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デジタル臨時行政調査会作業部会(第16回)

概要

  • 日時:2022年(令和4年)11月30日(水)15時00分から18時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. コンビニ業界における酒・たばこ販売時の年齢確認ガイドラインの作成について
    2. 金融業界要望への対応状況について
    3. 次期通常国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について
    4. 地方公共団体の取組支援について
    5. プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しの基本的な方針について
    6. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和4年11月30日(水)15時00分から18時00分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹(デジタル副大臣)

構成員

  • 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会常務理事)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHATechnology代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)

事務局(松田): それでは、時間となりましたので、第16回デジタル臨調作業部会を開会させていただきたいと思います。

今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加をいただいております。
本日の構成員の皆様のご出席状況ですけれども、菅原構成員におかれましては所用によりご欠席と伺っております。

本日最初の議題でありますコンビニ業界における酒・たばこ販売時の年齢確認ガイドラインの作成につきましては、OpenIDファウンデーション・ジャパンの神谷様、日本フランチャイズチェーン協会の笠井様の発表も予定しています。

なお、オブザーバーとして財務省、国税庁、警察庁、経産省にご参加いただいているところです。

最後の議題が「プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しの基本的な方針について」ということになっております。こちらの議題につきましては、プライバシー専門家の有識者の皆様にもご議論に参加いただきます。

早速ではございますが、これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。
以降の議事進行につきましては、安念先生にお願いをしたいと思います。安念先生、お願いいたします。

安念副座長: 安念でございます。
本日もご参集いただき、ありがとうございました。
早速、議事に入ります。

第16回の議事は次の5項目でございます。

  • 第1:「コンビニ業界における酒・たばこ販売時の年齢確認ガイドラインの作成について」
  • 第2:「金融業界要望への対応状況について」
  • 第3:「次期通常国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について」
  • 第4:「地方公共団体の取組支援について」
  • 第5:「プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しの基本的な方針について」

それでは、まずは天達企画官、神谷英亮様、笠井玲子様より「コンビニ業界における酒・たばこ販売時の年齢確認ガイドラインの作成について」、ご説明をお願いいたします。

事務局(天達): よろしくお願いします。
年齢確認ガイドラインについてご説明させていただきたいと思います。

私のほうから、まず経緯についてご説明させていただきます。

酒とたばこにつきましては、20歳未満の者に対して売ってはいけないということで、販売する際の年齢確認を求めています。自動販売機につきましては、財務省、国税庁ともに機械、年齢確認装置を公表しております。一つにはtaspoカードでして、また、マイナンバーカード、運転免許証の読み取り方式というものがございます。

自動販売機の写真でご説明させていただきます。自動販売機につきましては、右上のところに、ここにあるような年齢確認装置があります。この年齢確認装置にマイナンバーカードまたは運転免許証を入れることによって、その方が20歳以上であるということを確認できるという形になっております。自動販売機につきましては、このように基準が示されています。その一方で、無人レジの酒・たばこ販売につきましては、この年齢確認装置の基準が示されていないということがございます。そのため、コンビニ業界におきましては、行政指導等を懸念し、酒・たばこ販売の無人レジを増やせなかったということがございます。

我々は、財務省、また、国税庁と一緒に協議を行いました。その結果、財務省からご提案いただいたのですが、日本フランチャイズチェーン協会が年齢確認手法の自主的なガイドラインを作成すればよいということで話を進めさせていただいております。このガイドラインに対しまして関係省庁がフレンドリーアドバイスを行っています。

本日は、このJFAの年齢確認ガイドラインにつきまして、皆様に妥当性を評価していただきたいと考えております。その評価に当たりましては、行政手続本人確認ガイドライン、また、民間本人確認ガイドラインを使って、合理的であるかということを確認、評価いただきたいと考えております。

この評価を受けまして、来年1月にJFAはガイドラインを発表いたします。加えまして、全国一律の行政指導のため、各省がガイドラインの情報を全国の財務局、税務署、警察署に周知することになっています。

詳細につきましては後の発表者からご説明いただきますが、このガイドラインは、様々な年齢確認手法とそのレベルを示しております。登録手続につきましては、身元確認保証レベル、そして、登録情報を基に実際に買うときに本人確認を行う、当人確認保証レベルがございます。

ガイドラインは、この赤枠のように、財務省が自動販売機で認めていますtaspoカード、そしてまた公的身分証明書の読み取り方式のレベルをベースに、このレベルよりも高いもの、厳格なものを求めていますので、このガイドラインに基づきますと、未成年によるなりすましが難しくなる、年齢確認が厳格になることになります。

それでは、民間本人確認ガイドラインにつきまして、神谷さんのほうからご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

神谷氏: TRUSTDOCKの神谷と申します。よろしくお願いいたします。

私からは、OpenIDファウンデーション・ジャパンで取り組んでいます民間事業者向けの横断的なデジタル本人確認ガイドラインの策定状況についてご説明申し上げます。

デジタル技術を活用した本人確認をデジタル本人確認と呼んでいますけれども、現在、幅広い民間サービスに広がっています。今日は、そのルールに関してのご説明でございます。行政手続向けには、約4年前に政府からガイドラインが示されています。他方で、民間事業者向けの横断的な指針がありません。事業者からのニーズもありましたので、民間事業者自ら中心となって作成しようというのが私たちの取組でございます。

このガイドラインですけれども、一義的には事業者の皆さまが直接参考にすることを想定しています。他方で、業界、業種ごとの事情だったり関係法令だったり慣例などを踏まえて団体として対応したいというご要望もございます。本日ご説明いただくJFA様のガイドラインがその先行事例でございます。

続きまして、背景です。5ページをご覧になっていただければと思います。
本人確認に関する変化、2点ご紹介いたします。

1点目は、オフラインからオンラインへの変化です。アナログからデジタル技術の活用へと変化しています。今まで長いもので1週間程度かかっていたものが、今は30秒以内で本人確認手続完了という手法もございます。終了時間が短くなるだけでなくて、いつでもどこでも本人確認が可能となるといった利便性が向上しています。

2点目は、身分証の変化です。身分証には様々な種類があります。今までは運転免許証が中心的な存在として扱われてきましたけれども、これからはマイナンバーカードが身分証の中心になっていきますので、本人確認もマイナンバーカード中心の設計を加速させていく必要があると考えています。

続いて、7ページをご覧ください。

OpenIDファウンデーション・ジャパンのメンバーでは民間事業者の卵の絵と呼んでいます。民間事業者の皆様と本人確認規制との関係を絵にしたものです。黄身のように見える部分が法令に本人確認の定めのある事業者です。薄い黄色と白のところ、ここを併せて私たちは白身の事業者と呼んでいますけれども、こちらは法令に定めがなくて自主的に本人確認を導入する事業者でございます。2018年、犯収法の省令改正があった影響もあって、黄身の部分、特に金融機関の皆様を中心にデジタル本人確認の導入が進みました。しかし、オンラインサービスの広がりとともに白身の事業者の間でデジタル本人確認が急速に導入されています。

そこで、次のページが課題でございます。

卵の白身に当たる事業者の皆様、自主的に本人確認を導入されているわけですけれども、先ほど申し上げたとおり指針がありません。結局どうなっているかというと、黄身の事業者の皆様と同等の厳格な本人確認を導入している事業者が出てきてしまっているという状況です。

例えば副業で最近多いですけれども、お弁当の配達をするスタッフの方がいらっしゃいますが、その方々の本人確認とマネロン対策と同等の本人確認を行うのは過剰な対応ではないかというご意見が出ています。こうした過剰な対応が広がってしまって事実上の規制になってしまうことが懸念されている状況でございます。

では、次のページをご覧ください。

私ども、IPAさんのご協力もいただきまして、昨年、16の事業者、団体にヒアリングを行いましたけれども、皆様、横断的なガイドラインをぜひつくってほしいというニーズがありました。同時に、内容としては、自分たちが本人確認を選択するための必要な情報が掲載されたガイドブックのような位置づけが望ましいというご要望をいただきました。

そこで、次のページですけれども、先ほど申し上げたようにOpenIDファウンデーション・ジャパンの中にタスクフォースを設置しまして、10社の事業者さんとともに毎週議論を行っています。この議論に落合先生も入っていただいていますし、また、デジタル庁の皆様にも毎週参加いただいています。

私たちのガイドラインの主な対象、先ほどの卵の絵で言いますと白身の事業者の方が主な対象になります。

続いて、ガイドラインの概要です。12ページをご覧いただければと思います。

本当に簡単にご説明させていただきます。先ほど天達企画官からもご説明がありましたけれども、本人確認というのは身元確認と当人認証の2つで構成されます。身元確認は登録時に登録内容が正しいかの確認、右側の当人認証が一般的にはログインと言われる際の認証ですね。その2つで構成されます。

それぞれリスクに対する強さのレベルが設定されています。これをアシュアランスレベルと呼ばれます。身元確認がIAL、当人認証がAALと呼ばれて、それぞれ3段階に分けられています。これはもともとアメリカのNISTの基準が大本とされていまして、我が国の行政手続ガイドラインでもこの考え方が取り入れられています。マイナンバーカードの手法は最もレベルの高い手法と位置づけられています。この保証レベルの内容を今回のJFA様のガイドラインに反映していただいています。

13ページをご覧いただければと思います。

私ども民間のガイドラインと行政手続ガイドラインとの違いを端的に説明したスライドでございます。一見していただいて矢印の向きが違うのがご認識いただけるかと思います。左の行政手続ガイドラインはIAL、AALの話をしましたけれども、リスクに応じたIAL、AALが示されていて、そのレベルに合致する手法で対応するように書かれています。事業者はもちろんリスクを重視するのですけれども、ユーザビリティーだったりコストだったり、あるいはほかの事業者がどういう本人確認を導入しているのかなどを踏まえて選択をします。

次の14ページです。
これは身元確認、当人認証、それぞれの主な手法の特徴をまとめた比較表でございます主な手法が横に並んでいまして、縦のほうにアシュアランスレベル、IALというように書いてありますが、アシュアランスレベルも示しておりますし、また、例えば所要時間だったり暗証番号が要るか要らないかとか、そういったユーザー視点での情報もまとめています。こうした情報をまとめて示すことによって、事業者の皆様がサービスに応じて手法を選択できるつくりになっているのが私たちのガイドラインの特徴でございます。
少し飛びまして、18ページ、19ページまで飛んでいただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

私たち民間の団体でこのガイドラインをつくっていますので、新しい本人確認も提案させていただければと思っています。これは来年5月から開始される予定のマイナンバーカードの電子証明書の機能のスマホ搭載を推進する内容と合致するとも考えてございます。これまで撮影するとか、マイナンバーカードをスマホでかざして情報を読み取って送る、そういったエクスペリエンスが広がってございます。これからはさらに一歩二歩進んで、スマホの中に身分証の情報を入れて、あるいは身分証をデジタル化して数秒で手続が終了、完了する本人確認。よりシンプルで迅速なユーザーエクスペリエンスを提案していきたいと考えています。

その効果をまとめたのが次のページでございます。

これまでサービスごとに対応していた本人確認ですけれども、それを1回、右のようにしっかり本人確認をして、その本人確認したということをお伝えすることによって各サービスの本人確認を省略することができるようにしたいというものでございます。これはユーザー、事業者双方にメリットがあると考えています。また、個人情報の取扱いの観点でもユーザー、事業者双方にメリットがあると考えています。

21ページ、スケジュールです。現在、作成作業を急ピッチで進めていますけれども、今年度中にリリースをする予定でございます。デジタル庁の皆様、関係団体の皆様に周知やご説明の機会をいただければ出向いてまいりますので、お声がけをお願いします。

最後のスライドはJFA様のガイドラインです。私たちのガイドラインを参考にしていただいて、年齢確認に必要なIAL、AAL、それとまた各レベルに対応する手法の明確化にご対応いただきました。レベルに応じた手法がクリアになっていますので分かりやすい構成になっています。こうしたJFA様のよい取組をほかの業界さん、事業者の皆様にも展開していただけるとありがたいと思います。

その観点では、一番後ろに参考資料でつけてございますが、今、マッピングを作ってい ます。シェアリングエコノミー業界でどのような手法が導入されているか分かるマッピン グを作成していますので、この資料も参考にいただければ幸いです。

22ページに戻っていただいて、最後、一言ですけれども、左のほうですが、政府におい ても行政手続ガイドラインの改訂が検討されているということですので、その検討の枠組 みにもぜひご協力をさせていただければと思います。

デジタル本人確認は、デジタル社会の基盤であると私たちは考えています。弊社自体は 小さなスタートアップでございますけれども、今後もOpenIDファウンデーションの皆様、 また、官民の皆様と幅広く連携させていただいてデジタル本人確認を推進して、今回のコ ンビニエンスストアのような社会課題の解決に取り組んでまいりたいと思います。

以上でご説明を終わります。

それでは、笠井さん、よろしくお願いいたします。

笠井氏: ご紹介いただきました日本フランチャイズチェーン協会で「酒類・たばこの年齢確認に関するデジタル認証検討会」の座長をしております笠井と申します。

私からは、当協会で検討中のデジタル技術を活用した酒類・たばこ年齢確認ガイドラインの途中経過についてご説明をさせていただきます。

先ほど天達企画官からもご説明がありましたように、コンビニ業界では今後のさらなる人手不足に対応するため、テクノロジーによる省人化を目指しております。その中で、セルフレジの明確なルールがないということが今回の課題でございます。また、従前より従業員による対面での年齢確認を行っておりますが、従業員は容姿を見て年齢確認を行うという行為が非常に負担であるということもお見知りおきいただければと思います。

今回は従前の対面でも年齢確認をしっかりやってきましたが、今以上に適切な方法とすべく、セルフレジをはじめとする対面ではない形のデジタルでの年齢確認のルールについて、現在、検討中のガイドラインの内容をご報告させていただきます。

まず初めに、年齢確認のガイドラインを作成するに当たり、流れをご説明させていただきたいと思います。

まず、既に先ほどご紹介がありました行政のルールの確認をさせていただきました。こちらはたばこ自動販売機の年齢確認置を基準に、公的身分証明書、ICカード、taspoカードの読み取り方法、身元確認と当人認証の保証レベルを整理いたしました。その際に、先ほどのTRUSTDOCKさんにもご協力いただきまして整理をしたところでございます。

その後、整理をしたところ、一定の基準としては、身元確認レベル2以上、当人認証を行う場合はレベル1以上とし、これ以上のレベルであれば問題ないと提示させていただきました。昨今、コンビニ各社においても実証実験が行われていたり、世に出ているデジタルの年齢確認方法は様々ございますが、そちらを累計し、この際にも保証レベルの整理のところでTRUSTDOCKさんにご協力をいただいたところになります。その後、行政ルールを参考に「年齢識別装置を有するといえる条件」を整理させていただきました。

