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平井大臣記者会見(令和3年9月7日)

平井デジタル大臣記者会見要旨

(令和3年9月7日(火)11時30分から11時58分まで 於:紀尾井町20階 記者会見室)

1.発言要旨

昨日、総理を議長とし、全閣僚を構成員とするデジタル社会推進会議を開催したので、その内容、もう既に発表されておりますけれども、報告させていただきます。

昨日の会議では、まず新たな推進体制を議題といたしまして、デジタル社会の実現を推進する組織として、推進会議の下に官房長級で構成する幹事会等を設けること、デジタル社会のあるべき姿についてご議論をいただくために、有識者等からなるデジタル社会構想会議等を設けることについて了承されました。なお、デジタル社会構想会議については、本日デジタル大臣決定により設置する予定であります。

デジタル社会形成基本法に基づく重点計画等について、あるべきデジタル社会の形成に向けて総合的な検討を行うことを目的としていまして、地方自治体や経済界、学識経験者など計12名の幅広い経験や見識をお持ちの方々に参加いただいており、大所高所からのご議論を期待しているところであります。

また、昨日の会議では、当面のデジタル改革における主な項目を議題とし、緊急時の給付事務処理の迅速化や、ワクチン接種証明のスマホ搭載等、緊急時の行政サービスのデジタル化、国民向けの政府Webサイトの標準化、霞が関のシステムの共通化、自治体のシステムの統一・標準化、医療教育防災など国民生活に密接に関連する暮らしのデジタル化の促進、5Gやビヨンド5Gの推進、半導体戦略の具体化、デジタルインフラの整備など、産業全体のデジタル化とそれを支えるインフラ整備、ICT機器・サービスに関する相談体制の充実や、市区町村等における国民のアクセスポイントの確保など、誰一人取り残さないデジタル社会の実現を主な項目とすることにおいて了承されました。

最後に、総理から、年末までにデジタル社会を実現するための新重点計画を策定し、着実に成果を上げるようご指示をいただいたところでありまして、デジタル庁を中心に、各省庁と協力して、有識者をはじめ幅広い方々の意見を聞きながら、本年12月中下旬の策定を目指し、検討を加速化し、徹底した国民目線でのサービス改革の実現につなげてまいりたいと考えております。

私からは以上です。

2.質疑応答

(問)デジタル社会推進会議の一つの項目の、ワクチンパスポートの電子化のことについてお伺いします。電子化することによってどういうメリットがあるのかとか、実際の国民の方がどういうふうに活用されるというのを想定されているのかという、その意義と狙いを教えてください。また、接種記録のデータベース化とか個人情報の管理の在り方など、どういう課題があるのか、それについてもお願いします。

(答)まず、デジタル庁で開発には取りかかるということですけど、これは、政策判断として、どのような場面でどう使うかというものは、別途我々でないところで今検討をいただいているというところです。したがいまして、いかような方針が出ようとも、それに対応できるような準備を現在我々はしているということです。いろんな場面でどう使われるかというところは非常に重要だと思いますので、ここはこれから検討が進むというふうに考えています。

(問)デジタル社会推進会議で今後のデジタル改革の進め方が示されたわけですけれども、改めて、国民が価値を実感できるという意味での、デジタル庁としてのフラッグシッププロジェクトというのは何になるというふうにお考えですか。

(答)フラッグシッププロジェクトというのと、もう一つは、どういう時間軸でそれを実現するかというのが両方あるというふうに思っています。今、最初の質問にあったワクチンパスポートなんかは、経済界とか社会全体としてのニーズはあるんだろうというふうに思いますし、あとは経済対策が今後取りまとめられる中で、今までの給付のやり方とどこまで違うことができるかみたいなことであるとか、そういう分野に関して言いますと、これはもうすぐに成果が発揮できる分野だと思っています。

