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デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第7回)

概要

  • 日時:令和4年11月9日(水)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会
  2. 議事
    1. 諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例の調査
    2. 法令等データの公開方法・利活用高度化の方向性(案)
    3. 質疑応答・意見交換
  3. 閉会

資料

英語版(仮訳)(provisional translation in English)

デジタル臨時行政調査会作業部会 法制事務のデジタル化検討チーム(第7回)の英語版資料です。

The material below is a provisional translation from the seventh meeting of the Working Team on Digitalization of Legislative Affairs (November 9, 2022).

関連情報

議事録

事務局(須賀): おはようございます。時間となりましたので、「法制事務のデジタル化検討チーム(第7回)」の会合を開会いたします。

進行を務めさせていただきます、デジタル庁参事官の須賀でございます。

本日も構成員、オブザーバーの皆様にはオンラインでご参加いただいております。

なお、大串デジタル副大臣は、国会への出席のために遅れて途中からの参加となります。

本日の議題は、ただいま画面に投影させていただいているとおりでございます。恐らく今年最後の開催になるかと思います。

早速でございますけれども、議題(1)として「諸外国の法制事務のデジタル化に関する事例の調査」をやっていただきました株式会社ぎょうせい様より30分程度でご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

株式会社ぎょうせい(石崎氏): 株式会社ぎょうせいの石崎でございます。本日はお時間をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

「諸外国の法制事務のデジタル化に関する先行事例の調査・研究」という報告です。

2ページをお願いします。この調査では、EU、ドイツ、デンマークの3つの機関と国のプロジェクトについて、文献調査と関係者へのインタビューを実施させていただきました。また、この3機関以外にも、比較検討のために8つの国の状況についてもこれとは別に取り上げております。後段では、Rules as Codeの先行事例についてもレポートさせていただいております。

3ページ目をお願いします。調査項目はここに挙げております5つのテーマとなります。法令の改正方式、公示方式、公式法令データ、立法支援システム、民間法令集とのすみ分けについてです。

4ページ目をお願いします。ここから調査内容のレポートをさせていただきます。法令の改正方式、公示方式に関する日本を加えましたご覧の4か国の比較をしております。

まず、改正方式についてですが、4か国とも一部改正の方式を取っております。一部改正とは、従前の法令中の改正箇所を特定して改正を行うといった改正方式です。改正の手法について見ますと、「一部改正」の横に括弧書きで「改め文」と書いておりますが、この改め文方式が4か国で採用されています。改め文とは、改正対象の条文中の字句や条項を捉えて、例えば字句AをBに改めるというような、テキストで改正を行っていく方式です。ただし、日本の場合、府省令においては新旧対照表で一部改正が行われ、公示をされていると理解しております。

EU、ドイツ、デンマークの3つの機関においては、府省令においても改め文の方式で公示がされています。また、4か国以外に韓国、フランス、フィンランド、エストニアについても比較で調べたところ、改め文方式で一部改正が行われております。

もちろん新旧対照表の概念というのが各国にないわけではなくて、デンマークにおいては法案のドラフトに参考として附属されている。また、フランスの公式法令データベースを見ますと、新旧対照表、比較表のようなものが生成される機能がついてございます。

作業部会の検討の中で、改め文を溶け込ませるのが大変面倒なのではないかという議論があると聞いております。ちょっと本題とは外れるのかもしれませんが、各国の改め文を見ますと、日本の書き方と基本的なルールは同じでAをBに改めるという書き方をしていますが、日本に比べると改め文の一文当たりの長さが短い。よく見ますと、一文で改正に係る「改める」や「繰り下げる」という動詞が一文中に1つしか存在しない。また、施行日の書き方がシンプルであるといった点が日本とはちょっと違うなと見ております。

この後、立法支援システムの議論になるかと思うのですが、改め文作成や溶け込ませを行うところの処理がEU、ドイツ、デンマークの国では日本よりも容易なのだろうなという見立てをしております。このことは、これらの国の立法支援システムを参考にして日本に適用した場合、改め文の作成ルールを改めて見直す必要があるのではないかという所見を持っております。

1行下がりまして、公示の主体について、各国とも政府の機関によって公示・公布がされているということです。

次の行です。公示の媒体として、この4機関とも官報というものが存在しておりまして、EU、デンマークは電子版が正本ということになっております。EUでは、「欧州連合官報の電子出版に関する規則」、ドイツでは「連邦基本法」、デンマークでは「官報法」で法令の公示に関する事柄が規定されております。日本の場合は、ここに書いております昭和32年の最高裁判決が根拠とされているところであります。ドイツでは2023年、来年に電子版を正本とする連邦基本法の改正が審議されているところです。

また、ここに挙げている以外の国、エストニア、フィンランドでも電子版が正本、韓国では紙版・電子版が同じ効力を持つとされています。EUとエストニアでは、BCPの観点から、システム障害発生時には電子版に代えて紙版が正本になるという規定もあります。

続いて、5ページをお願いします。公式法令データの整備や所在、整備主体に関してです。公式法令データとは、官報によって公示された法令を従前の法令に溶け込ませを行って、現行法令のデータベースとしたものと理解しています。各国は政府機関が主体となって公式法令データの整備を行っております。ただし、それらの公式法令データはいずれも正本ではないという位置づけになっております。

EUでは、先ほど申し上げた「欧州連合官報の電子出版に関する規則」において、「官報のみが真正であり、法的効力を生じる」という規定があります。また、EUの官報は公式法令データと同じEU出版局が運営するサイトに載るのですが、サイトの中で官報のセクションと法令のセクションというふうに掲載場所が明確に分かれており、官報セクションに掲載される官報で公示された法令が正本であり、電子署名が付されておりまして、法令セクションに載っております溶け込ませが行われた法令は参考に位置づけられております。

また、ドイツについては「連邦基本法82条」によって「法律は、連邦法官報で公布する」とありまして、こちらが正本ですので、溶け込ませのデータについては正本ではないと言われております。また、デンマークも同じように「官報法」において「全ての法律と命令は官報で公示される」と規定されております。

これ以外の国で公式法令データを正本として公示・公布している国があるかと調べたのですが、エストニアの「官報法」に改正を含めた統合テキストの公開というものが規定されておりまして、これが正本とは言えなくないのですが、エストニアの「官報法」の中でも、溶け込ませが行われた統合テキストの公開とは別に原典の公開が規定されているというところと、溶け込ませを行ったテキストと編さん元のテキストが不一致の場合はエラーを確認するというような、エラーがあった場合の規定が法律の中にありまして、公示された改正法の方が正本性が高いと推測しております。

ドイツの司法省に行ったヒアリングで正本性について尋ねたのですが、ドイツの連邦基本法では公布する法令は1か所に絞られるべきだという思想になっているという発言もございました。

次に、一番下の行で、公開までの期間について記載しております。これは、官報が公示されてから公式法令データが更新されるまでの期間とご理解ください。ここで見ていきますと、EUについては26暦日とありまして、結構時間がかかるような印象を受けるのですが、加盟各国への言語対応が主な理由ということをヒアリングしております。

また、ドイツにおいては平均して1日ということになっております。司法局が19名の職員と民間企業のサポートで対応しているということです。ただし、ドイツの場合は公布されてから作業するというわけではなくて、事前に準備作業をしているとも伺っております。

デンマークについては、公布の翌日となっております。デンマークの「整備の実施者」というところに「各省庁で作成したものを掲載」と書いております。デンマークにおいて溶け込みの法令は、先ほどの新旧対照表と同じように法案の審議中に参考資料としてつくられると理解しております。ですので、整備の主体としては市民庁なのですが、溶け込みの法案や法案に関する資料、ガイドライン等を載せていくのは各省庁の皆さん、または議会の職員の皆さんと伺っております。

ドイツには、「インターネット上の法律」という司法省の公式法令データのサイトがあり、連邦の法律規則のほとんどを参照できることになっています。ドイツの司法省は、今は現行法が見えるだけというこのサイトについて、法令の改正履歴等のメタ情報を今後整備していく、行政機関の規則告示等々の整備も行っていく、連邦憲法裁判所、最高裁判所、連邦特許裁判所の判例を掲載していくことを計画しているとヒアリングで伺いました。このドイツ司法省のサイト「インターネット上の法律」の中をのぞきますと、既に一部試みが始まっているようで、そういった情報へのリンクが貼られています。

6ページをお願いします。立法支援システムにつきまして、EU、ドイツ、デンマークをそれぞれ見たところですけれども、まず、それぞれ立法支援システムが必要となった課題を大まかに言いますと、関係者の多さ、作業の煩雑さ、プロセス全体のデジタル完結というところが課題認識で、これは日本の課題とほぼ共通するのではないかなと思っております。

続いて、7ページをお願いします。システムの機能的なところを書いております。例えばエディタの方式は、ワープロソフトなのか、独自開発したものなのかという議論ですが、もともとはマイクロソフトのワードベースのものから始まったところを独自開発に転換。ただし、過去のワードで作った資料等々については連携していくという開発方針になっているようです。この点について、デンマークでは、「マイクロソフトなどの民間企業に依存することなく、自分たちの好きなようにサービスを構成できる」というヒアリングを行っております。

