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Web3.0研究会(第4回)

概要

  • 日時:令和4年10月25日(火)9時30分から11時00分まで

  • 場所:オンライン

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. 議事
    1. ヒアリング1(岩手県紫波町様)
    2. ヒアリング2(中島聡様)
  3. 閉会

資料

議事要旨

日時

令和4年10月25日(火)9時30分から11時00分まで

場所

オンライン会議

出席者

構成員

  • 國領二郎(慶應義塾大学総合政策学部 教授)

  • 伊藤 穣一(株式会社デジタルガレージ 取締役 チーフアーキテクト、千葉工業大学変革センター センター長)

  • 河合 裕子(Japan Digital Design株式会社 CEO、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部 部長、株式会社三菱UFJ銀行 経営企画部 部長)

  • 殿村 桂司(長島・大野・常松法律事務所 弁護士)

  • 藤井 太洋(小説家)

  • 松尾 真一郎(ジョージタウン大学 研究教授)

デジタル庁(事務局)

  • 楠統括官、野崎参事官

議事要旨

紫波町の森川様より説明。

  • 紫波町は岩手のほぼ真ん中にあり、盛岡市の南に位置する人口3万3000人の町。米や小麦、蕎麦、ぶどう、りんごなど、農業が盛んな町である。まちづくりの特徴として、循環型まちづくり、協働のまちづくり、公民連携のまちづくりを掲げて取り組んできた。
  • 今回、Web3.0タウンに取り組む理由は、地域活性化の中心は人であり、多様な考えや価値観を持つ人との関係性をいかに作るか、新しい知見をいかに取り入れるかということが重要だと考えているからである。こうしたことから、Web3.0という最先端の発想や技術をまちづくりに積極的に取り入れ、地域を越えて多様な人と繋がり、町に新しい価値を生み出し、面白く元気な町にしていきたい思いで取り組みを始めた。
  • 新しい取り組みを始めるに当たり、Web3.0の環境整備を盛り込んだ6月7日の骨太の政府方針・閣議決定を踏まえ、6月10日に町議会の全員協議会の場でWeb3.0タウンの推進について表明した。
  • この時期に表明した狙いは、他の自治体に先駆けて表明することで紫波町に関心を高めてもらうことだった。
  • Web3.0タウン構想の大きな点としては、仮称であるが、「Furusato DAO」というDAOを設立し、町の活性化に繋げていきたいと考えている。Furusato DAOでは、DAOに集まった多種多様な人たちのアイデアで、地域課題の解決や新たな価値の創造、トークンを使った新しい協働のまちづくりを展開、ふるさと納税の実現、NFTなどもふるさと納税の返礼品に取り込み、将来的にはWeb3.0に取り組む企業などの誘致にも繋げていきたい。DAOを通じて、地域を超えて寄せられた共感や応援といった力をリアルの紫波町に生かしていきたい。
    さらに、このDAOが盛り上がれば、町への寄附や移住、定住という動きにも繋がってくるのではないかと期待している。
  • Web3.0タウン構想を進めていく上で、技術やアイデア面などでサポートいただいているのが、紫波町に本社を置くSOKO LIFE TECHNOLOGYである。同社とはWeb3.0タウン表明後に連携協定を締結している。代表の菅原氏は紫波町出身であり、SE経験もあり、Web3.0の分野に精通している。紫波町といえばオガールプロジェクトで認知いただいているが、志のある伴走できる民間パートナーがいることが紫波町の強みである。
  • SOKO LIFE TECHNOLOGYには専門的知見による助言・提案をはじめ、DAOの枠組みの構築やDAOコミュニティー、今はDiscordでその運営支援など、技術的なサポートをいただいている。町側としては、Web3.0タウンの取組の積極的な発信や事業実施におけるリーガルチェック、住民への説明という役割を担っている。
  • 現在、紫波町としてはできるところから取り組んでいくという基本姿勢である。まずはNFTを活用したふるさと納税の返礼品の開発になる。町特産のブランド豚と「クリプ豚」というゲームアイテムをセットにした返礼品を用意し、今月1日からラインナップに加えており、SOKO LIFE TECHNOLOGYに開発いただいた。
  • 単なるNFTだけの返礼品に留めず、町のブランド豚とセットした商品を作ることによって、これまで紫波と縁がなかったゲームユーザーの層にもアプローチができ、紫波の魅力を知ってもらうことができるのではないか。
  • 2つ目としては、Discordを使い、町内外の方とコミュニケーションを取っている。豊富な知識、高い関心を持っている方が多く、Web3.0で面白いことができそうだということでたくさんの対話が生まれているため、ここでのアイデアや助言をまちづくりに生かしていきたい。
  • 3つ目としては、啓発イベントを開催した。今月9日に初代デジタル大臣の平井衆議院議員とWeb3.0分野の第一人者である伊藤穰一氏をゲストに迎え、トークイベントを開催した。
    今後もトークイベントなどの開催を進めていきたい。
  • その他検討中の案件だが、障害者アートなどとNFTの掛け合わせやHelp to Earn、町の特産品と匂いのNFTのコラボ、閉校した小学校の跡地活用で「酒の学校」というプロジェクトがあるが、DAOをうまく活用できないか検討している。

