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デジタル臨時行政調査会作業部会(第20回)

概要

  • 日時:2023年(令和5年)4月26日(水)13時00分から14時30分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. 法人ベース・レジストリと制度的課題について
    2. 「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」について
  3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和5年4月26日(火)13時00分から14時30分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹(デジタル副大臣)

構成員

  • 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会常務理事)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHATechnology代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)

事務局(奥村): それでは、お時間となりましたので、第20回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会いたします。

本日の構成員の皆様のご出席状況についてですが、菅原構成員におかれましては、所用によりご欠席、上野山構成員におかれましては、途中でご退席と伺っております。

早速ではございますが、これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。以降の議事進行につきましては、安念副座長にお願いしたいと存じます。安念副座長、お願いいたします。

安念副座長: それでは、議事に入ります。

第20回の議事は次の2件です。第1「法人ベース・レジストリと制度的課題」について、第2「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」についてです。

本日、最初の議題である「法人ベース・レジストリと制度的課題」については、3つのパートに分けてご議論いただきます。まず、情報共有に関する制度設計の方向性として、ベース・レジストリにおける情報共有についてどのような制度設計を目指すべきかについてご議論いただきます。こちらは個人情報保護法とも関係するところから、本日は個人情報保護委員会事務局にもご参加いただいております。

次に、法人ベース・レジストリの拡張可能性として、許認可事項の整備について日本政策金融公庫にもご参加いただき、ニーズの把握を進めてまいります。

最後に、法人ベース・レジストリの外縁を把握するために、法人ベース・レジストリに関係する論点として、事業所や個人事業主について議論をしていただきます。

まずは最初のパートであります情報共有に関する制度設計の方向性について、三島参事官よりご説明をお願いいたします。

【「情報の共有範囲の設計」については、非公開】

安念副座長: 続いて、2つ目のパートでございます。法人ベース・レジストリの拡張可能性として、許認可事項の整備についてですが、こちらは日本政策金融公庫の国民生活事業本部審査企画部長でいらっしゃいます、田中照久様にご参加をいただいております。

それでは、まず三島参事官からご説明をいただきます。

三島参事官: ありがとうございます。

2つ目のパート、「法人ベース・レジストリの拡張可能性としての許認可情報の整備」でございます。これまでの作業部会において、登記由来の法人基本情報を行政機関内で共有することで、事業者と行政機関双方の負担軽減を図ることができるということで、その実現に向けた制度的な方向性や関係省庁の役割分担について議論をいただいて、方針が決まったと考えてございます。

その際、共通基盤の役割分担の検討に当たって、今後、拡張可能性を考慮する必要がある旨の論点提示をさせていただいておりましたが、本日は登記以外の法人情報に関するニーズを確認する上で、日本政策金融公庫様より審査事務における法人情報の取扱いの現状と課題について伺った上で、拡張可能性についてご議論いただきたいと考えてございます。

私どもとして目指すべき社会というものはこういうものではないかというスライドを先にご説明させていただきます。法人は取引における権利義務の主体であり、法人情報が整備され、利活用されることで社会全体の取引の効率化というものを目指すのがよいのではないかと考えてございます。

それに対して現状では、これまでの議論で申し上げましたとおり、制度ごとに申請者からの情報を取得しており、制度間連携が少ないということ、また、許認可などの制度において網羅性や最新性を担保したデータ自体も十分に整備されていないといったことから、いろいろな給付や支援事業、民民取引などの許認可の確認事務に活用できないといった社会全体で非効率な状態になっていると認識しております。

このため、社会全体で法人情報を整備し、活用することで、生産的な活動に皆さんが専念していただけるような社会を目指していくのがよいのではないかということを、私からは先に提示させていただいております。

安念副座長: ありがとうございました。
続いて、日本政策金融公庫の田中部長からご説明をいただきたいと存じます。田中さん、よろしくお願いします。

日本政策金融公庫(田中部長): 日本政策金融公庫国民生活事業本部審査企画部長の田中と申します。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

本日、法人ベース・レジストリの整備に当たりまして、審査事務の中で実際に許認可等を確認している政府系金融機関の立場でお話をいたします。

まずは簡単に日本政策金融公庫について説明いたします。日本政策金融公庫は、民間金融機関を補完することを旨としつつ、中小企業者、小規模事業者、農林水産業者等向けに事業資金融資などを行う政府系の金融機関でございます。審査における許認可等の確認に当たっては、融資対象としての適格性の確認は当然のことながら、お客様の資金繰り支援をタイムリーに行う必要があることから、迅速性も求められます。

スライドの2ページをご覧ください。一般的な審査事務の流れは、スライドのとおり融資の相談から始まり、申込みの受付、審査、起案・決裁、送金、融資後の資金の使い道などの確認といった流れになります。許認可等の確認の観点からお話しいたしますと、吹き出しにございますとおり、審査の段階でお客様から頂いた借入申込書などから必要な許認可等を推測いたします。例えば借入申込書の業種欄に「飲食店」の記載があれば、飲食店営業許可の確認が必要ですし、登記簿謄本の目的欄に「古物営業」が記載されていれば、古物商の許可を確認いたします。

あわせて、お客様には法令等に基づく許可、認可、登録、指定、届出及び認証の提出をお願いし、面接や実地調査時などに実態を確認します。一企業で複数業種を営んでいたり、多店舗展開していたりする場合は、それぞれ確認をしています。また、審査時だけでなく、創業や新規出店の場合は、審査時に許認可等の確認ができないこともあるため、融資後に適切な許認可等を取得しているかを確認いたします。

続いて、スライドの3ページをご覧ください。許認可等を確認する目的と必要性は、融資対象として適格かを判断するためです。事業に必要な許認可等を有しない場合には法令違反等による営業停止を受け、事業の継続が不可能になるおそれがあります。融資した先が法令違反等で営業停止になるという事態は金融機関として避けなければなりませんので、許認可等の確認は厳格に行う必要がございます。

