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河野大臣記者会見(令和5年6月2日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年6月2日(金)15時17分から15時50分まで 於:デジタル庁20階会見室及びオンライン)

1.発言要旨

先ほど参議院でマイナンバー法の改正法案を可決していただきました。

この改正によりまして、各種の事務手続の添付書類の省略、あるいはマイナンバーカードを申請・取得できる選択肢の拡大、利用の促進が実現され、利便性の向上につながっていくと思います。

一方で、この法律案の審議中にマイナンバーカードに関する一連の事案が明らかになりまして、国民の皆様に不安を与えていることを大変申し訳なく思っております。既存のデータやシステムの総点検を行うとともに、新しくこうした事案につながらないように防止策を徹底していきたいと思っております。また、人為的なミスのリスクを低減させるため、人の介在をなるべく減らすデジタル化、これを推進していきたいと思います。

今回の法改正によりまして、氏名のフリガナが公証されることになります。口座など、今、カナ氏名ですので、このカナ氏名とご本人の氏名を突き合わせることが可能になります。また、年金口座を公金受取口座にデジタル的に取り込むこともできるようになりますので、人を介した人為的なミスというものが起こる可能性を低減することができると思っております。
この改正をしっかりと着実に施行することで、マイナンバー制度の信頼の確保に引き続き努めてまいりたいと思います。

マイナンバーカードの一連の事案の状況につきましてお知らせいたします。

コンビニ交付サービスにつきましては、123団体のうち82団体で停止して点検するということが終わりました。残り41の団体も本日現在、点検中の団体もありますし、残りも点検の日程が全て確定しております。当初6月4日までと申し上げておりましたが、若干、幾つかの団体が、4~5団体だと思いますが、6月4日を超えてしまうものもあると思います。当初予定されていた定期点検に合わせてやりたいというようなこともありましたので、6月半ばまでには全部終了すると思っております。対象となっている自治体のご協力には、改めてお礼を申し上げるとともに、住民の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご協力をお願いしたいと思っております。

コンビニ交付サービスで新たに2つの団体で誤った証明書を交付していた事案がありました。徳島県板野町で、町内で転居して住所変更された方が、コンビニ交付サービスで証明書を請求したときに、変更前の住所が記載された本人の住民票と印鑑登録証が交付されたということで、これは板野町のコンビニ交付サービスを提供しているベンダーが、おそらくメンテナンスをして再開するときに設定ミスがあったということだと認識しております。対応は完了しております。

それからもう一つ、これはまだ一報で中身が確認できておりませんが、さいたま市で住民票の写しに旧姓を併記する申請をしていた方が住民票を取ったところ、旧姓が併記されていなかったということで、これは、さいたま市が富士通Japanのシステムの総点検を実施したところ、判明したということで、中身については今確認中でございます。

保険証の件につきましては、全保険者による点検が引き続いて行われております。

公金受取口座につきまして、1日17時の時点で、1741団体のうち1576団体から回答がありました。1団体1件の誤登録が報告されましたので、誤登録の件数は15自治体21件となっております。

これはマイナポイントの付与と同じようにログアウト忘れを防ぐためのシステム改修を6月中に導入できるよう対応を進めているところでございます。

マイナポイントの誤登録につきましては、5月30日(火)までの間に、自治体から8件の追加報告があって、97団体121件となりました。

ログアウト漏れで他人のサービスに紐づけしてしまったものが多くありましたが、中にはご自身でログインをして手続きをしたのだけれども、決済サービスで自分のIDを打ち込むときに間違えてしまって、そのIDがたまたま他の人のIDであったので、別な方の決済IDを登録してしまったというものがあるようでございますので、これは入力のときにしっかりと確認していただくというマニュアル遵守の徹底通知を、5月31日(水)付で総務省から発出しております。

そうした事案も含め、しっかり対応しているところでございます。

それからもう一つ、申込ができなくなった方が結構いらっしゃるようで、これはマイナポイントをつけるときに途中で何かあって停止したらマイナポイントの申込ができなくなったという方がいらっしゃるようで、ここについても今、総務省と連携して取組をしようと思っております。これは誤登録というわけではありませんが、マイナポイントを付けるときの誤操作でポイントを付けられなくなってしまった事案というものがどうもあるようでございますので、今それについても検討しております。

こうした一連の事案につきましては、マイナンバー総合フリーダイヤル「0120-95-0178」、「救護マイナンバー」と言って語呂合わせをしておりますが、ここにお電話をいただきたいと思います。平日は100人体制にしておりますが、昨日はテレビでこの番号を告知したところ、昨日の午前中つながりにくかったということでございまして、そこは申し訳ないと思っておりますが、しっかりここで対応していきたいと思っております。

