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第2回デジタル社会構想会議

概要

  • 日時:令和3年11月4日(木)10時30分から12時まで

  • 場所:オンライン開催

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. 議事
    (1)テーマ別の検討状況について
    (2)新重点計画の策定方針・構成について
    (3)国民からの意見募集について
  3. 閉会

資料

参考資料

※第2回デジタル社会構想会議の議論を踏まえ、一部資料に追記を行いました(令和3年11月17日)。

議事録

事務局: 皆様、お忙しいところ、本日は誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまから「デジタル社会構想会議」を開催いたします。

冒頭に事務局からお知らせを申し上げます。

本日の会議は、基本的にオンラインにて開催させていただきます。会議室にご参集の皆様の前には丸形のマイクを置かせていただいておりまして、常時、マイクが白色でオンになっておりますので、ご留意を賜りますようお願い申し上げます。

また、本日の会議は、この会議の運営要領に基づきまして、村井座長にご確認をいただき、プレスにリアルタイムでの公開をする形で開催いたします。傍聴希望のあったプレス関係者の皆様方がオンラインで傍聴しておりますので、その点ご報告を申し上げます。

それでは、村井座長、よろしくお願いいたします。

村井座長: 皆さん、おはようございます。お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。

本日、この会議室には構成員として平井構成員に臨席していただいております。オンラインで10名の構成員が出席ということで、12名全員が出席の予定と聞いています。三木谷構成員は入る時間、出る時間に制限があるようですけれども、できる限りの出席ということでございます。

デジタル庁からは、牧島大臣、小林副大臣、山田政務官に出席いただいております。どうもありがとうございます。

初めに、牧島デジタル大臣よりご挨拶いただきたいと思います。

大臣、よろしくお願いいたします。

牧島デジタル大臣: 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、大変お忙しい中、デジタル社会構想会議第2回目、このように有識者の先生方にお集まりいただいていることに感謝申し上げます。

今般、私自身は、また小林副大臣、山田政務官共々、デジタルの分野だけではなく、規制改革と行政改革も併せて担当させていただくことになっております。これは大変大きな意味を持っていると思っております。デジタル改革、規制改革、行政改革を一体として進めて行わなければならない。それによって、「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」という私たちのミッションをいかに実現していくのかというところを争点に、国民の皆様に改革の恩恵を届けられるように、しかもスピードを上げて届けられるように、その任務を果たしていきたいと思っておりますので、ご指導をよろしくお願いいたします。

重ねて、新型コロナによって、デジタル化の遅れというところを皆さんも指摘をされておられます。日本社会全体の在り方が問われたと思っています。日本のデジタル化の遅れをどのように取り戻すことができるのか、官だけではなく、民の皆様からも知恵をいただきながら世界に遜色ないデジタル社会をつくり上げていく。IMD28位(2021年)をどれだけ順位を上げていけるかというところにも挑戦する必要があるだろうと思います。

そのためには、デジタル社会にそぐわない部分、法律とか制度、また慣習というものも含めて、ボトルネックになっているのは何なのかという課題を徹底して洗い出してまいります。その上で、リスクベース、ゴールベースで規制を見直し、デジタル時代にふさわしい環境を整備していく。そのような思いから、総理からご指示がございました「デジタル臨時行政調査会」を早期に立ち上げて検討を進めていくこともご報告いたします。

また、依然として、デジタルと聞くと「冷たい感じがする」というお声は残っておりますが、デジタルで温かさを実感していただくことも併せて進めてまいります。そういった意味では、岸田内閣が「デジタル田園都市国家構想」を実現するということを明確に出しておりますが、これによって少子高齢化等の社会課題や、地方と都市の格差の問題、デジタルデバイドの問題を乗り越えられるという希望も多くの方が感じておられるところでございます。誰もが、いつでも、どこでも、デジタルの恩恵を受けることができる社会というものを具体的にお示しするためにも、「デジタル田園都市国家構想実現会議」が近日中にも立ち上がる予定であることもご報告いたします。

こうしたいくつか会議がございますが、この「デジタル社会構想会議」は、こうした構想や政策を進めていく上での道しるべとなるものと考えています。「あるべきデジタル社会」についてご議論をいただくものとしてお願いいたします。

平井前大臣の下、開催された第1回目の会合では、「この国をデジタルによってどう変えるべきか」についてご提言いただき、会合後も6つの論点、「成長戦略(データ駆動型社会)」、「国際戦略」、「デジタル人材の確保・育成」、「医療・教育・防災等の準公共分野」、「地域の活性化」、「誰一人取り残さないデジタル社会、国民参加」に分かれて、個別にご議論いただいたと伺っております。本当にご協力に深く感謝を申し上げます。

本会議で議論した内容は、先ほど申し上げました2つの会議に対してもしっかりと伝えていくと同時に、年内に策定予定の「新重点計画」に反映していく予定です。

この新重点計画への注目は大変高いものになるだろうと思っています。これまで、官のほうで出しますこうした計画を国民の皆様が熟読されるという場面は少なかったかもしれませんが、この重点計画は国民の皆さんにも読んでいただくものになるだろうと思っていますし、読んでいただいて、デジタル社会がこのようになるのだなと納得いただける、そうしたものをつくりたいと思っています。

そういう意味では、国民視点とかユーザーの立場に立って、私たちが意識をしているものを示した社会実装をどのように示すことができるかが新重点計画の新しい形としてイメージしております。そうしますと、準公共分野への関心が高くなるだろうと思います。当然、行政サービスを抜本的に改革しなければならないということ。それから、産業全体でどのように捉えて成長戦略としてメッセージを出すことができるかというところも、この新重点計画の中で意識をし、さらにはDFFTなどグローバル戦略についても書くことになるのではないかと思います。

本日もぜひ、「あるべきデジタル社会」の実現に向けて、構成員の皆様に大所高所からのご意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

私からは以上です。

村井座長: 牧島大臣、ありがとうございました。

それでは、報道関係の方はこれでご退室をお願いします。オンラインではいらっしゃっていただいていいのですが、この部屋からは退室をお願いするということになっております。よろしくお願いいたします。

(報道関係者退室)

村井座長: それでは、議事に入りたいと思います。

今、お話があったように6つの分野ということで、構成員の方には打ち合わせ等で相当なお時間を使っていただいたと伺っております追ってご報告いただきますけれども、その前に事務局から全体の説明をお願いいたします。

事務局: 資料1をご覧ください。第1回の会議で構成員の皆様から自由にご提案いただいたテーマにつきまして、そこからテーマを抽出いたしまして、先ほど大臣からお話がございましたけれども、6つを設定いたしました。

第1回から第2回までの間に、各構成員の方々にリモート会議等でご議論を深めていただきまして、各主査の方を中心としましてご意見等を整理していただきました。

簡単ですけれども、資料の紹介は以上でございます。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、早速、第1回の構造会議の前後から何度か集まっていただいて、議論していただいた結果を、各テーマの主査からご報告いただきます。

大臣からもお話がありましたように、新重点計画の第1部、第2部という構成になって、大臣は道しるべとおっしゃいましたけれども、その第1部のほうの趣旨につながる提案になるものと期待されております。

私は20年間、IT政策に関わってまいりましたけれども、その間にずっと投げ続けた高めのボールを全て受け止められてデジタル庁ができたという話をよくしているのです。そういう意味では今までの延長上ではなく、本当の意味での新しい重点計画になるよう議論した結果を有識者の立場から説明していただきたいということを私からお願いしました。

まず、伊藤構成員、「国際戦略」をお願いいたします。5分以内でお願いします。

伊藤構成員: ありがとうございます。伊藤です。

我々のここに表示されているメンバーと、あとはデジタル庁の座間さんと坂さんにも随分助けていただいて、第1回で構成員から出たものをまとめて、それと、ここに出ているようにデジ庁側もいろいろヒアリングをして、私も個別に他の構成員とも話をしてまとめたものです。

大きく分かれると、DFFTというのは随分いろいろなところで話が出ているのですけれども、いろいろな構成員やデジ庁の方と話していると、トラスト、信頼を高めると構築するということのくくりには入ってしまうので、やはりトラストビルディングというのは特に国際的には重要なので、それが一つの大きな柱でDFFTの中に流れていくのではないかなと。

あと、オープンスタンダードも随分以前にも議論されたのですけれども、もっと細かく、どういうふうに考えていくか、どうつくっていくかという議論と、国際的にもっとコラボレーションしていかなければいけないという話も出てきていて、4つ目は、その他関係していること、これは三木谷委員からご意見のあったイコール・フッティング、国内の会社だけに規制がかかって、海外から来るのはかからないというような、ほかの論点もいろいろ出てきているのですけれども、あといくつかスライドがあるのですけれども、座間さんにプレゼンテーションをしてもらって、ほかの構成員も何かコメントがあったらしていただければと思います。