公庫では、事業に必要な許認可等は全て確認を行っていますが、公庫のお客様で比較的多い許認可等には、建設業許可や飲食店営業許可、運送業許可、理美容所開設届などがございます。確認方法は、主にお客様に許認可証等の提出を依頼する、公庫の審査担当者が直接許可権者に照会をする、インターネット検索をする方法がございます。

それぞれの方法にデメリットがございまして、1つ目のお客様に依頼する方法は、店頭に掲げているものを集めたり、許可証を紛失していると再発行に時間がかかったり、そもそも許認可等によっては許可証の再発行ができなかったりと、お客様に相応の資料提出負担がございます。また、公庫側にとっては、本来は許認可等を取得していないのに取得しているかのように見せるといった偽装の懸念がございます。

2つ目の審査担当者が照会する方法は、多くの場合、お客様本人にしか回答されないことから、公庫としては直接の回答を得られないため、許認可等を取得しているか判断できない場合があります。

3つ目のインターネットで検索する方法は、双方の負担が少ないのですが、一部の許認可等にとどまっています。また、許認可の確認に必要な情報が十分ではないものもあります。例えば建設業・宅建業者等企業情報検索システムでは、誰でも検索ができ、公庫が許認可等を確認する上で必要な情報を調べることが可能です。

他方で、各都道府県が公表しているオープンデータの中に飲食店営業許可が含まれている場合が多いですが、自治体によっては公表している情報に差があり、必ずしも許認可等の確認には利用ができません。例を挙げますと、初回許可日は記載されていても、許可番号や許可終了日が記載されていないことがあります。また、飲食店営業許可は、許可を取得した名義人が記載されていないケースが多く、公庫の審査事務においては、名義人が誰であるかも含めて許認可等を確認するので、情報が不十分となってしまいます。

続いて、スライドの4ページをご覧ください。この表は、許認可等が必要な主な業種の審査件数を抽出したものでございます。掲載されている業種以外にも許認可等が必要な業種の場合は確認していますし、建設業は、注釈に記載しましたとおり許可が必須ではない軽微な建設工事のみを行う事業者も含まれています。これらの業種については、その都度審査の中で許認可等を確認しています。

右側の棒グラフのとおり、新型コロナウイルスの影響で令和2年度に審査件数が103万件と、平時の約3.5倍に急増いたしました。こうした平時を大幅に上回るお申込みに対応するため、公庫としてはOBの活用や本店職員の応援派遣、休日営業を実施するなど、様々な相談体制の強化に取り組みました。また、国民生活事業では、紙の申込書を基にした入力負担を軽減するため、インターネット申込みシステムの機能拡充等のデジタル化にも取り組んでいます。

こうした状況においても許認可等が必要な業種では必ず許認可等を確認する必要があるため、その確認作業の事務負担が相応に発生いたしました。もし法人ベース・レジストリが整備されれば、今後、同様の未曾有の有事が起きた際には、今回のコロナ発生時よりも迅速に対応ができるかもしれません。他の金融機関の取扱いについては詳細を承知していませんが、恐らくこれは公庫のみならず、金融機関全般にも当てはまるのではないかと思います。

足元では、ピーク時に比べて件数は減少していますが、それでも相応の融資のご相談がございます。法人ベース・レジストリが整備されれば、お客様への迅速な資金繰り支援と融資手続の簡素化などを通じてお客様の利便性向上と公庫の事務負担軽減の双方につながるものと考えられます。

最後に、スライドの5ページをご覧ください。法人ベース・レジストリが整備され、許認可情報が共有されることでの期待とメリットについてお話をいたします。スライドに記載のとおり、6つございます。

まず、①と②は、お客様・公庫の双方で資料提出負担と確認負担が軽減されることでございます。

次に、③は、リアルタイムで許認可情報の把握が可能となり、公表の主体が許認可等の正確性を担保していただけるのであれば、④の偽装の排除にもつながると考えられます。

⑤は、仮に建設業者・宅建業者等企業情報検索システムのように、無料かつシステム開発が不要で利用できるならば、全店導入が容易で予算に縛られずに活用が可能と考えられます。

⑥は、一つの検索窓に法人名や法人番号等を入力することにより、許認可等を与える主務官庁にかかわらず、その法人の持つ許認可等が全て一括で検索できるデータベースとなれば、審査事務に利用する公庫としては大変ありがたいと考えています。

以上で発表を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。

安念副座長: 田中部長、どうもありがとうございました。

それでは、三島参事官と田中部長からご説明をいただきましたが、以上のご説明について何かご質問等がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

私から田中部長に伺いたいことがあるのですが、今は主として中小企業、あるいは個人事業主さんを念頭に置いたご説明をいただいたと思います。公庫さんの本来の役割というのはそういうところに必要な資金を提供なさるというところにあるわけだけれども、実際に公庫さんのお仕事を見ていると、何とか円滑化業務といって、ツーステップローンで結構大企業にも貸付・融資をしておられますね。相当の実績が積み上がっていると思うのですが、許認可情報などがすぐに分かると、そうした業務においても効率化が図れるものでしょうか。それとも、そういうものは相手が大企業だから大した問題にならないとお考えですか、どちらでしょうか。

日本政策金融公庫(田中部長): 田中です。ご質問ありがとうございました。

先生からのご指摘のとおり、融資対象の適格性については、確かに大企業でありますので自明のところがあるかとは思いますけれども、しっかりと一件一件の融資に当たっては適格性を判断していくので、そうした場合においても活用できると考えております。

安念副座長: そうですか。ありがとうございます。

落合先生、どうぞ。

落合構成員: ご説明どうもありがとうございます。ご説明の内容は、ベース・レジストリを使ったときに有用な用途の一つではないかと思いました。

一方で、この使い方をするときにシステム側で気にしなければならないことなどもあるかと思ってはおりました。最新性が要求されるというか、新しい情報がどういう形で反映されるかは、今回のご用途との関係では一つ準備するべき点かと思いました。今の点も含めて、システムを整備する場合に、どういうものが機能としてあるとワークするかを公庫様に伺えればと思います。

