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マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第3回)

概要

  • 日時:令和4年3月17日(木)13時から14時30分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. 利用者目線の行政サービス実現に向けたトータルデザインの検討について
      2. マイナンバー制度の利活用について
    3. 閉会

資料

参考資料

議事録

日時

令和4年3月17日(木)13時00分から14時30分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 牧島かれん(デジタル大臣)
  • 赤石浩一(デジタル審議官)
  • 安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO)
  • 太田直樹(株式会社New Stories代表取締役)
  • 齋藤洋平(フューチャー株式会社取締役CTO)
  • 庄司昌彦(武蔵大学社会学部教授)
  • 森信茂樹(東京財団政策研究所研究主幹)
  • 江崎浩(デジタル庁CA)
  • 水島壮太(デジタル庁CPO)
  • 冨安泰一郎(デジタル庁統括官)
  • 楠正憲(デジタル庁統括官)
  • 吉川浩民(総務省自治行政局長)
  • 上原哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)※当日は所用によりご欠席
  • 大谷和子(株式会社日本総合研究所執行役員法務部長)
  • 後藤省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
  • 宍戸常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)※当日は所用によりご欠席
  • 菅原晶子(経済同友会常務理事・政策統括)

議事録

木村参事官: それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから、第3回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」を開催いたします。

お忙しい中御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

本会議の司会をデジタル庁参事官の木村が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

冒頭に事務局からお知らせいたします。本日の会議はオンラインにて報道関係者に公開する形で開催いたします。傍聴希望があった報道関係者がオンラインで傍聴しておりますので、その旨御報告させていただきます。

本ワーキンググループの構成員、特別構成員は画面をオンにしていただいて、音声は発言時のみオンに、それ以外の方は、画面はオフ、音声もミュートにしていただければと思います。

本日は、有識者の構成員や関係省庁のオブザーバーの方々にも御出席いただいております。牧島大臣は途中から出席いただく予定でございます。

それでは、早速ですが議事に入ります。議事1について、まずデジタル庁楠統括官より御説明いただき、続けて、議事2について、私のほうから資料の御説明をさし上げます。その後、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。

それでは、楠統括官、資料の御説明をお願いいたします。

楠統括官: では、資料1に基づいて、利用者目線の行政サービス実現へ向けたトータルデザインの検討についてお話をさせていただきます。よろしくお願いします。

今日、これからの行政サービス体験の考え方と、その実現へ向けた方向性についての案のお話をさせていただければと考えております。

まず、この行政サービス体験の考え方というところでございますけれども、先般12月に閣議決定いたしました重点計画におきまして、スマートフォンを用いて60秒で手続完結、7日間で行政サービス立ち上げ、民間並みのコストといったことを打ち出させていただいておりまして、これをどうやって実現していくかというところが当面の論点となります。アプリケーション、情報連携基盤、ネットワーク、クラウド等のインフラについて、それぞれ検討が必要であると考えております。

この60秒で手続完了の実現に必要な情報活用という点でございますけれども、先般の特別定額給付金のオンライン申請においては、行政機関が保有している家族の氏名、生年月日等についても全て手で入力をしていただいたというところが大きな問題としてございました。これはもともとマイナポータルを国が運営していて、それぞれの住民基本台帳は市区町村で管理をしており、そして、これがなかなか機関間連携という形でうまくつながらなかったというところが、大きな問題でありました。逆に言うと、多くの手続に関しては、自治体内で保有している情報に適切にアクセスができれば、大半の情報がプレフィルされた状態にできますし、現に紙の申請ではプレ印字という形で実現をしています。これが1番目の自治体内で保有している情報の活用です。2番目として、ほかの機関で保有している情報を照会できると、さらにメリットがあるということになるのかと思います。

自治体内の情報を活用した先進事例としては、例えば北見市の書かない窓口等で実施しているわけですけれども、ここにおいては、保有する住民情報等を活用して、漏れない、書かない、回されないということを実現しています。こういった情報を窓口サービスで総合的に活用するための共通のDBがあって、庁内のルールも整備されていて、フロント側のシステムにおいて市民データの活用・取得が行われているというところであります。

こういったことを実現していけると、例えば子供が生まれたというような行事を考えたときにも、これまでであれば、届け出A、手続B、手続Cは、それぞれ別々の窓口で行わなければならなかったところが、今後は全体について案内を受けて、プレ表示によって入力は必要最低限で、一連の手続をまとめて完了するということが可能になるのではないかと、そうすれば、行政手続きが60秒で完結というところも見えてくるのではないかと考えております。

これを実現していくための方向性として、まず、自治体内で持っている情報をどのように活用していくか。これまでであれば、なかなかそれぞれの自治体の中で持っている個別システムのデータをフロントサービスに引っ張ってくることができなかったわけですけれども、これをどのように実現していくかというところになります。

そういった時に、これまででいうとフロントサービスから各自治体に対して申請を行う口は、ぴったりサービス等でも実現をしているのですけれども、これを自治体内の情報を活用するためのAPIということで、自治体側からフロントサービスに対してデータを受け渡す仕組みを構築すれば、庁内連携の延長線上で、自治体内で保有する情報を住民向けサービスに活用できるのではないかと考えております。

こういったことを実現していくためには、これまではそれぞれ各市区町村において縦割りでシステムを整備してきたわけですけれども、それを今後先進的な住民サービス、アプリの導入や横展開を容易にしていくために、横串でもってデータ活用の共通のインフラを整備し、データをしっかりと標準化し、今進めております基幹業務アプリの標準仕様書準拠ということをしっかりとやって、さらにこれらが共通の基盤であるガバメントクラウドに乗っかった状態を作っていけば、今説明したようなことはきちんと実現できるのではないかと考えております。

さらにほかの機関で保有する情報をどのように活用していくかという点でございますけれども、これも例えば出生証明書を考えた場合には医師が証明書を発行することになりますし、転校であったり転職であったりを考えた場合には、機関をまたいだ情報の連携・活用が必要となってきます。

これまで行政機関間の情報連携という観点においては、左側の行政事務の効率化ということを中心に考えてきたわけでございますけれども、今後、国民の利便性向上のためにどういったことを実現していくべきか、添付書類の省略や手続の簡素化、ライフイベント等に応じた漏れない案内をどのように実現していくかと重要となってきております。

やはり環境は大きく変化しており、民間においては、自分の情報を様々なサービスで利用していくということが活発に行われるようになってきておりますし、金融機関の情報をPFMで取りに行くというサービスをまたいだデータの連携も大幅に進んできています。

また、eKYCも大分普及してまいりまして、オンラインで本人確認を受ける手段が拡大をして、また、行政機関としてもオンラインでもって所得をはじめとしたデータを受け渡す環境をこの数年、マイナンバー制度の基盤の上で実現をしてまいりました。

こういったことを踏まえて、自らの情報の活用に関する個々人の多様なニーズにどのように対応していくかを考える必要が出てきています。

第1回の有識者提出資料等を見ましても、データの扱いの権限と責任を各種法令に基づいて適切かつ柔軟に国・地方公共団体に分配するというような考え方ができるのではないか。個人が官民共創エコシステムの価値の実現に、積極的に自ら関与していくというような考え方があるのではないか。また、官民共創のエコシステムは、データからの自由、データへの自由、データによる自由というものを同時に調和的に実現するための装置として考えられるのではないか。データ基本権の内実として、本人による個人データのコントローラビリティーを高める仕組みとして実装してはどうかといった点を宍戸委員から御提案いただきました。また、上原委員におかれましても、個人参加の原則の実現も重要であるというコメントをいただいております。

そういったことも踏まえていく中で、行政機関間の情報連携に加えて、特に国民の利便性向上、この文脈におきましては行政の発行した証明書の行政手続への利用でありますとか、また、例えば出生証明書や勤務先における就労証明書といった民間の発行した証明書をどのように行政手続に利用していくか、こういったところをしっかりと民間とも連携しつつ対応すべきシーンとしてもっと意識していく必要があるのではないか、これまでマイナンバーを利用していない範囲においても、国民の利便性向上のためにここを考えていく余地があるのではないかと考えております。