ここからは、ガイドラインの内容についてご紹介させていただきますが、今回のガイドラインの対象範囲はお酒・たばこの購入商品でございます。

販売方法については、お客様が従業員を介さず店頭で購入する方法、すなわち、セルフレジ、AmazonGoに類似するケース、スマホレジが該当すると考えられます。今回は、店内に人が1人はいるケース、売場だったりバックヤードに人がいるケースを想定させていただいております。

「基本的な考え方」ですが、身元確認、当人認証は先ほどご説明をいたしましたが、それぞれ自動販売機の年齢確認で認められているtaspo、運転免許証よりも保証レベルが高ければ問題ないのではないかという形で整理をしております。
次のページがそれぞれをプロットした形になります。

先ほど天達企画官からもご紹介がありましたが、taspoカードであれば身元確認保証レベルが最初、郵送やメール等で身分証明書を確認いたしますので遠隔ということになりましてレベル2、当人認証のほうはカードで認証しますので単要素認証のレベル1となります。
同等に公的身分証明書におきましては、身分証明書をカードに差し込みますが、遠隔で確認しているレベル2というように評価ができると思います。公的身分証明書はどこかサーバーにデータベースを置くみたいなことではなく、毎回身元を確認いたしますので当人認証としては実施しておらず、その都度身元確認を実施するケースとして整理ができると思います。

その他、世に出ているものとしては左から2つ目、初回は従業員に身分証明書を見せて顔を登録して、その顔の人は20歳以上というデータベースを登録するということで、身元確認保証レベルがレベル3。その後、顔だけで判定しますので、当人認証単要素でレベル1というような形で顔認証を整理することが可能になります。

また、昨今、先ほど神谷さんからもご説明がありましたが、eKYC等で身元確認を行うケースが身分証明書をカードや、携帯で撮影したりすることになると思いますが、そちらはレベル2。当人認証は指紋と一緒に合わせたりするケースですと2要素認証となりレベル2となります。

次に、マイナンバーカードのスマートフォン搭載の活用についてもご説明さしあげますが、将来的な取組としてデジタル庁さんのほうでもご提示しております、来年の5月からマイナンバーカードのスマートフォン搭載の活用が実装されると認識しております。私どものほうでもこちらが活用できないかと検討しておりまして、一例として挙げさせていただいております。

民間で作るアプリの初回登録のときにマイナンバーカードのスマートフォン搭載されている場合はPINコードを入力する形で年齢を確認することが可能です。また、当人認証ですが、その際に指紋の登録をしておけば携帯と指紋ということで2要素認証となり、こちらもレベル2となることができます。このようにマイナンバーカードが普及されたということで様々な方法が出ておりますので、このようなガイドラインが出ることによって事業者側も選べる方法が増えてくると思っております。

ガイドラインの中では基準を示しておりますが、対象となる法律では20歳未満の者が自用に供することを販売者が知っていたことが罰則の要件となるため、デジタル技術を活用しても年齢確認を実施していたとしても問題となるケースが一部ですが想定されます。例えば、デジタル技術を活用してセルフレジを実装しているにもかかわらず、学生服を着た方がセルフレジで購入している姿を従業員が見てしまったケースです。そのまま購入を止めなかったケースにおいては罰則になる可能性がございます。このような限界事例を事業者側に提示して注意喚起を行いたいと考えております。

こちらは参考までですが、ガイドラインの構成としてはこちらのように考えております。今後、有識者を含めた検討会を2回ほど実施し、最終的には来年1月末に本件をリリースしたいと考えております。本ガイドラインにおいては、コンビニを主としたセルフレジをはじめとするデジタル技術年齢確認を整理したものでありますが、十分に応用が可能だと考えられます。今後のDX化において本ガイドラインがセルフレジをはじめとする省人化対応の一助となり、社会課題の解決に取り組みやすくなることを期待いたします。
報告は以上です。

事務局(天達): ありがとうございます。

ガイドラインにつきましては、マイナンバーカードのスマホ搭載を活用した方式にも言及しておりまして、デジタル庁としましてもマイナンバーカードの普及を目指す上で有用というように考えております。

安念先生、よろしくお願いいたします。
以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。お三方にご説明をいただきました。
ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、どうぞお願いいたします。
最初に、全くの素人なのでとんちんかんなことを伺うことになると思うのですが、それぞれ業者さんに対して選択肢を示しているわけだから、現段階ではこうしなさいというように一本化するようなものではないし、また、それがみそだと思うのですけれども、将来的にはどういうように考えてらっしゃいますか。

つまり、いろいろな公的な身分証明書でもいいですよということになりますと、一々リーダーを買わなければいけないとか面倒な話になりそうです。それはマイナンバーカード本体についても同じことが言えますよね。常識的に考えると、マイナカードの内容をスマホに読み取らせて、とにかくスマホを持たないでコンビニとかスーパーに行く人はまず考えられないので、スマホ一発でいいのではないか。私、もう本当に素人ですから、ご指摘いただきたいのですけれども、近未来でそうなっていくのではなかろうかなんて思うのですが、この点についてはいかがですか。どなたでも結構ですのでご教示をいただければと思いますが、どんなものでしょう。

事務局(天達): デジタル庁としましては、マイナンバーカードのスマホ搭載を活用した方式で行きたいと思っております。
笠井さん、お願いします。

笠井氏: 安念先生がご指摘のとおり、将来的には携帯ももちろんあり得ると思いますので、私どももやはりコンビニでまずは決済を考えると、現金のお客様、結構いらっしゃいます。コンビニとしましては、段階を踏みながら、そのためにも実証しているところではありますが、初回の登録が全くなくカードを読み取る方法というのも捨て難いところであり、最初の携帯で登録するというところが消費者の国民の方々にどれだけ受け入れられるかというところではございます。

回答にはなっていないのですが、時代、社会の流れに応じまして各社検討しているところではございますが、今のところ一本化というところまではこの検討会では実施をしていないところはご承知おきのとおりでございます。

安念副座長: よく分かります。コンビニで買物しようと、若い人でも案外キャッシュで買っている人はいますよね。そうなると結構それなりの時間がかかる話だなということでしょうかね。分かりました。ありがとうございます。すみません、私の素人談義になってしまって申し訳ありませんでした。

どうぞ、ほかの方々、ご自由にご発言ください。どなたかいらっしゃいませんか。
稲谷先生、どうぞ。

稲谷構成員: 京都大学の稲谷と申します。
詳細なご説明、どうもありがとうございました。

ご説明の中にもございましたが、身元確認というのは、まさにデジタル社会の基盤となるものですし、私個人としても実は免許証を持っていないという事情がありますので、マイナンバーをどんどん活用いただいて利便性を上げていただくというのは非常にありがたい試みであると思っております。ぜひこれからも進めてくださいという応援というか感想めいたものが一つ。

あともう一つ、今回、民間の事業者の方、それから、公的な機関、また関係する団体の方が協力しながらガイドラインをつくられたということで、まさにマルチステークホルダーで望ましいルールをつくっていくというアプローチを取られたのかなと解釈をしております。デジタル化を進めていくにあたって、技術がもたらす状況の変化に対応していくために、マルチステークホルダーで新たな状況に適合する合理的なルールを迅速に作っていくことの重要性は様々な場面で指摘されていることであろうかと思いますので、大変理想的な取組であったのではないかなと、この点については、このような感想を抱いたところでございます。

ぜひ先ほどの安念先生のお話とも関係しますけれども、今後も技術の状況とか業界の事情などを踏まえながら、こうした取組を横展開していただいて、デジタル化による利便を多くの人が受けられるように引き続き努めていただければなと思います。どうもありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。
岩村さん、どうぞ。

岩村構成員: 経団連の岩村でございます。
弊会の提言の要望事項にご対応いただき、まずは感謝申し上げます。

安念先生からご指摘のとおり、近未来ではどのような形で実現するかということでもありますので、アジャイルに対応していくということでよろしいのではないかなと思っております。

本日お示しいただいた年齢確認ガイドラインにおいて示されている公的身分証明書の読み取り方式は、身分確認と当人認証の両方を高いレベルで保証しているということで、妥当な方法として評価しております。来年1月のガイドラインの公表・周知を通じて、無人レジにおいてデジタル技術を活用した年齢確認が進展することを、ぜひ期待申し上げます。

また、マイナンバーカードのスマホ搭載が実現すれば、年齢確認の確実性が高まり、利用者の利便性向上にも資するため、一石二鳥です。マイナンバーカードの普及促進については政府から担当大臣を通じて我々にもご要請いただいており、国民の6割が取得したという報道もございましたが、一層の普及促進の観点から早期にマイナンバーカードのスマホ搭載を実現していただきたいと思っております。

また、先ほど稲谷先生からもご指摘のあった人手不足は社会課題にもなっており、本ガイドラインをほかの分野へと横展開することも重要ではないなかと思っております。この横展開にあたっては、テクノロジーマップ・技術カタログとの連携が有効ではないかと思います。無人レジによる先行事例を参考にしつつ、取組が広がっていくことを期待しておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
ほかの皆様、いかがでしょうか。
では、上野山さん、お願いします。

上野山構成員: 上野山でございます。ありがとうございました。
まず前提として、ぜひ進めていただけるといいなと思いながら聞いておりましたというところでございます。

私からは、技術進化という観点から少しだけお話しできればと思いますけれども、今回、3つのレベルのマトリックスで定義されているというところがよりよいなと思っておりまして、今後、技術が変わってもここの枠組みを少し変化させていく形で対応していけるのではないかなと感じております。

何を言っているかというと、今、無人レジということですけれども、今後、無人店舗という形であるとか、あるいは接客みたいなリアルで人とソフトウエアといいますか機械が相互作用することで何かを認証するというケースは非常に増えてくると思っています。ちょっと未来的なことを言い過ぎているように一見聞こえるかもしれないですけれども、バーチャルエージェントに接客みたいなのも一部可能になってきているので、多分5年後ぐらい、議論に上がってくると思っていたりします。なので、そういう技術進化が今後さらに起こるということも想定した枠組みにはなっていると思いますので、そこら辺、先ほどの横展開の話と少し近い話かもしれないのですけれども、そういう意味での未来を見据えたガイドラインにもなっているかなと思いましたので、ぜひ進めていただけるといいなと思いました。

私からのコメントは以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。
ほかにご発言ありましたら、どうぞお願いいたします。
増島先生、どうぞ。

増島構成員: ありがとうございます。

もともと作られた民間版の資料、本人確認の資料は政府とまさにうまくコラボして仕組みをつくって、この仕組みの中でどのぐらいが実際世の中で行われているのですかというのを見ながら、それと同等のものを民間でそれぞれ実装していきましょう、こういう発想で今回やられていらっしゃるということだというように思うのですけれども、まさにこういうやり方をどんどん進めていく必要があると皆さんが思われているところで、これに賛同したいと思います。

もう一つはデジタルで完結をするもの、特にネットの世界、こちら側はもうなりすましが許されない環境にどんどんなってまいります。ご案内のとおり、シェアリングエコノミーもそのガイドラインで本人確認せよとか、デジプラ法の中でも本人確認をしなさいという話になってきているということでございますので、本人確認のニーズはどんどん広がっていくでしょう。ツイッターがどこまでやるのかとか、もしくはメタバースみたいな領域でどこまでやるのか、いろいろあることになるのですけれども、何か枠組みがないと結局、何をしたらいいのかが分からない状況になるというのは常に発生しているところでございます。

なので、今回、この取組をぜひいろいろな方々に見せていただく中で、どのようにこれを当てはめて、この辺にした理由はこれこれですということをなるべく皆さんに分かるような形で見せていっていただけますと、デジタルで完結する世界でも、こういうようにやればいいのかと皆が分かってくるということだと思います。本人確認しなければいけない、それは嫌だという感じで、現状のネットの世界はすぐそういう話になるのですが、そういうところに対して今あるアレルギー反応というのが薄れてきて、やるべきことができるようになるということが起こってくるかなというように感じている次第でございました。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。

私からもう一つ伺いたいのですが、例えば深夜にバックヤードに1人しか従業員がいないというような状況、結構あると思うのですが、そうした場合、レジのところで何かちょっとしたトラブルみたいなのが起きたら、やはりバックヤードにいる人がレジのところに駆けつけるという体制になるのですか。

笠井氏: なると思います。

今回のガイドラインは無人にまで踏み込めてないところは、様々なそういうような事例が出てくるのではないかなと思って、最後、先ほど安念先生もおっしゃられたところにも近いのですけれども、マイナンバーカードを持ってないとか、そういうケースとかもやはりあることを考えると、一旦は、今は人がいるというケースで駆けつける前提で検討しています。

安念副座長: そうなのでしょうね。だから、今回のガイドラインでは、将来の話としては想定されているだろうけれども、当面はやはり完全無人化への中間ステップだということでは必ずしもなくて、やはり人は最低限、どこかにはいるという前提で物を考えてらっしゃるのかなという感じをいたしました。

笠井氏: おっしゃられるとおり、そこは今後の課題ではあるのですけれども、先ほどのマトリックスでご提示させていただいているとおり、年齢確認の方法でもレベルはありますので、無人でやるときにはもっと高いレベルでとか、そういう議論が今回のでできるようになっているのかなと思っております。

そこは今までとは少し違うところでして、保証レベルというものをTRUSTDOCKさんのほうで整理いただいているがために、もっと本人が来た人と例えばカードを差し込んだ人、同じかどうかまで確認はしましょうみたいなことであれば、よりレベルが高いところでございます。そういうような検討がこれでできるようになってくるのではないかなと思いました。

安念副座長: 分かりました。ありがとうございます。確かに無人化に向けて技術的な、あるいは制度的な基盤が整いつつあるということは確かなのだろうと思いますね。だけれども、私のような利用者からすると、私の家の周りのコンビニの店員さんなんていうのは大体外国人ですが、これがまた驚くほど有能で、すぐに日本語は覚えるし、接客も見事。つまり、何を言いたいかというと、レベルが高過ぎるので機械に置き換わらないのですよ。だから、本当はもう少しレベルが低いといい。低いといいと、そんなことを言ったら無責任なのだけれども、レベルが高過ぎて、やはり人間のほうがいいよなということになってしまっているのですよね。だから、ここは痛しかゆしですので、無人化するとか自動化するということがそれはそれでメリットの大きいことなのだということを浸透して理解していただく必要がありますよね。

笠井氏: はい。そうだと思います。お客様にご協力いただかないとこの仕組みはできませんので、今回、このガイドラインをつくったことで、事業者側が検討できるということが非常に大きいところかと思います。

安念副座長: 全くそうですね。ありがとうございました。
ほかにご発言の方がいらっしゃらなければ、この話題については一通りここまでといたしましょうか。ご説明の皆さん、本当にありがとうございました。

それでは、第2の議題に移りましょうか。続いて、金融業界要望への対応状況です。やはり天達企画官からお願いいたします。

事務局(天達): それでは、金融界要望についてご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」におきまして、経済界のところから1,900の要望をいただきました。それに基づいて先行事例を構築し、そして、その類型から同様の規制があれば一括的な見直しを行うということを目指しております。