安念副座長: 田中部長、ただいまのご質問はいかがでしょうか。

日本政策金融公庫(田中部長): ご質問ありがとうございます。

おっしゃるとおりでして、システム的なことで期待するところは、最後にも少し申し上げたのですけれども、やはりリアルタイムで、正確に、そして一つの窓口でアクセスできるという形が担保されるのであれば、一番ありがたいということでございます。

ただ、そこまで完成形を求めなくても、足りない部分については実地調査等の補足調査をしてつなげていくという取組を現在もしておりますので、その両方で進めていければとは考えております。

以上です。

落合構成員: ありがとうございます。非常によく考慮するべき点が分かったと思います。

なお、別途追加意見ですが、法令に定める場合も、専用のガバナンスを整えていくということが重要と考えます。アクセス制御といった点は事務局のほうにお話しいただいて、許認可事項そのものだとあまり考えなくてもいいかとは思いますが、これは基本公表していくものだからです。ほかの情報については、いろいろと違うところはあると思いますので、システム面、ガバナンス、制度面のほうもぜひまた併せて検討していただければと思いました。

以上です。

安念副座長: そのとおりですね。ありがとうございました。

それでは、パート2はこれぐらいにさせていただきます。田中部長、お忙しい中、いろいろ教えていただきましてどうもありがとうございました。

日本政策金融公庫(田中部長): ありがとうございました。

安念副座長: それでは、3つ目のパートに入りたいと思います。法人ベース・レジストリに関係する論点について、三島参事官からご説明をお願いいたします。

三島参事官: ありがとうございます。それでは、3つ目の論点に移らせていただきます。
法人ベース・レジストリ周辺の論点ということで、まず事業所というものについてご報告などをさせていただきたいと思います。

実はコロナ禍の協力金の執行時に、事業所のマスターデータが不在であるということが問題視されたことがございまして、事業所に関してのマスターデータの構築を目指す事業を行ったことがございます。その中で検討を進めるにつれて、行政機関の保有する事業所の情報というのは、それぞれの制度趣旨を反映しておりますので、一口に事業所といっても内容が異なっていること、また、その協力金における課題は、事業実態の確認が困難であったということが判明いたしまして、システム構築を中止し、改めて関係省庁、自治体も含めて協力金における課題の洗い出しを実施したという経緯がございます。

協力金における申請者・審査の概要と全貌という形で整理したスライドは後ほどご覧いただければと思います。

また、協力金における申請者・審査側にそれぞれの負担があったということで課題を整理しておりますスライドにつきましても、後ほどご覧ください。

事業者支援における平時とコロナ禍の違いというスライドでございますけれども、平時は政策対象というのは限定されておりまして、行政と事業者のタッチポイントというのはある程度限定された形となっております。平時はそれでよいということなのですが、コロナ禍の協力金や持続化給付金といったことになりますと、感染動向や経済状況に応じたきめ細やかな対応が必要となっておりますので、その際は対象者の状況を平時に比べて圧倒的に細かく把握していく必要がございました。

このため、平時は下の図の左側のような形でよろしいかと思いますが、非常時は迅速に民間データを活用できるような形で検討していくことがよいのではないかと考えてございます。

次のページが、そのような考え方を整理したものとなっておりまして、非常時の対応に備えて平時から行政においてマスターのデータベースを構築していくというのではなく、いざというときには官民の複数のデータをうまく迅速に組み合わせて活用していくといったことが重要なのではないかと考えております。

また、データだけで全てを解決することはできませんので、そのようなデータの限界を認識した上で、限られた人的リソースをメリハリつけて投入するためにも、どういったところで事務が効率化するのか、データの活用が可能な領域というのを拡張しておいて、いざというときにきちんとリソースを分配していくことが重要なのかなと考えております。

次のページでは、協力金における確認書類と関係データを整理しております。ベース・レジストリとしては、あくまでも許認可と行政の制度上の情報を活用できるようにすることを目指すということでございます。事業実態の確認に必要な情報などといったものは非常時などの必要なときに、赤囲みの例では電力などのデータがございますが、こういった電力使用量データなどの民間のデータをうまく必要なときに活用することができるということを検討しておくべきではないかと考えております。

次のページですが、非常時における電力使用量データを用いた店舗実態が確認できるかどうかということにつきまして、昨年度、デジタル庁において実証事業を実施しております。結果といたしましては、おおむね実態の確認自体は可能だったのですけれども、申請者から店舗にひもづく供給地点特定番号などの聴取が必要ということでございまして、電力使用量のデータを取得する過程のハードルが高いということが分かっております。

主な課題といたしましては、右側の下のほうの最後の2つでございますが、聴取項目として供給地点特定番号など申請者が普段からあまり把握していなかったり、また、制度の申請者と電力契約者が必ずしもひもづいていない場合などがございました。このような課題があって、拠点単位の名寄せの効率化といったものを別に考える必要があるということでございます。

次のページでございますが、これらを受けての事業所に関する対応方針といたしまして、囲みでまとめております。文言上は同じ事業所であっても、制度趣旨を踏まえまして、その意味内容が異なっているということから、定義を統一した上で事業所のマスターデータを構築していくということは現実的ではないのかなと考えてございます。このため、前回までの議論どおり、ベース・レジストリとして法人単位での共通化を進めていきたいと考えております。

一方で、電力使用量データなどの個別の制度において他の制度に関するデータをうまく利用するということが必要な局面もございますので、そういった際には拠点単位での情報連携がどうしても必要になってくるかと考えてございます。このため、個別のユースケースで発生する拠点単位の突合につきましては、前回の作業部会でご紹介いたしましたアドレスベース・レジストリなどの所在地に関するベース・レジストリの整備や普及を進めていくことで一定の改善を図ることが可能なのではないかと考えている次第でございます。