例えば様々な行政手続において、民間の機関が保有する情報や添付書類が必要とされています。出産、死亡、保育認定、引っ越しに伴う転校、転職、国家資格関連、免許申請等を含めて非常に多くの手続において民間が発行した証明を行政機関として処理をするというところ、これが現状、紙でしかできないものをどのようにデジタル化していくべきかを考えていく必要があるかと思います。

木村参事官: ありがとうございました。
続きまして、議事2について、私のほうから説明させていただきます。

昨年末、閣議決定させていただきましたデジタル社会の実現に向けた重点計画でございます。ここに載せておりますのはマイナンバー制度における情報連携の拡大の検討に当たっての考え方でございます。トータルデザインの目指す姿に即すことを前提に、これまで昨年実施しましたけれども、各省庁に対して行ってきた行政手続の調査結果も踏まえまして、例えば国民自らが自己の情報や自己の権利を証明するといったことなど、国民の視点に立ってマイナンバーの利用や情報連携の範囲の在り方を考えることとしております。このページはもう御案内かと思いますが、来年の通常国会に法案を提出できるように準備を進めていこうということでございます。

事務局にてマイナンバーに関する様々な提案や、これまでの政府の取組をまとめております。

まず、国家戦略特区制度に基づいて幾つかの自治体からマイナンバーに関する御提案、場合によってはマイナンバーカードに関する御提案となり得るかもしれませんけれども、御提案がございました。会津若松市さんとつくば市さん、加賀市さん、吉備中央町さんについては、後ろに資料がありますので、そちらで紹介させていただきます。

まず、仙台市さんからですが、副業・兼業を行う労働者のために、労働時間管理の利便性向上や資格研修終了履歴といったキャリアの管理につながるようなマイナンバーの利用を御提案いただいています。

小田原市さんからは、電気、ガス、水道といった使用料データとマイナンバーを連携した災害時の避難誘導、在宅療養者の見守り、省エネの推進等への活用を御提案いただいています。

山口市さんからは、平時における見守りと災害時の避難行動支援のために医療や介護などの情報をマイナンバーを用いて連携していきたいといった御提案でございます。

加えて、これまで政府において国家資格等のデジタル化において、マイナンバー利用の拡大等に取り組んできております。後ほどこちらも説明させていただきます。

まず、会津若松市さんからですが、幅広い分野でマイナンバーの利活用を本人のオプトインに基づき可能とするといった御提案をいただいております。こうしたことを可能とするため、例えば規制改革の方向性として、青いボックスのところに書いてございますけれども、現行法令に規定を追加してはどうかといった御提案でございます。

次のページはつくば市さんからでございます。こちらも本人の同意の下に、自治体等に分散する個人の健康医療データをマイナンバーと連携し、連携した情報を本人に返した上で病院や薬局で利用できるようにする等、御提案いただいてございます。

続きまして、加賀市さんからですが、こちらは高齢者、障害者、子供などの自家用車等の移動手段を持たない交通弱者の方のステータスですとか、交通機関の利用頻度等に応じた支援を行うため、例えば免許の返納情報などと連携するためにマイナンバーを活用したいという提案でございます。資料には載せておりませんが、このほかにも子供のいじめ、虐待、貧困の防止のために、教育分野においてもマイナンバーを利用したいといった御提案も併せて頂戴しております。

次のページ、吉備中央町さんのユースケースですけれども、児童の見守り、発育支援のために、一番下に書いてあります吉備PHRとマイナンバーを連携して、母子保健情報、健診結果等のデータを活用した子供の見守りですとか、やさしい見守り社会を実現したいという御提案でございます。

以上が、特区関連で提案いただいている内容でございます。

続きまして、これまでの政府の取組の御紹介でございますけれども、国家資格等のデジタル化について、昨年のデジタル改革関連法におきまして、マイナンバー法を改正して、税・社会保障に関する32の国家資格に関してマイナンバーの利用ですとか、情報連携が可能になっております。それに伴いまして、現在、その関係するデータ連携のためのシステムの構築を行っているところでございます。

加えて、ほかの国家資格等について状況の調査を実施しております。例えば100万人以上の資格で言えば、調理師さんですとか、美容師さん、それから、小型船舶操縦士ですとか、100万人未満になりますけれども、理容師さんといった昨年措置された32以外の国家資格等においても様々な資格が存在しております。資格保有者数の多いもの、ここでは10万人以上のものに限って記載しております。下線を引いたものは手当されているものでございます。

資料の下のほうでは、教員の資格においても文部科学省の中教審特別部会のほうで取りまとめいただいております。ここでは教員の資格においてマイナンバーをはじめ、IDの在り方の検討を進めていく必要があるということが言及されてございます。

こちらの資料ではデジタル庁において、これまでに行政手続等のワンストップサービスの検討において確認されました官民の手続例を挙げさせていただいております。先ほど楠統括官からも御紹介があったと思いますが、引っ越し、子育て、介護、死亡、それから、相続など、ライフイベントにおいて、官民問わず様々な手続が必要になっております。その手続で行政機関が発行する書面、証明書などが求められている状況にあるというところでございます。

続きまして、これまでの提案や取組等を踏まえまして、本日、ワーキンググループにおいて委員の皆様から御議論いただきたい事項になります。

自治体からのマイナンバー制度に関する提案について検討を進めるべき視点はないか、それから、昨年実施した調査結果も含め、マイナンバーによる行政機関間の情報連携について、例えば以下の行政事務での利用が考えられないか。国家資格等に関する事務で言えば、先ほどの資料では10万人未満になっていますので掲載がありませんでしたけれども、例えば社会保障、災害等の行政手続にも関係する行政書士さん、それから、資格保有者数が多い小型船舶操縦士、それから、先ほど紹介した教員、また、外国人の在留手続に関する事務や、例えば災害弔慰金などの災害に関する事務のうち、現在利用されていないものにおいてマイナンバーが利用できないかといった御議論をいただければと考えております。

行政手続等のワンストップサービスを一層進める上で求められるマイナンバーの利用や情報連携はないかというところも御意見をいただければと思います。

そのほかの検討事項として、別途御説明いたしました検討中のトータルデザインも併せて考えた際に、従来のマイナンバーの利用や情報連携の考え方を改めて検討する必要はないかといったところも御意見をいただければと思います。

本日は、以上の観点から委員の皆様に御議論をいただければと考えております。

次のページ以降は参考までにマイナンバー法の規定を添付しております。

資料としては以上になります。

それでは、議事1、2について、資料内容を含め、構成員、特別構成員の方より御意見をいただきたく存じます。

私のほうから指名させていただきますので、御発言のある方は挙手機能でその旨をお知らせいただければと思います。

それでは、庄司先生、お願いしてもよろしいでしょうか。

庄司構成員: 御説明ありがとうございました。
それでは、少しだけ意見を述べたいと思います。

まず、楠さんから御説明いただいたトータルデザインですけれども、ちょっと今の議題の中に入っていたか入っていないかよく分からないのですが、私が深く関わっている標準化・共通化との関わりが気になっています。今、進めている標準化は、どちらかというと既にある今動いている制度をベースにしているので、確かにDXとしては全く物足りないところがあり、このようにきれいに議論を整理していけるといいなと思うのですが、1,700自治体が20システムを標準化してクラウドに載せるというだけでも非常に大仕事なのです。

前から言われていますけれども、2025年度末に間に合うのかというところもかなり難易度が高い中で進めているので、この動きが新たに加わってくるような形で進むと、携わっている皆さんは非常にお困りになると思います。新たに何かが決まるまで標準化の実施を待たなくてはいけないとか、様子を見ようとかになってしまい、そうやって待ちの姿勢になるというのは非常によくないことだと思いますので、標準化については、この夏に固まる仕様書で走らせつつ、このトータルデザインのほうの実装は、準備ができたものから、あるいは準備ができた自治体などから試行実施とか、先行実施とか、そのように進めていただきつつ、全自治体に対しては25年度末までに、今まで言っていたとおりやってくださいと、全自治体にトータルデザインの実装を必須として求めるのはその後ですよという整理にしていただきたいなと思います。まず1つ目です。

