本文へ移動

デジタル臨時行政調査会作業部会(第7回)

概要

  • 日時:令和4年3月23日(水)16時から18時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1.開会
    2.議事
    (1)常駐・専任規制について関係省庁からヒアリング
    (2)類型Phaseの見直し方針(一部の主な規制の見直し方針含む)の提示
    (3)法制事務のデジタル化検討チームの状況
    (4)意見交換
    3.閉会

資料

関連情報

議事録等

日時

和4年3月23日(水)16時から18時まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 小林史明  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)

  • 稲谷龍彦 (京都大学大学院法学研究科 教授)

  • 上野山勝也(株式会社 PKSHA Technology 代表取締役)

  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)

  • 根本勝則(日本経済団体連合会専務理事)

  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所)

事務局(大澤): 定刻になりましたので、第7回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会いたします。よろしくお願いします。本日も、構成員の皆様方にはオンラインで参加をいただいております。菅原構成員におかれましては所用によりご欠席、上野山構成員におかれましては途中での退席を予定していると伺っております。

それから、本日はこれまでどおりご議論いただく規制ごとにそれぞれの省庁が都度入れ替わる形で参加をいただきますけれども、冒頭のみ、本日参加いただきます全ての省庁にご参加いただいております。

それでは、議事に先立ちまして、作業部会の座長であります小林デジタル副大臣からご挨拶を賜りたいと思います。副大臣、よろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: 構成員の皆さん、各省の皆さん、事務局の皆さん、大変お忙しい中、今日もありがとうございます。よろしくお願いします。

デジタル臨時行政調査会ですけれども、全省庁の法令を横断的に見直すということでスタートをしています。既に、各省の皆さん、今日参加いただいている皆さんとも事務局とやり取りをさせていただいていると思っていますが、我々としてやりたいのは、皆さんが所管をしている業界でもこれから圧倒的に人手不足が進んでいくということは共通の問題意識として持っているのではないかと思います。一方で、過去に決めたルールで、その時代になかったことが技術として進展していて、ルール自体が合わなくなってきているというのも目に見えている部分があるのではないかと思っています。なるべく皆さんと一緒にこの古くなったルールを一緒に変えていくというのがこの取組だと思っています。

なので、ぜひ皆さんからも本音ベースで課題を共有いただいて、今日我々も含めて構成員の皆さんと一緒に、どうすれば効率的にルールを変えていけるのか、皆さんの所管している業界の皆さんもビジネスを展開いただけるのか、そして、各省の仕事も効率的にできるのかという観点で議論ができたらと思っています。

今日は、介護サービス、旅行業、浄化槽ということで、国民生活でも身近なものが取り上げられます。ここをしっかりやっていけば、国民の皆さんにとっても、日本社会がデジタルに対応して前に進んでいるという前向きな実感も持っていただけて、より大きな改革にも取り組めるような環境ができるのではないかと思っていますので、今日はぜひまた引き続き、有識者の皆さん、所管省庁の皆さん、ご協力をよろしくお願いします。

また、事務局から、これまでの作業部会における議論や各省庁との調整を踏まえた規制項目の類型化のPHASE案を提示させていただくとともに、法制事務のデジタル化検討チームにおいて検討されてきた内容を説明していただくことを予定しています。これまでの作業部会での各省庁とのヒアリングを総括する観点から、積極的な意見をいただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

事務局(大澤): 副大臣、ありがとうございました。これより本日の議事に入らせていただきます。以降の議事進行については、安念副座長にお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

安念副座長: 副座長の安念です。本日、第7回の議事は、常駐・専任の規制についてです。厚労省老健局、旅行振興のご担当の観光庁参事官、環境省環境再生・資源循環局、この3つの部署からのヒアリングをさせていただきます。

先ほど副大臣からもご紹介がありましたが、事務局による第3回デジタル臨時行政調査会開催に向けてのご説明を予定しております。まずは、事務局の大澤参事官より、本日のヒアリングの趣旨についてご説明をお願いいたします。

事務局(大澤): 事務局の大澤です。ヒアリングは、今副座長にご紹介いただきましたとおり3項目ございますけれども、3つのセッションの前に事務局から簡単に趣旨をご説明します。

まず、常駐・専任の規制ですけれども、常駐のほうは常に事業所や現場にとどまることを求める規制でして、例えばある資格を持っている人、あるいは法令上何らかの役割を与えられた人がその場所にとどまることが必要で、テレワークが許容されないなどの弊害があるというものです。

専任につきましては、兼務をせず、専らのその任に当たることを求める規制で、典型的には1人1現場の紐付けといったものがあります。左側を見ていただければと思いますが、同一人物が複数の施設の同じ役職を兼務できないというパターンでありますとか、同一の施設の別の役職であれば兼務できるが、別の施設の同じ役職は兼務できない、こういったパターンはいずれも専任規制に当たると考えています。

それから、典型的な規定ぶりです。常駐のところはご覧のとおりありますけれども、専任規制のところは、事業者は場所ごとに何々管理者を選任しなければならない、こういった規定が典型的でして、その下に(参考)で選任規定がありますけれども、こちらとの差分は場所ごとにというものがあるかないかということです。下のほうは選べば良いということになりますので、複数施設を一人の方が兼務ができる、こういったものになってございます。

これらの規制とデジタル原則の点検との関係でありますが、赤枠の中、人の介在、すなわち常駐あるいは専任もそうですけれども、見直しまして、デジタル化を基本とすることという観点から点検を行っていただければと考えております。

類型化ということになりますけれども、まず①、左側になりますが、施設あるいは製品の管理、品質保持、こうした主としてモノのチェックを行うもの。それから、右側に行きまして、利用者の保護、主として人への対応を行うものということで、それぞれに常駐・専任があると類型分けをしています。

PHASEが1から3に行くに従ってデジタル化の深度が上がっていきまして、PHASE1ですと常駐・専任規制を課しているということですが、PHASE2では、遠隔監視装置とか監視カメラ、こうした技術によりまして規制緩和をする。そして、PHASE3になりますと、技術を活用して規制の撤廃をするということになりますが、撤廃といいましても、有資格者を全く置かないということではなくて、必要に応じてそれぞれの制度の中で、先ほど見ていただいた選任という状態がひとまず目指される姿なのではないかと考えております。

先行事例を少し見てまいります。主としてモノのチェック、①のほうに該当するものです。1つ目が火力発電所の技術者の常駐ですが、こちらにつきましては常時監視と同等な監視を確実に行う発電施設、かつ、異常が生じた場合に安全かつ確実に停止することができる措置を講じている、こういった場合には常時監視を不要としたということになっております。

それから、1つ飛んでいただきまして専任の方です。工事現場ごとに専任の者を置かなければならないとされておりました監理技術者については、補佐を置くことによりまして、監理技術者そのものは一人が複数の現場を兼任することができるということになっております。

さらに、一番下にありますけれども、特定建築物ごとに選任しなければならないとされておりました環境衛生管理技術者につきまして、業務の遂行に支障がないということを、その時点、その時点の技術の進展の度合いに応じまして確認をする、判断をするということを前提として、専任の規制を撤廃しているというものです。

次のページになりますけれども、②、主として人への対応。上の3つは、通知によってテレワークが可能であるものも明確化しているものでして、宅建、マンション管理、本日も取り上げます旅行業務取扱管理者については、通知によりまして常駐規制の一部緩和で、テレワークが可能となっている。

4つ目のサービス付き高齢者向け住宅につきましては、敷地またはその敷地に隣接する土地に有資格者が常駐しなければならない、こういった規制でありましたけれども、近接する土地ということで、面的に少し常駐規制が緩和された事例であります。

その下の薬剤師の関係は、一般医薬品の販売時間の規制、開店時間の2分の1以上というものを廃止いたしまして常駐規制を緩和したものであります。

一番下の産業医の専任については、情報通信機器を用いて遠隔で産業医の職務を実施する場合の留意事項を明確化するということで、産業医の様々な業務が法令以上定まっておりますけれども、業務を一つ一つ細かく見ていって、それぞれの特性に応じて一つ一つ判断をしているという点が他法令における見直しの参考になるのではないかと考えております。

その次のページ、見直しの方針(案)です。事務局から事前に各省に提示をしている方向性をまとめたものです。まず、真ん中ですが、介護サービスの事業における管理者等の常駐等、これが本日のヒアリングの1つ目です。2つ目のセッションが、右に行きまして、旅行業の旅行業取扱管理者の専任。それから、浄化槽の技術管理者の専任ということで、それぞれPHASE1また2から、PHASE2または3へと移行していただく必要があるのではないかと事務局としては考えているものです。

一括的な見直しに当たっての論点については、各省からのヒアリングの中でご紹介があるので簡単に説明いたしますけれども、まず1つ目、介護の関係につきましては、「介護サービスの事業における管理者等の常駐等」ということで、介護保険法の下で提供される様々な介護サービスにつきましては、そのサービスごとに必要となる職種とか人数が法令の中で定められている状況になります。

経済界から要望がございまして、身体介護等を行う人員は維持しつつも、専門職、ここでは生活相談員、看護職員等々を挙げておりますけれども、こうした方々がデジタル技術を用いてサービスを提供できる場合、規制緩和をしてほしいということです。

論点としては、訪問介護等の管理者の常駐規制につきましては、行政手続書類の作成とか、雇用管理等、常駐をしなくてもテレワークを活用することのできる業務があるのではないかということ。

デイサービスの機能訓練指導員とか看護師さんにつきましては、ビデオ会議ツールを用いた推奨運動のライブ配信、入浴前のバイタルチェック、こうしたことによってデジタル技術を活用すれば、複数施設の利用者を対象とする業務を同時に行うことも可能になってきているのではないか。

3つ目、ケアマネジャーについては、少なくとも毎月1回利用者の居宅を訪問することが求められておりますけれども、新型コロナでここが少し緩和されているということで、その措置を恒久化することができないかというものです。

旅行業については旅行業取扱管理者ということですが、これは営業所ごとに置くことが求められております。かつ、一人の管理者が複数の店舗を兼務することができないようになっているということでして、経済界からの要望としては、旅行業取扱管理者の各営業所単位での専任規制を緩和してほしいということです。

事務局から提示させていただいている論点は、デジタル技術の発展により、計画の策定とか記録の保管、こういった兼務をしても旅行業の適正な運営の確保に支障を生じない業務があるのではないかということです。

3つ目が浄化槽技術管理者の専任ということでして、特に経済界からの要望はございませんけれども、とりわけ処理対象人数501人以上の浄化槽について、浄化槽の保守点検、清掃作業の統括、こういったものの業務の性質上、デジタル技術の活用によりまして、幅広く兼務を認めることにしても支障がないのではないか。こういった論点を挙げさせていただいております。事務局からは以上です。

安念副座長: ありがとうございました。それでは、早速、ヒアリングに移らせていただきますが、ヒアリングの際の議事進行については、これまで各省庁と直接やり取りをしてこられた大澤参事官にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

事務局(大澤): こちらこそよろしくお願いします。本日は3つのセッションを予定しておりますけれども、最初のセッションは、「介護サービスの事業における管理者等の常駐等」が議題です。
厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課、笹子課長からご発表をお願いします。

