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こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトチーム(第3回)

概要

  • 日時:令和4年4月7日(木)16時00分から16時40分まで

  • 場所:オンライン開催

  • 議事次第:

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 前回の議論を踏まえたユースケースやデータ項目の整理について
    (2) こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の進捗状況並びに先行自治体における個人情報の取扱い及び改正後の個人情報保護法における本実証事業と関連する主な論点について
    (3) 児童福祉法改正法案による子育て支援について
    (4) 論点整理骨子(案)について
    (5) 意見交換
  3. 閉会

会議動画

会議の様子はYouTube(デジタル庁公式チャンネル)にて公開しています。

資料

参考資料

関連政策

議事概要

日時

令和4年4月7日(金)16時00分から16時40分まで

場所

オンライン会議

出席者

  • 小林史明(デジタル副大臣)

  • 赤池誠章(内閣府副大臣)

  • 佐藤英道(厚生労働副大臣)

  • 池田佳隆(文部科学副大臣)

  • 山田太郎(デジタル大臣政務官)

  • ほか関係省庁(デジタル庁、内閣官房、内閣府、個人情報保護委員会事務局、厚生労働省、文部科学省)の担当官

議事概要

(1)前回の議論を踏まえたユースケースやデータ項目の整理について

資料1に基づきデジタル庁より、こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について以下のような説明があった。

  • 先行事例を整理すると、データ活用の流れとして、
    ① デジタルデータを用いた一次絞り込み
    ② 人による更なる絞り込み
    ③ 個々のこどもへの対応策の検討
    ④ 支援への接続
    以上4つのフェーズがあり、②と③は一体的に実施しているケースも多く見られた。

  • 先行事例のケースの違いだが、一次絞り込みに使用するデータの収集方法について、既存データのみを収集するケース、新たに民間会社への委託調査で取得したデータも活用するケース、主にアナログな情報を集めて話し合いで判定するケースがあった。

  • データの分野については、教育・福祉の両データを活用するケース、教育データ中心、福祉データ中心のケースがあった。

  • アセスメントの体制としては、首長部局、特に福祉部局が中心となるケース、教育委員会や学校現場が中心となるケース、あるいは要対協のような外部連携組織を活用するケース、NPO法人等に外部委託をするケースが見られた。

  • ユースケースとしては、上記の選択肢等を組み合わせていく形になると思われる。なお、いずれの自治体においても専門スタッフによるアウトリーチ体制の構築が非常に重要であるという声が多かった。

  • 教育データ項目に関連した調査研究として、教育情報システムのあり方に関する調査研究、先進自治体等における教育データ利活用の実施状況調査を行った。

  • 教育情報システムの在り方に関する調査研究において、教育委員会や学校が保有している情報システムの全体像を把握し、各システムが保有している主なデータ項目の洗い出し、データ項目の連携の可能性、情報連携を進めるための課題などについて整理した。

  • 先進自治体における教育データ利活用の実態調査を実施し、現状把握やEBPM推進のためのデータ活用、個々の児童生徒に対する支援目的によるデータ活用、学級集団の理解等を図るためのデータ活用等を行っていることが分かった。海外事例では、デンマークのように国が一元的にデータを取得管理しているもの、イギリスのようにデータ管理は各地方であるものの、学校国勢調査や特別指導施設調査等によって定期的に教育省がデータを集めているもの、アメリカのフロリダ州のように、基本は各学校区でデータを管理しているものの学校区から州に対するデータを自動送信を通じて情報システムに統合しているものといった取り組みがあることが分かった。

  • いずれにしても日本とは異なり、かなりのデータ項目を取得し、予算配分、学校評価、政策立案等、様々な目的で活用されている。

(2)こどもに関する各種データの連携による支援実証事業の進捗状況並びに先行自治体における個人情報の取扱い及び改正後の個人情報保護法における本実証事業と関連する主な論点について

資料2に基づきデジタル庁より、支援実証事業団体等の公表及び先行自治体における個人情報の取り扱い等について説明があった。

  • 令和4年2月4日から28日までの期間で支援実証事業を行う団体を公募し、合計20団体からの応募をいただいた。応募団体のうち、都道府県が3団体、政令市が2団体、中核市は3団体となる。また採択団体は合計7団体、埼玉県戸田市、東京都昭島市、石川県加賀市、愛知県、兵庫県尼崎市、広島県、福岡県福岡市となる。

  • 予算については令和3年度の補正予算で合計7.3億円であり、事業内容としてはデータ連携の目的調査や必要なデータ項目、制度面、運用面での課題の検証及び自治体でのデータ連携方策の実証を考えている。