座間国際戦略統括: ありがとうございます。国際戦略統括の座間です。

まず、最初のスライドが今お手元に映っておりますけれども、国際標準、もしくは標準までは行っていないけれども、グローバルの基準として求められるものへの対応というところです。

国際標準という話もよくキーワードとしては出ますけれども、分けて考えると、先ほどDFFTの話もありましたが、標準をリードしていくという立ち位置、それから国際標準に対応していく、準拠していくというもの、もう一つ、標準までは行っていないのだけれども、国際的に見て当たり前にあるとか、もしくは対応が求められることについての対応というものの、大きく3つがございました。

このペーパーは以上です。

伊藤構成員: 1回これをさっと行って、みんなのコメントがあったら追加したいと思います。

ここに入っている非政府、非商用というのは、村井先生辺りは分かるかと思うのですけれども、我々が日常的に使っているプロトコールとか国際的な標準、例えばHTMLとかTCP/IPは、実は政府主導の標準化システムでもなければ企業中心でもないので、今までの国が中心になって動くと、どちらかというとITUだとか政府主導型、もしくはインダストリー主導型のプロトコールが多いのですけれども、インターネットでは実はこういうノン・ガバメントのものが多くて、意外にこういうのはちゃんと調査されないこともあるので、あえてそこに入れました。

あとは国際的な、特にセキュリティとかプライバシーというのも、グローバルスタンダードもありますし、我々が今やろうとしていることもほかの国では一度やったことがあるような、例えばマイナンバーとナショナルIDとかがあるのですけれども、これの最新の情報とスタンダードには参加しながら、せっかくcome from behindで新しくいろいろつくるものがあるので、これはぜひグローバル基準でやっていきたいと思います。

座間国際戦略統括: では、次のスライドをお願いします。

こちらでは、国際連携・国際協調という枠組みで書かせていただいております。1つは、まず情報発信、透明性の向上ということが重要で、積極的に情報を発信していく、もしくはそういう場をちゃんとつくって運用していくということです。

2番目が、他国のデジタル庁。これはちょっと分かりやすくするためにこのような記載をしていますけれども、それに相当する機関と連携するということで、先ほどもありましたサイバーセキュリティなどもそうですけれども、信頼ある相手とやっていくということ。それから、3つ目にあります類似プロジェクトの事前調査を行うということ。

3番目に、これまであまり国際の文脈で出てこなかった、他国を支援していくというところもちゃんと掲げるべきであろうという議論がありました。

伊藤構成員に戻します。

伊藤構成員: この辺も全部トラストにつながっていくのは分かりやすいと思うのですけれども、そして、僕も実は日本語より英語のほうが楽なので個人的なバイアスがかかっているかと思うのですけれども、例えばウェブサイトとか資料が英語でないというのは、トラストにとってすごくマイナスだと思いますし、デジ庁がグローバル化とインターナショナル基準と言っている限りは、資料とかウェブサイトももうちょっときちっと全部英語にするのは、トラストビルディングもそうだし、コラボレーションにも重要かなと。

国際会議に行くと、日本からのプレゼンテーション、ダボスは最近随分上がっていますけれども、特にデジタル・ガバメントとかオープンスタンダードというのは、一部は出ていますけれども、国の大きさの割には少なかったりするので、こういうのもとても重要かなと。アカデミックコラボレーションも結構言語が今、壁になっているので、これをどうやっていくか。もちろん人材のところともつながってくると思います。

一部の海外のデジ庁を見ていても、新しいプロジェクトを提案するときには、オープンソースをはじめ、ほかでやっていないかどうか、なぜ自分たちでまた新たにつくらなければいけないかということをちゃんと示してから新しいプロジェクトが立ち上がるというのが原則になっているので、そういう意味で、これはプロキュアメントと関係してくると思うのです。

ただ、これは日本だけでほかにないかではなくて、国際的にほかにないかということをちゃんと議論した上で新しいものに取りかかっていって、もしオープンソースがあれば、それをできれば優先的に選んでいくということを例えばポリシーにすると、これも国際だけではないのですけれども、国際戦略がとても重要なポイントになるかと思います。

他国を支援、サポートするというのも、もちろんトラストビルディングのところもすごくあるのですけれども、私がいろいろ調べている限り、これからつくっている、例えばバングラデシュとかインド、インドは随分進んでいるのですけれども、かなり進んでいて、学べるところもたくさんあると思いますので、うちが支援していると思っていたら、実は我々も学びが起きるということもたくさんあると思います。

座間国際戦略統括: 最後のスライドです。

そのほかという形で書かせていただいていますけれども、国際とデジタルという文脈ですと実はいろいろなテーマがありますということで、途中もありましたけれども、人材ということで、中でも育てるとか学ぶということ以外でも、海外人材とか外国人人材、こういう人たちをどう活用していくのか。

それから、冒頭ありましたイコール・フッティングの問題。あと、規制対応コスト、デジタルGDPといったところと、最後に幸福度、Well-being、こういった論点での議論が行われました。

伊藤構成員: 特にグローバル人材のところは三木谷委員をはじめ随分議論になって、またこれから話があると思うのですけれども、ほかの構成員の方でコメントがあれば最後にお願いしてもいいですか。

村井座長: どうもありがとうございました。

では、國領構成員、「デジタル人材の育成・確保」のテーマをお願いいたします。

國領構成員: 國領です。音声のみになっているかと思いますが、恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

池田構成員、伊藤構成員、三木谷構成員、それから様々ないろいろな方からインプットをいただきまして、ありがとうございました。

このテーマは、前回の構想会議でも大変大きな話題になったかと思いました。人材の件についてです。

まず、第1点目は、とにかくこの問題の大きさ、ここが決定的に問題だということについて認識を統一し、デジタル庁がイニシアチブを取りながら各府省に働きかけて具体的なアクションを取っていくことが極めて重要だと。そのときに、喫緊の対応と中長期的な育成と両方をやらないといけないと。ここについての危機感を強力にメッセージとして出していくべきではあるというのが最初です。その中でも特に重要であると思われるような論点を①から入れています。

まず、とにかく国際的な比較をしながら、日本がいかに遅れているかということをちゃんと認識する必要がある。

2番目が、システムの開発において、システムのITの性格が変わってきている。新しいITのリアリティーをちゃんと見た人材を開発していかないといけない。その具体的な数は何人、どこの部分で足りないかということをきちんと認識すべきである。

3番目が、この世界は国際的な連携なしではシステム開発ができないということをちゃんと認識して、英語ベースの開発プロジェクトを念頭に、グローバル水準の最先端スキルを志向する。英語教育がもう必須である。この中で、アメリカの企業なんかが人材育成とブランディングなんかを一緒にやっているというところも参考にしていくべきである。

4番目が、大学とか高等専門学校などの教育機関における実践的なIT及び英語カリキュラムの充実や、入学試験への反映というものを、これもずっと語られているけれども、ちゃんとやらないと駄目だと。それから、リカレント教育なんかで人材の流動性を後押しすることも重要だと。

5番目が、国内IT人材のことがもちろん重要なのですけれども、切迫性にも鑑みるし、世界最高水準ということを考えたときに、外国人人材を積極的に活用していくべきである。

6番目が、保護者などの根深い保守的な考え方があるのですけれども、この辺のことも変えていく努力というのはしていかないといけない。

7番目としては、前回、伊藤委員からニューロダイバーシティの話がありましたけれども、多様な人材が生かせるような体制をつくっていくべきである。

2ポツ以降は、さらに具体論の中で重要と思われるものを掲げておりますけれども、初等・中等教育におけるプログラミング教育やリテラシー教育。

3ポツは、キャリアパスをちゃんとつくっていくという考え方から、スキル標準の充実や活用、ビジネスモデルの変革をしながら、人材が民間、地方公共団体、政府を行き来しながらキャリアを積むような環境の整備をしていく必要がある。

4ポツ目は、その中でデジタル庁自身が積極的に外部資源を活用したり、人材の流動性を促進していくような形の実践者であるべきであるし、その中で国家公務員制度などの見直しも逃げずにやっていくべきであると。

5番目は、それと連続していますけれども、外部組織・外部デジタル人材との協力体制をつくっていく。

6番目が、やや人材の分野と違うかもしれないのだけれども、人材が足りないという話になっている根本原因の一つが、例えば自治体とか組織で似たようなアプリケーションをダブって開発している。これは縦割りの結果、多くの組織が重複して同じような機能を開発している。ただでさえ、深刻な人材不足に拍車をかけたり、開発スピードを遅らせているという現状に鑑み、政府調達したソフトウエアについては例外なくオープンソース化し、共有化すべき。予算編成に当たってオープンソースソフトウエアの提供や、状況・予定確認などを行っていくということで、足りない人材をいかに有効活用していくかというのも人材戦略の一環として重要ではないか。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