笹子課長: ご紹介いただきました推進課長の笹子です。早速ですが、介護保険サービスは、ご案内のとおりだと思いますが、介護が必要な高齢者に対してその自立を支援するために提供するものです。居宅系のサービス、施設系のサービス、さらにそれをマネジメントする居宅介護支援、いわゆるケアマネジャー、そういったサービスがあります。サービスごとに設けられた提供目的に沿って配置すべき職種・配置数などが定められています。

通所介護、訪問介護、居宅介護支援と3つ並んでいます。このとおりですけれども、通所介護において管理者は全体の監督をするだけではなくて、個々のご利用者の通所介護計画を作成することが義務づけられているところがほかの管理者と違うところです。

また、先ほどサービス付き高齢者住宅の先行事例ということで大澤参事官のほうからご紹介いただきましたけれども、この3つの管理者については、例えば同一敷地内、さらには道路を隔てて隣接するなど、支障がない場合にはほかの事業者の業務に従事することができるという意味では、既にそのような対応はさせていただいているということです。

3ページ目、制度の概要です。事細かには申し上げませんけれども、基本的には法令で最低基準が決まっています。それに伴って、3ページ目の左側、基本サービス費が支払われることになります。右側は加算でございまして、より質の高いサービスを提供するために様々な取組を行っていただいた、その手間を評価するという観点からですので、これは取る、取らないは事業者さんの自由ということになっています。

左と右が違うということで、4ページ目の訪問介護、5ページ目の居宅介護支援、それぞれ同じです。6ページ目以降は、今申し上げた最低基準、法令が並んでいますので、スキップさせていただきます。

12ページ目からが、先ほど申し上げた加算要件としての配置基準、こちらも根拠をつけさせていただいています。申し上げたとおり、加算の取得は任意でして、全ての事業者に義務を課すものではありません。

17ページ目まで飛んでいただきまして、上のところにございます管理者等々の配置基準は、一つの事業所での業務を義務付けていないものであるとか、営業時間中を通して事業者等に必ずしもいる必要がないものなど、様々ですが、これまでテレワークの可否や兼務の詳細を明示する取扱いは行っていないという現状です。

18ページ目、私ども介護分野は、特に人材不足ということを非常に重大な課題と考えておりまして、ICT化、文書量の半減、それぞれご覧いただけるような取組をさせていただいています。

そういったことを踏まえて、19ページ目、目指すPHASEのところですけれども、ICT・データの利活用は極めて重要と考えており、厚生労働省としてこれまで、例えば会議などのICT活用については令和3年度の介護報酬改定で一定の取組をしております。ここに書いてあるように、医療・介護の関係者間で実施するものについてはICTを活用することとし、利用者が参加するものについては、利用者やご家族の同意を得た上でICTの活用を可能としてはどうかということをお諮りした上で、令和3年度から実施しているということです。

さらに、19ページの下に「また」ということで破線で囲っておりますけれども、要は、これにとどまることなく、さらに進めていくべきである、社会保障審議会のほうからも宿題を負っているという状況です。

20ページ目、このように、審議報告においてもさらに検討を行っていくべきとされておるところでございますので、デジタル臨調の先生方のご指摘もきちんと踏まえながら、できることはしっかりと検討していくというスタンスです。

現行規制に関するものでありますけれども、一つポイントは、利用者のサービスに直接関わる業務なのか、そうではないのかというところは視点が違うのかなと思っています。1つ目の○にありますように、必ずしも利用者のサービスに直接関わらない業務については、例えばテレワーク等の取扱いを明示することなど、必要な検討・対応を行ってまいりたいと思っております。

さらに、2つ目の○、介護保険制度は利用者負担、公費、保険料財源により賄われております。利用者のサービスに直接関わる業務については、検討に際してエビデンスに基づいて、特に利用者のサービスの質の確保、先ほどケアマネのモニタリングがコロナの特例で緩和されているというご紹介をいただきましたけれども、事故が起こっていないからといって質が担保されているかどうかというところは、利用者さんにとってもご家族にとっても重要な視点ですので、利用者のサービスの質の確保。

それと、職員の負担です。これも社会保障審議会でよく課題になるのですが、特に訪問介護などはご高齢のヘルパーさんが多くて、なかなかICTを使っていただけないというところは我々も悩みどころなのですけれども、ICTを導入することによってむしろ職員の負担が増えてしまう場合もあるということ。もちろん中長期的な視点も踏まえながらということですけれども、しっかりとこの2点は踏まえる必要があるのかなと考えています。

「このため」というところで、利用者のサービスに直接関わる業務については、まずはサービスの特性等に応じて、業務のオンライン化に関する可能性について論点・課題を整理。オンライン化を行った場合の影響について、実証事業やヒアリング等により把握。そして、必要に応じて、社会保障審議会の意見聴取を行っていきたいと思っています。

下にありますように、基準を変えるときには、介護保険法上、社会保障審議会の意見を聞かなければならないという法定事項ですので、これは留意する必要があるということと、最後ですけれども、先ほど、こういう手間を評価すると申し上げましたけれども、手間が増減するのであれば、報酬設定の在り方についても併せて検討を行う必要があると考えているところです。私からのご説明は以上となります。

事務局(大澤): 簡潔な説明をありがとうございました。ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。安念副座長、お願いします。

安念副座長: ケアマネさんをはじめ、私のところも一昨年亡くなったおやじが随分お世話になりましたので、この制度は本当にありがたいと思っています。

その上で伺うことですが、先ほどヘルパーさんは高齢の方が多い、ほとんど老老介護みたいなサービスになっている、それは私もよく存じ上げているのですが、そうした場合にIT機器を使うことはご当人たちにとってかえって負担になるということはまさにあり得ることだろうと思うのですけれども、そうした中においても、IT機器の使用について訓練するということをやった場合に加算するという可能性は、これは可能性のことだけを伺っているのですが、そういう考え方はあり得るものでしょうか。

笹子課長: 参考資料の26ページ辺りにつけさせていただいておるのですが、まずは、ICTを導入する際に事業者にちゃんと補助をしていこうということで、これは消費税財源を使わせていただき、右下のような補助対象もかなり広くて、Wi-Fi機器とかも買えるということになっております。さらに、ポイントは標準化と施設間連携だと思っていますので、さらにはデータベースに資するようなものについては補助率を4分の3を下限にする、つまり、75%以上は国と都道府県で負担をするといったものになっています。その実施状況は27ページについております。

さらに、ICTを使っただけでは、ご指摘のように生産性が上がるわけではございません。なので、生産性の向上のために、本当に書類を減らすとか、業務の棚卸しをするとか、あとは施設内でしっかりと業務効率化のPDCAを回すような人を育てていくとか、そういったことが必要ですので、物を買うだけではなくて、そういったソフトウエアのところはしっかりと、もう4年ぐらい、マニュアルを作ったり、さらには研修教材を作ったり、さらに、この時代ですので、それを今後ユーチューブなどでも共有できるようにしたいと思っておりますけれども、そういった仕組みと併せて普及していくことが必要かなと思っていますので、おっしゃるとおりだと思います。

ご高齢だからこのままでいいということは全く思っておりませんで、冒頭申し上げたとおり、特に訪問介護は人材不足ですので、しっかりと報酬面、それと補助金、あとソフトウエア面を組み合わせながら支援をしていくというのが厚生労働省の立場です。

ただ、そういったことをした結果、手間が減るのであれば、介護報酬というのは標準的な手間、経費に対して支払うものですので、併せて検討が必要だと。かなり複雑なことになっておりますので、そういったことを検討する必要があるということです。

安念副座長: 誠にありがとうございました。最後の点は大変重要だと思うのです。つまり、ICT化武装することによって手間が節約できると、今度は報酬のほうの手取り額が減ってしまう。そうなると、一体どういうインセンティブがあるのだろうという問題はよく考えておかなければいけない。もちろん私のような素人が申し上げることではありませんけれども、非常に重要な論点になるだろうと思いました。ありがとうございました。

事務局(大澤): 小林副大臣、手が挙がっていますが、いかがでしょうか。

小林デジタル副大臣: 実は、そのところをお話ししたかったところで、厚労省の皆様、いつもお世話になっていまして、本当にありがとうございます。

ちょうどこれに似た案件が、SOMPOケアさんからの提案があって、1対3の配置基準をICTを使ったら4対1もやれるところが出てきたという議論になったときに、規制改革会議側の我々として結構こだわったのは、だからといって報酬が下げられるというふうにすると全然インセンティブが働かないので、むしろその分が手取りで増えるというふうにしようよということで厚労省の皆さんとお話をした経緯があったかなと思っています。

今回の件も、我々としては全力で応援するので、複数拠点が見られるようになったとしても、介護報酬がその分削られるというふうにならないような設計を一緒に目指せたらなと思っていますので、そこは同じ考えとして歩めたらなということですけれども、そういう方向でいいですかねという確認と、例の3対1のやつだと、ちょうど今、実証事業が走っているので、その実証を踏まえて結論を出していきましょうというふうになっているのですけれども、今回のケアマネの件だと、どれぐらいのスケジュール感で検討ができそうかとか、何かしら実証が必要なのかというのは、もしイメージがあれば共有いただけたらなと思っています。お願いします。

笹子課長: ありがとうございます。副大臣、いつもお世話になっております。

介護報酬の設定は介護保険法に明記されています。ご案内のとおりです。標準的な費用を勘案して定める。法律事項です。

一方で、利用者のサービスの質の確保、それと先ほど私が申し上げ職員の負担、それと事業ですので、事業が立ち行かなければ持続可能ではない、そういった3つをよく加味しながら報酬は設定していくべきものですので、そのような考え方でおります。

それと、SOMPOケアさんのご提案のお話をしていただきました。実証事業ということでございますが、20ページ目にございますように、私としてはご本人に提供するサービスと、そうでないサービスは分けられるのかなと思っています。なので、1つ目に書いてありますように、テレワーク等の取扱いを明示するなど、必要な検討等を行うということでありますので、そこはスケジュール感も相対的に短くなるのかなと思います。

一方で、直接、利用者さんのサービスに関わるものについては、3つ目の○にありますように、しっかりと論点・課題を整理した上で、必要があれば実証事業をしていかなければいけませんし、基準を変えなくてはいけない、省令を変えなくてはいけないということであれば、社会保障審議会のほうに、これも先ほど申し上げたとおり、法律で決まっているところですので、しっかりと我々もエビデンスあるいは理論武装をした上でお諮りをしなくはいけないので、後者については相対的にスケジュール感は長くなってくるのかなと思っております。

小林デジタル副大臣: この2つを切り分けていただいたのはすごくありがたくて、前向きに検討いただいてありがとうございます。

後者のほうも、何かしら予算が必要だというふうになるときは、我々もしっかり応援して、一緒に前に進められるようにサポートしたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

