デジタル庁防災業務計画
計画の概要
デジタル庁防災業務計画は、デジタル庁の所掌事務について、防災に関してとるべき措置の基本を定めるとともに、地域防災計画の作成のための基準を示すことを目的としています。以下の法律の規定に基づいて定めています。
- 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第36条第1項
- 大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第6条第1項
- 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年法律第92号)第5条第1項
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年法律第27号)第6条第1項
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第1章 総則
(目的)
第1条
この計画は、災害対策基本法(昭和36年法律第223号。以下「災対法」という。)第36条第1項、大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号。以下「大震法」という。)第6条第1項、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年法律第92号)第5条第1項及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成16年法律第27号)第6条第1項の規定に基づき、デジタル庁の所掌事務について、防災に関しとるべき措置の基本を定めるとともに、地域防災計画の作成のための基準を示すことを目的とする。
(定義)
第2条
- この計画において、「災害」、「防災」、「防災基本計画」又は「地域防災計画」とは、それぞれ災対法第2条に規定する災害、防災、防災基本計画又は地域防災計画をいい、「地震防災」、「地震予知情報」又は「警戒宣言」とは、それぞれ大震法第2条に規定する地震防災、地震予知情報又は警戒宣言をいう。
- この計画において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
- 関係機関:災対法第2条第3号から第6号までに規定する指定行政機関、指定地方行政機関、指定公共機関及び指定地方公共機関並びに都道府県をいう。
- 各グループ:デジタル庁組織令(令和3年政令第192号)第1条に規定する統括官を長とする組織の単位をいう。
- 大規模災害:災対法における政府本部(災対法第23条の3第1項に規定する特定災害対策本部、災対法第24条第1項に規定する非常災害対策本部又は災対法第28条の2第1項に規定する緊急災害対策本部をいう。)が設置されるような災害をいう。
(実施の基本方針)
第3条
この計画を実施するに当たっては、関係機関の行う防災活動との間の緊密な連絡調整を図ることにより、防災活動の総合的な推進に寄与するよう努めるものとする。
第2章 防災体制の確立
(災害対策本部)
第4条
- デジタル大臣(以下「大臣」という。)は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、当該災害の規模その他の状況を勘案して特別の必要があると認めるときは、第19条に規定する地震災害警戒本部を設置する場合を除き、直ちに大臣を長とするデジタル庁災害対策本部(以下「災害対策本部」という。)を設けるものとする。
- 前項の災害対策本部の名称、組織、処理する事務の内容その他の必要な事項については、別紙1に定めるところによる。
第5条
- 大臣が指揮をとれないときは、デジタル副大臣が災害対策本部の長の職を代行するものとする。
- デジタル副大臣がその職務を代行し得ないときは、デジタル大臣政務官、デジタル監、デジタル審議官、統括官(戦略・組織担当)の順で指揮をとるものとする。
(連絡体制及び参集体制)
第6条
- 災害対策本部の構成員は、公用の携帯電話を携帯すること等により常時連絡が取れるようにするものとする。
- 前項の構成員は、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、直ちに参集又はテレワークできるようにし、参集に向けては、平常時から、デジタル庁への複数の交通手段を確認しておくものとする。
- 各グループで別に定めるところにより指定された者は、災害発生後直ちに参集又はテレワークにより、必要な情報収集及び連絡等を行うものとする。
(防災活動体制の整備)
第7条
この計画を的確かつ円滑に実施するため、職員に対する防災及び安全に関する知識の普及、通信手段の多様化を含む通信施設の充実、災害が発生した場合における情報の収集及び伝達機能の強化、非常参集体制の整備、庁舎管理体制の確立、庁内の連絡の確保、食料、飲料水、医薬品等生活必需品の適切な備蓄、避難地、避難路等の確認、その他防災活動の整備に努めるものとする。
(防災訓練の実施)
第8条
関係機関と連携しながら、災害発生時の情報伝達、災害対策本部を設置、運営するための訓練その他デジタル庁における防災に関し必要な訓練を毎年1回以上実施するものとする。
第3章 災害予防対策
(防災体制の整備)
第9条
各グループは、大規模災害に際して膨大な業務の処理をすることが見込まれる各府省庁、都道府県及び市町村に対して、デジタル庁が所管するシステムによるサービスの提供が確保されるよう、必要に応じて助言及びその他の支援を行う。
(災害時情報網の整備)
第10条
各グループは、大規模災害発生時においてデジタル庁が所管するシステム等における被災状況等を把握するため、適切な手段を講じ、関係機関等と協力し、災害時における情報収集及び連携体制の整備に努める。
(通信手段の確保)
第11条
各グループは、災害時においても通信の確保が可能となるよう別に定める重要なシステムにおける通信設備の多重化及び通信回線の多ルート化を推進する。