例えばですが、フロッピーディスクがございます。5月に作業部会のほうで環境省がフロッピーディスク等の廃止を決定しましたということを報告させていただきました。これによって先行事例を構築したという形でございます。そして、10月に政府全体の取組としてフロッピーディスクをやめていくということで横展開を行ったということでございます。
本日ご説明させていただくのは、この先行事例の構築についてです。

我々は、まず金融のところというのは「経済の心臓」というように考えております。3.3億口座ということで1人1口座持っているようなこと。また、直接金融と間接金融の両方におきまして経済活動における潤滑油であるというように考えております。そのため、この金融をテーマに今回取り組んだということでございます。

その際には、全銀協や地銀協、生保協、損保協といった業界団体の方々皆様と一緒になってやらせていただきました。各府省庁との協議においても業界団体に入っていただいたところでございます。

また、都銀懇話会が事務局に人材を派遣いただいたことも、大きな推進力になったところでございます。

それでは、対応状況についてご説明させていただきます。

デジタル化等の進展があったものでございますけれども、こちらが20件でございます。本日、主なものについてご説明させていただきます。

一方で、対応済みのため改めて周知するもの、これが12件ございました。こちらはパブリックコメントへの記述がございます。しかしながら、パブリックコメントであるがゆえに要望元が認識していないというようなケースが非常に多かったということでございます。これにつきまして事務連絡により業界に周知するということを行っていきます。

合理的な理由により対応しなかったものもございます。こちらにつきましては、例えば、犯収法、マネーロンダリングでございますけれども、FATFによる国際基準がございまして、日本だけではなかなか対応が難しいということでございます。そのため、今回は対応できなかったところです。

それでは、デジタル化等の進展につきましてご説明させていただきたいと思います。
行政手続でございます。こちらの地方税収における事務効率化でございますけれども、地方税徴収におきましては、このような徴収票がございます。銀行は、この①の部分、納税済通知書につきまして地方公共団体に送付しなければいけません。そして、この②の部分、納付書でございますけれども、これは銀行が保管しないといけないことになっています。そのため、事務コストが非常に大きい。加えまして、この数でございますけれども、年間2.4億件ということでかなり数が多いということでございます。ですので、これに対応する必要があるということでございます。

この対応としまして、2023年度からですけれども、地方税統一QRコード印字というものを固定資産税、自動車税、都市計画税、軽自動車税の4税で取り組みます。さらに、これに加えまして、2024年度からその他の地方税、不動産取得税、個人事業税、個人住民税などに、原則的にQRコードを印字するということを決めております。これによって、銀行としましては、電子データの送信、また、電子保管が可能になるということでございます。

続きまして、右側でございます。保険募集人の登録手続でございます。こちらは保険のおばちゃんと言われる方々、また、銀行の窓販をやっている方々、こういった方々は登録手続が必要になります。年間59万件、発生しております。この点につきまして、登録免許税・手数料の印紙納付などから今までデジタル完結しておりませんでした。そこのところを今年度末まででございますけれども、そこまでに完全デジタル化を行うということでお話をいただいております。

続きまして、民間取引でございます。交付書面の原則デジタル交付化でございます。
現状におきましては、民間取引におきましては原則書面交付が行われています。同意があればデジタル交付という形でございます。事業者のコストというものが発生してしまいますので、ここを軽減する必要があるということで、原則デジタル交付、求めがあれば書面交付を行う、つまり、一番最初からオンラインで申請・交付を行ってしまうというようなことが、一つ課題として考えられるということでございます。

これを受けまして、金融商品取引法のところにおきましては、本年から目論見書等に加えまして、最良執行説明書が法令上の措置を来年からされることでお話をいただいております。
さらに、他の金融商品取引上の書面におきましても法令上の措置を再来年からしていただくという形になります。

さらに、資金移動業者でございます。PayPay、LINEPay等々でございますが、こちらにつきましても原則デジタル交付というような形で令和5年に法令改正を行うということでございます。

最後、有価証券のデジタル化でございます。こちらにつきましては、地方債におきまして振替地方債以外での券面不発行の規定がございません。そのために、ブロックチェーン技術を用いたデジタル地方債、いわゆるセキュリティー・トークンでございますけれども、この発行がなかなかできないというような状況になっております。これは券面を前提とした法律になっているということでございます。会社法のほうでは券面不発行の規定があります。

この地方債以外にも大学債や独法債でも同様の事例があると聞いております。この点におきまして、振替地方債以外のところにつきまして総務省のほうで検討会を行いまして、令和5年度に法令上の措置を行うというお話をいただいています。

日銀出資証券でございますけれども、上場有価証券におきましては、日銀出資証券のみデジタル化していないということがございます。こちら、日銀出資証券の実際の書面でございます。こちらにつきまして金融審議会のほうで今、ご議論していただいていまして、令和5年、来年の通常国会のところで必要な措置を行うというお話でございます。
以上でございます。

安念副座長: どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等ありましたら、どうぞお願いいたします。

私は全くの素人なのだけれども、地方債で振替法不適用の地方債はそもそも存在しているのですか。ブロックチェーンとかそういうもの以前に在来型のものでそういうものはそもそもあるわけですか。

事務局(天達): 地方債というと、債券というイメージになるかと思うのですけれども、地方財政法で示されている地方債というのは借入れも含めたものになります。いわゆる銀行の貸出しでございます。また、個人地方債というものもございます。これはある一定の地域、自分の市、自分の県の方々だけしか買うことができないようなものでございます。これは振替地方債とは違って、券面で皆様にお配りするみたいなものです。というように、地方債というと非常に範囲が広いというのが、債券というイメージではなくて、それよりも広い範囲なのだということでございます。

安念副座長: そうなのですか。それは学問しました。ありがとうございます。
どうぞ、どなたからでも結構ですのでご発言ください。
稲谷先生、その次、落合先生でお願いします。

稲谷構成員: こちらのほうもご説明ありがとうございました。

有価証券に関してのデジタル化については、手形小切手などもデジタル化に対応されていくことになっていると理解しておりますし、是非引き続き進めていっていただければと思いました。

もう一点、同意の取り扱いについてですが、書面交付の際の同意について、オプトアウト方式にされていくというお話だと伺いました。個人的には、オプトアウト方式を適切に活用していくことは、このような場面では非常に有効な方法であるように思います。デフォルトルールに関する行動経済学などの観点からも、今回の取組を推進する上で非常に効果的ではないかと思いますし、不要なコストの削減や環境保全という観点からも効果の高い、非常に良い取組であるように思いますので、ぜひこのとおり進めていただければと思ったところです。
以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。
落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。
非常に重要な取組だと思っております。金融分野は、比較的動きが速く起こっていく業界ではありますので、そういった中でやはり実際にデジタルで使えるようになる仕組みが増えていくことは、この内容を見直すこと自体もそうですし、それをしっかりプロモーションしていっていただくことでよい効果もあると期待をしております。

規制改革推進会議で議論を行っていた中でも、やはり船荷証券の話もございましたし、金商法の承諾に関する整理もありました。ここ1、2年ぐらいで、非常にいろいろなテーマで出てきていましたので、こういった部分で、横串で直していくことに非常に適した取組だと思いますので、ぜひ進めていただければと思います。

今後、もし可能であるならば、少し前に、規制改革推進会議のほうで民訴法の電子手続で電子送達を行う話について法務省などからご説明がありました。そういった際に対抗要件が、債権譲渡の対抗要件の話なども出てくることがあると思います。まずは第一歩としては書面の電子化からと思います。そういった対抗要件や権利移転について、船荷証券ででの議論を進めていただくことは、そういう議論に向けて重要な準備運動になっていると思います。またそういった他のテーマにもいずれ取り組んでいただければと思います。

また、もしよろしければ、先ほどのガイドラインについて、私がまだ入室できていなくてで発言できなかったのです。コメントさせていただいてもよろしいでしょうか。
問題なさそうですので、私のほうも資料を拝見しただけですが、コンビニのガイドラインの関係では、以前、経産省での検討会のときに一緒に検討させていただいたことがあり、また、OpenIDファウンデーションの関係では、アドバイザーで参加させていただいておりましたので、内容自体はそれぞれ理解しております。

デジタル化について、最初のコンビニのほうはデジタル化を行っていく中で無人化をできるようにしていくことも非常に大事なポイントだと思います。それができるからこそしっかり拠点を設けられ、サービスができる場所をしっかり増やしていけるようになると思います。人口減少社会、過疎化の中でサービスが成り立たない地域が増えてきている中で、一方で、ただ、地域から離れたくないという方もおられます。そこでうまく対応するためにはやはり無人店舗みたいなものが大事で、何もない地域で遠くまで行ってくださいということも非常に困ることもあると思いますので、こういった取組ができることは大事だと思います。

また、この領域については特に刑事法がかかっているということで、いわゆる行政法規として解釈通知を出すこととまた別の難しさがある領域と思っております。デジ臨の作業部会もそうですし、関係省庁も一緒に協力していただいてしっかり形にしていくことで、初めてこの成果が広く社会実装できるようになると思います。既にtaspoなどですとか、である種の無人化はされている領域ではあると思いますので、できないことではないことは一見自明ではあるのですが、何をどこまで行えばいいのかをしっかり明確化していくことが必要と思います。これはデジ臨の使命だと思いますので、ぜひそれにそぐうものとして進めていただければと思います。

もう一つはOpenIDファウンデーションでの検討についてです。経団連からの委員からも以前の検討会でもコメントいただいていたように、本人確認の水準を明確にしていくことはいろいろな規制改革の中で重要なツールになってくるのではないかと思いますので、その整理自体、進めるべきという議論があったと思います。

これも、もともと民民でリスクベースでリスクに対応できるようにすることや、もしくはオンライン化していくときにどういう本人確認がちょうどよいかを分かってもらうためにということで、最初は経産省のオンラインサービスの検討会で議論していたものですが、規制改革の中でも物差しができるということで、適切なリスク管理なのかがある程度定量化としているところがあります。特に海外のニュージーランドや、NISTのガイドラインも参考にしていますので、そういったある種それなりに信頼できる物差しを踏まえつつ整理している部分があると思います。そういった物差しに使えるといいと思いますし、依拠ですとか参照についても議論がされておりまして、ここの部分も結構重要だと思います。
犯罪収益移転防止法の中では、結果的にほかの事業者への委託という中で読める部分ができているのですが、同じプロセスをいろいろな事業者が個々に対応しなければならないということは、デジタル化の原理で言いますとワンスオンリーの理念に反している部分があると思います。依拠、委託ができること自体は価値がありますし、ただ、そこはフレームを整理していないと行いにくい領域はあると思います。そういった点も今後の整理に当たって参考にしていただける可能性があると思います。

属性情報の確認という意味で、コンビニの無人レジの場合には年齢の話をしましたが、資格者の確認やそのほかの属性情報を本人の基本情報に合わせて確認していくときのフレームにも使えると思います。単純な本人確認だけではない有用さがあるということで、ぜひデジ臨とも連携して、もちろん民間ビジネスに役に立つということもそうですし、規制改革でも使うという両輪で活用できるといいと思っています。私も検討に参加はしていますので、今後も頑張ってそちらで検討することも含めて、デジ臨での議論に貢献できればと思います。

大分長くなりましたが、以上でございます。

安念副座長: とんでもない。ありがとうございました。貴重なご指摘をいただきました。

岩村さん、その次、増島先生にお願いします。

岩村構成員: ありがとうございます。

地方税徴収における事務効率化について、「まずできることから」という方針に異存はございません。ただ、デジタル原則①の「デジタル完結・自動化原則」に照らすと、QRコードの印字はトランジションかなと思っており、いわゆる行政手続の完全デジタル化を目指すことが本筋ではないかと思います。

総務省の地方税における電子化の推進に関する検討会でも、個人はマイナポータル、法人はeLTAXを利用する方向で検討中というように理解しており、令和8年、2026年には対応というように仄聞しております。完全ペーパーレスで決済まで一気通貫でできる仕組みを早期に実現していただくことを期待しております。

一方、資料に記載はないのですけれども、金融商品取引業における法定帳簿の電子的保存の簡素化も課題と認識しております。また、先ほどご説明にあった、振替法の適用がない場合における大学債や地方債の券面発行の電子化については、今後横展開されると理解しておりますが、何らかの進展があれば随時お知らせいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
それでは、増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。
金融のほうでいろいろ進めていただいている中で、ここには直接出てないのですけれども、この要望のところで出ているセキュリティー・トークンなどのデジタル証券の対抗要件という論点ですね。一応ここのところは回答にも書いてある、いわゆる産業競争力強化法で手当てをしましたよということになっているのですが、現状の実務はもっとどんどん進んでいまして、これでは足りないのではないかというような話にどんどんなっているというように承知をしております。

残高が自由に動くものを譲渡するというのと一定の金額が決まっているものを丸々ばさっと譲渡をするというのとでは、結構世界観が違うではないかという話もされておりまして、ファンジビリティーというように呼んでいますけれども、残高みたいなものが重視をされるものと、債権を特定して、この債権を譲渡するというものがやはり随分法制で物の考え方が違うのではないかという言われ方が最近、金融法委員会なんかでもされているところです。もちろん当初、法令をつくったときは我々もそういう目線からあまり物事を見ておらなかったので、強化法のところでこんなルールをやってくださいということでつくっていただけたのは非常にありがたかったという感じなのですが、そこからどんどん進んできているというところであります。

やはり物事はすごい勢いで進んでいくのだみたいなところがありますので、これで何か制度をやりました、手当て済みです、だから、もうこの論点は落としますみたいな話にはなかなかなっていかないというのがデジタルの一つの特徴だというようにも思っております。いわゆるファンジブルなアセット、残高をコントロールするようなものを産強法の枠組みでやろうとするといろいろつらいことが起こりますよというのは一つここでフィードバックをさせていただいて、何かしらの次の課題の解決のときに取り上げていただけるとありがたいかなというように思いました。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
事務局、いま少し具体例とともにご教示をいただけると今後の参考になろうかと思いました。どうもありがとうございます。
ほかにはどなたかいらっしゃいませんか。

落合先生、どうぞ。

落合構成員: 今の増島先生の点の具体化ということで補足です。例えば産業競争力強化法の中でステーブルコインの話などが最近出ております。その中でブロックチェーンの中でも、コンソーシアム型、パーミッション型のものとパーミッションレス型のものがあると言われています。どちらかというとパーミッションレスについては現行の産業競争力強化法の利用が難しい部分があり、要件で定めないといけない情報があるとなかなか読みにくい部分があるということがあります。パーミッションレスブロックチェーンのほうがパーミッションドブロックチェーンよりも使われていると思いますが、読み込めないことがあります。競争力強化法は定期的に見直される法律だとは思いますので、いずれ対応はされると思いますが、その中でパーミッションレスがしっかり読めるようにしていくことが、目前の具体的な論点になっていると理解しております。
すみません、補足でございます。

安念副座長: 法律を変えないと駄目なのですね。

落合構成員: 法律ではなく、政省令で足りるかもしれません。

安念副座長: 政省令の話。分かりました。精査しておいたほうがいいですね。ありがとうございました。

ほかにはいかがでしょうか。では、このテーマはこれぐらいにさせていただきましょうか。よろしいですか。

続いて、本日の議題の第3「次期通常国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等プロセスの試行実施について」です。

