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河野大臣記者会見(令和5年4月29日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年4月29日(土)16時30分から16時55分まで 於:群馬高崎Gメッセ)

1.発言要旨

昨日、官民の公式イベント、DXサミットがありましたが、私は国会の都合で出席できなかったので、サイバネティック・アバターが出席をしまして、私よりいろいろなところから招待状が来ているようでございますが、今日は私が出席いたしました。

午後から私が議長を務めました、「データの利活用とDFFT」のセッションがありました。その前にカナダのビロドー次官補、イタリアのヴァレンティーニ副大臣、アメリカのフィック・デジタル大使とそれぞれ会談しました。

DFFTは、今年の最大の成果たり得るものだと思いますが、各国と個別の調整を経て具体化に向けたプライオリティ、データローカライゼーションへの対応、ガバメントアクセスの信頼性の確保、規制協力、データ連携、この4つの柱、それからマルチステークホルダーでの問題解決志向のアプローチということ、それからこのプライオリティを実行するための国際的な枠組みの設立、この2つについて、真摯な議論を行って合意に向けて確実に近づいていると思っております。

仮称IAPですが、この国際的な枠組みでは、データの越境移転をするときの課題の解決につながるための具体的なプロジェクトをやるということにしておりまして、日本からはデータ移転に関する規制の国際的なデータベースを作ろうと、それからもう一つは、俗にPrivacy Enhancing Technologies、PETsと言われているような新しい技術の活用を容易にするための規制のサンドボックスを作ろうということを提唱しております。各国との間で具体的なアクションについて、いろいろなアイデア出しの要請もしておりますが、いろいろ前向きな議論ができたと思います。

このDFFTと国際的な枠組みの設立は、岸田内閣としても非常に高いプライオリティでやっているものでございますので、明日の閣僚声明と附属文書の合意に向けて、最終的な調整を行うとともに、広島における首脳によるコミットメントに向けて各国の協力を得られるように、引き続き努力をしていきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)今回の議論の中で、特に各国の中で意見が分かれた点、もしくは分かれている点はどういったところだったのか。そしてそうした中でも各国の主張はどういったものだったのか伺わせてください。

(答)データに関する規制は、よく知られていることですけれども、それぞれ国・地域によって力点が違います。ヨーロッパにはプライバシーあるいは人権への配慮というものに非常に重きを置いたGDPRというものがあります。他方、アメリカはどちらかというと、データの自由な流通に重きを置いているという、そもそもの各国の伝統といいますか、考え方の違いがある中で、それぞれが規制を作ってきたというところがあります。それを「一つのルールでやろう」というのは非常に難しいのが現状だと思いますが、そうは言いましても、やはり財やサービスのように国境を越えてデータが移転できなければ、国際的な経済発展の妨げになるというところで、DFFTは大筋みんな向いてる方向は同じだと、後は、様々な細かいところで、それぞれの依って立つところの違いから、どこまで一つになれるかというところだと思います。だから、元が違うものをどう一つにするかということなので、何が対立をしているかというよりは、根の違う大木をどう植えて一緒にするか、ということではないかと思っています。

(問)今のお話に関連して、根の違うものを一緒に植える難しさというのを語られましたけれども、今日の議論の中で具体的にそういう難しさが現れた場面とか、そういうものがございましたでしょうか。

(答)DFFTは大事だよね、というところはみんな同じ方向を向いていると思いますし、27日(木)のTech7でも、ヨーロッパ、北米、日本それぞれの産業界は「これ早くやらなきゃ」という非常に強い期待がありましたので、全体的にとにかく向いてる方向は同じではないかなと思います。あとは、一生懸命交渉をやります。

(問)国際的な枠組みの設立についてですが、合意に向けて近づいてきていると冒頭のご発言がありましたけれども、今日のセッションを終えた時点で、設立については方向性としては一致していると現状は言えるのかどうか、教えていただけますでしょうか。

(答)近づいていると。

(問)バイ会談のことで伺いたいのですけれども、どういう話を今日されたかというのと、特にイタリアについて、Chat GPTの使用禁止を解除すると、イタリアの当局が発表しましたけれども、この点について、今日はChat GPTに関してのやりとりはありましたでしょうか。

