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平井大臣記者会見(令和3年6月18日)

平井デジタル改革担当大臣記者会見要旨

(令和3年6月18(金)10時33分から11時04分まで 於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

今日は私からは4点、皆様方にご報告させていただきます。

まず、先ほどの閣議で決定しました案件です。本日、昨年7月に閣議決定されたIT戦略を全面改定して、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定しました。

これは、本年9月のデジタル庁の創設を待つことなく、新法に基づく、デジタル社会形成基本法、新法に基づく重点計画を先取りする形で、デジタル社会の実現に向けて迅速かつ重点的に講ずべき施策を明らかにしたものであります。

今回の重点計画では、デジタル社会の形成に向けたトータルデザインを示して、具体的にはマイナンバーカードの普及、ガバメントクラウドの整備、地方公共団体のシステムの統一・標準化のような「デジタル社会に必要な共通基盤の整備・普及」、マイナポータルの抜本的改善、情報システム整備方針の策定、準公共分野のデジタル化の推進などの「徹底したUI/UXの改善と国民向けサービスの実現」、「包括的データ戦略」に基づく官民のデータ資源の利活用の推進等を盛り込んでいます。

今後この内容も踏まえて、デジタル庁の創設後、年末までの間に各府省と連携しながら新法に基づく重点計画を政府として策定したいと考えております。まず、これが一つです。

次は、これは非常に重要なことなんですけれども、来週の25日に「公金受取口座登録法」における仕組みである「特定公的給付」として、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」を指定します。今回の指定は前にもここで説明させていただきました、第1弾の「子育て世帯生活支援特別給付金」に続く2番目ということになります。

この指定によりまして、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の支給事務を担う自治体は、関係機関との連携のもと、支給対象となり得る方に対して、あらかじめ申請の案内を送付することが可能になりました。

ですから、「あなたは申請することができますよ」という、言わば最初の段階でのプッシュということになります。また、支給事務を担う自治体においては、マイナンバーによる迅速かつ確実な受付、支給要件の確認のために必要となる他の行政機関における給付状況の確認が可能となります。

その結果、生活にお困りの世帯を対象とする最大30万円の自立支援金について、役所側の支給事務の効率化と給付のスピードアップが図られて、これは迅速な支援につながるということでございます。

今後も引き続き、国民の皆さんがデジタルによる利便性を享受でき、国民生活が豊かになるようデジタル改革に取り組んでいきたいと思います。

ですから、申請担当者の皆さんに連絡するということと、その後の申請手続がものすごいスピードになるということでございます。

次に、昨日の一部週刊誌において、私が内部の会議において、事務方に特定の企業への発注をしたかのような記事があったが、これは事実の根幹に関わる部分で異なる点があるために、お話しさせていただきたいと思います。

実は、ウェブで一部の方が参加している会議においては、IT室のサーバーに音源がありますので確認をしたところ、報道されているものが4月7日の会議のものであるということが分かりました、ということでございます。

そして、この会議では、入退室管理の顔認証システムの導入に当たって、いわゆる大手ベンダーのシステムに拘ることなく、ベンチャー企業を含めて新しい技術者のアイデアも聞いた上でいろいろと今後検討せよというふうに事務方に指示したと記憶をしております。

また、記事中にある「ACES」という事業者とは、複数の事業者の方々が勉強する、これは学生も含めて多くのエンジニアの卵みたいな方々と一緒に勉強会を、何回か参加させていただいた中でご一緒したことがあるかも分かりませんが、内部の会議の音声データを改めて確認しても、この会議の中で具体的な企業名を挙げたということは事実としてありません。

また、改めて週刊誌が配信している音声データを確認しましたが、非常に不鮮明な部分を意図的にテキストで補っているように思えるので、この辺りは皆さんも本当に聞いていただければと思います。我々も手分けして、私も何度も聞きましたけれども、皆さんにまず確認していただきたいと思います。

ただ、これは昔と違って今はデジタルの時代ですから、私の話したことに関しても、トレーサビリティが確保できるわけです。それと真正性の証明の確保という意味では、昔とは違うと思っています。

ですから、そういう意味で我々は元のファイルのデータを何度も何度も聞かせていただきました。これは職員総掛かりで聞きましたけれども、その音源の中には誰も企業名を言っていないんです。誰一人言っていないんです。私はもちろん、周りの方も誰一人言っていない、なのになぜこんなふうになってしまったのかというのは、私も大きな疑問があるところでございます。