  • 今後としては4月に検証受託事業者の応募を行い、5月から6月にかけて実証を開始する予定。

  • なお、第1回こどもに関する情報・データ連携 副大臣プロジェクトからの繰り返しになるが本事業において国が一元的にこどものデータを管理するデータベースの構築は考えていない。

  • 先行自治体における個人情報の取り扱いについて、具体的な取り組みを整理した。個人情報保護条例の改正を行い、一部の情報について目的外利用を定めている自治体や、各自治体ごとに設けている個人情報保護審査会などに諮問し承認を得ている自治体等がある。

  • 令和5年度以降は、デジタル社会形成整備法第51条による改正後の個人情報保護法に基づいて実施していくため、今後の展望を、関係省庁、とりわけ個人情報保護委員会とともに考える必要があり、自治体にも周知しながら検討を進めていく。

(3)児童福祉法改正法案による子育て支援について

資料3に基づき厚生労働省より、児童福祉法改正法案にかかる子育て支援の内容について説明があった。

  • 現在、児童福祉法改正法案を国会に提出しているところ。法案中のこども家庭センターは、妊産婦、子育て世代、あるいはこどもからの相談や、保育所等の身近な子育て拠点の相談機関から連携された情報を踏まえて、様々な支援に繋げるものである。

  • こども家庭センターは現状の児童福祉の観点から設置されるこども家庭総合支援拠点と母子保健の観点から設置される子育て世代包括支援センターを再編/統合し設ける機関という位置づけ。

  • 市区町村における子育て家庭への支援の充実については、新設事業として、まずは子育て世帯訪問支援事業がある。これは主に訪問による生活の支援として、具体的には要支援児童、要保護児童、あるいはその保護者のほかヤングケアラーも含むが、それらを対象に家庭へ訪問し子育てに関する情報の提供、家事・養育に関する援助等を行うもの。家事の例としては調理や掃除等が含まれる。

  • 児童育成支援拠点事業は、学校や家以外のこどもの居場所支援を行うものである。対象としては養育環境等の課題として虐待リスクが高い、あるいは不登校等の問題を抱える児童を対象に居場所となる拠点を開設し、居場所の提供、食事の提供、学習支援等を行うもの。

  • 親子関係形成支援事業は、講義またはグループワーク等を通じ、親子関係の構築に向けた支援を進めるもの。

  • 拡充事業としては子育て短期支援事業と一時預かり事業がある。子育て短期支援事業については、保護者がこどもと共に入所・利用できるようにする。また一時預かり事業については、子育て負担を軽減する目的での利用が可能であることを明確化する予定。

  • 新設する事業については、地域子ども・子育て支援事業に位置づける予定。

  • 令和6年4月施行の予定である。

(4)論点整理骨子(案)について

資料4に基づきデジタル庁より、本プロジェクトにおける論点整理の骨子案について説明があった。

  • 何のためのデータ連携か目的をわかりやすく説明できるようユースケースを活用してまとめてまいりたい。また対象となるデータ項目はこれからの実証事業に向けてまとめていく。データ連携を実現するシステムや体制の在り方についても、それぞれの実証自治体においてどのような形でデータを管理しているのか、体制はどのように作るのか論点整理をしていく予定である。制度面の課題についても実証事業を通じて検討してまいりたいが、実証開始までに論点整理できるところは整理した上で実施していきたいと考えている。

  • 実証事業については、プッシュ型に繋げるところまで対応していきたいと考えている。関係省庁と共有し、方策を検討するとともに、必要に応じ再度副大臣プロジェクトチームを開催することも検討する。

(5)意見交換

赤池内閣府副大臣

  • 先進事例を整理すると、データ活用の流れについては対象者の一次抽出から支援の接続まで4段階があり、体制については福祉部局や教育委員会が中心となる場合や、要対協を活用する場合等が代表的である。今後実証事業を進めるにあたり、各自治体が地域の実情に応じた適切なデータ活用が検討できるよう、それぞれのデータ活用方法について、利点や留意点を整理することが必要である。

  • 事業の目的については、困難のある方々を見つけるということのみならず、具体的に支援を届けることが重要である。

  • 支援にはスクールソーシャルワーカーはじめ様々な専門人材の充実が必要であるが、育成には時間がかかる。最終的には中学校区、小学校区等といったすべての地域に専門人材がそろえば理想的だが、それを補う仕組みとして、NPOや民生・児童委員等、地域で相談支援を行う方々をサポートする様々な取組が重要ではないか。官民連携していくととともに、既存の民政委員や様々な地域団体の方と組み合わせて子育てセンター等を作ることが必要である。

