摘されているかなと思っておりまして、相手を正確に把握することの重要性が一段と増していると感じてきております。

次のページをお願いいたします。非対面によって犯罪が増えても、取引相手を確認する方法が従来のままのため、現状は審査現場というところに負担が増すばかりなのかなと感じておりまして、行政においても申請のデジタル化というところは一定進んでいるものの、行政内部の審査業務のデジタル化というところはなかなか進んでいないのではないかなと感じております。結果、中小・新興法人といったところは情報がない、データがない・少ないというところで取引にたどり着かない。例えば銀行口座の開設が難しいであったり、補助金での支給というところに至らなかったみたいな機会の不平というところもあり得るのかなと感じております。

次のページをお願いいたします。そもそも法人確認にどれだけの時間と労力を要するのかといったところで、今、逆に情報が過多になっているという形で情報源があちこちに多様な形で散逸していると理解しておりまして、これらの情報を整理し続けたり、更新・分析・収集し続けるということが難しいかなと思っておりまして、それらの情報基盤が必要と考え、我々としては実体と実態という漢字を分けさせていただいておりますけれども、その会社が本当にあるのかという観点と業務実態がいかようなのかといったところの定性情報に特化して情報を収集させていただいております。

次のページをお願いいたします。この構成したデータベースを基に各審査業務に最適化したプロダクトといったところを開発させていただいておりまして、このデータに基づいて審査を行政機関であったり金融機関様に様々ご支援させていただいているような会社でございます。

それを支えるのが次のページでございまして、まさに当社としてはスタートアップではあるのですけれども、価値観として「面倒を愛する」と掲げておりまして、AI時代だからこそウェブだけでは得られないリアルな1次データであったり、行政機関から収集したデータということで開示請求であったりオープンデータ等を活用させていただいて、それらを収集し、法人番号をひもづけて一つのプラットフォームからアクセスできるようにさせていただいておりまして、それらによって審査というところを変革している会社でございます。

次のページをお願いいたします。一貫して調査・分析から審査BPOといったところまで一貫して法人審査を支援させていただいているような会社でございます。

少し長くなってしまったのですけれども、弊社のご紹介は以上とさせていただきまして、次から3ページにわたって期待をご説明させていただきます。

1つ目が、登記データのAPI対応というところでございまして、先ほどのフリー様からのご説明もあったとおり、PDFでの閲覧となっている会社・法人等の登記情報データ、いわゆる商業登記のデータに関して、行政機関へのデータ提供というところが今般デジタル庁にて開発中と理解しておりまして、これによって法人登記データがいわゆる構造化データで整理されていったり、これまで少し問題が顕在化しておりまして第1回、第2回でもご検討されていたと承知しておりますが、文字規格についても統一といったところが検討されると解しておりまして、当然対価の支払いを前提としつつ、これらのデータの提供についても民間開放というところについても期待させていただいているところでございます。特に3点目に挙げさせていただいたデータの意味づけとしてデータディクショナリやスキーマの定義が整備されることによって登記情報の解釈が統一されることを期待しております。

次のページをお願いいたします。今般、法改正に伴って「特定法人事項変更届出に関する特例」が創設されたと承知しておりまして、登記変更を行えば許認可等のほかの法人情報も変更される・更新されるという仕組みが整ったと理解しております。つまり、法人が管理すべき許認可、届出、認定情報などが一覧にひもづいたり、各許認可のデータディクショナリが整理され得るのではないかと考えておりまして、例えば2点目に掲げさせていただきましたけれども、この事業をやっているのであればこの許認可は持ってなくてはいけないよねであったりといったところがひもづいていくことによって、審査をする側も使えますし、法人の事業活動においても活用できるのではないかと期待しているところでございます。

それでは、次のページをお願いいたします。最後に、弊社を含めて民間で利活用させていただいている行政データにつきまして、現状の取得方法としましてはオープンデータと情報公開制度の2択になっているのかなと理解しております。過去存在した公的データ提供要請制度のように、特定の条件を満たした事業者に対してのみ対価の支払いを前提にデータ提供を行う仕組みだったり、デジタルデータであったり、データ提供が情報公開制度よりもスピーディーにできる仕組みがあると、より利活用が推進されるのではないかなという期待をしているところでございまして、中長期的にはこういったこともご検討いただけると、民間での行政データの利活用といったところはより推進していくのではないかなと考えております。