続いて、「成長戦略(データ駆動型社会)」の項目で、夏野さん、お願いします。

夏野構成員: 「成長戦略」です。

まず、「デジタルファースト社会へ」ということをもう完全に標榜することが大事だと思っています。デジタルファースト社会というのは、今まで規制改革等でいろいろなことをやってもデジタルファーストになっていないケースが多くて、デジタルに対応しましたではなくて、デジタルが原則でアナログがサポートですという形をいかにつくっていくかが大事だと思います。それによって、全く新しい、デジタルで全てをやることを前提にした社会構築ができればいい。そのときに、バックワードコンパチビリティーをあまり意識せずに新しいサービスをつくるということが大事ではないかということです。

次のページをお願いします。

すごく重要なのは、マイナンバーの民間利用がこれまでずっとある意味禁句になっているわけですけれども、いいかげんここに手をつけないと、この後非常に問題になるだろうと思っています。

今まで個人情報の問題とかいろいろな形で、2000年代から住基カードあるいはマイナンバーというものが非常に怖いものだという意識が随分あったと思うのですけれども、昨今、GAFAをはじめとしてマイナンバー以上の情報が既に取られているという状況を大分認識している国民も増えてきていると思うので、ぜひマイナンバーの民間利用拡大の議論は避けずに、正面から取り組んだらいいのではないか。

ただ、そのときに、今政府が進めているフィジカルなマイナンバーカードの話と、マイナンバーの利用拡大というのは別の話として整理したらいいのではないかという意見が出ていました。将来的には顔認証も含めて、いかに簡単に本人認証をするかということを進めていかないと、データ駆動型社会にほど遠いのではないかという話です。

次のページをお願いします。

デジタルプラットフォームということで、内閣府でもう既にやっているRESASはかなり情報が集約されていて、なおかつそれを地方自治体がみんな使えるような形になっているので、このRESASを最大活用していくということをもっと打ち出したほうがいいのではないか。場合によっては、RESASそのものがデジ庁の理想とするデータ駆動社会のプラットフォームになる可能性があるので、RESASそのものをデジ庁が巻き取ってもいいのではないかと思っています。将来的には、オープンデータができるのと同時に、NISTのようないわゆる標準化の機関もつくっていくというのが対になれば、非常にいいのかなという意見が出ていました。

また、デジタル法制局というものが若干議論されていると思うのですけれども、これは必要ではないか。つまり、全ての法案について、デジタル化を阻害する要因が入っていないかをチェックする機関がないと、個別の省庁が出してくる法案の中にどうしてもデジタルと合わないようなものが含まれる可能性があって、それは省庁レベルで直すことが非常に難しいと思うので、デジタル法制局のような仕組みが必要なのではないかという意見も出てきました。

次のページをお願いします。

最後に、アーキテクチャーと国という概念が必要なのではないか。つまり、アーキテクチャーをきちんと国がつくった上で、APIを公開して民間が使えるような話をしていったらどうだと。例えば、地方行政機関がAPIをある程度開放することで、銀行とかポータルサイトから行政手続ができるようになるようなことが必要なのではないかと。

そういうことを進めていくと、特に地方ベンダーの仕事がなくなってしまうのではないかと言う意見もありますが、そのような場面では新たな仕事が必ず生まれるものであると。こういう意見が出ておりました。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、越塚構成員、「医療・教育・防災等の準公共分野」をお願いします。

越塚構成員: 準公共分野でございます。

委員としては、私と、太田さん、川邊さんのほうに随分ご尽力いただきまして、また、デジ庁のほうでも矢作さんや村上さんや横田さんにも随分お世話になって、今回まとめさせていただきました。

10月のほうで少し事務局のほうでも資料を用意していただいた後に、2日に会合を行いまして取りまとめたところでございます。現状、まだ前半の議論というところもあるので、論点出しを中心にやっておりまして、どちらかというと発散する方向で議論を進めておりますが、今後は打ち出し方とかコンセプトというほうに重点を移して議論を進めていきたいと思います。

準公共というと、今回は教育とか防災、医療といった分野、またほかにもモビリティーとか福祉もそうだと思いますけれども、ある意味でデジ庁が所管している中でも我々の生活に直接かつ密接に関連している分野で、だからこそ民間が入って準公共で、やはり議論の中で出たのが「準」というところがかなり実は重要なポイントと考えています。準公共というのは、公共でもない、民でもないということが非常に重要で、ある意味で公共と民のいいとこ取りができればいいわけですけれども、逆に悪いとこ取りになるとうまくいかないということがあります。

そのときのポイントになっていることは、準公共は必然的に官と民と種類の異なるプレーヤーがたくさん出てきますので、まさに連携が重要であったり、プレーヤー間の壁、準公共ですから官と民の壁がありますし、また、地方と中央の壁であったり、またいろいろな分野があって分野の壁がある。こういった壁を打破すること。

もう一つ重要なのは、言い方が難しいのですが、壁の位置というか、例えば官と民の役割とか地方と中央の役割というのがデジタル以前に決められていて、それがデジタル化したときにその決め方がかなり課題になってくるところがあるのではないかという議論が随分あったかと思います。そういうところで、場合によっては同じことがいろいろなところで行われたり、先ほど國領先生のお話にもありましたけれども、そういうことが顕在化してくるということで、これが出てきています。

今、私がざっと申し上げたようなことは、まずここで準公共の特徴と課題というところです。ある意味で民間が入ってきていますので、積極的にやっていくことで公共性の高いサービスが提供できるということではありますけれども、また生活に関連が深い。データを利活用すればするほど、個人に即してパーソナライズした国民目線で密着したサービス提供が可能になる。

そのときに、先ほど壁の打破とか連携ということを申し上げましたけれども、実際、どんなサービスをするかということも重要ですけれども、その壁も意識しながら、どういった実現方法、バックエンドになっていくようなところとか、プラットフォームとかテクノロジーをどういうふうにしていくかというところの革新が非常に重要だということでございます。

下に3つポチがございますけれども、一つは分野を超えたデータの提供・共有を進めることが非常に重要。2番目のところにありますように、地方ごとに分割管理された、地方という壁があり、そのデータやサービス・ルールなど、準公共分野のデジタルサービス提供のスケールメリットの発揮を阻害しないようにするといったこと。また、準公共という趣旨を踏まえて、民間側がデータの利活用に際して守るべき原則も必要ではないかということでございます。

例えば、準公共のところで、データに関しても国や自治体が持っている、まさに公共自体が持っているデータの利活用はオープンデータで進んでいくわけですが、実は日本は小さい政府志向で、かなり民間が公的なサービスを担っている。だから、こういう準公共も大きな分野になるわけです。そうすると、公益性の高いデータが企業の知的財産のままになっていて、それがまた利活用を妨げているところもありますので、そういったところにも踏み込む必要があるのではないかということでございます。

次をお願いします。

具体的に検討すべき基本的な対応方針として、ここに大きく3つございます。公共データを民間で積極的に利用することを可能にする。公共データというのは、国や自治体が持っているデータという意味だけではありませんで、民間が保有する公共分野のデータも積極的に利用できるような仕組みが重要だろうということでございます。

2番目が、先ほど壁の一つである地方と国の関係というものが、そもそも自治法とかそういうことにも関連してくると思いますけれども、デジタル以前につくられた関係性がございます。それが大きなネックになっているところがかなり顕在化していますので、そういったところの見直しも必要である。

何回も申し上げていますように、非常にいろいろな壁、ないしはいろいろなプレーヤーが参加しているという分野でありますけれども、それぞれの分野を超えた連携の推進をしていくことが非常に重要だろう。また、そうすることで効果が出てくるだろうということでございます。

次をお願いします。

もう少し具体的な方向性も議論を大分進めておりまして、そういったことを進めることで、まず準公共分野は、だんだん固定化しているところ、硬直化している部分がありますので、そうではなくて、先ほどのデータの利活用、壁の打破ということで、新しい産業がそこから出てくるということが準公共分野を活性化する場合に非常に重要だろうということ。

そうしたときに、先ほどのことでもありますが、担い手になる人材の育成・確保が非常に重要と。そういった国民目線の非常に密着したサービスというのは、昨今の政権におけるデジタル田園都市国家構想、先ほど大臣のほうからもありましたけれども、そういったこととシナジーを持って一体化して進めていくよい機会としてこの中でも捉えておりまして、そういったことと密に連携しながら進めていくことが必要だろうということを今、議論しております。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、「地域の活性化」を池田構成員、お願いいたします。

池田構成員: 池田でございます。よろしくお願いいたします。

当グループでは、野田構成員と平井構成員と若宮構成員ということでありまして、いろいろと意見を出していただきました。ありがとうございます。また、篠原統括官をはじめ、デジタル庁の皆様方にも感謝申し上げます。

