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デジタル臨時行政調査会作業部会(第21回)

概要

  • 日時:2023年(令和5年)5月17日(水)13時00分から15時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. ベース・レジストリと制度的課題について
    2. 行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査・点検の状況について
    3. 法制事務のデジタル化等に関する検討状況について
    4. 第7回デジタル臨時行政調査会について
    5. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和5年5月17日(水)13時00分から15時00分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹(デジタル副大臣)

構成員

  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会常務理事)
  • 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)

事務局(松田): 時間となりましたので、第21回デジタル臨調作業部会を開会いたします。

本日の構成員の皆様のご出席状況ですけれども、安念先生、上野山先生、菅原先生におかれましてはご欠席。増島先生におかれましては途中ご出席。岩村構成員、落合構成員におかれましては途中ご退席と伺っております。

早速ではございますが、これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。本日は副座長の安念構成員が急遽ご参加できないということで、事務局で議事進行するようご依頼いただいておりますので、よろしくお願いいたします。

本日の議事といたしましては、「ベース・レジストリと制度的課題について」、「行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査・点検の状況について」、「法制事務のデジタル化等に関する検討状況について」、「第7回デジタル臨時行政調査会について」の4件を予定してございます。本日の最初の議題「ベース・レジストリと制度的課題」については、2つのパートに分けて議論したいと考えております。

1つ目のパートにつきましては、登記情報の提供に係る今後の対応方針についてご議論いただきたいと思います。こちらのパートにつきましては、法務省にもご参加をいただいております。

2つ目のパートにつきましては、情報連携に係る制度設計についてご議論いただきたいと思います。こちらのパートは個人情報保護委員会事務局にもご参加いただいております。
まず、最初のパートについて、三島参事官よりご説明いたします。

三島参事官: では、登記情報の提供に係る今後の対応方針について、ご説明いたします。

まずは、「本日ご報告させていただきたいこと」のスライドでございます。3月28日の作業部会におきまして、法務省との間で以下の方針が取りまとまったものと認識しております。つまり、連携基盤はデジタル庁が担い、データの品質の担保については登記申請者等とのタッチポイントを持つ法務省が担っていくことを原則とすること、また、過渡期においてはデジタル庁でデータ品質の担保について担うことということです。今回はこの取りまとめました方針に基づいたロードマップの考え方を提示させていただきたいと考えてございます。

次のページは前回の議論の概要でございますので割愛させていただきます。4ページでございますが、第19回の作業部会資料を更新して作成したものでございます。連携基盤についてはデータの拡張性も考慮し、共通基盤としてデジタル庁が整備するということで、データ品質の担保については法務省で役割を担っていただくということでございます。
これを受けまして、5ページは、登記由来のベース・レジストリの整備について、目指すべき姿となってございます。法務省の運用する登記情報システムにつきましては、既に次期システムが開発段階にあるということで、次々期システム更改のタイミングでデータ品質の担保を担うための規格等のルールを適用していくということが現実的かと考えてございます。

その上で、国の行政機関等における「住所」や「文字」に係る規格、また、登記時における入力ルールなどの検討も、登記制度との整合性に十分留意しつつ並行して行っていくことが適切かと考えておるところでございます。

6ページですが、2030年までまだ期間がございますけれども、この過渡期についての対応につきましては、デジタル庁のほうで制度的な対応やシステム的な準備が整い次第、住所の正規化、文字の縮退といったものを実施した上で提供を開始したいと考えております。また、デジタル庁の準備が済み次第、既存の提供ルートについては順次移行して一本化することを想定してございます。

これまでご説明さしあげたものの全体をロードマップに落としたものが7ページでございます。全体の予定としては2030年の完成を目指すということ、また、過渡期においてはデジタル庁でデータ品質を確保するための縮退といったことを行った上で速やかに提供を開始し、準備が済み次第、既存の提供ルートが順次移行してくるということを想定してございます。また、次々期登記情報システムの更改までの間に住所や文字に係る規格の整理といったものを行っていくということでロードマップを策定させていただいております。
私からのご説明は以上となります。