あと、例えばPeppolみたいな、バックオフィス改革で、データオーソリティとしてのデジタル庁が主要な役割を担うというようなものもありますし、あと、同時進行で、一番時間もかかり、かつ非常に重要なプロジェクトですけれども、国や地方の自治体のシステムのアーキテクチャから見直していこうという、トータルデザインの共有化、そして5年で日本の枠組みや自治体も全部含めて、今までとは違った電子政府を実現できるシステムへ改修していくというようなこと。総理からは、日本をつくり変えるような気持ちでやれという、まずそこのところだと考えています。これはやっぱりずっと掲げ続ける旗であるということはもう間違いないです。あとは、教育や医療や防災ですよね。ここの分野はすぐに成果が出せるようなものもありますし、ここは工程表なり時間軸をどこまできちんと取りまとめられるかということになりますけれども、それがあると思います。

あと、やっぱりマイナンバーカードですね。カードに対して当然普及を我々さらに進めたいというふうに考えておりますし、申請ベースでいうともう既に4割を超えているということですから、もっと増やしたい。そしてある意味、そこまでの数字が積み上がってきたので、カードを使った経済対策ということも当然検討も中に入ってくるだろうと。そういうことにも、決まれば対応できるようにしていきたいと、そのように思います。

ですから、一つということではなかなかないですけれども、幾つかメニューを出して、昨日の会議の中でも最後に発表されていると思いますが、これから進めていくもの、それを着実に説明をしていきながら進めたいと、そんなふうに思います。

(問)今のお話を伺っていると、特に、ワクチンパスポートとか給付の在り方という、行政サービスのデジタル化というくくりがありますけれども、この辺が一番早く実感が出てくるというか、そういう理解でよろしいですか。

(答)行政サービスのデジタル化というのは非常に、やっぱり我々にとって重要だと思っておりますし、今言われたような内容は他にもありますけれども、今言われた話は、すぐに結果が出る話だろうというふうに思います。

(問)話題が戻りまして、ワクチン接種証明に関して、関連で質問なんですが、昨日の会議のほうで、ワクチン接種証明のスマホへの搭載について方針が示されたと思うんですが、システム開発を担われるデジタル庁として、具体的なスマホでの接種証明の表示の仕方ですとか、あとマイナンバーカードを活用する方針についても確認されたと思うんですが、もう少し具体的に、マイナンバーカードをどのように活用していかれるか、そのような方針についても、今の時点でわかっていることがあれば。

(答)接種証明に関してですけれども、二つが混同されて議論されている部分もあると思うんですけれども、海外向けの接種証明、これはQRコード、そしてこれは、パスポートにひも付けてというようなことに関して言えば、年内にやりたいというふうに思います。

もう一つ、言葉はどこかできちんと整理したほうがいいと思うんですけれども、国内で使いたいという経済界からの要望もある、自治体で用意している証明に関して言えば、実は先ほど、最初の質問にありました、使われる場面等々の議論が進んでいっていると思います。そこで決まれば、元々のデータベースは一緒でもいいんですが、それをどのような形でスマホの中に連携していくかということは検討しなければというふうに思っています。ですから、海外向けのものとは違うものになるというふうに考えています。

(問)国内向けは年内では。年明け以降に。

(答)いやいや、年内ということで今考えています。

(問)国内向けも年内。

(答)はい。

(問)総括的な質問なんですけれども、菅政権はデジタル化を看板政策として掲げてきたわけですけれども、この菅政権の1年のデジタル化政策という進捗を、中心的な役割を担ってきた大臣はどう評価されているのか、今後に生かすべき反省点があれば教えていただけますでしょうか。

(答)反省点というのは、恐らくこれからいろんな問題とぶつかって、これから想定外の事態が起きるかもしれません。まず、昨年の9月16日に私はデジタル改革担当大臣に就任をして、そしてデジタル庁の創設の指示、規制改革の象徴であり成長戦略の柱になるもの、それから制度設計からIT基本法の見直し、そして機構定員をいかに各省庁の了解を得ながら作っていくかというようなこと、そして同時に、民間の必要な人材を募集をしていくというようなこと、組織のガバナンスや、この間コンプライアンスの話もありましたし、組織をどうやってスタートさせるかというようなことを実質10カ月しかない中でやれたのは、菅総理のリーダーシップがあるからだというふうに思います。