また、EUのLEOSでは、独自開発をした理由として4つ挙げられておりまして、オンラインソリューションとすること。2つ目、一つの文書を同時に編集することができる、複数の人が同じ文書を参照することができて協力がしやすい。3つ目、法制事務のルールに即した形式を指定できる。4つ目、オープンソースであって誰でも利用できる。このようなことが独自開発のメリットとして挙げられていました。

また、エディタを使った法案の作成機能について、デンマークの場合、マニュアルを見る限りでは、溶け込ませ元の法令や外からのテキストをコピーして定型の改め文をつくり上げていくという方式です。つまり、溶け込んだ形の条文を編集していくのではなくて、改め文を編集してつくり上げていくという方式と理解しております。

これは、冒頭で申し上げたとおり諸外国の改め文のつくりのシンプルさが関係しているのではないかなと思ったところです。デンマークのLex Daniaというシステムでは詳しいマニュアルが公開されておりますので、これを見ますと、法案の参考資料として新旧対照表や溶け込みの条文をつくる機能が附属しています。

EU、ドイツ、デンマークのそれぞれEUの加盟国でこういった開発をそれぞれの国が行っているのですけれども、3つの国にヒアリングしたところで、この3つのプロジェクト間に特に連携はないということです。

また、これらの開発の背景にあります”Rules as Code”の取組としまして、EUでは”Interoperable Europe Project”というものが、公共部門におけるデジタルな相互運用を高めるということを目的として、民間企業と市民が利用促進をすることを念頭に進められております。その中の一つとして立法支援の取組があります。

また、ドイツでは、2019年に立法プロセスの近代化、デジタル化についての調査報告書、「まず内容、次に段落」というものが示されまして、スケジュールの設定や承認プロセスの調整などの支援、収集したデータの再利用、不連続性とそれに対応する努力の回避、プロセス全体と各ステップの恒久的な記録・文書化ということを目的として行われております。ドイツのシステムについては、2024年を目指して開発中でございます。

完成した暁には、この立法支援システムを政府機関内で利用することを義務化するということを念頭に置いているということなのですが、具体的な義務化のやり方等々については未決定ということです。

デンマークの立法支援システムについては既に完成しております。公式な評価としまして、2021年の北欧閣僚理事会のレポートにおいて、デンマークの立法データベースの構造について次のように評価されています。

立法及び規制情報は非常に体系的に機械可読的な形式で公開されている。全ての拘束力がある法的行為は、”Retsinformation”データベースに機械可読xml形式で公開されている。

また、デンマークについては、APIでの情報の公開、再利用の取組も進んでいるということになっております。

次のページをお願いします。民間法令集とのすみ分けについてです。各国について民間法令集があります。民間と公式の情報の違いは、民間版では解説を付したり、過去のデータを見られたりと公式版にはない付加情報をつけて提供しています。提供する相手としては、法の専門家、学生、それぞれ利用する人向けに必要な編集を行って出しているというところで違いがあるのかと思っております。

9ページをお願いします。今、申し上げました3か国以外に、比較のために韓国、エストニア、フィンランド、フランス、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカといった国について、ウェブで概観を見ております。便宜的に大陸法系、英米法系という分け方をさせていただきました。こういう言い方はちょっと古いかもしれませんが、成文法主義を採っているところと、判例法主義を採っているところという分類をさせていただきました。

10ページに韓国ほか3か国、計4か国の情報を書かせていただいております。これらの国については大陸法系と言っていますが、改正方式として一部改正方式を採っていること、公示の主体について政府が行っていること、また、公示媒体について電子版が先行していることについて記載しております。

続いて、11ページです。公式法令データの整備につきましても、公式のデータとして公開しておりますし、溶け込み版の正本性については、エストニアについて先ほど申し上げましたような公開規定が「官報法」にあるというところを補足しております。

この中で見ていきますと、フランスの"Legifrance"という公式法令サイトは、法令の改正履歴の見せ方や条文比較表の見せ方、APIの用意につきまして非常に参考になるかと思っております。また、フィンランドの”FINLEX”は多言語対応ということでありますが、日本語訳されている法令も1本だけ載っておりまして、「フィンランド緊急事態措置権限法」という法律が日本語で掲載されておりました。

12ページ、13ページについては資料を掲載しております。

続いて14ページですが、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカというところは、従前、増補方式や積み重ね方式という改正方式を採ってきたところです。後から出た法令が先に出た法令を上乗せしていくということです。先に出ている法令の箇所を特定して改めるということではなくて、矛盾しているところがあれば後の法令が優先になります。これらの国について、公示の媒体とすると官報ではなくて、公布された法令を小冊子にしたものを束ねた制定順法令集というものが作られているということです。

次の15ページですが、これらの国の公式法令データとしますと、それぞれサイトがございまして、イギリスの”legislation.gov.UK”、オーストラリアの”Federal Register of Legislation”、ニュージーランドの”New Zealand Legislation”、アメリカの”United States Code”というサイトがございます。これらは公式なものとして公開されております。ただし、アメリカ合衆国の場合、サイトに注記がありまして、印刷したものが公式ですよ、裁判所で公式とされているものは印刷したものですよという注記がございました。

続きまして、16から17ページはそれぞれについて資料を書いております。

18ページは、溶け込み版法令データの正本性をチェックしたときに、ここに出ている各国の公式法令データのヘルプや位置づけに関するリンクを記載箇所として書いております。ご参考にお願いします。

続いて、19ページをお願いします。Rules as Codeの動向調査をさせていただいております。まず、Rules as Codeに関して、インターネットで得られる情報の調査、その分析、まとめということでステップ1、2、3としております。今回、インターネットに公開されているプロジェクトの公式ページ、研究者が登壇したウェビナーを参考として見ました。

対象として学術プロジェクトもありましたが、査読を受けた論文とか、客観的評価をしたものということではなくて、それぞれ公式のホームページで自分たちがこういうものだと言っている情報だという点はご理解いただければと思います。

これらのプロジェクトの抽出につきまして、インターネット上で検索用語を投げまして、分類等を行いながら分析をしたのですが、ネット上で具体的にプロジェクトの途中経過を含む成果が公表されているものという観点で、次の20から21ページに9プロジェクトが挙がってきております。この9プロジェクトにつきまして、どの地域か、プロジェクトの種別は学術なのか国主導なのか、実装化フェーズはどこまで進んでいるのかというラベルをつけて見ております。

20ページでID1のフランスの”OpenFisca”は、法律・規則を高度化してその規則が利用者の状況にどのように適用されるかを理解できるサービスです。国内外で多くのユースケースがあるということですが、これが国全体で使われているということではなくて、ユースケースとして実績があるという位置づけだと思います。

ID2の”Lex Dania”は、先ほどデンマークで紹介しました立法プロセスの統合を図る支援システムです。

ID4のフィンランドの”Interoperability platform”は、データやコンテンツを共有する関係者の間で情報の重複やサイロ化を低減しようとするもの。

次のページをお願いします。ID5、ニュージーランドの”Better Rules”は、法律の解釈や効果をモデル化し、立法の改善を図るという方法論を使っていろいろな関係者を巻き込んだチームで法規制の効果を事前にシミュレートするもの。

ID8、オーストラリアの”DataLex”は、ルールを機械で実行可能な形で生成する。対話型の法律顧問サービス、コンプライアンスの意思決定支援等に使われるようです。

“Rules as Code”ということでくくりまして、成果を公表しているプロジェクトについて見て、この9つを洗い出しました。これらを分析するに当たりましては、技術的見解や技術適用に関する先行の調査研究を参考とさせていただきました。本編には、参考にした資料を紹介しておりますが、このサマリーの中では省略させていただいております。

今、見ていただいている9つのプロジェクトですが、ユースケース、誰が利用者か、どう使うかという観点から見ると、2つの分類ができまして、1つ目は立法支援に関わるところ、または法的文書管理に関わるところ、2つ目は行政組織以外の領域に向けてデジタル化された法令情報の環境を整えていこうというところ。この2つの観点に分類できるのかなと思っております。

ただし、実際に現在導入に至っていて、”Rules as Code”の主流として実用化されているのは、先ほどご紹介しましたデンマークの”Lex Dania”のように、法制事務の機械可読化、自動化を進めるところ、それを適用する技術についての議論です。

この次のステップとして、法律や規制をルールエンジンにしていく、法律と規制をデジタルで書くことができる環境を整備していくというプロジェクト、先ほどのフランスの”OpenFisca”のようなプロジェクトについて、実施されていますけれども、国全体が法令・規制の整備を行っているという事実はまだないというところでございます。今、進んでいるのは立法支援と法的情報の文書管理に関するところが先行している。つまり、立法支援に関するところが整備されて、次の段階がデジタル化された法令情報の整備というところに段階を追って進んでいくと推測されるところです。

報告について、以上でございます。ありがとうございます。

事務局(須賀): 石崎様、詳細なご報告をいただきまして、どうもありがとうございました。

いろいろご質問もあるかと思いますが、本件は次の議題とも関連いたしますので、議事の最後にまとめて意見交換、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。

それでは、早速議事(2)に移らせていただきまして、「法令等データの公開方法・利活用高度化の方向性(案)」について、事務局の山内補佐から説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