(答)カナダ、アメリカ、イタリア、それぞれバイ会談の中で、DFFTの話とAIの話は3カ国それぞれ共通して出てきたと言っていいと思います。特にイタリアは3月末に最初にヨーロッパの中で声を上げた国ですので、いろいろやりとりをさせていただきましたが、先方からの話は私から申し上げるのは控えたいと思います。

(問)DFFTをめぐる今日の議論について伺いたいです。今日の会合の前と今日の会合の後で、各国の態度や認識に、実際会って話してみて、変化というものがありましたでしょうか。また、今日3カ国とお会いになって、そのバイ会談でのDFFTをめぐる、河野大臣が説明もされたと思うのですけれども、それを受けて相手の国も何か変化のようなものを感じておられましたでしょうか。

(答)大きな空母が港に着くような感じでだんだん近づいてきている、そういう感じだと思います。

(問)会合前と後の変化みたいなものはいかがですか。

(答)あまり細かいことを申し上げるのは避けますが、幅はどんどん狭くなってきていると思って良いのではないかと思います。

(問)DFFTに関して、産業界もかなり最近になってすごく期待が高まっているなというような印象を受けるのですけれども、2019年に総理が提案してから4年間ですか、最近になって、その期待であるとか、それに関連したプロジェクトがスピードを持って進んでいるのかなというような印象を受けるのですけれども、G7の国々の代表の方々もこのDFFTに関しての期待であるとか、プロジェクトをどんどん進めようというような態度であるとか、以前と比べて前向きになっているというふうにお考えでしょうか。もしそうであれば、なぜ今になってか、大臣どのようにお考えかお聞かせください。

(答)2019年にDFFTというものが提唱されて、一昨年のイギリス、それから去年のドイツと、確実にステップを踏んできました。確実にイギリス、ドイツとステップを踏んだ、その次の議長国が日本だったものですから、日本としてはここでとにかく決めようと、国際的な枠組みの設立もエンドースしてもらおうということで、1月にヨーロッパ、アメリカに私も回ってきて、今年のG7のデジタル・技術大臣会合で合意をして、広島で首脳のエンドースメントをもらうぞ、という日本の思いみたいなものを伝えてきましたので、何となく、この日本の議長国の年に、やはりこれはある程度の結論を出すべきだというコンセンサスができたのではないかなと思います。当初は4月末って先だよねと思っていたのが、だんだん切羽詰まってきてみんな寝られなくなったみたいなことがありますが、産業界としても国境を越えたデータの移転、例えば「一生懸命、車を走らせて自動運転のためのデータを取ろうと思ったら、いきなり持ち出しダメと言われてどうしよう」というようなことも現実に起きていますし、アメリカとヨーロッパの間でプライバシーシールド、EUの裁判所で「違うぞ」と言われてみたりというので、やはりこの問題、いざという時に産業界もいきなりハシゴを外されかねないというところもあると思います。それから最近の生成AI、やはりデータ入れなければAIだってAIにならないわけですから、そうすると、AIの技術がこれだけ進歩している中で、やはりDFFTはAIにも関わってくるという、そういうものが集まってきて、このG7で、ということに産業界から期待は高まってきたのではないかと思います。

(問)今おっしゃっていただいたDFFTとAIの絡みなのですけれども、やはり大臣会合とか3カ国の代表とのバイ会談の中でも、特にDFFTとAIを絡めた議論はどれくらいあったのか具体的にお伺いできればと思います。

(答)AIと言っていますけれども、結局、ハードウェアの上にアルゴリズムを載せて、それにデータを入れるのがAIですから、入れるデータがインチキだとフェイクニュースになってしまうということもありますし、データの取扱いがちゃんとしていなければ、個人情報が守られず、プライバシーの侵害みたいなことが意図してか意図せざるか起きるということになったら、これはえらいことになりますので、今の生成AIみたいなものは、どういうデータをどういうふうに入れるか、あるいは入れたデータをどう取り扱うかというのが、やはり重要な課題の一つになってくると思います。その認識は多分みんなあって、AIでこうなったから、やはりDFFT、特にTのTrustの部分も含めて大事だよね、というのは、これはもうみんな共通認識として持っているのではないかなと思います。実際にそういうご発言もいろいろなところでありましたので、そこはやはり、さっきも申し上げましたけども、産業界もAIがこういう発展を遂げる中で、やはりDFFTが大事だよねっていうのが再認識されたと思っております。