それでは、私のほうから、地域の活性化について説明をいたします。タイトルにあるとおり、デジタル田園都市国家構想ということで、今の政府が掲げておられるところでありますが、地方からのデジタル改革ということで、当然これをベースに考え方を整理しております。1から6までございますが、こういった形で、分散型社会の形成、デジタル・ガバメント、ネットワーク化、地域づくり、課題、そしてステップということで整理をさせていただいております。

次をお願いします。

まず、地方分散型社会の形成ということで、4つ、地方分散型の国土の形成、逆都市化、リモートワーク、地方分散型デジタル基盤ということで整理をし、どういったことをやっていくかということで、例えば分散型であればデジタルデバイド、地域間格差の解消ということで、それを進める上での取組等々をここに記載しております。一番下にございますが、こういったことを進める上で、やはり地方から進めるデジタルの実装というところで、ここには新たに「デジタル田園都市国家推進交付金」の創設ということを掲げさせていただいているところであります。

次をお願いいたします。

2つ目、デジタル・ガバメントと3つ目の人材と地域課題のネットワーク化。これは、地域課題に行政からの観点、住民からの観点ということで整理をしております。

行政については、地方公共団体のデジタル化ということで、行政手続を意識しない社会を目指すということで、ここに標準化等々が記載されております。また、地方公共団体の共同型の課題解決ということでありまして、公共団体の、地域はもちろんでありますが、一番下にありますが、要はこういうネットワークで結ばれますので、地域は離れていても、地域の課題単位でのプラットフォームの構築もできるのではないかという考えでございます。

また、住民サイドから言いますと、住民による地域課題の解決・提案ということであります。これにつきましては、地域の課題をオープンに発信して、提案・共創を促すということで、若宮構成員等々からご意見をいただいております。また、下のデジタル×脱炭素、循環経済の取組については、野田構成員からご議論いただいているところであります。

下は、地域におけるアイデアの共有ということでありますが、アイデアの横展開・拡大といったことでアイデア市場の形成、こういった提案もいただいているところでございます。

次をお願いいたします。

4つ目、デジタル化による地域づくりの飛躍的な推進であります。これは先ほど議論のあった準公共という分野とまさに中身が一致している部分がございますが、地域企業・第一次産業、地域防災・福祉、地域環境、オンライン教育、オンライン診療・処方ということでありますが、先ほどあった防災・教育・医療・診療というところはここに含まれております。

それぞれに方向性がありますが、例えば第一次産業でありますと世代交代契機にデジタル化支援ということでありますが、これは先般、太田構成員からも意見のあったところでありますが、そういった考えもここに入れさせていただいているところであります。

地域環境には、デジタル・トランスフォーメーションとグリーン・トランスフォーメーションの結合ということで、野田構成員の意見をここに入れさせていただいております。

教育・医療・診療のところは、デジタル人材の確保ということで、先ほどの人材分野のところの議論が当然関わってくることになると思います。

次をお願いいたします。

ここの課題については、これは地域の活性化という分野にとどまらず、議論として、平井構成員等々からもございましたが、課題についてしっかりと記載をしていくべきだということでありますので、地域の活性化という観点だけではなくて、全体としてここに記載をしております。

偏りのない公正なデジタル社会、デジタル投資のための予算制度、そして、ビジネスシフトへの対応ということでまとめております。一番上については、ネットの中傷、人権侵害、ここ最近も目に余るものがございますが、これに対することをしっかり書くべきだというご意見がございました。

予算制度につきましては、例えば年度を越えるシステム構築が難しい。今、年度予算でありますので、こういったところをしっかりしていきたい。提案として、例えば複数年度に投資可能な基金の設置といったことも考えていくべきではないかという議論がございました。

次をお願いいたします。

最後でございますが、デジタル田園都市国家へのステップということで、ここに項目を記載して整理をしております。足元、施策推進期、2025年度は基盤完成期、2030年度は成熟期ということで、取りあえず目安ということでステップを整理しているところであります。

それぞれに、足元ではデジタル活用支援員の実施・普及啓発であるとか記載をしております。主要31手続についてマイナポータルから手続可能にということを書いております。2025年度では、日本全国のラストワンマイルの問題、携帯電話不感地区の解消、また、基礎自治体の基幹業務システム等についての統一・標準化を実施といったことが書いております。2030年度、成熟期ということで、行政手続を意識しない社会の実現、逆都市化が進み、人間中心のデジタル田園都市国家の実現といった、目安としてステップについての整理をしたところでございます。

地域の活性化については以上でございます。よろしくお願いいたします。

村井座長: ありがとうございました。

次は、「誰一人取り残さないデジタル化、国民参加」の太田構成員、お願いします。

太田構成員: 太田です。

このテーマは、表紙にあります構成員のほかに、このグループはアクセシビリティーの専門家の方にも入っていただいて議論を重ねてきました。今日は、前半戦が終わるところですので、このテーマの基本的な考え方とその考え方に基づいた大きな方向性を、ちょっと生煮えの部分もあるのですが、悩んでいるポイントも含めて共有させていただきます。

次のページをお願いします。

このテーマで基本的な考え方を言葉にしてみました。3つポイントがあります。1つ目は、誰一人取り残さないデジタル化というのを言葉にすると、障害の有無、年齢、所得、地域、国籍等にかかわらずデジタル化の恩恵を享受し、課題解決だけではなくて豊かさを感じられる社会を、時間軸を設けて実行していくのだということが1つ目です。

2つ目は、共有したい認識というところですが、特に大事だなと議論したのが、これが障害者とか特有の課題を解決するだけでなくて、そのことがもっと広く、高齢者フレイルはもちろんのこと、いろいろなイノベーションがここから生まれて、国民一般に広がっていくのだ、そういう認識を持ちたいねというのが1つです。

2つ目は大事なポイントですけれども、みんなが公平にデジタルを使えることを目指すのではなくて、もっと実効性があるような形で、例えば使いたくないという人については選択の自由が確保されるような形で方針を打ち出していきたいという認識を共有したいと思っています。

3番目は、一番下ですけれども、このテーマだと、やったらよさそうなアイデアは無数に無限に出てくるのですけれども、それをやった結果として社会経済がどう変わっていくのかということを測定できないと進んでいきませんので、これはアルファベットで言うとEBPMと言いますけれども、それを率先してこの分野としてはやっていきたいという考え方になります。

その次のページで、その考え方で具体的な方針は何なのかというところをご説明させていただきます。

大きくは2つありまして、最後のところはほかのグループと一緒にやるところです。

まず1つ目は、デジタルの機器・サービスをいろいろな個人の特性に応じて使えるようにしていきたいということです。そのときに、繰り返しになりますが、みんなの公平ではなくて、使わない選択もちゃんと確保するということに留意しながらやっていきます。

2つ目がそれと反対になるのですけれども、では、使えたらいいのかというと、それだけではなくて、使ったときの負の影響です。デジタルの負の影響がこの10年、日本だけではなくて世界中でもう目に見えるようになってきていますので、安心して使えるようなことを目指していきたいというところです。

具体的な話を次のページからご説明します。

個々のいろいろな特性に基づいたきめ細かい対応をどうやっていくのだというのは、3つなのですけれども、1つ目は、障害者の方々、高齢者の方々から出発するのですが、これはさっき申し上げたように、もっと広く国民全体にイノベーションが広がっていくのだということで取り組んでいきたい。

3番目は、具体的な話としては、供給者側のほうですけれども、まだ日本では定着していませんが、サービスデザインをできるような体制、条件をちゃんと整えていくというところです。

もうちょっと具体的な話を次で申し上げます。

ここは、障害者の方にとってのアクセシビリティーということですが、いろいろ書いてございますけれども、知的障害も含めて広くやっていきたいというところもありますし、あと、課題解決だけでなく、ポジティブな面として就労支援等、この先の社会もどう変わっていくのかというのを出していきたい。それから、よくあるような専用機器ばかりでなくて、汎用性のあるものをやっていきたいというところです。

一番議論になっているのは一番下のポイントですが、このテーマはガイドラインも含めてやってきたのだけれども、実効性がいま一つだということで、どうやったら実効性が出るのだろうかということで、例えば、新しい情報アクセシビリティー法も含めて今回は検討していったらいいのではないか。これはいろいろな議論が今出ているのですけれども、あえて今日の段階で出させていただければと思います。

次をお願いいたします。

高齢者に関してはちょっとレイヤーが違っていまして、実効性があるような支援の仕方ってどうなのかということで、国のほうでも様々な実証事業をやっているのですけれども、ひたすら支援をすればいいのかというところがあって、使いたいということを認識していない方も含めて使いたい人が本当に使えるような形の支援というのはどういうものなのだろうねというところを議論しております。

次をお願いいたします。

最後がサービスデザインです。これはさっき申し上げた実効性の担保というものに重なるのです。まず、4番目にあるように、デジタル庁が範を示すべきですけれども、本当に実効性を伴うには、サービスデザインというのが行政で当たり前のように体制があって、もっと言えば、デジタル庁はもちろんですけれども、政府全体、自治体も含めて、調達の要件にちゃんとサービスデザインが入っていて、アクセシビリティーが担保されているということまで踏み込むべきではないかというところが結構ホットな議論になっております。