中野企画官よりご説明をお願いいたします。

事務局(中野): ありがとうございます。デジタル臨調事務局の中野でございます。
私からは、次期通常国会提出予定法案に係るデジタル原則適合性確認等のための指針の案の概要についてご説明させていただきます。

こちら、9月の第14回作業部会で臨時国会の提出予定法案についてデジタル原則適合性確認等プロセスを前倒しで実施するということにつきましてご説明させていただきましてご議論いただきましたけれども、次期通常国会提出予定法案につきましてもこのデジタル原則適合性確認等プロセスを試行実施させていただければと考えております。

投影しておりますのが指針案の概要資料となりますが、黄色の塗り潰し部分が前回の臨時国会提出予定法案を対象に実施した指針からの拡充部分として考えているものとなります。
まず1ポツでございますが、趣旨・対象としては、確認対象となる規定は前回と同様に7項目の代表的なアナログ規制に該当するアナログ行為を求める場合があると解される規定、フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定等を対象とすることを考えております。

次に、2ポツの7項目の代表的なアナログ規制の確認方法等でございますが、臨時国会提出予定法案に係る試行実施を踏まえまして、政省令、通達等による対応を考慮してフェーズの当てはめを行った場合は、これら下位法令等の施行時期、発出時期、そして、その概要についての工程を確認することを考えております。

また、本年10月に講習・試験のデジタル化に関する技術カタログを試行的に作成し、公開したところでございますけれども、各府省庁において法案やその施行に関する政省令、そして、通達等を立案される際には、テクノロジーマップや技術カタログを活用して必要な調達など運用面も見据えたデジタル化を実施するということを記載させていただきまして、デジタル庁としても各府省庁からの活用可否の判断についての疑義のお問合せといったご相談に対応させていただくことを考えております。

また、アナログ規制のデジタル化に向けた継続的な取組の支援のため、デジタル庁で今後、複数の規制類型に関しまして、横断的なデジタル技術等の検証に必要な支援も具体化予定であるということもお示ししたいと考えております。

さらに、各府省庁が規制の見直しを行う際に具体的に参考となる事例を規制類型ごとにご紹介させていただければと考えておりまして、例えば目視・実地監査規制につきましては、以前の作業部会で国土交通省様からもご説明いただきました道路橋や道路トンネルなどの点検におけるひび割れの自動検出とひび割れ幅の自動計測をAIを活用した画像解析で行う技術の活用、こういったものについてご紹介させていただこうと考えております。

以上が簡単ではございますが、指針案の概要となります。

当然のことではございますけれども、通常国会の提出予定法案を対象にこのデジタル原則適合性確認等プロセスを実施するのは今回が初めてのことでございまして、各府省庁の方々に過度な負担とならないように工夫しつつ、デジタル庁として必要な支援を行って着実に実施できればと考えているところでございます。

簡単ではございますが、私からのご説明は以上とさせていただきます。

安念副座長: 中野企画官、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等ございましたら、どうぞ。
落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。

これは前倒しで実装していただいているということだと思いますので、改めてすばらしいことだと思って伺っておりました。こういった取組が早めに進んでいくことによって結果的に負荷軽減につながると思います。一方で、様々なプロセス、既存の法制局や行政レビューなどいろいろなプロセスがある中で大変というお声があることも十分ご配慮して進めていただいていると思いました。

質問ですが、各法令で実際に引っかかるものを出してこられる割合や数が、どの程度実際にある状況なのかと、またこの取組をされている中で、実はこういう論点は今まで定型化してなかったが、本当はもう少し定型化して直したほうが良い内容を何か見つけられたものがあれば教えていただければと思いました。

事務局(中野): ありがとうございます。

落合先生、応援のコメントもいただきましてありがとうございます。ご質問の点でございますけれども、今、ちょうど臨時国会に提出された法案の点検状況を整理しているところでございまして、内容としましては、例えば条文だけ読むとフェーズ1とか2に該当すると思われるようなものであっても政省令や通達でデジタル化が担保できるといったものが幾つかございます。既存法令の見直しをまだやっている途中でございますので、こういうものについて適切に対処していくということになってまいります。

それと、もう一つ、どういった見直しかという観点で申しますと、概要資料には書かせていただいておりませんでしたけれども、立入検査というものにつきましてどうやってデジタルを進めていくかというときに、その検査に至るようなプロセスをデジタル化するとか、可能な部分はオンラインで実施するとか、こういった改善ができるのではないかということを追記させていただいたり、あと書面掲示に関する規制に関しましては、例えばこのように条文が見直せるのではないかというのを追記させていただいたりしております。この点、ご指摘のとおり試行段階ですので、まだまだ改善の余地はあろうかと思いますが、随時こういったところを拡充して改善してまいろうと考えているところでございます。

落合構成員: ありがとうございます。
早速成果がいろいろ上がっていることを改めて感じました。どうもありがとうございます。

安念副座長: 次期通常国会だから、まだそれは出てみなければ分からないといったら分からないのだけれども、今まで今回の臨時国会についてもそうだし、率直に言って相当学習効果はあるだろうなと私は期待しているのですけれどもね。それは多分、その点は落合先生も同じだろうと思う。

落合構成員: 発見されて何かを指摘された時点で1つ仕事は済んでいる部分もあるようには思います。

安念副座長: まさにそうです。どうもありがとうございました。
ほかはいかがですか。
稲谷先生、どうぞ。

稲谷構成員: 稲谷でございます。ご説明ありがとうございました。

私も落合先生とか安念先生がおっしゃったことと同じことを思いました。やはり実際にやってみて初めていろいろ見えてくる部分というのはあるように思いますので、予想と違ってはいけないとか、こうなければ駄目だという方針を予め決め過ぎるよりは、やりながら改善されていく部分というのがあるのだということを念頭に置かれて、ぜひ柔軟に対応されていくと良いのではないかなというのが1つ目のポイントです。

もう一つは、全体の取組が非常に踏み込んだ形で進んでいる点、前倒しがあったにもかかわらず、これだけ踏み込んだ形で進まれているというのはすばらしいことだなと思いました。私は今回、黄色で書かれている部分、拡充された部分の中に入っている道路橋やトンネルの例というのは、これから我が国の状況を考えると、本当に絶対に進めていかなければいけないような非常に重要な例であると思いますし、また、それがテクノロジーマップを通じた民間からのアイデアを活用する取組と相乗効果を持つことが期待されることがこれだけ明確にされていて、それが今後の規制の在り方についての一つの指針になっていくというのは、デジタル化を推進していくという上で非常に重要なポイントを書かれておられると感じています。これの方針が実装されることによって、規制のデジタル化が非常に進んでいくのではないかなと、大変期待できる内容になっているように思いましたので、その点、是非コメントさせていただければと思ったところです。ありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。
ほかにはいらっしゃいませんか。よろしゅうございますか。
では、この第3の議題は一応ここまでぐらいにしておきましょうか。

それでは、続いて第4の議題です。「地方公共団体の取組支援について」、松田参事官よりご説明をお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。

私のほうから、地方公共団体における規制の点検・見直しマニュアルについて、この作業部会で議論いただいたものについて公表しておりますので、その後の進捗についてご報告をしたいと思います。

暮らしに関連する行政サービスは地方公共団体がしっかりやられていますので、地方公共団体においてもアナログ規制の見直しを進めていただくということが大事だろうと考えております。今回、デジタル臨調において、国でアナログ規制の点検・見直しをしているという内容を踏まえながら、第3章、一番下の部分でございますが、地方公共団体のアナログ規制の点検・見直しについて、見直しの手順や体制等、国が行ったような類型・フェーズの分け方や使い方等、さらにはテクノロジーマップをどういう観点で活用すればいいのかといったところを整理したマニュアルを1.0版ということでお出ししたところです。

右下にも記載していますが、見直しの先行事例ということで、国が行う取組だけではなく、先行的な取組をされている自治体の事例もマニュアルの中で紹介をさせていただいておりまして、ドローンの活用で森林整備事業における目視検査を代替するための訓令を改正されているような市町村ですとか、オンライン会議システムを活用して介護相談員による介護施設等への訪問をオンラインで実施できるように訓令を改正して措置したという市町村等の事例も盛り込んでいるところであります。

このマニュアルにつきまして11月18日に公表してございます。その上で、地方公共団体向けのマニュアルに関する説明会を実施しております。全国3ブロックに分けて、全都道府県、市町村の方々にお声がけをしております。

これは各地方公共団体において全庁にまたがる課題ということでありますので、各団体の企画部門や行政改革部門の方々にお声がけをして開催しております。

2ページ目からは説明会の状況ですけれども、かなり多くの団体に参加いただき、1回の説明会で200団体以上の方に参加いただいた回もございました。

主な意見・質問と対応というところでありますけれども、既に条例のアナログ規制の洗い出しを開始していただいている自治体もあります。ただ、どうやって洗い出せばいいのか検索の仕方を含めて国での方法を教えてほしいというようなことや、条例委任を行っている国の法令を一覧で整理したものがあると、国が約9,000条項直したものと条例との関係がよく分かるのでそうした共有してほしいですとか、技術カタログについても随時情報提供してほしいといったところ等々ご意見をいただいております。

また、いろいろな自治体が行政手続のオンライン化の取組を開始しておられています。これは、一体的に進めていただくということにはなりますけれども、行政手続のオンライン化どのように関係性を持って進めていけばいいのかということ。

マイナンバー事務系のテレワークの導入可否やWi-Fiの活用可否、業務を進める上でシステム面、セキュリティー面の課題についても幾つか提示をいただいたところでございます。
4ページですが、デジタル庁では共創プラットフォームというものがございます。自治体の職員の方々が個人の立場でデジ庁の職員のメンバー、もしくはほかの市町村の方々と情報交換や意見交換をするというプラットフォームになりますけれども、地公体のアナログ規制見直しのためということで、18日からデジタル臨調のチャンネルも作成をしております。条例を直そうとしたけれども、結局まだ国が縛っているというところもあるのではないかというところもありますので、今回、約9,000条項を直す方向を固めていっていますが、それ以外でもまだ残っているところがあるかもしれませんので、共創プラットフォームの中で国、デジ臨から自治体への情報提供という流れだけではなく、自治体から国の法令等に基づくアナログ規制の見直しに関するご提案をいただいていく。また、自治体で先行的な取組をした自治体の事例を紹介してほしいというお声がありますので、自治体間でもやり取りできるような取組を進めていければということで、こうした活動も開始をしております。

5ページ、これは河野大臣から岡田大臣にもお話しいただいて、岡田大臣からもしっかりデジタル田園都市国家構想実現の中でもアナログ規制の見直しをしっかり後押ししていこうということを言っていただいておりまして、それを踏まえる形でデジタル田園都市国家構想に関する予算的な支援においても、一つのパターンとしてアナログ規制の見直しとデジタル技術の実装を進める自治体に対して費用面で支援していくといったところについても入れ込んでいただいているところです。

少し下に書いてございますけれども、目視規制を見直してドローンを活用し、現地検査を行うでありますとか、常駐・専任規制を見直してオンライン面談の導入をするでありますとか、講習のデジタル化を進めるに当たって必要な費用についてデジタル田園都市国家構想交付金でも応援していくということで整理をいただいているところでございます。
こちらは、今月28日に内閣官房、内閣府から全自治体の方々にご説明をさしあげたところでございまして、自治体側でもいろいろな受け止めをしていただき、取組を開始しようと動き出しているところかなと思っておりますので、引き続きマニュアルをうまく使って、ほかの予算ですとか、先ほどご説明した共創プラットフォームを通じて、ぜひ後押しをしっかりしていきたいと思ってございます。

以上、報告でございます。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。
では、ただいまのご説明について、ご意見、ご質問等ありましたら、どうぞお願いいたします。いかがでしょうか。

稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。ご説明ありがとうございました。

私は、このテーマがよく分かっているというわけでないのですけれども、何点かこの辺りはいいなと思った点と、この辺はどうなっているのだろうと疑問に思った点を少しだけコメントさせて下さい。まず金銭的なインセンティブがついているというのは非常によかった部分ではないかなと思います。やはりこうした裏付けがありますと、自治体としてもどんどんデジタル化に前向きになっていただけるのではないかと思ったところです。

2点ほどお尋ねになるのですけれども、参加団体数が例えば北海道~埼玉ブロック590であるのに対して、この説明会に対して実際に参加されたのは138団体だったということなのでしょうか。そうすると、結構参加されてない団体もいらっしゃったのではないかという感じも受けるのですが、その辺りについて、特に参加をしていただけなかった団体の方というのはどういうご認識であったのかということについて、何かデータというか、仮説というか、お持ちでしょうか。もしこういった取組を進めていくという観点からすると、多くの団体を巻き込んでいくことは大事なポイントだと思いますので、その点について、現状、どのようなご感触をお持ちなのかということをご教示いただければというのが一点目の質問となります。

もう一点目は、結構実務的なポイントというところで、どうやって国がアナログ規制になっていそうなところを検索したのかという、すごくテクニカルというか実務的な側面について知りたいという人が結構いるのだなということを、当たり前かもしれないですけれども、思いました。それで、例えばそれが可能なのかどうか分からないですが、デジタル庁と民間は結構うまく人材のやり取りができ始めているのかなと思ったりするのですが、この地方公共団体とデジタル庁の中で、特に影響力が大きいと言うと語弊があるのかもしれないですが、先行しそうな地方公共団体とうまく人材のやり取りみたいなことができると、その辺りの知識の伝播なども進んでいくのかなと思ったりもしたのですが、こうした人材交流についてのお考えとかご感触とかがあれば、その点についてもお聞かせ願えればと思いました。

以上でございます。

事務局(松田): ありがとうございます。

確かに参加団体につきましては、まず前提として、今回のマニュアル等については全ての都道府県、市町村に通知をしているということはお伝えしている状況ですけれども、突貫で3日間のどこかで参加できるようにしたこともあるので、参加人数に差が出ているというところがあると思います。ただ、都道府県経由でといったお話もできていると思うので、面的にも広げていけるように、参加されていない自治体等をどうフォローアップしていくかはぜひ考えたいと思います。都道府県で音頭を取っていただくとか、そういうところも大事になってくるのか思っているところでございます。

2つ目の点、実はデジタル庁全体もそうですし、デジタル臨調もそうなのですけれども、地方公共団体からまさに市長の特命を受けてということで来ていただいておりまして、こちらの取組を推進しているメンバーの中にも地方公共団体出身の方々が関与してくれています。さらに、人数も増やしていこうということで動いています。現場のノウハウ等を持った自治体のメンバーが入って、また、こちらで経験したことを地方公共団体にも伝えていただいて、逆に地方公共団体から見えていることの課題感をこちらに共有してもらっているというところのやり取りがすごく重要になってくるかなと思います。