事務局(山内): よろしくお願いいたします。事務局の山内でございます。

今回、事務局から法令等データの公開方法、それから利活用高度化の方向性についてご提案させていただきます。ぜひ忌憚のないご意見を頂戴できればと考えております。

資料の2ページ目に参ります。資料の冒頭では、これまでの検討状況をまとめております。前回の第6回会合では、要求条件の素案をご提案させていただきまして、また、施行期日が未確定の法令データに関するデータ構造についてもご提案させていただきました。今回、第7回会合となっております。

3ページ目に参ります。今回、設計している法制事務システムの目的を再度掲げております。基盤情報確保、オープンデータ化、法制事務自体のデジタル原則への適合という三本柱を掲げております。

4ページ目に参ります。暫定版の要求条件を再度掲げております。こちらも前回会合資料と内容は同じでございます。データ構造、ワークフロー、UIなどの様々な観点がございますけれども、本日は星印をつけているところ、データの公開に関する要求条件が関係しております。

左側の公布即公開できる、それから過去時点も含む、あとはその下にありますけれども告示以上、真ん中の列の使いやすいAPIといった項目が今回関係しておりますが、これらに対応するための公開機能の開発方針について、資料の前半でご提案させていただきたいと考えております。

それでは、法令等データの公開方法でございます。6ページ目をご覧ください。法制事務システムの設計の全体像をイメージとして記載しております。中央のメインデータベースをはじめとして、左側の編集部分から右側の利活用部分までデータが一貫して流れる様子を書いております。これまでの会合でエディタやデータ構造などについて議論が進展したところと考えてございます。今回、取り上げますのは、黄色く囲っているところでございます。法令等データの公開部分、特に公開APIに関わるところを議論させていただければと考えております。

7ページ目をご覧ください。現状についてご説明させていただきます。現在も「法令API」という名称で法令を公開する機能がございます。例えば下の図ですけれども、実際のAPI紹介ページから引用してきたものでございますが、現在、法令名の一覧取得、法令・条文内容取得などのAPIが提供されているところでございます。

上の説明に戻りますけれども、現状、対象となっておりますのは省令以上の法令、施行済みの現行規定のみとなっております。APIとは別に「e-Gov法令検索」というユーザーインターフェースもありまして、そちらでは公布済みの未施行法令についても一定の施行順を考慮した上で公開しております。これらの既存機能に加えまして、過去時点のデータ、告示等といった要求条件にも対応する必要があるところでございます。

8ページ目に参ります。下側の図をご覧ください。既存の提供項目、追加したい項目について整理してございます。

上半分は機能面を整理してございます。左側は既に文書名、本文などを取得したり、法令番号によりデータを指定するということは対応してございます。これに加えて、右側でございますけれども、時系列情報のデータ取得、データ指定に対応する必要があることを整理しております。

下側に参りますけれども、掲載しているデータの面でございます。左側、現在は省令以上の現行規定のデータを掲載しておりますが、これに加えて、右側、過去分や告示などのデータを拡充する必要があることを整理しております。

上の説明に戻りますけれども、これらの拡張につきまして、互換性や拡張可能性を考慮しながら、できるところから段階的に進めることとしてはどうかというのがご提案でございます。また、データの拡充に当たっては、信頼性などの確認度合いをどう取り扱うか、また、どのような作業フローで拡充するのかについては引き続き検討する必要があるとしております。

9ページ目をご覧ください。段階的にと申し上げましたけれども、どの順番で進めるかという方針について、ここでは中期ロードマップという形で整理してご提案させていただいております。

まず、省令以上のデータについては既に法令標準XMLというデータ構造が分かっておりますので、省令以上の時系列データから始めるのが進めやすいのではと考えております。下の図をご覧いただきまして、左上の部分ですけれども、時系列を考慮したAPIの開発と並行しまして、省令以上の時系列データの拡充を進めますと、まず省令以上の過去データの提供が実現できると考えております。

次に、下に参りますが、告示のデータに進めてはどうかと考えております。省令以上とは異なりまして、現状、告示については標準的なデータ構造が定まっておりません。そのため、調査をしてデータ構造を特定するという作業が必要ですので、比較的時間がかかるものと考えております。また、データの追加に当たっては円滑な作業環境の確保も必要と考えております。

最後に、下側ですけれども、未確定の施行順を考慮した法令データの公開機能と考えてございます。前回会合でご議論いただきましたけれども、施行期日が未確定の法令データの取扱いはかなり工夫を要すると考えておりまして、そのためのデータ構造、データベース、エディタの開発も必要になると考えております。そのため、一番時間がかかると考えておりますけれども、このように技術的に難しいものについても、難しいだけで終わらせるのではなくて着実に実現していきたいというご提案でございます。

上の説明の2ポツ目に参ります。できる範囲から段階的に提供を開始することで、早期の民間サービス創出、行政運営への活用を促進したいと考えております。それから、これらの開発につきましては2023年度、来年度から順次進めたいと考えております。

続いて、右下のオレンジのところですけれども、補足のポイントを書いてございます。これまでの会合でもKPIの重要性についてご意見を頂戴しておりました。まずはカバー率、確認度合いについて、データの公開程度の測定方法を定義しまして、これをKPIに活用してはどうかと考えております。

2点目といたしまして、APIの設計に当たっては、データの利用者を交えたプロトタイピングをすることとしてはどうかとしております。これによってAPIの設計と同時に活用部分も考えることができますので、ニーズの吸収に加えて新サービスの創出も促進できるのではと考えております。

以上が前半の法令等データの公開方法に関するご提案でございました。

続きまして、後半部分、法令等データの利活用高度化の方向性・未来像についてでございます。

11ページをご覧ください。前半では当面中期的に開発する機能というのをご提案いたしましたけれども、こういった機能については単に目先のメリットだけではございませんで、将来の高度化の基盤となります。そのため、将来の利活用ニーズへの対応につなげられるように検討することが必要と考えております。

法令等データの高度な利活用により、単に法令を読むだけにとどまらず、様々な付加価値サービスの開発、公平・公正・効率的な行政運営の活用が期待されますので、将来のさらなるデータ整備、機能高度化に向け、今後、利活用ニーズを調査したいと考えてございます。

これらのニーズについては今後調査ということにしておりますけれども、この資料の下の部分に掲げておりますような利活用ニーズがあり得るという例を書いてございます。例えば左上の法令が変更された場合などに自動のアラートがありまして、タイムリーに更新できるサービス。それから、その下ですけれども、過去のデータの傾向を分析しまして、見直す必要性が高まりそうな法令を予測するサービスといったものが考えられるかなと思っております。

これらのサービスは、民間企業や法令担当の方が高付加価値のサービスを提供するのにも使われると思っていますけれども、それだけではなくて、行政機関が公平・公正で効率的な行政運営をすることにも役立つと考えております。

上の説明の3ポツ目に戻りますけれども、これらのニーズの実現には法令データの整備にとどまらない高度なデータ、ここでは例えば条項ID、もっと高度なものとしては法令用語の意味内容のようなデータが必要になりますので、これらの技術開発が必要になるところでございます。

12ページ目をご覧ください。さらに高度な法令等データ活用のアイデアもございます。このページでは、国内外の事例などをご紹介しております。先ほどぎょうせいさんにいただいた諸外国調査にもございましたけれども、法令のベースレジストリ整備というものを超えるような高度な法令等データ活用、これを用いた規制改革、政策立案の研究が国内外で行われておりまして、一部については実装されているという状況でございます。

この中では、法令を機械実行可能な形式で表現することで効率的な制度実装を試みるRules as Codeなどの概念が存在します。こう言いますと未来の技術のように聞こえますけれども、数値を対象にした規律では比較的導入が容易であると考えられまして、例えば、先ほどの諸外国調査でもご紹介がありましたけれども、このページの左下にございますOpenFiscaのように税金や給付を対象とした実装などが行われているところでございます。

上の説明の2ポツ目に戻ります。近年、機械学習技術を応用したリーガルテックの研究も進展しております。法令等データを蓄積することで、データを活用した高度な技術開発、サービス創出、効果的な行政運営へ活用することが期待されます。

このような高度な政策立案等を実現するためには、信頼性の高い法令データの整備というのはもとより、法令関係文書の相互関係、法令用語に関する意味構造、法令の機械解析といった技術開発、データ基盤構築が必要であると考えてございます。こういった高度化のステップを意識することで、Rules as Codeのような未来のもののように思われる技術についても建設的に着実に議論できるのではと考えてございます。

13ページ目をご覧ください。このような問題意識を踏まえまして、今回、「デジタル法制ロードマップ」という未来像をご提案させていただきます。この長期ロードマップで未来の技術像を交通整理しまして、リーガルテックなどによる高度な民間サービス創出、デジタル技術と法令等データを基盤とした柔軟で効果的な制度設計、そして公平・公正かつ効率的な行政運営の実現に向けて着実な議論につなげたいと考えております。

下の図を簡単にご説明させていただきます。フェーズ0から5まで整理しておりますけれども、技術や基盤の開発、その活用による新たな技術の開発というサイクルを意識しておりまして、その方法論がそれぞれのフェーズに共通しております。