続いて、SOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社の菅原様より説明。

  • 2018年に起業し、岩手県の紫波町に本店を置いている。拠点として東京の日暮里と大阪に支店があり、主にWeb3.0事業、地方創生事業を行っている。
  • Furusato DAOは、DAOに集まる人材やアイデアで地域課題の解決を目指している。Web3.0技術を積極的に活用して、特に自主財源の創出という部分に注目して活動している。
  • 地方自治体とWeb3.0の可能性を見出したきっかけは、人がいない、お金がないという課題がある中で、自治体は非課税なので、暗号資産を保持するのに非常に効果的なのではないかという仮説を立てて今の企画を進めている。
  • 将来的な構想は、例えば、民間会社や社団法人などがトークンを10億枚発行して、地方自治体に無償で譲渡する。地方自治体はPRとトークンの浸透を兼ねて更に住民にトークンを配る。トークンの流通が広がり、価値がついたタイミングで地方自治体がトークンを売却することで自主財源にできるのではないかという考えで各省庁と意見交換をしながら検討を進めている。
  • Help to Earnの考え方だが、目的としては行政の支出・歳出を減らして職員の負担を削減することである。紫波町では、雪かき、草刈り、イベントの手伝いなど、自分のコア業務をしながら対応しており、これを例えば住民に手伝ってもらい、手伝った住民に、ボランティアではなく新型地域通貨のトークンをあげることで、三方よし、を考えている。
  • DAOに参加していることが前提になるが、腰が痛いので雪かきができないので手伝ってほしい旨DAO内に周知し、対応できる方が雪かきを手伝うと、トークンを受け取る流れ。町が関わる場合は、町の河川や町道の清掃などを手伝うとトークンを受け取る。
  • 昨今のSTEPNなどのゲーム系のWeb3.0事業はポンジスキームではないかと言われがちだが、このFurusato DAOの場合、町が予算を削減できた分のトークンを購入する仕組みを取り入れようとしており、トークンエコノミーが循環するようにできないかと考えている。現状はトークンが発行できていないため、既存のしわポイントでの実施を検討している。
  • Help to Earnはまだ浸透が甘いため、これから2つのNFTを発行して、NFTの購入や、もしくはふるさと納税で寄附してNFTを得た方には、先ほどのしわポイントを付与してHelp to Earnを浸透させていく。
  • もう1つは、電子紫波町民構想というもので、同様にNFTを発行し、購入もしくはふるさと納税の寄附でNFTを得た方に、属性チェックや本人確認をした上で、デジタル紫波町民として認定する。デジタル紫波町民へのメリットは、専用ECサイトで特産品の買い物や、自治体の運営や収益の使途に関する投票権利が貰える。実際に紫波町を訪れた際は、お得に買い物や宿泊ができる。
  • NFTの更新については、毎年NFTを購入、ふるさと納税、もしくは紫波町に来町された方を対象とすることを検討している。

