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マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 専門家ワーキンググループ(第1回)

概要

  • 日時:令和4年12月12日(月)12時00分から13時00分まで

  • 場所:オンライン開催

  1. 開会
  2. 議事
    1. 検討会について
      • 検討会について
      • 専門家ワーキンググループについて
    2. 検討会における検討事項
    3. 今後の進め方について
  3. 閉会

資料

議事概要

日時

令和4年12月12日(月)12時00分から13時00分まで

場所

オンライン開催

参加者

  • 村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)
  • 吉川浩民 (総務省 自治行政局長)
  • 伊原和人(厚生労働省 保険局長)
  • 長島公之(日本医師会 常任理事)
  • 遠藤秀樹(日本歯科医師会 副会長)
  • 森昌平(日本薬剤師会 副会長)
  • 伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)
  • 岡﨑誠也(国民健康保険中央会 会長)※代理:原勝則(国民健康保険中央会 理事長)

オブザーバー

  • 安藤伸樹 (全国健康保険協会 理事長)
  • 仙田康博(全国知事会 調査第二部長)
  • 木村成仁 (全国市長会 社会文教部長)
  • 小出太朗 (全国町村会 行政部長)※代理:田中隆三(行政部副部長)
  • 横尾俊彦 (全国後期高齢者医療広域連合協議会 会長)
  • 下仲宏卓(地方公共団体情報システム機構 個人番号センター長)

議事(構成員等からの意見、質疑応答)

長島公之(日本医師会 常任理事)

  • まず、安心安全を大原則とすべき。保険診療は国民の命と健康を守る基盤であり、誰一人取り残さないことを基本とする、国民・医療現場に過大な負担をかけないという二つを大原則としていただきたい。

  • 保険診療を受けられない方が生じないということが極めて重要。マイナンバーカードを所持していない方でも、きちんと保険診療を受けられる体制、それも負担がかからない体制が重要。

  • タイムラグをなくすような様々な取組も必要となる。

  • 災害やシステム障害が必ず起こるという前提で取り組む必要がある。障害が起こっても大丈夫な体制を考えていただきたい。また、国民・医療現場はサイバーセキュリティに不安を覚えているため、国として、対策を整えるべきだと考える。

  • マイナンバーカードを使った医療・健康の実現が、国民に本当に役に立つということをしっかりと理解を深め、広げていくこと。これは、医療現場もしっかり協力する必要があるかと思う。

  • 出張申請なども、医療機関あるいは健診の会場や予防接種の会場など、カードが役立っているところで実施することも考えていければと思う。

  • 医療機関や調剤薬局での出張申請は非常に有効かと思うが、地域や時期に応じた判断が必要であるので、地域の医師会と市町村間の話し合いなどの環境整備をしていただきたい。

  • 日本医師会として、医療現場の声を聞いて、様々なこのような状況で対応が必要であるというものを情報提供させていただきたい。

  • 代理交付は、本人確認あるいは本人の意思確認がないと悪用される心配もあるので、どのように担保するのかという観点での検討が必要。

  • その他、医療扶助や地方単独公費負担医療などについても、マイナンバーカード1枚で確認できるよう、対応を広げる必要があるが、医療現場の負担が増えるような仕組みでは導入できないので、そのような観点も重要。

遠藤秀樹(日本歯科医師会 副会長)

  • 日本歯科医師会においても、医療DXは、これからの良質で効率的な医療提供体制の構築や新たな医療の発展のためにも大変重要な取組であり、推進には全面的に協力している。3師会合同で立ち上げられたオンライン資格確認推進協議会において、推進の取組を行っている。

  • 円滑に推進させるために、マイナンバーカード普及と国民の理解が必要であり、国民へのより丁寧な説明が必要。

  • 通院が困難な患者の代わりに家族が保険証を持参したり、また、薬を家族が取りに来るような場面も見られる。カードの活用においては、本人の認証が必要であり、これらのケースには何らかの工夫が必要ではないか。

  • 国民の理解を得る上でも、例外的事象に対してもきめ細かな対応が必要であり、マイナンバーカード等のデジタル環境に全ての国民が馴染むのは、それなりの時間が必要と考えられる。

