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河野デジタル大臣がインド共和国へ出張しました

8月17日から20日にかけて、インド共和国を訪問し、G20デジタル経済大臣会合への参加や参加閣僚との会談、デジタル関連企業等の視察及び意見交換を実施しました。

同会合は、9月9日から10日に開催されるG20首脳会合の関係閣僚会合の一つであり、構成国・地域のほか、招待国及び関係国際機関が参加し、デジタル経済における諸課題について議論が行われ、成果文書及び議長総括が発出されました。

2019年のG20大阪サミットにおいて日本が提唱したDFFTの重要性が、本年のG20デジタル経済大臣会合においても再確認されました。また、G20参加閣僚ほかとバイ会談を実施し、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合ならびにG7広島サミットで合意された、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けた国際枠組みの設立(Institutional Arrangement for Partnership、以下「IAP」)、及びそこで優先的に取り組むプロジェクトの概要や重要なユースケースを作るための連携について、強い関心と同意を得られました。

  1. G20デジタル経済大臣会合
  2. バイ会談
  3. 企業視察

1. G20デジタル経済大臣会合

8月19日(土)インド・ベンガルールにおいて、G20デジタル経済大臣会合が開催され、河野デジタル大臣が参加しました。インドが議長国を務め開催された今回のG20デジタル経済大臣会合では、以下の3つのテーマに沿って議論が行われ、会合での議論の内容を踏まえ、成果文書及び議長総括が発出されました。

  1. デジタル・インクルージョンと変革のためのデジタル公共インフラ
  2. 安全、信頼性のある、強靭なデジタル環境に向けたセキュリティ
  3. 将来のグローバルな労働力の確保のためのデジタルスキル

また、本会合には、総務省から柘植副大臣が参加されました。

今回のG20での議論において、オープンで相互運用可能かつ安全で包摂的なデジタルインフラが、未来の経済を牽引し、成長・イノベーション・持続可能な開発を促進し得ることが確認されました。これを受けて、河野大臣より、「国際的な協力を推進し、各国のデジタルインフラのシステムを相互運用可能にすることで、その価値は一層高まる。その実現のためには、信頼性ある自由なデータ流通が重要である」旨発信しました。

宣言文書

G20デジタル経済大臣会合 成果文書及び議長総括

G20デジタル経済大臣会合に参加する河野大臣の様子

会場の様子。インドのモディ首相がモニターに映し出されている。

2. バイ会談

8月18日(金)および19日(土)にG20デジタル経済大臣会合に参加している各国閣僚等とのバイ会談を実施しました。

(1)インド ヴァイシュナウ電子情報技術・通信・鉄道大臣

今回のG20議長国であるインドのアシュウィニ・ヴァイシュナウ電子情報技術・通信・鉄道大臣と会談を実施しました。G20の成果文書に対して、DPI、セキュリティ、デジタルスキルの部分における日本の献身的なサポートについてインド側から感謝いただくとともに、日本からも成果文書に対してDFFTの記載に尽力いただいた旨感謝を伝えました。
両大臣は国際送金に関する議論を行い、河野大臣からはIAPについての紹介が行われました。また、ヴァイシュナウ大臣からは越境データ流通は各国の課題であり、どのような形でIAPに参加するか検討したいとの回答がありました。

インドのヴァイシュナウ電子情報技術・通信・鉄道大臣と河野大臣

(2)サウジアラビア  アル=サワーハ通信・情報技術大臣

サウジアラビア王国のアブドラ・ビン・アメール・アル=サワーハ通信・情報技術大臣と会談し、河野大臣から、IAPの設立についての紹介と共に、今後、データ越境に関する課題解決に対する具体的なプロジェクトにおける協力について説明しました。
アル=サワーハ大臣は、DFFT具体化に向けた協力意向を示すとともに、循環型炭素経済を目指す同国におけるグリーン水素の推進、カーボンクレジットとデジタルIDの連携推進について言及し、サウジアラビアにおけるスマートシティNEOMに関する進捗と今後のプロジェクトについて説明しました。なお、AIに関しては、言語による蓄積情報量格差などの課題について意見交換しました。

