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デジタル臨時行政調査会作業部会(第13回)

概要

  • 日時:2022年(令和4年)8月30日(火)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. FD等の記録媒体を指定する規制の見直しについて
    2. 常駐・専任規制、対面講習規制、書面掲示規制、往訪閲覧・縦覧規制について関係省庁からヒアリング
    3. 行政サービスのデジタル完結に向けて
    4. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和4年8月30日(火)10時00分から12時00分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹  デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科 教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会 常務理事)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHA Technology 代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所 )

事務局(松田): それでは、時間となりましたので、第13回デジタル臨調作業部会を開催いたします。

今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加をいただいております。

また、本日、会議冒頭、フロッピーディスク等の記録媒体を求めているといった記述についての現状と見直し方針についてご議論いただく1つ目の議事が終了するまで、報道関係者の方に会議を公開いたしますので、ご承知おきください。

なお、会議の傍聴を希望される報道関係者の方へは公開する議事に係る資料につきましても送付をさせていただいております。

本日の構成員の皆様のご出席状況についてですが、菅原構成員におかれましては所用によりご欠席されると伺っております。

また、本日の関係省庁ヒアリングの議事につきましては、関係省庁が都度入れ替わる形で今日もたくさんの案件がございますので、その中でご参加をいただきます。

それでは、議事に入ります前に、新たに副大臣に就任され、本作業部会の座長となっていただきます大串正樹副大臣よりご挨拶をいただきたいと思います。

副大臣、お願いいたします。

大串座長: 皆様、おはようございます。このたび、デジタル副大臣を拝命いたしました大串正樹でございます。本作業部会の座長も務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

いろいろな経緯を経て今回、副大臣に就任いたしましたけれども、これまでの経験を生かしながらしっかりと対応させていただきたいというように思います。

本日の作業部会では、まずフロッピーディスク等の記録媒体の利用を定める規制の見直しについてのご議論をいただきたいと思います。

事務局で精査いたしましたところ、この種の規制については定めた条項が約1,900存在しておりまして、その中には手続のオンライン完結の妨げや新たな技術の導入・活用を阻害するおそれのある規定が相当数あることが判明しておりますので、構成員の皆様におかれましては、課題の解決に向けた今後の対応についてご議論をお願いしたいと思います。

また、本日は、先行7項目のうち、常駐・専任規制、書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制について関係省庁からヒアリングを行うことにしておりますので、見直し方針を早期に確定できるよう、積極的なご発言をお願いしたいと思います。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

事務局(松田): 副大臣、ありがとうございました。いろいろご指導いただければと思います。

これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

以降の議事進行につきましては、安念副座長にお願いしたいと存じます。

安念副座長、どうぞよろしくお願いいたします。

安念副座長: おはようございます。安念です。大串新座長の下、我々もまた心を新たにして取り組みたいと存じます。

早速、議事に入ります。

第13回作業部会の議事は3つの固まりがありまして、1つ目が「FD等の記録媒体を指定する規制の見直しについて」、これは今、副大臣からご紹介のあったところです。これについては事務局からご説明をいただきます。

第2の固まりが省庁ヒアリングでして、本日は常駐・専任規制、対面講習規制、書面掲示規制、往訪閲覧・縦覧規制の関係で4つのテーマがあります。第1が、乾燥設備作業主任者の常駐、第2が、遺失物情報の閲覧、第3が、駐車監視員の資格者講習、第4が、宅地建物取引業関係でして、この4件について各省庁からヒアリングをいただきます。

第3の固まりが「行政サービスのデジタル完結に向けて」でして、これも事務局からご説明をいただきます。

それでは、まず第1、楠目企画官より「FD等の記録媒体を指定する規制の見直しについて」のご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

事務局(楠目): よろしくお願いいたします。デジタル臨調事務局の企画官をしております楠目でございます。

それでは、資料1につきましてご説明をさせていただきます。

1ページ目ですけれども、フロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定の見直しに関しまして、本日お諮りいたしますフロッピーディスク等の規定に関する現状、課題、対応について1枚にまとめたものです。

まず現状でけれども、6月の一括見直しプランでフロッピーディスク等による申請等の見直しが盛り込まれていることを踏まえまして、改めて事務局のほうで法令を洗い直しましたところ、約1,900条項にフロッピーディスク等の記録媒体を指定する規定が存在することが分かったところです。

こうした個別の記録媒体を指定する規定に関する課題としましては、冒頭、副大臣からもご紹介いただいたとおりなのですけれども、行政手続等の規定の中でフロッピー等の記録媒体の使用が定められている場合には、デジタル手続法の適用除外となりましてオンライン化が進みにくいという手続のオンライン化に向けた課題ということが1つあります。こちらについては後ほど4ページでもご説明させていただきます。

また、手続以外の名簿や登録簿等の作成、保存に関する方法としてフロッピー等の古い媒体の使用が定められているものにつきましては、そうした規定が定められることで新たな媒体やクラウド等の利用の可否が不明確になるという課題があるところです。

このような状況を踏まえて今後の対応としましては、事務局で作成した法令のリストを各府省に点検・精査いただくとともに、こうした規定の見直し方針の検討を要請したいと考えているところです。

また、各府省の見直し方針につきましては、年内に取りまとめましてデジタル臨調として公表させていただくことを考えているところです。

その次のページ以降でより具体的な課題や対応、各府省への見直しを求める際の視点などを記載しておりますので、順次ご説明しまして、こうした課題への対応や作業方針等につきまして本日、ご助言等をいただければと思っているところです。

ちょうど今、映していただいている2ページ目ですけれども、こちら、現状に関して法令検索の具体的な結果をまとめたものです。見直し対象となる法令が1,900条項ありますけれども、内訳としては、表の左側の列に記載のとおり、法律の規定が157、政令が148、府省令が1,589条項となっているところです。