  • 何らかのトラブルやミス、様々な障害が生じた場合に、診療全体が止まってしまうというリスクもあるため、そうした事象に対する配慮も求められる。

  • 資格変更時のタイムラグについて、このマイナンバーカードの保険証化で顕在化してくるのではないか。

  • 国民・患者側にも、医療提供側にも様々な事情により、例外的対応が必要な部分があり、それらに対応していくことで、医療DXが推進され、さらに発展していくものと考える。

  • マイナンバーカードを持って来られる患者も増え、データも画面上で確認できるため、便利に使わせていただいている。今は理解されている方、通院ができる方がいらっしゃっているが、今後は例外的なところもカバーできないと、全体のシステムが上手くいかないと思う。

  • カードリーダーの読み取りに不具合が生じた場合の対応などがスムーズにいかないと医療現場での負担も増えるので、よろしくお願いしたい。

森昌平(日本薬剤師会 副会長)

  • カードの取得、健康保険証との一体化を進めるに当たり、国民に意義、内容、メリット、安全性等を十分周知し、安心して進められるようにする必要がある。

  • カードを持ち歩く機会が増加することで、不安を感じる国民も少なくない。悪用が困難であること、情報を盗取困難となる措置をしているなど、カードの安全性、安全対策などを再周知して、国民が安心して使えるようにすることが必要。

  • カードを国民がより取得しやすくするための対応も必要で、高齢者は申請作業や受け取りが困難な方も多く、そのような方が困らないような対応が不可欠。

  • 薬局では、オンライン資格確認にかかる体制整備等、医療DXへの対応を進めている。義務化対象となる薬局の約97%がカードリーダーを申し込み、すでに約65%の薬局で運用を開始している。引き続き、全ての薬局への導入に努めていくが、やむを得ない事情等のため導入遅れや、導入できない薬局があることは理解いただきたく、そのような薬局でカードを持参した患者から調剤を求められた場合にも、対応できるような仕組みを確保していく必要がある。

  • 保険証廃止後の課題として、紛失などにより、マイナンバーカードを所持していない場合に、国民が必要な医療を受けられなくなることや、受けにくくなることがあってはならない。

  • システム障害やエラーにより、資格情報や薬剤情報などのデータが確認できないようなことがあった場合等にも国民・医療機関、薬局が困らないような対策を講じていくことが必要。保険証は券面で情報が確認できるため、オンライン服薬指導時に券面を提示していただくなど可能であるが、マイナンバーカードの場合、券面から資格情報の確認は困難。また、家族や介護者が薬局に薬を受け取りにこられるケースもあり、そのような場合の資格確認をどう行うかが課題。

  • マイナンバーカードの紛失時等の再発行について、国保では保険証の再発行を即日行っているところもあり、カードの特急発行とともに、仮の保険証を迅速に発行できる体制の整備をお願いしたい。

  • 転職や退職などに伴う資格変更時の空白期間の発生と、タイムラグがないよう対応を検討いただきたい。

  • マイナンバーカードに変更になることで、高齢者を中心に不安や戸惑う方も多いと思われるので、十分な周知を含め、丁寧な対応をお願いしたい。

  • マイナンバーカードと保険証の一体化について、薬局に来局するかかりつけの患者に対して、丁寧にサポートをしていきたい。

伊藤悦郎(健康保険組合連合会 常務理事)

  • 医療分野においては、データヘルス改革あるいは医療DXで、医療の質の向上、健康管理に活用していくということが大事だと考える。国民が、医療の質の向上の効果を得られるように、健保連として、マイナ保険証を利用していくのが当たり前となるよう今回の取組をしっかりと進めていきたい。なお、関係者にも様々なメリットがあると考えているので、今回作成するスキームについては発展性のあるものにしていきたいと考える。