  • 同時に、実証事業にあたっては、データ連携の取組が住民の理解を得られるものとなるよう、誰がデータを活用できるのかを含めて整理・検討し、個人情報の管理が適切に取り扱われるようお願いしたい。

佐藤厚生労働副大臣

  • 本プロジェクトチームで扱っているこどもの情報データ連携については、先進的な取り組みであるがゆえに骨子案で示されているような様々な課題や論点がある。この論点整理については実証事業の結果等を踏まえ、より内容の追加がされていくと考えており、引き続き協力いたしたい。

  • こどもや子育て世帯の把握の取り組みに加え、把握されたこども等に対する支援策の充実も重要である。

  • 近年の地域関係の希薄化や核家族化等により子育てに負担や悩みを抱える家庭が多くなっていると考えている。児童相談所への虐待相談対応件数が令和2年度には20万件を超える等、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化している状況にある。

  • 前述の児童福祉法改正法案についてはこの状況を踏まえ、家庭の支援を強化し虐待の発生を未然に予防するため、すべての妊産婦、子育て、家庭、こどもへの一体的な相談支援を行うこども家庭センターの設置や家事支援の創設等、種類、質量の拡充を図る。

  • また、子育て支援策が支援を必要としているこども等に確実に繋がるよう、サポートプランの作成を市町村の業務に位置づけるとともに、市町村が必要と判断した場合には、よりプッシュ型での支援を可能とする内容も盛り込んだ。

  • こうした取り組みと、データ連携にかかる取り組みとが相まって、こどもや子育て世帯に対する支援をより一層充実してまいりたい。

池田文部科学副大臣

  • こどもに関する情報データ連携を進めていくためには、現状においてどのようなデータを地方自治体・教育委員会・学校が保有しているのかの把握、また、これらのデータを連携させることでどのような課題が解決できるのかといった活用場面の整理、個人情報の取り扱い等の整理が重要であると考えている。

  • 文部科学省においても教育委員会や学校が保有している情報システムの全体像を把握し、どのようなデータ項目を保有しているのか整理を行った。

  • 今回の調査研究で把握した教育委員会・学校が保有しているデータ項目の中には本プロジェクトチームの目的である、貧困、虐待等の真に支援が必要なこども・家庭の発見や、ニーズに応じたプッシュ型支援に資するデータ項目が存在していると考えている。

  • 教育部局と福祉部局、それぞれが保有するデータの連携を実現するためには、システム面だけでなく、制度面、運用面等様々な課題があるが、このデータ連携はニーズのあるこどもや家庭に対して、行政が、きめ細やかにスピード感をもって支援できるようにするための肝となる取り組みであると考えており、引き続き積極的に検討を進めてまいりたい。

小林デジタル副大臣

  • 各省庁においてこれまで行ってきた取組を合わせていただくことで、かなり論点整理がされてきたと感じている。たたき台として示させていただいた骨子案の事業目的、データ項目等についても文部科学省や内閣府にて実施していただいている取組を踏まえ、さらに整理してまいりたい。

  • 内閣府より示していただいた先進事例のデータ連携・活用を見ても、モデルとして連携・活用方法を一つの型にはめることはできないと感じているし、はめる必要はないと考えている。データ項目等に係る調査研究事業についてこれらを踏まえ、更に検討を深め、自治体における実証事業に活かしてまいりたい。

  • その上で、データ連携に当たって個人情報の保護を図ることは大前提であり、実証事業に参加する自治体が安心して検証に取り組めるよう、データ連携の目的や体制、個人情報保護に関する留意点等は明確にしてまいりたい。

  • 個人情報保護法の改正により、各自治体が条例等で定めていた個人情報保護制度について、一元化し整理するタイミングでもある。支援に携わる皆様が躊躇してしまうことがないようしっかり整理をしてまいりたい。

  • 以上の論点も含め、5月から6月の取りまとめに向けて、関係省庁と連携して検討を進めてまいりたい。

  • また実証事業の参加自治体については、20件応募いただき7件採択することができた。次回開催と同時期に実証事業を開始できるよう、スピーディーに準備をしていく。

  • 本取組については、昨年末の閣議決定において、こども家庭庁の体制の下支えとしての重要プロジェクトに位置づけられている。こども家庭庁が出来上がる頃には一定の仕組みを提供できるよう、仕上げてまいりたい。

以上