少し詰まった説明で恐縮でしたけれども、以上となっております。ご清聴ありがとうございました。

安念座長: ありがとうございました。

大変若い2つの企業の幹部の方から極めて有益な情報、知見をいただきました。本当にありがとうございます。

ただいまのお二方のご意見も含めまして、本議題について構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞお願いいたします。

隂山さん、どうぞ。

隂山構成員: ありがとうございます。隂山でございます。

まず、フリー様とシンプルフォーム様の資料につきまして、発言をさせていただきます。フリー様の資料5の3ページにつきまして、一件一件オンラインで照会をかけてPDFで情報を取得というご記載があります。こちらは既にご案内のとおりかとも思いますし、趣旨が異なるというご指摘を受けるかもしれませんが、平成29年より最大50件を一括して請求することができることになっており、また、令和6年からはダウンロードに関しても50件一括で行うことができるようになっておりますので、念のため共有させていただきます。

なお、資料5の4ページにご記載があります犯罪収益移転防止法の関係につきましては、資料6の3枚目の非対面取引の増加という点とも関連すると理解しておりますけれども、こちらもご案内のとおり、2028年に予定されておりますFATF第5次対日相互審査のオンサイト審査などを見据える必要性があると考えております。そのため、異なる視点からの検討も要するのではないかという印象を持っております。

その上で、このベース・レジストリの利用範囲でございますが、ベース・レジストリ構想におきましては、正当な目的でアクセスをし、かつ、正当な範囲で利用することによって行政や民間の円滑かつ効率的な事務に資することが求められていると考えておりますところ、現在の整備改善計画案に記載されている利用者の範囲である行政機関等からスタートすることが望ましいのではないかと考えています。ご案内のとおり、商業法人登記記録には役員の氏名や住所等が記録されておりまして、いずれも個人情報となります。この点は昨今の情勢等にも鑑みまして一定の要件を満たした代表取締役の住所について非表示とすることが可能となっております。

この背景として、デジタル技術の進展に伴い法人の代表者の住所のリスト化などが容易になったことが挙げられるのではないかと考えています。そうした結果、犯罪被害や過度な営業行為等の誘発につながるリスクが高まり、非表示措置の法制化につながったものと理解をしています。

こういった被害の代表的な例といたしましては、2019年3月頃に発生したいわゆる破産者マップ事件がございます。官報に掲載された情報を集約し、氏名や住所を地図データにひもづけて公開するという事件があり、社会的にも注目を浴びました。行政機関等が利用主体であれば、正当な目的の下、正当な利用範囲でデータを活用することの担保がされていると考えられるため、まずは行政機関等を利用主体としてスタートすることが望ましいのではないかと考えています。仮に幅広い民間開放となった際に、万が一破産者マップ事件のような事案が生じてしまいますと、長きにわたって検討してこられたベース・レジストリ構想が正当性の根拠を失いかねず、制度自体が水泡に帰すということがあってはならないと感じております。そのため、当初の利用主体といたしましては字義どおり慎重に検討する必要性があるのではないかと考えております。

以上でございます。

安念座長: ありがとうございました。

今の隂山さんのご指摘について、木村さん、岸井さんから何かコメントいただくことがございましたら、どうぞ。なければないで結構ですけれども、何かありますか。

木村部長: 大丈夫です。

安念座長: よろしゅうございますか。ありがとうございます。

稲谷さん、どうぞお待たせしました。

稲谷構成員: ありがとうございます。

あまり詳しいところではないので勘違いがあればぜひ後で訂正いただければと思うのですけれども、お話を伺っていて思ったのは、基本的にある種のゲートキーパーみたいな役割をするときにこういった公的な情報が開放されていると非常にやりやすい話だということでまず理解をいたしましたというところが1点目です。ゲートキーパーみたいなことをやってくれるという話になってくると、基本的には、ある部分における公的な法執行を比較的低い費用で担ってもらうということなので、この構造から生じうるベネフィットがまず考えられるというのは明確にしたほうがいいのかなと思いました。