次に、働き方改革促進のための生成AI活用ワークショップを開催いたします。

行政における生成AIの活用は、行政運営の効率化、行政サービスの質の向上、こういった働き方改革につながると思っておりまして、各省庁で生成AIをいかに活用するかという検討を進めていくために、6月26日に霞が関の国家公務員の職員向けに生成AIを活用した業務の効率化について、様々なアイデアを出してもらう、いわばハッカソンを行いたいと思います。ハッカソンというかワークショップというか、霞が関の職員の皆さんの中で手を挙げてくださる方、積極的な参加を呼びかけたいと思っております。

詳細は、内閣人事局とデジタル庁にお問い合わせをいただきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)一昨日、参議院の地デジ特委では、20項目の附帯決議がついての可決になりましたが、この点について大臣はどのように捉えていらっしゃいますか。

(答)今日、参議院で法案を可決していただいて、改正法が成立いたしました。この一連の事案がございましたので、やはりまず信頼回復にしっかり努めるということが大事だと思っております。附帯決議もいただきましたので、そこにしっかり心を配りながらやってまいりたいと思います。

(問)冒頭で発表ありました、申込ができなくなった方がいるというのをもう少し具体的に教えていただきたいのですけれども、停止をしたらというのは、例えばネット回線の都合で途中で接続が切断されたり、システムが落ちてしまったりとかそういうことをおっしゃっているのですか。

(答)マイナポイントを付けようと思って作業をしているときに、申込の方のご事情で一時作業を停止しようというときに、作業の停止をしたら、マイナポイントがその後付ける作業ができなくなったというお問い合わせがございます。どういう状況だったのかということも含め、それなりの件数があるようでございますので、しっかり見て何が起きているのか、何ができるのか検討したいと思います。

(問)フリーダイヤルを開設されましたけれども、どのような意見が具体的に寄せられているか把握はされていますか。

(答)フリーダイヤルに電話をしていただきますと1から6まで音声ガイダンスに沿って番号を押していただいて、3番と4番はその次にもう1回番号を押していただくわけですが、そうすると、どういうものに問い合わせがあるかということで、そこで事情をお伺いするということになっております。中には、どうやったら紐付けが間違っていないか確認できるのか方法を教えてほしいとか、どうしてこういう事態が起きてしまったんだというお問い合わせもある一方、自分の保険証が誤っているのではないかというようなお問い合わせもあるようでございます。フリガナが間違っているというのもあったようです。それから「これは保険証の紐付け間違いではないか」というものは、支払基金に問い合わせをして本当に間違っているのかどうか確認することにしております。

(問)マイナンバーのフォローアップチームの会合を公開していただけるということですけれども、そちらではどういうことを話し合われるのでしょうか。また、今回こういう事案が起きた、デジタル庁という新しい省庁ですけれども、そこの体制だったり、どういうところに問題があったとお考えですか。

(答)フォローアップチームは情報の共有でございますので、最新の数の確認とか情報の確認をするところでございます。意思決定につきましては、デジタル庁の中に経営企画会議を始めとして会議体を今回の事案の前に設置しております。そこは意思決定のレベルや、どこでどういう意思決定をするかというのを決めると同時に、デジタル庁の中の情報を集約しようということでスタートしたもので、ここで意思決定をやっております。

(問)マイナ保険証について伺います。今回成立した改正マイナンバー法で、2024年秋の保険証廃止に向けた制度が整ったと思うのですけれども、国会審議の中では、高齢者施設の方へのアンケートとかで、そもそも施設側でマイナンバーカードを管理することへの懸念みたいなものも挙がっているわけですけれども、いろいろな不安が上がってくる中で、そういう不安一つ一つにどういうふうに答えていく、デジタル庁としてどういうふうに対策をとっていくのかというところを伺わせてください。

(答)そうした件につきましては、厚生労働省、総務省、デジタル庁で検討会を昨年から動かしておりまして、中間とりまとめが出されておりますので、まずはしっかりとこの中間とりまとめに基づいて進めていきたいと思いますが、やはりまだ周知・広報が足りていないところもあるのかなと思いますので、周知・広報をしっかりやっていきたいと思っております。また、具体的にそれでも問題になっているというものは、しっかり洗い出しをして対応していきたいと思っております。

(問)マイナ保険証に関連してお伺いします。来年秋としている健康保険証の廃止時期、この具体的な廃止時期の決定を含めて、今後の準備の進め方について教えてください。

(答)来年の秋ということで、まだタイミングがいつというのは確定をしていないのではないかと思いますが、そこは厚生労働省としっかり協議をしていきたいと思っております。国会審議の中でもいろいろな懸念についてお話がありましたので、そうしたことを一つ一つクリアできるように対応してまいりたいと思います。