構成員からの質疑及び森川様、菅原様からの回答において、主に以下の発言。

  • 構成員: 紫波町のDiscordの運営スタッフは町の職員なのか、それともSOKO LIFEのスタッフなのかお伺いしたい。
    • 発言者: SOKO LIFEの菅原氏にお願いしている。
  • 構成員: 菅原氏はご自分でDiscordの対応をされているのか。
    • 発言者: 共通アカウントにしているが、基本的に私が行いたいと思っている一方、手が回り切れていないため、コミュニティーマネージャーのような人員を何名か増やす必要がある。
  • 構成員: オガールの成功の一番大きな要因は、地元の方がステークホルダーとして関わり、受益者として楽しんでおられるということだと認識しているが、本件については、どのように紫波町の町民の方々が受け止めているのか、どのように参加しているのか伺いたいのが1点目。
    2点目は、予算規模はどの程度で、年間の継続経費はどの程度の規模を見込んでいるのか。それに対して、将来的にトークンの価格が上がった際、どの程度の回収を見込んでいるのか、計画があれば伺いたい。
    • 発言者: 町民の参加については、まだ活発になっていないが、先日のトークイベントで町民の皆さんに広くお知らせをしたのが最新の状況。また、町の民間団体で自発的に情報発信をしている団体の方々と結びつき、Web3.0への理解や周知進めているという状況である。
    • 発言者: トークンエコノミーについての経済規模や、回収見込みは計算していないというのが実態である。今後対応する必要があるものの、町が豊かになればいいのではないかという思想から始めているため、今後の回収見込みよりも、紫波町から資金を拠出せずに進めていきたい。まだ不透明な技術であり、この状況で町の予算を組むというのが紫波町としても難しいと考えているため、基本的に弊社がサポートして形作っていき、次年度以降に数値を設定していきたい。
  • 構成員: Discordのメンバーはどのような方々がいるのか。町外、日本国外など、国、地域、属性や、現在主にどのような議論がなされているのか伺いたいのが1点。
    もう1点は、町自体がトークンを発行する話において、例えば暗号資産交換業の登録が必要ではないのかといった法律的な問題があると思うが、差し支えない範囲で法的な問題として論点に挙がっているものでシェアいただけるものがあれば伺いたい。
    • 発言者: Discordに今参加しているのは紫波町内で、もともとFacebookなどのSNSに精通されていて、紫波町を盛り上げようとしている方々がオンラインになっている。国外では、2、3名の登録はあったが、それほど活発にコミュニケーションが取れていないのが現状である。
      一番多いのは、Web3.0タウン紫波をきっかけにWeb3.0に注目している他の自治体で地方創生に取り組んでいる方々である。気仙沼や、「みちのくDAO」という東北のDAO、徳島県の三好市の「三好デジタル市民」というDiscordのコミュニティーなど、地方創生に興味がある方々とのコミュニケーションで、地域課題をどうソリューションするかという話と、どうやったら自分たちのDiscordは活発になるかというDiscord運営のコミュニケーションが多い。
      法的論点の部分は指摘いただいた通り、自治体が予算削減できた分のトークンを購入することが暗号資産交換業に該当するのではないかという点が焦点になっており、自治体ではなく別の組織を介すべきなのかを探っている。
  • 構成員: DAO、あるいはブロックチェーンが地域に入っていく際、担い手が持続的に関わっていくことが重要であり、インセンティブメカニズムが設計できているのかというのが大きな問いであると認識。その上でもう1つ、儲けのやり方は決まっていないとのことだったが、持続させるために決める必要があるのではないか。トークンの値上がりが前提になっているとすれば持続性に疑問が出ることになり、値下がりや、ボラティリティーがあっても持続的になるように考えていく必要がある。値下がった時にも利益が分配できるのか設計していくべきである。
    それぞれ明らかになっているのか、もしデザインされていないのであればこれからつくる必要があるため、どうデザインしていくのか、インセンティブモデルがどうなっているのかという点について、方向性があれば教えていただきたい。