事務局(松田): 前回の続きを具体的に工程表に落としたということですけれども、今の説明につきまして、構成員の皆様からご意見、ご質問等がございましたら、お願いいたします。

三島参事官: 1点補足させていただいてよろしいでしょうか。

前回の構成員のご発言も踏まえまして、参考資料としてベース・レジストリを実現することによる政策効果を法人についても整理させたものを参考資料としてご用意させていただいております。ここに対象手続や政策効果といったものについて記載させていただいておりますが、添付省略と手続省略の合計で約213億円の政策効果を見込むということで、政策効果といったものについても宿題としていただいていたものをおつけしておりますので、またご参照いただければと思います。

事務局(松田): それでは、落合構成員からいかがでしょうか。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。

毎回、次第に検討が積み上がっていると思いますので、そういった意味では特に不動産などはかなり難しい部分もあるとは思いますが、着実に進めていただいており、非常にありがたいなと思っております。

不動産側も、ある種このロードマップを整理していく中でさらに添付省略であったり、いろいろな業務の自動化であったり、手続省略につなげていくところだと思います。これは主に不動産登記に関する部分も不動産については念頭にしてロードマップを作っていただいていて、ほかのデータと連携する中で全般的に添付省略につなげていくという視点では、また別途整理を進めていかれることでよろしかったでしょうか。

事務局(松田): 三島参事官、いかがでしょうか。

三島参事官: 今回、ご提示させていただいておりますロードマップの考え方自体は、実は法人と不動産とともに合わせた形でロードマップとさせていただいておりますので、両方を含むものだと考えていただければと思います。

落合構成員: 分かりました。ありがとうございます。
不動産側で特に宅建業者などのいろいろな事業者の業務という部分も改めてお話していただいていて、この辺をさらに効率化していくに当たっては、不動産登記以外のデータベースとも連携していったりするということもあるのかなと思いました。そちらはまた別に連携できるような状況を見つけて別途検討されるということでよろしかったでしょうか。

三島参事官: ご質問いただきましてありがとうございます。

まず、私どものほうでは、不動産登記情報の行政内での活用というものを中心にここで整理をさせていただいておりまして、あとはアドレスベース・レジストリについては公開を前提として整備していきますけれども、こちらはまず行政手続面での行政事務に活用していくという中でのロードマップということで整理をしております。政府全体としては地理空間の議論などがいろいろございますので、それを民間の関係する業界等にどのような形で活用していけるのかといったものについては、そういった関係する省庁との調整も踏まえまして、併せて議論をしてまいりたいと考えております。

落合構成員: 分かりました。

いずれにしても最終的に完成形になっていくに当たってはまたさらにほかの論点もあると思いますので、またいろいろ積み上げていっていただければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。

ほかに何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、この件は前回と今回を含めてかなりいろいろご意見をいただきながら形にしてきているということでございますので、また事後に何かありましたら、事務局までお寄せいただければと思います。

それでは、本日ご参加いただいております法務省にご意見をお伺いしたいと思います。特にデジタル庁からシステムの更改時期、過渡期における対応、ロードマップという形でお示しをしておりますけれども、それも含めて、法務省としてのご懸念や留意点がありましたら、お答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

法務省(土手課長): 法務省民事局の商事課長の土手でございます。よろしくお願いします。

法務省としましては、ベース・レジストリの活用によって関係行政機関等の負担の軽減を目指すということは重要であると認識しておりまして、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

また、前回の部会でも述べさせていただきましたけれども、商業登記と不動産登記を一体で考えるという課題についても解決していただいているものと認識しております。その上で、今回の資料でも取り上げていただいているところでございますが、実現に当たってはこれから申し上げる課題があると考えております。この点については、従前から申し上げておりますとおり、法務省としては重要であると考えておりますので、重ねて申し上げさせていただきます。