まず、現状はフェーズ0でございます。信頼できる法令データが必ずしも存在しないという状況ですので、これまでの会合でもご議論いただきましたように、信頼できる法令データ、法令ベースレジストリを構築することとしております。

これまでご議論いただいております法制事務システムを開発して実現しましたら、フェーズ1に到達できると考えております。フェーズ1に行きますと、法令データの分析、相互参照などが進むと考えております。こういった法令以外の周辺情報も含めてデータが相互連携しますと、次のフェーズ2「コネクテッドデータ」が実現すると考えております。

フェーズ2においてデータがつながることで、意味解析が進展いたします。この技術が確立いたしますと、次のフェーズ3の「法令オントロジ」につながってまいります。ここまで行きますと、現在、人海戦術で取り組んでおりますアナログ的規制の見直しは自動で特定することが可能となります。

法令用語というのは法令のパーツでございますので、これを組み合わせるという考えになります。これを組み合わせる分析を進めますと、フェーズ4の法令静的解析が見えてまいります。法令の論理構造が分析できますので、法令の矛盾、重複といった問題は自動で特定できます。

それから、例えば手続を定めた規律などを考えますと、この情報はデータベースで分かるから添付書類にしなくていいよねという、条文の文面で分かるようなことは自動解析ができると考えております。また、規制の構造を踏まえまして、利便性の高い最適な技術利用も提案できると考えております。

フェーズ4の技術が進みますと、単に条文を分析するだけではなくてシミュレーションしてみようという技術につながりますが、これができますと、フェーズ5の「制度デジタルツイン」が実現します。法令の効果を自動分析、現実の変化も連動し、柔軟・効果的な制度設計ができます。それから、こういう変更をするとこういう人が困るとか、困らないように変更しましょうという公平・公正な制度の自動提案が可能となります。

このように技術開発、技術を活用した基盤整備、制度整備の段階的な高度化サイクルにより、順次高度なサービス、制度設計が実現できるのではないかというご提案でございます。

資料の14ページから16ページまでは、今、ご提案しました13ページのデジタル法制ロードマップの考え方をさらに書き下して理由づけしたものでございます。これらの資料については参考とさせていただきまして、口頭でのご説明は割愛させていただきます。

以上が法令等データの利活用高度化の方向性・未来像についてのご提案でございました。

資料2についてのご説明は以上でございます。

事務局(須賀): どうもありがとうございました。

それでは、早速でございますけれども、議事の(1)(2)を合わせまして、質疑応答・意見交換の時間を1時間程度設けたいと思います。ご質問、ご意見のある方は挙手をお願いいたします。

八木田さんに手を挙げていただいていますので、八木田さんに言っていただいた後に、本日急遽ご欠席になりました安野委員からコメントを事前にいただいておりまして、その件については山内さんから紹介してもらえればと思います。

では、八木田委員、お願いいたします。

八木田構成員: 八木田でございます。本日はありがとうございます。

まず、ぎょうせい様の諸外国事例のご調査と山内さんの資料2のほう、大変分かりやすく整理いただきまして、本当にありがとうございます。

私からは、今まさに画面共有いただいております資料2の13ページについて、1点コメントがございます。私はこれは非常によいロードマップだなと思っておりまして、本当にさすがといいますか、すばらしいといった趣旨のコメントになります。

このデジタル法制ロードマップのフェーズ5の仮想空間上で法令をシミュレーションするというところが、あらかじめ与えられているといいますか、全体方針としてこれを目指していきたいのだと理解していまして、この部分は、技術が分かっていれば分かっているほどこれは難しいよねということで終わってしまいがちだと思っております。これを実際にロードマップに落とし込むと、今はフェーズ0ですと。そこから1、2、3、4と切ってブレークダウンするとすれば、私としても確かにこのような形になるのかなと考えているところです。

まず、色遣いのところも非常に納得度が高くて、黄色いところが現状で、ちゃんとしたデータがありませんと。青いところで礎になるようなデータを整備して、最初は法令データだけやるのだけれども、その後でほかのデータもやって、明示的な参照関係等もコネクテッドにしていくと。難しいところが紫のところで、いわゆるRules as Codeに踏み込むみたいなところ、法令の意味論をやっていくというところだと思うのですけれども、この中身としてもオントロジでまずは意味論の最初のところで用語の使われ方を洗い出して、意味的解析をやって、最後にようやくデジタルツインをつくるみたいなところになるということと理解しています。シミュレーションをやるぞという論というか問題は大き過ぎるのですけれども、実際にこういった構造にブレークダウンできるだろうと思っておりまして、すばらしい整理だと感じているところです。

その意味で、あえてご指摘させていただくとすれば、1点ございまして、資料2の9ページにありました中期ロードマップのスコープというのは、13ページにおけるフェーズ1の部分なのかなと思っております。

これは、一旦ひとまずそこまでというのはそのとおりかなと思っているのですけれども、他方で、フェーズ1にとどまらず、フェーズ2までを素早くやり切ることができるのが重要かなと思っています。青い部分というのが一つの固まりかなと思っておりまして、法令だけではなく、法令関連情報を全てコネクテッドな形にすると、紫のところができると。

今回、諸外国の事例として、紫の部分について国主導で既に進めているところもあるといったお話をぎょうせいさんの石崎さんからまさにお話しいただいたかと思っているのですけれども、そういったところに追いついていくためにも、紫をできるようにするためにも、できる限りフェーズ1とフェーズ2の間を空けないような形にできるとよろしいのかなと考えております。

以上でございます。ありがとうございました。

事務局(須賀): ありがとうございます。

では、お答えと併せて、山内さん、お願いします。

事務局(山内): 大変心強い応援の言葉を頂戴して、ありがとうございます。

ご指摘いただいた点でございますけれども、おっしゃるとおり、フェーズ1で一旦ストップということではなくて、その先のフェーズも踏まえてできるところから進める必要があると思っております。

例えば今回、APIの仕組みをつくりますけれども、同じようなAPIをほかの部分にも活用していくということが広がりますと、フェーズ1を目指す中でフェーズ2に向けたデータを集積するという営みが進んでくると考えておりますので、そういったデータが集まるような仕組みをつくりながらどんどん新しいフェーズに進めるような仕組みというのを意識していきたいと思っております。ありがとうございます。

事務局(須賀): 続きまして、安野さんのコメントをよろしいですか。

事務局(山内): それでは、本日ご欠席の安野構成員からこの資料に関するコメントを頂戴しておりますので、読み上げてご紹介させていただきます。

まず、ページ6についてコメントを頂戴しております。民間の検索サービスなどでは、独自のインデックシングをしたいニーズがあると想定されますので、バルクで最新データを同期できるようなAPIを用意していただけるとよいかと思います。例えば一定の時刻を与えると、それ以降に反映された変更の一覧を取得できるようなエンドポイントが例として挙げられると思います。また、検索システムを政府側で用意するのであれば、その検索のためのエンドポイントも外部公開するとよいかもしれません、というコメントを頂戴しております。

次に、ページ12についてコメントを頂戴しております。本ページには例として掲載されていないですが、ニューラルベースの手法で法令を分析したり、質問応答したりするような手法が登場してきており、今後、急速に進歩する可能性があると思いますので、そちらもウオッチされるとよろしいかと思います。そのような手法が進展した場合には、ページ16のフェーズ4で書かれているような自動での修正箇所提示や修正案提示などは、もしかすると法令オントロジの整備をする前に一部できるようになる可能性もあると想像しています、というコメントを頂戴しております。

いただいたコメントについて発言させていただきますと、まず、1つ目のAPIについてですけれども、まさにデータの利活用ニーズに立ったご提案であると考えておりますので、そういったニーズと一緒にAPI設計ができるように進めていければと考えております。

次に、2つ目のコメントについてですけれども、ニューラルベースの手法について、今回、調査が間に合いませんで、具体例について資料に入れることができませんでしたが、ご指摘のとおり、今後、急速な進歩が見込まれる分野ですので、ウオッチさせていただきまして、また、分野についてはフェーズを先取りしたような取組にもつなげられるような進め方を意識できればと考えております。

以上でございます。

事務局(須賀): ありがとうございます。

藤原構成員、お願いいたします。

藤原構成員: 藤原でございます。

2つの資料のご説明をどうもありがとうございました。それぞれについてちょっとずつコメントがあるので、順番にお話ししようと思うのですけれども、まずぎょうせいさんの資料は本当に有益で、本当に感謝しております。最初に外国の調査をしましょうと提案したときに、ここまで立派なものが出てくるとは正直想像してなくて、想像をはるかに超えるちゃんとしたものができて、驚愕というか、本当に感謝していますというのをまず申し上げたいと思います。

その上で思ったこととしては、今まで最初のうちはこの調査なしに日本の事情をベースに抽象的議論をしてきたのですけれども、それを調べた結果、各国の方針になっているところというのはある意味安心してできるのかなと。例えばxmlエディタを中心にしているというあたりというのは間違っていなかったなということと、一方で、一致していない面というのも当然あって、そういうものは当然改める必要があると思っているのですけれども、単にコピーするのではなくて、なぜ違ったのかというところを分析して是非の判断をする必要があるかなと思っています。

