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マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 専門家ワーキンググループ(第3回)

概要

  • 日時:令和4年12月23日(金)12時30分から14時00分まで

  • 場所:オンライン開催

  1. 開会
  2. 議事
    1. 検討会について
      • 検討会について
      • 専門家ワーキンググループについて
    2. 検討会における検討事項
    3. 今後の進め方について
    4. 各団体からのヒアリング
  3. 閉会

資料

議事概要

日時

令和4年12月23日(金)12時30分から14時00分まで

場所

オンライン開催

参加者

  • 村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)
  • 吉川浩民 (総務省 自治行政局長)
  • 伊原和人(厚生労働省 保険局長)
  • 長島公之(日本医師会 常任理事)
  • 遠藤秀樹(日本歯科医師会 副会長)※代理:林正純(日本歯科医師会 常務理事)
  • 森昌平(日本薬剤師会 副会長)
  • 伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)
  • 岡﨑誠也(国民健康保険中央会 会長)※代理:原勝則(国民健康保険中央会 理事長)

オブザーバー

  • 安藤伸樹 (全国健康保険協会 理事長)
  • 仙田康博(全国知事会 調査第二部長)
  • 木村成仁 (全国市長会 社会文教部長)
  • 横尾俊彦(全国後期高齢者医療広域連合協議会 会長)
  • 下仲宏卓(地方公共団体情報システム機構 個人番号センター長)

ヒアリング

※公益法人の区分の略称について
「公財」は「公益財団法人」、 「公社」は「公益社団法人」、「一社」は「一般社団法人」を示しています。

  • 藤田和子((一社)日本認知症本人ワーキンググループ 代表理事)
  • 正立斉((公財)全国老人クラブ連合会 事務局長)
  • 芦野正憲((公社)認知症の人と家族の会 理事)
  • 尾之内直美((公社)認知症の人と家族の会 理事)
  • 橋井正喜(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 常務理事)
  • 三宅隆(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 組織部長)
  • 逢坂忠(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合 事業部長)
  • 吉野幸代((一財)全日本ろうあ連盟 理事)
  • 岡安澄子((一財)全日本ろうあ連盟 同行者)
  • 田原薫(全国身体障害者施設協議会 副会長)
  • 西川浩之((公社)成年後見センター・リーガルサポート 副理事長)
  • 武大介(千葉市市民局市民自治推進部区政推進課 課長)
  • 佐藤泰格(都城市デジタル統括課)

議事(構成員等からの意見、質疑応答)

藤田和子((一社)日本認知症本人ワーキンググループ 代表理事 )

  • 私自身もマイナンバーカードを申請中であり、オンラインの形で、夫と一緒に取り組んだが、写真添付に少し手間取ったりもした。

  • マイナンバーカードを申請する判断をする際に、信頼できる人からやった方がいいと言われると、そうしてみようかなと考えられ、申請することになった。認知症のある人たちにとって、多くの人もそうだと思うが、新しいことや経験したことがないことに対しては、不安を感じて不審な気持ちにもなる。信頼できる人たちから進められたり、手伝ってもらえたりということが安心感を与えることになる。

  • 施設に入所している方とかは、そもそもマイナンバーカードについての情報等がない可能性があるので、取得の必要性などについて、丁寧な説明が行われているのか不安。自分自身が納得できるような説明をしていただきたい。代理申請の場合は、カードが取得された際に、カード自体を誰が管理するのかということを、あらかじめ本人と一緒に確認しておくことも大切。

  • カードを紛失することは稀と思われるかもしれないが、認知症のある人たちにとって、なくすという状況が発生するのは日常茶飯事であって、カードの紛失が起きた時にバックアップ体制が取られていないと不安。様々な方たちが紛失する事態はあるので、そういう人たちが取り残されないようにしていただきたい。

  • 若年認知症の方たちが高齢の親御さんに頼って生活している事例があり、そういう方にマイナンバーの提供をお願いしたいという時にマイナンバーとマイナンバーカードの違いが理解できてもらえなくて、納得してもらえなかったということもある。高齢社会になっていく中で、そういう理解が進まなくて、できない方たちもいる。丁寧な説明など、そこを支える体制を取っておく必要がある。

  • (冒頭で音声トラブルがあり、自己紹介が伝えられなかったので、最後にもう一度ご説明)私はアルツハイマー病と診断されて15年たつ、認知症の本人です。本人として経験したことを今日はお伝えしました。

正立斉((公財)全国老人クラブ連合会 事務局長)

  • 老人クラブは高齢者からなる組織であるが、高齢者といっても60代から90歳を超えるまでの年齢差があり、家族構成や健康状態、住んでる地域や経済状況などそれぞれ異なるのでその点を含みおきの上でお聞きいただきたい。