それから、マイナンバーのほうですけれども、私自身は社会保障と税と災害という3分野から利用範囲を広げることについては、やや慎重な姿勢です。どちらかというと、その3分野での徹底的な利用をむしろもっと加速させるべきではないかと思います。先日、確定申告をしましたけれども、3分野でのマイナンバー活用があれで完成しているとは全く思えません。まだまだやる余地はあると思います。

また、以前から申し上げていますけれども、政府が情報を管理する、データ利用するということに対する国民の信頼は高いとは言えません。マイナポータルから自分の情報を確認する仕組み、それから、行政によって参照された履歴を確認する機能の追加などによって政府の透明性を高めるほうも進めるべきで、その上でないと、利用範囲の拡大というのは受け入れられないのではないかと思います。

仮に利用範囲を拡大するのであれば、自治体から提案されているものの中で、これはいいね、これはいいねとつまみ食いをするのではなく、今のマイナンバー制度は公平公正な社会の実現とか、非常に高尚なというか、高い目的、方針を掲げているわけで、それに相当するもの、あるいはそれに当てはまるものでやるとか、大方針、大目的みたいなものをしっかり定めた上で、それに当てはまるものは採用していくとか、そのようにするべきではないかと思います。

オンラインの資格確認などは本人への不利益があまり考えにくいので、政府としてちゃんとコントロールできるのであればいいのかなと思うのですけれども、それをやるとしても、こういう目的のためだから拡大しますというようなポリシーみたいなものが必要だと思います。

自治体の提案に関しては御説明の中でもありましたけれども、それはマイナンバーカードの話ではないかみたいなものもあると思いますので、少し区分けして整理して、ともかく本人のためになる、自治体がこうしたいからとか、企業がこうしたいからというためではなく、どちらかというと本人のためになる範囲で進めていただければと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。楠統括官、ご意見ありますでしょうか。

楠統括官: 前半に標準化、共通化との関係という御質問があったと思います。この点について申しますと、基本的には、2020年の年末に御議論でトータルデザインを決めたときというのは、ある程度連携基盤等も含めて全面的に新しい基盤に移行していかないと実現できないという絵姿でしたけれども、本日御提案させていただいた庁内連携としての整理ということになってまいりますと、準備のできた団体から順次提供していくということも技術的にはかなり容易になるのではないかと考えております。

また、今標準化が行われている20業務だけではなくて、現実にはこの20業務を串刺しとしたところにおけるデータ要件、連携要件ですとか、共通機能についての議論もあるところです。また、そういった標準システムを前提としたときに、コンビニ交付や申請管理システムの在り方みたいなところも今後検討の俎上に上がってくると思うのですけれども、そういったところも含めて自治体にとって無理のない形で計画を立てられるような形で進めていくということは、非常に重要になってくるのではないかと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

続きまして、安宅先生、よろしくお願いいたします。

安宅構成員: 安宅です。大変大事な取りまとめをありがとうございます。

5~6点あるのですが、まず、スマホで60秒完結、これをずっと掲げ続けていただいているのは本当にすばらしいのですが、結局意味合いは、行政手続は全てスマホ内で完結するというソフトウエア化を基本方針にするということだと思います。また、紙が原本ということをやめるということだと思うので、これも明示していただきたいということ、窓口に来た人はある程度それをサポートする人であって、窓口をサポートするためにソフトウエア化するのではなくて、ソフトウエア化をして窓口がサポートするということにするのだということを明示したほうがいいと思います。

2週間ほど前に私は義理の父が亡くなりまして、非常に大変だったのですけれども、やってみて分かったことが幾つかありました。連動するものが個別で行われていて、何回も何回も同じ認証等が行われ、同時並行的に行われない傾向があります。基本的には並行して一気に処理しデジタル化できるので、そうしていただきたいということと、必要な手続の全容が全然分からないので、チェックリスト的にデジタルでやって終わったらチェックがついていくみたいなことを本当はやるべきであって、目的別のコアプロセスというか、セットページが本来あるべきだと思います。

もちろん背後は組み合わせだけの問題なので、決してベルサイユ宮殿的に特定の目的別につくるのではなく、疎結合かつベンダーに依存しないモジュール化と内部API仕様の整理を徹底する必要があると思います。

2つ目は、今回死亡手続等が絡んでだんだん分かってきたのは、戸籍であろうと住民票であろうと、全てが土地に紐づいてしまっているということです。これを戸籍ではなくて人、個に単位を移していただかないとものすごくやりにくい。我々のようなノマド的な生活をしている人たちにもすごく混乱が起きますし、単位を戸籍から個に移す瞬間が今来ていて、別に戸籍をなくす必要はないのですが個を中心に住民票につなげるというようにつくり変えることが結構重要だと思います。

戸籍謄本という非常に気持ち悪いものを見て、知らなくていいことがいっぱい出てきますし、そういうものが毎回出てくるのは本当に正しいのかということについては極めて疑問があり、この機に一気に変わる必要があると思います。

また、今後はIDとパスワードを300、500とみんなが使い回すとんでもない時代になって、物理的なウォレット対応をせざるを得ない時代に突入することになると思います。3年、5年以内にそれが顕在化するということを考えると、今からそれは目線に入れておいたほうがいいと思います。

また、土地の絡みで、例えば土地を離れたら戸籍謄本が取れない区として、例えば目黒があるのですけれども、そういう例外を一切認めないほうがいいと思います。

3つ目は、老人の視点で見たときの問題なのですけれども、とにかく非常に認証が面倒かつ、85歳の老人は運転免許は当然ないしパスポートもなく、マイナンバーカードも持っていないのが普通になってしまっているわけです。そのときに自己証明が全然できないということがあり、マイナンバーカード、つまり自分が誰かを証明できないという問題を徹底的に啓蒙するとともに、今の4桁のパスワード及び何かすごい長いやつを入れて個人認証するというものを、それもあってもいいのですけれども、複数の生体認証を組み合わせて、それで代替できるように徹底的にやることが極めて重要だと思います。生体認証を組み合わせていないというのが非常に厄介な問題で、これが結局、子や何かがくっついていないと何も進まないというすごい問題になっています。これは即座に手を入れたほうがいいと思います。

4つ目です。これは先ほどの庄司先生の話とつながるのですけれども、これらのものを個々の自治体でつくるのはあまりにも馬鹿げているので、やはり各自治体で共通で使えるホワイトレーベル的なものをつくって、自治体ごとにチューンできるようにするというのが本来正しいと思います。これはもうデジタル庁で音頭を取って、さっさとつくってしまったほうがいいのではないかと思います。

5つ目は、先ほどの国家資格の話で、これはとてもいい流れで、国家資格だけではなくてIPAなどの準国家資格や民間資格も乗れるようにしたほうがいいだろうということと、資格というのはチェックさえついていればいいわけなので、基本自動でマイナンバーが紐づいていれば入るようにして、これまでマイナンバーで紐づいていない部分も個別の資格の担当機関が一括で入れられるようにすることは重要だと思います。

最後に6個目です。デジタル防災的な視点での有事の救出対応の視点、昨日の夜も大変大きな地震があって非常に心配だったわけですが、そういったときに、その人の個人の位置情報が、オプトイン的でいいのでちゃんとつながるようにして、いざというときに救出できるようなものが始めからスコープに入っていることが重要だと思います。いつ何時、また巨大災害が起きてもおかしくないのは事実であり、これはぜひ検討いただけると嬉しいなと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、大谷先生、お願いいたします。

大谷特別構成員: ありがとうございます。

今、トータルデザインについての御説明を伺ったところなのですけれども、自治体や行政機関以外のその他の機関から発行される証明書の個人情報とマイナンバーをひもづけることになりますと、マイナンバーの利用シーンが一気に増えていくことになりまして、利便性を実感していただける機会が増えてくることにつながると思っております。

他方、マイナンバーとひもづけるライフイベント単位の情報が増えてきますと、やはり民間機関をはじめとして、マイナンバーと個人情報をひもづけた情報が氾濫してしまうことになると思います。そのこと自体はやむを得ないことだと思いますけれども、そもそもの制度の設計理念としては、利用者のプライバシーを保護するためにマイナンバーをキーとして個人情報がむやみに引き出されないように分散管理の仕組みを徹底し、併せて制度的担保措置を講じたということを忘れないようにしておく必要があるかと思います。