次をお願いいたします。

今度は逆です。使えるようにしたらいいのかというところですけれども、負の影響を最小化したいということで、誹謗中傷とか、分断とか、あと子供への悪影響等とあるのですが、ここでの議論は、いたずらに禁止する、制限するということがいいのかということについて、これは海外も含めて禁止とか制限というのは必ずしも負の影響を最小化できないということが分かっていますので、3点目にDQ、Digital Intelligenceというのを書いていますけれども、ここをしっかり教育を含めてつくっていく。

これは今、国際的な考え方がありますけれども、日本は大体平均的なのですけれども、特に弱いところが教育現場におけるDQがすごく遅れているのです。いたずらに禁止している、制限しているという、あまり効果的ではない方向にやっていますので、ここはやはり実効性があることをしっかりやりたいよねという議論をしております。

最後です。

このチームは結構広いテーマを扱っていますので、所得による格差、特に今、教育面で小中学生も1人1台持っていますけれども、では家庭でどういう環境なのかというところとか、あと特に災害時に外国人の方がどういうふうに危機的な状況に対応できるのかとか、あとは、さっきもチーム5でありました地方格差です。これに関しても、このチームならではの方向性を出していきたいというところを今議論しておるところです。

以上です。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、第1ラウンドが終わったのですけれども、あと30分弱なので、テーマ別にざっとご意見を伺います。

英語の話が国際戦略でもデジタル人材でもかなり厳しく出てきましたけれども、具体的に何をすればいいでしょうか。

小林デジタル副大臣: 全体を通じていいですか。

先ほどの国際関係について言えば、多言語化は、予算で対応できるものとしてはとりあえずウェブサイトの多言語化と、重要な資料についてはチョイスをして早くデジタル庁で多言語化するということをやるだけなのだと思います。

村井座長: 英語化を義務にできますか。オンラインのドキュメントは必ず英語。できますか。

牧島デジタル大臣: どこで線引きするかなどがあるかどうか。

小林デジタル副大臣: ちょっと検討しますけれども、できる限り公開するものについてはやります。

村井座長: やり方として、日本語の資料をつくってから翻訳するということをやっているからお金がかかるので、少し別のやり方を考えていただきたい。もし、勝手に言っていいなら、そもそも雇用するときに英語を話せるかの確認ができればいいと思うのだけれども、今、雇用されている人の中で英語を話せる職員は何%ぐらいいるのでしょうか?自分で英語を勉強することを補助するということは可能ですか?職員の人が自分で英語を勉強するなら、そのための手当をつけるとか、頑張った人は褒めるとか、そういうことを進めて、今働いている人もみんなある程度英語で議論ができるようにしていただきたい。

小林デジタル副大臣: これはデジタル臨調のほうで取り扱いと思っているのですけれども、これまでも職員の皆さんのスキルアップというところにインセンティブが非常に少なかったので、先ほどの英語だけではなくて、様々なスキルについて進めていきたいと思います。

村井座長: ありがとうございます。

小林デジタル副大臣: そのままの勢いで全体を通じていいですか。

議論をする上で、どのレイヤーで議論をするかというのを共有しておかないといけないと思うのですけれども、私はデジタル社会構想会議で出てくる話は、当時の全国総合開発計画のように、日本のインフラをつくり変えるというレベルの議論をここで打ち出していかなければいけないと思っています。そのために、デジタル臨時行政調査会という、大きな社会構造を変える場をつくっています。

先ほどの、例えば人材ということで言えば、もう厚生労働省がやっている職業訓練とか、学び直しとか、コンテンツを丸ごと入れ替えなければいけないし、インフラも変えなければいけない。

今、大学、高専まで出ていますけれども、工業高校は地域に行くとかなり古くなっているわけです。でも、あそこがデジタル人材の拠点になるはずなのです。これを先ほどの交付金の話で言うと、今までみたいに何でも使っていいからといってまくのではなくて、ちゃんとしたインフラの再構築のためにきっちり使うことを条件にしてやっていく必要があると私は思っています。

加えてもう一つのポイントは、一つの課題に一つの政策ではなくて、多機能で解決するということを考えたほうがいいと思っています。先ほどの最後の「誰一人取り残さない」でいくと、インターネットによるリスクがあるけれども、使えるようになってほしい。そうすると、これは結構村井先生とよく話していますけれども、おじいちゃん、おばあちゃんに孫が教えるというのが理想なのです。小学生、中学生、高校生が高齢者に教える中で、自分たちもリテラシーを学び、かつ、おじいちゃん、おばあちゃんたちはデジタルを学び、世代間のつながりをつくるというように、サークル型の課題解決の手法をイメージしていく。なるべく多機能にしていくということを考えたほうが効果が高いし、さらにコストも低くなると思っています。

もう一つ、平井知事なんかと話したいと思うのですけれども、地方に人材回帰するためにはインフラだけでいいのかということです。エンターテイメント、暮らしていて面白いという場所が必ず必要なのです。だから、平井知事はあんなに駄じゃれを使って雰囲気をつくっておられる。地方で暮らす者としては圧倒的にそう思います。

そのときに、地域にある公民館とか交流館などの公共空間があまりにもアナログで、いつまでも高齢者しかいない場所になっている。一方で、子供たちが勉強する場所を彷徨っていて、ファミレスでずっと勉強しているみたいなことが起こっている。そのインフラも再構築をする。

そのときに、我々はPFIも担当ですから、PFIも使って民間の知恵でデジタル化をして、オンラインで公共空間が当たり前に予約できて、スマホで鍵が開けられる。こういう目に見えるインフラを再構築することで、日本全国民の意識を変えて生活様式を動かしていく。こういう大きな構想で議論がぜひできたらと思うので、構成員の皆さん、ぜひよろしくお願いします。

村井座長: ありがとうございました。

日本列島を改造するつもりでデジタル政策を考えてほしいということでしたが、国際戦略で何かほかにありますか。

伊藤さん、お願いします。

伊藤構成員: 国際と夏野さんのさっきのプレゼンテーションと重なるのですけれども、具体的にマイナンバーの話でちょっと入れたかったのは、僕も夏野さんが言うように、マイナンバーの普及によってもっと利便性が高まるということはとても重要だと思うのですけれども、私、プライバシーのほうから注意を入れておきたかったのは、アメリカでソーシャル・セキュリティ番号は1936年から普及していて、2007年に個人情報の盗難の被害がすごく増えたので、アメリカはタスクフォースをつくって、2008年からどんどんソーシャル・セキュリティ番号の利用を削っていこうとしていて、連邦政府は必要がなかったら使うなとか、民間とかメディカル、学校はなるべく使うなと言っていて、ソーシャル・セキュリティ番号がいろいろなところで使われたことによって、個人情報の盗難の被害が悪化しているということが結構アメリカの政府の中から言われている。

たしか韓国も随分早くからやっているので、他国で番号を使ったことによっていろいろなエビデンスとか学びがあると思うので、そういうプライバシーのテクノロジーとか、信頼されたところがきちっと使う方法のいろいろな学びが国際的にあると思うので、国際戦略の部分とマイナンバーの話をつないでいきたいと思います。

村井座長: ありがとうございます。

それでは、次の人材のところにフォーカスを。ほかのところでもいいのですけれども。

山田デジタル政務官: 政務官の山田太郎でございます。

まず、国際のところですごく感じるのは、とにかく政府は海外のことを知らな過ぎます、経験がなさ過ぎる。私もずっと外資系の会社のトップをやっていたり、海外でもかなり働いてきたのですけれども、そういう人材を入れないと仕方ないのと、本来は大使館なんかがアタッシェで調べる機能があるはずなので、うまく政府もそういう連携を図るべきかなと。

ベンチマークで、諸外国や国内でもそうですが、優れたものがあったらまず真似るというのが一番いい戦略です。それを超して、プラスアルファでユニークなものをつくるというのが大戦略だと思うので、人材的に言うと、教育も大事なのですけれども、そういう諸外国で経験をしてきた人を積極的に入れないと、なかなか教育だけで達するものではないのではないかと思っています。

もう一つ、どうしても国際戦略というと個人の海外留学とか経験だけを問うのですが、組織間組織の問題というのがすごくあって、例えば私は外資系企業でやっていましたけれども、国際的な会社のプロセスというか、マネジメントの手法というのを学ぶべきだと思っています。例えば方法論みたいなものがあって、外資系企業だと、いろいろな外国人がたくさん入っていってもスタンダードが守られるようにということで、メソッドはかなり工夫されているのです。それ自身が国際化であって、点でもって国際の人がたくさん入ってきたら国際化ではなくて、オペレーションというのが背景にあるのだから、私はそういった意味で諸外国のオペレーションのやり方もそうです、アメリカなんかは多民族国家でやっていますから、どうやっているのだろう、そういうことを含めて、面としての組織としての国際化を見ないといけないのではないかと思っています。