1つ目は、登記情報の提供・連携の対象は、既存の各種電子データによる情報連携に加えまして、地方公共団体等が公用請求によって紙媒体の証明書を取得しているというものも含めまして、ベース・レジストリ経由に一本化・集約することが必要不可欠であるということでございます。

2つ目として、提供データの整備に当たりましては、登記制度上対応可能なものと不可能なものがあるということを前提に、関係の行政機関と十分調整を行う必要があるということでございます。

3つ目として、提供を受ける、言わば受益者である官公署のコスト負担で実施してきたことを踏まえまして、デジタル庁におきまして、システム整備や運用に係る予算について配慮いただくことが必要であるということでございます。

以上の課題の解決に向けまして、デジタル庁において主導的な役割を果たしていただくことが必要であると考えておりますので、よろしくお願いします。
以上でございます。

事務局(松田): ありがとうございます。
今の法務省のお話につきまして、三島参事官から何かコメント等はありますでしょうか。

三島参事官: ありがとうございます。

まず、1つ目のベース・レジストリ経由に一本化・集約すべきという点については、おっしゃるとおりだと考えてございます。ただ、公用請求につきましては、様々な形で情報提供がなされていると認識しておりますので、これから整理をさせていただければと考えております。

また、ベース・レジストリ経由で対応することで、提供元である法務局の負担を減らすために必要な対応については、十分調整をさせていただきたいと考えております。
2つ目の点は、特に登記における入力ルールなどが該当すると認識しておりまして、後工程にてデータ整備と利活用がしやすいよう、入力時にどこまでルール適用することができるのか、資料上にも記載させていただいておりますけれども、登記制度の現状を鑑みた上で今後調整をさせていただきたいと考えております。

3つ目につきましても、今後必要な調整をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。今のやり取りはまた具体化させていただくということかと思います。
それでは、1つ目のパートについては以上とさせていただきます。法務省の皆様におかれましては、こちらでご退席いただければと思います。本日は誠にありがとうございました。

事務局(松田): 続きまして、2つ目のパート「情報連携に係る制度設計」でございます。

【「情報連携に係る制度設計」については、非公開】

事務局(松田): それでは、ベース・レジストリの議事につきましては以上とさせていただければと思います。

続きまして、行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査・点検の状況につきまして、楠目企画官よりご説明いただければと思います。

事務局(楠目): よろしくお願いいたします。デジタル臨調事務局の楠目でございます。

私から、行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査の状況についてご報告させていただきます。

1ページですが、今回の横断的調査につきましては、枠内の青文字で示してございます、年間1万件以上の申請等とそれに対応する処分通知等を対象に、オンライン化の状況と今後の方針等について調査・点検を行ったものでございます。

その結果についてお示ししているのが下のグラフになります。まず、申請・届出のオンライン化の状況についてですが、これまでご報告してきた状況が一番左側の柱でございまして、今回の調査で確認した直近の状況が真ん中の柱になります。本年3月時点で約6割の手続がデジタル化に対応しているという状況となっております。

さらに、令和7年度までの今後の方針について示したものが一番右の欄の柱でございます。オンライン化に適さないようなものを除きまして、実質全ての手続がオンライン化に対応するという方針となっているところでございます。

また、上の枠内の2ポツにありますように、オンライン納付についても令和7年度までに約8割が対応する方針となっております。

2ページの申請に対する処分通知の状況ですが、こちらの資料の左側のオレンジのグラフになります。直近では約2割の手続がデジタル化に対応しておりまして、令和7年度には約6割が対応するという方針になっております。