続きまして、次の課題といたしまして、論点は個人事業主に関する今後の対応方針でございます。事業者において、今、法人を中心に整理をしてまいりましたけれども、法人格を持つ主体だけでなく、事業者には個人事業主というものがおられるということは承知しておりまして、こちらに関しての整理も必要となってくるのかなと考えております。事業所と同様に制度横断で見ますと、実は個人事業主という定義を考えると、個人であること以外に共通項が少ないということが実態でございます。多様な働き方といったこともございまして、開業や廃業の捕捉の難易度も高いということでございます。このため、個人事業主として一律に定義を行った上で網羅的に捕捉していくことは困難なのではないかと考えております。

このため、今後、行政手続や民民取引における本人確認、認証、情報連携、顧客管理といったいろいろ個別のユースケースがあると認識しておりますので、こういったものにおけるニーズを丁寧に精査いたしまして、それぞれごとの現実解を考えていくことが必要かと考えております。

私からのご説明は以上になります。

安念副座長: どうもありがとうございました。なかなかこれは壮大な話ですね。
構成員の皆さん、ご意見、ご質問がありましたら、どうぞお願いいたします。

では、岩村常務、増島先生の順でお願いいたします。その次に落合先生でお願いいたします。

岩村構成員: ありがとうございます。
事業所や個人事業主の検討方針のご説明がありましたけれども、確かにその意味内容の定義を統一することは非常に難しいと理解しています。

一方で、データの利活用・連携に際しては、データ整備上の定義を明確化することが不可欠だと思います。この点、意味内容の定義を統一せずとも、データをそろえるための基準を明確化・統一し、その基準にデータを合わせることで、整合性の取れたデータベースを整備可能ではないかと考えたのですが、いかがでしょうか。

もう一つ、先ほども日本政策金融公庫からのご説明に中に飲食店の許認可に関するお話がありましたが、同じ主体が申請している許認可情報について、一覧性を持って確認できないというのは不便だという声が寄せられています。GビズIDやe-Govに連携して一元的に確認することが可能か、また、何か検討しているような対応策があれば、教えていただければと思います。

以上です。

安念副座長: 一通りご発言を伺ってから、事務局からコメントをいただきたいと存じます。

それでは、増島先生、どうぞ。

増島構成員: ありがとうございます。

データの活用で一定の有事のときに平時とは違うデータがいろいろ必要になるよねという観点はとても大事な観点かなと思っておりまして、それとの関係で思っていましたのは、非常時・有事のときのデータのフローが平時のときと結構違うのではないかと感じています。初めにデータ共有のところでいろいろな所管省庁がいて、データ提供をするプラットフォームみたいなところがあり、データを利用するという流れ方だと思うのですけれども、平時はこういう形で行くのかなと思っています。有事となると、どこかがイニシアチブを取って、ふだんは使わないような情報を事業者さんに協力してもらって取ってきて、活用する話になるのだろうなと思うのですけれども、データのフローが有事と平時で変わってくるのではないかという観点からの分析というのはあったりしたのでしょうか。それとも、同じような形でも大丈夫だという整理がなされているのかという辺りをもしよろしければ教えてください。

安念副座長: では、後ほどまとめてコメントいただこうと思います。
落合先生、どうでしょう。

落合構成員: ありがとうございます。こちらの観点も全体的にそういう方向性でいいのではないかと思って聞いておりました。いくつか補充いたします。

1点目が、非常時の拠点ごとというお話については、最初から全部つくり込まないにしても、例えば後で法人自体の情報と結びつけられるようにしておくための疎結合になるような形のアーキテクチャーを準備しておくといった点は重要になるかと思います。必ずしも事業所単位ではなく法人単位でということでいいと思いますが、部分的にこういう事業所単位でというのは、非常時もそうだとは思いますけれども、関連法令や事業によっては一部そういうものがあって結びつけができたほうがいいということはあると思います。網羅的ではないにしても連携して使っていけることでワンスオンリーができる場合がより広がるとは思います。全体としてベース・レジストリとして直ちに事業所単位で網羅的に行わないこと自体はいいと思いますが、一方で、疎結合に向けた工夫というのはぜひご検討いただければと思いました。

2点目が、電力使用量のデータなどでも、事業者と提供主体が分かれるお話もあったりしたように思いました。こういった部分も考えていきますと、実際には電力データの場合はどう整理したのかはあると思います。例えば法令によって情報提供が制限されている場合であったり、もしくは民民での守秘義務契約などが存在する場合もあると思います。そういう場面で、法令に基づいて提供できるとか、そういう法制上の話もそうですし、社会的な説明においてもそういう法令に基づくと整理できるほうが理解を得るために有益なことはあると思います。政府の情報取得に関する条項を設けることは、ベース・レジストリに関する法案の検討もされると思いますので、ぜひ検討いただければと思いました。

第3点は個人事業主についてです。個人事業主についても網羅的には難しいだろうし、一方で、もしかすると個人事業主といってもある場面では個人であるが、ある場面では事業主として振る舞っていることもあると思いますので、一律に判断できることではないと思います。先ほどの拠点の話などと同じではあると思いますので、例えば手挙げ制で利用できる場合があるようにしておくとか、分野によっては何らかの形で連携してひもづけができる余地を作れることが必要ではないでしょうか。実際にひもづけはしなくても基本的にはあくまで疎結合できるような形であればいいのかなと思うのですが、そういうフレームなどはできる範囲で考えていただければと思いました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、あとお一方、稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: ありがとうございます。

私の方も、実は落合先生のおっしゃったこととほぼ同じことになってしまうのですけれども、いくつかコメントさせていただくと、技術的に後から官民連携みたいなことが必要になる場面がいっぱい出てくるとなると、今おっしゃられたようにまさに疎結合に向けていろいろ整備しておくということは大事になるだろうと思います。さらに、情報によっては個人情報保護のような問題であったり、守秘義務がかかっていたりする問題というのも出てくるので、そこは整理することが必要だろうということも同感です。