現在のマイナンバー制度で利用範囲を限定し、提供先を省令で限定列挙しているということもマイナンバーをキーとして個人情報についての情報を集約して、個人が望まない形でプロファイリング可能とされてしまうことを懸念しているものです。

仮に今後、その制度を大胆に変更し、利用者本人を起点として利用者本人が提供を希望したところにマイナンバーを第三者提供することを可能とし、マイナンバー以外の個人情報とのひもづけを柔軟に許容することも可能とするような制度に転換していくことを考えたとしても、それによって提供されたマイナンバーが、本人の望まない形でほかの目的に利用されないことを担保するためのアーキテクチャを整えていただくことが必要になるものと思います。

また、起点となる利用者本人の同意を得るために必要な利用の目的の示し方であるとか、また、利用者本人にとって同意の範囲が明瞭になることも必要ですし、仮に本人の同意があったとしても、許容できないデータ連携といったものがあり得るものだと思います。こういったものを特定していくなどの対応も必要となってくるかと思います。

従前からも課題とされていたように、個人のライフイベントにおけるユースケースというのを複数特定した上で、これまで申し上げたプライバシー上の課題について、丁寧に議論した上でアーキテクチャ、それから、制度の在り方を議論していくことが必要だと考えております。

私からは以上でございます。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、森信先生、お願いできますでしょうか。

森信構成員: ありがとうございます。森信です。私からコメントを申し上げたいと思います。

国民の利便性向上を進めていくという観点から検討を進めていくというのは大変いいことだと私は思います。その場合、行政手続の利便性を図るという観点でいろいろ御説明がありましたが、それだけではなくて、やはり国民に利便性の高いいろいろな政策を提供するという観点からの番号の活用ということも併せて検討いただきたい。つまり何のために情報を取るのかということから始めた政策分野への検討ということです。

具体的に申し上げますと、これは2年前に皆さんと官邸でやったデジタルガバメントの実行計画のワーキングの取りまとめに書かれているのですが、「デジタルセーフティーネットの構築」という言葉があります。これは正確な所得情報を番号で取って、それを基に効果的・効率的な社会保障を提供する、そうすることによってデジタル時代にふさわしい「デジタルセーフティーネット」の構築を行うということが書かれております。具体的には働き方改革やITの普及に伴って増加するフリーランスとか、それから、ギグワーカーです。そういった方たちの例えば契約情報をマイナポータルに登録して、後日のトラブルに備えるとか、それから、収入情報を入手するとかです。

この収入情報の入手については、仲介型プラットフォーマーで働いている方々の収入情報を、プラットフォーマー経由で入手する仕組みについても併せて検討するとワーキングの取りまとめには書かれているのです。

今年、私もこの間e-Taxをやりましたが、今年からふるさと納税については、例えばさとふるとか、そういったプラットフォーマーからマイナポータル経由で情報が取れて、それがそのままe-Taxに連携できるようなシステム、つまりプラットフォーマー、本人、政府という流れができました。これは非常に大きなことだと思っておりまして、今後そういうギグワーカーの収入とか、そういったことは、ぜひ仲介型プラットフォーマー経由で取れるような仕組みを考えてほしいなと思います。

もう一つは、共稼ぎが増える中で、各種給付、社会保障給付がいろいろありますが、今後も世帯所得で給付を考えていくという事例が増えてくるのではないかと思います。例の10万円給付のときにも世帯所得で勘案すべきだという問題が出ていました。そこで、世帯で合算所得をマイナンバーで把握できるような仕組みも考えていただきたいなということを申し上げたいと思います。

それから、手短にもう1点だけなのですが、いろいろ今の御説明にもありましたが、やはり民と官、その間に個人がいる。この連携を進めていく上には、これは特に本人の了解を得た上でということを今日いろいろおっしゃいましたが、やはりマイナポータルの活用が一つ大きな鍵を握っていると思いますので、このマイナポータルという言葉をもっと宣伝していただきたい。いつも、マイナンバーとマイナンバーカード辺りで止まっていることが多いので、そうではなくて、やっぱポータルというものがあって、そこが情報のハブなので、そこからいろいろさっき言ったような情報連携で、自分が同意した上で、例えばそういうプラットフォーマーからも情報を得られるし、銀行とか、証券会社など民間とも連携できるしということになるわけですから、このマイナポータルの活用、機能というものをもう少し宣伝、広く知らせていただきたいなと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございました。

それでは、上原先生、お願いいたします。

上原特別構成員: 私は自治体のほうの立場も念頭に置きながら、お話しさせていただきたいと思います。

まず、そもそもとして、庄司先生がおっしゃったお話に少し被せて申し上げますと、もともとマイナンバー制度をつくったときに税と社会保障及び災害に係るところから広げないようにすることで、ある種のプライバシーの理念を守るようにしてきたということや、実際に実務として自治体がそれを一生懸命守ってくるということが、大きな一つのセキュリティー上の担保だったはずですので、ここを崩すに当たってはかなり慎重な議論が要るのだろうなと思っております。

特に今回、ガバメントクラウドのような標準システムの上に乗ってくるに当たって、自治体が持っている役割と国が持っている役割がやや混ざって見えてしまうようになることが、国民の要らぬ不安を喚起しかねないということもあります。ここがもともとの制度設計からあまり逸脱するのは違和感がありますので、ぜひそこは慎重にしていただきたいなと思います。

ただ、やろうとしていることは非常に真っ当だと思っておりまして、特に自治体の中で情報をより活用するためにシステムの標準化などをうまく使うことはもちろん大賛成です。そのときにマイナンバー制度の中でつくられた公的個人認証のような個人認証の仕組みや、デジタルにおける認証の仕組みを活用するのは非常によいことだと思うのですが、そこで私は誰ですかということを識別するデータとして、カジュアルにマイナンバーを使うというのはちょっとリスキーすぎるだろうと思います。今、それをやらないようにするためにマイナンバーカードを配っており、マイナンバーカードでやり取りされる情報はマイナンバーではないことが一番大きな鍵だったはずなので、そこを忘れないようにしていただきたいなと思っています。

マイナンバー制度の活用という言葉の中に、いつの間にかマイナンバーの活用という言葉がやや混同して使われたり、何となく目的と手段が混同されているところがあります。目的はいわゆる国民の利便性に資するというところなので、そのために本当にマイナンバーという番号をカジュアルに使うようにするのかというのは、今これだけ技術が進んでおり、デザインを考えるときには非常にいろいろな手が取り得る状況にあるわけですから、ましてやマイナンバー制度がつくられたり、その前の住基ネット制度がつくられたときに対してかなり環境が変わってきているということを踏まえてデザインをされたほうがいいかなと思います。

もう一つ申しますと、この話を見ていると、先ほど自治体のシステム標準化が進む中でという庄司先生のお話がありましたけれども、もう一つ、やはり気になるのは、ガバメントクラウドを準備するデジタル庁と、また、住基ネットなどの仕組みを主管している、あるいは個人認証のシステムを持っているJ-LISさん、それから、各自治体さんのいわゆる役割分担みたいなものがどこかでなのか、また少し難しい話になってきているような気がしています。これはまた法律の立てつけ上も問題にはなっていると思うのですけれども、ここの話を進める際に毎度チェックしなくてはいけない。

ここで一つ、やはり考え方としてはデジタル庁が準備するガバメントクラウドについては、いわばJ-LISが準備する仕組みを自治体が使うのと同じように、自治体が主になってガバメントクラウドが従というか、ガバメントクラウドにある意味業務委託するような格好にしてやらないと、何となく国に情報を渡した、だから、国の中でまとまって見られているみたいな立てつけになってしまったとならないよう、あくまでも持っているのは自治体のままで、たまたまガバメントクラウドの上に預けているだけだみたいな仕組みにしておかないと、話がおかしくなるなと思っております。

最後に、個人参加のことについて取り上げていただいてありがとうございます。私はあそこで非常に大事なことだと思っているのは、今マイナポータルにおいて自己情報の参照が行えるようになっているという立てつけがございましたけれども、この仕組みは庄司先生もおっしゃったとおり、透明性の確保という意味で本当に重要であって、もともとはエストニアのX-Roadの仕組みなどの影響を受けたものだと理解しております。