人材のところでは、まさに大学の在り方とか高専とか、特に高専の世界の立場がすごく弱いのですね。高専とは何だかよく分からない、日本独特です。でも、これが支えているのは事実だと思います。

私が経営していた会社は高専生をたくさん入れていたケースもありますし、大学でも教員を14年間やってきたのですけれども、デジタルとか電子学科の定員を増やそうとか減らすというのはほとんど事実上できません。

実際の運用に当たってどういう人材を生み出してほしいかというのは、教育の機関と社会のニーズというのをもっと合わせて定員の見直しやカリキュラムの見直しをする。いまだに十数年間同じカリキュラムをやっている学校が沢山あるという中で、根本的にそこまで手を出して介入してやるのが今回の改革の方向だと思いますから、そういうことも含めて提言があればと思います。

村井座長: ありがとうございます。

もうテーマごとに順番に行くのは諦めます。どこでも結構です。さきほどの工業高校と高専の話で気をつけなければいけないと思っているのは、デジタルだから工業だということにとどめるのがデジタル社会ではないと思います。工業高校と商業高校と農業高校があるでしょう。だから、高校六次化ということで、3つの高校の連携を進める事が有効かもしれません。

若宮さん、お願いします。

若宮構成員: 若宮でございます。

私がお願いしたいのは、まず、デジタル活用支援員みたいなものに偏りがちなのですね。基本的に、なぜマイナンバーカードが必要なのか、マイナポータルは何のためにあるのかということが分かってもらえない。マイナンバーカードなんかをゲットしても、それを箪笥に入れて鍵をしてしまうということになりがちなのです。

もう一つは、さっきもデジタルを使わないことも自由だということですが、確かにそうですけれども、デジタルを使わないことの不利益が分かっていないから使わない人と、よく知ってしていて使わない人とあると思うのですけれども、不利益が分かっていない人には知らせる必要があるということで、デジタル庁の広報活動がこれから非常に重要な役割を果たしてくると思います。その点についても、ぜひお考えいただければありがたいと思います。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

野田さん、お願いします。

野田構成員: ありがとうございます。

先ほど副大臣だと思うのですけれども、本当にそのとおりで、デジタルを使ってどう日本をつくり変えていくかということだと思っているのです。地方活性化のところで池田主査からご説明をいただいたとおり、一番大きなゴールは地方分散化をどうやってデジタルで実現するのかということだと思っています。

コロナによってデジタル化が少し進んで、それで初めて東京一極集中が解消する方向に動き出した、転出超過になってきたということで、これは本当にビッグチャンスだと思っています。今まで地方創生と掛け声をかけながらもなかなか実現しなかった。それは、仕事が地方になかったからというのが大きいと思うのです。デジタルを使って地方に本当の意味で仕事をつくっていく、イノベーションを生み出していく、スタートアップ、起業を促していくということが非常に重要だと思っています。

その観点から、地方の課題が何なのか、地方でどういう社会課題があるかということをオープンに市民に出していく。それを見て、若者はデジタルツールを使って課題を解決していく。それが起業につながっていく。そして、地域に根づいたエコシステムがつくられていく。

ですので、自治体が市民を信頼してデータを出すということは今までできていなかったのですけれども、やはり台湾で成功した事例も踏まえますと、政府が国民を信頼する、自治体が市民を信頼して、オープンに透明性を持ってデータを共有して、そこから種を見つけて起業を生み出していくという流れをしっかりつくっていくことが大事かなと思っています。

そのときに、予算のことも説明の中に入れていただいたのですけれども、どうしても単年度予算でやっていると非常に遅いということもありますし、大きな変革をするときに複数年度で、先ほど交付金は何でもいいというのは難しいというのがあったのですが、何でもいいということではなくて、この課題を解決するためにこういうプロジェクトをやりますと、そのときにデジタルは初期投資が必要ですので、どうしても単年度予算ですと初期投資ができないということで悪循環に陥ってしまいますので、複数年度、4~5年という単位で予算をつけて、その中で初期投資、デジタルに投資をしながら社会課題を解決していくというビジネスを生み出すことをなるべく促すような仕組みを、大臣からも規制改革という話がありましたけれども、ぜひ規制改革とセットで進めていただくことが重要かなと思っています。

以上です。

村井座長: ありがとうございます。

川邊さん、お願いします。

川邊構成員: お疲れさまです。

自分が参加したテーマを含め、全部のテーマの話を今日こうして拝見して、俯瞰で捉えますと、民間との連携は他の省庁よりもデジタル庁は重要なのではないかなと大変痛感をいたしました。民間のほうがデジタル化が先に進んでいたり、技術があったりするケースも多いですから、うまく活用すべしということだと理解しています。

それを行う上での行政と民間の接点が恐らくマイナンバーカードの利用であったり、マイナポータルの利用であったり、あるいはAPI化みたいなところになってくるのかなと。もちろん伊藤穰一さんがおっしゃったように、セキュリティ面での配慮を加えた上での連携ということだと理解しています。

加えて、準公共のところで議論したところですけれども、準公共的な役割を担う企業には進んでオープンデータ化を要請するというのもやるべきではないかと俯瞰で見ても思いました。

これは、ふだんから話をして、ふだんから協定などを結んでいないと、いざというとき機能しないというのが今回のコロナでも分かったので、デジタル庁が音頭をとって準公共企業に対して連携をあらかじめ促すべきと思います。

ここまでは理想論で言えるところですけれども、実際にこれをやってみようとなったとき、常に弊害が出るのが官庁の縦割り、法律による規制、この2つが、私もヤフーで長年こういう準公共的なところをやってきましたけれども、必ず課題になってきます。

ですから、デジタル庁としては縦割りを横串で刺して調整して一本化するというところと、あと、デジタルに向かない法律を変えていくべきですし、これから出てくる法律に関しては、あらかじめその部分を考慮した、まさにデジタル法制局的な配慮を加えることが重要かなと、どの分野を見ても思ったところです。

以上、感想とご提案までです。

村井座長: ありがとうございます。

國領さん、お願いします。

國領構成員: 人材についていろいろコメントをいただいて、ありがとうございました。

ちょっと表現が弱かったなとか、範囲が限定し過ぎていて狭かったなという部分は反省をしつつ、かなり頭出しのようなことは今回入れ込んでいますので、この辺を事務局と一緒に肉づけしながらインプットさせていただければと思います。

2点目は、今、川邊さんに言っていただいたのでいいのですけれども、考えれば考えるほど、これは縦割りの外に出ていかないと、今回、デジタル庁は予算面においてほかの省庁に口を出せるということになっていましたけれども、この話は川邊さんがおっしゃるとおりで、制度とか法律を変えていかないと駄目なので、ここら辺は、大臣、副大臣から先ほど臨調の話で非常に力強いお言葉をいただいたので、我々もしっかり支えて、具体的にこうするべきだということについてインプットできたらと思いますので、引き続きよろしくお願いします。

村井座長: どうもありがとうございます。

太田さん、お願いします。

太田構成員: 太田です。

小林副大臣のおっしゃった複数効く政策というのは、さっきの伊藤さんとか國領さんの話にありましたけれども、改めてオープンソースという原則を打ち出すというのがいいかなと思います。

これは重複しますけれども、当然、国際性、グローバルというのが前提ですし、GitHubなんかはもう3,000万人のエンジニアが入っているということで、人材に対しても対応できますし、あと、実際に地方でスマートシティーをやろうとすると、もうベンダーさんは来てくれないのです。

やはり地域との格差の問題だったり、それも解消できますし、あとは、よくシチズン・イン・ザ・ループ、市民が開発のループの中に入るというのがオープンソースの特徴ですけれども、それによって訳が分からない間に自分のデータが使われているのではないかという不安とかアルゴリズムのバイアスというのも解消できたり、あと、去年、コード・フォー・ジャパンが東京都の新型コロナ対策サイトをつくりましたけれども、400人が参加して、いろいろな人が参加するので当然易しい日本語になるし、オードリー・タンさんも参加して多言語にもなっているので、多様性にも対応できるということで、今の行政はオープンソースを知らない人が多いのですけれども、今回、ぜひ柱として大きなうねりになるといいなと思っております。

以上です。

村井座長: 太田さんのところで、負の影響であるとか、デジタルを使わない自由を与えるといった議論がされましたが前に太田さんと話したときに「誰一人取り残さない」デジタル社会となっていて、実は私、何度か言ったのだけれども、あのとき決めたのは「置いてきぼりをつくらない」でした。「誰一人取り残さない」というのは、自分が引っ張っていくけれども、あなたのことは見ているねという、ちょっと上から目線なのです。「置いてきぼりをつくらない」というのは、自分は置いてきぼりにされていないという目線なので、その表現にしたのだけれども、いつの間にかこうなってしまいました。それはここまで来たらもういじれないと思いますが。

