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河野大臣記者会見(令和5年5月12日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年5月12日(金)11時02分から11時28分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

今週5月10日、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」が成立いたしました。

今回の改正は、近年、インターネット上の広告が増えており、不当表示の疑いのある情報も増加しておりますので、不当表示を取り締まる法律であります。この景品表示法の対応力を高めるための法整備ということになります。

具体的には、まず、事業者の自主的な取組として、優良誤認表示の疑いのある表示をした事業者が是正措置計画の認定を受けたときは、措置命令、あるいは課徴金納付命令の適用を受けないこととする確約手続を導入することといたしました。また、違反行為に対する抑止力の強化として、10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、課徴金の額を1.5倍に加算する規定を新設すると同時に、優良誤認表示・有利誤認表示に対して、直罰の新設をいたしました。一部を除く主要部分については、1年6カ月を超えない範囲で施行することになっておりますので、政令運用基準の整備、その他必要な準備を進めると同時に、周知・広報をしっかりやっていきたいと思っております。

2つ目、電気の規制料金値上げ申請に関しまして、4月27日から、経済産業省から消費者庁に協議が行われ、今月2日、8日、10日の3日間にわたりまして、専門家とともに経済産業省からヒアリングを行いました。

協議プロセスの中で、このような会合を公開で行ったのは初めてで、一連のやりとりを公開したことで、消費者にも今回の電気料金値上げの問題点、経済産業省のスタンスなどについて理解いただいたのではないかと思います。消費者庁として最大限迅速に対応するという思いで、会合は尋常ではないペースで開催いたしました。アドバイザーの皆様のご協力、経済産業省の対応に感謝申し上げたいと思います。

その中で新たな検証が行われ、例えば中国電力管内での公共入札の案件の落札者の実態から、関西電力が2018年に100件を超えて落札していたものが、2019年2月以降に0になっているというカルテルの顕著な影響があった。2019年に限ってみれば、高負荷率の需要家を中心に中国電力の落札価格が高くなっている、あるいは修繕費や委託費にかかる調達に関して、競争入札の割合が1桁と極端に低く特命調達が大半を占めている。こういう状況が確認されました。

その結果、当初、経済産業省は、カルテル及び不正閲覧は規制料金には影響ないとしておりましたが、この3回の協議の中でそうした姿勢が変わり、協議において不正事案の影響が検証されることになりました。

また、その中で電力会社全体の問題として、高コスト体質であるということ、極めて高い特命発注率に示されるように、体質において構造的な問題を抱えている、あるいは自由化によってもその高コスト体質が変わらなかったために、競争環境での価格競争を避けるためにカルテルが行われたということが推察されるということですので、カルテル及び情報漏えいは規制料金にも影響があったとの前提で査定を行う必要があるということを確認いたしました。一方で、現在の電取委の査定の方法・体制では、こうした影響を定量的に評価・推定する能力がないということが明らかになりました。この規制料金の問題につきましては、ここで挙げられた課題の解決が前提となるということでございます。

電力市場における競争環境整備に向けた諸課題に関する消費者委員会の答申がございました。これは昨年10月、消費者委員会に対して、電力市場における競争環境整備に向けた諸課題について諮問を行っていたところ、委員会から答申をいただきました。

主な内容として、電力の制度は消費者にとって複雑で分かりにくいということから、電力会社や経済産業省は消費者へ分かりやすく丁寧な情報提供をすべきということ、送配電事業者の所有権分離、あるいは発販分離をしっかりと検討する、さらに、今般の一連の電力会社の不正事案は、消費者の信頼を失墜させたことから、各社において信頼回復に向けた最大限の取組をすべきと同時に、この電力・ガス取引監視等委員会の監視機能を強化する。さらに行為規制、罰則強化を含めた更なる対応が必要だということでございます。

国家公務員制度担当大臣として、今通常国会における「国会対応業務に関するデータの集計」についてお知らせいたします。

今通常国会では、5月15日以降に開催される委員会を対象として実施いたします。前回把握した委員会のセット日時、質問通告時刻、最終答弁作成着手可能日時、全ての答弁作成作業が終了した時間、これに加えて、質問取りの実施方法について、オンラインのレクだけでなく、対面レクの状況などについても把握したいと思います。最終の答弁作成着手可能日時というのは、平たく言うと、最後の質問が判明した時刻ということです。

