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トラストのためのデジタル技術に関するステークホルダー会議を開催しました

2023年(令和5年)3月29日、東京プリンスホテルにて、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合の関連イベント「トラストのためのデジタル技術に関するステークホルダー会議(Stakeholders’ Conference on Digital Technologies for Trust)」を開催しました。

本イベントでは、G7各国政府、招待国/招待機関、トラストサービスに取り組む企業並びに学術団体の関係者が参加し、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具体化に向けたトラスト確保のための取組みについて、講演およびディスカッションが行われました。

G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合 公式サイト

開会の挨拶

赤石浩一デジタル庁デジタル審議官によるOpening Remarksでは、G7デジタル大臣会合の趣旨や出席者への謝辞に始まり、これまでのDFFTの取組の概略および本年の日本のG7議長国としての意義とともに、DFFTの議論の経緯やトラストの重要性が説明されました。また、トラストの確保を全世界の共通課題として掲げ、G7と本年インドが議長国を務めるG20デジタル分野のアジェンダを相互に共有していくことが、グローバル規模のサイバー空間におけるトラスト確保につながることを示唆しました。最後に、本会合の議論や、本年のG7を踏まえたDFFTの具体的な実装・実行への期待についても言及されました。

モニターに映る赤石浩一デジタル庁デジタル審議官

セッション1 DFFT達成のための国際相互認証と各国の状況

セッション1では、DFFT達成のための国際相互認証と各国の状況について紹介されました。
手塚悟慶應義塾大学教授による講演が行われ、多国間における相互認証が確実なベネフィットを示すことに繋がるとして、その重要性や今後の国際展開へ向けた構想が紹介されました。また、政府に期待される役回りとして制度や認定への対応、民間に技術標準の推進と信頼できる基盤の構築、その上で双方が国際的な枠組みを通じて連携していくことが重要であるとの見解が示され、G7をはじめ、G20やアジア諸国との連携も含め、G7を通じた更なる機運の高まりと国際的な連携の重要性についても言及されました。

手塚悟慶応義塾大学教授の講演の様子

セッション2 EUにおける現状

セッション2では、ロレーナ・ボワ・アロンソ欧州委員会サイバーセキュリティ&トラスト担当ディレクターによるビデオメッセージで登壇、日EUデジタルパートナーシップや各方面での取組、特にトラストを実現するための相互認証の取組、その取組のG7やASEAN等への展開についての考えが示されました。ビジネスにおける信頼できるデータソースの重要性についても言及があり、特に欧州委員会がEU域内で展開している「欧州デジタルIDウォレット」などの具体的な取組についても紹介されました。

モニターに映るロレーナ・ボイス・アロンソ欧州委員会サイバーセキュリティ&トラスト担当ディレクター

セッション3 インドにおける現状

インド電子情報技術省認証局(CCA)のアルビンド・クマール管理官、アーシシュ・バナティ副管理官、ビジャヤクマール・マンジュナータ・アジアPKIコンソーシアム事務局長の三者によるセッションは、インドからオンラインにて行われました。インドにおいてもビジネスのみならず国民の日常生活においてもデータ流通の重要性が高まっていること、G7との連携の重要性、デジタルIDウォレットやデジタル決済システムの相互認証などの取組において信頼できるデジタルIDの重要性が増していることなどが紹介されました。その上で、国内の公開鍵暗号基盤(PKI:Public Key Infrastructure)をベースとした電子署名のユースケース紹介や、信頼できるエコシステムの構築、ならびに国際的な相互認証の重要性や今後の取組について発信されました。

インド電子情報技術省認証局(CCA)のアルビンド・クマール氏、アーシシュ・バナティ・ニューデリー電子情報技術省副管理官、ビジャヤクマール・マンジュナータ・アジアPKIコンソーシアム事務局長の三者によるオンラインセッションの様子

インド電子情報技術省認証局(CCA)のアルビンド・クマール氏、アーシシュ・バナティ・ニューデリー電子情報技術省副管理官、ビジャヤクマール・マンジュナータ・アジアPKIコンソーシアム事務局長の三者によるオンラインセッションの様子

セッション4 Trusted WebとG7の政策的取組

続くセッション4では、日本の政策として進めている、分散型のデジタル技術を活用しデータのやり取りにおける信頼性を確保する「Trusted Web」の基本構想や取組について、株式会社企の黒坂達也CEOより紹介されました。人と人が握手を交わすような「自然な信頼」こそが信頼できるデータ流通の基礎にあるとの考えが強く示され、インターネットを始めとするデジタル空間においてどのように実現していくのか、そのためにどのような技術的なアプローチが必要なのかという考えが示されました。

株式会社企の黒坂達也CEOの講演の様子

セッション5 Trusted Webを利用したユースケース紹介

「Trusted Web」のユースケースとして、民間企業の取組が2件紹介されました。株式会社ORPHEの菊川裕也CEOにより、スマートシューズなどから取得したデータを収集し活用するための、信頼性の高い医療データの転送システムと、それを用いたデータ利活用の事例について説明されました。また大日本印刷の岡本倫太郎氏より、「共助」をテーマとする同社のスマートフォンアプリ「May ii(メイアイ)」において、信頼性のあるデータ流通をどのように実現しているのかについて紹介されました。

Trusted Webを利用したユースケース紹介する様子

Trusted Webを利用したユースケース紹介する様子

セッション6  G7の政策的取組についてのパネルディスカッション

セッション6では、各国政府より集まったパネリストによるディスカッションが展開されました。モデレーターとして座間敏如デジタル庁国際戦略シニアエキスパートによる進行のもと、成田達司内閣官房デジタル市場競争本部次長、ポール・ジャクソン カナダ財務省事務局テクノロジー・イノベーション担当ディレクター、キャロライン・コプリー英国科学技術イノベーション省デジタルアイデンティティ国際戦略・法制統括の3名のパネラーが参加しました。

データのやり取りにおけるトラストを向上するG7各国の政策的取組みに関し、各国のこれまでの取組として、eIDの導入やインパクトなどについて、国民向けサービスや企業向けサービスなどの具体的な事例、さらにはその効果などについて事例共有がなされました。その上で、これまでの学びや経験の共有、さらには今後の取組に向けた議論や方向性の共有などがおこなわれました。さらにはeIDにおける国際協力および官民協力についての議論も行われ、信頼を確保するための技術を普及させていくための具体的な取組、それに向けたG7国としての役割などを再認識しました。

各国政府パネリストによるディスカッションの様子

セッション7 規制のベースレジストリ

セッション7では、ヨハネス・フリッツ ザンクトガレン基金CEOにより、瑞・ザンクトガレン大学が世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターと協力して進めている、透明性強化を図る取組について講演が行われました。講演の中では、来月のG7デジタル・技術大臣会合での設立承認を目指す官民連携の国際枠組みと連携予定の、瑞・ザンクトガレン大学での既存の研究の成果を元に構築した各国のデータ関連規制のレジストリにある情報をオンライン上で提供するための仕組みである「The G7 Data Governance Hub」について、紹介が行われました。

ヨハネス・フリッツ ザンクトガレン基金CEOの講演の様子

閉会の挨拶

イベントの最後には、Closing Remarksとして、座間敏如デジタル庁シニアエキスパート(国際戦略)による全体のまとめと関係者への謝辞、そして今後の更なる取組の推進が述べられました。

モニターに映る座間敏如デジタル庁国際戦略シニアエキスパート

お問合せ

デジタル庁戦略・組織グループ国際担当
長船(070-2476-6619)
高橋(070-7416-9890)

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