  • マイナンバーカードの申請や取得にあたって支障になっている点、支援や配慮が必要と思われる点について、1つ目は、マイナンバーカードに関する情報が全ての高齢者の方に届いているのか、理解されているのかということ。日頃老人クラブなど社会活動に参加してる方はいいが、そうでない孤立しがちな方は、様々な情報が入手しづらいということを耳にする。郵便物等を見るのが億劫であったり、新聞やテレビでマイナンバーカードがあることは知っていても、どのように手続きしたらいいのかわからず、そのままにしている方も一定数いると思われる。

  • 2つ目は、本人確認のために申請時または交付時に市町村に行かなくてはならないということ。高齢者の場合、健康上の理由や移動手段の問題で、役場に行くことが困難なことが考えられる。郵送で申請する場合には写真の添付が求められてることも、手間や経済的な面で負担は大きいように思われる。

  • 3つ目として、高齢者は、スマホやパソコンを使った電子申請に慣れていないということ。スマホやパソコンを前提とした手続きは高齢者にとってハードルが高いだろう。

  • 4つ目として、すでにマイナンバーカードを取得されている方へのフォローが必要。作ったけど使用する機会がない、持ってるけど健康保険証の登録の仕方がわからない、ポイントをもらったけど使い方がわからない、パスワードが覚えられない、紛失したらどうしたらいいのかなど、数多くの声が聞かれている。

  • 自治体や関係者の皆様に期待することについて、1つ目は、いわゆる情報弱者の高齢者にもきちんと情報が行き渡るよう対応をお願いしたい。また新しい施策が開始される時には必ずと言っていいほど特殊詐欺が発生するため、注意喚起もぜひお願いしたい。

  • 2つ目が、申請窓口や出張申請の拡充をお願いしたい。申請窓口としては高齢者がよく利用する郵便局、地域の中核病院、地域包括ケアセンターなどが考えられる。病院は健康保険証としての活用という面から、高齢者にとって申請しやすいのではないか。支援が必要な高齢者にとっては、地域包括ケアセンターなどは、申請に馴染むのではないかと考えている。出張申請を、高齢者が身近に出かけられる場所で行っていただくことはありがたい。例えば、公民館や自治会館、老人福祉センターなどが考えられる。出張申請の呼びかけには、自治会や町内会を通して、場合によっては老人クラブでもお手伝いできる面があるのではないか。予算や受け入れ側の体制の問題、場合によっては法律改正も必要と思われるので、全てが実現できるわけではないだろうが一考の余地はあるのではないか。

  • 3つ目として、取り扱いの変更や利用できるサービスが増えるごとに正確で分かりやすい情報発信を行っていただきたい。

芦野正憲((公社)認知症の人と家族の会 理事)

  • 手続きの点で支障となっている点、支援が必要と思われる点について、今の保険証とは郵送されてくことが通常だが、マイナンバーカードということで手続きが煩雑になり、手間やコストが増大し、デジタル化やIT化に慣れてない方へ大きな負担になると考える。

  • 写真について、適切な写真が撮影できないと何度も窓口で却下されるというケースを伺っている。多少、横を向いている、目が開いてない、口が開いているといった写真が許可されたとしても、2センチ四方の写真とはいえ、そのような写真が載ることは、本人も家族も心情的に耐えられないものでないか。高齢の方、障害を持つ方、寝たきり等の方について、写真を登録せず、家族や介護の方が保険証を使用する際に、説明することで使用可能になるなどの配慮が必要ではないか。

  • 取得について、地方では窓口に取りに行くために丸1日かかったり、免許返納している高齢者であれば、交通費で1万円とか2万円かかることもある。本人でないと受け取れない、あるいは本人を連れていかないと対応できないが、寝たきりの方や車椅子が必要な方、常に一緒にいないと不安を感じている、感じられるような認知症の方などと一緒に手続きをするのは大変困難である。企業への出張申請の取り組みについて、高齢者の施設や高齢者の自宅にも伺うという対応が必要ではないか。

  • カードの管理について、従来の健康保険証を紛失してしまうという方は大勢いらっしゃり、その都度再発行するということになっているが、マイナンバーカードで同じことはかなり難しいのではないか。カードに複数の暗証番号があり、また、カードの更新は10年、健康保険証は5年、電子証明書は5年など、更新期間が統一されていないということもあり、取得した後の管理は、認知症の方や家族が大変混乱するものではないか。

  • 福祉当事者の視点から期待することに関して、介護職やケアマネージャーには介護の仕事をしてもらうのが1番であるため、取得等の事務手続きは国や行政が行うべきものと考える。