    • 発言者: Furusato DAOというものを親DAOとして各自治体にサブDAOが立ち上がり、トークン自体を別のコインにする際に、トークン交換時の手数料を徴収することを検討していたが、税収が少ない自治体を助けることをコンセプトに始めたため、手数料を取ることはやりたくない。どのように収益モデルを組み立てていくのかを引き続き検討している。
  • 構成員: 紫波町としては、今後、Web3.0プロジェクトで具体的にどのような仕事や税収を上げていくのかという心づもりはあるか。
    NFTで経済的な利益はフィージブルになっている必要はないと考えており、自治体の予算でWeb3.0を回すことが自治体のためならば、それもまた1つの持続の形なのではないか。そこまで踏み込むことが紫波町はできそうか、見込みや腹積もりがあれば伺いたい。
    • 発言者: 取りかかったばかりで、大きなところが描けていないのが正直なところだが、プロジェクトベースでDAOなどをうまく活用して、「酒の学校」のプロジェクトや環境系のプロジェクトといったものはアイデアとして出てきているため、共感してくれる方や同じ熱い思いを持った方々が集まり、コミュニティーが生まれて、そこから新たなビジネスが生まれたり、仕事が生まれたり、移住につながるというような地域への動きに繋げていきたい。
  • 構成員: 政府、デジタル庁の制度など、地方創生のテーマでWeb3.0を活用する際に、改善されているとやりやすくなる点、ネックな点はあるか。
    非課税だから利用しやすいという話は、グレーなエリア。交換業の免許の話もあったが、それ以外に、地方創生に貢献するのではないかと思われるような論点があったら共有していただきたい。
    • 発言者: 省庁横断の問合せ窓口があるとありがたい。金融庁からは法人や個人の場合は、明確に回答をいただくが、地方自治体が主体の場合は総務省管轄になるということが出てきてしまうため、共通で問合せできる窓口があるとありがたい。
    • 発言者: 行政やまちづくりを進めていく中で今まで経験したことないような壁が出てくるため、そういった点を受け止める窓口をデジタル庁に期待している。そこから各省庁に繋げていただけたら望ましい。
  • 構成員: 自治体の方においては金融規制や地方自治法などの様々な法律も絡むが、所管省庁が分かれているため、デジタル庁をハブとしてスムーズにコミュニケーションが行えることを検討しており、Web3.0研究会の1つの方向性として相談させていただきたい。
  • 構成員: 来年出てくるステーブルコインは、地域DAOには役に立つのではないか。
    例えば100円のガス代を手に入れるには、暗号資産交換所に行ってマイナンバーカードを渡して、本人確認して、ウォレットに移さなくてはいけない。その100円を配ろうとすると交換業になってしまう、という最初の出だしのところからできないルールになっており、KYCの観点で、特に市町村ではかなり小さなプロジェクトを立ち上げていく必要がある。大きい交換所の暗号通貨のトレーダーたちのKYCの話と、市町村でステーブルコインを動かしてどれだけ役に立つかというのは全く異なる使い道であり、値段によってKYCのカットオフや、コミュニティーで実施する時に、大きいユーザーに向けたルールはすごく難しく引っかかる。実際、今やられている紫波町から細かいことがたくさん出ている。
    金融庁からステーブルコイン法に関する情報が出て行くと思うが、ステーブルコイン法が来年出て、地域DAOで使えないとバリューがあるものがなくなるのではないか。トークンは変動するから証券や投資になるという問題は、ステーブルコインでは解消でき、変動しないためリスクがなくなるという観点で、消費者保護にもなる。DAOとステーブルコインを深掘りして、紫波町のような事例でいろいろ用途を考えていくのがいいのではないか。
  • 構成員: 金融庁では今ステーブルコインを議論しているが、地域創生という観点はまだ入れられていないとは思うため、デジ庁から地方創生の観点を取り入れていただくということもあるのではないか。
    実際に住んでいる人と、バーチャルで市民になる人とコンフリクトが生じるような場面が将来的に、特に地方の予算を使う・使わないといった話になった際に出てくるのではないか。今の法律の枠組みの中で本当にできるのか、場合によってはDAO特区のようなものを活用する方法もあるため、リーディングケースとして成功されることを願っている。