その上で、先ほど隂山さんからあったコメントとも関係するのですけれども、誰にどういう形でやっていくのかというのは段階別に考えたほうがいいのだろうなと思いました。例えば、私もこの検討会の場で申し上げましたけれども、形式的には私的主体になっているのだけれども、結局公的機関と同様のサービスをやっているところというのがあるわけです。その際、もともと公的機関で担っていた機能を民営化して法人化したというところに対しては、開放していったとしても、データガバナンスの観点からの問題については、ある程度しっかり期待することができるのであれば、それは最初に対象として考えていいと思われます。つまり、私的主体の中でも、特に早い段階から開放の対象として考えていいでしょうとなると思います。その上で、次の段階として、恐らく今回の資料でいくと後のほうのプレゼンであったように、ある種のプラットフォームとまで行かないけれどもまさにゲートキーパー機能を担うことに特化していて、それなりのセキュリティーなりガバナンスなりを行うことが期待できる、あるいはそれらの実施を確保させる仕組みとセットで、これらの私的主体が提供するサービスへと、開放の対象を広げていくことになるのだろうと思います。全体に開放するというのは確かにちょっと慎重になったほうがいいところもあるというのは理解できるのですけれども、ただ、破産者マップなどの問題というのは要するに個情法に関して違反があったときにも、それを取り締まるような仕組みがうまく機能していなかったというところも、これはたしか前回のフェーズの議論のときにやった話の中であったと思います。そうすると、個情報違反に対する取締りの仕組みがしっかりしていった場合に、それでも低減できないリスクなのかどうかを考えた上で、対処を考えないといけないところなのだと思います。たしかに、リスクのマネジメントの仕方として完全に排除するというのは当然あるのですけれども、マネジメントの仕方には幾つか段階があるので、全体に開放するかどうかについては、さらに様々な検討を要するとしても、最初から私的主体を全部排除しなくてはいけないというところまで行けるかというとちょっと違うのかなという気はします。

あと、費用負担に関しては、割と今回出てきた話の中でも法定事務に関してはかなり削減できるところがありそうだというのはフリーさんからご指摘があったように理解をしておりまして、そうだとすると、仮に間に挟むという方式を取ってそこで何らかの手数料的なビジネスが出てくるのだとして、さらにそれでも法定事務を自分でやるよりプラスになるのだよというところが示せるのであれば、つまり、そこで中間業者が取るフィーというのが、まさにベース・レジストリを整備することによって法務省さんがしんどくなるのですみたいな話がたびたびあったと思いますけれども、ベース・レジストリ整備費用に基づいて算出される利用料を踏まえても、中間業者及び中間業者に依頼する事業者に利益が出るように設定できるのだというところになってくるのであれば、ビジネスモデルとしては立つということになってくると思います。恐らく法定事務だけではないという話になってくるのだろうし、さらに言えば、岸井さんからあったように、そこにビジネスの機会を生みたいという企業がかなりあるのだとするならば、ベース・レジストリの利用料は喜んで払いますというところも出てくる可能性があると思います。したがって、どういう形でビジネスモデルが立つのかというところを見据えながら、利用料や手数料のところを見ていくことによって、たびたび問題になってきたベース・レジストリ整備のための費用負担の問題というのをどこまで解決できそうなのかというところを見るべきなのだろうと思います。

あと2つなのですけれども、一つはリスクマネジメントを合理化するというさっきの隂山さんの話というのは、何でもかんでも開けて何でも見られるようにすると困りますねという話とも近いところがありますので、もともとのリスクマネジメントの合理化という観点からいくと、今回のゲートキーパー機能というのは割とそれぞれの場面で知らなくてはいけない情報がそれなりに前もって明確にできそうな気もするのですね。そうだとすると、まずはそこを開けることによるリスクみたいなものがどのぐらいなのかという見方もできるはずで、そういったところも踏まえてリスクマネジメントとしてどこまでできそうなのかというところを考えていくというやり方が一つあるかなというところです。

最後なのですけれども、今日の話は、今の段階で公的機関が持っているデータと今の段階で民間企業が使えそうなデータを突合させて何ができそうかという話なわけですけれども、これは進めば進むほどもっともっと多様なサービスが出てくるのと同時にもっともっと多様なリスクの形も出てくる可能性がありますので、そのときにその進化に合わせて法制度なり技術なりを合わせながらどうリスクをコントロールしつつ、この種のエコシステムを上手に育てていくかという視点がかなり必要になってくると思うので、そういったところも踏まえながら議論していく必要があるのかなということを思いました。