なお、記事ではデジタル庁における入退出管理システムの導入に当たり、NECではなく特定の企業に発注することをしたかのような表現の箇所がありますが、NECについては、オリンピック・パラリンピック関係システムについて、そして、競技場の顔認証の話でありまして。ここでしていたのはデジタル庁の入退出に、もしかしたら顔認証が使えるのではないかという話なので、この2つの話は全く違うと思っています。

デジタル庁の入退出管理システムの導入に関しては、技術動向を幅広く情報収集すべきだという指示は出しましたけれども、特定の企業とかそういうものを念頭にお話ししたことでは全くありません。というのも、研究室ではアルゴリズムをやっている学生をはじめ、たくさんいらっしゃるんです。そういうすばらしい皆さんの、アルゴリズムの研究者の皆さんの力が、どこかで国益につながったらいいなという思いはどこかにあったと思います。このように昨日の記事は一般の読者に対して意図的に誤解を与えようとするものと考えておりまして、昨日出版社には訂正または記事の全体の削除の抗議をさせていただきました。

ですから、私としては、念頭にもない、発言もしていない企業が何らかの形で巻き込まれてしまったことに関して大変申し訳ない気持ちがあります。その意味でも、是非皆様方にも本件に関しては、是非皆さんの目でチェックをしていただくことをお願いしたいと思います。

次に、5月18日の会見において、デジタル庁発足時のスタートに向けて、職員の規範遵守を確保するためのコンプライアンス委員会及び望ましい調達制度等の在り方について有識者検討会を検討することについて報告をさせていただいたと思います。

デジタル庁は公務の公平性を確保し、国民に疑念を抱かれることなく、国民の信頼を得ていく組織でなければならないということを私は何度もお話しさせていただいています。

デジタル庁はスタートする前の現状にもし課題があるのであれば、それらを綺麗に精査して、また整理をした上で、疑問を抱かれない状態でデジタル庁のスタートを迎える必要があると考えています。

そのために、デジタル庁の発足を待つことなくコンプライアンス委員会を、可能な限り、できるだけ早く、前倒しして設置するように事務方に指示をさせていただきました。

今般の私の発言に関する報道を契機に、私自身発注の能力の向上と、調達の透明性の確保は極めて重要だと改めて認識しました。

ここで何度も、いろんな局面で言いましたけれども、やはり発注者側の能力がないと、発注者側がきっちりと今後は要件定義を行って、会計規範、会計法規等の調達ルールに基づいて調達を行うというのは、これは当然のことなんですが、特定のベンダーとの癒着とか、調達担当者自身や特定の事業者への利益誘導が行われることのないようにする必要があると考えています。

そのため、デジタル庁発足を待つことなく、コンプライアンス委員会を立ち上げて、公務の公正性の確保に関する検討を進めていくということになります。

また、私を含め、政務や幹部を含む全ての職員を対象に、徹底的に研修を行いまして、意識を高めていくということが非常に重要だと考えています。いずれにせよデジタル庁への移行を見据えて、コンプライアンスのためのルールや体制を整備して未然防止や自浄作用を健全に機能させていくことが必要です。

その意味で、外部の弁護士、公認会計士等、民間人材からなるコンプライアンス委員会において、これは内部の職員も入るとは思いますが、外部からの目線でコンプライアンスに取り組んでいくことが非常に重要だと思っています。

コンプライアンス委員会が立ち上がったら、先ほど言ったことを含めて、今回、世間は非常に調達に関して興味を持っていただいていて、このことに関しては世の中にあまり理解されていないと思っているので、この関心が集まっている時に徹底的にコンプライアンス委員会に検証してもらって、何が駄目なのかということも明確にさせていただきたいと思います。

そうでなければ、9月1日にデジタル庁が順調にスタートできないと私自身は思っていますので、これを契機に徹底的にやっていただきたいと、そのように思っております。

私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、言った企業名の話なんですけれども、名前は出していないとおっしゃるんですが、一方で会話の中では東大の先生のお名前を挙げて、「一緒にやっちゃっていいよ」とか、「彼の抱えてるベンチャー、ベンチャーでもないな、ACE……」

(答)それは、学生さんもいるから、あそこは。

(問)「そこの顔認証ははっきり言ってNECよりは全然いい」と、いうふうにおっしゃっていますから、具体的な企業を念頭に置かれて話をされた……

(答)アルゴリズムです。要するに松尾研究室でアルゴリズムを研究している若い研究者がやっている最新のアルゴリズムは、もう相当進化しているよと、だから、今ある技術だけを見るなっていう意味で言っています。