また、この問題と関係して、あまりないと思いますけれども、提供をお願いしても拒否をされる可能性も考慮に入れて、提供を待たずに政府の側から情報にアクセスするという経路も、特に緊急事態を想定すると考えておかれたほうが良い場面というのもあるのかなとも思います。こちらはベース・レジストリに関係する法律をどう整備していくかというところと一体としてやっていく話になると思いますので、ぜひご検討いただければと思います。

最後は本当に思いつきにすぎないのですけれども、事業者性みたいなものも、ひょっとするといろいろなデータが使えるようになってくると、もちろんそうしたデータが濫用されないようにするということは重要な点ですけれども、事業が反復・継続されているということがデータ上分かってくると、結構定量的に線を引いて、それでカテゴライズして網をかけていくかという方法も考えられるのかなという気もしますので、その辺りも視野に入れて考えられると面白いかなと思いました。
以上です。ありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。瞬間風速だけではなくてね、なるほど。

落合先生、何か補充ですか。

落合構成員: 1点だけ、例えば資料の26ページで、いろいろな省庁にまたがってそれぞれ情報連携するという場面もあると思います。某省庁のEBPMの研究会に出たときに、省内でも情報を渡していいかどうかということで、法令に基づく情報は渡しては駄目なのではないかとか、省庁内でもいろいろと論点になることがあると思います。データガバナンスをつくるということは、ある意味でここは使えるようにするという道路を舗装するような意味合いもあると思います。要するに適切に保護を図ってくださいという意味もあると思いますが、道路を整備する意味もあると思いますので、そういう意味も含めてルール整備は行っていったほうがデータ利用は進むと思います。

以上です。

安念副座長: それはそのとおりですね。

三島さん、どうでしょう。全項目にお答えいただくわけにはいかないだろうけれども、幾つかご意見、コメントがあったらお願いいたします。

三島参事官: ご質問をたくさんいただきましたので、私のほうで全部の論点が拾い切れていない気がいたしますので、もし漏れていましたら、追って事務局として後ほどご回答さしあげるようにしたいと思いますけれども、データ整備上の定義というものについてもご質問いただいたかと思うのですけれども、基本的には事業所の共通項としては所在地かと考えておりますので、所在地のデータ整備というものをうまく進めることで、皆さん住所はどうしても事業所について入れていくということになりますので、所在地をキーに突合を図っていくという方向で対応していくことが現実解かなと考えております。

また、GビズIDについてもご質問いただいていたと思うのですけれども、同じ主体を一覧性を持って確認できないということについてご質問いただいていたと思いますが、GビズIDは認証手段ですので、裏側のデータをいかにして整備するかという話かなと考えておりますけれども、詳細については事務局のほうで確認して、また折り返しでご回答させていただきたいと思います。

また、有事と平時ではデータのフローが違うのではないかといったご質問についてですけれども、平時というのは制度ごとに単体でそれぞれの制度趣旨に応じた形でデータを整備するということで基本間に合っていると認識しておりますけれども、当然非常時におきましては、迅速に非常時のその状況を踏まえた形で対応する必要がございまして、よりきめ細やかにいろいろなものを組み合わせていくことが必要だと考えてございます。このため、事業所については、先ほど疎結合といったこともございましたけれども、平時から住所や法人番号といったことについてきちんと整備をしていくことで、非常時の民間とのデータ連携なども含めて迅速に連携をして活用していくことができるようにすることが要点なのかなと考えてございます。

また、情報の整理、情報の受渡しといったものについて制度的な課題がいろいろな場面で出てくるであろうというご指摘もいただいておりまして、誠にそのとおりだと考えておりますので、そういったものも含めてベース・レジストリの整備の中で私どもも論点を整理して検討を進めてまいりたいと考えております。

取り急ぎ以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。短い時間の中に超高密度でパッケージングしてお答えをいただきまして、ありがとうございます。見事でしたね。

増島先生、どうぞ。

増島構成員: ありがとうございます。

システム的な疎結合が大事なのはおっしゃるとおりなのですけれども、同時に有事分というのは法制的な疎結合といいますか、有事のときには割と柔軟に要請によって集められるというものがないと、有事のときに、日本は平時のときのような感じで法令上こういうことはできるのかみたいな話をしがちです。海外だと緊急事態にはフレキシブルにやるのですけれども、日本は真面目に平時のときと同じように法令を見てできるのかという議論をしてしまって、利益衡量が現場でできないという傾向があると思っておりますので、緊急時のときに法令上の根拠を比較的疎な形で何か用意しておくということはぜひやっておいていただきたいと思います。それがあれば、この条項に基づいてできるという立てつけができますから、現場の人たちも自分たちが法令に違反しているのではないかみたいなことで悩まなくて済むみたいなことが起こると思いますので、そこはぜひお願いします。

安念副座長: ありがとうございました。事務局においてご留意いただきましょう。

三島参事官: 1点、今の増島委員の点について、電力については本人同意で電力情報を提供するというのがありますが、実は非常時の災害対応では、第三者提供が制度的に認められておりますので、こういったものも参考にしながら私どもも検討を進めてまいりたいと考えております。ありがとうございます。
以上でございます。

安念副座長: 今のは電事法の最近の改正によるものですね。

三島参事官: そうです。

安念副座長: 落合先生、どうぞ。

落合構成員: ありがとうございます。

どういう範囲でできるかは、個別法ですと例えば災害対策などでも災害の話になるかと思いますし、感染症法だと感染に関する公衆衛生の必要性だけになっているかもしれませんので、いろいろな場面を想定していただければと思います。定義の範囲は、この場面でのベース・レジストリとの関係での非常時はかなり広い可能性があると思いますので、それを考慮して定義などをご検討いただけるとよさそうに思いました。
以上です。