あまりまとまりがなくばらばらしゃべってしまいましたけれども、私から感じたところを少しコメントさせていただきました。以上です。

安念座長: ありがとうございました。

増島さん、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

僕はもしかすると少し稲谷委員と物の見方が違うのかもしれないなと思った部分でして、初めに杦浦さんから法定のものなのか民間が勝手に使っているのかという話がありました。法定のものというのも、結局法律がプリスクリプティブに登記事項証明書を確認しなければならないと書いてあればこれは法定のものだということになるわけですけれども、犯収法や先ほどの下請の話もそうかもしれないですけれども、こういうものというのはまさにゲートキーパーや本人確認みたいなところで書いてあるというだけでありまして、登記簿を見ろとはどこにも書いていないわけです。つまり、見ないとできないから普通は見るよねという程度なのですけれども、でも実際法人の本人確認するために登記簿写しは見ないわけにはいかないということのような気がしております。そうすると、いただいたような法定なのか民間が勝手位にやっているかの区別を一つのフレームワークとして持って何か取扱いを変えるとか、料金を変えるというのは、そういう意味では少し違うのかなと感じるところが多いです。ゲートキーパー機能みたいなものは全体にとって大事だよねという話があったのですけれども、例えば犯収法みたいなものは、特定事業者に対して、お前は金融システムなりを使って儲けているのだろうという話がまずあって、システムの正の外部性を使って儲けているのであれば、その責任としてちゃんと利用者の本人確認をして、システムの負の外部性をミニマイズするよう、悪い人にサービスを悪用されないようにすることが社会から課された義務であるとなっているわけですね。このようなメカニズムなので、そこについて国がファンディングをしているなどということは基本的にないというのが今の社会の仕組みだと思います。つまりあなたは社会のために尊いゲートキーパーをしてくださっているのでどうぞ本人確認の仕組みを安く使ってくださいという価値観は、今のシステムに組み込まれた価値観ではない気がしますというのが僕が今感じているところです。

全体的に僕は民間の人たちにちょっと厳しいことを申し上げるかもしれないですけれども、この仕組みが入ったことによって事業が効率化しますという部分はぜひ効率化してくださいと思っていますが、データが安く取れますとか、国が作ったシステムにフリーライドさせてくださいという論点には完全に反対ですということだと思っています。要するに行政で集めているのだから僕らの金儲けのためにもそれをただで使わせてくれればいいではないかみたいな、このような議論はとにかくしてはいけないと感じているということであります。

そういう意味で、今回はfreeeさんもSimpleFormさんも基本的にはお金をお支払いいただく前提で議論をしていただいていますし、現状PDFで登記事項証明などを取っていただいている金額は一件一件お支払いいただけるという前提で議論になっていると思いますけれども、民間開放みたいなことを言ったときにはくれくれみたいな人たちがどうしても出てきてしまうので、そういう議論ではないのだよという部分は、応分負担という話を今までされていたと思いますけれども、そこは厳密にちゃんとやらないといけないと思っているというのが第1点です。

次に、これにつながってきていることなのですけれども、逆に公共でこういう仕組みを持たせて維持していくための費用のファンディングをどこで行うのかということを考えたときに、民間に使わせることによってその費用を賄うのだというロジックは本来はあっていいと思います。例えば特許庁はそういう仕組みで、発明に対して独占権を与えるのですけれども、これは情報を一定保護し公に提供する仕組みを提供することによって特許料でお金取って特許庁の仕組みが回っているという形になっています。データとか情報の保護や流通の仕組みを開発・維持していくのは実はすごくお金がかかることなので、全部税金でやりますという話よりは、この仕組みを回していくための費用は、この仕組みにアクセスすることができることによってビジネスが効率化したり競争を優位に進めたりすることができる民間事業者からお金を取っていくことによって回していくという発想はもっとあってもいいと思いました。

更に、これとの関係で言いますと、例えばAPI経由で情報連携します、そのAPIが民間からするとこうなっていたらいいですねみたいな、いろいろな話があるわけですけれども、結局もともとこれを整えているのは行政で活用するためにつくっているということなので、それ以上のものを行政側は開発する義理もないということにはなるわけです。しかし、仮に何か高頻度で民間が使って便利だみたいな機能があるとすると、それを開発してそれを使うならこれだけお金を払えみたいな話をすることで全体のレジストリの運営費用を回していくという発想も持ってもいいのではないかというのが2点目、3点目です。