笹子課長: よろしくお願いいたします。

事務局(大澤): 続きまして、稲谷構成員、よろしくお願いします。

稲谷構成員: 稲谷と申します。大変興味深いご報告をありがとうございました。

私からは、今まさに議論されていた点とも関係するのですけれども、オンライン化をしていくに当たって質の確保という点が重要であるとおっしゃられたと思うのですけれども、その点を例えばどのような形で測っていくようにするのかについてご質問させていただければと思います。つまり、利用者側の主観だけで考えていくと、身体的な接触があるほうがいいじゃないかみたいな感じで、なかなかデジタル化が進んでいかないということも考えられるわけですが、もう少し中立的な指標として、例えば介護サービスの質みたいなものを測っていく方法としてどのようなことをお考えになられているのかという点をお尋ねしたいと思います。また、先ほど報酬との連動性という観点も少し出ていたかと思うのですけれども、そういった点において、この質というものがもし測れるようになってくると、かなりやり方も変わってくるのかなという気もいたしますので、その点についてどのようにお考えなのかということをお聞かせください。

また、コロナ禍において一部オンラインで実施するところがあったとお伺いしたと思うのですけれども、その点について質的な観点からどのような担保ないし変化というものが現状で把握されているのかといった点についてお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いいたします。

笹子課長: ありがとうございます。質の確保ですけれども、介護保険法、これも法律の第1条に書いてあることですが、高齢者の要介護状態などの悪化の防止、維持、さらには自立というものに資しているかどうかということ、それと利用者の意向をよく踏まえること、こういうサービスが保険給付としてなされなければならない。これが1条、2条の辺りで書いてあります。

したがって、ご本人のサティスファクションというのも一つあるかと思いますし、要介護状態がどうなっているのかというのも一つあるかとは思いますが、個々にどのような設計をしていくのかということについては今後の検討課題かなと思っておりますので、質の確保というのはそういった法律の趣旨を踏まえた設計になっていくということで、今のところはお考えいただければと思います。

コロナ禍の特例ですが、とにかくコロナ禍では利用者さんに本当に必要最小限のサービスが提供されなくてはいけないということを確保しながら、事業者さんが潰れても困るという観点で、かなり思い切ったことをしています。例えば通所介護は、通所介護に来ていただいて、ここの1ページ目に書いてあるような様々なことをやっているわけですけれども、コロナ禍においては例えば電話をするだけでもいいとか、結構思い切ったこともやっていますので、そういったもので問題がないからといって、先ほど申し上げた法律の趣旨をしっかりと実現できているのかということはよく考えなくはいけない。

モニタリングも、ご本人の状態を見るだけではなくて、足腰も弱いし、疾病もいっぱい持っているし、手すりをどうするのかとか、お風呂場がどうなっているのかという家の状態、あとご家族との関係がうまくいっているのか、さらにはご近所との関係がどうなっているのか、駅までにどのような障害があるのか、いろいろなことをケアマネさんは現地で見るわけです。

それも、ご利用者の状態によって、がん末期の方だとケアマネさんはほぼ毎日行っているような状態ですし、ご高齢者なのでいつ急変するかも分からないという中で、そういう中で最低1か月に一遍は行きましょうよというのが今決まっているところなので、コロナ禍の特例の状況については、今年度については事業者さんに質の担保という観点からどうですかというアンケート調査はさせていただいていますけれども、引き続き、どのような形で質の確保ができているのか、しっかりと検証をしていく。そういったスタンスでございます。

稲谷構成員: 質の確保という観点から基準を策定していくことは、この取組を進めていく上でかなり重要なポイントなのかなと思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。

事務局(大澤): 続きまして、落合構成員、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。非常に前向きに、個別性を持ってそれぞれ評価して進めていただいている点は、非常によい形で整理をいただく方向での議論として伺っておりました。

元々、17ページのほうでご紹介いただいていた部分がありますが、管理者にテレワークを活用できる業務があるのではないか、複数施設の利用者の業務を行えるのではないか、面接をどうするのかといった、それぞれ指摘していただいているような論点があるのかなと思います。一つのポイントとしては、必ずしも全面的にデジタル化をするわけではない部分もある場合と、デジタル化だけで完全に完結する場合とを分けて、一部デジタルを使っていくとか、一部兼業していくとか、こういった部分から進められるという点を整理していけると宜しいのではないでしょうか。これは、後々のエビデンスの評価を、オンラインで広範に行うときに取っていく意味も含めて、よい部分はあるかと思っております。

一方、そのときに、ご指摘いただいていたように、例えば管理者についても通所介護の場合には計画も立てられて、そこはある程度対面で見たほうが、これはオンライン診療などの場合とは違って、ケアを受けられる方のご安心というのもあるのかもしれません。そういった心情的要素もあるのかもしれませんが、そういう部分はある程度対面でやる部分が残るにしても、どこの部分をオンラインにできるのかという話はあると思います。また、通話をしたりするときも、コロナの場合に電話のような形で行っていたのは、これはオンライン診療のほうでもありましたが、緊急措置的にというか、あまり皆さんWEB会議を行えるようにするいとまがなかったので、取りあえず代替したという感じでした。このため、オンライン診療の恒久化のときにはビデオ通話が原則になりました。そういったところは合理的なように見直していただきながら恒久化を図っていただくのだと思います。

コロナのときに一旦特例にして開けたものは、全部開けっ放しにしてくださいということでもないと思います。ただ、部分的に進められるところは合理的に進めていっていただき、その中でエビデンスを取っていくことが、審議会を経る必要もあるとのことですので、プロセスをなるべく早めに回していただくのが全体としてはよい形で、ご理解もいただきながら進められるかと思いますが、いかがでしょうか。

笹子課長: 落合先生、ありがとうございます。大変ご示唆に富み、ありがたいお言葉をいただいたと思っております。

先ほど、介護保険法の目的をご紹介いたしましたけれども、要介護状態の悪化の防止とか維持のためには、もちろん必要な医療サービスとか、訪問介護等のサービスを提供していくことが重要なのですが、リハビリテーション等をして社会参加をしていくことでそうした目的に資していくと考えています。だから、ご高齢者であっても就労したり、ボランティアをしたり、そういったところが重要だと思っております。

電話で通所サービスというと、接触しないためにそういったことをやっただけであって、ご高齢者の幸せにつながるようなサービスになっているかというと、しっかりとそこは検証する必要がありますので、おっしゃるとおりかなと思います。

あと、一部デジタル化、あるいは常駐規制を一部でも緩和していくという視点についてはおっしゃるとおりだと思います。事務局さんのほうから、7ページ目でPHASE3のほうに一気に矢印を引いていただいていますけれども、我々もしっかりと、一部でもできるところはないのか。ただ、一部やってしまうと、ご本人はテレワークでいいけれども、むしろほかの職員に負担がかかってしまったり、いろいろなことがありますので、そういったことも踏まえながら検討する必要があると思いますが、一部というような視点も忘れないように検討させていただきたいと思います。

落合構成員: ありがとうございます。もちろん一気に進められるところはぜひ進めていただけるといいと思います。しかし、いろいろ現場もあって、かつ、医療以上にこの領域のほうが対面が何らかの価値を持っている場面があることも理解できるとは思います。そういった様々な配慮をしながら、ただ、全体としては、副大臣もおっしゃった3対1、4対1の話も、やはり単純に人員を増強していくぞ、採用を増やしていくぞといっても、それだけでは足りないので、合理的に人が配置できるようにすることを同時に行っていかないと課題が解決できないかと思います。できるだけ合理化も同時に進めながら、人材の強化も進めながら進めていただければと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

事務局(大澤): ほかはいかがでしょうか。よろしければ、最初のセッションはこちらで終了とさせていただきたいと思います。厚労省の笹子課長には、ご多様の中、ご出席賜りまして誠にありがとうございました。

本日の議論を踏まえまして、作業部会として追加の検討の依頼を差し上げる可能性もございますので、その際には対応方、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

続いてのセッションは、「旅行業の営業所における旅行業取扱管理者の専任」を議題といたします。観光庁の高橋参事官からご発表いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

高橋参事官: 観光庁の高橋です。今回、議題となっているのは旅行業取扱管理者です。一言で言いますと、消費者との関係で一義的に責任を持ってやり取りをするというリーダーです。

旅行業取扱管理者は当然試験がありまして、旅行業法の法令とか、約款とか、あとは種別によっては国外、国内両方ですけれども、旅行実務についても試験をされる。相当程度詳細な知識と経験を求められまして、合格率は実務による免除を入れても2~3割、試験のみだと1割というような試験になっています。

旅行業法では、消費者を保護するという目的の下で、こちらの法令にあるように、営業所ごとにこうした知識と経験を有する管理者が責任を持って消費者とやり取りをしようと。そういうことで適正な取引が図られることを狙いとしています。

旅行業というのは、昔から、ある意味手数料だけを取って商売をするような側面もあるので、かなり消費者保護の強い法律になっていますし、それは今も変わっていません。

リアルの旅行業、旅行会社として実体を持っているところについては、まず1万弱の会社があります。そのうちの9割強は中小です。JTB等の大手は、事業者数ベースで言うとごく一部です。中小でウェブ決済まで可能な旅行商品を提供しているのは、そういう業界に調べてもらいますと1割を切っているということです。実態として、事業者ベースで言うと、ほとんどの旅行取引が対面で実施をされているという実態です。

取り扱う旅行形態の7割を超えるものがいわゆる受注とか手配と言われるものでして、皆さんがよく目にされるパンフレットとかではなくて、慰安旅行とか修学旅行などの手作りのものが大半を占めているということになっています。消防団や自治会やらが、よく地方のほうではそういう業界の加盟事業者の7割ぐらいの主になっているということになっています。

実態として、店舗を来訪して、行き先とか日程などの希望を聞きながら旅行商品を仕立てるというのが通常のやり方になっています。そういう意味で、オンラインで契約するというのは旅行業者ベースで見るとかなり少数でして、地方のほうでは、さっき申し上げたような自治会、商店街、消防団、学校といった地方の実情に詳しかったり、あるいは地元の観光バスとか、ほかの産業の実態もきちっと知っている地場の管理者による説明とか、提案とか商品造成、いざというときの緊急対応もやっていただいているという実態になっています。

そういう意味において、消費者保護上、非常な重要なものですから、業界団体である日本旅行業協会及び全国旅行業協会というところも本制度の維持を強く望んでおりまして、デジタル庁さんには要望書をお送りしましたけれども、髙橋・二階両会長連名の要望書を送っているという状況であります。

一方、オンライン、いわゆるOTAと言われる事業者について、この間のデジタル庁さんとの議論でなかなか実態をお伝えできなかったので、改めてヒアリングを複数事業者に対して行いました。

OTAで今やっている管理者の専任単位は、本社に1人ということです。事業者が1個なので、本社に1人だけ置いているというのが義務となっているという理解です。

一方で、OTAから聴取をしたところ、膨大な業務が全国であるので、1人ということでなくて数十名規模で管理者を置いている。コメントとして言っていたのが、管理者としての知識がないと、さっき言ったような法令、あるいはコンプライアンスの関係もあって、適正な商品造成ができないと言っていました。このため、会社として1人置けばいいところですが、管理者の取得推奨を行って、そのために奨励金を出すということをやっているというコメントを受けました。

また、OTAの中には、そもそも旅行業者ではない、単に場所を貸しているという理由で旅行業登録をしていないところもあります。これは合法なのですが、こうした会社はそもそも管理者を置く義務がないわけですが、そこも同様に適正な業務運営の観点から数十名の管理者を置いているというヒアリング結果でありました。