  • Androidスマホに、マイナンバーカードの電子証明書を搭載することで、カードを持ち歩かなくても、スマホで受診ができるというような取組を進めていただいているが、カードの取得が遅れているのは、物理的にカードを取得することが必要であることが要因の一つであると考える。スマホアプリでカードを取得したものと見なすことができるようになれば、国民がカードを活用した世界が当たり前になっていくのではないか。保険者名や保険証の記号番号など、保険診療上、必要最低限の情報をスマホの画面に表示するような機能を有する保険証対応アプリのようなものを、国で新たに提供していただくことも検討していただければと思っている。ただし、マイナンバーカードを所持せず、アプリにも対応できない方についても、きちんと保険診療を受けることができるよう、別途、対応を検討する必要がある。

  • スマホで医療情報や健康診断の情報などを閲覧できるという便利さを分かりやすく伝えていくとともに、さらなる新たなサービスをスマホに搭載していくということを進めることで、カードのさらなる普及にも寄与するのではないか。

  • 保険者の資格確認情報の入力のタイムラグについての対応について、保険者への届出遅延、マイナンバーの届出遅延など、様々な理由がある。事業主に対して社員とその家族が適切に保険診療を受けることができるよう、すみやかに届出をする必要性を周知していく。また、保険者がJ-LISに照会し、マイナンバーを取得することを基本としていくことになろうかと考えるが、外国人氏名の登録方法や外字、住所表記の非統一などの問題があるため標準化について検討をいただきたい。健保組合は財政状況が厳しく、J-LISを活用するための基幹システムの回収等もあり、マイナンバー社会を推進する観点から、照会費用の無料化など、財政的支援があると、円滑に進むのではないか。

  • 速やかに届出をしていくために、電子申請の利用促進を図るとともに、マイナポータルを活用した事業主の申請に係るワンストップ・ワンスオンリー化を早期に実現することが重要である。

  • アプリの使用に慣れた現役世代が、日本社会のDX化の推進役として、この取組を進めていくことが肝要だと考えている。

  • 令和6年の秋に向けて細かな課題をしっかり潰していくことも大事であるが、これからのデジタル社会あるいは医療DXを考えた時に、中・長期的な部分についても検討を進めていただければと思う。

原勝則(国民健康保険中央会 理事長)

  • 国民に広く影響を及ぼすことから、国としても丁寧かつきめ細やかな情報発信に努めていただくとともに、保険者や医療機関の現場において、混乱が生じないよう配慮をお願いしたい。

  • 被保険者資格の取得・喪失にかかる事項や保険料の滞納者に対する対応について、マイナンバーカードと健康保険証の一体化により、これらの取組が後退することがあってはならず、国においては、保険者の現場実務に耳を傾け、検討を進めるようお願いしたい。

  • 保険者において、様々な対応が発生し、多額の費用が発生することが見込まれるが、厳しい財政状況にあるため、国の責任において、財政的支援を行っていただく必要があると考える。

  • 何らかの事情により、マイナンバーカードが手元にない方について、保険料を納めている方が必要な保険診療を受けられるよう、医療機関で資格確認を行うための仕組みが必要。資格確認のために、何かしらの書面等を被保険者に交付することが考えられるが、交付に要する費用を徴収し、有料化するか否かといったことが、国会審議等で、議論になっていると承知している。費用の徴収については、市町村国保の現場の声としては、マイナンバーカードの取得が義務でないにもかかわらず、これまで無料であった資格確認等のための書面等の交付を有料化することについて、被保険者や議会に対して説明することが困難などの理由から強い反対意見が出ている。また、国民等からもマイナンバーカードを取らないことに対するペナルティーと受け取られかねない。保険料を納めている方が、これまでと変わらず、確実に必要な保険診療を受けられるよう、新たな資格確認の仕組みの導入にあたっては、こうした費用は徴収しない方向で、検討いただくようお願いする。

  • 国保中央会はオンライン資格確認システムの開発運用に従事しており、マイナンバーカードの普及を前提とした、医療のデジタル化に、積極的に取り組んでいきたい。

  • 国保は、制度運営が難しい事業であるため、一つ一つ課題を解決しながら、進めていきたい。現場の意見をよくお聞きいただければ幸いである。

安藤伸樹(全国健康保険協会 理事長)