というのは、当然先例や他国の例というのはコピーするためのものではなくてあくまで参考で、その後の技術の進展などもあり得るので、そういうところを踏まえてベスト、ベターと思われる選択をすべきかなと思っています。

その意味では、既にぎょうせいさんもおっしゃっていたこととも関連しますけれども、我々が3月にご提案したときに、出来上がった条文をいじるべきなのではないかという話をしていましたが、実際にはそういうことは他の国ではやっていない。なぜだろうと考えていくと、結局我々の議論のベースというのは、改め文を溶け込ませるのはすごく大変で、これを機械にやらせるとろくなことにならないというところから始まったのですけれども、なぜほかの国はそうなっていないかというと、まさにぎょうせいさんがおっしゃったとおり、改め文の形式がやや日本と違うところがありそうだねと。こうすれば機械が簡単に溶け込ませられるので、そこは大変ではないし、改め文にはいいこともいっぱいあるので、それでこうなっているのだなと想像はするのですけれども、これは詳細をさらに分析するとして、そういった形で新たに分かったことがたくさんあるので、それに合わせて方針を変えていければいいのかなと思いましたというのがぎょうせいさんの調査に関するコメントになります。感想みたいな感じです。

それから、山内さんの資料についてですけれども、私も八木田さんと同じような感想で、13ページのフェーズの色分けがすごく分かりやすくていいなと思っています。青と紫は本当に難易度が結構違うと思っているので、紫に行くところはすごく大変だなと思っているのですけれども、そこで1点だけ、技術面ではない法律面からコメントをすると、法令用語というところの意義が、プログラムのコードを書いている人からすると一つの単語は一つの意味みたいな感じがすると思うのですが、そういうものでもなくて性格がいろいろあると思って、私の中で3つぐらいに分けて考えた方がいいと思っているので、それちょっとお話ししておこうと思います。

これは事前に山内さんとお話ししたので、既にご理解の上で詳細は決めていただけてるものだと理解はしているのですが、一応お話しすると、ひとつ一番簡単なところというのは、法令内での定義がされている用語というのがあって、これは単純に定義されているから明確なのですけれども、ユーザー側からすると法律内の定義には本当にいろいろなパターンがあって、発見しづらいものが結構あるのですね。法律全体ではこういう定義になっているのに、以下、本章において同じと書いてあって、この章だけ違う意味になっているというものがあって、それは技術的に当然決まるし、絶対同じなのですけれども、普通に条文を見ていると気づかない場合があって、そういうものは人間が間違えやすいので、必ず分かるようにタグづけを最初からしておくほうがいいのだろうなと思っています。

そういう意味で、法令内での定義というのは最初にある程度分かるようにデータ化しておくことが必要というか、やるべきなのではないかな。そうしないと結局最後に間違えるので、やったほうがいいのではないかと思っています。

それとは別に、定義されていない用語については2種類に分けたほうがいいのではないかなと思っていまして、一つは立法される前の段階での用語の整理でして、行政庁の立案担当者の皆さんが、過去にこういう先例があって、だからこれはこういう意味だというふうに整理されているところだと思うのですけれども、これはすごく重要だと思っています。

先例に応じてこれとこれは同じでこれとこれは違うという整理をする必要があると思っているのですけれども、そうはいっても似たような言葉で違うとか、同じというのがあると思うので、そういうところを整理する努力が必要で、それがフェーズ3の法令用語の意義、論理関係というところで主に行われることかなと思っていますので、これは重要かなと思いますけれども、これはこれでまさに立法作業の話なので、これを外部業者に頼むのか、行政側でやるのかというのはあると思いますが、いずれにしろ早めにつくる必要があるものかなと思っています。

最後にもう一つ、全体では3種類目ですが、法令の用語の意味は、施行されてからはつくる人が思っていたのと違う方向に羽ばたいて自由に行ってしまって、裁判所が違うことを言う可能性は当然あるということになっています。そう意味では判例がどうなっているかというデータと結びつかないと、その用語の意味というのは本当の意味では分からないということになっています。この辺りの整理はさらに難しくなってくるので多分政府内でやるのは無理で、外部のベンダーの方がそういう情報を集めていくということをしなくてはいけないのだろうと思っているのですけれども、逆にフェーズ5みたいな話になってくると、必ずこの情報がないと正しくできないということになると思うので、そういう意味で、施行後の判例や実務の動きを踏まえた用語の意味みたいな話というのは外部の業者の皆様が頑張らなくてはいけないところで、ここが一番難しいのだろうなと思っています。

長くなりましたが、私のコメントは以上になります。

事務局(須賀): どうもありがとうございます。

山内さん、コメントされますか。

事務局(山内): 大変貴重なご指摘をありがとうございます。特に用語の意味に関するところは技術的にも困難性が高い代わりにかなり効果やインパクトが大きい部分だと考えていますので、工夫していきたいと考えています。

おっしゃるとおり、文面から明確に分かるというところもあると考えておりまして、そこは条文をつくる側にとっても、書いているときに、ここはこういう定義で決めなくてはいけないなというところを意識して書く必要がありますので、そういう支援も早いところからできるのではと考えております。

それから、立法される前の用語の整理のところは、いわゆる法律用語みたいなところかと考えておりますけれども、そういう文面から分かるものではないものについて、例えば法令用語辞典などの、法令の書き方みたいなメタデータがありますので、そういったものも含めた研究が必要と考えております。

3点目の判例と結びついて解釈を考えるというところでございますけれども、そういったものは、フェーズ2のコネクテッドデータというところで多種多様なデータが結びつくような世界になりますと、分析がやりやすくなると考えていまして、これがフェーズ3の意味論のところに円滑につながるようにというところを考えていければと考えております。

以上です。ありがとうございます。

藤原構成員: ありがとうございました。よく分かりました。

事務局(須賀): ありがとうございます。

それでは、角田構成員、よろしくお願いいたします。

角田構成員: ぎょうせいさん、山内さん、ありがとうございました。お二方からいただいた資料は非常に分かりやすかったです。ご説明も分かりやすくて、非常に勉強にもなりました。ありがとうございました。

順にコメントさせていただきますと、まず、ぎょうせいさんのほうでお調べいただいたものについて、資料の中で少し意見的に触れていただいた点について、私も大きく同意できて、日本の改め文の書き方が少々異質であるという点が結構いろいろなところに影響している可能性があると思いました。まさに私もこれまで分析を進めてきた中で、おっしゃるとおり、改め文の書き方のルールがもう少し整理できていたら、改め文方式のままでもいいのかなという部分もありました。ただ、これは結構難しくて、私が分析したときなども、改め文のルールというのが法制執務のルールでしっかり確立できたとしても、いくつかのルール間の競合を引き起こしたときの対応が難しいと思います。例えば、この法律の中のこの用語は全部このように改める、というルール一文によって対象法令全体について、一気に言葉を改正するような書き方もありですし、1条ずつそれを指摘していくルールも現在のように併存する場合、それらのルールの優先関係はどうなるのかですとか、それらが矛盾しないように、そういうことがないようにそもそもうまく書かなくてはいけないのだ、ということが生じるケースが起こり得ます。日本のやり方だと細かなルールがたくさん存在するがゆえに一見の堅苦しさとは逆に自由度が大き過ぎるという部分があって、機械化することの阻害要因になっているところがありますので、もしかすると現行ルールの整理をしないと従来の改め文の書き方の意図をシステム化していくというのはなかなか難しいだろう、ということを改めて感じさせられました。この点をまずコメントをさせていただきます。単純に改め文形式を保存すればいいという感じではないなというのは、私は一応改め文の利用意図は残すべきだという考えもあるのですけれども、やはりまだ問題があると再認識いたしました。 ぎょうせいさんへのコメントは、内容も非常に分かりやすかったのでこれぐらいです。

山内さんから示していただいたもので、皆さんも議論されている13枚目のスライドのフェーズが書いてある部分で、先ほど藤原先生や安野構成員もお話されていたのですけれども、フェーズ3のオントロジの部分とフェーズ4の法令の解析の部分との関係性という点にコメントしたいと思います。藤原先生からも意味が実際に司法の場で変わっていってしまうとか、幾つかの意味で定義されるような状態が起こるという指摘がありました。この辺の問題は昔からの言語学や記号学の世界ですと、シンタックス、セマンティクス、そしてプラグマティクスという分野が存在していまして、今の状況ですと、話がセマンティクスのほうに行ってしまいそうな感じになっています。

オントロジ構築のフェーズを先にすると、意味の部品があってそれを組み立てることで法律ができるという機械を組み立てるときの発想法なわけなのですけれども、基本的に法律でやっているものは、先ほど藤原先生から判例などを見たほうが良い、という話もありましたが、やはりプラグマティックな、つまり言葉の使い方の中において、その分野や文脈が決まることで、意味らしきものが動的に出てくるという考え方でないと、現実的な実現は難しいと思うのです。

法律というのは難しい部分が結構あるので、条文の構成要素である言葉の意味を先に固定して、その部品で全体の意味が構成できるというのは本当に法律の中でも限定されたところだけで、法律の中で定義されているものはどこで定義されているか、どういうふうに定義されているかという形式的な部分での参照関係、あるいはいろいろなデータとの結びつき関係をきっちり整理してデータ化していくということはできると思うのですけれども、言葉の定義に含まれている本当の意味を扱えるかというと、それは困難なように思えます。