  • 認知症の方がマイナンバーカード取るのが大変、暗証番号を忘れるという形でのマスコミの取り上げ方によって、認知症の人が何もできないというようなイメージが広がってしまうということも懸念している。

尾之内直美((公社)認知症の人と家族の会 理事)

  • ご本人が寝たきり状態であるが、規則だからということで、車いすに乗せて取得に行ったという話があった。規則だからというのではなく、いろんな方に対しての対応のマニュアルを作成・周知して、サポートしていただけるような形をお願いしたい。

  • 保険証をなくして再発行を何度も行うというのは、いろんなところで当たり前のように起きていること。現場で支援してくださる方に負担がかかってくることになるが、マイナンバーカードの再発行になると、その再発行してもらう方も抵抗がある。臨床の方などは、再発行に期限があるため、そういう期間だけ何か別の方策で対応できるとかいうことを検討いただけるとありがたい。

橋井正喜(社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 常務理事)

  • この団体は昭和23年に創立された団体であり、全国47都道府県と政令指定都市の団体で今60団体を要している。視覚障害者は手帳を持っている方で30万か31万人と言われているが、見えにくい見えづらいという方を含めると164万人ではないかと眼科医の方たちはいわれている。

  • 自身が申請した時の経験として、申請した時に写真を添付したら、目が開いていないからダメだ、きちんと開いたところを取り直していただきたいということで申請をし直しした。これは大変無礼である。

  • マイナンバーカードについて、今は点字で分かるようになっているが、濁音がついたりするところが自治体によってバラバラということがあり、国のものであるなら、統一していただきたい。

  • 障害者は、マル福マル障といったものが、1年に1回交付されてきて保険証に入れ直すが、今後それが来た時には、マイナンバーカードの中にどのように入力するのか。

  • 視覚障害者でパソコンとかスマホを使いこなせる方はどのぐらいいるのか。自分でオンラインは難しいかと思う。パソコンやスマホで、バージョンアップするだけでついていけない。難しいものが来ても、まるで手の出しようがないため、そういったところのサポートをどのようにやっていただけるのか。

  • マイナンバーカードの4桁の暗証番号を忘れてしまった際に、自治体に聞いたら窓口まで来ていただきたいと言われ、障害者手帳や保険証などの証明書を持ってきていただきたいと言われた。何のためのマイナンバーカードかと聞いたら、それが決まっているからということだった。

三宅隆(社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 組織部長)

  • 申請時、更新時において、タッチパネルによる暗証番号の入力などを求められることがあり、また書類への記載等々もあるが、本人で難しい場合に代理の方をということではなく、公的なものである以上は、自治体の担当者あるいは国が率先して、行政側の方で対応していただくようにお願いする。

  • マイナンバーカードの利用に関して、行政サービスの一部が役所に行かなくてもできるようになった。住民票や印鑑登録証明書を役所に行かなくても取れるようになったが、視覚障害者はその恩恵がない。コンビニで取得する際の端末は、視覚障害者が使えるような配慮がなされた機械でなく、結局は人の手助けがないといけない。カードの性質上、コンビニの店員に頼むというわけにもいかないので、一般の方が広く使い恩恵を受けているものに関しては、視覚障害者も同じように享受できるように取り計らいをお願いする。

  • マイナポータルについて、スマホや、パソコンにカードリーダー接続等での登録という形であるが、困難を生じている。視覚障害者が単独で確実にその情報が入手できるよう、あるいは登録ができるように配慮をお願いする。

  • 更新時について、更新時期の通知が視覚障害者に分かるような形で提供されていない。封筒への記載は点字や拡大文字の対応がないため通知が来たことすら気づいていないということがある。内容の通知に関しても、我々にわかるような形で情報提供がなされていない。昨今制定された情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の理念に基づいて、このような情報提供についてはぜひとも配慮をお願いしたい。

逢坂忠(社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 事業部長)

  • 医療機関や薬局を利用する際の本人確認について、4桁の暗証番号等を入力する方法ではない方法で利用できるようにしていただきたい。入力がやむを得ない場合はタッチパネルや非接触式の入力方法ではない視覚障害者でも入力できる方法を取り入れていただきたい。

  • 何らかの理由でマイナンバーカードの取得が困難な方について、取得のためには役所に行かなければならないが、視覚障害者の中には難しい人もある。期日までに取得できなかった視覚障害者について、保険証での受診もこれまで通りの手続きで治療等が受けられるようにしていただきたい。