ここで前半が終了。ヒアリング2について、中島様より説明。

  • IT業界では最も古参だが、Web1.0もWeb2.0も体験した上で、今はWeb3.0に関わりスマートコントラクトを作っている。ビットコインのサトシ・ナカモト氏の論文には感動した。
    NFTを購入したこともなかったため、最もDAOらしいDAOと呼ばれるNouns DAOに入るため、今年3月にNounsのNFTを購入した。
  • DAOの概要、仕組みを勉強し、Discordのディスカッションに参加してボランティアや、プロジェクトを立ち上げて、Nouns DAOが上手く機能している理由が2つあることが分かった。1つはノンプロフィットであること。参加者がお金を入れてTreasuryにお金が貯まり、アーティストの援助やNounsをテーマにした映画製作、Tシャツ制作への資金提供など、Nounsのコミュニティーを大きくすることに対してお金を使用する。NounsのNFTを持っている人に対する配当はなくノンプロフィットであることが1つの理由。
    また、Nounsのファウンダーは10人いるが、2名がリーダーシップを発揮しており、Discordで彼らの発言が重いため、それに賛同して意見も集約しやすいし、多数決をしなくてはいけないDAOがうまく機能している。
  • ネガティブな点として、派閥ができるほか、Nouns DAOから大きなお金が出るため、お金目当ての人が多く集まってくる。Nouns DAOからフルタイムで年間1000万円や2000万円も貰っている人が何人もいるが、Nounsで影響力を持ったファウンダーに気に入って貰おうと、政治的な動きが起こっている。
  • DAOとしてうまく機能していると言われているNounsですら醜いことが起きており、DAOは簡単ではない。
  • 日本ではDAOに関して勘違いしている人が多い。DAOはリーダーがいない代わりに、スマートコントラクトが間にあり、多数決でお金を動かすドライな仕組みが中心で動いている。Nouns DAOよりもDAOと言われているのはビットコインである。サトシ・ナカモト氏がデザインしたインセンティブシステムに則り、各人が自分だけの利益を最大化しようと努力した結果成立しているのがビットコインであり、ブロックチェーンの美しさなのではないか。
  • DAOが会社に置き換わることはないと考えている。特に物作りが関わる部分はリーダーシップやビジョン、トップダウンの指揮系統などが大事であり、営利企業を運営する点ではDAOは不適切である。
    Nouns DAOもノンプロフィットだが、DAOはお金を集めた慈善活動に合うと考えており、地方自治体などの活動にDAOを活用するのは望ましいのではないか。ただし、DAOは単なる投票システムとして使うと割り切るべきである。
  • DAOはスマートコントラクトが中心にあり、経営者の代わりにお金の配分を決定している。
    Web2.0の時代に儲けたのはGoogleの経営者とGoogleの株主だけとよく言われるが、それを変えるためにWeb3.0ではガバナンストークンを発行し、サービスが成功するとトークンの価格が上がるため、最初から参加した人が上昇した価値を分配できる世界としてWeb3.0ベンチャーはお金を集めているが、これは無責任である。そもそも営利企業のガバナンストークンは有価証券である。株を発行するのは簡単ではない。株の発行に関してはがちがちの法律がそれぞれの国にあるが、Web3.0ベンチャーは、それを免れて消費者からお金を集められるため、今、ガバナンストークンの発行が流行っている。唯一の理由は、簡単にお金が集められるからである。故にラグプルと言われるお金だけ集めていなくなるなど、お金を集めたが約束したことを実施しないなどICOと同様のことが起きている。
  • 法律を整備してほしい。芸能人がファンに対して、暗号資産を販売した事例があるが、投資詐欺ではないか。
    今後Web3.0ベンチャーにガバナンストークンを発行させると、必ず同様のことが起こる。インフルエンサーがガバナンストークンを売り始めたら、莫大な数の被害者が出るのではないか。
  • Play to earnなどのゲームも、NFTを買って、NFTを持つことでゲームができる。ゲームをすることでお金が稼げる。しかし、そのお金の源泉はユーザーが支払ったNFTであるため、トークンエコノミーを挟んで分かりにくくしているが、基本的に入ってくるお金より出るお金のほうが多いわけがなく、故に全員が元を取れるわけがない。それを理解できない人が嵌まってしまう。
  • 結局ねずみ講と同じで、先行者利益があるので最初に参加すると儲かる。先行者利益で儲けたインフルエンサーたちがSNSで拡散することでどんどん参入し、先行者と会社は儲かるが、最後は焼け野原という状況が続いている。
  • 政府として、消費者を守るための法律を整備して、今後起こりうる犯罪を阻止してほしい。

構成員からの質疑及び中島様からの回答において、主に以下の発言。

  • 構成員: 批判と提案にほぼ100%賛同する。
    Web3.0に対して感じている魅力について、Web3.0の開発の波、技術的な変革、新しいことをやっていく魅力についても、もう少し語っていただきたい。