また、届出に対する受付通知の状況ですが、右側の青色のグラフになります。直近では約7割の手続が対応、令和7年度には約9割の手続が対応の方針となっております。

今回、令和7年度の欄の薄いオレンジ色や薄い水色の上にある両側矢印の部分がオンライン化困難という回答があった部分になりますが、この点を次のページにまとめております。こちらの資料ですけれども、オンライン化が困難という回答のあった手続の理由について示したものでございますが、まず、1の申請・届出に関しましては、厳格な本人確認が法令上求められるものや申請者の機器利用が困難な場合などが挙げられているところです。一方で、処分通知等に関しましては、申請等と同様の理由もありますが、(3)のような資格証明のカードなどの有体物の交付を伴うものや(4)のような証明書類等の交付などで真正性の確保を課題とするもの、それから(5)のその他のような自治体や事業者の対応や費用対効果などを理由とするものなど、様々なものが現在は含まれているところでございます。
この中で、特に(4)や(5)にあるような理由につきましては、対応が可能なものも相当数あると考えられますので、今後、課題の整理・分析とともに各府省への再検討の要請も行ってまいりたいと考えております。

次のページの今後の対応についてでございますが、行政手続のデジタル完結に向けて、まず令和7年度までにオンライン化をする方針のものにつきましては、具体的な工程表を年内目途に調整したいと考えております。また、今回、オンライン化が困難との回答があった手続については、課題の整理・分析と各府省への再検討の要請をしてまいりたいと考えております。

次に、地方自治体が行う手続についてですが、今回の調査・点検の過程で自治事務であること等を理由にデジタル化や実態把握が困難とするものが一定数見受けられたところです。今後とも技術的助言等による対応を引き続き行ってまいりますが、それだけでは対応が困難な場合などには、今後、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。特に経済界要望等で把握が困難な国民からの手続に関しましては、改めて現状の把握やオンライン化の方針等を検討してまいりたいと考えております。

最後に、その他の課題への対応ですが、地方自治体の独自方式の仕様などのローカルルールへの対応や各府省の自律的な取組を促す仕組み等についても検討してまいりたいと考えております。
ご説明については以上でございます。行政手続のデジタル完結については、年末に向けて工程表の調整など、より具体的な取組を進めてまいりたいと考えておりますが、対応の方向性等についてご意見等をいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

事務局(松田): それでは、今のご説明につきまして、構成員の皆様からご意見、ご質問等をいただければと思います。
増島構成員、お願いいたします。

増島構成員: ありがとうございます。

非常に大変な調査をありがとうございます。相当大変だったと思うのですけれども、その中である意味固定観念でこれはできないみたいに考えていらっしゃるようなものも結構いっぱいあられるのかなという感じがいたしました。特に矯正施設の被収容者の手続きでできませんというのは本当ですかという気がしまして、一件一件申請と見ていると確かに大変かもしれないのですけれども、我々は弱者のためのデジタル化というのをやっていて、矯正施設に入っている人もデジタルの手続がちゃんとできるようになっていただかないと、施設を出た後に社会生活を送れなくなってしまうので、こういう方々こそ実はデジタル手続ができるようになっていなくてはいけないというのが、「誰も取り残さない」ことを目指す政府としては本質的に大事なような気がします。その辺の目線がまだうまくできていないようなものもあるのかなと、矯正施設辺りを見て少し感じてしまったところでもございます。

地道に数字を積み上げていくという作業が引き続き発生してこられると思いまして、非常に大変なプロセスだろうとは推察するのですけれども、ここをどれだけ上げられるかというのは非常に大事なタスクだと思いますので、ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。

事務局(松田): ありがとうございます。

岩村構成員、お願いいたします。

岩村構成員: これまで精力的にお取り組みいただいた成果ということで、かなり高い数字をお示しいただきましてありがとうございます。

これは中身を詰めていくと、2025年までにオンライン化に対応する手続の定義について、法令上問題ない状態をカウントしているのか、あるいは行政側のシステムやインターフェースが整備されて、利用者目線で最初から最後までオンラインで手続できる状態をカウントしているのか、教えていただきたいというのが一点目です。