なお、技術中立的な形で「記録媒体」等の一般名称で定めている規定もありまして、参考として、そちら、表の右側に載せているところです。

次のページですけれども、典型的な規定の例と課題につきましてまとめたものです。

まず行政手続等の申請・交付の方法として、書面に代えて記録媒体を指定するパターンとしては、1の(1)の下の枠内のような形で、申請書の提出については磁気ディスクの提出により行うといったような規定が典型的なものとなっているところです。

こうした形で記録媒体が指定された場合の課題といたしましては、枠の下の左側に記載しておりますけれども、手続のオンライン完結の妨げとなること、申請者の負担となること、媒体紛失のリスクも生じることなどが考えられ、その対応方策としましては、右側になりますが、オンライン化を可能とする規定を新設するなどの見直しを行っていただくことが必要と考えられるところです。

なお、その下の【具体的な要望の例】という点線の枠がありますけれども、こちらにあるとおり、経済界からも関連の要望を複数いただいているところです。

また、その下の(2)のようにオンラインでの提出等が既に認められているものにつきましては、法令改正等の対応は不要と思われますけれども、こうしたものについては運用の点検等、引き続き行っていくということを考えているところです。

次に、その下の2ポツの名簿や登録簿等の作成・保存の方法として、書面に代えて記録媒体が定められているものについてですけれども、典型的な規定ぶりは枠内にあるようなものとなっているところです。こちらの課題につきましては、1ページ目と重複しますが、特定の記録媒体が指定されることによって新たな技術の導入・活用の妨げとなるということが考えられ、対応としましては、より抽象的な規定への見直しを行っていただくということが考えられるところです。

こうした作成・保存に関する規定の見直しに関する先行事例としましては、一番下の枠内にありように、今年の税理士法の改正におきまして「磁気ディスクをもって調整する」という規定を「電磁的記録をもって作成する」というように改めた法改正が行われているところです。このような形での見直しを他の法令の規定でも行っていただくことで、この課題への対応として実施することが考えられるということです。

次のページはデジタル手続法の適用除外について、少し図で参考にお示しした資料ですが、通常は左側にありますように他の法令で書面での提出等が定められている場合に、デジタル手続法に基づく省令を各省で定めていただくことでオンライン化等の対応ができるという法令の仕組みになっている、デジ手法のそういう枠組みになっているところですけれども、右側の欄のほうにあるように、デジタル手続法では他の法令で情報通信技術を利用する方法が定められている場合には適用が除外されるという仕組みになっています。フロッピーディスクの使用なども情報通信技術の利用に当たりますので、記録媒体の規定が法律等で置かれている場合にはデジタル手続法に基づく主務省令での対応ができなくなるというような課題があるところです。

裏を返して申しますと、デジタル手続法の適用除外の規定を見直すことで特定の記録媒体が置かれている法令にまで適用範囲を広げるということも考えられるところでして、各府省にはそのような可能性も含めて幅広く対応の方策をご検討いただくということを考えております。

次のページは、参考となる法改正でございます。先ほどご紹介いたしました先行事例、税理士法の改正についての詳細になりますので、ご説明は割愛させていただきます。

次のページは、今後、各府省に点検・見直しを求める際の視点ですけれども、まず①の手続のオンライン化につきましては、上から3つ、ポツを並べておりますが、まず我々の示すリストで記録媒体を指定する規定が全て洗い出されているかについて、各府省でご確認いただき、次に、オンライン化を可能とする規定の有無を確認をいただき、その結果として、オンライン化の規定がない場合にはオンライン化を可能とするような規定の新設等の対応について各府省にご検討いただくこととしたいと考えているところです。

より具体的には青い文字で書かせていただいているとおり、個別法令の改正やデジタル手続法に基づいて主務省令で対応する等のご検討をいただくということを考えているところです。

なお、その下ですが、オンラインの手続が可能な場合には括弧書きのところにありますように、運用の点検をお願いしたいと考えているところです。

次に、②の新たな技術の活用に関してですけれども、こちらにつきましては、新たな記録媒体やクラウドの利用ができるということを明確にするために「電磁的記録をもって作成」等の抽象的な規定への見直しを各府省で検討いただくということを考えているところです。

また、個別の媒体名の例示が必要な場合にも、最後のポツにありますように、○○等の記録媒体といったより技術中立的な規定への見直しの検討も併せてお願いしたいと考えているところです。

なお、こちらにつきましても個別法令の改正のほか、デジタル手続法に基づく主務省令での対応を含め、各府省でご検討いただきたいと考えているところです。

若干細かい説明となり恐縮ですけれども、このような手順で各府省への点検・見直しを求めてまいりたいと考えているところです。

ご説明は以上でございますが、これらの課題への対応方針や作業方針につきまして、先生方のご意見等をいただければ幸いです。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

事務局(松田): 1点だけ一言だけ補足させていただきます。

これはもともと経済界要望の中でこうした声が上がってきており、いろいろな規定の手続において書面またはフロッピーディスクで出さないといけない、こういうことが義務づけられているというのがあり、企業なり事業者の方が要するにフロッピーディスクをあえて購入し、それにデータを入れて提出しなければいけない、こういう苦労がいろいろな規制まだ残っているということがありまして、こういうのはネットワークで普通にセキュアな環境、もしくはクラウドサービスでどんどん出せるということなので、こういうものをしっかり直してほしいというところがもともとあります。それを踏まえて今回まとめて法令検索したところ、これだけの数が規定としてあったというところになっています。

安念副座長: ありがとうございました。

私から伺いたいのですが、今のスライドの4ページ目ですが、これは右側が問題なわけですよね。だから、右側の場合はB法施行規則みたいなものがデジタル手続法の言わば特則、一般法と特別法みたいな形になってしまって、個別法の提出の仕方のほうが優先するということだと思うのですけれども、そうだとすると、この手の規定を削ってくれと、削ってもらえればデジタル手続法の本則というか基本原則に戻るということですよね。