    • 発言者: 一番気に入っていることは、スマートコントラクトというプログラムを、ブロックチェーンという世界に跨るバーチャルコンピューターに対して誰でもデプロイして永続的に走らせることができることである。
      例えばウェブサイトを立ち上げても、そのウェブサイトは、管理会社に依存する。毎月お金を払い続けなければウェブサイトから消えてしまう。
      それに対して、ブロックチェーンというのはそういう存在がいないため、デプロイしたスマートコントラクトは永久に仕事をし続ける。
      お金が絡んでいるため、そこにインセンティブメカニズムを作ることで、オートノマスなマーケットプレイスができ、みんながビジネスをしているという状況を作ることができる。
      DAOはDecentralized Autonomous Organizationであるが、Organizationは要らないのではないか。ただ私が書いたコードに価値があり、そこで経済活動をしている。しかし、そこにオーナーも不在で、投票もない。ただデプロイした人という状況が作れたら美しいのではないか。価値があるスマートコントラクトとは何で、何を作ったらそこでビジネスをする状況が作れるのかを考え、かつ、自動的に動くような仕組みを作ろうとしている。
  • 構成員: 90年代にスパムが9割だった時代があった。スパムと違うところも似ているところもあると思うが、国で規制をする、法律を厳しくするなどいろいろあったが、民間のプロトコル作りとスパムフィルターなど、民間で大分合理的に直せてしまった。
    初期の頃は、お金の匂いがして人が集まりいろいろなことを起こしているが、様々な人が悪いところをイノベーションして、できる限りインセンティブを無くしたり、ツールを作っているため、今のこのスナップショットで法律を作る際は、見極めながら取り組むべきである。
    ビットコインも最初から政治的で、今はどこにでも政治的な要素がある。DAOは昔からある問題がガバナンスにそのまま残っていると思うが、スケールが大きいし、お金も動いているため、ガバナンスを何とかしようという話をしている。
    来週、ローレンス・レッシグ氏とDAOのガバナンスについて会議を行うが、昔からガバナンスを学問として考えていた人たちもDAOのガバナンスに参加してきているため、議論しながらポジティブなケースを作り、広めていきたい。

  • 構成員: 私自身、エンジニアだけではなくビジネスをする人や、政府の人、レギュレーターという人たちがどんなことに気を付ければブロックチェーン時代やWeb3.0時代の良いガバナンスになるのかを考えている立場にあるが、伝統的な金融の今のありようは長年のガバナンスを積み上げた知恵の歴史であり、一方で現在のブロックチェーンの世界では、若いエンジニアが気をつけるべき、長い歴史に基づいた知恵や知識が不足しているが故に、間違いを犯しているというケースが多々ある。どうやって知識を渡せばいいのか、ルールを作る若いエンジニアを育てていかなくてはいけないのかという全体の問題のような気がしている。
    Web3.0時代のエンジニア、コードを書く人が法律的なルールを作る立場に立っている時代になったとして、Web3.0時代のエンジニアはどういう人であるべきかという質問がある。
    今のDAOに多くのアプリケーションがのるということは理論的に難しいが、ビットコインの美しいところも生かしつつ、どうやって社会に役立てるかということをガバナンスの意味、あるいはセキュリティーの意味で実行できる若いエンジニアを、いろいろな人の過去の知恵も注入しながら育てたいと思っているが、エンジニア代表としてこれからのWeb3.0時代のエンジニアというのはどのように育成していけばいいのか伺いたい。