また、1点目とも関連するのですが、フロー全体でデジタル完結している行政手続の件数の推移はどうなるのか。例えば申請や届出、受付、処分通知など、個別に見たオンライン化の対応状況が8~9割進んだとしても、一つのフローの中で実はオンライン化できていないといった虫食い状態になっていると、デジタル完結にならないと思います。これをどう検討していくのかというのが2点目です。

3点目は、オンライン化に適さない手続の具体例が3ページ目に示されていますが、手続が1万件に満たない場合も含めて、そもそもオンライン化しない手続がある程度明示的に行政側から示されるものなのか。民間としては、これはもうやらないということがはっきり分かれば助かる面はあるのですが、そういうものをはっきり示せるものでしょうか。

最後に、ローカルルールに関しては規制改革の枠組みでも取り組んでいるということですが、そのほか申請書類が減らない手続や、警察と自治体など窓口が一本化されていない手続の対応はどう進めていくのか。例えばマイナンバーやGビズIDによる情報連携が進めば添付書類は省略できるはずですが、こうしたワンストップで受付されてワンスオンリーで済むようなデジタル改革に向けてどう進めていくか、お伺いしたいと思います。

本日は都合により退室しますので、後ほど事務的にご回答いただいても結構ですが、教えていただければと思います。以上です。

事務局(松田): ありがとうございます。

今の時点でお答えできるところがありましたら、楠目企画官からお願いします。

事務局(楠目): ありがとうございます。

まず、増島先生からいただいたご意見は、矯正施設の中で確かにスマホを持つことなどは難しいかもしれないのですけれども、そこで止まらずに何かできることがないかということなど、法務省との相談の際には、先生からいただいたご指摘も踏まえて進めていきたいと思います。

岩村先生からいただいたご質問ですけれども、今回の考え方としては、法令等の障害等は除かれて、デジタル化が可能となった後で、システムを整備したり、あるいはメール等の簡易な受付という方法があるということを周知するなどの方法によって実際にデジタル化を進めるというものを今回カウントしているところです。

ただ、自治体の自治事務等については、例えばシステムを準備してそれに参加してもらうとか、デジタル化の具体的なやり方を示してそれを使ってもらうというもう一つのステップがありますので、さらに次に広げていくという段階のほうもありますけれども、少なくとも国のほうでシステムの整備やデジタル化の手法の周知なども含めて令和7年度までにデジタル化をするという方針を挙げてもらっているというものをカウントする仕方になってございます。

手続が虫食い状態でデジタル化されるとよろしくないというのはまさにおっしゃっていただいたとおりでございまして、今回、申請とそれに基づく処分通知や、届出と受付通知というエンドツーエンドでのオンライン化をするということを各省に求めているところでございますが、さらに細かい手続や枝分かれしたものなどがある場合などもあると思います。そういった事業全体のデジタル化については、10万件以上の手続についてはもっと全体の細かい手続までを含めてのデジタル化の推進を図っているところでございますので、その成果等も踏まえながら、1万件以上になるとまた数がかなり増えますので、どういうやり方ができるかというのを今後検討してまいりたいと思っております。

それから、デジタル化がそもそも適さないというものについては、申請等のほうはある程度これまでも各府省にデジタル化が困難な理由などを示していただいてそれを公表するなどの対応を行っておりまして、それが3ページ目の1ポツの(1)や(2)に当たるものが既に公表されているものがあるところです。今回の処分通知のほうにつきましても、この1つ前のページの一番右の欄の白い矢印のところがございますけれども、実際にできるものと難しくてできないものというものが年末に向けて明確になってくると思いますので、その中でどうしてもできないというものはその理由を含めて示していくということをさせていただく形で対応できればということを現在考えているところでございます。

それから、ローカルルール等については、現在、考え方の整理などを別途規制改革の枠組の取組でも行っているところもございますので、そういった検討も見ながら引き続き対応を検討させていただきたいと思います。

また別に何かありましたら、後ほど事務的にもご回答させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

岩村構成員: ありがとうございました。

事務局(松田): ありがとうございます。

ほかはよろしいでしょうか。
落合さん、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。非常に大変な調査をまとめていただいて、感謝を申し上げます。