事務局(楠目): はい。おっしゃるとおりでございます。

安念副座長: 分かりました。

それともう一つ、不思議なのは、これは何か技術的な障害があるのですかね。媒体にしないといけないというのは、通信の容量の問題とセキュリティの問題とがあるからなのかと思うのだけれども、しかし、考えてみると随分前から特許の出願は完全オンラインでできるのですよね。あれは図面がつくので重い文書を、しかも、セキュリティはしっかりしてないといけない。でも、それはずっとやっているので、技術的障害が本当にあるのかなという気もするのですが、これは単なる私の疑問です。

今、別にすぐに答えていただく必要はないですが、今の私の疑問は疑問として、先生方、どうぞ、ご発言ください。

事務局(楠目): 安念先生、1点よろしいでしょうか。

ご参考までなのですけれども、各法律でそれぞれ改正の際に、併せてそういう機会があれば例えば磁気テープなどという規定が残っているものは削除していったりとか、先ほど税理士法の改正についてもご紹介いたしましたけれども、そういうことは順次行っていただいているところでして、そういう改正は、各省、順次機会を捉えて進めていただいているという状況があるかというようには思っております。

安念副座長: 分かりました。まず増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

まさに登記の手続もフロッピーやCDロムでという話でいつも断念するという、こういう感じですので、ぜひここはというようなことで、遅過ぎたというところもありますけれども、こういう形で迅速に、大臣が前倒しでやるという話になっていると思いますので、ぜひここは早く進めていきたいと思います。

幾つか教えていただきたいことがありまして、一つは、デジタルでは作成や交付、提出、保存など、一定の類型があって、それぞれの類型でどうやってデジタル化するかという発想で過去の一括化法ではやってきたのだと記憶しています。今回も基本的には、先ほど交付の話が多く出てきていたのですけれども、それ以外の部分、特に保存ですとかそういう部分も含めて全部直していただけるのかをお伺いをしたいということです。

何を申し上げているかというと、フロッピーを持っていくのは言語道断なので、やめておいたほうがいいですし、フロッピーで保存しろみたいなことが書いてあるのもばからしいという話なので、ぜひ直すべきということなのですけれども、より本質的には技術的なアーキテクチャー、勝手に技術を決めて、これでやれと言うことがおかしいという点が本質なのだというように思います。そこにちゃんと着目をしたことをやっていただかないと、何か目の前でフロッピーを出すのが面倒だということにだけ対応しましたというのだと、言われたことしかやらないという話になってしまうので、もう少し技術中立でちゃんと法令を特にデジタルでの作成・保存、提出なり何なりという部分をやっていかないといけないのではないかと思います。

これとの関係で2点目なのですけれども、クラウド等みたいな話でおっしゃっていただいた場合に危ないなという感じがしているのは、サーバーと指定しているものが多分あるのだと思うのですね。事業者が管理するサーバーみたいなもの。そうしたものもやめていただく必要があります。現にサーバーレスアーキテクチャーと呼ばれるものがあり、またブロックチェーンも含めてなのですけれども、サーバーと書かれたら、これはフロッピーディスクと書いているのと本質的に一緒で、特定の技術に絞っていることになります。

今はクラウドがあるからクラウドでやれみたいな話になっているのですけれども、サーバーがそもそも要らないですよというアーキテクチャがありますという話を今、しているので、ちゃんとそれに対応できるような形にしないといけないだろうというように思いますというのが2点目です。

3点目は、各省庁に投げるという話ですけれども、省庁の事務をやっている人たちのシステムなりコンピューター部分のリテラシーもそんなに高いとも限らないという、こういうような話だと思いますので、典型的なものについてこういうような形というのは何か提示をして例示をして何か言ってあげないと撮れ高が下がるのではないかという感じがしています。特に先ほどのサーバーというのは、サーバーだとクラウドに対応しているのでこれでいいでしょうみたいな話をしかねないというのがちょっと気になっておりまして、その辺のガイドをどういうようにするのかというのもぜひ検討したいというように思いました。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

あまり時間がないものですからご発言だけいただいて、後で事務局からお答えなりコメントなりをいただきたいと思います。

敬称略で、岩村、落合、上野山、各構成員の順番にご発言をいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

まず岩村さん。

岩村構成員: 岩村です。要望した側としてはぜひご対応いただきたく、よろしくお願いします。デジタル庁さんのご協力により、経団連で一括見直しプランに関する説明会を開催した際にも、金融機関からそのような見直しに関する要望が寄せられました。また、身近な行政機関として、地方自治体でフロッピーディスクやCD-ROM等を求められるケースや、公共調達において建築の設計書や医薬品の製造情報をデータで納品したくてもできないケースもあります。地方にどう対応していくかも一つの課題だと思います。地方自治体の手続についても、国としてぜひご対応いただきたく、よろしくお願いします。

以上です。

落合構成員: 私からは3点です。

1つが、政省令を洗い出してというお話がありましたが、通知、通達や様式に埋め込まれていることがかなり多そうな類型だと思いますので、それらも見直し対象に入れるよう整理していただければと思いました。

2点目ですが、全体として、増島先生もおっしゃられていましたが、作成・保存、提出の全体のライフサイクルを見て、全体的に技術中立になっているかを点検してくださいという指示とすることが重要だと思います。そのときに媒体の種類も幾つか挙げていただいていましたが、マイクロフィルムなども見たことがありますので、いろいろな形で何か特定の媒体が指定してある場合があると思います。言葉の洗い出し方を狭く書いてしまうとまた変な規定が残ってしまう可能性があるように思いますので、そこはご留意いただければと思います。