もともと前提で、デジタル臨調では、福岡市で条例・規則等の洗い出しをしたら、9割は国が縛っているという話がありましたので、やはり国と地方公共団体がうまく連携しながらこなしていかないといけないところもかなりあるのではないかと思います。

その上で、デジ田の予算的な後押しだけではなくて、デジタル庁のテクノロジーマップ関連の予算が確保できれば、その中で先行自治体を対象とした調査研究をさせていただくことも検討しています。例えば10団体とか20団体、規模感も考慮しまして、具体的にどの条例にどういう課題があるのか等、具体的な現場の課題感も踏まえながら洗い出しを行えればと思っています。それができるとそれを横展開、ほかの自治体にも参考になる動きができていくのかなというように思っています。実は条例の確かなデータベースというのはないものですから、ある種、先行的な取組をしながら広げていくということが重要かと思っているところです。

稲谷構成員: ありがとうございました。大変よく分かりました。
やはり地方公共団体の皆様のエンゲージメントを拡充していくという取組はとても重要だと思いますので、今ご説明のあったような取組をぜひ進めていただければと思います。同時に、なかなか参加していただけない地方公共団体の方々をどのようにして巻き込んでいくのかというのは、今後も課題になるような気もいたしますので、またぜひその辺りも引き続き議論させていただければと思います。どうもありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。
落合先生、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

地方公共団体の関係を進めていただくことは本当に大事なことだと思っています。日常生活で遭うのは、どちらかというと中央省庁の手続ではなくて、大体生活に関係するのは地方公共団体で設けられている手続だと思います。こちらの地方の手続のほうが実感できるような成果によりつながりやすい取組だと思いますし、ぜひ今後も拡充していただきたいと思います。

そういった観点で見ていったときに、まず一つが、デジ田や甲子園などいろいろと実施されていますが、表彰していっていただいたりや、よく進めたということで褒めていただくことも大事だと思います。褒められたほうが後で予算措置を行うときに予算が使いやすいですとか、何かそういったメリットがあるといいと思います。自治体の方々は、横の同じくらいの規模の自治体さんはどうしているかなどを見ながら、競って対応されていたりする部分があるとお見受けしていました。もともとそういう表彰プログラムなどは整備されている部分はあると思いますが、ぜひデジ臨での取組もよくやっていただいている自治体などは表彰していただいて、もちろん、事例の内容自体も具体的に書いてあるとそれ自体を他の自治体が参考にされることも多いと思うので、そういった意味でプロモーションや取り組んだ成果を見える化すると、より成果が上がりやすいような雰囲気の醸成につながるのではないかと思ったことが1つです。

2つ目が、法令面もあると思いますし、そもそも条例のデータベースなどのデジタル化自体も必要だと思います。サービスやシステム側の準備や相談も重要と思いますので、全部デジ臨で対応すべきことなのか、デジ庁のほかの部局で対応すべきことなのかはあると思いますが、最近の規制の見直しを見ていますと、大体規制の見直しをして法令面を直してくださいというだけではなく、業務プロセスやシステム化でできる限りワンスオンリーでできるように直してださいという話をしていることが多いと思います。そういうような形になるように、これはデジ臨の部隊だけで対応するのか、ほかの部隊と組んで対応されるかもあるとは思いますが、そういった対応をお願いできればと思います。

第3点で最後ですが、マイナンバーやLGWAN関係の話も出ております。この辺りも自治体の方々がご苦労されている点だと思います。マイナンバー系などは今後、マイナンバー法改正も次の通常国会でというお話も大臣もされていると思いますし、どんどん見直されていくと思います。LGWANにも必ずしも縛られないような形で業務ができる方法なども考えていっていただくと、どちらかというとオンラインのシステム側の作業が行いやすくなる部分もあると思います。これもデジ臨だけでやることなのかどうかは分からない部分がありますが、ぜひご検討いただければと思います。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
よろしいですか。DXは業務フローの改革そのものですから、それは必ず伴うよね。
どうぞ。

事務局(松田): 落合構成員が言っていただいたところ、大変大事だと思っていまして、実は、例えばデジ田の交付金の中にデジ庁全体でどういうことを入れていただいているかと申しますと、マイナンバーカードの普及や、当然ながら予算は別ですけれども、自治体システムの標準化を進めていただくということと、また、自治体の窓口のDXを進めていただくということと、それに加えてアナログ規制の見直しもセットで進めていただく。こういうパッケージで、自治体にはお示しをしているところであります。幾つかの自治体でもDXについて、来年に向けて本格的に体制をつくる議論もされているようでありますけれども、その中でもその要素を全体的に、どういうパッケージで進めていくかというように議論いただいている自治体もあるように思っていますので、うまくパッケージ化といいますか、全体をよく見ながら進めていく必要があると思います。

ただ、特にデジ臨についていうと、例えば目視規制や対面講習規制等、規制は規制としてやはり存在しているので、それは直していかないとDX自体の業務プロセスの見直しができないということもあると思いますので、そこをしっかりパッケージでやっていただくということがすごく大事かなと思いますし、表彰とか優良事例を展開するのはすごく大事だと思っていまして、表彰のようなことも短期で規制だけでやるのがいいのか、全体を見てよりサービスレベルを上げていった自治体の方々が改革された評価を受けられるのか等、いろいろご意見をいただきながら考えていきたいと思います。

安念副座長: ありがとうございました。ご褒美もないとね。
ありがとうございました。それでは、時間の関係もありますので、このテーマはこれぐらいにしておきましょうか。

続いての議題は第5「プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しの基本的な方針について」です。

ここからは東京大学大学院法学政治学研究科教授の宍戸常寿先生、それから、ひかり総合法律事務所弁護士の板倉陽一郎先生、英知法律事務所弁護士の森亮二先生のお三方の有識者の皆様にもご参加をいただき、議論を進めてまいりたいと思います。
また、プライバシー配慮条項を所管する関係府省庁及び個人情報保護委員会事務局にオブザーバーとしてご参加をいただいております。関係府省庁としては、警察庁、金融庁、総務省、法務省、厚生労働省、国土交通省、最高裁判所にご参加をいただいております。

なお、本議題のうち、公示送達制度については、資料と議事録を非公開とすることから、前半と後半とに分けて議論を進めさせていただきます。

まずは前半の部分について、大澤参事官よりご説明をお願いいたします。

事務局(大澤): ありがとうございます。よろしくお願いします。

前回の作業部会でご報告をいたしましたとおり、約9,000条項のアナログ規制のうち、残り約1%、各省庁と合意ができずに残っておりました。合意が得られなかった要因の一つがこのプライバシーへの配慮が必要とされる条項があるということであります。

課題にございますように、閲覧規制、掲示規制等では、行政機関が保有する情報を公衆の閲覧に供するということになっておりまして、その中の一部に個人の氏名でありましたり住所等が含まれているものがあるということであります。これらの情報も含めて書面だけではなくてインターネットでも閲覧できるような規制を見直すということにする際に、デジタルの場合はアナログに比べて情報の加工・流用がされる等のリスクが高いということで、プライバシーへの配慮が必要ということを各省庁からご指摘を受けているところであります。

そこで、その対応としまして、一つには、デジタルとアナログで同じ情報を開示するということを基本方針として、フェーズ3を目指すということで各省庁に求めていくということにしておりまして、この点はその後の調整によりまして各省庁と合意済みとなっております。

2点目の各省庁に一定の方針を示すというところ、すなわち、方針の具体的な内容が本日の議論ということになります。

2ページ目、どのような条項があるのかというところを具体例、4つのタイプに分かれますので順次ご説明をいたしますと、まず1つ目は国家の資格、あるいは受けた個人、あるいは許認可等を受けた事業者の名簿の閲覧ということの制度になります。

点線枠内の中にございますけれども、例えば建築士法では、国交大臣が一級建築士の名簿を作成いたしまして一般の閲覧に供するというようにされておりまして、その名簿に建築士の氏名に加えて生年月日、性別なども記載をされているということであります。恐らく同姓同名のものを区別するための工夫だと思われますけれども、こうした情報をデジタルで閲覧させますと不特定多数の者への流出等の懸念がある、こういったご指摘があるということであります。

2つ目は、利益関係書類の閲覧の制度でして、これは上場会社の役員のインサイダー取引の防止のために、役員の短期売買利益関係書類の返還請求権を持っている株主だけではなくて、公衆の縦覧にも供しているという制度となっております。

枠内にありますように、当該書類には取引者、要するに役員の氏名、それから、住所等が記載をされますので、これもデジタルの閲覧で実現いたしますと不特定多数がいつでも容易に住所を確認するということが可能となってしまってプライバシー上の懸念があるということであります。

3ページ目、続いて3点目になりますけれども、これはいわゆる標識の掲示というものでありまして、国から許認可等を受けている事業者であることを消費者等に示す、こういった書類を事業者自らが作成をいたしまして事務所に掲げる。例えば点線枠内にあるように宅建業法ですと、免許証の番号、有効期間に加えまして、代表者の氏名であるとか、それから、法律で必ず置くこととされております専任の宅建取引士の氏名等を記載するということになっています。この標識をインターネットでも閲覧できるようにしますと、一従業員たる個人の情報を閲覧に供することになりますので、プライバシーの観点から懸念があるという指摘がございます。

4つ目が公示送達制度になりまして、この制度は行政機関が例えば個人に不利益処分の通知を行う際に、その者の住所が判明しない場合に、いつの間にかその処分が決定されていたということがないようにするために、一定期間は当該個人の氏名でありますとか通知文書をいつでも交付すべき旨を行政機関の事務所に掲示をするということにしているものであります。これを掲示板だけではなくてインターネットでも公表するということにする場合には、その者が公示送達の対象であるということが容易に拡散をされてしまう。そしてまた削除が困難になるということで、これもプライバシーの観点から懸念があるという指摘がございます。

4ページに行きまして、以上のような条項につきまして、各省庁に対して規制の見直しの基本的な方針をお示ししたいというように考えております。左側にありますように、本日、大きく4つに分けてご議論をお願いしたいと思っておりまして、1つは、見直しの方針の総論あるいはスケジュールということであります。2つ目が閲覧項目、閲覧対象者の範囲。3つ目が不適正利用を防ぐためのルールとその実効性を確保するための技術的措置ということになります。ここまでが前半でございまして、後半に公示送達制度についてご議論をいただこうと考えております。

右側にありますように有識者の皆様方から事前にご意見、見解を頂戴しておりますので、それらを整理しまして方針案としてまとめてございます。公示送達制度以外の部分につきましては、この方針案について本日の議論を踏まえまして、近日中にも各省に対して正式に方針を提示できればというように考えております。

5ページに参りまして、各省庁に掲示をさせていただく規制の見直しの方針案を大きく3つにまとめております。

まず方針1といたしましては、デジタル原則。特にデジタル完結・自動化原則への適合性を考えた場合に、やはり原則としてアナログで閲覧できる情報と同じ情報をデジタルでも閲覧できるようにするということ、これがデジタル臨調として重要な点の第1点目だと考えております。

それから、方針2としましては、この方針1に沿って規制の見直しを行う際にプライバシーへの配慮が必要ということでありましたら、次ページ以降で本日ご議論いただきます「基本的な考え方」に沿って、既存の規制の在り方に立ち返って見直しを行っていただくということ。

方針3としましては、制度的な対応だけではプライバシーの保護に懸念が残るということでありましたら、技術カタログも参照しながらデジタルの活用・導入を検討していただくということでございます。

8ページまで飛んでいただき、ここから論点をご紹介していきたいと思いますが、まずは総論としましては、情報を閲覧させることによって得られる利益と、それから、プライバシー保護の必要性、このバランスをどのような観点から図るべきかという論点であります。この点につきましては、構成員の皆様、それから、本日ご参加いただいております有識者の皆様方からいただいたご意見を紹介しますと、行政の公正な運営を知らしめる効果と個人のプライバシーについて比較衡量が必要というご意見。個人のどのような利益を守る必要があるのか、具体的に確認することが必要というご意見。

他の法令でプライバシー侵害のリスクの軽減措置が既にあるかどうかも重要というご意見。アナログの場合のプライバシーの保護にも立ち返って対処すべき。情報公開請求でも不開示情報としているのか整理すべき、こういったようなご意見などを頂戴してございます。

次の9ページに行きまして、こちらは制度の在り方そのものに立ち返って規制を見直す場合の個別の論点の1つ目となります。閲覧項目の見直しということになりますが、図がありまして、真ん中にあります行政機関が左側の個人から提供を受けた情報を整理した上で、右にいる閲覧者に提供する。その際に保有する情報のうち、どの項目を閲覧に供するかという点でございます。閲覧項目を絞ればプライバシー上の懸念はなくなりますけれども、絞り過ぎると閲覧によって得られていた公益が限定されるということになりますので、そのバランスをどのように図るのかというところが論点になります。

いただいているご意見としましては、デジタルとアナログで同じ情報を開示すべきではないかというご意見。インターネット普及前に制定された法令もありますので、デジタルもアナログも両方の開示項目を見直すべきではないかというご意見。さらには、閲覧に関する規制制度の目的を達成する観点から、必要な情報を必要な限度で開示すべきではないかというご意見。例えば性別、生年月日はほかの情報で代替できるし、住所につきましては訴訟の手続等に留意をしながら規制目的次第では非開示ということもあるのではないか、こういったご意見などをいただいおります。

10ページにお進みいただきまして、2つ目が閲覧対象者の範囲の見直しということで、この図の右側におります閲覧者の範囲をどこまでにするかという論点であります。
ご意見としましては、一般への閲覧が規定されている条項については、閲覧目的に照らして利害関係者にのみ閲覧をさせる条項がないか点検をすべきではないかというご意見。
利害関係者と一般の者で閲覧情報を区別するということも検討すべきではないかというご意見などがありました。

12ページになりますが、上に図の一番右におります閲覧者が行政機関から情報を得た後に不適正な利用の形で情報を利用するとプライバシー上の懸念につながるということでありますので、従いまして、この運用上のルールでこれを禁止するというのがここの論点。

次のページがデジタル技術を利用して防止をすることを論点としています。ここでのご意見としましては、例えば情報の目的外利用の禁止ということを実行上のルールとして明確化すべきではないか。ルールを破った場合の制裁措置も検討してはどうかというご意見。
閲覧の二次利用の悪質なケースについては、不適正利用の禁止としてルール化すべきではないかというご意見。それから、個情法の規定、これが実効性あるものとして機能するための措置が取られるべき、こういったご意見がございました。それから、複写・謄写、これを技術的な措置によって制限する限界があるので、複写・謄写を前提に閲覧に係る規制を見直す必要があるのではないか、こういったご意見などがございました。

13ページになります。こうしたルールを整備した上で、その実効性を確保するための技術的な措置ということにつきましては、一覧方式ではなくて検索方式で必要な部分のみを閲覧させてはどうかというご意見。同一IPアドレスによる閲覧の制限等を導入してはどうかというご意見がある一方で、5つ目のところ、ほかの技術的な手段で回避できてしまうので、制度の見直しのほうに注力をしてはどうかというご意見もございました。
こうしたご意見を踏まえて我々のほうで基本的な方針の案というものを作らせていただいております。