この仕組みをもし堅持するのであれば、まず、いわゆる情報連携のシステムの中に、その結果がちゃんとマイナポータルに反映できる仕組みもセットで考えていかなくてはいけません。これはデザインをする上では一つの制約になり得るわけです。あまりブレーキをかけてはいけないと思いますけれども、このために何がシステムとして必要なのかということは、法整備の、特にマイナンバーの世界と公的個人認証の世界とのつなぎや、ある自治体の持っているものとのつなぎに関して、法的な障害が今どこまであるのかをちゃんと整理した上で進めないと、進むものも進まないかなと感じております。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、太田先生、お願いできますでしょうか。

太田構成員: 資料3を提出しましたので、それに沿ってお話をさせていただきます。

今日のこの会議体の議題は番号制度と行政情報システムの活用ということですけれども、ちょっと一歩引いた話で申し上げると、我が国は最後発というのはよく知られており、その利用範囲は、ほかの委員の方がおっしゃったように、プライバシーについての考え方で大きく変わってきます。ただ、各国で番号制度と行政情報システムで何ができるかというのは十分検証され、かつ整理はされています。

だから簡単だと申し上げないのですけれども、機能面では、いわゆるライフタイムで縦につないでいくということが一つできます。

もう一つが、民間も含めて横に情報をつなげてサービスをつくっていくことです。

最後に、申請等、プルではなくてプッシュでできるという3つの機能を使ってサービスをつくっていくわけなのですけれども、結構利用範囲が違っていまして、一番狭いところでいうと、例えばドイツなどは税務分野しか使えません。そのほか幾つかの国は社会保障の給付を効率的にする、あるいは社会保障関連の情報サービス、資格等を含めてこれを使っていく。一番広いのは、相続ですとか引っ越し等、幅広いサービスに民間も含めて使っていくという3段階があります。

この抜本改善の会では、割と目につくことをやっていくのも、それはそれで意味があるのですけれども、全体を俯瞰してやるべきことをやっていくのかというのを問うことが必要かなと思います。

その3つの分野で幾つか提案です。これは何度も申し上げてきましたけれども、税務分野に関しては正確な所得把握と徴税については進んでいるかと思うのですが、海外と比べてやっていない大きな分野として給付つき税額控除、いわゆる負の所得税というのがあります。これは所得情報に基づいて例えば失業手当ですとか、あるいは児童手当等を本人が申請しなくても給付するというものでして、これは機能的にはCのプッシュ型に当たるのですけれども、今の新型コロナの感染拡大の長期化で、必要性はさらに高まっています。

これは定常的な給付だったり、今回のコロナのように緊急のものの配付は早くなりますし、1万円、5,000円を給付するために数千円の事務費がかかるという馬鹿げたこともなくなりますし、漏れもなくなるということで、かなりの力仕事ですけれども、まさにデジタルが国のアジェンダになってデジタル庁ができている今、やるべき歴史的な大きなプロジェクト・事業だということで再度強調させていただきます。

2番目ですけれども、社会保障で2点あります。1つ目は情報提供ネットワークのシステムで、これは障害等があって稼働がかなり遅れ、最初の3年ぐらいほぼあまり動いてなかったということなのですけれども、今は年金情報も含めて連携の範囲が広がって、年間の処理数としては何億件も処理していますので、その分同じだけの例えば添付書類がなくなるとかいう形があるのですけれども、あまり知られていないのです。まだまだやる余地はありますけれども、知られていないということで、ここはもうしっかりやっていますよということを広報されたほうがいいのではないかと思います。

残課題としては、国民、事業者のメリットは高まってきているのですけれども、行政の事務方のほうがあまりまだ効率化されていないということがあります。要は紙の事務とデジタルの事務が並行していて二度手間になっているとか、二重になっているということで、ここはまだ余地はあって、それこそデジタル庁が自治体と連携しながらやっていく価値は大きいのかなと思います。

もう一つ大きな分野としては、診察情報ですとか検査情報、あるいは投薬情報等の医療情報を活用して、コストの削減ですとか、薬の重複処方の防止等ができます。これは海外でも検証されておりますけれども、これがまだまだ日本ではやる余地があって、恐らく兆円単位のインパクトは出ると思います。従来のマイナンバーの活用ですと、税と社会保障、それから、災害というところで、まだまだ大きなインパクトがありますので、こういうところの大きな的にしっかり焦点を定めて取り組んでいくのが大事ではないかなというのが2点目です。

3点目の幅広いサービスですけれども、これは先ほど申し上げた相続とか、転居等のライフイベントの縦のワンストップ化ですとか、民間の福祉モビリティでの行政データ、例えば要介護の方がどうかというのに活用する横連携があります。先ほど申し上げたように、まず確認したいのは、こういう進んだ番号の利用をやって、かつ行政が主体でサービスをつくっているのはごくごく限られた国しかない、言い換えると大きな政府しかないのだということです。

そのほかの政府では、こういう行政データを使って行政が幅広いサービスをつくっていくというのはあまりやっておりません。次のページになりますけれども、中ぐらいの政府である我が国はどうなのだろうかということで、現状でいきますと、マイナポータルの利用は残念ながら極めて低迷していますし、民間がマイナポータルからデータを引っ張れる自己情報取得API、これは画期的な機能なのですけれども、あまり使えていないということがあります。

ここの3番目の分野についての私の提案は、行政主導で便利なサービスをつくっていくというのではなくて、民間が基本的にやる、行政データを使うところに関しては、本人が使っていいよという範囲でやる、もうそれが行政は出せないのであれば、4情報なども、どこか別の例えば郵便局だったり、いろいろなところの居所データを使ってやるとか、そのほうが情報の鮮度が高いかもしれないので、不動産情報とかもそうですけれども、そういう立てつけにしていったらいいのではないかなと思います。

例えば民間の母子向け健康情報サービスなどはもうそういう考え方でやっているというのがあります。あまりここは当初の利用範囲のコンセンサスもなかったですし、デジタル庁はやることが山ほどあるので、庄司さんがおっしゃったように、つまみ食い的にいろいろ手を広げないほうがいいのではないかなと思います。

ただ、民間が便利なサービスを使う中で、行政が持っているデータをいろいろな合意の下で使える場合には使えるようにする、この考え方にのっとった公共メッシュですとか、トータルデザインの要件を出したほうが、いろいろなことができますよということを何か約束して、税ですとか社会保障でまだまだやることがあるのに野心的なシステムを組んでいくということは、ちょっとこれまでのトラックレコードだったり、そもそもこの制度ができたときのコンセンサス、プライバシーについての考え方等を考えると、何かよさそうに見えるのだけれども、結構リスクが大きいかなと思っております。

最後の点ですけれども、まだまだやることがあるよというのは、端的に言うと、利用率と満足度で可視化できるのですがまだされていないということです。

相変わらず手続のオンライン化が何%できましたというのは発表されるのですけれども、実際に何人使っていて満足しているのかというのは一向に見えないということがあります。これに関しては私も構成員として参加しましたけれども、デジタル社会構想会議から出てきて閣議決定された重点計画の中に可視化すると書かれていますので、これはぜひやっていただきたい。

これに関しては多分利用率、満足度も低いのは分かっているのですけれども、何か悲観したり、検討しますといって、いつまでもやらない必要はないと思います。これは東京都のやつを見ていただくと、東京都は新都政と呼ばれる行政DXで、利用率と満足度を海外5都市と比較して可視化をしています。

つい先月、定点観測の第2回目を発表しました。数字だけ申し上げると、海外5都市の平均の満足度は63%、東京都は25%ということで相当劣後はしているのですけれども、ただ大事なのは絶対値ではなくてデータの部分ですので、大きな分野に絞ってちゃんと利用されていると、それから、満足もしてもらっているということをしっかり見ながら、これは当たり前のことなのですけれども、当たり前のことをきちんとやれるのが行政だと思いますし、結果もちゃんと東京都などを見ても出ていますので、これをぜひやって大きな分野で番号制度、それから、行政情報システムを活用した利便性というのを出していただきたいと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