第3点としては、オンライン化の阻害要因として、手続が技術的にできないというより、予算を取っていなかったり、計画を立ててないのでシステムが準備できないようなことを規制改革推進会議のほうでもよく言われることがありました。その部分は例えば金融庁などはシステムを準備する間はメールで出してもらうことを代替手段として使われていました。他省庁での対応で、システムを準備しないとできないということはなかったこともありますので、その辺の事例も併せてオンライン化も進めていただければと思います。代替手段の採用も含めて、推進を促していただければと思います。

以上です。

上野山構成員: ぜひ進めていただきたいなと思っておりまして、進んでいくのだと思うのですが、特にほかの案件に比べても物すごく一般の方にも分かりやすい事例だと思いますので、この事例を判この次といいますか、うまく伝えることでデジ臨全体の意味合いがより伝わるような形でコミュニケーションいただくといいのではないかと強く思いましたというのが1点目。

2点目が、先ほどから少し出ている話でありますけれども、フロッピーディスクは基本的には何か達成するための実装方法であって、その裏にはシステム設計的に言うと要件みたいなものがあるわけですが、要はデータをA地点からB地点に移動するということもあれば、セキュリティもあれば、保存する幾つかの要件のところを明文化するということを法令に書かないまでも一定構造化したものを持たれるとどう文言を直すかというところはスムーズにいくのではないかなと思いましたというところです。

以上、2点です。以上です。

安念副座長: どうもありがとうございました。

今のご発言についてのコメントやご回答はまた後に事務局からお願いをすることにいたしましたが、全ての方から大いにやってくれというお励ましをいただき、とりわけ技術中立性ということと要件定義ということがどうやらキーワードになりそうだということも分かってきたような気がいたします。どうもありがとうございました。

それでは、恐縮ですが、報道関係者の皆様はここでご退室をお願いいたします。

(報道関係者退室)

安念副座長: それでは、続いて、第2番目の固まりです。省庁ヒアリングに移らせていただきますが、ヒアリングの議事進行については担当の大澤参事官にお願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

事務局(大澤): 事務局、参事官の大澤でございます。本日もよろしくお願いいたします。

ヒアリング、まず第1点目でございますけれども、労働安全衛生法令で規定をされております乾燥設備の作業主任者の常駐規制ということです。

厚生労働省労働基準局安全課の釜石課長から、ご説明をよろしくお願いいたします。

釜石課長: ただいまご紹介いただきました厚生労働省労働基準局安全衛生部の釜石です。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の資料に基づき、乾燥設備作業主任者の職務等について説明いたします。

2ページ目の1が該当法令等です。

労働災害を防止するための管理を必要とする作業については、技能講習の修了者等、一定の資格等を有する者のうちから作業主任者を選任し、その者に作業に従事する労働者の指揮等を行わせなければならないこととされております。

作業主任者の種類は34ありますけれども、乾燥設備作業主任者の職務は労働安全衛生規則第298条に4点規定されており、1つ目が乾燥設備を初めて使用するとき又は乾燥方法や乾燥物の種類を変えたときは、あらかじめ労働者に作業方法を周知させ、かつ作業を直接指揮させること。

2つ目が、乾燥設備等に不備な箇所を認めたときは直ちに必要な措置を採ること。

3つ目が、乾燥設備の内部の温度等を随時点検し、異常を認めたときは直ちに必要な措置を採ること。

4つ目が、乾燥設備のある場所を常に整理整頓し、みだりに可燃性の物をその場所に置かないことです。

3ページ目が乾燥設備作業主任者技能講習の科目及び内容です。大きく4点の事項を講習しています。

4ページ目が規制の趣旨・目的、背景です。

乾燥設備は高温の熱風等を用いて加熱乾燥させるため、爆発、火災の危険があるほか、化学物質が漏れた場合は中毒の可能性もあるため、所要の知識・経験を有するリーダーが作業を直接指揮して、特に事故や被災労働者の救護等、異常事態に迅速に対応することが非常に重要になります。

5ページ目は労働安全衛生法の中での作業主任者の位置付けを図にしたものです。

6ページ目が現場の実情ということで、乾燥設備が対象とする乾燥対象物が様々な状態であるため、それに対応して設備も多種多様となっている状況を表にしています。左の表のように同じ状態の乾燥対象物であっても少量処理と大量連続処理は処理方法が異なります。

また、右の表は材料を置くのか、動かしていくのか、混ぜるのかといった違いと、それぞれにどのような熱の加え方で乾かすのかの区別を整理しているものです。多種多様にあります。

7ページ目が多様な乾燥設備について、その図を示したものです。

8ページ目が最近、10年間の労働災害の発生状況です。休業4日以上の災害が毎年20件程度、死亡災害も10年で2件、発生しております。事故の方で見ますと、爆発だけでなく墜落・転落、激突、飛来・落下、高温物との接触など多種多様な災害が起こっております。

9ページ目には6つの災害事例を記載しています。

上段の中央が化学物質による中毒の災害です。

10ページ目から「5.現状のPHASE」ということで、まず乾燥設備作業主任者の職務の最初の作業方法の周知についてです。

事前のヒアリングでご提示いただいた論点、周知を現場で行うことが許容されるのであれば、解釈を明らかにすべきということですけれども、この周知には乾燥設備の初期使用時、使用開始時・変更時など設備の操作等に不案内な関係労働者に乾燥設備作業主任者があらかじめ資料等を用いて教示するということも含まれますが、作業の前にはやはり現物を操作して見せて、その場で説明して、関係労働者に実際にやらせて適切に操作できるよう指導し、それを確認するということになります。

11ページが周知の後の直接指揮についてですが、設備の新設、利用開始時や変更時は定常運転時に比べて作業手順が複雑だったり予期しなかった変化や不具合が生じやすく、様々な状況を適切に把握して対応するためには作業主任者が必要と考えております。