(問)G7各国もAIやデータの取扱いについて意見は違えど価値観を共有する民主主義国ということで一致して、同じ価値観を共有していると思いますけれども、中国なんかを念頭に置いた上で、今回G7が集まって話し合う意義について教えてください。

(答)前回のアメリカの大統領選挙あたりから、ディスインフォメーションみたいなものが、特に国境を越えて外国からのディスインフォメーションというものが、やはり大きな課題になり、民主主義に対する脅威になってきたという認識の中で、人手をかけてやるディスインフォメーションとAIを使ってやるディスインフォメーションは、量の観点からいえば、比べものにならないわけで、そういう意味でG7みんな自分たちの選挙に意図せざる外国からの脅威みたいなものが、どういう形でAIを使ってくるのだろうか、それをどういうふうに食い止めるのか、ということが、バイの会談などをやっていても、みんな頭の中には共通認識であると思いますし、G7に限らず、民主国家はみんな多かれ少なかれこの脅威にどう対処したらいいんだというのは、「みんなで考えよう」という雰囲気になってきていると思います。

(問)招待国についてお聞きしたいのですが、今のお話に関連して、大臣が1月にダボスに行ったとき、ウクライナの副首相に直接、今度のG7会合に来てほしいとお声がけして、今回は次官の方がいらっしゃって。後は以前からグローバルサウスと連携を訴えていらっしゃって、インド、インドネシア、今回いらっしゃいますけれども、3カ国と招待機関などを呼んだことの意義、あるいは手応えみたいなものについて教えてください。

(答)今回のロシアの侵略の直前にサイバーアタックがあり、ディスインフォメーションがあり、フェイクニュースが拡散されたということがあります。G7とウクライナとの連帯を象徴する意味でも、ウクライナをお招きして、フェドロフ副首相がデジタル担当大臣ですから来る予定でしたけれども、彼は政府の軍事作戦を統括する会議のメンバーでもあって、諸般の事情で本人も来られないので次官に来ていただきました。数日前にオンラインで協力覚書の署名式なども行いましたので、またいつかお招きしたいと思っています。インドはG20の議長国ですし、インドネシアはASEANの議長国ということで、G20、ASEANとの連携を図る、それはグローバルサウスの代表としてその2つに来ていただきました。そういう意味で、今度の国際的な枠組みもG7で合意をしますけれども、呼びかけ先はグローバルサウスを含め呼びかけていこうと思っておりますので、今回来てくれた3カ国に限らず、声をかけていきたいと思っています。

(問)10月にIGFが日本で開かれますけども、インターネットガバナンスをめぐる日米欧の民主主義国家と、権威主義国家、グローバルサウスと、いろいろ対立が深まっていると思うのですけれども、そういう状況の中でこのDFFTが確立されることによって、大臣もデータローカライゼーションに対抗するというようなことをおっしゃっていましたけども、どのような意義があるのか、どういうことを期待されているのか教えてください。

(答)その会議は私じゃなくて、私のアバターに声がかかっているみたいですけれども。もともとインターネットというのは、世界をつないでいたものが、最近はインターネットじゃなくて、スプリンターネットだと言われるような分断が起き始めている。メタバースに関しても、独自のルールみたいなものを適用しようとしている国も出ていたり、このデジタルディバイドというものが国、地域の間に溝を掘るようなデジタルディバイドになっているというのは、せっかくの技術で世界をつないでいた、世界の人々をつないでいたというものからしてみると、すごく残念だなと思っております。そういう中でやはりこのグローバルサウスと一緒に、少なくともデジタル的な要素を共有化していきたいと思っておりますし、また先ほど申し上げたディスインフォメーションとかフェイクニュースに対抗する意味でも多くの国と連携をして、それにどう対処するかというのがやはり大事になってくるのだろうと思いますので、物理的なインターネットのレジリエンスの問題から、その中を飛び交うデータの問題、さらにはそのデータを使うAIの問題、いろいろなレベルがデジタルの中にありますから、それぞれのところでしっかり議論していかないといけないのかなと思います。

(以上)