まず1ポツのところ、方針の趣旨とか位置づけを記載しておりますが、下のほうにありますように各省庁がデジタル適合性の観点から規制を見直す際に直面する課題に横断的に対応するため、この見直しの基本的な方針を示すものというようにしております。
2ポツのところは、1ページから3ページにかけて先ほどご紹介しましたようなプライバシー配慮が必要とされる条項の具体例を記載しております。

それから、4ページ、3ポツのところでは、先ほどご紹介した基本的な方針。特に2のところに「『基本的な考え方』に沿って」とありますが、これが6ページ以降に記載がされるということになります。

6ページの「基本的な考え方」のところ、柱書きのところに総論として制度の在り方に立ち返って規制の見直しを行う場合の大きな考え方、規制の趣旨・目的に照らしたデジタル技術の活用が図られるようにすべく、その閲覧に供する情報の内容であるとか情報提供制度が持つ公益性、こういったものを勘案しながら、情報の閲覧によって得られる利益とプライバシーの保護の必要性を比較衡量した上で適切な規律を設ける、このように記載をしてございます。

(1)のところが閲覧項目の見直しということになりまして、①の資格者の名簿につきましては、ア、原則として、個人の氏名、略歴等は公表。一方で、イのところで、同姓同名の者も区別する必要がある場合には性別、生年月日に替えて、許認可番号等の情報を公表するということを原則とするとしております。それから、個人の住所につきましては、別の閲覧項目で本人特定ができる場合は非公表ということを原則とする一方で、訴訟手続に利用する場合など住所を公表しないと制度の目的を達成できない情報については、例えば利害関係者とそれ以外の者による閲覧項目を区別する、あるいは希望に応じて閲覧項目の表示内容を変更する。そして、その下に行きまして、地番ではなくて市区町村までの情報、住所情報を公表する。こういった工夫を凝らしまして、規制の趣旨・目的に照らして検討して見直しを行うというようにしてございます。エのところ、公共性が高い業務を行う事業者の企業情報、例えばこれは定款や財務諸表になりますけれども、こういったものについては原則として公表。③のところに移りまして、標識における個人の氏名につきましては、情報の開示による公共の利益とプライバシーの保護とのバランスが図られるように見直しを行うとしてございます。④の公示送達に関する記述については、調整中である旨を注記してございます。

それから、続いて(2)のところ、閲覧対象者の範囲の見直しということになりますが、こちら、①の資格者名簿の閲覧につきましては、例えば消費者が先ほどの例でいいますと建築士を選ぶ際に必要な情報ということになりますので、閲覧対象者は公衆ということにしています。8ページのイ、商業登記制度につきましては、プライバシー保護の観点から、閲覧対象者を制度の趣旨・目的に照らして適切な者に限定する等の措置が必要。さらに、その際には、当該者の範囲を特定することを含むというようにしてございまして、こうした措置も含めて規制の趣旨・目的に照らした見直しを行うことが適当というようにしてございます。また、②の利益関係書類の閲覧制度につきましては、今の閲覧の対象者の範囲が少し広過ぎるということですので、その範囲を限定する等の見直しが必要というようにしてあります。また、③の標識に係る制度につきましては、閲覧対象者は原則として公衆とするとしております。

(3)のルールの整備のところになります。こちらにつきましては、アのところにありますように行政機関等は、閲覧情報の目的外利用の禁止等に関するルールを整備した上で、当該ルールの承諾を前提に情報の提供をする等の措置を検討するとしています。具体的にはイのところにそのルールを書かせていただいていますが、目的外利用の禁止のルールでありましたり、個人情報の不適正利用の禁止、本人に対する利用目的の通知、こういったルールを運用上のルールとして整備をした上で、その承諾を前提に情報を提供するといった形にすることを記載してございます。それから、なお書きのところ、こうした情報の目的外利用の禁止等に関するルールを実効性あるものとして機能させるための必要な措置として、各府省庁の関連法令を含む制度・ルールの普及啓発、それから、適切な執行を引き続き行うことが適当というようにしてございます。ウのところが現行制度で閲覧と複写を書き分けている規制があるということでして、そういった場合には閲覧を認める一方で、手書きあるいはスマホ等によって複写をするということが禁じられる運用実態がありますところ、デジタル技術の普及の状況を考えますと、この複写の禁止を技術的に実効性を持って担保するということが困難であることから、目的外利用の制限のルールに、承諾するということを前提に複写も可能とすることが望ましいというようにしてございます。

最後に、4ポツになります。見直しのスケジュールのところになりますけれども、既にデジタル臨調の9,000条項の見直しでは、2024年6月までの2年間でアナログ的規制の見直しを実施するということにしておりますので、その一環でありますこれらの条項の見直しにつきましても、その期間内に完了することが求められるとしています。また、この方針に沿って見直しをして完了ということではなくて、今後ともデジタル技術の進展でありましたり、これから活用の状況ということを踏まえて不断に見直しを行うということを求められるというようにしてございます。

以上、前半部分では、今、ご紹介しました論点でありますとか、それから、基本方針案についてご議論いただければ幸いでございます。公示送達の部分は後半に議論をお願いしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

安念副座長: どうもありがとうございました。前半部分のご説明をいただきました。
ここから意見交換に入りたいと思いますが、前半は論点が多岐にわたることから、議論を次の3つのパートに分けて進めさせていただきたいと存じます。

前半は資料の4ページに記載されている左側の箱3つ分です。「論点0 方針1~3・総論・スケジュールについて」というのが一固まり、「論点1 閲覧項目について」及び「論点2 閲覧対象者の範囲について」、これが一固まり。それから、「論点3 不適正利用を防ぐためのルールについて」、「論点4 ルールの実効性を確保するための技術的措置について」というように3つの固まりに分けて議論をしたいと思います。

では、上野山さんからお願いできますか。その次に森先生。

上野山構成員: ありがとうございます。上野山でございます。

私からは、どの案がいいかというより総論の話に関して2点ほどお話しできればと思います。
1点目は、どの案がいいとかではなくて、各論点を考える上でぜひ入れていただきたい観点として1点ということなのですけれども、要はデジタルとリアルという本質的に何が違うのという話とも関わるとは思うのですが、一つは、事故とか有事が起きたときに過度にウェブ上で個人名が増幅して過度に罰せられてしまうみたいな、これは法律用語で言うと忘れられる権利とか言われたり最近するのかちょっと分からないのですが、この観点がデジタルとリアルで違うということの気がしていまして、この観点をぜひ入れながら議論することは意外に重要なのではないかなと思いますというのが1点目の話。

2点目は、先ほどの話とオーバーラップしますけれども、デジタルとリアルで何が違うのかの言語化というのはやはり非常に重要なのだと思っていまして、今回の文書で実はもう全部カバーできていて、私が追いついてないだけかもしれないですが、例えば複写されて目的外利用されるみたいな話もあれば、有事のときに過度に広がって忘れられる権利が脅かされるみたいな話もあれば、実はデジ臨におけるデジタルとリアルの違いは何でしょうねという言語化みたいなのは非常に重要だなと思いました。
ちょっと違う観点ですけれども、以上2点、私からのコメントでございます。

安念副座長: 第2の点は、デジタルとリアルはこういうように違うぞということの基本的な認識を文書の中に簡潔にせよ書き込んでおいたほうがよいというご趣旨ですか。

上野山構成員: はい。今回の文書に入れる必要があるかは分からないのですけれども、あらゆる論点における共通的な概念な気はしますので、我々の中でも共通認識化していけるといいなと思っての発言になります。

安念副座長: 留意いたしました。ありがとうございます。
では、森先生、お願いします。

森弁護士: ありがとうございます。

実は私も今の上野山先生のご意見と全く同じことをお話ししようと思っていまして、デジタルと紙、ここでは何を閲覧できるようにするかという話ですので、デジタルと紙の違いということだと思いますけれども、やはりそれははっきりさせておく必要というのはあって、その違いをはっきりさせた上で制度を考えていく必要があると思うのですが、そうなりますと、一つは忘れられる権利とおっしゃっていただきましたけれども、やはりデジタルタトゥーというようなことが言われますから、何か不利益なことが1回出ると、それは紙の場合とは全然インパクトが違うということがあると思います。

もう一つは、これはもう既に資料の中にもお書きいただいていますけれども、やはり複製が容易であるということとデータが劣化しないということで、いつまでも同じものがたくさん作れていろいろそれが場合によっては弊害に、例えば名簿の形で見せているとそれでさっさとコピーしてきてDMを送られてしまうというようなことがあり得るということですね。

そして、3点目に、デジタルの情報と紙の情報の一番の違いは、デジタルの情報の場合はある種の構造化されたデータベースとして持っているほうは持っているということですね。あとはそれをどう見せるかというだけの話ですので、今日のいろいろな論点で不必要な情報は出さない、性別は出さずに登録番号にするとか、あるいは検索してもらって回答だけ返すようにするとか、そういういろいろな工夫をしていただいていますけれども、これはデジタルだからできることなわけでして、そういったデジタルの特性を生かしてデータ・ミニマイゼーションをしっかり図っていく。必要なものは必要な方に見せるけれども、そうでないものは出さない、悪用をできるだけ避けるということがデジタルならではの可能性なのではないかなというように思います。

そうしますと、方針、この「論点0」のところですけれども、3つありまして、方針1、スライドでいいますと3ページですかね。ありがとうございます。今のもう少し下なのです。その次のスライドをちょっと出していただけますと、方針1なのですけれども、アナログ規制の見直しなどではこれこれの観点から、原則として、アナログで閲覧できる情報と同じ情報をデジタルでも閲覧できるようにする。アナログでもデジタルでも同一の情報を閲覧に供する。

これはごもっともなことではあるのですが、多分方針1のご趣旨は、それは紙でしか閲覧できないという状況は絶対になくす、そういう決意を語っているのだと思うのですね。丸括弧の中のアナログでもデジタルでも同一の情報を閲覧に供するというのは、そうしますとちょっと言い過ぎで、やはり紙では、べったり書いて出すしかなかったけれども、構造化されたデジタル情報であれば必要に応じて出し分けられるというところはデジタル情報の特性として考えていただいて、そういうようにするのだよと、同じものを見せるわけではないからねということは方針1の書きぶりといいますか、解釈として考えていただいてもいいのかなというように思いました。
以上です。

安念副座長: 今の森先生の後半のご指摘は、実は方針1と方針2を併せて読めばおのずからそうなるということにはなりませんでしょうか。

森弁護士: そうですね。そうなのですけれども、数が少ない大原則ですので、方針1を必ずやるのだみたいなことにならないようにといいますか、方針2は方針2でめちゃめちゃ重要なことだと思うのですが、それぞれの内部の解釈として。

安念副座長: 分かりました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。

稲谷先生、その次、落合先生にお願いします。

稲谷構成員: すみません、今、森先生からいただいたお話なのですけれども、私も安念先生と同じような感触を持ったというところがあるので少しだけということなのですが、方針1のほうは、これはプライバシーへの配慮がそもそも問題にならないということが前提になっているときには、原則は同じものだから全部届くようにするよという書き方なので、その意味では方針2のところの「基本的な考え方」のほうが多分今、森先生がおっしゃられたことに関係するお話だと思うのです。

その上で、この「基本的な考え方」のほうの頂いている紙のほうで見ますと、6ページのところの括弧書きの中に当該規制の趣旨・目的に即したデジタル技術の活用が図られるようにするべくということで、何でもかんでも見せるのが原則ではなくて、当該規定の趣旨・目的が達成できるようにするために、まさにデジタル技術を活用して、不必要なものは見せないようにするとか様々なことができるのですよということが書かれているのかなというように感じておりましたので、その点については一応ご配慮がされているのかなというように思ったということを申し上げたかったということでございます。
すみません、失礼いたします。

安念副座長: ありがとうございました。
今の森先生と稲谷先生のご指摘の趣旨が生きるように、ひょっとすると文章の表記上の工夫なんてものがあり得るかもしれないですね。

森弁護士: ありがとうございます。稲谷先生、ありがとうございました。

全くご指摘のとおりなのですけれども、ちょっとだけ補足させていただきますと、私、この問題、デジタルとアナログの違いというのは先ほどの方針の中の方針1と方針2で、方針2はやはりプライバシーのバランスなのですよね。それがもちろんメインだと思います。私もプライバシーの話をしにここに来たわけですから全くそのとおりなのですけれども、ただ、やはりデジタルの構造化されたデジタルデータのうまみというのは、本当にプライバシーに配慮できるということだけに尽きるものではなくて、より閲覧者といいますかユーザーが自分の必要な情報に早くたどり着いたりピンポイントでたどり着いたりすることができるという機能もありますので、プライバシーに限らず、やはりデジタルと紙の情報としての違いというのは一般的にあるものではあるかなと思っております。

安念副座長: そのデジタルと紙の違いをきちんと認識しているぞという、やはり総論的な表現が必要かもしれませんね。よく考慮すべきところと存じました。
それでは、落合先生、それから、増島先生の順でお願いしましょうか。

落合構成員: ありがとうございます。
私も今、森先生がおっしゃっていただいたポイントもすごい重要だと思いますし、一番最初のそうお感じになられた原因としては、方針1、2、3と書いてあるのですが、全部目標として1、2、3と分けて書いているものの、見直しのプロセスを組むときは、1から3はそれぞれ検討するという点だと思っています。1だけ抜き出していきなりプロセスを組むということはないと思いますので、その点では1から3を併せて読んでといくことを、屋上屋かもしれないですが、明確に書いていただければとも思います。

具体的なプライバシーへの配慮ということについては、どちらかというと「論点1」から「論点4」の辺りで具体的に調整を図られると思います。ここのレベルでは、やはり全体を統合して対応していくということで、その中では上野山さんも先ほどおっしゃられた、原則としてある種、情報の公開をされるべき範囲自体は不合理に紙とデジタルで区別、差別をするべきではないということがあると思います。それはデジタル臨調の考え方としてあると思いつつも、一方で、やはりデジタルだからこそのリスクということも、それはそれでやはり厳然と存在するものがあると思います。このため、こういう方針2、3を併せたものになっていると思います。結局、今まで発言された方、全員同じことを言われているような気もしますが、全部併せて読むことはもう明確に言ったほうがいいと思いますし、そこがそうでないという趣旨でもないと思いますので、その点だけ明示していただくことでいかがでしょうか。

私はここのパートについては以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
森先生のような大家がそういう第一印象をお持ちになったのだから、このことは、私はやはり重要だと思うのですよね。落合先生のおっしゃるような工夫も当然あり得ることと思います。

増島先生、いかがでしょう。

増島構成員: ありがとうございます。

私は後ろ側でいろいろ事務局さんと一緒にご議論させていただいた中で気づいたこともあるのですけれども、方針3が大事だなというように実はすごく思っていまして、神は細部に宿るというやつの細部の部分が多分方針3のところで出てくるのだろうということです。
もう少し言い方を変えると、そのルールがどうかということに対して方針3は技術、アーキテクチャーのほうに来ていまして、ここの実装の仕方によっていろいろなことができるというように理解をしています。先ほどの検索をして検索結果だけが出るようにするというのもそうですけれども、目的外利用をさせないみたいな観点では、要するに見ているやつは誰なのだというのが特定できている。誰が何をしているか、また、見られた人について、あなたの情報が何件見られていますよみたいなのがもちろん望む人だけですけれども、通知が来るとか、いろいろな実装のやり方があるのだと思います。