12ページ目が異常事態への迅速かつ的確な対応が必要ということです。

乾燥設備は様々な異常があって、労働者の安全を守るために直ちに措置を講ずる必要がありますけれども、その内容は記載したとおり、危険を伴うものもありまして、作業主任者自らが現場で直接指揮・対応する必要があります。

特に②のように消火、救護活動は作業主任者が自ら現場で行うことが必要です。

13ページに、平成29年に行った爆発下限界に対する許容濃度を一定の条件下で引き上げるという規制緩和の例を記載しておりますけれども、危険性は爆発だけではなくて、有害物への暴露とかその他の危険への対処が必要でもありますので、作業主任者がやはり現場で直接対応することが必要ということで、現状はPhase1という状況です。

14ページ目ですけれども、PHASEを進めるための課題ということで、近年、技術の進歩により、機械等を高度で、高い信頼性で制御することが可能となっておりまして、電子制御等の機能を付加して機能安全という機械等のリスクを低減するための措置が国際規格として普及しておりますが、そのシステムは高い信頼性を有することが必要です。

※2のところにありますように、死亡災害につながるものであれば1億分の1以下の故障確率であるという要求があります。

15ページ目でございますけれども、乾燥設備が先にご紹介したようにあまりにも多種多様で、安全機能が適当であるかということを適切に判断できないのではないかと考えておりまして、また、現時点では、五感を活用して人間が対処するという方が問題の有無を幅広く確認できるのかなと考えております。

さらに、爆発火災が発生した場合の消火活動あるいは救護活動を速やかかつ適切に行うには機械には限界があったり、そのような機械がないというようなこともあると考えておりまして、デジタルに替えるということについては労働者の命と安全という取り返しのつかないものが犠牲にならないように相当慎重な検討が必要と考えておりまして、引き続きPhase1とせざるを得ないのかなと考えているところです。

次のページ以降は参考資料で、16ページ目が機能安全に係る技術上の指針の概要。

そして、17ページ目が機能安全の関係法令。

そして、18ページ目以降が先ほどの平成29年の規制緩和の通達の原文でして、最後、20ページの右の下のところに、この改正が参考とした国際規格がアメリカ合衆国の民間規格の全米防火協会規格、86番、乾燥炉及び焼却炉の規格であることを記載しているというものです。

以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問、よろしくお願いいたします。

それでは、安念先生、お願いいたします。

安念副座長: 釜石課長、ありがとうございました。

厚労省のご見解としては、この安衛規則298条各号で定められている主任者の職務全てについて現場での常駐が必要であるというようにお考えというように理解すればよろしいのでしょうか。

釜石課長: 基本的に現場に4つの号というような単位で申しますとそのようなことだと考えております。ただ、細かく言いますと、作業方法の周知のところですけれども、あらかじめ資料を用いて周知するという場合、それが座学みたいなもので、作業場で行うこともできますし、それは作業場以外のちゃんと机と椅子のあるところで行うこともできると思います。ただ、そこでの周知というか教示は実技が必要不可欠ですので、実際に作業を開始する前にはその場で機械を触らせて、説明して、やらせてみてやれるようになってというようなプロセスが要るという点で、この周知というようなところは現場が不可欠というように考えております。

安念副座長: ありがとうございました。
 
事務局(大澤): 増島構成員、よろしくお願いいたします。

増島構成員: ありがとうございました。

一応、これは常駐規制ということでよろしいわけですね。条文だと常駐とか何とかというように書いてあるわけではなさそうなのですが、一応ずっといなさいという類いのものという前提でこれは議論していいのですよね、安念先生。

安念副座長: 今、課長からご紹介があったもの以外は現場でいなければならない。おっしゃるところの常駐ということだと私は理解しました。

増島構成員: なるほど。分かりました。ありがとうございます。

あまりおっしゃるところの趣旨が十分に理解できなかったので教えていただきたかったのですけれども、事故が起こってはいけなくて、起こしてはいけないよねというのはそのとおりで、いろいろ安全に問題が関わる、そのとおりですねという、こんな感じなのですが、現に人が見ていて事故が起こっているわけですよね。デジタルにするともっと事故が起こるのでしたか。それは一体何によってそういうことが判明しているのかというのがあまりよく分からなくて、全体のロジックの運びの理解ができなかった部分があります。実証か何かやられたことがあるのでしたか。そこの辺り、何をされたのだけれども、うまくいかなかったのでやはり人が必要だと思いましたという話であればそこの部分を教えていただけないかなというように思いました。

以上です。

釜石課長: 我々として実証実験みたいなことはしておりません。いろいろセンサーというか安全装置とかの開発は進んでいるというようなことを伺っておりますけれども、先ほど申したように信頼性の高いシステムが開発されたとか、そのようなことはまだ聞いていないというような状況です。

増島構成員: 実験は特にしてなくて、何か人が行ったらば安全だという前提があるので人を置く必要があるという、こういうご主張になっているということでいいわけですね。分かりました。ありがとうございました。

事務局(大澤): それでは、稲谷構成員、よろしくお願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷です。どうぞよろしくお願いいたします。

ご説明ありがとうございました。

私も増島先生とほぼ同じ疑問を持ったところでございますので、少し質問が重なってしまうのかもしれないのですけれども、スライドの9ページ、実情というところで災害事例の中に挙がっているもので化学物質とか粉じんみたいなものが結構問題になっていたりするように思うのですが、こういったものというのは割と定量的には測れる気もいたしますし、むしろ人間がいたとしても何らかの定量的な測り方をしないと危険かどうかということは人間の鼻とかだけでは多分判断できないようにも思ったりします。したがいまして、むしろ何か定量的に測るものとセットでないとそもそも危ないのであるとするならば、いきなり全てをデジタル化できないとしても、こういった定量的に測れて正確に判断できるものについては、デジタル化を進めていくことができるような気もするのですが、その辺りについてはどのようにお考えであるのかについてお聞かせ願えればと思います。