何点かございますが、一つが、最終的に費用対効果が見合わないというか、利用数も少なくて費用対効果が少ない手続への対応はある程度限定的にならざるを得ないところはあると思います。本当に完全に全部やるべきなのかどうかについては一定の考慮の余地があるような事例も恐らくあるのだろうと思います。

しかし、例えばメールの代替といった対応について、ある程度対面でなければ、もしくは書面でなければできないことが、幾らかでも合理的に緩和できる事項があれば、ワンスオンリーやデータ利用まではつながらない方法であっても、部分的なものでも進めていただければと思います。

2点目としては、本人確認が求められる事項は、これまでもいろいろなデジタル化において問題になってきております。今現在でも例えば医薬品の販売などでも議論になっている部分もあります。パスポートの話なども規制改革推進会議でも議論がありましたし、重要な議論だと思います。行政手続側のフレームワークもNISTのフレームワークの更新を踏まえて議論されていると思いますが、ぜひ合理的にできる範囲を本人確認についてはしっかり整理していただいて、本当にできることとできないことを選別していただければと思います。

最後に第3点目のご質問で、書面、押印の電子化について、規制改革推進会議で以前行ったときに一部取り残している手続が100種類ぐらいあったように思います。令和2年ぐらいのときに取り残したことによってそのまま残した手続は、あまりその後改善されていないと理解していいのかどうかをお伺いできればと思います。
以上です。

事務局(松田): ありがとうございます。
楠目企画官、今分かることはございますでしょうか。

事務局(楠目): ありがとうございます。

ご質問いただいた点についてなのですけれども、規制改革推進会議のほうで毎年フォローアップをしていただいていると思うのですけれども、基本的には少しずつ進んでいるというような状況ではないかと思います。もともとの時点でかなり絞り込んでいただいているということの表れとも思います。

落合構成員: そうです。ありがとうございます。
押印の点は少し前に議論したこともあって、十分取り切れていなかった部分もあるかと思います。規制改革推進会議でも個別案件などをベースにして進めていく話があると思います。そこでもどう整理が進められるかはありますが、重要な権利移転などという割と大きいものが残っているようにも思いますので、ぜひそちらもまた取り組んでいただける機会があればと思います。

以上です。

事務局(松田): ありがとうございました。
それでは、お時間も来てございますので、この議題につきましてはここまでとさせていただければと思います。

それでは、続きまして、法制事務のデジタル化等に関する検討状況につきまして、中野企画官からご説明をお願いします。

事務局(中野): デジタル臨調の中野でございます。

法制事務デジタル化につきましては、デジタル庁でe-LAWS、e-Gov法令検索というシステムを所管しているところ、法制事務デジタル化検討チームにおきまして、この見直しの方向性などについてご議論いただいております。この法制事務システムの目的として5ページ、そして主な要求条件として6ページのスライドのとおりご議論いただいているところとなります。
次に、7ページですが、これまでの検討チームでのご議論を踏まえまして、今般、新たな法制事務システムを開発するに当たっての調査・実証事業を実施してまいります。

まず、①でございますけれども、法制事務や法令等データの現状やニーズについて調査を行います。

②でございますが、法制事務システムについて実際にプロトタイプを開発しまして、ユーザーテストを行います。

③としまして、より長期的な視点としてデジタル法制の未来に関してデジタル法制ロードマップというものを作っておりますので、9ページにございますけれども、こちらに関する調査研究を行いたいと考えております。