サウジアラビアのアルスワハ通信・情報技術大臣と河野大臣

(3)インドネシア ブディ情報通信大臣

昨年のG20議長国であるインドネシア共和国のブディ・アリエ・セティアディ情報通信大臣と会談し、河野大臣からは昨年のG20においてもDFFTを継続して議論いただいたことに対する謝意が述べられたとともに、IAPの設立についても紹介がありました。また、IAPへの参加はG7に限られたものではなく、特に日本としてはG20及びASEAN地域と強く連携していきたい旨を強調しました。ブディ大臣も、IAP設立は良いアプローチであると同意され、日本と共に具体的なプロジェクトを進めていきたいという意向を示されました。
また、インドネシアによるデジタル化の進展の中でスタートアップ企業の果たす役割の大きさが共有され、両国のスタートアップ企業の相互進出に関する意見交換がなされました。

インドネシアのブディ情報通信大臣と河野大臣

(4)オランダ ホフレンデジタル化大臣

オランダのアレクサンドラ・ヴァン・ホフレンデジタル化大臣と会談し、IAPの設立についての紹介と共に、IAPについてはG7以外の国々との連携が重要であり、各国規制の国際データベースを作る等、透明性を高めるための具体的なプロジェクトにおける協力を依頼し、ホフレン大臣からもDFFT実現に向けた課題解決を共に進めて行く旨の同意を得ました。
またオランダ国内におけるデジタル化の進展を伺うとともに、AIに関しての言語による蓄積情報量格差などの課題や、生成AIに対する規制について意見交換しました。

オランダのホフレンデジタル化大臣と河野大臣

(5)米国 フィック国務省サイバー空間・デジタル政策局大使

米国のナサニエル・フィック国務省サイバー空間・デジタル政策局大使と会談し、IAPについて紹介しました。フィック大使からは、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合後のDFFTならびに広島AIプロセスの取組についての感謝とともに、AIに関する米国での取組に関する説明がありました。またAIに関して日本が抱える言語間の情報量格差の課題についてもサポートするとの発言がなされました 。

米国のフィック国務省サイバー空間・デジタル政策局大使と河野大臣

(6)ブラジル フィーリョ通信大臣

来年のG20議長国を務めるブラジルのジュセリーノ・フィーリョ通信大臣と会談し、IAPについて紹介するとともに、2019年のG20大阪サミットでDFFTが合意されてからこれまでの流れについて伝え、来年のブラジルが議長国を務めるG20におけるDFFTのモメンタムの継承を依頼しました。
フィーリョ大臣からは重要なテーマについて説明されたことへの感謝とともに、DXの変遷においてデータ流通はブラジルでも関心の高いトピックであり、来年開催するG20への日本の参加に期待を示されました。そのほか、AI、デジタルアイデンティティ、デジタルガバナンス、リスキリングといったブラジルの関心事項について意見交換しました。

ブラジルのフィーリョ通信大臣と河野大臣

(7)英国 スカリー科学・イノベーション・技術省政務次官

英国のポール・スカリー科学・イノベーション・技術省政務次官と会談を実施し、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合における協力について感謝の意を述べるとともに、IAPについて紹介しました。また、データローカライゼーションの影響について、IAPを通じてデータをオープンにしていくことの重要性を伝えるアプローチについて意見交換しました。

英国のスカリー科学・イノベーション・技術省政務次官補(技術・デジタル経済大臣)と河野大臣

(8)モーリシャス バルゴビン情報技術・通信・イノベーション大臣

今回のG20デジタル経済大臣会合に招待国として参加したモーリシャスのダルサナンド・バルゴビン情報技術・通信・イノベーション大臣と会談し、IAPについての紹介が行われました。バルゴビン大臣からは同意とともに、モーリシャスのように人口の少ない国にとって国際的な取組への参加が有意義であるとの回答がありました。また、日本のヘルスケアやICTセクターなどのナレッジを学びたい旨の発言がありました。