  • 視覚障害者の中には、あんま鍼灸の業に就いているものがいる。施術治療の1つに医療保険による支払いを行うことができ、保険資格の確認が必要だが、マイナンバーカードを使っての資格確認についても4桁の暗証番号の入力を要しない方法でシステムを取り入れていただきたい。視覚障害者にも操作しやすいようなシステムを構築していただきたい。

  • あんま鍼灸の場合に、往療といって、患者宅に出張して行う施術がある。往療の際にも資格確認が必要になるので、例えば充電式のカードリーダーのようなものがあれば、それを使って簡単に情報が得られるような仕組みを作っていただければ幸い。カードリーダーの購入が必要であればその費用を補助していただきたい。

  • これらのシステム、例えばアプリケーションソフトの開発にあたっては、視覚障害当事者の意見を十分に聞いていただくようにお願いする。

吉野幸代((一財)全日本ろうあ連盟 理事)

  • 障害者手帳を持つ聴覚障害者は34万人と言われているが、その中に手話を日常的に活用するというような方々も多く、その他に盲ろう者の方、つまりろうベースで、視覚障害を持つという方、いわゆる触手話という手法でコミュニケーションを取っている人たちもいる。またろう者で知的障害を持つろう重複障害者という方々もおり、それらの方が全て手話でコミュニケーションを取るという形で生活をしている。そのような現状を踏まえた上で、マイナンバーカードについての取得にあたっての懸念する事項について申し述べたい。

  • マイナンバーカードの取得について、多くの情報が錯綜しており、正しい情報が入手しづらい。メリット・デメリットの情報も錯綜しており、不安視する方が多いのではないか。盲ろう者の方々は、全く情報が入らない中で、情報アクセシビリティの問題が起こっている。マイナンバーカードが健康保険証と一体になることについても丁寧な説明が必要。様々なコミュニケーション手段を使った丁寧な説明をする環境整備が必要。

  • ろう重複障害者で施設に入所する方もおられるが、そういった方々で、家族が高齢化しているなど家庭の事情によって、家族の支援が得られない・支援が難しいという事例がある。そういった場合施設の職員が代理申請することになることが想定されるが、その場合の代理申請は本人確認が難しいということで拒否される可能性があるため、そういうことがないように、もう少し柔軟な対応をいただければと考える。

  • カードを取得した後、暗証番号を忘れることや、紛失することなども起こってきている。役所での手続きが難しいということにならないよう、統一的な環境整備を持って推進を図っていただきたい。

  • ろう高齢者の方で、医療機関に行っても説明ができない方もいるので、病院を変わった場合などに、カードを活用することで、健康状況を自分が説明しなくてもマイナンバーカードで1つ解決できるという安心感もあるのではないかと期待もある。

  • カードを紛失した場合に、緊急に医療機関を受診しなければいけないがカードがないために受診できないということは、命に関わる重大な問題である。その際にろう者が十分説明ができない場合に、医療機関側で、特例でも、何らかの配慮がいただければ安心して利用することができる。

  • 支援者の側面として、健康保険証との一体化というならば、役所の窓口などに支援ができる体制を作る必要があるのではないか。マイナンバーカードの申請窓口に手話通訳者を配置する、ろうあ相談員を配置してサポートするなど。マイナンバーカードの支援に推進委員のような形で配置することで、聞こえない人たちが手話コミュニケーションを通して正しい制度理解を図るといった制度設定が必要である。自治体で手話通訳者の設置は完全には行われていない。サポートができる体制を整備していただきたい。

  • デジタル庁からろうあ連盟に委託というような形で普及促進を図る、学習会を開く。また啓発の方法等についても、家庭訪問しつつといろんな手法はあるが、丁寧な説明という取り組みも必要ではないかと思っている。

  • 総務省からの委託で、デジタル活用支援の学習会を10団体にて実施し、マイナンバーカードの説明も含めて取り組み、その効果もあったが、その事業は1回だけで終わる一過性のものであった。継続性が担保できるような仕組み作りが必要ではないか。また、受託の条件が厳しく、応募に躊躇することもあるので条件緩和をしていただければと考える。47都道府県に当事者団体があるので、それら一体になった形で事業委託というような形の支援もお願いできないか。そういった形でマイナンバーカードの支援は重層的にできるのではないかと考えるので、配慮をお願いしたい。

  • デジタル庁のデジタル推進委員制度についても連盟の加盟団体では難しい条件なので、条件緩和も検討し、使いやすい体制をお願いしたい。

  • ろうあ連盟の視点で話をしたが、ろうの方々と重複の障害の方々で支援方法もそれぞれ違いがあり、それぞれの当事者がそれぞれの意見を持っているため、ぜひそれぞれに意見聴取を行っていただきたい。

田原薫(全国身体障害者施設協議会 副会長)