いわく、OTAは契約こそオンラインですけれども、その前後でのカスタマー対応は電話やメールでやっていますし、その対応は当然管理者資格を持ったチームで行っている。

また、オンラインサイトの作り込みとか、ディスクレーマーとか、あるいは法令遵守状況のチェックは管理者資格を持った者が行っているということで、OTAかどうかということではなくて、業務運営に当たっては業務量に応じた管理者の存在は不可欠だというコメントをいただいています。

そういう意味で、むしろOTAをはじめとする近年の旅行実務の実態に鑑みますと、管理者の必要性は変わらないということばかりか、むしろ事業所ごとに1人ということではなくて、業務量に応じては、本社に1人ということではなくて、複数の管理者を置くような実態が生まれてきているということを承知しましたので、併せてお伝えさせていただきます。

事務局(大澤): ありがとうございました。ご意見、ご質問がございましたらお願いいたします。増島構成員、よろしくお願いします。

増島構成員: 実態についてのご説明をいただきましてありがとうございます。増島と申します。一つ教えていただきたいのですけれども、ほとんどが小さな規模の旅行取扱いの会社さんですよというお話があったのですが、こういう方々は基本的にはお店というのは1個だけ持っている、こんな方々が多いのでしょう。

高橋参事官: おっしゃるとおりです。本当に家族経営でバスも兼務しているとか、そういう家族経営でお父さんとお母さんがやっているというのが実態としては大半です。

増島構成員: では、営業所は1個しか持っていなくて、小さい会社がいる、こういう状態と。

高橋参事官: それがほとんどということだと考えていただいていいと思います。

増島構成員: 分かりました。実態をあまり知らなくてすみません。ありがとうございます。

事務局(大澤): 続きまして、稲谷構成員、お願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私のほうから1点お尋ねしたいのは、消費者保護ということをおっしゃっていたと思うのですけれども、その具体的な中身というか、イメージされていることと、こういった専門職で専門知識を持たれた方が多くいないと適切に説明できないということ自体は非常によく分かるのですけれども、営業所ごとに置かないといけない、その規制の仕方と消費者保護との関係性のようなものをもう少しご説明いただければと思いました。

というのも、消費者保護という観点からは、1人の人が何か所かを兼ねてやるとか、あとは内容の説明の仕方を工夫するとか、別のやり方でも、例えば熟達した人が一元化してやったほうがいいみたいなこともあるのかみたいなことを考えるところですので、営業所ごとに専門家を置かなければいけない、兼任もできないと書いてあるので、専門家が何か所も兼ねられないので1営業所に1人みたいな感じで置かなければいけない、その規制のやり方と、ここで念頭に置かれている消費者保護という概念との関係性についてお聞かせ願えればと思います。

高橋参事官: 先ほど口頭で説明したのですが、今申し上げたとおり、ほとんど家族経営みたいなところで、自分のところもバス免許を持っていて、そういったところが地元の消防団とか自治会の慰安旅行とか修学旅行を仕立てていくというケースがほとんどです。

そういう中で、今おっしゃった掲示とかの義務はデジタルで代替できる部分はあると思うのですけれども、旅行業法の施行規則にある4号の取引条件の説明とか、書面の交付、あるいは苦情の処理、適法に旅行商品がきちっと造成されているか、無理のないスケジュールになっていないか、極端な例で言いますと、軽井沢のスキーバス事故も、言葉は悪いですが、旅行会社が安いバス会社を買い叩いて、ああいう無理なスケジュールで事故に至ってしまったという経緯がありまして、旅行業者とバス事業者の両方を管轄する立場から、国交省として安全・安心の対策をずっとやっていて、1月にも元大臣が行っていただいてけんかしたという事情があります。

そういう意味で、彼らはほぼ商品造成の過程において、地域性も見ながら、どういった行程を組むのがいいのかということを、まさにカウンターに来た学校の先生とか、消防団の人と一個一個手作りをしていくわけです。そういう意味において、地域の実態を知っていないといけないということがありますので、地域の実態を知っているということと、試験を受けたということで、一定の知識、経験を有する人が一個一個の旅行について、適法性の観点、あるいは適正性の観点、安全性の観点からチェックしていくということにおいて、営業所ごとの専任が必要であると考えています。

業務量というところも当然あるとは思っていまして、1人でチェックするといっても、一定の業務量が上がってくると業務時間内に終わらせることがなかなか難しくなってくるであろうということも考えられると思っています。
業務の実態としては、東京にいるとなかなか分からないのですが、地方ではそういうのが通例になっているというご説明でよろしいでしょうか。

稲谷構成員: ありがとうございます。1点だけ、しつこいかもしれませんけれども、今、地域のこととおっしゃったのですけれども、地域の特性をよく知っているというのは、旅行契約をする地域ではなくて、旅行先の地域ですか。今のお話だと、スキーバスのやつとかだと旅行先のお話とむしろ関係するような気もしたので、そうすると、旅行契約をする地域とは関係がないような気もしたのです。

高橋参事官: どちらかというと、どこのバス会社を使うとか、どこの学校が今までここに行ったことがあるとか、消費者のニーズも勘案しながらつくっていくことだと思っています。

稲谷構成員: 分かりました。だから、その地域の人とのつながりみたいなものが必要になるということですか。

高橋参事官: それはかなり不可欠な部分でありまして、いいのか悪いのかは別にして、修学旅行も同じ旅行会社がずっと引き受けているというのは旅行の実態であります。

稲谷構成員: ありがとうございました。

事務局(大澤): 続きまして、落合構成員、お願いいたします。

落合構成員: ありがとうございます。今回ご説明いただいていた中で、旅行業者は非常に小さい事業者の方も多いということであったと思います。しかし、一方で、小さい事業者が大半とおっしゃられましたが、必ずしも全部ではないと思っております。ですので、どちらかというと、1人、2人であったり、家族経営という場合についてはあまり関係がないような場合も多いのかもしれません。とはいえ、例えば旅行業の統計を見ていても、地域限定の方もいれば、一種を持たれている方はどの都道府県でもおられるようです。そういう事業者さんのほうがより大きい可能性は高いのかなと一般的には思うのですが、ある程度規模がある事業者さんについては、もちろんJTBさんとか有名なところまでではないにしても、当然ながらあるとは思うのですが、そういった方々のニーズは、聞いてみると別途あり得るのではないのかと思われます。この点が実際はどうなのかをお伺いしたいと思いました。

また、この管理者の仕事についてですが、ほかの業法の関係で見ていますと、例えば適切な知識、経験を持っている人が必ずしも事業所単位でなく、会社の中で適切な業務量に応じて実施できる程度に確保すれば良いという決め方をすることもあるとは思っております。会社に全くいなくてよいという議論はあり得ないと思っているのですが、とはいえ、事業所ごとに紐付けるかどうかは別途選択肢があり得るかと思います。この点についてどうお考えになるかを伺えればと思いました。以上です。

高橋参事官: まず地域限定については、認めているのですけれども、これはそもそも計画を自治体と一緒につくって、公的な関与があるという前提の下で、なおかつ取扱いの金額が非常に小さいものについて、きちっと見るだけの余裕があるということについて、非常に例外的に認めたものであるということが一つ。

あと、要望が実際にあるのかどうかというところで、経済界からあった要望を我々が伺っているのが、1事業者に1人ということでいいのではという要望を受けているのです。それは普通に読むと、実名を出すとあれですけれども、大手の旅行会社で1人でいいということになりかねず、それは普通の考え方だとなかなかないのではないかと思っています。
その代わりと言っては何ですけれども、それではない要望として、今、営業所ごとになっているのを兼務ではどうかということでデジタル庁から提示を受けたというのが経緯だと思っているのですけれども、それについて、私のほうでも、リアルのほうもOTAのほうも実際に事業者と何回もヒアリングをして、本当にそういうことは必要なのですかねというのをかなり膝を突き合わせてやったのですけれども、さっき言ったような反応が返ってきています。これは我々の言葉で言うよりも、彼らの言葉で言ったほうがいいと思ったものですから、そういうメッセージをそのままお伝えさせていただいた次第です。

あと、それぞれ適正な単位でというのはおっしゃるとおりだと思っています。適正な単位ごとに専任ということになるのだと思うのですけれども、それは割と自然になっているのではないかと思っています。先ほどのご質問にあった、地方の家族経営でお父さん、お母さんがやっていらっしゃるところは、それ以上兼任という話にもならないでしょうし、お客さんにも違和感があるでしょうしというのが一つ。

大企業であれば、支社という単位でそれぞれ地域に根を張って、地方公共団体のお仕事、ふるさと納税なんかはそうですけれども、ワクチンの接種とかああいう業務も受注しながらやっています。そういう意味において、それぞれの大企業の判断で地方に支社を置くという中でまた責任者を置いていくということがされているのではないかなと思います。

一つ、今おっしゃった中で今後整理していかなければいけないと思うのは、やはりOTAなのかなと思っています。彼らは事業所はもちろん概念上1個しかなくて、この法律の理解するところの営業所が概念上存在しないものですから、本当は適正な業務管理のためには本社に1人ということでは駄目なのですけれども、そこを彼らは自助努力によって資格の取得推奨をやっていただいて、業務量に応じた管理者を配置して、カスタマーチームを編成してもらっているというのが実態だと思っています。そういったところについて、行政としても今後考えていくべき余地は当然あるのだろうなと思っております。

落合構成員: ありがとうございます。例えば、支社を出すような場合について考えたときに、県庁所在地に2人管理者がいて、1人は別の中核市の管理者を兼ねていて、もう一人が県庁所在地の管理者をしていることなどは考えられないものでしょうか。

高橋参事官: そういうのが実際に要望として上がってきているのかどうかというのも、我々として本当は知りたいところでして、もちろんそれは要望者を知りたいという趣旨ではないのですが、例えば我々はこういう規制緩和を、今おっしゃったような提案も含めて、どうなのですかねと聞いたところ、そういう規制緩和については特段の要望はないと言っているので、どういう企業体が今おっしゃったような、例えばそういう事業も緩和を要望されたとして、まさに今おっしゃったような大企業としての支社を出す判断の中で、一体どういうスキームで管理者を活用していくことを想定しているのかというのを明らかにした上で議論をさせていただかないと、建設的な方向に進まないのかなと思っているところでございます。

落合構成員: 分かりました。ありがとうございます。適切な人数の配置までは考えている方向自体はあまり変わらないとも思ったのですが、私も元の要望自体が分からないので、そこは事務局のほうで補足していただいたほうがいいかとは思いました。ありがとうございました。

事務局(大澤): 今の点を補足させていただきますと、事務局のほうで把握をさせていただいている内容は、例えばコロナで一時的に閉鎖をした店舗の管理者をほかの店舗に応援に行かせようと思っても、複数の店舗の管理者が兼務できないという縛りがあるので柔軟な対応が難しいということでしたり、例えば東京のお客様が沖縄に行くというケースで、沖縄の事情に詳しい現地の店舗のスタッフと相談をして、その旅行申込みをしても、チケットを最終的には自宅の近くで受け取る場合に、それぞれの店舗に管理者を置かなければいけないという事情から、管理者が異なっているという事情で、社内で受け渡しをしなければならないということなので、その辺を柔軟にできないのか。我々のほうで聞いている話はそういう話です。