モーリシャスのバルゴビン情報技術・通信・イノベーション大臣と河野大臣

(9)オマーン シドハニ運輸通信情報技術省次官

オマーンのアリ・ビン・アムール・アル・シドハニ運輸通信情報技術省次官と会場にて対談しました。IAPについて紹介し、シドハニ次官からもデータ流通は非常に重要であり、取組について歓迎する旨の回答がありました。また、デジタル化に関する法整備や教育の重要性、人材確保について意見交換しました。

オマーンのシドハニ運輸通信情報技術省次官と河野大臣

(10)国連 ギル国連技術特使

国際連合からG20デジタル経済大臣会合に参加したアマンディープ・シン・ギル国連技術特使と会談しました。IAPの設立について合意を得られた旨や、今後のプロジェクトについて説明しました。また、各国のデータ流通事情や関連する規制、今後の有効なアプローチ手段について意見交換しました。

国連のギル国連技術特使と河野大臣

(11)シンガポール テオ情報通信大臣兼第二内務大臣

シンガポールのジョセフィン・テオ情報通信大臣兼第二内務大臣と会談しました。国際送金についての議論では、インドが各国へ展開を進めているUPI(統合決済インターフェース)のシンガポールでの活用事例についてヒアリングを行いました。加えて、空港の審査等のデジタル化とそれに伴うオペレーションの見直しに関するシンガポールの先行事例について話を伺いました。河野大臣からはIAPについての紹介があり、ASEAN諸国とも強く連携していきたい旨強調されました。

シンガポールのテオ情報通信大臣兼第二内務大臣との会合の様子。

(12)ドイツ ヴィッシング連邦デジタル・交通大臣

ドイツのフォルカー・ヴィッシング連邦デジタル・交通大臣と会談し、IAPについて、本年のG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合での協力に対する感謝を述べるとともに、今後のプロジェクト実施について引き続きの支援を依頼しました。ヴィッシング大臣からはG7における日本のリーダーシップへの感謝を示されるとともに、広島AIプロセスも重視している旨の回答がありました。そのほか、AIに関する規制やディープフェイク等の問題や対処方針について意見交換しました。

ドイツのヴィッシング連邦デジタル・交通大臣と河野大臣

(13)アラブ首長国連邦(UAE) オラマAI・デジタル経済・リモートワーク担当大臣

アラブ首長国連邦(UAE)のオマール・スルターン・アル・オラマAI・デジタル経済・リモートワーク担当大臣と会談し、IAPの設立について紹介するとともに、データ越境に関する課題解決に対する今後の具体的なプロジェクトにおける協力について説明しました。オラマ大臣は、日本が参加するCBPR(Cross Border Privacy Rules)に関心を示されるとともに、アラブ首長国連邦(UAE)におけるデータシェアリング、UPIの活用可能性について説明されました。

アラブ首長国連邦(UAE)のオラマAI・デジタル経済・リモートワーク担当大臣と河野大臣

3. 企業視察

8月18日(金)にインド・ベンガルールのデジタル関連組織・企業を訪問しました。インドのITプラットフォーム構築に取り組む非営利団体においては、インドのデジタルID、決済システムとのデータの関連性、他国への展開状況について説明を受けるとともに、データに関する考え方について意見交換しました。

また、インドのデジタル関連企業のベンガルールの開発拠点を訪問し、幅広い層への金融サービス提供のためのインフラ整備や食糧問題解決につながる農業向けの情報提供サービス、インド人の海外渡航需要に応じたパスポート発給サポート等の説明を受けました。

iSPRIT職員と河野大臣の集合写真。全員で7名映っており、大臣は左から3人目

TCS職員と河野大臣の集合写真。全員で7名映っており、大臣は左から4人目

連絡先

デジタル庁国際戦略担当
矢端、本多
電話:070-7416-9903(矢端)、070-7416-9845(本多)

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