(問)じゃあ具体的な企業を指して、あのベンチャーっていうふうに言っているんですけども……

(答)ベンチャーも育っているし、ベンチャーの卵もいるし、そして大手企業にもどんどん協力しているんです。松尾研究室はNECさんにも随分協力していると思います。

(問)わざわざNECをここで対象に、比較に出しておっしゃっているのはなぜなんですか。

(答)これは、オリンピックの話の減額の話なんです。その2つの調達を無理やりつけて、お話しになるのもいかがなものかと思います。

(問)オリンピックの減額の話の中で、デジタル庁の入退出管理の話が出てきて……

(答)まず、デジタル庁の入退出管理という調達は、まだないんです。正直に申し上げて、入退出管理は顔認証ではないんです、現状では、なので、いずれそういうのを検討するのであればということです。

(問)そこについてシステムを実験的に入れてくれてもいいよと、それで東大の先生の名前を出して、一緒にやっちゃっていいよと言っているわけですから、これからそういうのを発注しなさいよというふうに聞こえますけれども。

(答)本当にそういうふうに聞こえるっていうのは、余程そういうふうに何かバイアスをかけて思わないと思えないと思いますよ。要するに、みんな既存技術にこだわるから、松尾先生に聞いて、最新の技術をみんな勉強して、それから、調達を一気にできないのだったら、いろんなところで、いろんなものを実験したらいいのではないのということです。

(問)それと、オリンピックの減額の話というのはどうつながってるんですか。

(答)だからつながってないんです、基本的には。だからNECの技術だけではないよという意味で言っているんです。まず一つだけ、この企業の名誉のこともあるので、企業名は言っていないし、念頭にないし、私はそういう企業の名前を覚えてないんです、元々。ですから発言したことは絶対ないと思って、オリジナルの音源もありますから、言ってないということは、これは立証できるんです。それは何度も何度も調べているのに、何で特定の企業の話をどこから誰かが、無理やりくっ付けているのかが分からないと、そういうふうに申し上げているので。

(問)私が言っているのは、特定の企業名のことを言っているわけではなくて、そこの顔認証という言い方をしていますから、大臣の頭の中にはその……

(答)研究室の顔認証ということです。

(問)確認したいことが2点ありまして、まず1点がオリジナルの音声なんですけれども、そちらで立証できると大臣はおっしゃっているんですが、そちらのオリジナルの音声を一般公開などをすることは考えていらっしゃいますでしょうか。

(答)これは一般的に内部の会議の音声データですから、公開を前提にしていませんが、今回こういう事態で、今後どのようにこの事態が発展するか分かりませんけれども、また関心を集めるか分かりませんが、異例中の異例ですけれども、事務方に法律に触れないのであれば公開するということも検討するということに、検討をお願いしようとは思います。

ただ、現時点では公開するという気はあるわけではないんです。ただし、こちらで何度も何度も確認をすることができた、これが私はデジタル時代だと思います。

(問)先ほど、第三者のコンプライアンス委員会を立ち上げるとおっしゃっていましたが、こちらは確認なんですが、この週刊誌に報道された件もまず調査するとともに、いずれは一般的にデジタル庁が発足後はコンプライアンスのこともやるという感じで……。

(答)違います。コンプライアンス委員会というのは、まず、9月1日に発足するので、デジタル庁が、その後引き続いて責任を持つシステムも幾つかあるんです。そんなに全部足したってそんな数はありません。ないとは思います、直接やるものに関しては。ただ、今後やはりデジタル庁が関わっていくシステムであるんだとしたら、徹底的に現時点でチェックできるものはチェックしてほしいなと思いますが、コンプライアンス委員会もできるだけ早く、私は気持ちの中では来週にでもスタートさせてほしいなと、事務方が悲鳴を上げていると思いますけれども、スタートさせていただいて、スケジュール的にいうとできるだけ早くやってもらいたい。そして、私の発言を対象にするかどうか等も含めて、コンプライアンス委員会に考えていただいたらいいと思います。