高橋参事官: 前者の話について言えば、これもこの間ご説明したとおり、閉鎖した以上はそこに営業所はないという理解なので、一時的に他の店舗に振り替えていただくのは結構です。
2つ目の点について、社内の受け渡しというのは管理者の話とはちょっと違うのかなという気がしましたので、またちょっと事務的に詳細な内容をお伝えいただければ、また見させていただきます。

事務局(大澤): 分かりました。よろしくお願いいたします。

小林デジタル副大臣: ちなみに、先ほど言っていただいた前者のところは、元々のルールの中で解釈が明確になれば、それはできるということですね。

高橋参事官: おっしゃるとおりです。営業所というのは、当然営業している営業所という理解ですので、一旦閉鎖したのであれば、振り替えていただいて結構だと。もちろん問い合わせていただければ、我々の方でもそういうふうにお返しします。

小林デジタル副大臣: ありがとうございます。

事務局(大澤): ほかはいかがでしょうか。よろしいようでしたら、こちらのセッションはここで終了とさせていただきます。観光庁の高橋参事官には、ご多用の中、ご出席賜りまして誠にありがとうございました。
本日の議論を踏まえまして、作業部会として追加の検討依頼の連絡を差し上げる可能性もありますので、その際にはご対応のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここで一度、安念副座長に議事の進行をお返しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

安念副座長: それでは、後半のセッションを始めさせていただきたいと思います。前半同様、ヒアリングの議事進行は恐縮ながら大澤参事官にお願いいたします。

事務局(大澤): 続いてのセッションは、「浄化槽技術管理者の専任」を議題とします。環境省廃棄物適正処理推進課、筒井課長からお願いします。

筒井課長: 筒井です。浄化槽技術管理者の専任というところです。浄化槽技術管理者の専任の関係ですけれども、根拠法令は浄化槽法の第10条第2項でございまして、浄化槽法の10条では、政令で定める規模、これは501槽人以上の浄化槽ということですけれども、これの管理者が、環境省令で定める資格を有する技術管理者を置かなければいけないということが規定されています。

このように、法律上は置かなければいけないというだけなのですけれども、下の囲いのところに、昭和61年の通知において、技術管理者は施設ごとの専従を原則として浄化槽管理者により任命されるものであるが、一日の作業時間内に巡回でき、実質的に施設の常時管理を果たし得ると認められる場合はこの限りではないということが書いてあります。この中で専従原則が置かれているわけです。
なお、地域の実情に応じて、技術管理者の確保が困難な場合については、浄化槽の管理者が一定の指揮命令権限を確保した上で、委託している保守点検業者などに属する有資格者の中から任命することも妨げるものではないことと規定されています。

規制の趣旨、背景、実情などです。趣旨については、今回の場合は技術管理者が義務づけられているのは大型の浄化槽、501人槽以上の浄化槽です。大型の浄化槽は水処理施設になりますので、微生物の汚水処理を行う上で、それをしっかりと維持して、放流水の水質を確保するために維持管理をしていかなければいけない。

こういう大型ですので、機械設備が多岐にわたる、処理プロセスも複雑なので、汚水の性質とか処理システムを理解した上できちんと維持管理ができる、適切な水質で放流できるような技術者を置かなければいけない。

さらに、501人槽以上の浄化槽は水濁法に基づく特定施設ということで規制対象となりますので、そういう関係も必要である。

こういうことから、浄化槽の維持管理で技術的に高い知見を有して維持管理を行うような技術管理者を置く必要があるということになっております。

昭和61年の通知では、先ほど申しましたように、専従原則という旨が書いてありますけれども、一定の条件下での兼任、外部委託も可能とされております。実情としては、多くの場合は外部の保守点検業者に委託しているというケースが多くあります。自社の組織内で技術管理者を選任しているケースは少数派です。

そして、保守点検業者に委託されている場合は、管理できる範囲で複数施設を受け持つのが一般的という状況です。
制度の概要です。要すれば、技術管理者は、501人槽以上の大型の浄化槽ということで技術的な管理が必要となっているということで、統括的な管理をするような権限を有しているということでして、下のところで、資格要件ということで浄化槽管理士の資格を持っている人を選任しているということです。

現状のPHASEと目指すPHASEということで、現状はPHASE2の類型2です。今まで申し上げてきましたとおり、法律と通知で浄化槽管理者が所定の資格を有する技術管理者を置かなければいけないことを規定しているものであって、一定の条件の下で兼任・委託を認めているため、厳密な技術管理者の専任規制はないものの、昭和61年の通知において施設ごとの専従原則が示されている。デジタル技術の活用については明記がなされていないという状況です。

目指すPHASEとしては、技術管理者の業務の実情やデジタル技術の活用などを踏まえると、専任原則という形でなければ技術管理者の職責を果たせない状況ではないということです。このため、昭和61年の通知を見直して、施設ごとの専任原則、1日の作業時間内での巡回の規制を削除して、対象施設の浄化槽を実質的に管理し得る範囲で技術管理者を選任するという方向としたいと思っております。

最後、まとめです。現状と対応方針案。先ほど申し上げたとおりでして、対応方針としては通知を見直すということで、デジタル技術等を活用しまして、実質的に施設を管理し得る範囲で技術管理者の選任を行うことを明記するということで、スケジュール案としては、来年度、平成4年度の春に現状の確認、業界への聞き取りなどをした上で、来年度、平成4年度の早い時期に通知の見直し、発出を行いたいということです。以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。ご意見、ご質問がありましたらお願いいたします。
増島構成員、よろしくお願いします。

増島構成員: どうもありがとうございました。大変分かりやすいご説明をありがとうございます。この対応案をやることによって、実務はどういうふうに変化すると見込んでおられますか。それとも、もう既に委託でやっているのだから何の影響もないよねといって、文言だけを直せば一応要請には対応したことになる、こういう感じなのでしょうか。これをどういうふうに受け止めたらいいかについて教えていただきたいです。

筒井課長: 先ほどもご説明申し上げましたけれども、通知の中で委託先でも有資格者を任命することができるということになっていますので、実態としては多くのところがもうこういう形になっているということなので、あまり変わるところはないかなと。
ただ、専従原則というところを書き直すことによって、より幅は広がってくるかなということを考えております。

増島構成員: 浄化槽を実際に見たり、いろいろする作業があって、点検というのは別の項目として大きな501というところ以外にもやるのです、こんなことになっていらっしゃると承知をしますけれども、もともとのこの規制の趣旨である、変な微生物がいないかとか、こういうのをちゃんとチェックしようねという、この法制をより効率的に行うための実際に民間の方々が導入している技術は具体的にどういうものがあるのでしょうか。

環境省浄化槽推進室: 実際に、現場で業務の効率化のためにどんな技術を採用しているかという点ですけれども、実際の浄化槽の保守点検であったり、清掃の現場で実際に何をやっているかということをまず説明した方がいいのかもしれません。

保守点検であれば、浄化槽がきちんと動いているかどうかというのを確認して、その中でもし不具合がある、例えば変な臭いがきつく出ているとか、そういうのも含めてきちんと動いているかどうかというのを確認いたしまして、そちらについて改善が必要なものがあればその場で対応をする。例えば、物が挟まっているとか、夾雑物があればそれを除去したり、そういったことを行うという作業になります。

清掃に関しましては、浄化槽の中にたまっている汚泥という分解し切れなかったものを実際にバキュームカーで引き出すという作業を行うということです。

効率化のためのいろいろな努力はされているということで、例えばタブレットとかで状況とかを電子的に入力をして、後で状況把握とかをやりやすいようにするとか、そういったことを現場でやられているケースもあるとはお伺いしていますが、業界全体としては、どちらかというと伝統的な作業といいますか、業務という感じもございまして、そういった取組はまだこれからという状況なのだろうと考えています。以上です。

増島構成員: 今、この規制の設計は、規模に応じて点検だけでいいところと、人を置けということになっているわけで、大きいものは特に影響が大きいから少し重くしているということなのだと思うのですけれども、この規制の立てつけ、仕組みがもっと効率化しないのかみたいなところがあるのか、ないのかみたいなことなのではないかなという気がしていまして、専従規制をやめましょうみたいな、掛け声としてはそういうことにしているので、そういうのがあれば何か対応ができますかというのを各省庁の方にご相談を差し上げているということなのですけれども、本質的にやりたいことは、とにかく効率化していこうぜと。そこに技術が使えるならば、どんどん使えるようにしようと。そこに人がいなければいけないみたいなのは効率化を阻害してそうだから、まずそこを何とかする。こんなアプローチで全体を横に見てみたらどうだと、こんな発想でやっているわけです。

浄化槽法という法律の、水をきれいに保つために必要なオーバーサイトの枠組みとして、本当はどうなっているのがいいのかみたいなのは、ご意見とか、教えていただくことはできますか。このルールはどうなっていれば一番いいのでしょうか。大規模、中規模で点検と人という、この仕組みそのものの問題よりも、そのものがというか、もうちょっとうまい方法はないだろうかみたいなところです。

環境省浄化槽推進室: ありがとうございます。今回のヒアリングの趣旨は、あくまでも技術管理者というところでしたので、それに対応した形で資料を作成させていただいてございますけれども、それより広い視点でのご質問と受け止めさせていただきました。

こちらについては、浄化槽のいろいろな維持管理、先ほども申し上げた保守点検であるとか、清掃であるとか、それぞれの業務を効率化するためにどういうことが考えられるかというご質問と受け止めさせていただきましたけれども、こちらについて、正直なところ、一言でなかなか申し上げられない部分もあるのですが、例えば維持管理をする上で、昨年度、保守点検というものの頻度とかそういったものについて見直しも進めたことがございました。それは、例えば遠隔監視技術を使って遠隔監視を行った場合に、保守点検の頻度を2週間に一回だったものを1か月に一回に延ばせるとか、そういったところは実際はメーカー側からの規制改革の要望が上がってきて、それを踏まえて行ってきたものです。

そのため、いろいろなニーズを受けながらそれぞれ対応しているという状況でして、一概に浄化槽の中でどういう方向なのかというのは、ケース・バイ・ケースといいますか、家庭用の小型ものと今回のテーマになっている501人以上の大きいものとは大分状況が変わってきますので、そういったところも踏まえながら個別具体的に検討していく必要がある問題かと思っています。以上です。

増島構成員: そうすると、大きなものと小さなものでは、技術仕様とか、いろいろ違うのですということでいいわけですね。501というのは一応決めで線を引いていますけれども、そのぐらいで要求される管理水準とか知識水準が違うのですというのは一応あると。

環境省浄化槽推進室: はい。そこはおっしゃるとおりでございます。家庭用のものですと簡単にやって、点検頻度ももっと長いものですけれども、大型のものになりますと、先ほど筒井が申し上げたとおり、水濁法の対象施設になるとか、いろいろな規制項目がかかってまいりますので、大分取扱いは変わってきます。数としても大分違いがあります。