今回のデータ集計によって、国会対応業務の現状をしっかり把握すると同時に、昨年の臨時国会からどう変化したか、これを分析し、それぞれの役所の作業の効率化の好事例を展開することなどによって、この業務の改善に取り組んでいきたいと思っております。

また、今年の3月末の予算成立まで開催されました参議院の予算委員会について、最終の答弁作成着手日時、つまり最後の質問が判明した時刻を調べておりましたので、その結果をお知らせいたします。最後の質問が判明した時刻は平均すると18時24分、一概に比較はできませんが、昨年の臨時国会では19時13分であったことと比較すると、早くなってはいるのですが、最後の質問が判明した時間がもう既に定時を超えて、この時点で残業になるということでございます。

霞が関の職員からは、全般的に今通常国会、通告の時間が早くなっているという実感がある、そういう声も出ておりますので、引き続き立法府にはご協力をお願いしていきたいと思います。

2.質疑応答

(問)冒頭にございました規制料金の件なのですけれども、大臣、発言の中で電取委の現在の査定方法では、こうした影響を定量的に評価する能力がないというふうにおっしゃいました。具体的に、今後どのような方法を考えてらっしゃるのかということと、今後規制料金の協議、消費者庁として応じることになると思うのですけれども、今後はどのように臨んでいくかというのをお伺いさせてください。

(答)残念ながらカルテルあるいは不正事案の影響があるということは確認されましたが、それを定量的にどう評価するのかというのは、今の電取委の能力ではできないということでございます。それは、今後、電取委の能力をしっかり強化をするやり方を考えていかないといけないと思っておりますが、今回問題として電力会社が自由化されても高コスト体質が変わらなかった。その他、いろいろな問題があることがわかりましたので、この問題の解決ということが前提となるわけです。しっかり協議を進めていきたいと思っています。

(問)国土交通省の天下り問題についてお伺いします。火曜日の会見で、内閣人事局に取り組むよう指示をしたというふうにおっしゃいましたけれども、具体的にどういう取組を想定していますでしょうか。

(答)先日の衆議院の内閣委員会で指摘のありました日本証券金融株式会社、こうした事例がほかにないか今調べさせているところです。

(問)今の質問に関連しまして、2017年の衆議院予算委員会の議事録を調べていましたら、大臣、当時文部科学省の天下り問題をめぐって、「役人OBによる斡旋が抜け道になっております。役人OBの斡旋も禁止する必要があるのではないか。」というふうに大臣ご発言しておりました。今回の国土交通省のOBによる民間企業への人事介入問題について、今の天下り制度に関する制度の不備について、大臣、お考えがあれば教えてください。

(答)当時は文部科学省の職員が、再就職に関する規制を逸脱する目的で、OBを介して組織的な関与を行っていた極めて悪質な斡旋規制違反でした。今回は、職員のOB、今これは国土交通省の方で調べていると思いますが、民間人としてのOBのことですので、これは文部科学省の悪質な事件とは分けて考えるべきだと思います。

(問)マイナンバーカードを使ったコンビニの証明書交付サービスでの誤交付事案について伺いたいんですけれども、先日システムの一時停止と再点検を要請してますが、進捗状況について富士通Japanからどのような報告を受けていますでしょうか。

(答)富士通Japanからは、システム運用の一時停止を含めて再点検に関して自治体に協力依頼を行ったと報告を受けているところでございます。速やかに徹底した再点検が行われて、同じことが起きないことを期待したいと思います。

(問)それは約200弱の自治体、全てで停止をして、再点検をするということなのか。大臣としては、いつ頃までにこの再点検を含めて終わらせてほしいと考えていますでしょうか。

(答)これは早いに越したことはないと思っておりますが、二度とこうしたことが起きないというのが大事ですので、徹底的な再点検をするための必要な時間というのをしっかり確保した上でやっていただきたいと思っております。

(問)自治体の数としては、関係する全ての自治体を一旦止めるという話になっているのでしょうか。

(答)それは自治体の判断だと思います。

(問)マイナンバーカードのトラブルについてお伺いしたいのですが、マイナンバーカードと紐付けた保険証を病院で利用したところ、別人の情報が紐付けられてたっていう事案が、我々の取材の中で確認されまして、マイナポータルで他人の住所だったり、連絡先も見れたということなのですが、何でこういうことが起きてしまったのか、その仕組みだったり、改善策、例えばどこに相談していいのかなど大臣のご意見をお願いします。

