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マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第1回)

概要

  • 日時:令和3年10月22日(金)11時から12時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 昨年報告書フォローアップについて
      2. マイナンバー法に関する検討事項について
      3. トータルデザイン実現に向けた公共サービスメッシュ等の検討にかかる主な論点について
    3. 閉会

資料

参考資料

議事概要

日時

令和3年10月22日(金)11時00分から12時10分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 牧島かれん(デジタル大臣)
  • 赤石浩一(デジタル審議官)
  • 安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO)
  • 太田直樹(株式会社New Stories代表取締役)
  • 齋藤洋平(フューチャー株式会社取締役CTO)
  • 庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)
  • 森信茂樹(東京財団政策研究所研究主幹)
  • 江崎浩(デジタル庁CA)
  • 水島壮太(デジタル庁CPO)
  • 冨安泰一郎(デジタル庁統括官)
  • 楠正憲(デジタル庁統括官)
  • 吉川浩民(総務省自治行政局長)
  • 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)※当日は所用によりご欠席
  • 大谷和子(株式会社日本総合研究所執行役員法務部長)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)※当日は所用によりご欠席
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)

議事概要

冒頭、牧島デジタル大臣より、本ワーキンググループでは、マイナンバーの利用と情報連携の範囲拡大の検討及び2025 年を国・自治体を通じたアーキテクチャの当面の実装ターゲットとし、マイナンバー制度や国と地方のデジタル基盤の改善に向けた方針を示していく旨等の挨拶があった。

続けて事務局より、トータルデザインに関する討議に際して、ワーキンググループ設置要領に基づき、特別構成員も参加することについて説明があった。

(1)昨年報告書フォローアップについて

資料1に基づき事務局より、昨年の報告書フォローアップについて説明があり、構成員より主に以下の発言があった。

  • コロナ対策として特定公的給付の制度が実現しているが、今後プッシュ型の給付を行う場合、情報連携の範囲が広くなる可能性がある。その際には、税法上の守秘義務との関係など踏まえて、必要となる情報を整理しながら進めてほしい。
  • 国民と政府と民間の情報をつなぐハブとしてマイナポータルは重要であり、マイナポータルの利便性向上はカードの取得にもつながる。そのため、民間企業と連携しつつ、給与情報や副業の収入情報をマイナポータルにいれ家計簿的な機能を持つシステムの構築や、デジタルセーフティネットとして、プラットフォーマーからフリーランスやギグワーカーの収入情報をポータルに入れさせる仕組みを構築し、その情報を、公的な給付の申請にも活用するようにすべき。
  • 預貯金口座付番については飛躍的に進む法改正をした。それでも、まだ全員まで広がるかは疑問なので、付番の義務付けにむけた検討は今後も継続していくことが重要ではないか。
  • マイナンバーカードについて、今の普及状況、大分加速したというところはあるが、このまま全国民に普及するかどうか心配。高齢者の方が若い方より取得している傾向にあり、男性よりも女性が取得している傾向がある。最後まで手が出ない方にどのようにリーチするか、もう一段階の工夫が必要である。
  • マイナンバーカードの健康保険証利用については本来予定した時期より遅れ たわけだが、なぜ遅れたのか。デジタル改革の他のスケジュールに影響することも考える必要がある。
  • 厚労省より、オンライン資格確認システム上に保険者が登録するデータに一部誤りがあったため、修正作業やシステムのチェック機能の強化に時間を要したこと等が、マイナンバーカードの健康保険証利用が遅れた主な原因であり、データの正確性を担保した上で、マイナンバーカードの健康保険証利用の本格運営を10月に開始したところ、との発言があった。

(2)マイナンバー法に関する検討事項

資料2について事務局より、マイナンバー法に関する検討事項について説明があり、構成員より主に以下の発言があった。

  • デジタル庁はEBPMを取り入れ、ビフォーとアフターがわかるよう国民の満足度調査をした方がよい。東京都では都民に対してデジタル化の満足度調査をしている。また、都職員に対しても同様の満足度調査を行っている。
  • 情報提供ネットワークシステムとマイナポータルの利用率が低迷しているため、情報連携とマイナポータルは抜本的な見直しを行うべき。マイナポータルを具体的に改善するために二点、一点目は次世代のものを小さなプロトタイピングを行いながら開発を進めるべき。二点目はオプトインで自分のデータを使用して良いと承諾したとき、原則としてプッシュ型のサービスができるようにすべき。
  • マイナンバーの活用は個人情報保護の観点から議論を深めるようにしたほうがよい。マイナポータルにおいて、自分の情報がいつどこで参照されたのかを確認できる仕組みが必要である。
  • マイナンバーの利用範囲を拡大していくことについて、やや慎重に考えている。マイナンバーカードでできることも含まれているので、マイナンバーカードを利用してできないことを検討した上で、今後どういったポリシーでマイナンバーの利用拡大をするかを示していくことが信頼につながるものと思う。
  • 国民に関するあらゆることがリアルタイムで可視化されているデジタル社会を達成するために、徹底的にユーザー目線で評価する視点が必要となる。
  • マイナンバーカードとマイナンバーというのは別物である。マイナンバーというのはIDであるのでIDとパスワードでログインできる状態をつくり上げないといけない。マイナンバーカードを普及させるのも重要であるが、IDとしてのマイナンバーをしっかり取り組むのも重要だと思う。
  • 現在のマイナンバーカードは、住民登録型になっている。実生活に即したユーザー視点からの議論が必要ではないか。
  • 2025年へのマイルストーンを定め、劇的に変わったという実感してもらえるよう、進捗管理をしっかりと行っていかないといけない。