筒井課長: 補足ですけれども、今申し上げましたとおり、501人槽以上というのは水濁法の特定施設になるということですので、非常に幅が広いです。例えば、関西空港のような海上空港の水処理施設なんかも大型の浄化槽という定義の範疇に入ってきますし、501人槽以上だと、大型のマンション、ディベロッパーのそういうようなところも入ってきますし、非常に幅が広いというところが特徴としてあるので、なかなか一律にというところは難しいところがあるということです。

増島構成員: それが1万施設ぐらいという感じなのですね。分かりました。どうもありがとうございました。大変勉強になりました。

事務局(大澤): 落合構成員、お願いいたします。

落合構成員: 増島先生がかなりいろいろご質問されたので、状況も分かりまして、大変勉強になりましたが、もう一点教えていただきたいことがございます。もともと委託先であれば、複数のところを掛け持って良いと整理されたことが過去にあったと思いますが、そのときはどういう検討や議論があってそういった整理をされたのでしょうか。この点が、環境省で議論されていたのが、この分野については先行事例だと思いますので、いろいろ途中の施策を行われたときも、どう考えてそのようにおやりになられたのかを我々も理解しておいたほうが参考になるのではないかと考え、ご質問させていただきました。

環境省浄化槽推進室: ご質問の件ですけれども、通知を委託先も含めてということを明示したのが昭和61年でかなり古い時期でして、正直なところ、どういう議論があったかというのは当時の議論を探るのはなかなか難しいところもありまして、何ともというところではあるのですけれども、実は浄化槽法自体は昭和58年にできた法律でして、以前は廃棄物処理法の中の処理施設として位置づけられていた。それが分離・独立する形で浄化槽法という形になって、そのときに技術管理者というものも併せて持ち込まれた、そういった形になっています。

それから察するに、廃棄物処理施設ですと、市町村が持っているごみ焼却場といったものと同等の規制を受けていたわけですけれども、浄化槽になると、実際に数も多いですし、そこまでの規制水準まで求められるわけでもなかった。恐らくそういったところもあって、昭和61年の通知をまとめる中で、委託先とか複数の掛け持ちといったところも含めて明記したということではないかと思われます。これは推測ですので、正確ではないかもしれませんけれども、以上です。

落合構成員: 分かりました。ありがとうございます。類似するような規制との関係で、求められる役割の重さとのバランスで考えたときに、少し整理し得る余地が、実務的にプラスになるようにあるのではないかと考えられた可能性があると伺いました。確かに複数の規制がある場合にそういう比較の仕方で議論させていただくこともあるのかと思いました。ありがとうございます。

事務局(大澤): 稲谷先生、よろしくお願いします。

稲谷構成員: 恐らく落合先生のお話とも関係しますし、増島先生にもいろいろお尋ねいただいたので大分クリアになっているところではあるのですけれども、こちらの浄化槽のほうにも浄化槽管理士という資格を持った人が必要であるみたいなことが書かれていて、他の規制でもそういう資格を持った人を常駐させたり、一施設に専従させたりということをやっていることがあるのかと思うのですけれども、この規制に関しては、先ほどの落合先生のお答えと重なってくると思うのですけれども、そういう資格が存在したとしてもなお、複数の施設管理を兼ねても良いという整理がされたと理解してもよろしいですか。

筒井課長: 先ほども申しましたとおり、なかなか当時のことは分からないわけでございますけれども、実態論として501人槽というのはマンションとか大規模なディベロップをしたような場所から出てくるもので、現実として複数見ることができたり、委託業者さんに任せざるを得ないようなところがあったりして、そういう現実からある意味こういう制度立ての61年の通知を出してきたのではないだろうかと考えているところです。

稲谷構成員: ありがとうございます。もしそのように現実のニーズがあって、どんどん効率化していかなければいけないという話が背景にあるのだとすると、まさに今回、そうされようとされているわけですけれども、原則と例外を整理し直してみたり、より効率化のほうに進んでいかれる、そういうことになるのかなと承りました。ありがとうございます。

事務局(大澤): ほかはよろしいですか。そうしましたら、ただいまのセッションはこちらで終了させていただきます。環境省の筒井課長におかれましては、ご多用の中、ご出席いただきましてありがとうございました。
本日の議論を踏まえまして、作業部会として追加の検討依頼の連絡を差し上げる可能性もございますので、その際にはご対応のほどよろしくお願いいたします。
そうしましたら、こちらで本日ご参加いただきました3省庁の皆様方にはご退室をお願いしたいと思います。ここで、安念副座長に議事進行をお返しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

安念副座長: どうもお疲れさまでございました。ありがとうございます。続いて、事務局より今月29日に開催予定の第3回デジタル臨時行政調査会における報告事項についてご発表いただきます。「デジタル原則への適合性の点検・見直し作業」について松田参事官から、「法制事務のデジタル化」について須賀参事官から、それぞれご発表をお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

事務局(松田): ありがとうございます。私から、「デジタル原則の適合性の点検・見直し作業における類型・Phase案についての基本方針案」ということでご説明します。これはもう既に作業部会で相当もんでいただいているものでありますが、もともとデジ臨の本体からこの作業部会にお願いされている一つとして、類型・Phase案を3月末に確定をするということがミッションの一つでございましたので、今回、整理をしたものです。

まず1ページ目、今までの調整経緯も含めて少し記載していますが、各府省に第1弾(1月)、第2弾(2月)、第3弾(3月)ということで、3回に分けて意見照会を実施しております。

作業部会においても、先日のご指摘も含めて、類型・Phase案、あと具体的な当てはめを今ご議論いただきながらこの議論を深化させていただいているのかなと思っております。

その上で、一部は、規制の当てはめ等々についてはまだ調整中の部分はありますけれども、一旦この3月末で、まずこの類型で5,000条項プラスアルファについてしっかり当てはめをするという基本にしてはどうかということでございます。

※のところでありますけれども、今後、点検・見直しを進める中で、確かにこの類型をより分けたほうがいいということが出てくれば、作業部会でまた追加でご議論いただいて、類型やPhaseの調整を行うことはあるのかなと思っていますけれども、基本枠組みを一回定めたいということでございます。

2ページ目に参りまして、ここは前回、定期検査等を含めて議論があったところとも関係しますが、まず目視のところは情報収集の遠隔化、人による評価がPHASE2、PHASE3が判断までデジタル化していくということで書いているものになります。

3ページ目は当てはめということで、作業部会で当てはめたこと。注書きが上にございますけれども、作業部会で確認された課題の解決をしっかりすれば、PHASEを進めることが可能だろうと事務局として考えているものという位置づけで、PHASE1から2、3へ変えていけるのではないかということを整理しております。

4のページが、前回から少し修正をしているところになります。PHASE2のところ、今日も増島先生を含めてご指摘がありましたけれども、そもそも現行の規制の合理化だけでなくて、新たな規制の在り方の検討というところで、PHASE2のところで、デジタル技術の活用によって規制目的をどうやれば達成できるのかということをきちんと議論して整理をするということ。その中で、現行の規制の合理化とか民間の技術の積極的な活用を進めていくというPHASEをまずPHASE2ということで位置づけた上で、PHASE3で究極的にはそれぞれ第三者検査の撤廃、定期自主検査の撤廃等々。その途中段階としては、検査周期の延長といったところが目指すところではないかということで、PHASE3はそういう形で整理をさせていただいております。

5ページで、作業部会でご議論いただいたものということで、事務局としてここもできるのではないかということです。作業部会で各省庁に整理いただいたものと、今後技術的な検証やシステムの投資等々を進めていけばできるのではないかということで整理しているものになります。

6ページは、常駐・専任規制の類型化ということで、まさに今日ご議論いただいてございますけれども、まずPHASE1は現状というところで、PHASE2がデジタル技術による合理化をしていくということ。PHASE3は、最終的には常駐・専任規制自体を課す必要はないのではないかというところを書いています。

7ページがそれの当てはめということで、今まさにご議論いただいたところを、最終的には今日の結果を踏まえてリバイスする必要があるところもあろうかと思いますけれども、整理をしています。

8ページ、最後が書面掲示、対面講習、閲覧・縦覧規制の類型化というところで、これについてはPHASE1が紙・人の介在、PHASE2がデジタル原則に適合する手段を可能とするというところでございます。PHASE3がデジタル完結を基本とするということで、例えば資格試験でありますと、オンラインによる講習受講を可能とするだけでなくて、受講申請もオンラインを可能とする、受講修了証のデジタル発行も可能とするということで、一連全体をデジタル化をするといったところをPHASE3ということで整理をしてございます。これは、9ページでこれまでの作業部会でご議論いただいたものを当てはめているということになっています。

今回、ここで類型化を作業部会として整理いただいて、3月末のデジ臨にご報告をして、それから各省に対してもこの類型に必ず次回までに当てはめてほしいということで調整をしていくということになろうかと思っています。以上です。

安念副座長: ありがとうございました。それでは、議論は先にさせていただくとして、続いて須賀参事官、お願いします。

事務局(須賀): 続きまして、法制事務のデジタル化検討チームのほうの検討状況をご報告させていただきます。作業部会の構成員の皆様には、随時、こちらのチームの議論にも参加していただきまして大変ありがとうございます。

2ページですけれども、年末の臨調にお示しさせていただいたとおり、今、デジタル臨調で行っている規制制度の見直しが、政府の恒久機能として保持されていくために何が必要かという観点から、法制事務のデジタル化を検討しております。

3ページ、問題意識としては、デジタル原則の適合性確認が自律的かつ効率的に行われていくような体制やプロセスをどうやって政府の中で組んでいけるか。それから、政府だけではやり切れませんので、ルール全体をカバーするため官民で連携をしていこうと思いますと、そもそも現在の最新の条文がデジタルで常に手に入る状況をまずは実現しなければならないということで、法令のマスターデータのご提供。マスターデータを提供するに当たって、官民でどのような役割分担をすればいいのかといったことも議論する必要があろうという問題意識を持っております。

4ページ、経済界からもいろいろご要望をいただいた中で、官報の原本は常に紙であることが全体のボトルネッになっていますというご要望をいただいていまして、データの公開・再利用は重点項目だと認識していて、こちらにお答えする取組の一つでもあると思っております。

5ページから中身のお話をさせていただきますけれども、法制事務のデジタル化検討チームにおいては、大きく分けて課題を2つご検討いただいています。

1点目ですが、法令のデジタル原則への適合性確認プロセスや体制について、論点を3つに分けてご検討いただいています。

7ページが1つ目の論点です。まずは、デジタル原則を当てはめると、自分の所管しているルールもアップデートが必要なのではないかということに各省で自律的に気づいて直していただくことが大変重要だと思っていますので、そのためにデジタル臨調が具体的な指針をしっかりとお示しする。しかもそれを勝手に決めるのではなくて、公の場でしっかりと議論をしていただいた上で決めてご提供していくことによって、自律性や予見可能性を担保することが重要ではないかということが1点目です。

8ページデジタル技術です。作業部会でご議論いただいたとおり、現時点ではこういったものが規制見直しに活用されうる有望技術だと思っていますが、技術進展に伴いマップに掲載技術が追加されていき、そういった知見を指針にもしっかり盛り込んでご提供していくことで、規制見直しの端緒にしていただきたいと考えています。