(問)これは具体的にいつごろまでに決めるということが決まっているのでしょうか。

(答)それは必要なときに決めないといけないと思いますので、なるべく早く、まずはどんな対応が必要なのか、その対応がきちんとできているのか、その対応で足らないところがあればどうしたらいいのか、そういうことはしっかり見ていきたいと思います。

(問)この後のフォローアップチームについて、基本的に大臣が毎日出席されて参加されているのかというところと、具体的なこの立ち上げた狙いみたいなところがあれば、まず教えてください。

(答)私が毎日出ております。まずはしっかり情報共有をしようということで、関係省庁にも入っていただいております。

(問)この情報共有というのは、現在の調査のものであったりだとか、新たな問題についての情報共有ということですか。

(答)そうです。

(問)マイナ保険証の関連でマイナンバーカードをAndroidに搭載が始まっていると思いますけれども、それを実際に病院で使うときにハード面でまだ対応ができている、できていないというところがあったと思うのですけども、そこら辺の進捗状況はいかがですか。

(答)国会審議の中でも、厚生労働大臣が来年の4月とおっしゃっていましたので、来年の4月を目標として対応していきたいと思います。

(問)先ほど、公金受取口座のシステム改修の話があったかと思いますけれど、これは以前おっしゃっていたマイナポイントだと登録する際に再度マイナンバーカードをかざすという形だったと思うのですが、これも公金受取口座の中でもやっていくということですか。

(答)同じようにログインをして、3回かざさないといけないのですが、まずログインするときにかざしますと、それから券面から情報を引っ張ってくるためにもう一回やりますと、そこで作業をしていただいて、もう一回確認の意味でかざしていただいて、暗証番号を打っていただくということをマイナポイントでやっておりました。これは3回やるのが大変だからやめろと言われて改修して誤登録になってしまったので、それを戻しましたが、おそらく公金受取口座も同じようなステップになるのではないかと思っています。

(問)これというのは、マイナポータルの改修という形になるのですか。マイナポータル上で登録するような形だったかと。

(答)これは共用の端末で登録をするところのシステムですので、マイナポータルそのものではなくて、支援窓口で使ってもらっているパソコンやらタブレットの共用端末の支援ソフトの改修ということになるのだと思います。

(問)先ほど介護現場の不安の声に対して色々対策を打ってクリアしていくという趣旨のお答えをしましたが、それでも介護現場が納得不十分だと指摘し続けた場合は、これは保険証を廃止はしないと。時期をどんどん先送りしていくという理解でよろしいのでしょうか。

(答)そうしたことにしっかりと対応できるように、厚生労働省でやってくれると思っております。

(問)介護現場の反対、疑問の声は未だに非常に強いと思うのですが、その団体を納得できなくても、ゴリ押しするということなのでしょうか。切り捨てるということなのでしょうか。

(答)きちんと時期までにご理解いただけるようにやってもらうと思います。

(問)理解をいただけない場合の話を聞いているのですが、現場を知っている人が反対の声を上げ続けた場合、それでも強行するかどうか聞いているのです。

(答)仮定の質問にはお答えを差し控えたいと思いますが、しっかりとご理解いただけるように厚生労働省が対応してくれる。

(問)今までどれだけ意見交換したのですか。業界団体の方と河野大臣と。直接不安の声を聞いて、これでいけるという確証をどういう根拠で持たれているのですか。

(答)厚生労働省でも検討会でもいろいろ意見交換をやってきてくれております。

(問)そもそも、寝たきり老人まで保険証を持たせないというのは、選択肢を狭めておかしな選択を強いているような気がするのですが、そういう感じはお持ちではないのですか。

(答)現実的にしっかり対応できるようにやってまいりたいと思います。

(問)フォローアップチームについてこういったチームの立ち上げによって、例えばどういう組織に今後デジタル庁をより良くしていきたいとか、そういった大臣の意気込みのところもお伺いしてもよろしいでしょうか。

(答)デジタル庁は霞が関から来た人、デジタル庁プロパー、それから各省庁から来てくれている人、自治体から来てくれている人、民間から来てくれている人と、各種色々な人が混在をしている、霞が関の中でも珍しい役所なのだと思います。その中でもこのプロジェクトごとに縦糸を張っているところと、そこにデザイナーであったり、プログラマーであったり、プロジェクトマネージャーであったり、様々な横糸でそれぞれのスペシャリストが入っている、縦糸と横糸でなっている組織ですので、今までの霞が関の組織形態とは違っている。そういう中でやはり情報の共有が上手くいかなかったというのは、反省をしなければいけないと思っておりまして、今回のフォローアップチームはこの4つの事案のことに限定をして情報共有をしようということで立ち上げたものですが、平時でもしっかりと情報が流れるように経営企画会議を頂点として様々な会議体で、それぞれのレベルで意思決定、情報を共有してもらっております。また、システムのリリースなどについても、デジタル監のところで音頭をとってもらって、どういうチェックでシステムをリリースしていくのかというルールもしっかり決めていこうというところですので、まずは霞が関らしくないデジタル庁の情報共有と、意思決定の在り方というのをなるべく早く確立していきたいと思っております。