専門的になりますが、オープンテクスチャーといって、私も論文や講演などの中で何度も言及していますけれども、法律の文中の言葉の定義というものは最終的に自己完結しないで、普通の人たちが日常言語の使用時に行っている解釈や日常の使い方に依存させる形で接続させて定義されているので、厳密には文脈によって決まってくるという普通の言語学の理論で指摘されている面倒なことはどうしても避けられないのです。

そうすると、大事なのは、民間の方々にいろいろな意味のところをそれぞれのケースに応じて確定していってもらうためにも、意味の部分を先に決めておくのではなくて、ここの意味の部分は決めたほうがいいよね、とか、この言葉はこういうふうに結びついているよね、というみんなの議論の関心になるようなところで客観的に共有できるように、形式的に見えるところをまずデジタル庁さん側としてはきれいに整理していって頂いて、使い方やその分野その分野でのセマンティクスの与え方を外に依存させていってしまう形もありなのかなと強く感じました。結局はどの言葉については決めておいたほうがいいよね、とか、この用語は定義の条文があるよね、とか、あるいはほかのこういう法律に結びついているよ、といった形式的に追えるところを正確にしておくことに注力した方がよろしいように思いました。

そうなると、フェーズ3とフェーズ4の間を行ったり来たり、というのがあるのかなとも思います。先ほどから先取りという言葉が出ていたのですけれども、この検討会のプロジェクトが始まったときからも度々話に登場しますように、ウォーターフォールの形で進むというよりは、アジャイルに進めるというのがやはりここでも効いてくるのではないか、と強く思っていました。このフェーズの関係性の図は段階としては明確に分かりやすいので、この図は維持したいのですけれども、実際のところはウォーターフォール的に厳格に1個ずるフェーズを進めよう、という感じではなくて、前半のフェーズは比較的ウォーターフォールで進められるかもしれないのですが、後半になると、アジャイルに進めるようになるのかな、と思いました。まさにそのほうが本当の意味での正しいセマンティクスが浮き彫りになるのではないかと感じました。

少々長くなってしまったのですけれども、自分の専門分野のことでもあるので、お話しさせていただきました。

最後にあと一点、簡単に触れられた部分で、データをこれからどういうふうに展開していくかという図が8ページにありますけれども、このデータの拡充のところで、告示データなど、という記述が右下にあります。構想に告示まで入れていただくというのは非常にありがたいです。法律のほうは、何とか皆さんで進めていただけると比較的きれいな形で進められるのではないかと思いますし、政省令も中央省庁の方々が意識して頑張ってくださっているのでよろしいのですけれども、告示データこそどのようにまとめようかというルールや標準化が欲しいですし、全てルールや標準に従う必要はないですけれども、例えば、こういうデータとして統合しやすいので、自由度があるなら、こういう形式にしておいたほうがいいですよ、のようなスタンダードな方向性を最低限示しておくことは重要だと考えています。

以前にも事例をお話しさせていただいたかもしれないのですけれども、国立医薬品食品衛生研究所さんなどは研究室ごとに、告示事項をご自分たちの工夫でデータベースシステムをつくって提示したり、書式を考案して書面でまとめたりという形で告示を実施しています。その告示というのはその業界、例えば国立医薬品食品衛生研究所さんだったら化粧品業界や食料品業界の方々が新しい商品開発をするときに一言一句間違えないようにきっちり読み込んで、もちろん化学式や微細な数値も正確に認識して、各社の開発や仕事に当たっているということで、実は影響力が大きいのですね。しかしながら、そうした告示の提示方法や形式がばらばらだという現状があり、そもそも告示を作成している人たちが法律の専門家や法学部出身者ではなくて普通の化学者の方々が見様見真似でつくっているという状態になってしまっています。そこで、こういうところこそ標準形を示して差しあげたり、使えるツールを提供して差しあげたりということができれば、結果的にはその研究者や職員の方々だけでなく、広く国民への便利なサービスを提供することにもなるし、いろいろな混乱を防ぐこともできると思います。化学の研究者の方にはご自分の得意なところに力を使ってもらって、告示の書き方のところにはあまりの力を働かせなくてもよくなれば、国家的にも行政の質や効率性に寄与できるのではないかと思います。そういう意味でも、簡単ではないことは分かっておりますけれども、告示データまでの拡充というところは強調させて頂き、進めていただけるものであれば、進めていただきたいと、あるいは進める意図が分かる何かを掲げていただければ幸いと思いました。

長くなってしまいましたけれども、以上が私のコメントでございます。失礼します。

事務局(須賀): ありがとうございます。

山内さん、コメントをお願いします。

事務局(山内): ありがとうございます。大変貴重なご意見を2点いただいたと思います。

最初の意味論についてということでございますけれども、大変勉強になるというか、こういったことを専門家の方と密に議論を進めるのが非常に重要だと理解いたしました。おっしゃるとおり、今回の13ページの整理では用語の意味というのがあって、それが構文の中で全体の法令をなしていくというストーリーで概念整理をさせていただいたのですけれども、実際には行ったり来たりというか、アジャイルな開発が求められると思っております。

特に法令の使っている用語も、文脈で意味が決まるというのはおっしゃるとおり多数あるというところでございます。例えば記号の意味を事前に固定するのではなくて、それが意味の幅を持ち、それ以上は文脈で決まるといったモデル化も考える必要があるなと思っていまして、その辺りを専門家の先生方にご意見をいただきながら、議論させていただきながらつくるのがいいのかなと思っております。

それから、分野によっても進めやすいところがあるかと思いますので、そういったところを導入しやすい分野から試行を進めることでどういう形が望ましいかというのを考えるのがいいのかなと思っております。

2点目ですけれども、8ページ目にコメントを頂戴しました。告示のデータについて広げるところの意義について応援のメッセージをいただきました。告示はこれまで着手できていなかったというか、標準化というか、統合の試みというのがなかったのですけれども、私も仕事で告示というのは結構よく使いますが、最新の告示が見つからないとか、見つけにくいという問題意識がございます。これは公平・公正という面でも課題があると思っておりまして、例えばこれを参照しやすくする、分析しやすくするという営みができたりすると考えておりまして、APIなどのデータの公開の仕組みを使いやすくつくって、皆さんに使っていただくというような広がりが持たせられたらいいなと思っている次第でございます。

以上でございます。

事務局(須賀): ありがとうございます。

それでは、米田構成員、お願いいたします。

米田構成員: ありがとうございます。

まず、ぎょうせいさんの調査については本当に詳しく丁寧にしていただいて、なおかつ、到達点と我々が取り組んでいる方向性という意味で間違っていないということで大体確認できて、どこもこの程度のことなのだなということが分かってすごく安心したところです。

そういった意味では諸外国と足並みをそろえてと考えつつ、なおかつ競争する意識を持ってというか、負けないように頑張ろうと強く感じたところでございます。

山内さんの資料について少しコメントさせていただきたいのですけれども、今回の資料の中でやはり13ページが気になるところになっていて、フェーズ1、フェーズ2ぐらいまではみんなが何をすればいいかはっきり分かる気がするのですね。具体的に何をすればいいかということと、何が新しくできるようなるかということがはっきり目に見えるというところがあって、フェーズ3になったところからは技術者の話だなという感じで、すごく飛躍感を覚えます。

これはなぜかというと、恐らくフェーズ2まではどちらかというとサポートをするということが意識されているような書きぶりになっていて、フェーズ3、4、5になるとそれが希薄化して、シミュレーションと言っているのですけれども、結局我々が議論して到達しようとしているのはルールをつくることなのか、それとも参考情報をつくることなのかが、曖昧になるということについて考えなくてはいけないと思いました。さっき角田先生がおっしゃったように、結局法律というのは現場で解釈されて、現場の文脈にそろえて使われていくものなので、そのあとの言葉の使われ方はその影響を必ず受けてくるのですね。それがフィードバックされてきて、新しいデータとして変えていかなくてはいけないし、文言の意味自体も変わっていくことを許容しなければならない。

例えばオントロジというところで法令の用語の意味、論理関係というのを固定してしまうと、日常生活でルールをすごく使いにくくしてしまう可能性が生まれる。だから、そういった意味で我々がつくるものは、このレベルに来たらそういう硬い情報を提供するのではなくて、参考情報として使いやすい新しい在りうるボキャブラリーを我々の自然の頭で生み出すだけではなくて、機械が生み出すような言語も使えるようになろうよという程度のものだということについて、謙虚に受け止めておく必要があるかなと思います。

一方、我々が社会を新しくつくっていく上で、今まで人間が生み出してきたボキャブラリーでは足りない。想像力に限界があったり、または蓄積力も、記憶力に収まりきれない、溢れるほどの量があるわけですから、そこから溢れてしまうほどの法令情報について、デジタル化を進めて、我々の手の上に収めなければならなくなっていることが、ここで検討しなければならない現実的な理由になっていると思うのです。そういった意味でも、我々が法を扱うことをサポートしてくれて、究極的には法を使う人たちが現場で使いやすいというイメージが共有されるような議論になるのが望ましい、というのが、この図と説明から受けたイメージでした。