何が言いたいかというと、デジタルというのは使う・使わないではなく、デジ庁の仕事は基本的にバックエンドなのです。デジタル社会をつくると、みんなよくなって、自分はデジタルを使っているとか使っていないではなくて、社会全体がよくなるという話ではないかと思うのです。使わない権利のような言い方をすると、デバイスを使っている、パソコンを使うことがデジタル社会なのかなという印象を与えてしまう。

そういう意味で、デジタル化というのは社会全体がよくなって、サービスそのものがよくなって、みんなの生活がよくなるという方向で議論をしたほうがいい。そのためには、「誰一人取り残さない」というタイトル自体が実は少し違うのかなと思うのです。

小林副大臣: 変えましょう。

夏野構成員: その点に関して、これを言い出したのは僕なのですけれども、太田さんが気を遣っていただいて表現を変えていただいたのでこうなったと思うのです。僕が言いたかったのは、村井先生と全く同じで、デジタルを使うと社会全体が効率化するので、これを全員がデジタルを使うようにすると意識し過ぎると無駄が多過ぎますよということを言いました。

その心は何かというと、デジタルを使えない方と、そもそもデジタルを使う気がない方がいるのです。これは世代に関係なく。使う気がない方に使わせるというのはもう壮大なコストの無駄なので、使いたくない人は窓口に行ってください、しかし、窓口以降は全部デジタル化されていてうまくいく行政サービスが実現されているということが大事だと思ったので、それを太田さんが気を遣って表現を変えていただいたのですけれども、本来の趣旨は国民全員を確実に使わせるようにするということを目的にしないほうがいいという意味で言いました。

村井座長: ありがとうございます。

山田政務官、お願いします。

山田デジタル政務官: 今のところでもう一つ議論をお願いしたいのは、代理権とか委任権の話を真剣にやってほしいと思っています。私、障害者政策をずっとやってきたのですけれども、例えば障害者の人は使いたくても使えない人がいる。おじいちゃん、おばあちゃんで最後まで使えない人もおります。

そういった場合に、例えばマイナンバーでシステムに入力したときに代理権問題をしっかりやっておかないと、子供が入れた責任はどうなるのかとか、介助・介護の人がやった場合にその責任はどうなるのかという問題が日本ではクリアされていないのです。そういうところまで踏み込んで、現実に即してそこは議論しておく必要があると思っています。

もう一つ、今のところの延長上でもうちょっと議論を深めたいと思っているのは、ライフステージ・サイクル・マネジメントというのですか、UI/UXというところから全部つくり直すという発想に変えたい。特にデジタル・ガバメントはそうでなければいけない。子供を持ったときにどこにアクセスしていいか分からない。産後鬱になったときにどうすればいいか分からない。人は生まれてから死ぬまで、あるいは妊娠している人も含めて、ずっとライフステージがあるのだけれども、そこに対して全部マッチして情報を提供できるというのは、最後は意識しないデジタル化ということになると思います。韓国なんかはそういう意味ではすごくライフステージに対して意識しながら、人によって見せる画面を変えるところまで作り込んでいますから、そういうものも含めて議論すべきなのかなと思っています。

最後、医療とか教育とか防災もそうですけれども、これも利用者側からの利便性等も含めてもっと突っ込んで議論していいのかなと。特に民民の間で、医療だとPHR、パーソナルヘルスレコード、いわゆる電子カルテや処方箋データが行き来できない。防災なんかで、例えば何かあったときに、既往歴を持っている人がいた場合にどんな薬を飲んでいるかというのが分からなくて二次災害を起こしてしまうというような問題がある。

教育なんかはもっと典型で、GIGAスクールがこのまま行ったらふん詰まると私は思っています。つまり、オンデマンド教育をオーケーにするとか、しないというところまで踏み切らないと、本当の意味で準公共におけるところの教育の効果は出てこない。対面とか非対面というハード面だけでなくて、ソフト面としての教育の在り方。

そうなってくると、先生は黒板に書いて物を教えるのではなくて、一人ひとりの子供に寄り添って、できない子には何度も「これを見たらどう」と伴走型になるし、できる子には「もうちょっとこういうこともやってみたらどう」という形に、教育者の在り方も変わっていくというのがデジタル社会なのだといったところで、準公共のところは、デジタルのハード面でそういう機器が入っていくと何かいいことがあるのだけれども、それ以上にその先のデジタル社会というのはデータ駆動でどんな姿なのかなということを想像して、そのために、遡って今の仕組みを全部変えないとそういう社会は実現できないのではないかなというアプローチを強く持ってもらってもいいと思っています。

村井座長: ありがとうございます。

越塚さん、お願いします。

越塚構成員: 話を変えるようなことで恐縮ですが、先ほど小林副大臣のほうから話があったように、今回、デジ庁でこれを議論しているのは、新しい日本列島改造に近いようなことをどんとやっていくといったときに、準公共で考えていたことは、先ほど野田さんがおっしゃったような分散ということと、デジタル田園都市構想みたいなものがあって、準公共をやって、先ほどいろいろ縦割りの排除とか壁と言いながらも、ただ、日本全体で見たときには、分散していくということとか、田園都市、そういうことも重要といったときに、デジタルというのは効率化することが重要だと思うと、デジタルの一番いいところは限界費用はゼロですから、そういう意味でスケールメリットが大きいといったときに、分散するということと、縦割りを排除し、スケールメリットというのは、よく考えると矛盾した話で、ただ、この矛盾をいかに実現するかというアーキテクチャーが今回非常に重要なのではないかと思いました。縦割りするということは、割らない分散は何なのだろうというところですね。

そのためには、まず一つは、技術的には例えばAPIで連携するとか、データを連携するとか、そういう連携をすることも非常に重要でしょうけれども、それと今まであった線の引き直しというか、壁の引き直しというか、よく出る話が、これは準公共ではなくて公共ですけれども、例えば戸籍というのも日本で全部で1億3,000万ぐらいしかエントリーがないのに1,700にも分割したデータベースになっている意味はどこにあるのだろうというのは謎ですし、あと、私は大学にして、例えば入学試験の内申書を送ってもらうときでも、基礎自治体ごとに内申書はばらばらで、だから、オンラインアプリケーションというのは全然できない。そういうところが物すごくたくさんあって、そこに手をつけないとデジタルのスケールメリットは出ないのだろうけれども、先ほどの分散ということといかに両立させるかというのは結構難問で、そこは制度改革も含めてかなり議論していく、それが新しい日本列島をつくっていくことなのかなと思います。

村井座長: ありがとうございます。

越塚さん、医療・教育・防災等の準公共分野といったときに、防災に関して、この国は必ず地震が起こるわけです。その際、いつも指摘されるのは縦割り遵守の意識と、地方の基礎自治体と国、あるいはその間のいろいろな意味での連携不足であり、そのことで現場はいつでも苦しんでいます。国民1億2,000万人全員が防災に備える体制ができることに対する支持は高いと思うのです。デジ庁の看板を防災にするような話を少し考えていくのがいいのではないかと思うのですけれども、どう思いますか。

越塚構成員: まさにおっしゃるとおりです。僕も防災も関わっていると、例えば防災のやり方は、組織の問題もありますけれども、防災は全部ハードウエア・オリエンテッドで、まずハードウエアから始まるのです。堤防を造るとか、ITが出てきてもセンサーが出てくるとか何かで、もっとちゃんと連携するためには、デジ庁というところで言うとデータから入っていかないといけない。

例えば、地震が起こりましたというとき、それを通知するデータのフォーマットの標準化みたいなことが最後になってくるので、そういうのはデータ駆動型で防災も考えるということが、一つの例ですけれども、そういうことが必要かなと思います。

村井座長: ありがとうございます。

平井構成員が現場にいますので、お願いします。

平井構成員: 牧島大臣、小林副大臣、本当にご当選おめでとうございます。ぜひこれから一緒に一枚岩で協力していければと思います。

今、いろいろなお話がありまして、全て共感するものであります。その際に、ぜひ地方行政、地方自治体や現場のことも取り込んで話をしていただくと、多分答えが出ると思います。

今、村井先生や越塚先生がおっしゃった話、防災はまさにそうです。データの問題でいつも我々大変なのは、避難者の個人情報をどう管理するか。防災だとか、あるいは医療危機管理もそうです。先ほど山田政務官のほうから服薬の問題などもございました。合併症がどうだとか。こういうことが危機管理のときは乗り越えてもいいのだというのは、やはり法律がやってもらわないと、我々は決められないのです。しかも、自治体ごとに条例を持っていますし、個人情報の審議会などもある。