(答)これは、マイナンバーと保険証の紐付けの問題と認識しております。この件については、厚生労働省が今対応していると承知しておりますので詳細は厚生労働省にお尋ねいただきたいと思います。

(問)仕組み的に何かデジタル庁がというところも今のところはないということでしょうか。

(答)はい。これは保険者が誤ったマイナンバーを登録したと承知をしておりますので、事務的な保険者の手違いということが原因と認識しております。詳細は厚生労働省にお尋ねいただきたいと思います。

(問)国会業務対応について、国会業務、前回よりも大分質問の提出時間が早くなっているということで、この辺に関する大臣の受け止め、コメントをいただけないでしょうか。

(答)霞が関の職員から、この通常国会、全般的に通告が早い気がするという声も寄せられておりますが、他方で、平均の時間がもう既に残業時間になっていたり、それからもう一つは、働き方改革という時に、やっぱり働き方の予見性、つまりフレックスタイムをやろうとか、あるいはテレワークをやろうという時に、その先々の業務の予見性というのがないと、そうしたことがやりづらいという声も出ておりますので、引き続き、立法府のご協力を仰ぐ必要があるかと思っております。

(問)今国会での委員会とかの調査をこれから行うとのことですが、これは与野党別の時間とか、そういうものというのはやる方針は今のところないということでよろしいでしょうか。

(答)基本的に前回と同じと思っていただいていいと思います。

(問)冒頭の景品表示法の改正についてなのですけども、今回、かなり厳しい改正かと思うのですが、これまでなかなか不当表示が減らない傾向にあったのですが、今回の改正に対する大臣の期待感をお聞かせください。

(答)今回は直罰規定を入れました。あるいは優良誤認表示の疑いのある表示の場合には、確約手続ということもできるようになりましたので、その効果をしっかり見ていきたいと思っております。

(問)景品表示法は広告代理店とか、インフルエンサーとか、その間の人たちを規制できないのですけれども、この辺がちょっと弱いんじゃないかという指摘がずっと以前からあるのですが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

(答)直罰規定を設けました。ですから、有利誤認とか優良誤認であるということをわかっていて、不当表示をやっていることを知って、それに加担をしていれば、共犯ということにもなり得るわけでございますので、そういう意味ではインフルエンサーを始め、気をつけていただかないといけない、抑止力になるのではないかと思っております。

(問)景品表示法は、広告主しか規制対象にはならないのですが、今回の改正で故意に優良誤認・有利誤認表示を行った事業者への直罰規定が導入されたことで、刑法で共犯が問われた場合は、インフルエンサーやアフィリエイター、あるいは仲介業者などに対しても直罰規定がかかるという認識でいいというご説明と理解してよろしいんでしょうか。

(答)はい。おっしゃるとおり、この優良誤認・有利誤認を行っている者と、インフルエンサー、その他の方が共同して犯罪を実行している、そう評価できる場合は、このインフルエンサーも共犯として直罰の対象となり得ます。

(問)10月からステルスマーケティングが指定告示で禁止されても、全く規制対象にならないという中で、大変大きな警告になると思いますので、広く周知していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(答)はい。広く周知に、よろしくお願いします。

(問)冒頭の規制料金に関することなのですが、そこで電取委の査定方法では、カルテルの影響を、定量的に効果を測定する能力はないというふうにおっしゃっていましたが、前提として、大臣のお考えとしては、カルテルの影響は定量的に推定することができるという考えの上で見ているということでよろしいのでしょうか。

(答)消費者庁との協議の中で、当初は別物という話、影響がないという話から、影響があったよねということになりました。ただ本来は、その影響がどうなのかというのが評価されるべきだと思いますが、それは困難であるというのが、どうも今の現状のようです。

(問)今、そういう現状だけれども、いろいろな調査をすれば、いつかそういう定量的な効果の測定ができるというふうにお考えの上での発言ということなのでしょうか。

(答)そこはしっかり調べると、評価はできるのではないかと思います。

(以上)