安念副座長: ごもっともでございます。ありがとうございました。

それでは、続いて今日の大きな固まりでは2番目の議題なのですが、「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」について、山野参事官からご説明をいただきたいと存じます。

山野参事官: 山野でございます。

こちらは2月の作業部会で概要をご説明させていただいた「処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」でございます。年度末までに策定を目指す、としていたところですが、3月31日に文書を策定し年度内に終わりましたので、今回、前回ご説明した中身から大きく方向性は変わっていないのですが、その後の状況報告、それから結果の報告ということでご説明させていただきます。

こちらが全体の流れでございますが、中ほどに赤字で書いてございますが、2月の作業部会でご説明したところでございます。ご意見もいただき、ありがとうございました。また、いただいたご意見を踏まえて案を作りまして、関係省庁との調整にかなり時間もかかりましたが、その上で、下から3つ目の丸に書いてございますが、デジ庁が持っている地方自治体の方と簡単に意見交換できるプラットフォームである共創プラットフォームというもの、それから今回、任意のパブコメでございましたが、パブコメも実施いたしまして、約50件のご意見もいただきました。

これらの意見を反映しまして、下から2つ目にございます「デジタル社会推進標準ガイドライン群」ということで、内部の会議体に附議をしまして、「実践ガイドブック(informative)」、ノーマティブなものではなく情報として参照いただくもの、との位置づけで策定いたしました。これが3月28日に承認されまして、その後、文章の体裁等を整えて31日に策定したという流れでございます。

既にデジ庁のホームページでも公開してございます。上にございますが、パブコメの内容、それからこんなことを作りましたというものを4月3日に公表してございます。また、下にありますとおり、ガイドライン群には他にもいろいろとデジ庁として文書がございますが、その中の一つとしてDS-531という番号をつけまして、ガイドライン群としても公表しているところでございます。

なお、今回の文書でございますが、地方自治体の方々に処分通知を送るときのデジタル化に使ってもらいたいという趣旨でございましたので、全市町村に対しまして情報提供するシステムがございますので、全市町村にも既にご連絡済みでございます。

また、関係省庁にも周知しておりまして、幾つかの省庁から細かい問合せも来てございますが、例えば、出先機関や下部の組織にもこれを周知したいので原本のファイルをください、という問合せも多々来てございます。今、着々と広がりつつあるという段階です。

若干おさらいになりますが、そもそもの背景・目的を簡単にもう一度ご紹介させていただきます。上にございますとおり、まずは共通的な考え方、それから課題を乗り越えるためのちょっとした知識的なものをまとめて公開するというのが大目的でございます。

そして、下にございますが、今回はまずは短期的に、ある意味比較的ハードルが低く対応可能なものにつきまして、具体的な事例を示しながら参考いただくということを目的にしていました。こちらは日々のデジタル化に関しての困りごとの解決に役立てていただくということで、処分通知等のデジタル化を進めたいというものでございました。

これもご案内のとおりでございますが、申請の上りのほうはオンライン化・デジタル化が進んでいるところでございますが、役所から処分通知を送る側、下りのほうはまだ紙でやっている部分が多く残っているという問題意識で検討していたものでございます。

また、関係省庁がeメールで送ります、既存システムを使います等々、オンライン化をしていきますということを表明しているところでございますが、今年度以降対応する予定のものも多々ございますので、その際に参考にしていただきたいということで今回まとめたものでございます。

その中身でございますが、今日は時間の関係もございますので本当に概要のみとなりますけれども、本文はこのような目次の章立てになっています。背景に始まり、最後の届出は処分通知として返す必要が必ずしもないものでございますけれども、届出に関しても参考として文書を作っているというものでございます。

簡単に中身のご紹介をさせていただきます。まず、趣旨は飛ばさせていただきまして、一番下の「主務省令の解釈」のところでございます。これは前回もご案内しましたが、デジ手法に基づいて各省庁が主務省令をつくっているわけでございますが、その中で電子証明書ですとか、電子情報処理組織による処分通知等の規定がそれぞれなされているところでございます。

ただ、書きぶりが、若干各省庁の色もございまして必ずしも定義が統一されていない。それに起因いたしまして、地方自治体さんのほうで例えば電子証明書などの取扱い方が若干不明確であったというのが問題点でございました。

具体的に申しますと、例えば主務省令ないしその下の告示において利用可能な電子署名とか、電子証明書の種類はこういうものですよというのを明示している列挙型の主務省令もあるのですが、その中で地方自治体さんが職責証明書を打つときに使うLGPKIの電子署名が読めないようなものも見受けられるということで、今回、この基本的な考え方の中では、例えば、地方自治体さんが処分通知等を送る際に、職責において電子署名を打つことは可能である、知事や局長などの職責で公印代わりに打つものでございますが、そういったものは使えるという解釈を示してございます。

ただ、今後、主務省令をきれいにするといった流れもあろうかと思いますので、要すれば、関係省庁に対しても「この際、直してください」ということを働きかけていこうと、さらに考えているところではございます。

続いて、短期的な実現方法です。今、紙でやっているものどうすればよいのだというものでございますが、既存のシステムを使う、これはe-Govを使ったり、マイナポータルにはお知らせ機能もございますので、そういったものを使う。それから、民間のセキュリティーが確保されたオンラインストレージ等々を使うということを簡単にケース・バイ・ケースでまとめて文章の中に書いています。

電子署名を使うというのが3番目にございますが、これは公印の代わりに何でもかんでも電子署名を打ってくださいということではなく、公印省略も進んでございますので、そこはよく必要性に鑑みて、文書の完全性や跡を追えるということが必要な場合は電子署名を打ってください、ということも、今回、分かりやすく書いてございます。