自分の情報がどういうように人に見られているのかというのを監視することができる仕組みですとか、いろいろな実装のやり方がありまして、それで実装を含めてやることによって結局不正な利用がなくなるということが起こって、その結果、変な使われ方をするとか拡散をするリスクみたいなのが抑制できるということがきっと起こるのだろうと思っています。

なので、原則、大所高所、大事だというように思うのですが、最後の大事な部分というのは実装の部分で、どういう実装をするのがベストなものなのかみたいなものを実際、この方針がリリースをされた後に、これは各省がいろいろ実装の仕方を検討するという形になって、そのときに技術カタログを見ていただくという話になるのですけれども、ここの部分をしっかりと我々も関与しながらやっていく。ここで相当実際の被害の在り方とか被害の出方とか、この辺が大きく変わってくると思うので、ここにこだわりたいなというように思っている次第です。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

事務局(大澤): ありがとうございました。私のほうから補足をさせていただきます。
今の最後の点は、まさに最後に、ご紹介しなかったのですけれども、ペーパーのほうの最後に、今後必要に応じて各省庁からデジタル臨調にご報告をいただくような形で書かせていただいていますので、まさに今、先生がおっしゃったようなところも含めてしっかりとフォローアップをしていくということが重要かなと思っています。

安念副座長: ありがとうございました。
3つに区切るつもりだったのですけれども、時間の関係もありますし、中では結局関連してしまっているので、どうぞこの枠にこだわらずにご議論ください。
それでは、板倉先生と岩村さんの順番でよろしいですか。

板倉弁護士: 板倉です。よろしくお願いします。

そういう意味では、「論点0」の方針2、こちらについて今日も個人情報保護委員会、来られていますけれども、個人情報保護委員会のほうから「個人情報等の適正な取扱いに関係する政策の基本原則」というのが今年の5月に出ています。こちらは要するに政府、各省が個人情報に関する何らかの政策を推進する際に気をつけるポイントとして出されているものでして、検討する際には参考になると思いますので、ぜひ各省はそれも見ていただくといいと思います。

プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しは、個人情報の観点からすれば、行政機関等が保有している個人情報の取扱いの政策にほかならず、基本原則がまさに活躍する場面ですから、個人情報保護委員会はご相談が来たら乗っていただいて、ぜひ一緒に検討していただければと思いました。

それから、方針3のところの増島先生がおっしゃったところについて例を思いついたので申し上げておくと、マイナンバーの情報提供ネットワークシステムは誰が触ったかについて全部ログが取られて、場合によっては開示請求ができるようになっております。このようなものを導入することによって、要するに、不正利用は完全には防げないわけですが、誰が不正利用したかというログは残っているので、最終的には表に出ます。セキュリティー心理学的な観点からもそのようなものは効果的だというように思われます。

また、住民票について我々弁護士とかが職務上請求をすると、自治体によっては本人に直接通知が行くようになっています。こういうシステムはあまり国だとありませんが、自治体によってはやっていますのでそういった辺りを参考にしてやっていただければと思います。

もう一つ、方針2について申し上げることがあるとすれば、先ほどの建築士さんの制度とか、多分今つくるとしたら性別なんて絶対入らないと思うのですね。やはりつくった年代が古いものであればあるほど、今のプライバシーとか差別の観念に合わないものはありますので、そういうものはよりアナログ情報も含めて改定、改正が求められるというように考えて見ていただくといいのではというように思いました。

それから、後ろのほうになりますが、目的外利用についていろいろ抑止するための制度が入っているものとしては、プロバイダ責任制限法で開示された情報について目的外で使ってはいけないという義務を課しています。また、最近の法律でありますが、取引デジタルプラットフォーム法、こちらにはデジタルプラットフォームに対して販売業者等の情報を請求する制度があります。この際、一種の表明保証ですけれども、不適正には使わないよという一筆を出さないと開示しないというようなことになっています。利用規約で同意を得るというのは同じような趣旨かと思いますが、このように表明保証を入れるというのも既存の法制度にありますので、そのような辺りを参考にしていただいて、各省はバランスを取ってどうなるかなというのを検討していただくといいのだろうと思います。

前例がないと、結局裸の利益衡量になってにっちもさっちもいかないということになりかねない。といっても、そういうことになる気持ちとしては分かりますので、今、参考になりそうなものを複数述べました。ぜひ検討してください。
性別とか、今、絶対あり得ないと思うのです。今まで問題になってないから変更していないのですけれども、今だったらこのような制度はつくらないなというものはぜひ変えていただいたらよいかと思います。

それから、方針1、アナログで閲覧できる情報と同じ情報をデジタルでも閲覧できるようにする、つまり閲覧できる情報を一緒にするというのが原則というのはおかしいのではないかという議論もありましたが、結局アナログのものであっても、もうデジタルに出ていってしまうことが前提になる。そのようなことが前提なのであれば、閲覧できる情報は一緒にしておくべきだというようなことで理解しています。いずれにせよ、一緒にするというようなことで、方針1は、私はそれでいいのではないかと思います。

以上、ありがとうございます。

安念副座長: どうも種々有益なご助言をいただきましてありがとうございました。
それでは、岩村さんにお願いしましょうか。

岩村構成員: ありがとうございます。

これまでの議論を踏まえて、見直しの基本的な方針を整理いただいて感謝いたします。デジタルとアナログの取扱いの整合性を確保しながら、プライバシーへの配慮とバランスよく両立できるように、各省庁で実効的な措置を講じていただくことを期待しております。
個別に見ますと、商業登記において、法人の代表者の住所がインターネット上で不特定多数の目にさらされているという問題は、とりわけ早急な対応が必要でないなとなか思っております。実際、スタートアップの代表の方から、全く見覚えのない方から自宅宛てに手紙が届くといった話も聞いたこともございます。閲覧対象者の範囲の見直しについて、8ページ(2)①イに示されている、利害関係者に絞る案は、これまでの弊会の主張にも通底するものでありまして、違和感がございません。

他方、法制審の議論では、利害関係者の外縁が定まらないということで難航した経緯があると聞いております。こういったことも踏まえて、主観的な判断を介することなく、客観的に閲覧対象者が定まるような形が望ましいと思うのですが、本日はプライバシー等の専門家もいらっしゃると思うので、例えば本人・本人が閲覧を認めた者・弁護士資格を有する者など、客観的な定義の案を示すことが可能かどうか、ご知見をいただけると大変ありがたいと思っています。

今後、法務省を中心に検討を加速していただくことが重要だと思っており、デジタル庁にもぜひ検討支援のお願いをしたいと思います。2024年6月は最後の期限ということで、他の案件も含めてどんどん前倒しで実現していくものというように理解しています。

デジタル5原則を前提としつつ、先ほど申し上げたように目の前にあるプライバシーの保護の要請を踏まえて、柔軟性かつスピード感のある議論をぜひお願いいたします。経団連としても、法務省ともよく相談していきたいと考えております。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
あとは稲谷先生ですか。

稲谷構成員: ありがとうございます。
乱取りということですので、私のほうは、不適正利用に関して少しだけコメントをさせていただければと思います。

やはり個人情報保護に関して、合理的なリスクマネジメントが全体の構造としてできているのかというのがポイントになるのではないかということは、この場でも何度か申し上げてきてきました。問題となる行為について、罰則規定等が規定されている類型や、既存の刑事法規制で対応できる類型、名誉毀損であるとか業務妨害であるとか、あるいはストーカー規制法であるとか、その辺りの罰則規定できちんと対応できる類型がある一方、現状ではなかなか捕捉が難しいものについて、どのように対応していくかという論点が残っていたかなというように思うのです。

その中で、例えば破産者マップのような事案については、どう考えるのかというのはまさにこれから議論が必要なところではあるような気がするのですが、個人情報保護法との関係で、19条、21条違反で、145条2項で勧告なり命令なりをやって最終的に聞かなかったら罰則という形になっているということだと思うのですけれども、これは私の思い違いかもしれないですが、捕捉できるのかどうか分からないなと思ったのは、例えばそういった情報を濫用して、何か広告なんかの収入を得ながらマネタイズされてしまうということが繰り返し起きたときに、刑事罰などの制裁制度を上手く整備できていれば、例えば利益を剝奪することによって、そういった行為に対する抑止力は上げることができるような気がするのですが、現状のままだと、そういったことというのは難しいのかもしれないと懸念しています。

あるいは勧告だけで一旦やめてしまうけれども、別法人を作るなどして繰り返し同じようなことをするといったことをやられてしまうと、やはりとても困ったことになるような気もするので、少し構造的にこの辺りの問題をどう整理するのかというのは大きな話ですけれども、考えてみてもいいのかなということを印象として持ちましたのでコメントさせていただきました。ありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。
これはもう乱取りですので複数回にわたってご発言いただいても構わないのですが、森先生、お手が挙がっていますか。

森弁護士: ありがとうございます。

先ほど経団連の方からお話のありました利害関係者、住所について、これは難しい問題だと思っておりまして、私が何か解を持っているわけではないのですけれども、ただ、やはり特に企業の住所、私が想定しているのはスタートアップとかではなくて大企業ですが、代表者の住所が新聞等の取材にこれまで使われてきたというようなこともちょっと考えていただく必要があるのかなというように思っていまして、そういう報道との関係みたいなことも考慮する必要がある。もちろん、みんなたくさんで行って近隣にご迷惑をみたいなことはよくないわけですけれども、そうかといって、そこを塞いでしまって代表者に何か起こったときに取材できませんみたいなことでいいのかなという気もしておりますので、やはりここは引いた目線でいろいろなことを考えて利害関係者を決めないといけないのかなというように思っております。それが一点目。

もう一つは、先ほど増島先生からあったアーキテクチャーでというお話、これは全くごもっともなことだと思っておりまして、あと事務局からも補足で、基本的方針の最後のページに最新のデジタル技術の活用によって国民の利便性の向上や行政運営の改善を図る観点からというようにお書きいただきました。これも全くしっかり適切にお書きいただいているとは思いますけれども、今回、資格の話ですので、やはりこの話の延長線上にはデジタル庁の別のところでお進めいただいているTrustedWebとかそういう分散管理の話というのはあるかなと思っていまして、最終的にはVerifiableCredentialを使って直接、省庁のデータベースを見に行かずに、この人は間違いなく資格のある人だなとか、この人の資格、こんなのだなというように利用者が分かる。

何よりも、そうやって省庁が証明書を発行し、また、それを包んで有資格者が証明書を発行するようになる。一人一人のもしかしたら我々もしなければいけない。我々の場合は、データは法務省ではないのですけれども、有資格者が一人一人、自分のDIDを持って証明書を出せるようになるようなことが進んでいけば、その先にそういった分散したデータの世界というのが開けているわけで、そういうことはこのままにしておくというか、マーケットドリブンでは絶対進まないので、やはりこういうところでご検討いただいて、隗より始めよということでやっていただけるといいかなというように思います。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
それでは、増島先生、お手が挙がっていますか。

増島構成員: ありがとうございます。

では、2点ほど。まず1点、今の森先生のものは、私も実は取材の自由はどうするのだみたいな話を事前に検討でやりまして、これは宍戸先生もいらっしゃるのでぜひと思うのですけれども、取材の自由は一応憲法上の自由ではないみたいな、人権ではないみたいな話になっていて、バランスをどういうように取るのかという話もありまして、取材対象のところに押しかけていろいろ取材をする権利があるのだみたいな話をそんなにどのぐらいプライバシーに先行して議論するのが要るのか。知る自由に資するとかいろいろな理屈はあるのでしょうけれども、そこは私も少し改めて憲法を復習し直してちょっと感じた部分がありましたというのが一応バランス論との関係でのコメントです。

2点目は、商業登記の話なのですけれども、商業登記は代表の名前が書いてある理由は何なのですかという話を法務省さんとちゃんと詰めていただく必要があるのですよね。社長のところに行きたいという話なのか、何が本質的に住所を書かなければいけないのだということになっている理由が実はあまりよく分かっておりませんで、何かの権利を実現するためにそうなっているのだとすると、その実現を妨げるようなやり方というのはよろしくないという話になると思います。

経団連さんがおっしゃるのは会社の代理みたいなことをされているのでなるべく見せないという、こういうことになっていますけれども、同じようなことは実は不動産登記にも言えて、不動産登記にも個人の名前がたいさん書いてあるわけですね。これはどうするのだという話になったときに、そこは例えば権利者がいて、その権利者にアクセスしたいから住所が書いてあるという話になっているわけでありますから、こういうものを隠していいのですかみたいな話になるし、そこに向けて、おまえ、立ち退けみたいな脅迫文が来たらどうするのだみたいな話をしているのと、法人の社長が云々というのは質において同じなのではないかという感じもちょっとしておるところであります。

民間で実際の不動産登記簿をわっとさらって、それをデータベースに入れていろいろな会社にそれを一々登記所に行かなくても見られますよというサービスをやっている会社は現実にもういらっしゃるというような状況になっていることもありまして、商業登記もさることながら、そこでやられている利益衡量というのはそのまま恐らく不動産登記の話でも多分考慮しなければいけないことだというようになる可能性は相応にあるというように思っておりますので、そこは両方にらんで、両方の理屈が立つような話をしていただかなければいけなくて、その意味でも法務省さんはやはり大事だなというように思った次第でございます。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。不動産登記の乙区なんて、あれは人生そのものを語っているようなものですね。

増島構成員: おっしゃるとおりです。いろいろなことを語っています。

安念副座長: 先ほど宍戸先生へのご言及がありましたので、宍戸先生からちょっとご発言いただけませんか。

宍戸教授: 東京大学の宍戸でございます。

今、お話のありました報道の自由等々の関係で商業登記の問題をどう考えるかということにお答えをしつつ2点ほど申し上げたいと思います。
第1に、報道の自由、取材の自由が憲法上の権利である、あるいは憲法上、十分尊重に値する利益であるということ自体は最高裁判例であり、今回の法律がまさにそういったものを妨げる意図を持って、あるいは妨げる効果を重視してつくられるようであれば、それは私も、重大な問題があるというように思います。

他方で、経団連の方がおっしゃいましたように、プライバシーという観点から見て、何でこれはさらされなければいけないのということがあったときに、報道の自由、取材の自由は情報提供を必ず政府から受ける権利を意味するわけではございませんので、一般的にアクセスを制限する結果として、報道の自由、取材の自由を行使する方にとって、それでも自分で何らかの形で探してたどり着いてアクセスできるようにするということを妨げているわけではない以上、そのこと自体は憲法上、重大な問題はないと見ることもできようかと思います。