第4章 災害応急対策及び災害復旧
(応急措置の実施)
第12条
各グループは、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その所掌事務に関し、関係機関等と密接な連携を図りつつ、災害の発生又は拡大の防止のための所要の応急措置を速やかに実施するものとする。
(被災状況の把握)
第13条
各グループは、大規模災害時に迅速かつ的確なサービスを提供するため、デジタル庁が所管するシステムの稼働状況について、システムの非常時における優先度に応じて速やかに情報収集を行う。
(被災者等に対する的確な情報提供等)
第14条
- 各グループは、その所掌事務に係る災害が発生したときは、次に掲げる措置を適切に行うものとする。なお、その際、高齢者、障害者等へ配慮するものとする。
- 各グループが講じている施策に関する情報を適切に被災者等に提供すること。
- 必要に応じ関係機関等と協力して、速やかに、被災者等からの問い合わせに総合的に対応すること。
(被災地方公共団体の措置に関する支援)
第15条
各グループは、大規模災害の発生に際しては、被災市町村や当該市町村を包括する都道府県に相応のシステム復旧業務が発生するほか、当該復旧までの間、平常時より業務負担が大きい状況となることから、必要に応じて職員を派遣し、復旧業務等に関する助言及びその他の支援を行う。
また、被災地において生じる各種課題に対し、必要に応じて職員の派遣を行い、民間企業・団体と連携してデジタル技術を用いた支援を提案・調整することで、被災地方公共団体の災害応急対応の支援を行う。
(実施措置等の報告)
第16条
- 各グループは、災害が発生した際、その所掌事務に係る被害等の状況、当該被害等に対して実施した措置及びその実施状況を災害対策本部に報告するものとする。
- 大臣は、前項の報告内容を内閣総理大臣に報告するものとする。
(災害復旧の実施)
第17条
各グループは、デジタル庁が所管するシステム等が被害を受けた場合、関係機関等と密接な連携を図りつつ、迅速かつ的確に被害状況を把握し、災害からの復旧措置を速やかに実施するものとする。
第5章 地震防災強化計画
(地震予知情報等の伝達)
第18条
地震予知情報及びこれに関する情報については、参事官(総務担当)付から職員へガバメントソリューションサービスのネットワーク上での電子メール、コミュニケーションツール等により伝達することとし、必要に応じて災害時優先電話を活用するものとする。
(地震災害警戒本部の設置)
第19条
- 大臣は、警戒宣言が発せられたときは、デジタル庁に地震災害警戒本部を設けるものとする。
- 前項の地震災害警戒本部の名称、組織、処理する事務の内容その他の必要な事項については、別紙2に定めるところによる。
- 地震災害警戒本部が設置された場合には、この計画の第4条の規定を準用するものとする。この場合において、「災害対策本部」とあるのは、「地震災害警戒本部」と読み替えるものとする。
(警戒宣言時の情報提供)
第20条
各グループは、警戒宣言が発せられた場合において、それぞれの所掌事務の運営について必要があると認めるときは、国民に対して適時適切に情報提供を行うものとする。
(防災教育及び防災訓練)
第21条
- 職員に対して次の事項を中心とする地震防災上の教育を実施し、地震防災に関する知識が徹底するよう努めるものとする。
- 警戒宣言の性格及びこれに基づきとられる措置の内容
- 東海地震の予知に関する知識
- 地震予知情報等の内容
- 予想される地震及び津波に関する知識
- 地震予知情報等が出された場合及び地震が発生した場合に具体的にとるべき行動に関する知識
- 職員等が果たすべき役割
- 地震防災対策として現在講じられている対策に関する知識
- 今後地震対策として取り組む必要のある課題
- その他必要と認める事項
- 地震防災に関し、第8条に規定する措置に準じた措置を講ずるものとする。
(報告)
第22条
各グループは、警戒宣言が発せられてから当該警戒宣言に係る大規模な地震により災害が発生した際、その所掌事務に係る被害等の状況、当該被害等に対して実施した措置及びその実施状況を地震災害警戒本部に報告するものとする。
第6章 南海トラフ地震防災対策推進計画
(南海トラフ地震臨時情報の伝達)
第23条
- 次の南海トラフ地震臨時情報及びこれに関する情報(以下「南海トラフ地震臨時情報等」という。)が発表された場合においては、参事官(総務担当)付から職員へガバメントソリューションサービスのネットワーク上での電子メール、コミュニケーションツール等により伝達することとし、必要に応じて災害時優先電話を活用するものとする。
- 南海トラフ地震臨時情報(調査中)
- 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)
- 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)
- 各グループは、発災後の災害応急対策を迅速かつ的確に実施するため、関係機関等と連絡体制の強化を図る。
(災害対策本部の設置)
第24条
大臣は、南海トラフ地震臨時情報等を踏まえ、必要に応じて災害対策本部を設置する。
(南海トラフ地震臨時情報等の情報提供)
第25条
各グループは、南海トラフ地震臨時情報等が発せられた場合において、それぞれの所掌事務の運営について必要があると認めるときは、国民に対して適時適切に情報提供を行うものとする。
(災害応急対策をとるべき期間)
第26条
- 気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)を発表した場合においては、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界におけるマグニチュード8.0以上の地震の発生から1週間、後発地震に対して警戒する措置をとるものとする。また、当該期間経過後1週間、後発地震に対して注意する措置をとるものとする。