続いて、齋藤先生、お願いいたします。

齋藤構成員: 齋藤です。御説明ありがとうございました。大きく2点申し上げさせていただきます。

1点目のトータルデザインのところですけれども、こちらは2020年、一昨年のワーキンググループの中でトータルデザインの方向性を議論させていただいて、中でも一つ議論としてあったポイントでございます。いわゆる自治体の中に保有されているデータをスナップショット的にコピーいたしまして、行政サービスに資するようなサービスをクイックに提供していくという考え方も、当時のトータルデザインの中に織り込んでおりますので、そういった観点でも、ここはスピーディーに実現をしていただきたいなと思っております。

11ページのところにあったポイントで、いわゆる自治体システムの標準化という部分と非常に関連が大きい部分で、庄司先生のお話にもありましたけれども、ここについての私なりの考え方を申し上げさせていただきます。自治体システムの標準化は1,700自治体を超える情報システムを標準化していくという非常に大きな取組でございますので、ある意味完成を待つという考え方ではなく、自治体システムの標準化も進めながら、例えば昨晩の災害ですとか、住民サービスに資するような行政サービスをクイックに提供できるような、そういったダブルトラックといいますか、両建てでこの議論を進めていくべきなのではないかなと思っておりました。

そういった観点でも、自治体システムの標準化の中で様々な観点での標準化が御議論されていると思いますけれども、例えば既存の自治体システムからデータをスナップショットとして抜いてくる部分において、データモデルの標準化を先行させながら、そこで先行させたデータモデルを使ってガバメントクラウド上にデータをスナップショットとしてコピーをしまして、そのデータを使った行政サービスを先行自治体とトライアル的にクイックに進めていって、そのベストプラクティスをほかの自治体に展開していくという流れをしっかりつくっていくことによって、2025年を待って、そこから何か新しいサービスを生み出していくということではなく、自治体システムの標準化も進めながら住民の皆様に対しては新しいサービスを提供するということができるのではないかなと思っています。そういった観点で、ダブルトラックで進めていくということでやっていただけるといいかなと思いました。

そういった観点で、自治体システムの標準化のほうとも平仄を合わせながら、どういった手順で何を標準化していくのか、その途中途中のアウトプットを何に活用していくのかという観点でも平仄を合わせて進められるといいかなと思っております。

もう1点、最後の資料2のほうのマイナンバー利活用という観点です。様々な自治体の方々から先進的な取組ですとか、アイデアみたいなものも頂戴をして、それを基に具体的により利活用のシーンを増やしていくということに関しては、基本的には賛成ですけれども、各構成員の方々からもお話がありましたとおり、税、社会保障、防災という観点においても、まだまだ実際できることがたくさんあると思っています。

一昨年のワーキングループの中でもデジタルセーフティーネットというお話がありましたけれども、やはり給付ですとか、特別定額給付金ですとか、様々なデジタル庁の課題がある中で、そういったものをうまく実現できなかったという反省を基に、今回のワーキングループが立ち上がってきたという経緯もございます。その分野において、いわゆる別表1に記載されているようなデータ連携しかできないというモデルから脱却して、デジタルセーフティーネットですとか、デジタル原則ですとか、そういった観点に基づいて、トップダウンでやるべき姿は何なのかということを描き出して、そこに向けて実現をしていくという取組も、併せて非常に重要ではないかなと思っておりますので、そういった観点も入れていただけるといいかなと思っております。

私からは以上です。

木村参事官: ありがとうございました。

続いて、菅原先生、お願いいたします。

菅原特別構成員: ありがとうございます。

大分論点が出てきたので、3点申し上げたいと思います。

マイナンバー制度の利用促進には利便性の向上と政府の信頼がポイントと思います。後者については前者を進めると同時に実績を積むということが重要です。利便性向上について生活者目線で申し上げたいと思います。

一つの自治体内での行政サービスのデジタル完結、利便性向上の例が出ていますが、首都圏などの大都市圏では生活圏が複数自治体にまたがっているケースが多く、複数自治体における行政サービスの利便性を高める等に着目してみてはと思っています。

例えば勤務先近くの保育園の入園申込で自宅とは自治体が異なる場合に複数自治体に申込書を出し、自治体同士が判断しながら手続するというような時間や手間のかかる仕組みになっていますが、マイナンバー活用で複数自治体の手続きやその処理をデジタル完結ができるようにしたり、介護の住所地特例のように複数自治体にまたがるサービスもマイナンバーを活用して円滑に手続が済むようにしたりすれば、利便性が高く業務効率化も図ることができると思います。

2点目です。国民全員への1万円給付や、今回も年金生活者への5,000円給付の話などが出ていますが、プッシュ型行政での強化を一つの目玉にしていくというのも重要ではないかと思います。

森信先生がおっしゃっていた、デジタルセーフティーネットは重要でマイナンバーを活用した給付つき税額控除、これは森信先生が以前からおっしゃっていましたが、絶好のチャンスではないかと思います。3つ目として、様々な要因から以前に比べて労働市場の流動化、活性化が進み、社会全体で雇用を守る環境、労働流動化の時代になりつつあります。今後は人事・労務管理を個人に帰着したものにしていくことを考えるべきではないかと思います。

以前に、企業の年金代行返上や年金のポータビリティーの拡充など改革がされましたが、今後、副業・兼業で複数の企業で働いたり、一生の中で複数の企業や複数の雇用形態で働いたりということも珍しくなくなります。そうしたときに、税とか社会保障などの手続が非常に煩雑にならぬようマイナポータルなどで個人に帰着したような管理の仕組みにすると個人にとっての利便性が高まると同時に行政業務の効率化も図れると思います。デジタル社会の基盤としてのマイナンバーを定着させていくためにも、こうした利便性向上の仕組みを早急に構築することが重要だと思います。

以上です。

木村参事官: ありがとうございました。

それでは、後藤先生、よろしくお願いいたします。

後藤特別構成員: ありがとうございます。後藤でございます。よろしくお願いいたします。

私は東京都三鷹市の職員を36年勤めておりました。そんなことで現場の基礎自治体、住民の皆さんと接する最前線のところの状況もある程度把握をしております。そういう意味で、特に今日のトータルデザインのところについて補強的に賛成をする、もちろん賛成をするのですけれども、補強する立場で申し上げたいと思います。

資料1の7ページを御参照いただけますでしょうか。ここで既に北見市で行われている先進事例ということで紹介されております。この中でも楠さんからも御説明があったように、自治体の中では基幹系と呼ばれるシステムの中で、左側下の赤枠のように、様々な業務のシステム処理が行われております。

窓口でそれぞれ縦になっている例えば住民基本台帳であるとか、住民税であるとか、国民健康保険であるとかというシステムを窓口課というところで、横断的にオンラインで参照することは、ほぼどこの自治体でも可能でございます。ただし、そのデータを使って何かを直接判断をするとか、横断的にデータを拾ってきて、何かをアウトプットするという機能は、現在それぞれの縦の仕組みについては、そういった作りになっておりません。
ですから、北見市の場合には横出しされたように、それぞれの業務のシステムからデータを全件抜いて、それを1つにまとめた共通DBというものをつくっており、それを参照しながら窓口支援システムという形でやり取りをしております。

これについて言うと、比較的簡単にこういう仕組みをつくることができ、データの参照とか活用することはできるという意味で、比較的経費をかけないで期間も短くするということのメリットはあるのですが、一方で、全件のデータベース、しかも全分野のデータが1つのデータベースになっていきます。もし事故があったときにはどうなるのだろうかということを考えると、なかなかこれについて言うと、いろいろとよく考えないといけない部分があるのではないかと思ったりしております。

そういう意味で言うと、11ページの真ん中に自治体内情報活用APIと書いていただいておりまして、これを使って自治体間をまたがるような形で情報のやり取りができるという絵を書いていただいています。ここには国全体に全国民の大きなデータベースが書かれていないので私は安堵しているのですけれども、そういう仕組みにしていくということについては大変賛成をしております。

ですから、これは大谷委員もおっしゃいましたように、個人の情報がどういう形で固まっていくのかということについては、重大な関心を持って見ていかなければいけない。大事なことは適切なアクセスコントロールの下にアクセス可能とするような仕組みをつくっていき、それから、データの全件のコピーのようなものは原則なるべくつくらないような形にしていくということが必要でございまして、これは今、庄司先生がおっしゃいましたように、自治体のシステム標準化検討が進んでいる中で、なかなか一足飛びにそういう水準までいけないという状況があるのは事実でございます。私も幾つかの検討会に入らせていただいておりまして、そのことは強く悩んでいるところでもあったりしております。そういうことをぜひ確認をしながら進めていきたいと考えております。