(問)昨日のテレビ番組でも、個人情報保護委員会の存在を知らないような質問も出ていたような気がするのですが、マイナンバー制度の基本的な情報というのが先ほど大臣は周知徹底に力を入れるとおっしゃっていたのですが、基本的な経緯について、なかなか調べることができないというのが多分おそらく皆さんの不安を煽っている。マイナンバー制度の始まった経緯とか、議論の経緯というのは、国会図書館のアーカイブには残っているのですけれども、デジタル庁のサイトから見られないと、色々情報提供にやはり問題があるような気がしてしょうがないのですけども、その点どういう風に広報周知を徹底されるか教えていただけますか。

(答)マイナンバー制度、あるいはマイナンバーカードの基本的な情報というのがまだしっかりお伝えできてないというところはあるのだろうと思います。そこはしっかりやっていく必要があるのだろうと思っていますが、マイナンバー制度はおそらく民主党政権の時に始まったものですから、当時の国会の議論はどうなのだと言われる、そこよりは今どういう制度で動いているのか、マイナンバーカードのICチップの中に、例えば自分の年金情報、税務情報も入っていると思われている方もまだいらっしゃいますので、そういうマイナンバー制度やマイナンバーカードの基本的な情報というのをもう少し力を入れて周知をしていかないといけない。そこがまず優先順位だろうと思います。

(問)消費者担当でお伺いしたいのですけども、昨日、不当寄附勧誘防止法が全面施行されまして、成立からもうすぐ半年になりますけども、大臣として改めて法律の役割と、消費者庁の今やっている体制の自己評価と、もしあれば課題を聞かせていただけますでしょうか。

(答)昨日施行しましたので、まず3つのルートで情報を寄せていただいております。それを端緒に、消費者庁としても動かなければいけないものについては、きちんと対応していきたいと思っております。まだ課題がどうだという段階になっていないのかなと思いますので、そこは状況をしっかりと見極めながら対応していきたいと思っております。

(問)マイナポイントの付与で、自分のアカウントにログインしたのに、決済IDを間違えて誤付与になったケースがあったのですが、説明を聞く限り、これは自治体の窓口だけではなくて、自宅で自分のスマホなどで操作した場合も起こり得るエラーだと感じるのですが、実際、そういうエラーが起こっていないかどうか。今お答えは難しいかと思いますが、この後のフォローアップも含めて、そういう不安はそもそも起こり得ないのかどうか。確認をお願いしたいという点を申し上げておきます。

(答)IDを、番号を打ち込む時に打ち間違えて、たまたまそれが別な方が持っている番号と同じだと、そっちに紐付くということは、これは別に共用窓口だけではなくて、ご自分のスマホで打っていてもあると思います。これは別にこのことだけでなく、インターネットバンキングをやっていて、口座番号を打ち間違えたらというようなことがあるのと同じだと思いますので、おそらくそういうことはあるのだろうと思います。

(問)今回決済IDなどは、そもそも衝突しにくい番号を生成したわけではなくて、事業者に任せて生成させた。事業者によっては2つのコード、IDとセキュリティコードを全く同じにしていたり、あるいは生年月日を生成に使っていたりと、ある意味少ない桁数で間違い起こらないようにというよりは、少ない桁数で間違いが起こりやすいような仕組みにもなっていた部分があるのかなと思うのですが、そういった点も含めて、マイポイントを付与したら全体に起こっていないかどうか調査は必要ないですか。

(答)これはもう決済アプリを使われる、あるいはインターネットバンキングをする、あるいは何かの時に、クレジットカードの番号を間違えれば、そこは3桁のコードで排除できるとか色々あると思いますが、オンラインで番号を入れる際というのは、これはもう何でも番号の打ち間違えの可能性というのはあるのだろうと思います。これは、今回のマイナポイントの付与に限らず、あるいは様々な決済アプリに限らず、インターネットバンキングに限らず起こることで、そこは入力を誤らないようにご注意をいただくということなのだろうと思います。

河野大臣: さきほど(公金受取口座のシステムの改修において)共用端末は3回かざしますということを申し上げましたが、共用端末だけプログラムを分けると開発に時間がかかるので、とりあえず全部一括で3回かざさないといけないようにするかという検討もあるようなので、先ほどは自分でやるときは2回ですと申し上げましたが、そこもスピードアップをするために一時的に3回しないといけないかもしれないので、そこのところはもう少し検討してどうなるか確定したところで、もう一回ご報告したいと思います。

(以上)