釜石課長: 現状の乾燥設備の運転においても、各種の風量ですとか機械の状況ですとか、いろいろな検知の附属設備を使って検知をしている。それを見て判断しているというようなことです。ただ、やはり最終的には人が五感で判断して、また、緊急事態時には適切に対応するというようなことで常駐が必要というような整理をしております。

稲谷構成員: ありがとうございます。

そうすると、いずれにしろ、人が見ていると言っても、それは何か機械か何かのデータを使って基に判断している。しかも、先ほど増島先生がおっしゃられたように事故が起きているということは判断を誤っているという可能性があるということだと思いますので、何かこの辺りは実証実験でもいいですし、例えば何か人間の判断をもっとアシストするような機械、あるいは何か設計の仕方でもいいと思うのですけれども、少なくとももう少し踏み込んで何かやられたほうがむしろ安全には資するのではないかという印象を持ちました。どうもありがとうございました。

事務局(大澤): ありがとうございます。

落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

ご説明いただいて、その中でどうしても現場でないと、というお話があったと思います。例えば経産省が進められている事例でプラントの保安などのデジタル化を進めたり、技術を高度化されていたりという取組がなされています。また、少し前に国家戦略特区でですが、水素の供給緩和をするときに付臭義務を外すために、他の代替手段を採用できないかについて、例えば海外では別のセンサーで測ることもあるということで、人が臭いで察知している部分を、別な情報を計測する方法で代替することがあり得るのではないかといった議論をしておりました。こういうことが、実際にほかの分野では検討されている部分がありますが、厚労省の方では内容はご確認されていますでしょうか。

釜石課長: 経産省の取組、当省に関係する部分については、例えばボイラーとかそういうところはありますけれども、その他のところはあまり存じてなくて申し訳ないのですが、乾燥設備についても業界、各企業の方で様々な技術革新というか新しい技術の開発に取り組んでいると思いますので、そのような状況を見ながら考えていくということになるのかなと思います。今のところ、常駐を取り外せるまでのシステムですとかそのようなものは我々としては把握してないという状況です。

落合構成員: 分かりました。ありがとうございます。

技術の状況を細かく他の省庁の取り組みまで見られてないということは、別に厚労省さんだけでもないように思います。やはり使える技術がほかにあるのかを見ていくことはなかなか難しい部分もあるので、臨調の方でもテクノロジーマップを準備するような対応を行っております。テクノロジーマップの中でも、保安などにある程度共通するような技術で利用できるものもあると思います。もちろん、最終的に人がいた方がいいこともあるとは思いますが、一方で、この部分についてはむしろ技術的に機械的に処理することが妥当な場合もありますし、場合によっては機会化した方が性能がよくなることもあると思います。そういった部分は、すみませんが、デジタル庁の大澤参事官にも、テクノロジーマップの中でご紹介していただいたりしながら、対話を続けていただくことは可能でしょうか。

事務局(大澤): 落合先生、ありがとうございます。

まさに前回、8月9日の会議のときにテクノロジーマップとか技術カタログの件はご紹介させていただいて議論していただきましたけれども、おっしゃるとおりでして、今回の安全規制も含めて様々な技術があると思いまして、それをどうやったら今、アナログでというか、人の手でやっていることを置き換えることができるのかというのが課題になっていると思いますので、こういったリアルな課題感を聞きながら我々もその技術カタログあるいはテクノロジーマップというのをブラッシュアップしていくということが必要かなと思っています。ありがとうございます。

落合構成員: ありがとうございます。

テクノロジーマップで各省が実際に実地を含めて使われている技術も含めて、順次整理していく予定ということです。厚労省さんもそういう形で、今の時点では情報を持たれてないのでご判断できないということと思いますが、そういった対話については続けていただくことは可能でしょうか。

釜石課長: それは可能だと考えております。

落合構成員: では、ぜひよろしくお願いいたします。

事務局(大澤): それでは、増島構成員、よろしくお願いいたします。

増島構成員: ありがとうございます。

常駐規制の対応として、ある程度要件を決めて遠隔でもできますよという類いのものは幾つか先行事例もあるように承知をしておりまして、多分コロナ時で産業医とかは厚労省さんのところだとやられていたりもするのですよね。あれもちゃんと現場にアクセスができて、一定対応が取れるときには必ずしも常駐してなくてもいいというような、このような中身を出していただいていたかなというようにも思いまして、そういう方向からの対応というのは可能性がありそうなのでしょうか。この辺は何か特殊性があって難しいという、こういうお立場になるのでしょうか。

釜石課長: 同じ省庁の中でも状況を詳しく把握してなくて申し訳ないのですけれども、乾燥設備作業主任者の職務の代表的なものをここに書いているわけですが、それ全てがテクノロジーで代替できないかというものではなくて、代替できる要素もあるかもしれないとは思っております。ですから、そこはそのような技術が出てきたというようなことで話が出てくれば、そこら辺を詳しく調べさせていただいて必要な対応を採っていくということになろうかと思っております。

増島構成員: ありがとうございます。

多分省庁さんの中でもやられている取組ともつながるところですし、先ほど落合先生からあったように他省庁での参考みたいなものもありそうですので、デジタル庁さんの方の技術カタログなんかをうまく使いながら、ぜひ前向きな取組をしていただけるとありがたいなというように思いました。ありがとうございました。

事務局(大澤): それでは、よろしければこちらのセッションはここで閉じさせていただこうと考えております。

厚労省の皆様方、本日はご協力いただきまして感謝を申し上げます。ただいまの議論を踏まえまして追加でご検討などをお願いする場合もございますので、引き続きご協力いただければと思います。どうもありがとうございました。