ですから、民間の方々もさることながら、各省庁も、デジタル庁に対して大変な理解を示していただいた上で、協力をいただいたからこのような強い権限を持つ役所ができたというふうに思っています。これはもう菅政権の間違いない一つの大きな成果だと思います。

「仏作って魂入れず」というような言葉もありますが、まさにデジタル庁がこれから具体的な成果を上げていくためには、官民のまさに融合の、ハイブリッドな役所というのは、今まで民間の方々も役所の方々も経験したことがないので、実は相当、物事を進めていくというときにいろいろな文化が違うというのは、私は既に会議に参加をしていても感じます。そこをうまく機能させていくというのが非常に重要なポイントで、石倉デジタル監をはじめ、今回民間から参加してくれている責任ある立場に就く方々、そして役所から来られている、各省から来られている現場の方々や、マネジメントで責任を持っていただく方々、皆さんがやっぱり意思疎通がきっちりできて、そして着実に前進できるというところまでできるだけ早く持っていきたいと、そんなふうに思います。そこができないと、まさに絵に描いた餅になってしまうと思いますので、ここから非常に重要なところだというふうに考えています。

ただ、1年間でここまでの組織を立ち上げられたことというのは非常に大きな成果だし、日本がいかに遅れていて、もう時間は今しかない、待ったなしだというのは各界からも指摘されていることですし、海外を見回してもまさにそのとおりだなというふうに思います。そんなことを考えると、まさにスタートライン、スタートを切ったところだというふうに思います。

(問)すみません、ワクチンに戻るんですけれども、ワクチン接種の事務のデジタル化というのは。

(答)申し込みということですか。

(問)そうです。そこのところは今ぴったりサービスで一部マイナポータル経由ができるところもあると思うんですが、自治体のほうから、それがVRSにつながっていて、またワクチンパスポートのほうにつながると早いというのも、end to endにしてほしいという要望があったりするんですが、その辺ってお考えてになっていますでしょうか。

(答)当然考えていて、今回のワクチン接種のみならず、いろんな手続きの大元にマイナポータルが来るというようなことで、幾つかの自治体しかまだそういうことに対応できていないんですね。あれはもうできるだけ早く、全ての自治体に増やすというのが非常に重要なことだと思っています。そういう意味で、ご指摘のとおり、そこは非常に重要だと考えています。

(問)ありがとうございます。もう1点これに関連して、こういうことも含めて、自治体の方たちの意見を吸い上げる場として多分共創プラットフォームを大臣作られていたと思うんですが、今それを閉じていて、結構困ったという声をお伺いしたんですが、今後どのような形で。

(答)今一時的に止まっているだけですね。要するに、Facebook版はそのまま動いていて、あともう一つ、LGWANにつながる版、こっちのほうは今ちょっと改修中ということですから、Facebook版でやれるということです。

(問)デジタル庁の民間人材の登用に象徴であるCxOの方の人事や体制についてお伺いします。今現在、CxOの方は8人の枠に対して5人就いていらっしゃいます。この枠は今後どのように埋めていかれるのか、そのお考えと。もう一つ、CxOについては明確な権限はないとも聞いているんですが、明確な権限、職務上の決定権などはないと聞いているんですが、一方で、上に立つ方として業務全般にどのように関わって、例えば、チーフアーキテクトに就任された江崎先生のシステム全般について、各アーキテクトについて決定権を実際にはどの時期で関わるような、どういう深い関与の仕方をするのかなどについて、大臣のお考えをお聞かせください。

(答)この間皆さんに、冒頭に公開した戦略方針会議にCxOの方々、皆さん出ていただいております。その会議の仕方に関しても、その中で随分いろいろな意見が出ました。というのは、プロジェクトベースで参画をしてもらうというようなことであるとか、組織全体を俯瞰してもらって意見をいただくかということも含めて、これは走りながら具体的に考えようということになっています。ですから、権限等を明確にするよりは、まずその人を中心に仕事をスタートさせていこうという考え方で、アジャイルガバナンス的な形ですが。