  • 身体障害者施設は、全国で約500施設あり、1施設あたりは平均利用者50数名である。障害支援区分は、最重度の区分6の方が約66%、区分5の方が21%、合わせて87%の方が入所されており、最重度の身体障害の方が生活している入所施設である。年齢は50歳以上の方が約78%ということで、高齢化が進んでおり、ご家族の方も同様に高齢化が進んでいる現状がある。慢性的な職員不足が継続している中で、高齢化に伴う介護負担・医療的負担も増えており、同時に新型コロナウイルス感染症の対策による負担も増大している。人材不足の改善策の一環として外国人介護人材の受け入れが非常に進んでいるが、それに伴うコミュニケーション能力の向上も課題として顕在化している。今後も労働環境の諸課題は継続されるものと考えられる。

  • 手続きの支障や何らかの支援配慮が必要と思われる点について、申請取得にあたっては以下の配慮をお願いしたいと考える。

  • 1点目、全市町村が出張申請受付を実施することをお願いしたい。2点目、自治体職員が、障害者施設・事業所に出張し申請手続きを補助することをお願いしたい。また随時出張相談に応じることも合わせてお願いしたい。3点目、手続きや取り扱いに地域格差、ローカルルールが生じないこと。4点目、手続きの簡素化に取り組んでいただきたい。5点目、複数パスワードの登録が必要なことによる、手続きや管理の困難さ、複雑さの解消・改善をお願いしたいと考える。6点目、マイナンバーカードで、障害福祉サービス受給者証に記載されるサービス支給決定期間がわかること。または障害福祉サービス受給者証との一元化をお願いしたい。7点目、健康保険証の有効期限を確認できる設計をお願いしたい。

  • 支援者の視点から申請サポートを行うにあたっての意見として、施設従事者の現状を踏まえ、支援や補助ありきの仕組みでないようにお願いしたい。障害者施設・事業所はマイナンバーカード申請代行や代理受領を担わないということをお願いしたい。2点目、代理交付の仕組みや内容や目的が不明なところが多々ある。施設・事業所はマイナンバーカードの代理交付主体となる考えは今のところない。3点目、マイナンバーカードの申請に必要な写真の撮影には事業所としては協力したいと考えるが、写真の精度や条件が高いと、それに応えられない、対応しかねるので、配慮いただきたい。4点目、障害者支援施設事業所が申請代行や代金受領を行うことに、既成事実かのような報道があるが、既定路線化しないよう配慮いただきたいと考える。

西川浩之((公社)成年後見センター・リーガルサポート 副理事長)

  • 成年後見制度利用者の支援者、代理人としての立場から意見を申し上げる。

  • 現在、本人自身が受け取ることが困難な時は、任意の方に対する代理交付は措置されているが、法定代理人からの申請に関して、あまり周知されてないと感じている。そのため、法定代理人から申請している場合に本人の出頭が困難であることを疎明する資料を提示することが求められるのではないかと危惧している。法定代理人からの申請というパターンについて、数多くないのかもしれないが、きちんと周知していただくと助かる。

  • カードの交付申請の判断は、後見人には非常に難しい。カードの交付申請をしないことのデメリットがさほど大きくないと感じており、本人の意思が確認できないような場合に法定代理人限りで交付申請することの是非が判断しにくい。

  • 暗証番号は通常は代理人でも本人と共有するものではないと一般的には理解されており、カードの交付を受ける際に設定する暗証番号について、場合によっては法定代理人限りで設定し、法定代理人のみが管理するという形になるのかと思うが、大丈夫かという不安を持っている方は多い。

  • カードの交付を受けることのメリットをもう少し明確にしていただくと良い。カードが保険証と一体化されることで、高額療養費の支給申請の手続きが簡単になるのではないかと考えるが、その他いろんな調整制度や優先適用はわかりにくいが、一体化することで明確になるのであれば、後見人としても事務の一元管理を図ることができるため非常に大きなメリットになる。どんなメリットがあるのか周知していただくといい。

  • 成年後見制度利用者の場合は、紛失することがありえると考えられるので、カードを紛失することがある前提で制度を設計していただかないといけない。

  • 成年被後見人の個人番号カードについて、成年後見人が交付申請することが本人にとっての利益にもなるということで周知をする場合、最高裁判所あるいは法務省との十分な協議調整をお願いしたい。