最後に、ここはどうしたらいいのだというのがまだ見えていないのが、たとえばスクレイピング業者みたいな人がいて、政府のデータベースがありますねと言ってこれにアクセスできるような立場の人たちがわーっと全部のデータを吸い上げて、それで自分のところでビジネスをしてしまうということをすると、結局仕組みを回すためのお金が政府側に入ってこないという状態になってきますので、これでは政府の仕組みが回っていかないということが起こってくるように思います。なので、データを全部引っこ抜いて回すというモデルは取っては駄目だという整理をどこかで本当はしなければいけないと思うのですけれども、それをどんな規律でやっていくのが正しいのか。行政でつくったレジストリを全部コピーして、行政のレジストリにアクセスすることなく情報を得ることができるような仕組みでお金儲けできるということをあまねく可能にしてしまうと、全体的な仕組みが回っていかないということも起こると思われまして、この辺を少し整理していかなければいけないなと感じたということです。

以上です。

安念座長: ありがとうございました。難しいな。

落合さん、どうでしょう。

稲谷構成員: すみません、落合さんの前に一瞬だけ、稲谷ですけれども。

安念座長: どうぞ。

稲谷構成員: 増島先生にちょっと誤解されてしまったと思って、説明の仕方が悪かったのですけれども、私は法定の義務であればやらせていいのではないかという趣旨で言ったのではなくて、もともとの公的な機関がやっていた業務を民営化みたいな形で外出ししていった法人に関して、その法人というのはもともと公的機関がやる業務をやっているけれども形式的に私法人になってしまっているだけなので、そこはそもそもガバナンスなどを信用してもある程度いいように普通つくっているはずなので、そこはまず開放しても大丈夫なのではないかという趣旨を申し上げただけでございます。今の議論を伺っていると少し私の説明の順番がおかしかったので、ゲートキーパー話をしてしまって、そこに公的な利益が出るということを言ってしまったので、もしかしてそこと関連してしまったのかなと思ったのですけれども、一般的に今日のビジネスモデルは、ある種のゲートキーパー機能を担っているので公益性がそこでまずあるのだけれども、ただ、そうはいっても個人情報保護等のもろもろのリスクがあるので、順番でいくと公的機能をもともと担っていたところが民間になったという話になっているケースなどがまず最初で、次にある程度信用できそうなところ、最後に場合によっては全体開放みたいな形で考えていくのがいいのではないかという趣旨を申し上げたところです。また、費用負担に関しては全くそのとおりだと思いますし、最後のスクレイピングのところは例えばリスクというものを非常に高めてしまうようなやり方ですので、そもそもそういうやり方はリスクベースの観点からできないみたいな整理の仕方もあるのかなみたいなことを伺いながら思いました。

すみません、途中で入ってしまいました。以上でございます。

安念座長: ありがとうございます。

行政に準ずる法人については利用者の中に含めていいというのはこの計画案の中に入っている考え方ですね。ありがとうございました。

落合さん、どうぞお待たせしました。

落合構成員: ありがとうございます。1つずつ見ていけるといいかと思います。

まず、利用範囲についてですが、順序としては既に公のほうから進めていくということになっていますので、そこに順序がつくこと自体は既に基本計画上もそういう形になっていくということだと思いますので、その次に民間に対して開けていくときの考え方も整理をしていったほうがいいかと思っています。

その際に、最初に隂山さんから少しご指摘があった中で、APIも既に一部出されているということでした。その前にも、情報システムからPDFベースでは取れるといった仕組みも提供されており、ここの部分でそもそも利用制限がされているのかどうか、つまり主体としてどういう制限があるのかどうかが重要な論点になります。基本的にないということであれば、まずはもともとはなかったものであるということが比較すべき出発点なのだと思います。そうするとデータ自体としては、もともと出されていたものであると認識しておりますので、そうすると違いがどこにあるかということで考えると、恐らくAPIでたたいたり、機械可読化をされているという部分が事実上の差異ということだと思っております。要するに機械処理ができる可能性が高まるような形で、データが設計されて提供する仕組みが出ているということで、そういった意味からしますと本来的にはデータの取得根拠自体は民間事業者一般に対して説明がつくように整理がされているとも考えられます。これは法整備も含めてそういう状態になっているということだと思いますので、これを踏まえて評価をしていく必要があるかと思います。