資料1の後段の最後のところ、各種証明、資格証明などのデジタル化、添付書類のデジタル化に関するところです。この辺りについては大賛成でございますが、当然のことながら、そこでは組織認証であったり、専門家であることの証明書というものが必要になったりしてくるわけで、この辺りの仕組みをどのように作って、繋いで活用していくのかということを具体的に絵に描いていく必要があろうかと思っております。

批判的に言うばかりではいけませんので、1点、最近すばらしいなと思っていることがありますので、それだけ触れて終わりにしたいと思います。私は実は三鷹の西のほうの小さな大学の学生であった47年前に事故で脊髄を痛めまして、それ以来47年、車椅子の生活を送っておりますけれども、身体障害者手帳というものがございます。この障害者の手帳をお持ちの方は、例えば鉄道等の交通機関の割引を受けられる。

今まではこの手帳を一々交通事業者の窓口に出して、そこで書き留めていただいてというような形の事務処理が発生していました。最近、これについてミライロアプリというアプリケーションがございまして、いち早くマイナポータルにも接続をするような機能を持たれて、厚生労働省さんも後押しをしていただいたようでございますけれども、これが現に3,000以上の事業者等で利用可能な形になっていると聞いております。

私自身は実は移動はいつも自分で自動車を運転して移動するものですから、あまり鉄道とかバスを使う機会がないので、最近までよく知らなかったのですが、こういうことを一つの成功事例にしながら基本的な考え方を横展開する。例えば学生の割引、いわゆる学割にも使えるのではないかとか、様々に展開できるところがあろうかと思いますので、こういうことも含めて、いい活用事例も広げていけるような、そういう取組の中に溶け込ませていければいいなと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、宍戸先生、お願いいたします。

宍戸特別構成員: 東京大学の宍戸でございます。

出遅れている間に非常に重要な論点が幾つも構成員の皆様から出たと思っています。そこでは、基本的に大きな公共サービスメッシュの描く未来像には基本的には賛成する、よりデータを使って公共サービス、あるいは本人の利便性も高めていくという方向性には大方の賛成が得られています。

しかし、他方で、そもそもこのマイナンバー制度の創設の経緯、あるいは現行の枠組みの中でどうしていくかということについても幾つか懸念が示されて、それらは私も共有するところであります。できるだけこれまでの御発言と関連づけながら少し私の考えを申し上げたいと思います。大きく5点ほどございます。

1点目は資料2の12ページを御覧いただきたいと思います。私はここでやはり重要な視点だなと思いますのは、1の2ポツ目の2つ目の矢印の外国人の在留手続に関係する事務だろうと思います。この日本社会が多様性を増していって、インクルーシブな社会にしていく中で、国籍保有者だけではなくて、外国籍の人がどんどん入って日本社会の構成員として長期的に、あるいは一時的に、あるいは移動しながら暮らしていっていただくということが日本社会の、あるいはデジタル社会の活力と包摂性、にもつながるわけであります。

外国人の方をどうしようというだけではなくて、外国人の方のことを考えることによって国籍保有者も含む社会の多様性をどうやって実現していくか、そのためにあるべき基盤となる行政サービスの在り方を考えていくという視点は、私は非常に重要なことだろうと思います。そうした基盤としての公共サービスメッシュ、マイナンバー、あるいはマイナンバーに関連する仕組みの利活用を考えることは大事だろうと思います。

1点、これの関係で安宅構成員が先ほどおっしゃられた戸籍制度の問題は非常に重大だと思っておりまして、その戸という単位、個人単位ではないということ、それから、本人の証明という点について見れば、既に御指摘があったとおり、過剰な情報を含んでおります。

それから、何よりもこれこそ原始的なアーキテクチャが人々の行動の可能性を一定の方向に知らず知らずのうちに規制してしまう。戸籍制度、戸籍法と家族法が非常に密接に結びつくことによって、本来、家族法親族法としてできることができなくなっていたり、ゆがんでいたりすることがいっぱいありますので、できるだけ個人単位で本人を認証していく仕組み、既存のマイナンバーがいいのかどうかは別として、そして、必要なときに個人と個人の情報を足して世帯として把握するという方向へ大きく行政サービスの在り方を転換していくことが、この議論の前提として非常に重要なことであるだろうと思います。

その上で、2点目ですけれども、多くの構成員から御指摘のありました個人情報、あるいはプライバシーへの懸念は、私も懸念するところでありまして、他方で、公共サービスメッシュの理想像にどうやって結びつけていくのかということで、問題を具体的に分析して、ここは乗り越えられるのか、ここは乗り越えられないのか、あるいは国民的な合意が得られるのかについて、緻密に検討していったほうがいいのではないかと思っております。

資料1の18ページを御覧いただきたいと思います。基本的にマイナンバー制度は行政機関間の情報連携、行政サービスの効率性を追求するために、国民本人が嫌だと思っても連携するということがあり得べしという前提で、なればこそ必要最小限度で、あるいは分野を限ってやってきたものだろうと思います。

他方で、右側の国民の利便性向上の領域は、やはり本人起点でなければいけないものであります。本人起点での情報活用、情報連携ということであれば、民間のIT連携と同じように、本人が自らの意思で連携するし、ちょっと連携をやめようと思ったら連携を切るという機能が実装されるものでなければいけないだろうと思います。

先ほど楠統括官に私が前回思いつきで出したメモをいろいろ取り上げていただいて面映い限りでしたけれども、自らがデータを活用する自由というのは、そういうところに私はあるだろうと思っております。

そうした観点から見たときに、例えば、幾つかある中で、国家資格についての情報連携をすると、自分が国家資格を持っていますよということを自ら情報連携したいと思うことは非常に適切であるわけですけれども、例えば何らかの事情で国家資格がはく奪されたときに、その瞬間には情報連携を切って、あたかも自分の国家資格が有効であるかのように振る舞われたら困るわけです。

そうだとすると、本人の意思による情報連携であっても、ものによってはそのように勝手に連携を本人で切ってはいけないものと、切ってもいいもの、あるいは同じような話ですけれども、マイナンバーに紐づけたほうがいいものと、マイナンバーカードの話の世界のものが両方あるだろうと思います。

さらに言いますと、多くの構成員がこの場で御指摘された、懸念を表明されたことを私なりに簡単に言えば、国民が自らの視点、意思で連携していったと、利便性が向上すると思って連携していって、情報が膨らんでいったものが、最後、知らないうちにバックヤードで行政機関の間で連携されて、監視であったり、不利益に使われたりということがないように、何か放流した鮭の稚魚が太って帰ってきて、後ろで何かいろいろされるということがないようにしなければいけないということが、やはり重要だろうと思います。

まとめますと、連携について法令で可能に、本人の意思で、あるいは事業者と本人の間で連携を可能にするもの、あるいはこれの連携は駄目だよと禁止にするものが何か、それから、2番目に、本人起点ということですので、本人が分かった上でやれる、あるいはやめることができる、これはやめられないといったことについての同意のマネジメント、それから、3つ目に、マイナンバーそのものであればもちろんですが、そうではないにしても、この仕組みの上で、本人の意思で情報を連携して扱うことができる事業者の規律、それはきちんとしたガバナンスをつくっていただくということもあり得ると思います。そうした規律と、これらを具体的に分析する上でどうしていくかということを考える必要があるのではないかと思います。

ちょっと長くなっていますが、3点目は短く言います。この議論の前提として、集中管理、分散管理という言葉が出てきて、それについて私は前に集中か分散かという議論について若干申し上げましたが、もう1個、管理という言葉が一体何を意味しているのかということ自体もよく整理したほうがいいのだろうと思います。