(3)トータルデザイン実現に向けた公共サービスメッシュ等の検討にかかる主な論点について

資料3について事務局より、トータルデザイン実現に向けた公共サービスメッシュ等の検討にかかる主な論点について説明があり、構成員より主に以下の発言等があった(欠席した宍戸特別構成員、上原特別構成員のご意見について資料4-1及び資料4-2に基づき代読)。

  • 住基ネット事件最高判決をどのように受け止めるかが問題である。①個人に関する情報をみだりに開示又は公表されない自由、②個人に関する情報の利用等が正当な行政目的の範囲で必要な範囲に限定、③情報NWSにおいてハード・ソフト両面にわたり十分な安全管理措置が取られていること、が担保されていなければ違憲の疑いが生じるとするものであるが、住基ネット導入後のR3年の個人情報保護法制の改正により、個人情報保護委員会による一元的な監視監督体制が整備されたことにより、住基ネット導入当時とは異なる前提状況が生じている。分散管理と集中管理の二元論ではなく、アーキテクチャ上の情報の性質・内容や取り扱われ方に即して、プライバシーリスクのコントロールを実効的にガバナンスする体制の構築・運用が重要である。
  • データを「本人のもの」と考えて、まずはデータをガバメントクラウド上の本人専用の「置き場所」に戻し、その置き場所の提供責任は国が一元的に負うが、そのデータの取扱い権限と責任は各種法令に基づき適切かつ柔軟に国・地方公共団体に分配すると考えることも、「分散管理」の一種と位置付けられるのではないか。
  • 各論的課題の検討には、個人が「官民協創のエコシステム」において積極的に価値の実現に参画し、それを享受する地位にもあるという位置づけを強く打ち出すべき。
  • 行政サービスの広域連携のインフラとなるように、サービスごとの市区町村間の「横」のスムーズな連携のため、地方公共団体の現場の実情や意見を適切に吸い上げながら進めることが有用である。
  • 公共サービスメッシュ等の検討にあたっては、セキュリティの確保に加え、個人参加の原則の実現も重要である。
  • 実装に向けたロードマップ策定にあたっては、自治体毎に人材、予算、運用負荷等の事情は異なることを前提に、様々な自治体の実情を踏まえながら、多様なケースに応えられるように留意することが重要である。
  • 民間サービスとの連携は重要である一方、民間が接続するフロントサービスを利用するかどうかも含め、あくまで個人の明確な同意に基づくべき。
  • 行政サービス体験を変えるためには、UI・UXに優位性がある民間サービスもこれを担えるようにして、ユーザーの選択肢が広げられるように出来るようなルール・システム設計が大事。また、情報連携することによって、デジタル完結・デジタルセルフサービスの実現が大事だと考える。
  • 必要なときに必要なデータ連携ができる環境整備が必要。緊急時対応を縦割りせず、同じアーキテクチャでサービスが実施できれば、コストも時間も節約できる。
  • 緊急時の迅速なサービス立ち上げが重要であるとともに、緊急時は申請主義では遅すぎるので、プッシュ型を全国民に対して実現すべき。
  • 住基ネット、情報提供NWS、公的個人認証の一体的な再構築をいまいちど実施すべきではないか。データは分散管理が原則だが、システムは国が一括で整備すべきではないか。
  • R3年の個人情報保護法制の改正により、分散管理の考え方も以前と異なるステージに入った。こうした中で個人情報保護委員会のガバナンスが確実に担保される体制の構築が重要である。
  • 分散管理のあり方、住基ネット訴訟最高裁判決の技術的解釈を明確化することが重要。VRS構築の際のデータの持ち方の議論をふまえ、本WGでも議論を進めてほしい。
  • 従来の調達手法は、個別業務に特化したシステムの調達が想定されている。他のシステム等で使えるという視点、アーキテクチャに横串をさしながらガバナンスをきかせるための調達プロセスの見直しも重要である。
  • トータルデザインの実装は、業務改革(BPR)をあわせて実施することが不可 欠。VRSの実装に際して浮き彫りになった一気通貫でデジタル化するための課題も踏まえ、業務サイド・システムサイドのコミュニケーションのインフラを整えつつ、IT調達のプロセスを緻密に実施する仕組みとしてほしい。
  • 公共サービスメッシュは、個々のシステムとゆるやかな結合でつながりつつ、データ標準化のもとで、疎結合で進めるにあたり重要。データ連携をスムーズかつ安全に実施するための機能と冗長性をしっかり確保すべき。
  • 情報の分散管理は、権力・権限の分散化の意味がある。最高裁判決はデータの置き場所ではなく、データ管理権限にかかる理念として捉えるべきであり、マイナンバーに紐付く個人情報を一元的に管理する機関・主体を作らないことは今後も守ることが必要である。
  • デジタル弱者サポートは大事だが、代理権限の乱用を招かない機能設計が重要。
  • 開かれたシステムであることは重要だが、公的なサービスにおいて脆弱なシステムが提供されることがないよう、第三者認証の仕組みなど消費者が見極められるようにすることが重要ではないか。
  • 制度間の関係から、システム構築の前後・順序を考えることも重要である。
  • 国会、地方議会での審議も含め、2025年に向けて自治体ではシステム標準化の対応もある。トータルデザインの実装にあたっては段階的な実施を検討することも重要。国のシステムから着手することも検討すべきではないか。

閉会にあたり、事務局より、本日の議論を深掘りするため、トータルデザイン実現に向けた自治体タスクフォースを立ち上げ、自治体の職員の方々も参加の上、検討を進めるとの説明があった。

以上