また、これは実際の改正時期等がよく分からないところがありますが、デジタル行財政のほうでも個人情報保護法について議論をしておりまして、その中で制裁金の設定についても個人的に賛同させていただいておりますが、仮に個人情報保護法においてかような制度が整備され、一方で必ずしも同意の在り方を見直し、特に機械処理についてはある程度整理をできるようにしていくという話もあります。もちろん今回の場合は、3年見直しとの関係で言いますと、いわゆるAI開発そのものというよりかは個別の方に働きかけをしていくことがあり得る場面だろうとは認識していますので、そちらの同意の例外条項までは利用できないのだろうとは思いますが、制裁制度であったりガバナンスについては事後的な利用に関しては強くなっているという状況もあると思います。こういった状況をしっかり見ていった上で、また、結局は不適正利用についても、破産者マップの事件もそうでしたが、今回の3年見直しの中でもさらに事例等の明確化もされていく中で規範としても明確化された上で、制裁も強くなっていくという上でさらに個別に分割していく必要があるのだろうかということを評価したほうがいいと思います。こういった点は利用範囲を考えるのに当たって、現状の分析と個人情報保護法側の今後の整備の予定とをしっかり見ながら限定していく必要があるのかどうか、それこそリスクベースでどういうルールが整備されているのかというのも見ながら、検討していくことが必要だろうと思っております。

費用負担の点につきましては、登記そのものについては、登記情報の取得については基本的に有償ベースでということに恐らくなるのだろうと思っております。ただ一方で、これはどういう形で費用を設定していくのかがあるように思っておりまして、結果としてはベース・レジストリを利用するのに当たっては登記簿自体、商業登記、不動産登記もそうだと思いますが、この収入の一部をこちらで吸い上げてしまうという側面もあろうかと思います。全体として何を維持していくべきかを考えたときに、法務省が持たれている側のデータベースとの関係でも必要な予算的手当てができるような整理になっているかどうかを考えて議論していかないと、なかなか法務省様もご協力していただきにくい場合もあるかもしれません。ここはそういったものを担っていくというか、予算としては考えられていくべきものということがあるのだろうと思っております。

また、この費用負担については民間と行政、もしくは準公的機関という利用者の属性は、もしかすると考え方を分けるということもあるのかもしれないと思いますので、費用負担に関しては、公益性をより考慮することはあるかと思っております。

最後に、データのスクレイピングやアクセスコントロールという意味で言いますと、これは今回の場合ですと、結局費用負担の部分がデータベース自体を担っていく基礎となる予算源だということもあるかと思います。それを確保するために必要な技術的な保護措置を行っていくという観点で、仮にスクレイピングでただで取られてしまいますとAPIの意味がないということであれば、それに対してどういう対処をしていくのかをその限度において考えていくということかと思っております。どうしても一般的なスクレイピング禁止という話にまでしてしまいますと、どうしてもそこまでAPI等を整備できないといったケースもあって、結局は情報を単純に自動取得するような仕組みを各自が準備していくことをお願いしていったほうが合理的な場面もなくはないと思います。ただ一方で、今回の場合は、もともとのデータベース自体の維持といったこともあると思いますので、それは評価しつつ、過度に全体的な議論にならないようにしながらスクレイピングに関する評価は行っていくべきかと思います。

私は以上です。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、構成員の皆様からは一通りご発言いただきましたでしょうか。木村さんと岸井さん、今の議論をお聞きになって何かご感想などはおありでしょうか。

木村部長: 行政のAPI解放というのはこれが初めての話というわけでもなくて、そもそも法務省さんの「登記ねっと」も申請用のAPIが既にあるものもあったり、そこはちゃんとベンダーと話しながらやっていらっしゃるとか、特に税の世界などはもう長らくそういう関係というか、民間と公共で行政サービス全体の一部周辺を担うみたいなことは従来からございますので、そんな真新しいことをするというよりはこれまでやっていてうまくいっているようなことを真似してやるというのがよろしいのかなとは思っておりますというぐらいでございます。