例えば、クラウドのセキュリティーをきっちり確保するということであったり、共通機能が破壊されないようにしたり、相互運用性を確保したりということで必要な、この公共サービスメッシュの基礎をつくる国のやるべきことという意味での管理と、それから、その上のところでデータを出し入れしたりするという自治体の方の管理、あるいは本人の管理というように、管理権限は様々に、あるいは重層的にあり得るものでありまして、それらについて目的と処理の在り方のスタックをきっちり整理して、これは誰に専属する、これは重畳的に帰属する、これは誰が口を出してはいけないという整理をきちんとした上で、その全体が最終的に本人起点であるということであるならば、本人がトレースできる、本人が関与できるという仕組みをつくっていく。

そして、さらに本人が処理しきれないということがあるでしょうから、1つにはPDSや情報信託機能のような、本人の同意の限界を超えるようなことについてもしっかりサポートする仕組みを実装したり、さらには個人情報保護委員会さんもおられると思いますけれども、しっかりとした監視・監督の体制がつくられたりすることがいいだろうと思います。

あとは簡単に済ませます。4点目は時間軸の問題ですけれども、先行する自治体さんがしっかりやっていって、そのベストプラクティスを2025年までに多くの自治体の方に共有していただくことを円滑に進めるためのフォーラムのような、あるいは横展開の仕組みを考えることが大切だということは齋藤先生からも御指摘があったと思います。

もう一つ、利用者の在り方、このサービスでどれだけ満足するのか、しないのか、どういう点がいいと思うのか、よくないと思うのかをユーザー像、本当は複数、多様にあり得るものだと思いますけれども、これを適切に把握する。あるいはその懸念を適切に把握する観点から、利用者の方からいつもアンケートを取るとか、プッシュで何かデジ庁に言っていっていただくだけではなくて、継続的にいつもモニターとして意見を言っていただくとか、そういうことが可能になるような仕組みもつくっていくことが、本当に国民に参加してもらって、この仕組みをつくる、あるいは仕組みの問題があるようなことはやめるために必要なのでないかと思います。

最後に5点目、これは今まで出てこなかった論点ですが、この公共サービスメッシュでデータがいろいろ流通し、取り扱われ、またやるべきことではないことがやられないようにする、そして、その結果として、行政施策がうまくいっているのか、有効にやられたのか、どういう点に問題があるのか、だから政策はどうやって改善していくのかというのは、今現在、いろいろなところで科学技術政策としても、あるいはイノベーション政策としても議論されているオープンサイエンスに関わる問題だろうと思います。

従いまして、ここでの情報のデータ利活用について、統計情報として、あるいは信頼できる研究者が一定の限定をかけた上で、データの流れについてアクセスをして論文を公表したり、それがまた行政の施策見直しにアジャイルで生かされたりしていくといった可能性も、ぜひ御検討いただくといいのかなと思っております。

長くなりましたが、私からは以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

時間も迫ってきましたけれども、楠統括官、赤石デジタル審議官、何かコメント等がございましたらお願いいたします。

楠統括官: 楠です。非常に多くの御意見をいただいて、最後、特に宍戸先生からいろいろまとめていただきましたけれども、やはり本人が関与するというのが、何ができることかということをきっちりと整理をしていく必要があります。

そこにおいては一旦同意をしたからといって、その後、勝手に後ろ側で連結されて別の使われ方をするというのでは同意に当たらないわけでして、そうすると、データのつなげ方というのもしっかり考えていかなくてはいけない。12桁の番号で連携してしまったときに、仮に本人同意を後で撤回したかったとしても、連結の状態というのは変えることができない部分もありますので、多くの委員の皆様から言われたことをどのように満たしていくのかというところを、もともとのマイナンバーカードの趣旨をしっかりと踏まえて考えていく必要があります。

一方で、デジタル化というものを考えてきたときに、対面であればできる、紙であればできるということが、システムで連携していないことによってできていないことが多くあります。これをきちんと解消していくためにもっとマイナンバーの利用範囲を広げていくべきではないかという御意見の根っこにはそこがあると思うのですけれども、この課題認識を受けとめていく上では12桁の番号と、また、データ連携の在り方も含めたマイナンバー制度、あるいはマイナンバーカード、そして、森信先生からも出たいわゆるマイナポータルによるデータ連携、これら密接に関わっている様々な概念を改めて整理して、住民一人一人を起点としたデータ連携の在り方、また、そこにおいて求められるプライバシーをどう考えるかというところと正面から向かい合っていく必要があるのではないかというような印象も新たに受けました。

安宅委員をはじめとして、いわゆる戸籍の問題等も御指摘がありましたけれども、これもかつてであれば紙で管理をしていて、これの謄本を証明書として出していたので結果として内部管理におけるデータ構造と、それを住民の方にクレデンシャルなりとして渡すときというのが同様のデータ構造である必要があったわけですけれども、本来ここのところもデジタル化した社会においては、より柔軟にプライバシーを守っていくことも本来できるはずなので、こういったところもしっかりと今日いただいた宿題を受けとめて、データ連携の在り方、また、社会におけるデータ活用の在り方というところをしっかりと考えていく必要があると思います。

また、本日、特に最後に宍戸先生から御指摘のあったいわゆるオープンサイエンスとの関係、統計情報として、信頼できる研究者が情報の流れにアクセスできるようにすべきではないかという課題認識は、これはトランスペアレンシーの確保ですとか、あるいは将来的な行政評価の在り方についても大きな投げかけをいただいたと思いますので、ここをしっかり考えていく必要があるかと思います。

私からは以上です。

木村参事官: ありがとうございました。

赤石デジタル審議官、コメントございますでしょうか。

赤石デジタル審議官: 一言だけ、要はコンセプトをちゃんと固めて、個人個人に、そして、全体としてどういうシステムにしていくかという整理をちゃんと行い、将来像を明確にし、ロードマップを明確にし、そして、アジャイルな改善やベンチマークをつくってやっていく、そういうことですよね。今までちょっとどうしても場当たり的になっていたので、今日のような議論を踏まえて全体像を示していく必要があるのではないかなと思いましたので、引き続きよろしくお願いいたします。

以上です。

木村参事官: ありがとうございます。

それでは、時間も過ぎておりますので、最後に閉会に辺りまして、牧島デジタル大臣より御挨拶をいただければと思います。大臣、よろしくお願いします。

牧島大臣: ありがとうございます。本日も有識者の先生方から大変貴重な御助言をいただいたと受けとめております。冒頭、本会議がございまして参加できなかったことをお詫び申し上げます。

後半、議論を聞かせていただく中で、昨晩も大きな地震があって、皆様も大変な御関係者の方もおられるかと思います。お見舞い申し上げるところでございますが、こうした危機的な状況を私たちが目の当たりにするたびに、デジタル庁ができ、そして、マイナンバーの3分野があるので、もっとできることがあるのではないかというお声も上がってくるのではないかなということは感じているところであります。

安宅先生にも頷いていただいておりますが、安宅先生の論文も読ませていただいた上でのことでございますけれども、そうした中で、3分野でもまだまだできることはあるという御指摘もいただいたと思います。

そして、自治体の中ではバックオフィス連携がしっかりできている、書かない窓口が行われている北見市さんのような事例を私も視察させていただいていますけれども、そういうところもあれば、まだまだ何をどうしたらいいか分からないというところもあれば、せっかくのマイナポータル、または民間事業者の皆さんとも共同してサービス、利便性向上ができると思われていますが、まだ利活用が十分ではないことなども御指摘をいただいたことを重く受けとめなければならないと思っています。

その先に、今日もキーワードで出てきているプッシュ型行政や、デジタルセーフティーネットといったようなものを考えながら次の段階に進めていければと思っております。

今日も本当に貴重なお話をいただいて、そして、国民起点で考えたときに、利便性や、満足度の可視化をもう少ししなければならないという宿題をいただいたと思います。引き続き御指導をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

木村参事官: 大臣、ありがとうございました。

それでは、最後に事務連絡でございます。

本ワーキンググループの資料と議事録につきましてはデジタル庁のホームページにて公開いたします。議事録につきましては、明日以降、事務局より皆様に対して確認の御連絡を差し上げます。

また、今回はプレスの方にも傍聴いただいておりますが、本日会議終了後、事務局にて会議の概要を改めて記者ブリーフィングをさせていただく予定でございます。

最後に、次回日程については現在調整中でございます。正式な日程を改めて事務局より御連絡さし上げます。

以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。皆様、どうもありがとうございました。