このようなことは、例えば先ほど大臣がおっしゃったデジタル臨調、こういうところで振りほどきに行くことが必要だと思うのです。全部やれとは言いません。危機管理は必要だと思うのですね。こういうメリハリをつけたデータの管理の在り方が一つ論点としてあるのかなと。

あと、今日大変出たのは教育の問題です。それぞれ政務官や村井先生などからも出ましたけれども、例えば高専だとか職業高校なども含めて、小林副大臣がおっしゃったように、使えるような体制に持っていかないといけないです。

ただ、これは教える人も必要です。しかも、教室の中でなければいけないのかというところは、もうちょっと皆さん考えてもいいのではないかなと思うのです。教員も勉強しなければいけなくて大変です。むしろデジタルであれば、インターネットを使って本当に面白い、ゲーム性のあるようなアプリケーションのことだとか、そういうことも含めた授業というのは別に全国一斉にやってもいいと思うのですね。そういうふうにやって、カリキュラムのことも、もっと今の教室型、板書型から変わってくることも含めて、我々は考え得るし、提案すべきではないかと今日伺っていて思いました。

あと、ラストワンマイルの問題、あるいはハードの弱感度の問題です。例えば中山間地だとかでどうしてもデータが使えない、インターネットが使えないところがやはり残っています。これは道路や鉄道を造るのと違いまして、そんなにお金はかかりません。ハードといってもソフトに分類されるぐらいのものです。

ですから、例えば交付金事業でデジタル社会をつくる、そういうデジタル田園都市構想は岸田総理の今の眼目であります。そういう中でこういうものも取り扱っていくと、例えば、最初につくるときは補助金を出すよと総務省は言うのですけれども、その後は結局、どんどんバージョンが上がっていくのに出さなくなる。そうすると、そこで止まったりするのです。また、携帯電話の会社は必ずもうかりませんので、そういうこともぜひ考えていただければありがたいかなと思いますし、交付金の問題では、小林副大臣がおっしゃったように、モデルケースを考えて、公民館とかそうしたところのデジタル拠点での交流ということはあり得るのではないかと思います。

我々鳥取県の場合、教育も老人クラブがやっているのです。非常に評判がいいです。みんなで教え合ってやるわけです。こうするとコミュニケーションが生まれるし、認知症予防にもなる。だから、固定的な教育の概念からはみ出したようなことも、こういう拠点を通じてできるのではないかと思います。

もう一点だけ、今日の議論で少し問題提起をさせていただきたいと思いますのは、例えば國領先生の人材の中の6番のところに、地方でのアプリケーションというものに対する懸念を示しておられたり、あと、夏野先生、本当に久しぶりに一緒に仕事をさせていただいていますが、夏野先生のほうで地方ベンダーに対する防衛というお話があったのですね。

これは、多分見方の問題だと思うのですが、防衛と言われると鎧兜が見えてしまう。地方の業者も鎧兜を被って刀も用意するということになります。多分、これは予定調和ができると思っているのでね。それぞれのところにそれぞれの理由があって、ベンダーがあり、アプリケーションの開発などもあります。これをぜひ皆さん研究していただいたらいいのではないかな。

特にデジタル・ガバメントで統一してということが先行して出ているわけでありますが、そういう人たちは、俺たちはどうなのだという話が出るわけですね。皆さんはこういう仕事がありますよ、こういうように役割分担をして手分けをしてみんなでやりましょうという全体像を示しながらやらないと、敵をつくっていくだけで、政治的には非常に厳しくなると思います。

ですから、そういうところはぜひご配慮いただいて、全体としてのソフトインフラ整備のための地方の雇用も生まれるということを目指していただきたいと思います。

村井座長: ありがとうございます。

時間を10分ぐらい経過していますけれども、残りの議題が2~3あるため、それを終わらせてから大臣にご発言いただきます。

事務局: 簡潔にご説明します。

資料3-1です。これまでIT基本法に基づくIT戦略と、デジタル手続法に基づく政府の行動指針のようなデジタル・ガバメント実行計画を作っておりました。これはデジタル庁になりましたのでもう一本化して、各思想も含めたデジタル・ガバメント実行計画と、社会のデジタル化を担っているIT戦略とを合わせて、新重点計画とさせていただきたいと思っております。

次のページをお願いします。

新重点計画のイメージでございます。今ご議論いただきました6つの点につきましては、第1部の冒頭に(1)から(6)それぞれの項目に若干書き換えていますけれども、例えば(6)の「全ての国民が参加できる」というのは、今日のご議論を踏まえて直していかなければいけないと思いますけれども、これからの議論を踏まえまして(1)から(6)に反映させていきたいと思っております。

また、第2部以降は、ただいま申し上げました、これまでにデジタル・ガバメント実行計画等で各府省に対する計画がありますので、そういったものを散りばめて政府としての行動計画をつくってまいりたいと思っております。

次の資料をお願いします。

また、国民からの意見募集ということで、「デジタル庁アイデアボックス」におきまして設問という形で意見を募集しようと思っております。ただ、設問をつくりますけれども、その項目につきまして関連するようなお話であれば、いろいろと募集して、皆様にいろいろとお話を書いていただいて、それも踏まえてまたご議論に反映していきたいと思っております。

以上でございます。

村井座長: ありがとうございます。

リテラシーという言葉が出てきて、一方、オードリー・タンさんなんかはリテラシーとコンピテンシーという2つの言葉を使い分けてデジタル政策を進めています。経団連などからもこういう発言がありました。そして、さきほど太田さんのところでDQという話がありました。

つまり、人間がデジタル社会にどう向かっていくかということを表現する言葉の意味と表現が揺れているのです。もしそれを同じメッセージで議論ができればよい。そのようにしていただければと思いました。

私からは以上です。

それでは、最後に、大臣、お願いします。

牧島デジタル大臣: ありがとうございます。

それぞれの専門の分野からご知見をいただいたことを感謝します。深い議論ができたと思います。

特に、副大臣、政務官からもお話しさせていただいたとおり、構造をつくり変えていくというときに、縦割りではなくて、デジタル庁だからこそ横串を刺していく、それと同時に地域分散も進めていく、これが矛盾しないコンセプトとして実現させていくという大きな方向性を示していただいたのではないかなと思っています。

それから、誰一人取り残さない人に優しいデジタル化というのをデジタル庁のミッションとして掲げていますが、これをどうやって解きほぐしていって皆さんにお伝えするかというところも課題かなというのは、今日のご議論の中でも感じました。

入り口のところで、窓口にどうしても行きたいという方は残るのだと思いますが、それでもコロナ禍でプッシュ型の行政という今までにない申請主義からの転換というところも私たちは踏み出しているので、デジタルの恩恵というものは誰でも受けられるように、どこにいても感じられるようにするということなのかなという気はします。

恐らく、No one will be left behindというところを誰一人取り残さない、SDGsの基本的なコンセプトとして打ち出そうとしているというのは私たちの意図だと思うのですが、それをどうやって皆さんが受け止められやすい形のメッセージとして発信するのかというところを今日宿題として私自身は受け止めましたので、引き続きご意見をいただきながら進めていきたいと思います。

ありがとうございました。

村井座長: ありがとうございました。

石倉デジタル監: 新重点計画ですけれども、これはすごく大事な話だと思うので、デジ庁ができたからどうなったのか、国民からの評価はすごく大事だと思います。だから、どういう形でこれから進めるのかということと、6月に出したものと何が違うのかということと、いろいろなことが書いてあるけど、どこに優先順位をつけてやるのかというのが、先ほど防災をデジ庁の看板にしたらどうかというお話もありましたから、一番アグリゲートしそうなものを考える。

そのためには、全体がばらばらに出てくるのではなくて、政府が目指している姿は6つのこういうことです、これをばらばらにするとこういう目標になって、それをどうやって評価するかというと、定性的、定量的に見ると、いつまでに何をやる、どういう指標で見ていく、そのためにはどういうアクションをしなければいけないのか、そういう全体像がそれぞれにあると、優先順位を考えたり、先ほど副大臣からあった幾つかの課題を一遍にカバーすることも、細かいレベルで見ることも分かりやすいと思うのです。そういう形で全体を考えていただけると、すごく優先順位もつけやすいし、どこかへ行って説明するのもやりやすいと思っています。よろしくお願いします。

村井座長: ありがとうございました。

それでは、私の不手際で数分経過してしまいましたけれども、本日の「デジタル社会構想会議」は閉会させていただきます。

それでは、事務局のほうにお返しいたします。ありがとうございました。

事務局: 最後に、非常に簡潔に2点だけ事務連絡をさせていただきます。

次回会議は12月8日です。構成員の皆様には出席の確認をさせていただきますので、よろしくお願いします。

2点目ですが、本日の会議資料は本日中にデジタル庁ウェブサイトで公開いたします。

議事録は、構成員の皆様にご確認いただいた後、同様にデジタル庁ウェブサイトで公表いたします。

以上でございます。

村井座長: どうもありがとうございました。以上でございます。