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河野大臣記者会見(令和5年1月20日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年1月20日(金)11時35分から11時57分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

久しぶりの会見になりました。8日から昨日までフランス、ベルギー、アメリカ、イギリス、ドイツ、それからスイスで行われたダボス会議に出張いたしました。

出張の内容は、今年のG7のデジタル・技術大臣会合で、DFFTを中心に色々な議論をするわけですが、デジタルに関連する閣僚、それから企業を始めとする有識者と、DFFTの具体的な推進方法について意見交換をしてまいりました。

欧州はGDPRなどでプライバシーを重要視し、アメリカはデータ流通を重要視する。やや両極端のところに日本がしっかりとリーダーシップをとってこのDFFTをまとめていきたいと思っております。かなり様々な方と本音ベースの議論ができたのではないかと思っております。

国境を越えた国際的なデータ流通を現実的に進めていくためには、相互運用性、それからデータのルールに関する透明性を高めることが大事だと思っております。ヨーロッパのGDPRとアメリカが同じルールになるというのは、短期的には考えにくい中で、各国それぞれの規制を尊重しながら、透明性を高めて、中小企業でも諸外国に出ていくときにデータに関して何をやらなければいけないのか、ということをきちんと理解できるようにしていく。そうしたことを通じて、相互運用性を確保するということが大事だと思っております。マイナンバーと欧州のデジタル・ウォレットの相互運用性とか、電子インボイスとか、様々あるのだろうと思います。

それから新しい技術によるイノベーションの促進、技術の標準化についても様々議論がありました。5G/Open RAN、AI、量子コンピューターこうしたものの技術標準化や推進ということについて、しっかり議論をしていきたいと思っておりますし、グローバルサウスとどう向き合うか、どう対応していくかということも大きな議論になりました。

日本は、G7、唯一欧米の外の国ですから、アジアを始めとするグローバルサウスの考え方をG7にしっかり届けるという役割を果たしていくのが大事だと思います。

DFFTを実際に推進していくために、一回限りの対話というのは色々行われてきましたので、具体的にDFFTを推進するプロジェクトを実行していくための枠組みを作ろうと、その枠組みにはきちんとした事務局を置くことが必要、それから、政府だけでなく、企業・研究機関・大学といった利害関係者もきちんと入ってもらうということが大事だと思います。かなり日本の提案に賛意を得られたのではないかと思っております。

まずは中小企業がお互い海外に進出するときに、それぞれの地域や国のデータに関する色々なルールがありますし、ころころ変わるものですから、これを常に把握できるような国際的なベースレジストリをまず構築するところからスタートしようということで賛同を得られたと思っております。その他、色々な議論もありました。これが1つ目です。

2つ目。国会対応の業務、臨時国会で色々調査いたしました。国家公務員の人材確保のための長時間労働の是正ということで、国会の対応業務というのは非常に負担感が大きい業務の一つですので、具体的な調査を行いました。

各府省のとりまとめの結果を見ますと、国会業務に関して、例えば委員会の前日、答弁作成に着手可能となった時間の平均が夜7時54分、全ての答弁作成時間が終了した時間の平均が朝2時56分。答弁作成に要した時間の平均が7時間2分ということになっておりました。

また、国会議員からの質問通告が委員会の前々日正午までにあった件数は全体の19%。また前日の夜6時より通告が後になったのが、全体の6%。多くの通告は前々日の正午から前日の夜6時までの間でしたが、夜6時に通告いただいても、勤務時間中には答弁の作成ができません。

昨年の寄附の不当勧誘に関する法案でも、かなり早い段階に質問通告をいただいて、消費者庁としっかり議論をして、答弁をできるケースもありました。早く通告をいただければ、答弁についてもかなり余裕を持って、それまでの答弁を変えるとか、そういうこともできますが、前日の夜に通告が出たものは、そのようなことはなかなかする時間がありませんので、議論の質を高めるという意味でも通告時間が早いのは大事だと思っております。