9ページが論点の2点目になります。法令がつくられる立法プロセスにどうやって点検を組み込んでいくかということです。法律案と政令という内閣法制局の審査に係るものについては、デジタル庁において法制局審査前に、見直しが間に合うタイミングでチェックをさせていただくことがいいのではないか。他方で、全部をデジ庁で見ますといってボトルネックになってもご迷惑ですので、省令以下については基本的に各府省が指針に基づいて、政策が決定してしまう前に、パブコメにかかるものについてはパブコメ前に、確認をしていただくというのが通常プロセスとしては望ましいのではないかということを考えています。

10ページです。先ほどは新規の法令に関してでしたけれども、他方で、今デジ臨事務局が点検している既存の法令の見直しも、技術の進歩に従って継続していかなければならないわけです。既存法令に関しては見直しの端緒をどういうふうにつくっていくか、把握していくかということが非常に重要です。例えば技術が進展したというテクノロジーマップの更新時とか、国民や産業界からご要望をいただいたタイミング。あるいは執行状況を定期的に見てみたところ、ここが芳しくないのではないかということに誰かが気づく必要があります。そういった端緒については公の場による検討を経た上で、デジタル庁が責任を持って点検をしていくというのが望ましいのではないかと現時点では考えております。

11ページ、立法が一段落しますと、今度はこれをどう執行していくかという執行の設計プロセスに入っていきます。関係する役所の方とか自治体の方に集まっていただいて、執行にはどういった手続を組むと最適なのか、システムはどういうものが必要で、どことどこが連携しなければならないのか、それを回すためにはどういった体制を誰が持つべきなのかということについて、当局だけではなくて、関係者が集まって事前にすり合わせをすることが非常に重要ではないかと考えております。その執行調整プロセスをデジタル庁のほうでしっかり音頭を取れるように、システムに関しては整備方針、全体に関しては論点①でお示ししたような指針に、プロセスを明確化していくことができないかと思っております。

12ページが、それをどういったタイムラインで進めていくかということで、これは最終的に工程案として臨調にもご報告しなければならないと思っているのですけれども、指針はデジ庁において草案を作成した上で、公の場で議論していただきながら、立法プロセスや執行調整プロセスについては今年の重点計画に盛り込みながら、必要な部分は閣議決定をしたり、あるいは予算要求や体制の構築なども順次してまいりまして、最速で令和6年度の常会提出法案のうちの一部についてデジ庁で試験的に確認をさせていただくということを始め、集中改革期間の3年程度の間にしっかりと恒久的な機能を整えていくことができればと思っております。

13ページからが2点目の課題になりますけれども、法令のマスターデータをどのようにご提供していくか。14ページですが、法令のデジタル正本の公布方法や時期について法的な根拠は現在ないものですから、まずは公布と同時に最新のデータが常に世の中に出ているという状況を実現するというふうに明確に位置づけるべきだと思っています。公表される法令データも、人間が読んでも分からない、機械でも読めないというものではなくて、国民が使いやすいデータの形式や内容になっていることを目指すべきだと考えております。

15ページは、現行の法令データの更新の状況です。

16ページ、まず1つ目の論点としては、それを実現しようとしますと、法制執務自体もBPRをかける必要がありまして、その中でも一番重要なのがとにかく人手の介入を減らしていくということです。何度も何度もフォーマットが違う文書をつくれば、そこでミスも発生しますので、人手によるデータ変換をどうやったら最小化できるかということをまずは目標として置きたい。

そうしますと、例えば官報とe-LAWSの法令データの形式がずれている必要はないのでそろえられないかとか、そもそも法律をつくる人が改正後データに可能な限り近いフォーマットで編集できるようなエディタの開発ができないかといったことを今検討していただいております。

17ページ、現行の法制執務で人が介在しているポイントを特定しておりますので、それぞれについてどうやって見直せるかということです。18ページ、法令データの形式も、今は改め文と言われるものが正式ですけれども、人間、機械それぞれにとって可読性の高いデータ形式なのかということをしっかり議論した上で、先ほどのエディタ開発とあわせてデータ形式についても最適なものを模索していければと思います。将来的には、機械判読が可能なルールが公開され、自動執行されていくような、シミュレーションもできるような環境を実現したいと思ったときに、より進んだデータの在り方はということも議論をしていきたいと思っております。以上です。

安念副座長: ありがとうございました。いずれも大変野心的な構想を示していただきました。私、改める文を読むのが大好きなのです。ちょっと変わった趣味だろうとは思うのですけれども、それもなくなるのかなと思うと寂しくなくもないですね。そんなことはどうでもいいです。

どうもありがとうございました。

ただいまのご発表について、改める文が好きかどうか以外のご意見を承りたいと存じます。どうぞ、どなたからでも。

私から一つよろしいですか。箱をつくりましたね。箱をつくったこと自体が全く画期的なのだけれども、当然ながら、所管の省庁さんにはまずは箱の中に今自分たちがやっていくことを入れ込んでいただく、これが第1作業。次に、当然のことだけれども、その箱の中にちんまりとどまっていないで、もう一つ、できるだけ先の箱に進まないといけないという、居ても立ってもいられないような気持ちになっていただかなければいけないのだけれども、これは具体的にはどういう手だてになりますか。

事務局(松田): ここは大変大事なところだと思っていまして、実は3つぐらい、まずできることをやり出していまして、1つは、類型化の協議だけではなくて、それがある程度整ってきた段階で、先月ぐらいからだと思いますが、できるところから事務局であなたはどこまで行けるのかという案をつくって各省に投げています。これもある種画期的なことだと思っていまして、私も各現班から上がってきて、本当にそれはできるのかなと思っていたのですが、それぞれの班でつくってもらって、それを各省に投げています。それで本当にいいのかどうか、最後、挙証責任を持っている側でちゃんと考えてくださいねというやり取りも開始しています。その中で、その当てはめでもういいというところも一部回答が返ってきています。ただ、まだ相当返ってきていないところがありますし、嫌だというところも当然ありますし、3月末に類型がフィックスした後、4月、5月に作業部会のお力も借りてというところが1つ目かなと思っております。

もう一つは、各省とのコミュニケーションとして、今それぞれの担当課と結構緻密に各参事官でやらせていただいているのですが、官房の取りまとめ部局とか省によっては局の法令取りまとめのところと、最後どこまで行けるのかというところを一緒になってやっていただくような投げかけとかコミュニケーションが要るかなというところと、最後はまさに作業部会でいただいたような、やることによって、やる後押しの技術検証の予算とかシステム投資がついてくるというプラスアルファ、やろうとするとプラスがあるというところも必要かなと思います。

ほかにももしご指導、ご意見があれば、いろいろインプットいただきながら考えたいと思っております。

安念副座長: ありがとうございました。やはりその気にさせる手段をいろいろくり出さなければいけませんね。いろいろ考えておられて、どうもありがとうございます。増島先生のお手が挙がっていましたか。

増島構成員: もう一個の部会のほうで実は論点になっていたもので、先生のお好きな改める文の話がございまして、学者の先生によると、改める文は唯一無二のとても重要なものであり、利用者にとっての利便性を維持する、ここの利用者というのは※印がついていて、自分たち研究者と言っているのだと思うのですけれども、その利便性を確保するために、改める文は保持せねばならぬ。こういう見解をお伺いしたのですね。

私はこれがフェアなステートメントなのかどうかなのかの判定がつかなくて、研究者にとってというのは、研究者が改める文の利用者なのかという問題は置いておいたとして、改める文の研究にとっての重要性という観点から、先生からのご見解をお聞かせいただけるとありがたいと思いました。

安念副座長: 私は何の関係もないですよ。ただ単に趣味として、骨董品が好きなみたいなのと全く同じですよ。だって、今、法制局を通る法律・政令については改める文だけれども、省令なんかはもう出来上がりの姿だけ提示して、二重線のところは改めたことにしますというやり方を取っているじゃないですか。別に何ということはないですよ。私は寂しいというだけです。以上です。

増島構成員: ありがとうございます。まさに、法制上極めて重要だという話をされたときに、僕も、省令はたしかやめたと思うのですけれども、省令をやめて何か支障はありましたっけという話を差し上げたところだったのですけれども、そんなに変なことは言っていないということで大丈夫ですかね。

安念副座長: 大丈夫も何も、おっしゃるのが正論です。

増島構成員: 大丈夫ですか。先生方が改める文を使って秘術を施したりされていらっしゃるのかなと思って。それが重要なのだとすごくおっしゃるものですから、一体どんなあれがあられるのかなと知りたかったのですけれども、あまり直接聞けなかったもので先生にご相談してみました。

安念副座長: 私ばかりしゃべって何だけれども、私は原子炉に関する、これはもともとは通産省令だけれども、技術基準省令というのがあるのですけれども、その改める文も何度も何度も改正されていますけれども、全てを後づける作業をかつてしたことがありますけれども、だからそれが必要だなんて全然思っていません。私は全く自己満足の達成感が非常に高かった。それだけの話です。増島先生がおっしゃるのが100%正しいお考えですよ。そんなものは関係ない。

増島構成員: すみません。改める文に精通した先生がそうおっしゃられるのであれば、そうなのではないかという気がしてまいりました。ありがとうございます。

事務局(柳生): 事務局から一言だけよろしいでしょうか。

法情報学の先生方から改め文の有用性というのをいただいのかなと思っていまして、先生たちも別に改める文を維持しろという意味でおっしゃっているわけではなくて、改め文をつくっているときに意味的に取っている部分があったり、結局、法律の題名を変えにいくときは部分で取りにいくのではなくて、法律の名称をそのまま全部変えにいくのが基本だとか、改め文も単に差分を取っているだけではなくて、改めようとしている内容を表現している、端的にそれを表現しているといった部分があるのだというところで、法改正の趣旨、内容といったものが改め文の中に入っているというところの情報、今分かっているようなものについて、それがなくなってしまうということについては、それは情報の欠落になるのではないのかということから、改め文で処理できている情報と書いてあるところはまさにそういうことでございまして、改め文維持というよりも、そこで表現できている内容、情報といったものを、いかに違う形式でやる場合についてもちゃんと取れるようにしておくのかといった問題意識からおっしゃっていたということでございますので、増島先生がおっしゃっている問題意識と、法情報学の先生たちも別に違っているわけではないので、今日はいらっしゃっていないので事務的に補足させていただきました。失礼いたします。

安念副座長: おっしゃるとおりですが、これはもう機械的にビフォー・アフターの差分を取ればおのずから改める文になるわけだから、機械でやれるところはやればいい、それだけのことでしょうね。ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

稲谷構成員: 改め文をそのまま維持するようにという意見はなかったです、ということは初めにお伝えさせてください。また、アノテーションの機能をどういう形で残すかというのは、しかも国民にアクセス可能な形で残しておくというのは大事な機能ではないかと思います。例えばフランスの法令サイト、レジフランスとかでも、現在に至るまで各法文がどのように改正されてきたかについては、全部追えるようになっています。