ですから、私の気持ちとしてはコンプライアンス委員会には徹底的に私自身を調べてもらいたいというふうにも思っています。

(問)デジタル庁のオフィスについてお伺いします。今週末にも荷物搬入とも聞きますが、現状はどのようになっているのかまずお聞かせください。

(答)デジタル庁のオフィスの場所は「東京ガーデンテラス紀尾井町」になって、来週21日からIT総合戦略室及び番号制度推進室の職員が勤務するということでございます。

(問)21日からIT室と番号室の職員の方は入られると。

(答)これも詳しいことは知らないんで、これはIT総合戦略室に聞いてください。私自身が引っ越すわけでは全くないので細かいスケジュールは聞いていません。

(問)改めて、なぜこの築年数の浅い、2016年にできたところですけれども、都心の一等地のビルにデジタル庁が入る必要性があるのかその辺をお聞かせください。

(答)今の入っているIT総合戦略室の場所も都心の一等地ですよね。虎の門もそうですよね。これは、国会や霞が関から近くて、そして官民の人材500人以上が一体的に協働できると、ともに働くということで、今もそうですけれども、ワンフロアの面積が非常に大きいところを探したと聞いています。調達の件に関しては事務方に聞いてください。

(問)今回の週刊誌報道から始まって、コンプラ委員で検討する話とか、一連の流れと、あと今、策定しようとしている調達ルールが、今後調達ルールの策定に今回の一連の報道と、それに伴うコンプラ委員の検証結果というのがどういうふうな影響を与えるのでしょうか。

(答)随分前にコンプラ委員会と調達ルールの検討というのは、本件が起きる前から皆さんには記者会見で話をしていたと思うんですけれども、今回の事案がいろいろと世間を騒がせているので、前倒ししようということです。

今、動いている委員会も、最終的には1つに全部統一をされて、デジタル庁としてのコンプライアンスの指針ということでまとまっていくんだろうと思っています。

(問)これまでの策定のスケジュールは前倒しになる感じでしょうか。

(答)デジタル庁が発足してからというよりは、ちょっと早くなるということです。

(問)先ほど大臣はできるだけ早く、来週にもという、前倒しの時期について思いを語られていましたが、現実的には、多分、外部の有識者を入れるのであればその調整とか、時間がある程度はかかると思うんですけれども、大臣の思いとは別として現実的にはどのぐらいの目処になりそうかというところを。

(答)できるだけ早くです。できるだけ早くやってもらいたいし、もう、世間が初めてこの調達というものに、一般の方々も含めて関心を持つことになったと思います。

だから、これは私は非常にチャンスだと思っていて、この時に調達とは一体どういうものなのかと、調達に必要な透明性とは何かというものを国民の皆さん全体で関心を持って議論をしていただきたいという思いもあって、このように申し上げたということでございます。

(問)改めて確認なんですが、前倒しして設置されるコンプラ委員会は、民間から来られている職員の方の服務規律の順守というところをデジ庁発足前からきちっと研修していこうというのが一つ大きくあると思うんですが、個別のオリパラアプリですとか、そういったシステムや先ほど大臣がご自身の発言についてもというそういった個別の事象についてもチェックするというか、そういった機能も有するという理解でいいでしょうか。

(答)例えばオリパラアプリであるとか、ワクチン接種管理システムであるとか、今後、作らなければいけないであろうワクチンパスポート、これは報道されているベースですとか、こういうもの、そのベースにあるシステムがあるわけですから、当然対象になると考えていて、その発注のプロセスを表に、国民の皆さんに説明して、説明責任が果たせるかどうかということ、疑念の目を持たれないようにと。今回は私は、この減額交渉の途中から本件に関わったということでございまして、私自身も本件が減額されていなければ全然関与していないと言いますか、組織は私の関与の下にありますが、IT担当大臣というのは調達の決裁というのに直接関わるものではございませんので、そういう意味で初めて今回いろいろと調達というものに参加した上で、いろいろな発言もしてしまったということでございます。

ですから、私の発言がやはり、言葉遣いということは当然反省すべき点はあると思いますが、なぜその発言をしたかということに関しても、できればコンプライアンス委員会に調べていただきたいと思います。

(問)過去の話になるかもしれないですけれども、オリパラアプリの発注過程についても、もう一度検証するという。

(答)今年の話ですから。

(問)ここに来る前に野党のヒアリングが9時半からあったんですけれども、その場でさっき大臣が松尾研究室に聞いてくれというか、もう少し時間かかってあれですけれども、そこの顔認証の、そこのっていうのは松尾研究室だとおっしゃったんですけれども、その野党のヒアリングの席では、答えた方が「特定の企業を念頭に置いていると思う」という発言をされているんです。それは違うんですか。

(答)まず当事者に聞いてください、念頭の話かどうかは。

(問)ですから当事者に確認したいんですけれども。

(答)だから念頭にない、ないって、私に聞いてくれたらいいんですよ、それは。事務方は私の頭の中まで分かるわけないじゃないですか。

(以上)

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