事務局(大澤): そうしましたら、ヒアリングの2点目でございます。遺失物の情報の閲覧に係る規制について、議題としたいと思います。

警察庁、増山技術総括審議官から、ご説明をよろしくお願いいたします。

増山審議官: 私からは遺失物情報の閲覧に係る規制の状況に関しまして、遺失物法における拾得物件一覧簿に係る事項を中心にご説明をいたします。

初めに、現在行われている遺失拾得に関する一般的な手続の流れについてご説明をいたします。

スライドが前後して申し訳ありませんが、まず3ページからご覧いただきたいと存じます。

スライド右上に書かれています拾得者から提出を受けた拾得物については、警察署で拾得物件一覧簿を作成します。この一覧簿に記載した情報は警察本部で取りまとめ、インターネットで公表しておりますので、遺失者はそれを確認することができます。このことに関係する条文は1ページに記載しております。

遺失物法の第7条第2項において、提出を受けた物件の遺失者が判明しない場合には、その物件の種類、特徴等を当該警察署の掲示場に掲示することが定められておりまして、続く第3項で警察署に書面を備え付けていつでも関係者に自由に閲覧させることで掲示場への掲示に代えることができるものとされております。

さらに、第8条第2項に、警察本部長は、当該都道府県警察の警察署長が公告した物件等に関する情報をインターネットの利用、その他の方法により公表することが規定されております。

次のページは遺失物法第7条第3項の規定に基づく警察署長の義務について、運用の現状と見直し方針を記載しております。具体的には、拾得物の提出を受けた警察署における掲示場への掲示に代わり、備え付けるべき拾得物件一覧簿に関して、現在、デジタル化を進めているところです。

このページの下段に現状と今後の方針を示しておりますが、デジタル原則に照らした規制の一括見直しプランにおいては、往訪閲覧・縦覧規制の類型に当たるものとして現状はPHASE2の段階にあると整理しております。今後は改正方針として記しましたとおり、PHASE3を目指すこととしております。

なお、拾得物件一覧簿の閲覧につきましては、警察本部長による公表について定められた遺失物法第8条第2項により、同様の内容が既にデジタル化されてインターネット上に公表されているため、実質的にはPHASE3とみなしていただけるものと考えておりますが、第7条第3項についても、いわゆるデジタル手続法の第8条の適用により、デジタル化を加速させることでさらに国民の利便性向上等を図っていくべく準備を進めているところです。

続いて、3ページをご覧ください。

遺失物等の取扱いの基本的な流れは冒頭でご説明したところですが、警察署に備え付けられている拾得物件一覧簿の運用実態としましては、下の欄に記載しておりますように閲覧を目的として警察署に赴く遺失者はほとんどいないのが現状です。また、一部の都道府県警察においては、インターネット上で遺失届を提出することが可能となっておりますが、導入に至っていない府県警察も少なくなく、サービスレベルにばらつきがあるのが現状となっています。

4ページは、現在、警察庁において構築を進めている遺失物関係システムが全国の警察が共通に利用することのできるシステム基盤を利用していることについての背景について記述しています。

まず現状、全国警察のデータの共有化が図られていないために、都道府県をまたいだ拾得物に関する検索ができない状況にあること。また、2つ目として、都道府県警察がそれぞれ構築している検索画面や検索方法が共通化されていないため、利用者にとって使いづらいシステムとなっていること。さらに、都道府県警察ごとにそれぞれシステム整備や維持に要する人的、財政的コスト、負担が生じていることなどが挙げられます。このような現状の課題に鑑み、警察署に備え付けられている拾得物件一覧簿のデジタル化に際しては、全国警察が共有する警察の共通基盤上にシステムを構築して集約するとしたものです。

5ページをご覧ください。

新たに構築する遺失物関係システムの概要は、イメージ図にありますとおり、全国のデータを共有化した上でインターネットを使用したオンライン手続を導入することにより、国民の利便性向上、警察全体でのコスト削減などの効果を見込んでいます。

また、新たな遺失物関係システムへの移行スケジュールについては、今年度末から都道府県警察ごとに順次公開し、令和8年度末までに全ての都道府県警察が移行を完了する予定となっております。

6ページは、新たに構築する遺失物関係システムの整備に関する課題について記載しております。

1つ目は、インターネットによる遺失届や落とし物の検索方法などについて、国民の皆様に対して広報等によるさらなる周知を図るとともに、利用者にとってより利便性のある分かりやすいユーザーインターフェースを提供していくことで利用率の向上を図っていくことが重要であると考えております。

そのほか、ふだんインターネットをあまり利用しない方に対する措置として、警察署や交番等における窓口対応も引き続き適切に行っていく必要があること。また、都道府県警察が保管・管理するデータの移行に当たっては、新しい遺失物関係システムに確実にデータを引き継ぎ、支障なく運用が始められるよう、データ変換作業を行うこと等に留意しつつ取り組んでいく所存です。

また、記載はしておりませんが、今後、新しい遺失物関係システムの整備、運用に併せて、遺失物法施行規則の改正を行うことについて検討を進めているところです。

7ページにはご参考として、拾得物・遺失物の取扱い状況の推移等を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。

以上で説明を終わります。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたら、よろしくお願いいたします。

それでは、稲谷構成員、よろしくお願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。

ご説明、大変ありがとうございました。とても前向きな取組ですし、私も個人的になくしものをしたけれども、後でどうなったのか分からないということを体験したことがありますので、ぜひこういったシステムを構築していただければというように思います。

1点だけ、私、若干気になったのは、もう既にそういう事案はきっとこれまでもあるのでしょうけれども、こういう遺失物のシステムを使うと実際には自分が落としていないにもかかわらず、何か自分が落としたみたいな主張をやたらとしてくる人というのが出てくるリスクというのは若干あるのかなというように思っていまして、そういうことで何か変な取り上げられ方をしてしまうと、せっかくこうやって前向きにシステムを組んだのにそこでつまずいてしまったり、変な批判を浴びてしまったりとかするととても残念なことになると思いますので、何かそういった点について対処ができればよりよいのかなと思ったところです。