次に、8ページですが、この法制事務のデジタル化に当たりましては大規模言語モデルを用いたAIに関する検証も予定しているところでございまして、他方で、このLLMを用いたAIにつきましては、便利な点がある一方で幾つか注意すべき点があることも知られているということでご紹介させていただきます。右側でございますが、1点目としまして、言語モデルでございますので、単体では計算・論理的な推論は確実ではなく、検索も行わないということでございます。要約などの言語的タスクでは効果が期待される一方で、法令や条文の検索・分析などのタスクではよりどころとなる法令データベース・APIが必要となると考えております。その上で、APIを組み合わせた処理などが有効ではないかと考えております。
2点目でございますが、出力結果が事実であるか、妥当であるかは別問題ですので、出力を利用する場合は使い手に内容の正確性・妥当性を分析・判断する十分な知識と技術が必要であろうと考えております。

3点目でございますが、もっともらしさに惑わされない注意力が必要と考えておりまして、特に法制事務のタスクでは複雑な場面での厳密性が特に求められますので、適切に注意を喚起する仕組みが必要と考えられます。また、厳密にルールを適用するためには言語モデルだけに限らず、別の決定論的なチェック機能等を併用することが有効である可能性があると考えております。

最後の4点目としまして、例えばAIが条文を立案するといった場合に、その立案や執行に係る説明責任の確保が必要ではないかと考えております。

10ページでございます。法制事務デジタル化に係る今後の方針の案といたしまして、1点目でございますけれども、法制事務デジタル化及び法令データの整備・利活用に関する調査・実証を着実に実施したいと考えております。

2点目でございますが、法令等データについてはデジタル法制ロードマップを踏まえまして、過去分データ、告示データは需要があると伺っておりますので、この対象データの拡充やAPIの機能拡張について検討したいと考えております。

最後の3点目でございますが、これらの検討におきましては、AI等の技術による法制事務の補助についても検証を検討してまいります。

次に、12ページのデジタル法制審査についてご説明させていただきます。昨年12月、臨時国会提出法案に関しまして、アナログ規制に関係し得るとされた条項につきまして、デジタル技術が活用できる旨を明確化する通知・通達の整備時期と併せて点検結果を公表しておりまして、臨時国会提出法案に係る点検を踏まえて内容を拡充して通常国会提出予定法案につきまして、デジタル法制審査を実施中ということでございます。以上がこれまでの経緯でございます。

13ページはデジタル法制審査の今後でございますが、本年3月にデジタル規制改革推進の一括法案を国会に提出しております。こちらの中に、デジタル法制局のプロセスに関連する規定を措置するという改正内容を盛り込んでございますので、この法案の成立後は継続的・自律的にデジタル法制審査の取組を行うこととしたいと考えております。すなわち、各府省においては、新規法令等の立案に際してアナログ規制が新たに規定されることのないように点検を実施し、その点検結果をデジタル庁へ提出いただく、デジタル庁では必要な体制を整備してデジタル法制審査を実施するといった内容で取組を進めさせていただければと考えております。

15ページの官報の電子化の取組につきまして、ご説明させていただきます。

具体的な改革が2つございまして、こちらはまさに経済界の方々からご要望いただいたものを受けての改革でございます。16ページに改革①として、行政手続におけるインターネット版官報の活用に係る閣議了解を既に実施しておりまして、行政手続における紙の官報の提出が不要になってございます。

17ページは改革②でございますけれども、今、内閣府を中心に電子官報を官報の正本として位置づけるために、官報の発行に関する新法の検討を開始しているというところでございます。

19ページの官報電子化に関する今後についてでございますが、最初のポツのところにございますとおり、工程表を踏まえまして、内閣府を中心に紙で発行されてきた官報を電子化する仕組みについて、本年年央までに検討・論点整理を終え、できるだけ早期に法案を国会に提出するということを記載させていただいております。

次のポツでございますが、法案の検討に当たりましては、これらの点を留意すべきであろうということでございまして、将来的に紙の官報を廃止することを念頭に置くということと、現在の紙の官報を電子官報に単に置き換えるのではなくて、今後の技術革新に対応できる技術中立的な仕組みを構築するということ、また、研究者や関係企業の方々に官報データを利活用いただくために機械可読な電子官報のデータを提供すること。そして、電子官報になりましても長期保存ができる仕組みを構築し、改ざんされていない真正情報を提供するということ。最後に、冒頭ご説明しましたe-LAWSとの連携などによって官報に関する事務のBPRを行うということで今後進めさせていただければと考えているところでございます。