    • 発言者: 私は日本で育ったが、高校2年生ぐらいからプログラミングを書き続けており、学校からは学んでいない。大学院まで進学したが、一番学んだのは仕事を通じてである。
    • 発言者: 40歳になってからアメリカのMBAを取得したが、ショックだったのは、日本の大学のだらしなさである。大学と大学院を合わせた6年間よりもMBAの2年間で勉強した量のほうがはるかに多かったというぐらいアメリカの大学は厳しいので、日本の大学は根本的に見直すべきである。
      プログラミングというのは数学や理科の強い子であれば、中学生ぐらいからできる。彼らに英才教育をしたら、恐らく18とか19で世界一流になれるのではないか。日本は高専という仕組みにもっと国として力を入れ、ソフトウェアのエンジニアを養成すべきである。
      コンピューターサイエンスなどはオンラインですばらしい授業があるため、それを活用すべきである。
      本気で日本にソフトウェアエンジニアを育てたいのであれば、日本の高専を最大限に活用し、そのうちの3分の1でも半分でも構わないのでソフトウェアの育成学校に変える。高校1年生で高専に入学したら、1~2年で英語と数学、物理の基礎を徹底的に鍛え、それ以降はオンラインでコンピューターサイエンスの勉強をしてもらう。先生の役目は詰まった子の補助や、プログラム作成のチューターリングとして手伝うことが一番効果的であり、日本は変わるだろう。
      中学ぐらいで数学、理科が得意な子はエンジニアに向いているため、コンピューターサイエンスの英才教育で育て、18歳、19歳ぐらいで即戦力として働いてもらうことが夢である。
  • 構成員: 事業自体がある種の金儲けのためのものなのかという意味での営利・非営利という話と、出てきた利益をトークンホルダーに配当するかどうかという意味での営利・非営利というのがあるが、なぜ営利だとDAOは向いていなくて、ノンプロフィットは向いているかもしれないという考えなのか伺いたい。

    • 発言者: 前者の方である。要は儲けるかどうかという部分である。
  • 構成員: 物作りをして儲けるためにはDAOのようなガバナンスだと意思決定が難しい一方で、ノンプロフィットでアーティストを支援するのであれば、DAOのガバナンスが向いているのではないかという趣旨と理解した。

    • 発言者: 事業を行う時、特に新しいものを作る時は、多数決では上手くいかないことが多々ある。カリスマ的なリーダーが直感力で誰も進んでない方向に進むことで、大半の会社は駄目になるが、何社かは成功するため、経済が働いている。GoogleやAppleはそういう形で生まれてきた会社で、日本ではHONDAやSONYもそうだが、素晴らしい創業者がいて、その人のビジョンに優秀な人が集まり、成功する保証もないが、創業者を信じてついていくことですごいものができることが株式会社の素晴らしさであるし、それがイノベーションを起こすのではないか。多数決では良いものだけではなく良いサービスも提供できない。
      非営利の場合、例えばサンゴ礁を守るという非営利の団体を設立した場合でも、そのサンゴ礁を守るためには様々なやり方があるが、地方自治体にお金を配るのか、そのお金の使い道を決めるだけであり、お金を出した人たちが多数決で決めることはフェアであるし、利益を生む必要もない。みんなで気持ちよく、サンゴ礁保護にお金が使われたと納得すればそれで完結するため、DAOは向いているのではないか。
  • 構成員: ICOなどの時と比べた時に、全く同じ問題だと思っているか。それとも、何か性質の違う新しいことが起こっているのか。

    • 発言者: ICO、ガバナンストークンやIEOも全て本質は同じである。
      例えばIEOをどう審査するのか。反社会勢力がやっているというのはバックグラウンドチェックで調べられるが、若いやる気がある人がしっかりとしたホワイトペーパーを書き、その人間をインタビューしてしっかりした人材だったら、IEOは断れないのではないか。
      ベンチャーキャピタルというビジネスは選りすぐる。大体1,000社のベンチャーが生まれて6社ぐらいしか投資を受けられない。その6社のうち大半は倒産する。ただ、ベンチャーキャピタルは数十社に満遍なく投資するため、そのうちの10%が10倍、20倍になれば元が取れるというビジネスモデルなので、ベンチャーキャピタルはリスクを負える。
      一方で、ガバナンストークンの発行は、1,000社が全員平等で戦うわけではない。かつ、確かに反社会勢力を除くと、20%ぐらいは除外できるかもしれないが、80%が残ってしまう。彼らがIEOしたいと言ったら断れないのではないか。
      プロの投資家が投資する会社でも1,000社に6社しか投資を受けられず、そのうち成功するのは1、2社という厳しいベンチャー業界に、素人がIEOで上場した1,000社中の800社に対してみんなで投資するリスクの高さは言うまでもない。
      ベンチャー育成という意味では、彼らにお金を集めやすくしてあげることはいいことなのかもしれないが、消費者をリスクに晒している状況である。
  • 次回の研究会は、11月2日水曜日開催予定であることを事務局より説明。

  • 議事要旨は、構成員の皆様に内容を確認いただいた後に公表させて頂くことを事務局より説明。

以上