  • 次に代理行為目録の記載について指摘する。成年後見制度利用者の代理人のうち保佐人・補助人については、家庭裁判所から個別に代理権の付与を受けることによって本人を代理することができるようになる。家庭裁判所の実務で使用されている標準的な代理行為目録には個人番号に関する諸手続という項目があるが、令和元年頃に出来た項目であるのでそれより前から制度を利用されてる方については代理権が直接的には付与されていないという形になっている。代理人目録の最後に「以上の事務に関連する一切の事項」というものがあり、公的な届け出等を含むと理解されているので、この項目の代理権があれば代理できるということである。この点も現場で混乱が生じないように、必要あれば最高裁判所と調整や協議をしていただければ幸い。

  • 窓口における手続きの円滑化に関して、成年後見制度利用者の一部には、虐待等の理由で家族等と分離して安全・安心を確保している方もいる。そういった方は、家族による申請よりも、法定代理人による申請を優先していただく必要がある。法定代理人に対して、家族や施設からの申請ではないという理由で取り下げ等を命ずるようなことのないようお願いしたい。

  • 施設によるカードの管理について、施設に入所している場合、保険証を施設が管理しているケースが少なくないが、カードと保検証が一体化した後も同じように出来るかということは難しい問題。後見人は、カードの管理を施設に任せることに躊躇があることが多く、預けないわけにはいかないとなると、カードを発行しない方がいいという判断になる可能性がある。そういった方の被保険者としての資格確認の方法も含め、不利益を受けないような手立てをお願いしたい。

  • カードの発行がされない方について、保険証の代替物のようなものができるのかと考えているが、その発行に関して、現在の保険証の発行の実務では法定代理人は届け出によって、法定代理人に保険証を送付していただくという扱いになっているため、それを継続していただかないと困ることになる。国民健康保険は、世帯主に一括して送付されるが、後見人としては混乱することがあるので、個人単位で発行・送付していただくことの検討をお願いしたい。

伊原和人(厚生労働省 保険局長)

  • マイナンバーカードと健康保険証を一体化することの意味をお話させていただきたい。健康保険を利用すると様々な情報が支払いデータとして抱えられ、どのような薬が出されたとか、どこで医療を受けたということがすぐわかるので、マイナンバーカードで本人確認ができれば、医療現場で患者さんの前で確認できるというメリットがあり、厚生労働省として一体化を進めたいと考えている。ご指摘いただいたところでは、マイナンバーカードは健康保険証のように気軽には使えないのではないか、健康保健証であれば紛失してもなんとかなるかもしれないけど、マイナンバーカードを無くしても大丈夫か、とか、施設に健康保険証を預けてるけれども、マイナンバーカードを預けるということにするのか、施設に渡していいのか、というように様々いただいたので、現場の様子もよく伺いながら考えていきたい。

  • お伺いした中で印象的だったことは、当事者の方々やご家族の方にマイナンバーカードで医療機関で受診することの意味、何のために政府が取り組んでいるのかという点について、まだ全然ご理解いただけてない、あるいは我々のご説明が足りないということを感じた。どういうやり方をすればいいのか、デジタル庁や総務省と相談しながらやっていきたい。

  • 支援する側の施設の方- あるいは当事者の方からご意見をいただいた。ケアマネージャーの方や施設のスタッフの方が、カードの取得にどういう役割を果たすのかで、身近な方なのでいろいろご本人の方をよくご存知だというところでありまして、我々としては一定の支援をお願いできないか、そういった場合にはお金がかかるため、コストについてどうするかもよく考えていく必要があるとは思っている。そういうことを原則にしてしまうと、現場の支援のあり方が非常に難しくなるというような話もいただいた。どういう形がいいかはよく考えていきたい。

  • 本人のことをよく知らない自治体の職員の方が、どこまでご本人の気持ちをサポートできるか、どういう風にやればスムーズに申請サポートができるか、そこのあたりについて、よくご相談させていただきたい。その場合において、暗証番号の問題も難しいテーマだなと思う。非常に多くの問題提起をいただきました。

  • 当初の目的であるいろんな医療データを診療に使えるような形でやるためにはどうしたらいいか、答えを見つけていきたいと思っているので、今回は1つのきっかけであるが、ぜひアドバイス、ご支援、ご情報をいただければ幸い。

武大介(千葉市市民局市民自治推進部区政推進課 課長)

  • 代理人交付は、代理人に非常に負荷がかかる手続き。代理人は、来庁の手間のほか、委任状の作成、本人が来庁出来ないことを証明する疎明資料の作成といった作業を補助しているのが実態である。

  • 独居老人など、代理人が周りにいない方もおられるため、手続きの簡略化が必要と考えている。本市の仮称だが、使者交付受付方式・直接交付方式・仮暗証番号設定方式の制度化や疎明資料の規制緩和が考えられるのではないか。