また、オンラインレクの割合は、全体の7%しかありませんでした。オンラインレクについては、これからもお願いをしていきたいと思っております。やはり通告が早い場合ほど、オンラインレクの割合が高めでした。

持ち時間と質問の数についても調査を行いました。また、それぞれの役所の中で、答弁の作成から完了まで、かなり時間がかかっているところもありますので、役所側の効率化というのも大事だと思います。また、国会では連絡先にファックス番号ではなく、メールアドレスを記載してもらったり、ファックスからの脱却に向けた取組に着手してくださっていると聞いておりますので、これは非常にありがたいことだと思っております。

また今回の調査結果につきましては、国会対応業務の改善を通じて、超過勤務の縮減に向けた取組を人事院も始めておりますので、人事院にも提供していきたい、また、関係各方面のご理解・ご協力をお願いする際に、活用してもらいたいと思っております。

今年の通常国会においても、今回と同程度の調査期間を定めて調査を行うこととしたいと思っております。

2.質疑応答

(問)今朝、官邸に入る際だったり、閣議の頭撮りのときに、大臣はマスクを外しておられたんですけれども、それはいわゆる脱マスクなどのお考えがあってのことなのでしょうか。また、閣議の際にもマスクは着用せず、そのまま臨まれたのでしょうか。お伺いできればと思います。

(答)マスクしていなかったかしら。すみません。忘れていたんだと思います。

(問)マイナンバーに紐づく公金受取口座の登録についてなんですけれども、国民の不同意がなければ同意とみなす制度、仕組みについてなんですが、この制度の現在の検討状況でしたり、来週から始まる国会における対応、またこういった仕組みを導入する場合の意義や課題について大臣のお考えをお聞かせください。

(答)公金受取口座の登録の促進につきまして、去年11月のワーキンググループで、行政機関等が口座情報を持っている場合に、国民の皆様にお知らせをして、同意しないという場合を除いて、それを公金口座に登録する制度。これを有識者にご議論いただいております。

こうした制度を含めたマイナンバー法等の一部改正法案について、通常国会への提出に向けた準備を進めているところです。公金受取口座の登録をしていただくと、緊急時の給付を迅速に行うことができますし、一々口座番号をもらってそれを確認するということが必要なくなりますので、給付事務が簡素化されます。そういう意味で公金受取口座の登録の推進をしっかりやっていきたいと思っております。今、行政機関等が持っている口座を勝手に登録するのではなくて、「この口座を登録していいですか」というお知らせをした上で、「しないでください」と言われなければ、登録をするというような制度について議論をいただいておりますが、しっかり個別に連絡をする、そういう丁寧な手続きを踏んでやろうと思っております。

(問)大変ですけれども、丁寧な手続をしていくということで、特に課題は今のところはなさそうということで、よろしいでしょうか。

(答)はい、大丈夫だと思います。広報はしっかりやっていきたいと思います。

(問)国会対応の質問の答弁作成時間の件なんですけれども、問題の一つは、質問通告の遅さにあるとは思います。大臣、諸外国の例なんかも、かなりお詳しいのかなと思っているんですけれども、これだけ働き方改革であったりだとか、そういったところオンライン化が進んでいる中で、世界基準で見るとかなり遅れていると感じるんですけれども、大臣が考える根本的な問題として、大きな改善に向けた方策というものが、お考えがあればお聞かせください。

(答)国会があるから自動的に残業が確定するみたいなことは非常に働き方改革の観点からもよくないと思いますので、しっかりと答弁作成が業務時間内にできるような時間に通告をしていただくのが大事だと思っておりますので、政府から、それから人事院から国会の方に引き続きご協力のお願いはしてまいりたいと思っております。また政府側として通告をいただいてから答弁がきちんと作成完了するまでの業務の効率化というのも大事だと思いますので、そこはしっかり各省、良いやり方は横展開をできるように、各省こういうやり方をやっていますというのは、しっかり内閣人事局を通じて横展開をするようにしていきたいと思っています。

(問)質問通告がそもそも前日の午後6時以降になることが6%あったということですが、質問通告がこの遅くなってしまうことの原因というのは、どういったところに要因があると、大臣はお考えでしょうか。