安念座長: ありがとうございました。

岸井さん、いかがですか。

岸井統括責任者: ありがとうございます。

同じくまずは行政から活用していくというところで、段階を踏んで登記のAPIの開放というと表現があれかもしれないですけれども、API化といったところについては進んでいくべきだなと考えておりまして、これまでと大きく違って、当社から少し記載させていただきましたけれども、いわゆるオープンデータ、APIでの無償での公開とは異なって、対価を一定支払うといったところに関しては、多数の方からご指摘があったとおりスクレイピングの問題であったり、2次活用みたいな問題点も出てき得るかなとは考えておりますので、そういったところの問題は官民でいろいろとディスカッションを深めながら一定慎重に進めていく必要があるかなと当社も考えておりますので、そういった機会をいただいて大変ありがたかったなと思っております。

本日はありがとうございました。

安念座長: こちらこそありがとうございました。

どうも岸井さんと木村さん、本当にありがとうございました。

木村部長: ありがとうございました。では、失礼いたします。

岸井統括責任者: ありがとうございました。失礼いたします。

安念座長: ありがとうございました。

(議題2関係者退室)

安念座長: 何か杦浦参事官から今までの議論についてコメント、レスポンスがありましたら、お願いいたします。

杦浦参事官: ありがとうございます。

利用範囲と費用負担の話は表裏一体でありまして、今の議論にいろいろ幅広く、また、いろいろな視座・視点をいただいたと思っております。私の受け止めの大きなところは、コストに関してただ乗りにならないようにという費用負担の話と、使い方として制限をつける、あるいは利用者の制限をつけるに当たって、コストの話と、思わぬ使われ方をしかねないみたいなリスクの2つがあるのかなと考えております。先ほどの性犯罪者みたいな話など、いろいろ各方の情報を基に想定していなかった使われ方をするというリスクは主に個人情報保護の観点・プライバシー等の観点からも一定程度ケアしなくてはいけないという話はそれはそれとして独立してあるのかなと思いましたし、一方、費用負担、あるいは利用範囲に関して、今、既に利用できているのにそこを何か変更する大義名分というか、理由は何かといったときに、例えば今、PDFで公開しているものが自動処理、マシンリーダブルになることによってその使われ方が変わり得る、コストが低減することでそういった思わぬ使い方をされるリスクが増えるといった観点もあるので、そこは丁寧に見ていかないといけないなと受け止めた次第です。

ありがとうございます。

安念座長: ありがとうございました。

それでは、最後に議題3「今後の検討スケジュールについて」に移ります。事務局よりご説明をお願いいたします。

杦浦参事官: こちらは今までいただいた議論と今後何をしていく必要があるのかというのをざっと項目別に書いたという話でございますが、費用負担・利用範囲、民間利用、地図、アドレス・ベース・レジストリでどこまでやるか、地図、オープンデータを含めた整理、それから文字といったところが大きな検討課題として今後も考えていく必要があると認識をしております。

今後、この推進会合自体も夏以降、1~2か月に1回ぐらいはやって皆さんのご意見を伺えるといいのかなと感じてございます。今回で一旦締めになるのかもしれませんが、そんな感じで考えている次第です。

安念座長: ありがとうございました。

これについてはよろしゅうございますか、皆様。

それでは、時間も尽きてきたところですので、本日は以上とさせていただきたいと存じます。活発なご議論をいただきまして本当にありがとうございました。

当初の予定どおり、無事第1次公的基礎情報データベース整備改善計画の案がまとまりました。ありがとうございました。

最後に、事務局より事務連絡等をお願いいたします。

杦浦参事官: どうもありがとうございました。おかげさまですごく良いご議論をいただいたと思っております。

議事につきましても、議事録を作成して皆さんにご確認いただいた上で公開ということで、資料につきましても少し確認した上でウェブサイトに公開としてございます。

また、会合の次回については、先ほど申し上げたように夏過ぎぐらいかなとは漠然と考えておりますので、またこちらからご連絡等申し上げます。

事務局からは以上となります。

安念座長: そうですか。僕は案がまとまったところで当会合のミッションは終わりだと実は思っていたのですが、そんなことはいいや。

それでは、以上をもちまして、第3回ベラボウこと「ベース・レジストリ推進有識者会合」を終了いたします。本当にいつもながらではありますが、闊達に、活発に、また、幅広くご意見を頂戴いたしまして本当にありがとうございました。これで今回は終わりといたします。

ありがとうございました。