駆け足ではございましたけれども、私からの説明は以上でございます。

事務局(松田): ありがとうございます。

それでは、今の内容につきまして、既に何度か議論いただいている部分もあると思いますけれども、構成員の方々からご意見、ご質問がありましたら、よろしくお願いいたします。

増島構成員: 一言だけいいでしょうか。ありがとうございました。法制事務デジタル化検討チームでご検討いただいている内容だと承知しておりまして、僕もオブザーバーをさせていただいておりますけれども、非常に生産的でよい議論が行われているように拝見いたしました。

実際、特に官報の実装の仕方の議論までちゃんと論点化して、単にデジタル化ということではなくて機能をちゃんと投入するのだというところは非常に重要なポイントだと思っておりまして、そこをしっかりやっていくという方向性については大賛成でございます。精力的なご議論をどうもありがとうございました。

以上です。

事務局(松田): ありがとうございます。しっかりやってくれているということだと思います。ありがとうございました。

それでは、次の議題に移らせていただければと思います。第7回デジタル臨調に向けた準備状況について、簡単にご説明したいと思います。

【「第7回デジタル臨時行政調査会」については、非公開】

事務局(松田): 議事については以上とさせていただければと思います。ありがとうございます。

それでは、最後に大串副大臣より一言いただきたいと存じます。

大串デジタル副大臣: 今日も構成員の皆様におかれましては、積極的なご発言をありがとうございました。

まず、ベース・レジストリと制度的課題の議題におきましては、はじめに登記情報の提供について、データの品質担保の役割分担に関する方針を踏まえて今後のロードマップを提示させていただきました。今後も法務省と協力しながら、制度設計やシステム検討を進めてまいります。

次がベース・レジストリの情報連携に係る制度設計と、法令に基づく目的外提供について、これはいろいろなご議論、ご意見をいただいたところでありますので、引き続き整理を進めていく上でも、個人情報保護委員会等にも協力をいただきながら進めていきたいと考えております。

次が行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査・点検の状況について、本日のご議論を踏まえまして、今回の結果における課題の整理・分析を行うとともに、令和7年度までのオンライン化実現に向けた工程表の調整を進めてまいります。

3番目が法制事務のデジタル化についてですけれども、これは調査・実証を実施する段階に入りまして、法制分野のDXの基盤となる官報の電子化に関する議論も大詰めになっております。また、試行実施しておりますデジタル法制審査を各府省とデジタル庁とで継続的に実施していく必要もあります。これらの取組を着実に実施していきますので、皆様には引き続きご助言などをいただければと思います。

最後が近々開催予定の第7回デジタル臨時行政調査会での主な報告事項についてご説明いたしました。本日のご議論を踏まえて、今後の取組について本体会合の場でも議論してまいりたいと考えておりますので、引き続きご助言、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

本日もありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございました。

それでは、最後に次回の作業部会の開催についてご説明いたします。次回の作業部会の詳細につきましては、事務局より追ってご連絡をさせていただきます。

なお、本日の議事につきまして、議事1「ベース・レジストリと制度的課題」の一部、議事2「行政手続のデジタル完結に向けた横断的調査・点検の状況」の一部及び議事4「第7回デジタル臨時行政調査会」の資料につきましては、ご異議がないようでございましたら、非公開とさせていただきまして、それ以外の部分につきましては、後ほど議事録を作成し、皆さんにご確認をいただいた上で公開させていただきたいと考えてございます。

また、本日の資料の取扱いにつきましては、同じく今申し上げたところの資料を除きまして、デジタル臨調のホームページに公開させていただきたいと考えてございます。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、第21回の会議を閉会したいと思います。本日はご参加いただきましてありがとうございました。