(答)そうしたことについても把握していきたいと思っております。一つは、委員会立てが前日に理事会で決まると、それはそこから質問ということになりますので、国会の運営にも関わってくることでございますので、政府としてはしっかり国会にお願いしていきたいと思います。

(問)外遊に関連してなんですけれども、大臣冒頭ご発言あったDFFT推進のための国際枠組みについて伺わせてください。様々のバイ会談等もあったと思うんですけれども、各国の閣僚の方たちからのこう受け止めと、こういう組織にしたいみたいなところで、何か意見みたいなのがあったら、ご紹介いただけますでしょうか。

(答)概して賛同いただいたと思っております。他の機関とこの新しい組織のプロジェクトが重複しないようにというところは、我々も気をつけていかなければいけないと思っております。政府だけでなく、民間からも企業・研究者・大学などの声も入れていくのが大事だと思いますが、その際、余り人数が巨大になっては、動きがとれなくなりますので、どれぐらいの規模感にするのか、あるいはメンバーでなくてもヒアリングなんかで声を聞くこともできると思いますので、そうした切り分けをどうするのかというような問題提起がありましたので、我々もそこはその通りだと思いますので、4月に向けてもう少し具体的にそこは意見交換しながら詰めていきたいと思います。

(問)冒頭のご発言の中で、データのルールに関するベースレジストリの構築に取り組むっていうことをおっしゃっておりました。これはDFFT推進のための国際枠組みの中で進めるということなのか、それともまた別の流れでやろうとされているのか、そこら辺をお願いいたします。

(答)DFFTのための枠組みのプロジェクトの一番最初が、この各国各地域のルールの透明性を高めていこうということですので、そこでこの国際的なベースレジストリの構築というのを、最初のプロジェクトとしてやっていきたいと思っております。

(問)冒頭のベースレジストリについて2点を教えてください。この中小企業の海外進出を対象に、結構限定されている、すごく有用性があるのだなと思うんですが、これは大臣からご提案されたものなのか、皆さんとお話ししている中で出てきたものなのか、教えてくださいというのが1点です。もう1点が、実現するとしたら、結構、中小企業の方は今すぐにも多分使いたいものだと思うんですけれど、いつぐらいからどういうような形で、実際に実務的に企業の方たちが使えるような形になるといいなという想定があるのか。その2点教えてください。

(答)まずこの枠組みで何をやろうかというのは、日本側から提案を幾つかさせていただきました。このベースレジストリのようなすぐにやりたいもの。それから立ち上がってもう少し相談しながら詰めていきたいもの。色々な提案をいたしましたが、このベースレジストリについては「そうだね」という声が多かったと思います。中小企業だけでなく、大企業にももちろん使っていただいて構わないわけで、対象を中小企業に絞っているわけではありませんが、大企業はデータに詳しい法律事務所と契約をしたり、あるいは弁護士を雇ったり、リソースがありますから、自分で調べるということも当然できるわけですが、中小企業にはそんな余裕もありませんし、かなりそれぞれの国で色々なルールができたり、あるいは裁判所の判決が出たりということもあって、網羅的に中小企業をやるのはなかなか厳しいと思いますし、また色々な研究者が海外で共同研究をやろうとか、あるいは海外のデータも使ってやろうというようなときにも、データの問題というのは当然出てきますので、色々な人がデータを扱う際に、参照できるものというのは必要だと思います。日米欧だけでなく、色々な国の色々な企業、色々な研究者に使っていただけるようなものを作りたいと思っていまして、まずデジタル大臣会合で議論をして、首脳会合でエンドースしてもらって、24年ぐらいから枠組みが立ち上がっていくということになると思いますので、そこからこのベースレジストリの取組というものを加速化していきたいと思っています。

(問)質問通告の件で、質問通告の遅さの点があったと思うんですけれども、これは与党と野党、どちらが遅いとか、そういうデータってとっていらっしゃったりとかするんでしょうか。

(答)そこまで今回はまだやっておりません。全体の平均をとっています。

(以上)