  • 使者交付受付方式は、戸籍の届出のように使者が窓口に必要書類を持参した場合、カードを本人に直接郵送するというもの。暗証番号は市の職員があらかじめ仮の番号を設定入力し、郵送後、マイナポータルで本人または代理人等の方が変更していただくという仮暗証番号設定方式を合わせて導入することで、代理人の事務的・心理的負担の軽減に繋がるのではないか。また直接交付方式は申請する方の依頼に対して、市の職員があらかじめ仮の暗証番号を設定入力し直接職員が出向いて持参する方法になる。この場合暗証番号の変更は市の職員が出向いた先で本人に直接支援することも考えられる。

  • 疎明資料の考え方について、代理人交付は窓口に来庁できない理由を説明するため、例えば入院証明書などの書類を窓口に提示する必要があるが、場合によりお金と時間がかかる。そのため、本人や代理人が作成する資料でも可能とするなどの緩和や基準の見直しをしていただければ有効であると考える。

  • マイナンバーカードの申請については、オンラインでも紙の場合でも、個人番号または申請書IDが分からないと申請ができないが、J-LISから複数回にわたり交付申請書が郵送されているにも関わらず、出張申請の窓口に交付申請書を持参されない方が一定数いるのが実態。本人または申請補助をする方が役所へ問い合わせる必要があるため時間もかかるほか、申請者側、市側双方の相応の負担となっている。基本4情報だけわかれば申請できるようにすることが今後の特急発行を見据えた場合、有効と考える。

  • 市町村の体制強化について、令和5年度以降も申請が難しい方の支援も含めて、引き続き交付体制を維持・強化する必要があることから、国の財政措置は引き続き必要と考える。

  • 本市の出張申請の取り組みについて、従来は企業や施設の依頼に基づいて、出張申請を実施していたところ、11月からは市から直接企業や施設、団体に連絡をして、指定した場所に出向いて申請を受付するといった取り組みを実施している。高齢者施設などにおいて、施設長などが入居者の家族の同意や暗証番号の設定に関してどこまで支援するべきか悩ましいという意見をいただいている。

佐藤泰格(都城市デジタル統括課)

  • 本市の主な取り組みとしては申請しやすい環境の創出である。出張申請補助は計2,000回以上実施をしているところであり、1人からでもご自宅にお伺いしている。自宅の中に入りづらいので、車に座っていただいて申請が完結できるような仕組みを作っている。大型商業施設への常設カード申請ブースというのも有効。化粧をしてない状況で申請をしたくないという声もあるが、日常的に行く場所に常に設置してあると、状況が良い時に申請をしていただくことが可能になる。時間外や土日の開庁などを行うほか、利活用の推進にも積極的に取り組んでいる。

  • 申請補助は、総務省の補助金でまかなえている状況であるため、次年度以降も同じような手厚いご支援を期待している。

  • 課題等について、住民票未異動者が一定数おられるため、地元の大学と連携して入学届を書いてもらう書類を送る際に住民票異動を求めるチラシを送付するなどしている。長期の施設入所等含め、住民基本台帳法に基づいた対応を求めていく必要があるのではないか。新生児の取得対策としては、里帰り出産への対応の徹底も課題になって来るのではないか。また、申請書の封筒の宛て名が世帯主の名前になっていると、封を開けずにそのままにしている状況もあるので、工夫が必要。出生届と様式を一緒にするなど申請の簡素化を検討すべきではないか。

  • 未就学児は緩和されているが、小学校や中学校に行ってる子が窓口に来にくいという意見も多くいただいている。外国人への普及促進という意味で、多言語の対応も必要であり、入国などのタイミングで周知を図ることが必要ではないか。

  • 土日開庁の課題ということで、地方公共団体情報システム機構のシステムメンテナンスが、第3土曜日に続く日曜日という表現であり、第3日曜日を想像するが、稀に第4日曜日となるケースが有り、広報にロスが発生しているようなことがある。細かな点ではあるが、検討いただけると幸い。

吉川浩民(総務省 自治行政局長)

  • 千葉市・都城市ご担当のお2人には、ご尽力を賜っていることにまず感謝申し上げたい。各団体から、市町村の窓口の対応に対するいろんなご指摘をいただいた。現場ではいろんな対応・運用の中で少し厳格に取り組まれている面もあるのかと感じたところであり、実際の窓口の対応などについて、両市からお聞きをしたいと思う。

  • 市町村の皆様にも非常に頑張っていただいている中で、対面で手続きすることにハードルが高い方がいらっしゃる。この状況を、どうやって改善するかという中で、団体の皆様、サポートされる皆様に、お手伝い・ご支援をいただけないかな、というところを、おそらく市町村の皆さんとしては思ってらっしゃるんじゃないかなという風に思うし、我々まさにそこを繋ぎながら、なんとかマイナンバーカードの普及が進むようにという思いでいるので、当事者の皆様にぜひお教えいただければと思っている。