ただ、その上でもう一点申しますと、デジタル化が、情報、データのやり取りを進めて、公共的な事柄についての人々のアクセスを容易にする。その際に、一般の人々もそうですが、メディアがどこまでDXしているかどうかは重大な疑義がございますけれども、その一つのドライブになるはずのメディアの取材活動に対してネガティブな効果を及ぼすような形でやることが本当にいいかは、やはり一検討必要であると思います。また、その場合であっても、それぞれ企業の経営と同時に公共的な責任を果たされている企業の方も非常に多くおられるわけでございますので、その意味での説明責任を果たしていくための一定のコンタクトポイントをしっかり確保するという観点からの見直しが、この規制を見直していくことによって利用側にいろいろ生じてくる。これが私から見ますと、まさにDXの本質かな、その一つの表れかなと思っております。

だから、従いまして、1点目、必ずしも解があるわけではないのだけれども、その上でどうするか、企業の方はそのお立場に基づく公共的責任と説明責任をどう果たしていくか、メディアはどうするかという問題はやはり考えていくということが大事ではないかということでございます。

関連して、増島先生がおっしゃった不動産登記のことを申し上げますと、私は、これは原則1についていろいろご議論があって、基本的にアナログ、デジタル、同一でやるべきだというように思っていたのですけれども、進んで申しますと、これまでお話にありましたように、デジタルを使うことによって今までのアナログよりもよりよく情報を流通させ、かつプライバシーを保護するということができるよねと。せっかくなのだから、各プライバシーへの配慮が必要であるという条項の見直しをするときに、そのことを各省庁が、きっちり考えてきてご提案くださいというような筋道は、やはりつくる必要があるのではないかと思います。

不動産登記について、紙で、台帳でやらざるを得なかったから、先ほど人生そのものというお話がございましたけれども、もはやその土地とは関係のなくなっている人たちの身分関係まで一々見えてしまうわけですね。むしろ、そんなことはやめて、現段階でのスナップショットで今、これはどういう人がどういう権利関係を持っているのということが第一義的には分かればよくて、先ほど来お話がありましたように必要で正当な理由がある人、あるいはその資格のある人が見ようと思ったら、言わばアコーディオン式に情報が開いていって今の紙で見られるようなところまで見られる、研究目的などいろいろな事情で見ていかなければいけないというときに、見られるようにするということが大事なのではないか。

その意味で、増島先生がおっしゃる、まさにアーキテクチャーを使って本当の意味で、今まで紙だからこそやってしまっていたプライバシー侵害を見直すという観点から規律の合理化を図っていっていただきたいと思います。

すみません、長くなっていますが、せっかく振っていただいたのでこれで最後にします。3点目、申し上げたいと思いますが、先ほど稲谷先生がおっしゃられたようなことも含めて、不適正利用の禁止等の個人情報保護の関係、あるいは個人情報保護委員会と各省庁におけるそれぞれの場面でのアナログ規制の見直しといいますか、このデータの発信の問題の関係づけでございます。

基本的には、それぞれの開示の仕組みを見直していくこと自体は各省庁のそれぞれの取組において、言わばサイロ型でしっかりやっていっていただいて、そして、そこにプライバシーの保護といった観点については、先ほど板倉先生からお話がありましたように個人情報保護委員会とご相談しながらやっていくべきものと思います。しかし、このデジタルで今、幾つか提起されている問題は、それぞれのところでデジタルで見られるようにする、縦覧できるようにするとした結果として、A省庁のaというサービス、B省庁のbというサービス、その外側にある今までの興信録とかほかのネット上の公開情報であるとか、いろいろなものをくっつけていって、その外側で何かとんでもない悪いことをしたり、プライバシー侵害をしようとするのではないかといったような問題があるわけですね。

そして、この問題は各省庁では手が及ばないところでございまして、これこそ一般法たる個人情報保護法とそれを所管される個人情報保護委員会が固有の役割を果たしていただくべきところではないかと思います。その点で申しますと「基本的な考え方」の(3)の辺りでございますけれども、各府省庁の関連法令を含む制度・ルールの普及啓発や適切な執行を引き続き行うことが適当であるというのはそのとおりですが、同時により積極的な個人情報保護法及び個人情報保護委員会の取組、不適正利用禁止に伴う例えば課徴金制度の活用であるとかいったことにもう一歩踏み込まなければ、私は縦覧規制をデジタル化していくことに対する国民の不安やプライバシー侵害の懸念は払拭できないし、それこそまさに個人情報保護委員会が果たしていただくべき役割ではないかと強く思っております。
私からは以上です。

安念副座長: 誠にありがとうございました。
それでは、落合先生、板倉先生の順でお願いいたします。

落合構成員: ありがとうございます。

そうしましたら、なるべく簡潔にということで、論点①、②などの関係については、やはり今までご議論にあったような、そもそも今の時代に合った、デジタルを使うことと社会状況の変化、すなわち、差別などに対する観念の変化を踏まえて、そもそもデジタルとアナログは同一にするけれども、不必要なものについては情報を出さない、最低限必要なものは使えるようにしていくという形で整理していくのがいいと思います。そのときにTrustedWebなどを直ちに今すぐ実装できるかどうかはともかく、何回かに分けてこういったものは見直していくものだと思いますので、技術的手段の変化に応じて、さらに対応を見直していくことが必要だと思います。

2点目としては、利害関係者については、それぞれの法令で目的が全く違うと思いますので、さすがに一律で書くことは不可能ではないかと思います。もちろん、何か資格者に限定するとか、そういうことで効果がある場合もありますし、一般人も見られないと困るような場合もあるかと思います。一々弁護士に相談しないと取引に入れないということになったら、それもまた不都合でありましょう。一応弁護士なのであまりそちらに誘導するようなことを言うとよろしくないと思います。利害関係者はどうしても個別個別にということだと思います。

また、最終的に情報を利用する際のアーキテクチャーとして、閲覧する方の規約の話などもありましたが、その人がどういう形でこれまで閲覧してきたのかもID管理することがあると思いますし、板倉先生が言われたのはその後のログの管理の話もされていたかと思いますが、そういった情報を取っていったほうがむしろ後で適切にこの人は適切にアクセスしていたのかどうかわかると思います。

それに対して、さらにサンクションということがあると思います。先ほどおっしゃっていただいた課徴金などを個人情報保護法で整備することは私も必要だと思います。ただ、そのような法整備や個別法で制裁を課してもいいと思いますが、その整備にまた時間がかかることもあると思います。そうすると、短期的な対策で、例えば閲覧停止ですとか、そのほかの方法で制裁をかけられることも検討しうるとは思いますので、情報を適切に取った上で、それに対して制裁も適切に設計していくことは大事だと思います。情報の不適正利用については、一般的に罰則等は強化していくべきだと個人的には思っています。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。ペナルティーは難しいな。ありがとうございます。
板倉先生、いかがでしょう。

板倉弁護士: 非常に簡潔に申し上げると、商業登記については、これも弁護士の立場から申し上げてしまえば、やはり第三者による責任追及の観点では、住所は必要なわけです。これは住所がないと訴訟が始められないことが悪いので、そうでなくても始められるというように最高裁事務総局がやっていただけるのだったらこちらはいじらなくてもいいです。

今でも代取以外は利害関係人の証明をして登記の添付書類を見に行って、実はメモって全部まとめて訴えたりしているわけですね。これは経団連が見られている企業と消費者問題で出てくる極悪層とは全く環境が違うので多分かみ合わないと思うのですけれども、そういう意味では、各法務局でどういう人を利害関係人として認めて、添付書類の写真を撮らせているのか、まず、そこの運用から法務省と検討していただいて決めるのが必要ではないかと思います。

それで問題が起きているとすれば、今の運用もよくないので直すのだということになりますし、現在、代取以外の住所がそうやって写真を撮られていて問題ないのだったら、代取の住所も利害関係人は写真撮影可能だということにするというのも一つの考え方だろうと思います。本来的には、住所が分からないと提訴できないというのが弁護士的には極めて問題だということを申し上げておきます。

もう一つは、罰則の部分ですが、宍戸先生がおっしゃったように、課徴金というのも営利を図るやからに対してはあり得ます。他方、実は個人情報データベース等提供罪が2015年改正以降入っているのに、1件も事件になってないわけですね。これはデータベースの形で提供しなければいけないとなっているから恐らく使われていないのです。行政機関のほうは保有個人情報1件でも営利を図って提供すれば罰則がかかるようになっていて、条例なんかだと刑事事件になっているのもありますが、個人情報データベース等提供罪自体がよくなくて、ここはデータベース等の形で構造化して提供しなくてもできるということにしないと機能しないのではないかということを申し上げておきます。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
一通りご発言をいただいたかと。落合先生ですか。どうぞ。

落合構成員: 一言だけです。今の板倉先生のお話はすごく重要だと思っています。情報を知ることは次の何かのアクションにつなげるためということがあって、そこがデジタル庁で行っているワンスオンリーができると、要するにそれで解決できることがかなりあるのではないかということだと思います。それは情報を開示するよりも、ワンスオンリーにしたほうがいいということがあります。VerifiableCredentialの話をされている点も同様で、アクションさえできれば結局いいのではないかということだと思います。そちらの方向になるべく進められるようにしていくことか、技術がなくてもできることがそういえばあったなと、板倉先生のご意見を伺って思いました。

安念副座長: どうもありがとうございました。確かにそうですね。
一通りご発言をいただいたと思いますが、個情委さん、ご発言をお求めと聞いておりますが、いかがでしょう。

吉屋参事官: 個人情報保護委員会事務局の吉屋と申します。

お時間いただきましてありがとうございます。時間がということなので、幾つかご質問いただいていますけれども、簡潔にお答えすると、まず今回の取りまとめ、事務局の方、本当にありがとうございました。私たちとしては、お伝えしたい点、2点ありまして、まずやはり個情委との関係もかなりあると思うのですけれども、政策目的と必要性を各省の方々によく議論いただくということがとても大切だと思うので、この点、明確に書いていただいてありがたいなと思っているのと、今回のポイントはプライバシーの配慮ということなので、必ずしも個人情報に限らず、それを若干超えたものを要求しているものもあるのではないかというように認識していますが、その意味でも個人情報保護法については、19条とか21条とか幾つか聞いていますが、それ以外のことも含めて個人情報に関しては、私たちはこの方針に書いてあるかどうかにかかわらず、しっかり対応したいなというように思っています。

それから、制裁の話、課徴金の話、いろいろご指摘いただきましたが、今年の4月に改正個人情報保護法が施行されたばかりなので、いろいろな意味でまだご指摘はあると思うのですけれども、今の時点でお答えできる体制にはなっていませんので、現実問題として、やはり執行の実績がないので、この部分、よく私たちとしても対処をしていきたいなというように思っているという次第でございます。ありがとうございます。

安念副座長: どうもありがとうございます。
それでは、ここの前半の分はこれぐらいにさせていただきまして、後半部分の公示送達制度の議論に入りたいと思います。

公示送達制度については非公開

安念副座長: どうもありがとうございました。

総括というほどでもないのですが、基本的な方針案については、文章上の工夫として基本的な方針の1、2、3の関係性といったものがありましたけれども、その点は含んだ上で、おおむね皆様のご了解をいただいた。もちろん公示送達制度については継続検討するということになりますが、おおむねご了解をいただいたものと認識しております。

事務局においては、本日のご意見を踏まえて必要に応じ修正を行った上で、改めて構成員の皆様方に方針を送付し、併せて各省庁にも正式に方針を提示し、規制の見直しを促していただくようにお願いをいたします。よろしゅうございますか。今日も大変活発にご議論いただきました。

それから、副大臣、最後に一言いただきたいと存じます。

大串座長: ありがとうございました。

本日も積極的にご発言をいただきまして、ありがとうございます。

今日、長い時間でしたけれども、まずコンビニ業界における酒・たばこ販売の際の年齢確認ガイドラインについて、行政手続本人確認ガイドラインと民間本人確認ガイドラインに照らして妥当かつ合理的である旨の評価をいただきました。また、来年度から始まるマイナンバーカードのスマホ搭載を活用した年齢確認方式にも言及された点について、マイナンバーカードの普及を推進する立場からありがたく思っております。今後、この取組がスーパーなどほかの業界にも広がることを期待しております。加えて、民間本人確認ガイドラインが様々な業界におけるガイドライン作成の礎になることを期待しております。

また、金融業界からの要望を踏まえまして、「経済の心臓」である金融分野で多くのデジタル改革の方針が定まりました。他の分野においても今回の金融分野での見直しの先行事例を踏まえ、デジタル改革を進めてまいりたいというように思います。

また、法案のデジタル原則適合性確認プロセスにつきましては、いよいよ通常国会における提出予定法案の対象に実施することとなりますので、着実かつ効率的に点検を実施するとともに、各府省庁に対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

また、地方公共団体におけるアナログ規制等の見直しの取組への支援につきましては、本日のご議論を踏まえまして、地方からもご意見をいただきながら引き続き支援策の具体化を進めてまいります。

最後に、プライバシーへの配慮が必要と指摘される条項に関する見直しの基本的な方針について、構成員、有識者の皆様方に専門的な見地から闊達なご議論をいただいたところ、本当に感謝を申し上げます。本日いただきましたご意見を踏まえて、所要の見直しを行った上で、速やかに各省庁に見直し方針を提示してまいりたいと思います。
また、本日、オブザーバーとして参加されている各府省庁におきましても、この方針に沿った各規制の見直しにご協力をお願いいたします。

本日はありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。
それでは、事務局より、次回の作業部会の開催について、ご説明をお願いいたします。

事務局(松田): 次回の作業部会でございますけれども、12月7日水曜日、2時から開催をさせていただきたいと考えてございます。
なお、本日の議事につきましては、公示送達制度についてはご異議がないということでございましたら非公開とさせていただきまして、それ以外の部分につきましては公開になじまない内容はないというように考えてございますので、後ほど議事録を作成し、皆様にご確認をいただいた上で公開させていただきたいと考えてございます。
資料につきましても「事務局資料(別紙)」、公示送達制度を除く資料につきましては、特段のご異議がないようでございましたら、全て臨調のホームページにて公開をさせていただきたいと存じます。
本日はありがとうございました。

安念副座長: どうもありがとうございました。
実に多岐にわたる活発なご議論をいただいて、その点で私は本当に今日も極めて生産的だったなと思います。本当にありがとうございました。

参考
議事(1)「コンビニ業界における酒・たばこ販売時の年齢確認ガイドラインの作成について」における発表者、オブザーバーは以下のとおり

  • 発表者
    • 天達泰章(デジタル臨時行政調査会事務局企画官)
    • 神谷英亮(OpenIDファウンデーション・ジャパン)
    • 笠井玲子(日本フランチャイズチェーン協会)
  • オブザーバー
    • 蓼沼宏晃(財務省理財局総務課たばこ塩事業室室長)
    • 中田和幸(国税庁課税部酒税課課長)
    • 渡邉一郎(警察庁人身安全・少年課理事官)
    • 中野剛志(経済産業省商務・サービスグループ消費・流通政策課課長)