また、使える電子署名としましては、国の組織であればGPKI、自治体さんであればLGPKI、その他電子署名法でいうところの電子署名等々が使えますということを書いてございますが、一番下になお書きで記載しているとおり、GPKI、LGPKIでは、電子証明書の署名検証がAdobeさんのAcrobatReaderではうまく働かない場合があるということも指摘されておりますので、そこも対応しているということも書いてございます。

時間がないので次に行きますが、では、実際にどういうことを考えればいいのかということで、フローチャート的に、申請に基づく処分通知ですか、既存システムは持っていますか、処理件数は多いですか少ないですか、それではそれぞれこんなものを使ってみるとできますよ、ということも分かりやすく示している内容になっています。また、信頼性確保も重要でございますが、例えば、既存のシステムを使う場合は大分既存システム側で信頼性が担保されているものでございますけれども、その際、こういうところに留意して下さいねということも書いてございます。

なお、電子メールを送る際も、DKIMやS/MIMEのように電子証明書を使って相手に信頼性を持って送付する方法もありますが、そうではない場合、前回もありましたが、パスワードをかけたファイルとパスワードを同じルートで送らないでくださいねという、いわゆるPPAPみたいなことにも注意をするような中身を書いてございます。

それから、有効期限の関係もよく聞かれるご質問でございますので、今回まとめています。簡単に言いますと、許認可の有効期限に対しまして、それに付けている電子署名の有効期限が先に切れた場合どうなるのですか、ということがよく聞かれるのですが、それは当然許認可のほうの有効期限が大前提です。その際、電子証明書の有効期限が先に切れるようなことがあれば、例えばタイムスタンプを組み合わせて打つとか、もう一度打ち直すようなことを分かりやすく例として挙げるような中身になってございます。

それから、到達時期の関係も紙から置き換えたときによく聞かれる話でございますが、これもデジ手法の中でいろいろと定義があるものでございますけれども、例えばパターンBで言いますと、オンラインストレージを使った場合、相手側がダウンロードした時点で何か通知メールが来るとか、お知らせが来るようなログが残れば、そこをもって相手側の領域に入った、相手側が知り得る状態に置かれたということで、そこが到達時期ですという考え方を分かりやすくまとめているものでございます。

ただ、メールの場合はなかなか相手の開封確認が、S/MIMEを使えばできますが、通常だと難しいので、その場合は、例えば返信を求めるとか、何かオンライン上で見ましたというチェックをするようなことを考えるとよいのではないですか、ということも今回まとめているところでございます。

最後になりますが、デジタルに置き換えたとしましても、公文書としては、当然そこは何ら変わるところはないということも念を押してまとめてございまして、適切な保存期間を設定して保存してくださいという点をまとめています。

それから、最後の届出の関係でございますが、こちらは法の規定に基づかない受付だけで終わるものにつきましても、「受け付けましたよ」ということを通知する際には、同様にデジタル完結に配慮して、そこもデジタル化を図ってください、という内容になってございます。

最後に、実際の文章を簡単になぞらせていただきますが、このような文章になってございまして、それぞれ先ほど説明したような文章がかなり細かめに書いてございます。関係条文も今回改めて整理させていただきまして、例えば行政手続法、デジ手法、それからその他関係文書の抜粋も分かりやすくまとめて参照できるようにしてございます。

加えて、今回はQ&A集もつけてございます。例えば、こちらの問3にございますが、公印をしている場合、それをデジタル化した場合は電子署名しなくてはいけないのですか、という質問に対してはこういう考え方ですというのをまとめたり、次のページの問5にありますが、オンラインストレージ等を使った場合、どういうふうにパスワードを通知すればいいですかというところは、先ほどの同じ経路で送信すると危ないですよとか、こういう基準を参照して適切に対応してください、ということも分かりやすくまとめております。このようなQ&Aも参照していただきながら、実際に業務に当たっていただけるのかなと思っています。先ほど簡単に紹介したフローチャート的なものも最後に付けております。

ということで、今回、できるところからまとめた第一歩と考えてございますので、今後も必要があれば、特に自治体さんからの要望等も丁寧に聞きながら、分かりやすく中身を増やしていく、もしくは修正していくということも考えていきたいと思ってございます。
説明は以上になります。

安念副座長: ただいまのご説明に対してご質問、ご意見等がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、増島先生、岩村常務、落合先生と行きましょう。お願いします。

増島構成員: 地方の部分などはなかなかどうやったらいいのか分からないみたいな話がいっぱいあって、この部分のデジタル化をどうやって進展させていくのかというのはもともとこのプランをやるときに非常に大事な論点だと思っていました。こういう形で丁寧にガイドをしていただくことによって広がっていくというのは非常にありがたいことでございます。

ただ、最後におっしゃっていただいたとおり、フィードバックを受けてまたアップデートをかけて、修正をしていくというところも含めてだと思いますので、それもぜひやっていただいて、フレキシブルな形でどんどん進むというのを一番優先してやっていただくとありがたいなと思いました。
以上でございます。

安念副座長: ブラッシュアップは当然あるべしという前提ですね。ありがとうございます。

では、岩村常務、お願いします。

岩村構成員: ありがとうございます。

今回、エンドツーエンドのデジタル完結に向けた取組を丁寧に説明いただき、非常にありがたく思っております。

デジタル完結は非常に重要です。経団連には、いわゆるアナログ規制の見直しに関して780件の要望が寄せられ、これを87項目に整理した提言を取りまとめました。これは裏返すとデジタル臨調に対する期待の現れであると理解しております。

他方、昨年末に工程表が策定されたものの、デジタル完結はまだ道半ばであり、要望を寄せた企業からは「自分たちの要望はどうなったのか」「結局手続はいつ電子化されるのか」といった問合せが数多く寄せられているところです。実際、経団連で提言内容の実現状況を確認したところ、今の進捗率は全体の3割程度ということかと思います。

残りの集中改革期間は1年ですので、まずは目の前の課題であるデジタル完結をしっかり実現していただきたい、着実に対応を進めていただきたいという点を強調して申し上げます。