  • 施設入所者の方への対応というところで課題があるんだと伺ったが具体的にどういうことがあるのかなというところをお聞きできればと思う。

長島公之(日本医師会 常任理事)

  • マイナンバーカードの取得に様々な課題があるが、医療現場で使う時もかなり難しいと実感した。医療機関や薬局で顔認証付きカードリーダーの前に立ち、カードを所定の位置に適切に置き、顔認証を行う場合はカメラが自身の顔を写している確認も必要になり、暗証番号を入力する際には、液晶画面の中の数字を押さなければならない。その後、画面に表示される文書を読み、内容を理解した上で、例えば薬剤情報を医療機関に提供することに同意することを押し、最後にマイナンバーカードをしまうという流れが、ハードルが高いのではないかと思う。誰1人取り残さないというためには、この操作をできるだけ使いやすいものにすることが必要。

  • それでもなお医療現場においてサポートが必要になると思われるが、マイナンバーカードは預かることができないので、どのような支援が可能か、また支援には医療現場に負担もかかる。

  • 一方で、患者にとってメリットは極めて大きいと実感している。同意いただけば、薬剤情報を正確に迅速に知ることができ、また、利用情報や健診情報に基づいて診断や治療を行うことができるため、安心安全で質の高い医療の実現に直結していくと思う。このことは、まだ国民によく伝わっていないので、国とともに我々事業者もわかりやすく丁寧にお知らせする必要があると考えている。

林正純(日本歯科医師会 常務理事)

  • 対象となる患者にはいろいろな方がおられるため、本日の意見を聞いて、マイナンバーカードでの保険証を使うことによって、現場で情報を活用して質の高い診療をするにはなかなか難しい問題があると感じた。意思の確認が取りにくい場合や代理で持参される場合など、機微な情報を含む医療情報・薬剤情報をどのように円滑に操作し、活用できるかという問題について、簡易なシステムかつ、セキュリティの問題を慎重に考えて、現場でも対応していかなければならないという責任を感じた。カードの取得、活用について障害はないか、しっかりと問題点を吸い取って検討いただきたい。

森昌平(日本薬剤師会 副会長)

  • 想像以上に難しい課題があると感じたが、現場でもしっかりと患者をサポートしていきたい。

  • カードがなかったら受診できないのか、不安だという意見があった。紛失などによりマイナンバーカード不所持の時に国民が必要な医療を受けられなくなる・受けにくくなることがあってはならないため、その対応が必要。

伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)

  • 質の高い医療・適切な診療を受けるためにもマイナンバーカードと保険証の一体化は大事だと思っている。マイナンバーカード普及の取組については、今の延長線だけではなく、様々な補完的なやり方もしっかり検討して実行していかなければならず、それを支える行政の皆様にもいろいろな形でのサポートをお願いしたい。本会としても、課題をクリアしていくためにできる事をしっかりと取り組んでいきたい。

原勝則(国民健康保険中央会 理事長)

  • ヒアリングを通じ、本人や支援されている方々のマイナンバーカードの課題が明らかになったが、大変難しいものもあり、それに対して市町村の役割は大変大きいと感じた。千葉市、都城市の話を聞いて、いろんなことが努力をすればできるとわかったが、総務省・厚生労働省・デジタル庁の支援がないと、全国には広まっていかないと思うので、引き続きよろしくお願いしたい。

佐藤泰格(都城市デジタル統括課)

  • 施設入所者について、意思確認ができるかどうかという点については、取り組んでいかなければならない課題だと認識している。

武大介(千葉市市民局市民自治推進部区政推進課 課長)

  • マイナンバーカードは暗証番号を扱う、役所でも珍しい手続きである。暗証番号を設定するための統合端末を役所外に持ち出せないことが、役所や代理人の方の事務負担に繋がっているので、暗証番号設定に関する規制緩和をぜひご検討いただきたい。

村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)

  • 本日も貴重なご意見たくさんいただいてありがとうございました。皆様事前に準備いただき、このポイントについてお話をしようということは、しっかり考えてきていただいたところ、お話を聞き強く感じた。本当に丁寧に対応いただいてありがとうございます。この期待に応えられるように3省庁で頑張っていきたいと思います。引き続き、気づきの点、言い忘れた点、他の方の話を聞いて、これもといったようなところがあれば、遠慮なく事務局にご連絡をいただければ幸い。我々だけでなく皆様のお力を借りないとできないことが多いということを、今日も強く実感したところ、ぜひマイナンバーカードの普及に関するご協力も頂戴できれば幸い。