ただ、非常に前向きな議論が方針会議でも出ました。要するに、さっき役所と民間の方々の文化が違うということは、この会議の中でも、両方が理解し合っているような状況で、そこは歩み寄りながら、要するにデジタル庁のやり方が出てくるんだというふうに思います。ですから、どこかの会社みたいなお手本があるわけではなくて、自分たちでやり方を考えるという意味で、最初のしばらくの間は非常に重要な時期だという意味で、CxOの方々とのコミュニケーションも、民間の、役所の方々と交えたコミュニケーションというのがこれからしばらく続くということでご勘弁いただきたいと思います。

(問)3人の枠は、いい人が見つかれば補充するような。

(答)これはもう、常に人を募集するという組織にならざるを得ないので、プロジェクトで参加していただくというケースもあると思いますし、ポジションに就いていただくということもあると思います。ただ原則、公募をするという手続を今まで取っていますので、そういうことをしながら、通年採用というようなことになると思います。5人の方々は今相当いろいろな意見を言っていただいておりますし、無事にスタートしたなというふうに思っています。

(問)デジタル庁と各省庁との連携の仕方についてお聞きします。例えばですけれども、厚生労働省の関係の社会保障審議会でも、オンライン資格確認であったりとか電子処方箋などの医療分野のデジタル化について、少し心配な声であったり、デジタル庁に連携して主導していただきたいという逆に期待の声ですね、民間でデジタルに明るい方がいらっしゃる方はデジタル庁への期待というのもお聞きしております。例えばですけれども、厚生労働省の方もデジタル庁の中にもメンバーとして入られているようですが、プロジェクトベースで、逆に厚生労働省に人材を派遣したりだとか、そういったような、プロジェクトを作るというようなことも可能性としてあるかどうか、各省庁とのかかわりを教えてください。

(答)併任をかけるというようなことも含めて、プロジェクトベースではこれからどんどんあるというふうに思っています。デジタル庁が業務の最後のところまで全て責任を持てないので、各省庁との連携というのは非常に重要です。ですから、IT総合戦略室のときには、各省がやることのアドバイザー的なポジションでお手伝いしていたんですが、デジタル庁は一緒にリスクを負って進むというところが前と違うというふうに思っています。その意味で、それはもうどの省庁ともやらなきゃいけないということですし、各省庁にデジタル庁のやり方に賛同して進めてくれる方がいないと、物事が進まないというふうに思っています。そういう意味で、我々は一緒に作るシステムというものもたくさん抱えていますので、そこは良い結果が出るようにやっていきたいと思います。

(問)先ほど冒頭の発言で言及されましたデジタル社会構想会議につきまして、これはデジタル社会推進会議の案件を挙げていく会議となるかと思うんですが、大臣として、有識者の会議の設置の意義と、あと13名の構成員の方がいらっしゃるということですが、どのような方の人選を考えていらっしゃるでしょうか。

(答)今までのIT戦略の作り方もそうですが、多くの民間の有識者の皆さんの協力なしにはできなかったというふうに考えています。ですから、今までやってきて成果が出てきたもの、また不十分であったもの、いろいろあるとは思うんですが、今回デジタル庁ができて、デジタル庁のトップが総理で、その下に私がいて、そして私の権限で構想会議を作るというですね。そこで何らかのやっぱり方針というものを推進会議の方にきっちりと上げられるようにしていきたいというふうに思っています。

推進会議の方は、全閣僚参加の会議ということで、最終的な決定ということにはなるんですが、それまで多くの皆さんの意見とかそういう思いもきちんと受け止めて、それを政策の中に活かすという意味では、今日発表する構想会議というのは非常に重要な会議だというふうに思っています。

構想会議のメンバーは今日中に発表したいと。最終的な手続も一緒にやっていきたいと思います。

(以上)

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