したがいまして、法令の改正作業ないし改正手続自体は、その部分はひとまずなくして、よりスピーディーに完結できるようにすることは望ましいですし、早く出来上がった条文を公表できるようにトラックを整備するというのはとても大事だと思うのですけれども、一方で、日本の今の法令は、なかなか簡単にアノテーションに飛べないという問題もあると思うのですね。今回の作業で、そこまでやるかどうかは別としても、せっかくなのでアノテーションについても簡単に飛べるようにシステムをつくってあげると、より法令に対する実質的なアクセスも上がる気がします。諸外国だとそういうのをやっている例があるというのは情報として、もうご存じかもしれませんけれども、お伝えさせてください。僕自身も改め文方式そのものを守るべきであるとは思いませんが、アノテーションの機能は何らか形で必要ではないかと思う次第です。その点、誤解のないように願います。

安念副座長: お願いいたします。

事務局(須賀): 今、そもそも法令が成立した後に、執行の最適化のために、実はこのシステムを使ってもらったほうがいいのではないかとか、このベースレジストリは参照してもらったほうがいいのではないかということを関係者で集まって調整する機能やプロセスが一切ありません。

今回ご提案していますのは、システムをどう組んでいくか、体制をどう組んでいくか、省令以下の下位法令で手続をどう決めていくかというのを全部まとめて、一回みんなで集まるようなプロセスというものをしっかり位置づけられないかということです。それをどのタイミングでデジタル庁が呼びかけるのか、関係者をどう特定するのかといったことは今後検討しなければならないと思うのですけれども、まずはそういったプロセスを新規に創設していくというご提案をさせていただいています。

稲谷構成員: ありがとうございます。これは物すごく重要な機能だと私は思っていて、本質的に革命的に重要な機能ではないかと思います。個人的な印象かもしれませんが、割と今まではそれぞれの法律の法目的を、それぞれの法律がばらばらに追求するという状態になっていたと思うのですね。つまり、制度全体としてより大きな目的を整合的に実現していくために、どういう形で実際のエンフォースメントのフローを考えていくのかに関するプロセスがこれまで無かったように思うのです。規制の効率化を考える上で、これは極めて重要な機能と思うので、ぜひ進めていただきたいと強く思います。

もう一点は、これまでの議論の中でも何回か出てきていた問題なのですが、これから新しい技術を試そうとする事業者の側からすると、何らかの規制に引っかかって意図しない形でエンフォースメントされてしまうリスクを考えると、怖くて中々できないと片方でおっしゃられている、しかし、もう片方で、それぞれの規制省庁からすると、例えば認可などを与えて事業者自身にやらせてみてはどうかという話に対しても、そうすると必ず虚偽を申告するものが出てきて問題を生じる可能性があるので中々踏み切れないというジレンマがある。要するに、アジャイルガバナンスを実現するために必要なインセンティブを与えるべく、一貫したエンフォースメントの仕組みをどう整えていくかが問題になっていて、この課題を進めていくためには、省庁横断的な横串的な話が必要なのだけれども、これまで、中々うまくできなかったというところもあるのかなという気もしています。そうすると、この事前調整プロセスの制度化の話の中に、中長期的な部分として含まれているのかもしれませんけれども、そういったシステム全体としてのインセンティブ設計みたいなもの、まさにそれは各法律がうまく組み合わさって初めて生まれるものだと思うのですけれども、そういった視点みたいなものが含まれるといいのかなと思いましたので、少しコメントさせていただきました。

事務局(須賀): ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。

安念副座長: おっしゃるとおり、それが実現したら革命ですよ。日本では法律というのは中央官庁の課が持っているのだから。うちの課では○○法を持っていますからという言い方が、少なくとも僕の若い頃は公然とまかり通っていたのですからね。横串を刺したエンフォースメントのシステムなんてあるはずがない。そういう意味で、実現したら画期的だというのはご指摘のとおりです。

稲谷構成員: これは本当にすごく重要だと思いまして、デジタル化を進めていく上でも決定的な気がしますので、ぜひやっていただければと思います。ありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。ほかはいかがですか。

根本構成員: 今の点、事前の執行調整プロセスの話になっていませんか。ほかのところに書いてあった気もしますが、法律を先に通す形にすると、「ちょっと中身が違うので別のベースレジストリが必要」みたいな話にならないかという懸念を持ちました。デジタル法制局段階でも「これを念頭に置きながらやります」という仕組みにしておかないと、「法人番号があります、マイナンバーがあります、医療等IDがあります」といった事件が再燃することが懸念されます。そこは何らか仕掛けをご検討いただきたい、というのが希望としてあります。

もう一点、松田さんの説明の関係です。先ほど旅行業のところで出たみたいな話がこの後もたくさん出てくると思います。実は、あのやり方は規制改革推進会議方式であるため、「需要がないからやりません」みたいな話になると、神学論争になり「労多くして・・・」ということになりますが、今は「デジタル化する」と決める話をしているのだと思います。原則はデジタル化して、できるところはそちらに振り替えていくのです、守るべき法益のところは当然守るのですと。「デジタル化で守れない法益とは何ですか、挙証してください」というやり方にぜひ変えていただきたい、という希望です。

安念先生がおっしゃったとおり、現状維持に非常に強くスティックされる方々がたくさんいらっしゃいますので、ぜひそこは「もう変えるのです」という前提でスタートしていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

安念副座長: 産業界のおじさんこそスティックなのですよね。今の2点のコメントをいただきましたけれども、事務局から何かレスポンスはございますか。

事務局(須賀): 1点目については、執行調整プロセスの前に、立法プロセスにおいてもデジタル原則適合性確認を行うことをご提案させていただいております。デジタル原則の3、4、5にはベースレジストリを皆で参照していこうという共通基盤利用原則なども入っております。法令レベルでまずしっかりと確認をするというのは大前提で、ただ、そこで押さえたと思っていても、執行プロセスのほうでいろいろと骨抜きになってしまう可能性がありますので、二度やらせていただくというご提案をしているつもりですので、ご趣旨は踏まえているように思います。

根本構成員: ありがとうございます。

事務局(松田): 2点目のところも大事だと思っておりまして、私も今日の旅行業のご主張を聞きながら、典型的な主張をくり出されるなと。昔いろいろやったことを思い出しながら、古典的だなと思いながら見ていたのですが、今回、デジタル化ということですし、究極的には本来規制は、規制当局側が常に立証責任を持って合理化するというのは当たり前なので、それは憲法から来る基本的な要請だと思うので、そういうところからそもそもデジタル化が何でできないですかというところも含めて、しっかりやり取りしていけるようにしたいと思いますし、また、議論したものをしっかり世の中に公表しながら、世の中から見て当然こういうテクノロジーが使えるのではないかという目線で世論から言っていただくこともすごく大事だと思いますので、そうしたところをまたいろいろご協力いただきながら進めていくということと、あとは全体の取れ高というところはリソースをどこにどう割いていくかというところもあると思いますので、それも含めてまたご相談させていただければと思います。

安念副座長: 落合先生、お願いします。

落合構成員: 1点目が、ちょうど根本構成員がおっしゃっていただいたように、今日みたいに面倒くさい感じで「要望がないと」と言われる項目は後回しにして、進められる方を先に進めて、それを並べていくことを主な運用として進めていただくのが良いかと思いました。もし必要があれば、規制改革のほうに、難しい議論になる項目は振っていただいたほうがいいかのではないかという印象を持ちました。

2点目のインセンティブについて、お金のことをおっしゃっていただいたものがあったと思っております。もう一つ重要なのは、人事評価上のプラスがあると思いまので、その点もぜひお願いしたいと思いました。
須賀参事官に関するコメントとしては、執行調整も非常にすばらしいなと思っております。アジャイルガバナンスで言うと、執行調整もして、その結果も評価して、また一緒に計画するほうにも戻していきましょう、というぐるっと最後回る矢印が完結する点も、資料にどこまで書くかは別にしても、そういう形になるとよいかなと思いました。
最後に、改め文は私が法情報学の先生方に名指しで怒られました。ほとんど安念先生と同じことを申し上げて、厳しくご指導いただいたのですが、ポチの1つ目の※マークでそのご趣旨は拾っていただいているように思います。複数改正などの複雑な場合に、最初と最後の改正を、同時に施行してしまったときに2つの改正を混ぜ込んだりということが、ただ単に並べるだけだと起こってしまうということでした。差分情報の中に重要なものが一部あるので、そこは取っておこうということで、それはおっしゃるとおりだなと思いました。その点を踏まえて事務局のほうでご整理いただいたものだと思いますので、その議論を全部カバーしていただいたと思いました。最後は感想です。以上です。

安念副座長: どうもありがとうございました。3段ロケットとか4段ロケットで施行期日を変えるような場合については、改める文にある種の効能があることは確かですね。最後に、副大臣から一言賜りたいと存じます。

小林デジタル副大臣: 皆さん、今日はありがとうございました。

ゼレンスキーさんの演説よりもデジタル臨調の議論を取っていただいた皆さんに、大変誇らしく思っておりますし、敬意を表したいと思っております。

今日、なかなか象徴的な例の旅行業の話があったのですけれども、2つあるなと思っていまして、やはり規制は、社会的規制というのは安全性を担保するためにというのと、経済的規制ということでマーケットをどういうふうによいものにするかということでいくと、さっきの話はほぼ経済的規制の部分が強いのだと思うのですね。そこを変えたときに、別のやり方で担保してあげられるのかというのが本来ないと、彼らも落ち着いてそこは議論できませんということもあるのだろうとは思われます。

ただ、だからといってデジタル化しなくていいのだということではなくて、それも乗り越えられる知恵を我々で生み出さなければいけないということが皆さんと一緒に共通して持てたのはすごくよかったのではないかなと思っています。

そういうわけで、あそこを相手にしている大澤参事官、本当にご苦労さまです。大澤参事官の頑張りは報われないということにならないようにしっかりやりたいと思っていますが、落合構成員も言っていただいたように、まずは乗れる人に早く船に乗っていただいて、いいところに行けるのだ、幸せになるのだということを世の中に共有することがすごく大事なのかなと思います。

そういう意味で、PHASEの整理も、はまっていったらどんどん公開して、オープンデータで、何だったら省庁が比較されるような状態になっていってもらえるといいのではないか。ほかから採点されたらいいのではないかと思っておりますので、そういったことも含めて、世論形成もしながら、いいモチベーションを各省庁につくっていけるようにできたらいいなと思います。

そういうわけで、安念先生のご趣味も開陳をいただいて、我々の一体感も高まったところで、また次に向けて頑張っていきたいと思いますので、引き続き皆さんご協力よろしくお願いします。ありがとうございます。

安念副座長: どうもありがとうございました。最後に、事務局より次回の作業部会の開催についてご説明をお願いします。

事務局(松田): 次回の作業部会の詳細につきましては、事務局より追ってご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

なお、本日の議事につきましては、公開になじまない内容はないということでございますので、後ほど議事録を作成し、皆様にご確認いただいた上で公開させていただきたいと思います。本日の資料につきましては、特段のご異議がないようでございましたら、全てデジタル臨調のホームページにて公開させていただきたいと存じます。
本日はご参加いただき、ありがとうございました。