  • オンライン資格確認システムは日本の医療DXの基盤となると思っているため、引き続き、医療機関で迅速な導入が可能となるようよろしくお願いする。

  • マイナンバーカード不所持の場合の資格確認の方法と、それと発行済みの保険証の取扱いは大事なことですので、今後しっかりと取り上げていただきたい。

  • また、柔整あはきと健診機関等のオンライン資格確認システムが導入されるということも非常に重要である。

伊原和人(厚生労働省 保険局長)

  • 本日いただいたご意見は、多くが厚生労働省に関連する案件だったと思うが、一つ一つ受け止めて、答えを出していきたい。医療現場に負担がかからないようにする、災害やシステム障害が起きても機能する、サイバーセキュリティの懸念にも対応していく、こうした課題について、しっかりやりたい。

  • 他方、医療のデジタル化が国民の健康にとって、非常に重要であると心強いご意見もいただいた。

  • マイナンバーカードの取得について、医療機関や健診現場でも実施してはどうかという積極的なご提案をいただいた。どこまで可能なのか検討したい。

  • ご家族が薬を取りに行く場面が多く、その際にマイナンバーカードを持参するのが現実的なのかといった話もあった。そうした場合にどう対応するのが現実的であるか考えていくことが必要かと思う。

  • マイナンバーカードという物理的なカードよりも、多くの皆さんが保有しているスマホのアプリでやっていくことが、スムーズに広がっていくのではないかとお話があった。デジタル庁において、マイナンバーカード機能のスマホ搭載をやっていただいているが、現場レベルで広げるために、どのようにうまく活用していくかについては、よく相談しながら考えたい。

  • 保険者の入力遅れによるタイムラグ問題については、保険者の皆様の努力もさることながら、事業者の皆様に早く登録していただくことや、被保険者本人がマイナンバーを保険者に提出いただくことについて、取組をさらに強化していくことが必要と考えているので、合わせて議論したい。J-LISへの対応等ご要望をいただいたが、保険者が変わった際にすぐにマイナンバーカードで受診できるような状況を作らなければならないため、努力したい。

  • 保険者の対応について、いくつかご意見をいただいた。その中で一つの課題は、資格確認のための書面等の有料化の問題。国会審議等の場で、有料化に関するご議論も確かにございます。本日、市町村の現場の声として被保険者あるいは議会への説明が困難であるため、反対意見があるというお話があった。どうしていくのが良いのかは大きなテーマであり、この検討会でも議論をしていただければ幸い。

吉川浩民(総務省 自治行政局長)

  • 総務省は、カードの発行・交付を担う立場であり、現在、市町村の皆様に出張申請受付などを積極的に展開していただきたいと申し上げているところ。構成員から出張申請受付を医療機関でというお話をいただいた。総務省では、ワクチンの接種会場を活用して、出張申請受付をしていただきたいと申し上げており、かなりの団体で対応いただいたと認識している。医療機関での出張申請について、医療機関の方で受け入れていただけるということであれば、ぜひ、市町村の皆さんにそれを促していきたいと思うので、よく意見交換、情報交換などをさせていただければ幸い。健康保険証としてマイナンバーカードを使う医療現場で様々なメリットもご説明しながら、出張申請受付が出来れば大変良いので、ぜひ進めたい。

  • カードではなくスマホでというようなご提案もいただき、確かに、諸外国ではそういったケースもあると認識をしているが、カードの認証強度とトレードオフの関係になってくる部分だと思う。デジタル庁にも考えがあると思うが、我々も議論に加わらせていただきたい。

  • J-LISの照会料のご要望もいただいた。財政当局などとも相談をしながら、検討していく課題かと思っている。

村上敬亮(デジタル庁 国民向けサービスグループ統括官)

  • 皆様に共通して、メリットと安全性の2点について、ご指摘をいただいた。医療の面でも医療以外の面でも、しっかりとメリット作っていくことの重要性と、誤解も含め、まだご心配の声が強い安全性について理解を求めていく、ということにしっかりと取り組まなければならないと改めて感じた。

  • 現場がうまく回るようにするために、一つ一つ丁寧にご意見伺いながら対応していく作業であるため、忌憚なくご意見をいただいて、一つ一つ遺漏ないように、対応策を打っていくことを丁寧にしていきたいと思う。