- 気象庁が南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した場合においては、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界におけるマグニチュード7.0以上マグニチュード8.0未満又はプレート境界以外や想定震源域の海溝軸外側50キロメートル程度までの範囲でマグニチュード7.0以上の地震(ただし、太平洋プレートの沈み込みに伴う震源が深い地震は除く。)の発生から1週間、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界面で通常と異なるゆっくりすべりが観測されたケースの場合はプレート境界面で通常と異なるゆっくりすべりの変化が収まってから、変化していた期間とおおむね同程度の期間が経過するまでの期間、後発地震に対して注意する措置をとるものとする。
(防災教育及び防災訓練)
第27条
- 職員に対して次の事項を中心とする地震防災上の教育を実施し、地震防災に関する知識が徹底するよう努めるものとする。
- 南海トラフ地震臨時情報等の内容及びこれに基づきとられる措置の内容
- 南海トラフ地震に伴い発生すると予想される地震動及び津波に関する知識
- 地震及び津波に関する一般的な知識
- 南海トラフ地震臨時情報等が出された場合及び南海トラフ地震が発生した場合に具体的にとるべき行動に関する知識
- 南海トラフ地震臨時情報等が出された場合及び南海トラフ地震が発生した場合に職員等が果たすべき役割
- 南海トラフ地震防災対策として現在講じられている対策に関する知識
- 南海トラフ地震対策として今後取り組む必要のある課題
- その他必要と認める事項
- 地震防災に関し、第8条に規定する措置に準じた措置を講ずるものとする。
(報告)
第28条
各グループは、南海トラフ地震により災害が発生した際、その所掌事務に係る被害等の状況、当該被害等に対して実施した措置及びその実施状況を災害対策本部に報告するものとする。
第7章 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進計画
(北海道・三陸沖後発地震注意情報の伝達)
第29条
- 北海道・三陸沖後発地震注意情報及びこれに関する情報(以下「北海道・三陸沖後発地震注意情報等」という。)が発表された場合においては、参事官(総務担当)付から職員へガバメントソリューションサービスのネットワーク上での電子メール、コミュニケーションツール等により伝達することとし、必要に応じて災害時優先電話を活用するものとする。
- 各グループは、発災後の災害応急対策を迅速かつ的確に実施するため、関係機関等と連絡体制の強化を図る。
(災害対策本部の設置)
第30条
北海道・三陸沖後発地震注意情報等を踏まえ、必要に応じて災害対策本部を設置する。
(北海道・三陸沖後発地震注意情報の情報提供)
第31条
各グループは、北海道・三陸沖後発地震注意情報が発せられた場合において、それぞれの所掌事務の運営について必要があると認めるときは、国民に対して適時適切に情報提供を行うものとする。
(災害応急対策をとるべき期間)
第32条
気象庁が北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表した場合においては、当該注意情報の発信に至った地震の発生から1週間、後発地震に対して注意する措置をとるものとする。
(防災教育及び防災訓練)
第33条
- 職員に対して次の事項を中心とする地震防災上の教育を実施し、地震防災に関する知識が徹底するよう努めるものとする。
- 北海道・三陸沖後発地震注意情報の内容及びこれに基づきとられる措置の内容
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に伴い発生すると予想される地震動及び津波に関する知識
- 地震及び津波に関する一般的な知識
- 北海道・三陸沖後発地震注意情報が発信された場合及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生した場合に具体的にとるべき行動に関する知識
- 北海道・三陸沖後発地震注意情報が発信された場合及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生した場合に職員等が果たすべき役割
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策として現在講じられている対策に関する知識
- 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策として今後取り組む必要のある課題
- その他必要と認める事項
- 地震防災に関し、第8条に規定する措置に準じた措置を講ずるものとする。
(報告)
第34条
各グループは、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震により災害が発生した際、その所掌事務に係る被害等の状況、当該被害等に対して実施した措置及びその実施状況を災害対策本部に報告するものとする。
第8章 地域防災計画の作成基準
第35条
各グループは、地域防災計画の作成に関し、第3章及び第4章の規定の趣旨に沿うよう都道府県防災会議等へ必要に応じて助言等を行う。
第9章 雑則
(防災業務計画の見直し)
第36条
この計画については、毎年検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正するものとする。
(実施の細目)
第37条
この計画に定めるもののほか、防災に関しとるべき措置の細目については、別に定めるところによる。
附則
この計画は、令和7年12月17日から施行する。
資料
- デジタル庁 防災業務計画(令和7年12月)