技術的な話や、今、どこまでの到達点にあるかとか、研究の動向がどうかということはほかの構成員の皆様が非常に詳しく具体的にお話しいただいたので、私としては、最終的にこういったものができたときに社会の中でどういう位置づけになるのかについての視座を外さずに、次に進めるようにしたい。一番まずいのは、それが思ったとおりにならなかったときに挫折感を味わって何となくそこでやめてしまうとか、そのやり方に過剰にマイナスのラベリングをして撤退してしまうということで、これは絶対に撤退してはいけない方向で、このあとの様々な場面でも、何があっても頑張る方向で取り組めるようにするには、システムの役割を控えめに考えておくことも必要だろうなと思います。

以上です。抽象的ですみません。

事務局(須賀): ありがとうございます。

山内さん、お願いします。

事務局(山内): ご意見ありがとうございます。

我々のまだ考えが足りないところ、これから工夫しなければいけないところというのをご指摘いただいたと思っております。我々がこのデジタル法制ロードマップで目指さなければいけないのは、まさにいろいろなところにメリットがあります柔軟な、効果的な、公平、公正なというところを最終的に目指していくというところで、例えば機械の意味に縛られたりといったところがないようにとか、いろいろな考慮事項があるかなと思っております。そこは今後、こういう議論を進める中での懸念点だとか、諸外国のRules as Codeでも様々な議論がございますので、こういったところも勉強しながら議論が進められたらなと考えております。

こういう将来に向けた進め方といったところで、まさにいただいたような意見、議論がこれで活性化できたらなと考えておりますので、引き続きご意見を頂戴できればと考えております。

以上でございます。

米田構成員: ありがとうございます。

事務局(須賀): 続きまして、渡部構成員、お願いいたします。

渡部構成員: 皆様、こんにちは。弁護士の渡部でございます。

まずはぎょうせいさん、事務局の皆さん、今回のこの資料の取りまとめは本当に大変だったと思います。まずは大きなねぎらいと、すばらしい内容について感謝を申し上げたいなと思っています。

私からは2点コメントがございまして、まず1点目、ぎょうせいさんの資料です。ほかの先生方からも既にコメントがありましたとおり、これは6か月前に時間を戻すと誰もよく分かっていなかったところがきれいに整理されて、本当にすばらしい資料だなと思っています。これから学術的・実務的にも他国の状況を参照する中で、恐らくスターティングポイントになる、常にリファーされるような資料になるかなと思っておりますので、今日ご参加されている方だけではなくて、これを実際に調べていただいた方々の本当に大きな労作だなと思っています。

2点目、山内さんの資料のP11をお示しいただけたらありがたく存じます。まず、全体として資料は非常に今回も分かりやすくて、どういう形で今回の我々のプロジェクトが日本という国家のデジタル化に資するのかというところが整理されていて、これも本当によい資料だと思いました。

その中に、事前に事務局と話している中で、右下のところなのですけれども、私もこれはひとつ面白いアイデアだと思って、少しハイライトをさせてください。例えば今、民事裁判のIT化等も進んでおりますけれども、実は我々法律家、それから行政官が法律の条文を引用するときというのは、もともと明治の頃から、例えば民法第何条第何項第何号という形で書くのがお作法だったわけなのですけれども、この記載のお作法を一つのシステムと考えることができます。まだITもインターネットもない時代にこういう書き方をすると、みんなが紙の書籍に戻れることによって条文が引けるというアイデアで、そういう書き方、いわゆる今の公文書の書き方ができたのだと思っています。

したがって、こういう国家のデータベースができた後というのは、今、我々裁判官、行政官全員が当たり前にしている条文の書き方自体も、ロックインされた状態から、アップデートされてもいいのではないのかなと思います。

例えば弁護士事務所の一年生が民法、会社法、金商法などのいろいろな条文を引用するときに、条文を書いた後に条項IDを付番・記載するというふう(例:民法第◯条:CVL005)に、アナログのルールも変えることによって実は双方向からいわゆるデジタルの情報が集積されていくと思いますので、こういうアナログ面をどういうふうに変えていくのかということで、公文書のルール、条文の書き方というところを検討することには非常に大きな意義があるのかなと思っております。

以上、私からは2点です。改めてありがとうございました。

事務局(須賀): ありがとうございます。

山内さん、いかがでしょう。

事務局(山内): ありがとうございます。

事前のご説明でも議論させていただきまして、大変貴重なご意見を頂戴したと思っております。いただいたようなシステムをつくる面にだけではなくて、実際に公文書を使う場面についてもこういう条項IDの活用をするというところは私も目からうろこというか、これができますと、情報が自然に集まる仕組みというのは、全てのデータをシステム化する前からできるところから集めることができるということで、かなり利点のある手法だと考えておりまして、便利だからみんなでこういうふうに使っていきましょうという方向性だとか、それを基に使いやすいID、識別子みたいなものをつくることが必要になってまいりますので、そういったところを工夫しながら、考えながら進めていきたいと思っております。ありがとうございます。

渡部構成員: ありがとうございました。

事務局(須賀): では、あと、可能であれば落合構成員と堀口構成員からもコメントをいただけたらと思うのですけれども、どちらかよろしいでしょうか。

堀口さん、お願いいたします。

堀口構成員: お世話になっております。堀口です。

今回、資料をいただきまして、ありがとうございます。

各種いただいたところを拝見させていただきまして、資料2にございましたような条項IDの参照であったりというところで、タイムリーに情報が受け取れるといったものは利活用のところまで含めて非常に利便性が高いのではないかと感じております。

また、その中で、今後の法制事務のデジタルデータの利活用というところと行政のご担当者様の作業の効率化というところの両方の部分に取り組まれていくのは非常に意義深い取組だと理解しておりますが、法令データの利活用を進めていくという部分と、霞が関の皆様の働き方がより効率化していくという部分の両方の利活用のイメージはどのような優先度なのか、あるいは並行して行われるのか、この辺りについて何かご検討されている点がもしあれば、お伺いしたいなと思っていたところであります。

事務局(山内): ありがとうございます。実際に情報をつくる職員のユーザビリティーとの優先度、あるいは配分といったところでご意見をいただきましたけれども、我々がいつも忘れてはいけませんのが、法令データをつくる人もユーザーであること。それはその法令をつくる、活用して行政運営をしていくというのにとどまらず、そういった条文をつくる、編集する人も同じようにユーザーでして、そこも含めて改善をしていかないと、システムとしては全体の効率が上がらない、目的を達成できないと考えております。

資料の3ページ目を改めてご覧いただきますと、法制事務システムの目的ということで整理しております。ここで掲げているベースレジストリ、信頼できるデータベースの整備、それからオープンデータ化してどんどん利活用していくという話に加えて、法制事務自体、これは職員のことでございますけれども、これについてもしっかりユーザビリティーを確保して健全なワークフローへ変革していく必要がある、そうでないと持続可能な仕組みになっていかないと考えていますので、優先度という意味では全て同じというか、ここをしっかり考えていかなくてはいけないと考えております。

利活用という面を考えていったときに、見落としがちというか、忘れがちということになってきますと困りますので、いただいたようなご指摘は大変ありがたいというか、例えばエディタで必要な誤りを防止するような支援をしていくとか、使いやすい仕組みにしていくというところも含めて整備していかなければいけないと考えておりますので、そういった進め方ができればと考えております。

以上でございます。

堀口構成員: ありがとうございます。

行政の利用者の方、そして一般の利用者の方の両方の利便性を追求されていくというところが非常によく分かりました。この両方の追求というのはなかなか試行錯誤を伴うものだと理解しておりますけれども、試行錯誤の中で多少の効果の部分が一時的に見えにくいといったところが出てくるようにも思いますが、ぜひそこも含めて試行錯誤しながら進めていかれるといいのかなと理解いたしました。

事務局(中野): コメントありがとうございます。

こちらで司会はデジタル庁の中野に交代させていただきまして、落合先生、何かコメント等がございましたら、よろしくお願いいたします。

落合作業部会構成員: ありがとうございます。私も何点かございます。

一つが、先ほど堀口先生からもご指摘があった行政内部での作業であったり、作成のプロセスにおける業務効率化に資する部分も非常に大事な視点ではないかと思います。こういったデジタル法制局のプロセスが入っていること自体、時々あまり中身を分かっておられない他省庁の方々と話をしていると、余計作業が増えたりするのではないかという話となることもあります。要するに今までも行政管理局など、いろいろなところから審査されていることがまた1つ増えたら余計大変になるのでしょうかというご懸念などもあるところだと思います。既にお取り組みいただけること自体は先ほどお話しいただいたと思いますので、重ねて同じ内容はご説明いただかなくても大丈夫かなとは思っています。

ただ、何人かからそういうふうに申し上げないと、なかなか中の方々が楽になるようにならないという視点は、一般的に行政の内部から自発的に進めていただくのは難しいというか、国民に対する説明等々の観点で自分たちが楽になるためと自発的に言い出すのは難しいところがあると思いました。このため、私からもほとんど同じではあるのですが、今の点をまずお伝えできればと思います。