また、期限どおりに法改正が行われたとしても、実際にアナログ規制に代替する技術が活用されないと、デジタル完結は実現には至りません。テクノロジーマップや技術カタログに掲載された技術が実際に活用されるように、所管省庁が掲載技術を取り入れざるを得ない仕掛けをぜひ作っていただき、紙を一枚も挟まない真のデジタル完結を実現していただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

以上です。

安念副座長: ありがとうございます。誠にそうありたいですね。

落合先生、いかがでしょう。

落合構成員: ありがとうございます。非常にすばらしい取りまとめだと思います。
増島先生がおっしゃられたアップデートし続けるということは非常に大事だと思いますというのが1つ目です。

2つ目が、この取組自体は本当に非常にすばらしいと思いますので、しっかり周知啓発といいますか、自治体の方まで含めてしっかり広げていっていただくことが大事と思います。内容はいいものができたと思いますので、そこをさらに一層進めていただいて、率をしっかり上げることにつなげていただければと思います。

第3点が、処分通知に関する部分が特に課題が大きかったということではあると思います。一方で、まだ処分通知以外でデジタル化しないで残っている手続もあると思います。そういった手続との関係でも今回検討したもので参考になる部分はあると思います。わざわざ文書まで作られるかどうかは分かりませんが、そういった全般的なデジタル化についてもぜひ今回の成果を、できるところには横展していただければと思っております。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。誠にそうですね。要するに、それこそ拡張性ですね。ここでの経験は幾らでも横に広げられますものね。ありがとうございました。

山野参事官: 一言だけ、コメントになってしまいますが、全くもっておっしゃるとおりでございまして、今回まとめた基本的な考え方も、下りといいますか、処分通知を送る際のデジタル化の仕方を、さらに今ある既存のサービス、それから国の既に動いているシステムを使ってこんなことができますよ、こうやれば簡単にできますよ、ということをかなり初心者向けといいますか、まだ紙でやっている方に対するファーストステップとして分かりやすくまとめたものという認識でございます。

当然、これはエンドツーエンドの本当の意味でのデジタル化を進めるための一つの手段を示したものという認識でございますので、ご指摘のとおりいろいろな手続も残ってございますし、これでは解決できない難しい本質的な課題もございます。そういった意味で、技術マップや新しい技術を使っていくという話も同時に動いてございますので、この基本的な考え方もその中のワンオブゼムといいますか、一つのツールとして広く使っていただいた上で、これはデジ庁だけでなく関係省庁を含んだ上でだと思いますが、全省庁的に、全政府的に一丸となって進めていく中の一つのツールということにはなりますが、全省庁で続けていくべき話だと思ってございます。我々も対応を引き続き考えていきたいと思ってございます。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございました。

落合構成員: ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

安念副座長: 皆さん、今日も活発にご議論いただいてどうもありがとうございました。

しかし、役所が発出する文書も変わりましたね。昔は上目線で説教がましかったのだけれども、今回の文書などはこうやってやったらやれますよみたいな、結構御用聞きに徹しているというところがいいなと思って、ずっと拝読しておりました。

山野参事官: そうですね。関係条文をまとめているだけでも使いやすいとか、関係のところにこのまま投げさせていただく、という話もあるところでございます。

安念副座長: ローヤーが多いから申し上げておくと、僕も参照資料の条文集というか、ドキュメント集はすごく役に立ちますよ。とてもいいと思いました。

山野参事官: ありがとうございます。そういった意味でも、ぜひ周知のほうもまた引き続きやっていきたいと思います。

安念副座長: 本当にそうですね。ありがとうございました。

それでは、今日のディスカッションはこれくらいにしたいと思います。ずっとお忙しい中、最初からご参加をいただいてしまいましたが、大串副大臣、一言いただければと存じます。

大串デジタル副大臣: 今日も皆さん、積極的なご議論をいただきまして、ありがとうございました。

最初のテーマが法人ベース・レジストリと制度的な課題について、1つ目が、情報共有に係る制度設計についてご議論をいただきました。今後、個人情報保護委員会事務局とも密に連携しながら、詳細の設計を加速させていきたいと思います。

2番目が、登記以外の法人情報に関して、日本政策金融公庫にもご参加いただき、許認可情報に対するニーズについて確認をさせていただきました。今後、拡張可能性も踏まえたシステムの検討を進めてまいります。

3番目が、法人ベース・レジストリに関係する論点として、事業所や個人事業主に係る対応方針についてもご議論いただいたところですが、個人事業主については国会等でも積極的に議論がなされていますので、今後、個別のユースケースを精査しつつ、対応方針を取りまとめていきたいと思います。

2つ目が、処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方についてですが、今ご案内のとおり、本年2月の作業部会でのご議論を踏まえて策定したものでありまして、今後、関係の行政機関に実際の業務の中で活用いただくことで申請から処分通知までのエンドツーエンドでのデジタル完結が一層進むことを期待しているところでもございます。

以上でございます。本日もありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。

それでは、事務局から事務的なご連絡、ご説明をお願いいたします。

事務局(奥村): 事務局よりご案内いたします。次回の作業部会につきましては、5月17日水曜日の13時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

なお、本日の議事につきましては、議事1のうち、情報共有に関する制度設計の方向性については、ご異議がないようでございましたら、非公開とさせていただき、それ以外の部分につきましては、後ほど議事録を作成し、皆様にご確認をいただいた上で公開させていただきたいと存じます。

また、本日の資料の取扱いにつきましては、議事1の情報共有に関する制度設計の方向性に関する資料及び法人ベース・レジストリに関係する論点に関する資料の一部を除きまして、デジ臨行政調査会のホームページに公開させていただきたいと存じます。

本日はご参加いただきまして、誠にありがとうございました。

以上です。

安念副座長: それでは、以上をもって第20回の会議を終わりたいと存じます。どうも皆さん、ありがとうございました。