2点目としては、今後のデジタル規制改革の利用の中で大事になってくるのかなと思いますのが、通知だったり、通達以下の部分の整理というところです。フェーズ2の中で利用可能な範囲で整備していかれるということだと思っております。

デジタル規制改革のほうで挙がっている法令の項目も、以前の規制改革会議の書面押印などのときからもそうですが、法令そのもので書いてあったりするということは実際には必ずしも多くないと思っております。そのうち1から2%とか、10%は明らかに切っているような程度が法令そのものとなってくるかとは思います。実際の作業としてはどちらかというと告示ないしそれ以下のレベルの文書がかなり多いとは思います。

いろいろな作業を進めたり、議論を適切に進めるに当たって、その中で情報自体が適切に整理されて開示されていないという部分も省庁によってはあります。技術的にひもづけて、藤原先生からご指摘があった意味解釈の話まで考えていくと非常に難しいところもあるとは思うのですが、デジタル規制改革での利用という意味で考えると、まずはそこのディスクローズといった部分で見られるようにしていくことも先行して進められるところがあれば、デジタル臨調での取組自体にもプラスになるところがあるかと思います。

技術的に難しいところは難しいなりに時間をかけざるを得ないと思うのですが、一方で、技術的な問題ということが少なく、作業として一定行っていただければできることもあるかとは思います。そういった点は、もしできる範囲があれば、前倒しをご検討いただけるといいように思いました。

以上でございます。

事務局(山内): ありがとうございます。おっしゃるとおり、何点か頂戴いたしましたけれども、1点目の職員の観点というのは、意見を職員の側から言うのは難しいというか、これを代弁していただけるというか、そういったサポートをいただけるというのはすごくありがたいと考えておりまして、我々も資料の3ページ目の図の中で編集だとか、審査側みたいなものも含めて、6ページ目の図にも左下のほうにエディタというものがございます。それから左上にチェック機能というのもございます。こういったところも含めてサポートできるようにというところも考えていきたいと思っているところでございます。

2点目、通知、通達といった運用のところで実際には規律が行われているというご指摘でございます。そちらもおっしゃるとおりでございまして、これまで結構データとして見えにくかったという課題があるかと思います。13ページ目に将来像みたいなところも書いておりますけれども、これまでデータとして見えにくかった通知・通達などといった周辺情報も含めてここで見えるようになりますと、例えば見直しの状況が見えるとか、運用でどういった技術が使われているのかとか、それがアップデートされているのかといった情報収集ができるようになると考えてございます。

そこも先ほどもご意見を頂戴しましたけれども、フェーズ1を待ってフェーズ2というよりは、フェーズ2で行われるような周辺情報も含めてデータが集まるような仕組みを早期につくりたいと考えてございまして、そういった情報収集ができるようになると、通知・通達も含めた運用面の見直しが進められるようになるのではと考えてございますので、そこはできるところから先行的に、あるいは先行的な取組が進められるような環境づくりを進めていきたいと思っております。

以上でございます。

落合作業部会構成員: ありがとうございます。ぜひそのように進めていただければと思います。

ちょっと細かいところとしては、集めていただく中で逐条解説等と書いていただいているところがありましたが、特に改正のプロセスの中ですと、関係する審議会の報告書や、中間取りまとめなどが、その法令等との関係でどう作られたのかを理解するために有用と考えています。これは機械的な審査というよりかは読み手側というか、一般的なユーザーや審査する方にとってのメリットなのですが、すぐに引けるような形になっていると有用と思います。あまり細かい資料まで紐づけていくと切りがないとは思うのですが、改正と直接関係するような審議会の報告、まとめなどは一緒に見られるようになるといいと思います。

以上です。

事務局(山内): ありがとうございます。

かなり職員側に立ったというか、我々は例えば法律を見直したりだとか、省令を改正したりするときに、過去の逐条解説やパブコメ、審議会報告書みたいなものをかなり参照しますので、おっしゃるとおりかと思っておりまして、ご指摘いただいたのは恐らくページ14の右下辺りに記載させていただいておりまして、そこも参照いただいたのかなと思っておりますけれども、こういった情報が集まりますと、それを外部で参照するにとどまらず、行政内部で使うというところにもかなりメリットがあると思っていますので、政策立案の効率化という観点でもこういった情報がちゃんと活用できるようにということで取組ができるようにしてまいりたいと思っております。

以上でございます。

落合作業部会構成員: ありがとうございます。

事務局(中野): ありがとうございました。

それでは、米田先生、お願いいたします。

米田構成員: 再びチャンスをいただきまして、ありがとうございます。

今、落合先生がお話しくださったように、かなり現場のお話も重要だということになってくることと併せて、ちょっと忘れがちになるのでコメントしたいのですけれども、これまで6ページ目の編集用のデータベースに近い話を中心にしてきましたが、特に私が気になるのは、結局これを使う人たち、少なくとも官庁の方々には編集用のデータベースをちゃんと使ってもらって、メインのデータベースに効率的に法令情報をちゃんと入れてもらうということが重要で、なおかつ、それを公開したものをきちんと参照して、その後のフィードバックも参照してもらうというところも、彼らにやってもらわなければならない。

我々としてはやりやすいものを提供して、使ってもらいたいという気持ちで謙虚に取り組む必要はあるのですけれども、事実としてやってもらわないことには話にならないところがある。そのことを広く周知していただいて、今後の実務の部分ではどんなプラクティスが立法作業なり法令システムの作業なりに入ってくるのかという具体的な絵ですよね。そこの中にも、法令等の公開されたものをどう使うのかということを入れたイメージをこれからしっかりつくって広報して、少なくとも、願望としては全ての法令の作成プロセスの中に、告示をつくるところまで含めてですけれども、目標の絵を提示するということが必要かなと思います。

今、我々は実際のシステムのつくり方でシステムの絵を一生懸命描いていますけれども、具体的にそれを使う人たちにどんなプラクティスがこれから求められるのかということについての予測可能性を高めてあげる作業も必要だと思ったので、コメントさせていただきました。イメージのつくり方の問題で、議論の中身の問題ではないのですけれども、このことは、我々がここで議論している方向を実現する上では非常に重要な部分だと思います。

以上です。

事務局(山内): 大変貴重なご意見をありがとうございます。

我々の議論を進める中で、例えば先ほどからの職員の話といったところで我々がもし忘れていそうなところがあったら、こういうご指摘をいただくことで我々がそれを忘れないように進めていくことができますので、とてもありがたいご指摘だと思っております。

おっしゃるとおり、使う方、法令の編集を担当する方にしっかり使ってもらわないともともとの目的は達成できませんので、そこの具体的な絵を周知する、それからその予測可能性を高めるというところをご提案いただきましたけれども、まさにそのとおりだと思っております。

今後、例えばPOCや調査、開発みたいな取組を進めていきますけれども、そういった場面で、我々としては周知にとどまらず、一緒につくっていくというか、一緒に使いやすいものをつくってデザインする仕組みをつくれればなと考えておりますので、そういった形で職員の皆さんの作業環境も含めてそれが健全なものになるように設計ができたらなと考えております。

以上でございます。

米田構成員: 今、業務のリスキリングなどのいろいろな新しいやり方を学ばなくてはいけないという環境でもあるので、そういった予測可能性を高めてあげることはすごく重要で、私は大学にいるので教育という場所で考えると、これからどんな仕事をしていくかということを提供していく上でもその絵はすごく役に立っていくのだろうと思います。

以上です。ありがとうございました。

事務局(中野): ありがとうございました。

ほかの先生方、ご質問、ご意見等のある方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。

本日も非常に活発なご議論をありがとうございます。事前にもご説明させていただきまして、我々が気付いていない点等についてご指摘を多々いただきましたけれども、本日もそれぞれのお立場から非常に貴重なご指摘をいただきまして、心よりお礼申し上げます。

それでは、最後に本検討チームの座長であられます大串デジタル副大臣から閉会のご挨拶を賜りたいと存じます。副大臣、よろしくお願いいたします。

大串副大臣: デジタル副大臣の大串でございます。構成員の皆様、本日も活発にご議論いただきまして、誠にありがとうございました。

本日は、諸外国における法制事務のデジタル化の調査をお願いしている株式会社ぎょうせい様から諸外国の法制事務のデジタル化に関する先行事例の調査・研究について発表いただきまして、皆様からも大変好評をいただいたところでございます。

また、事務局から説明した法令等のデータの公開方法や利活用高度化の方向性に関するコメントも含めて、構成員の皆様には今後法制事務のデジタル化を進めていく上でも大変貴重なご指摘をいただいたところでもございます。ありがとうございます。

法制事務のデジタル化を検討するに当たりましては、行政内部にとどまらず、国民や事業者も含めた社会全体にメリットが行き渡るように検討することが求められますところでありますので、多岐にわたるご専門分野をお持ちの皆様には引き続きご指導いただければと存じております。

改めて本日はどうもありがとうございました。

事務局(中野): 副大臣、ありがとうございました。

では、本日の議事は以上とさせていただきます。本日の議事は、ご異議がなければ議事録を作成し、皆様にご確認いただいた上で公開、資料につきましても全て公開させていただきます。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を閉会します。本日はご参加いただきまして、誠にありがとうございました。