例えばなのですけれども、やたらと何回も何回もアクセスして、自身の所有権を主張してくる人に対して、例えばアラートが立つとか、この人の主張というのはちゃんと確認したほうがいいよとか、何かそういうやり方もあったりするのかと思ったりもするのですが、現状、何か今申し上げた問題について対応するお考えとか、対策としてお考えになられていることがあればぜひ教えていただければというように思います。ありがとうございました。

増山審議官: 現状でも国民の皆様に周知している情報と我々の警察職員がいわゆる持っている情報とは若干差がありまして、公表するほうはある意味、曖昧といいますか、場所とか物とかが特定しにくい、あえてそういうように差異を設けております。それと、最終的に遺失者として来られた方に対しては、しっかり面前で、いわゆる現物を確認していただいた上で返還なりの手続を取っておりますので、現状としてはそういう運用をしておりますし、新しいシステムに移行したとしてもその基本的な考え方は特に変更はありません。

稲谷構成員: 分かりました。どうもありがとうございました。

事務局(大澤): 続いて、落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: ご説明ありがとうございます。

私も非常に前向きですばらしい取組だなと思って伺いました。

私のほうからは2点です。一つが、このような取組を進めていただくに当たり、やはり国民のほうで提供されるシステムの利便性、ユーザーインターフェースの部分をしっかり配慮して作っていただくことで、利用率も上がってくると思います。また、その利用の状況を計測しながら、次第にユーザーインターフェースを改善し続けていただくことも重要ではないかと思います。こういった点についてどのようにお考えかというのが一つです。

もう一つが、今回のこういった取組の中で全都道府県の警察の方々も利用していただくことになると思いますが、業務効率がよくなるよう、業務プロセスの見直しの点について、どのようにお考えになられているか、という2つを伺えればと思います。

増山審議官: ありがとうございます。

1点目、先生からご指摘があった点については、我々としても十分に検討していく必要があると思っておりますし、一つ課題として今後のシステム開発に生かしていただこうかと思っております。

2点目につきましては、説明でもありましたけれども、現在は各都道府県警で入力する情報が必ずしも一致しておりません。例えば色ですとか、あるいはかばんの中身をどの程度まで公表するのかとか、そういったものについては、新しいシステムでは色とかそういった公表する基準等についても一つ新たな基準を設けますので、警察職員のほうについては特にそういうのについては入力を単純化していくということで、我々としては現状よりは作業効率は上がるのではないかというように期待はしております。

以上です。

落合構成員: ありがとうございます。

なかなか行政の方から言いにくい部分はあると思うのですが、現場の方、警察官の方が楽になるような形でぜひ設計、改良を進めていただければと思います。

以上です。

事務局(大澤): ありがとうございます。

増島先生、よろしくお願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

実際にシステムを作られて動かしていただくということで、非常にいいなというように思いました。現状、日本だと拾ってくれる人、いっぱいいますので拾ってくれるのだけれども、あまり取りに来ないみたいな、こういうことなのですか。遺失届がすごく少ないというのは要するにそういうことを意味しているということでこれはいいのですか。

増山審議官: 現状、統計でも出ておりますけれども、遺失届に関して拾得物、何件や何点というような単位が若干違うような書き方をしていますが、圧倒的にやはりインターネットに載ったまま、そのまま放っておかれるというものが多いのが現状になっています。

増島構成員: そういう趣旨なのですね。なるほど。

これだけ善意の人が日本は落としても届けてくれるという世界になっている中で、取りに来てくれないというか、探しに来てくれない人がいるという、ここの数字を伸ばしていくというのは、日本の落とし物を落としたけれども、返ってきたよという世界を広く広めていくためにもそこは大事なことだなという、こういう感じがしております。

そことの関係で、こんなインターネットサイトがありますよと周知するというのもいいのですけれども、何となく、いわゆるインターフェースの部分が結局、民間でいろいろ物を落としたときの困り事を解決するサービスをやっている人たちがいろいろいるのですね。そういう人たちがこういうシステムに連携することができるという話になっていれば、勝手にウェブサイトを作ったり、勝手に自分のサービスの中にそういうものを埋め込んだりして、ここで入れてくれたらば警察のほうにちゃんと照会、この遺失届が入って、あったらばちゃんと見つけられるというような、こういうサービスを勝手にやるのではないかという、こんな感じがしているので、ぜひシステムを民間に連携しますよみたいな活動も、システムをアップデートしていく中では、システム連携みたいな部分も少し意識をしていただくと、これだけ拾ってもらったものがもっともっとみんなところに返っていくということが起こるかなというように感じました。

以上です。

増山審議官: 現状は至っていませんけれども、今回、システムを作るに当たっては外部連携というものを十分意識しております。今後、相手先というのがちゃんと確定できてくればシステム上で連携するということは不可能ではありません。ただ、まだ現在、そこまで検討が進んでいないというのが現状です。

増島構成員: そうですね。多分そういうようなところはあるかなと思いますが、結構そういうなくし物の問題を解決するという発想の事業者さんはいろいろなところにいらっしゃるというように感じておりますので、ぜひそういう人たちにもオープンにというかつないであげられるようなものにしていただけると。これは基本的に届出も受け付けるというと更新も入ってくるので、現状の参照のみというものに比べて少しセキュリティ上のハードルも高いかもしれないのですけれども、でも、できないことでは全然ないので、その辺もぜひ目指していただけると、このギャップがぐっと縮まるということが起こるだろうなというように思った次第です。ありがとうございました。

事務局(大澤): ありがとうございます。

こちらのセッションはここで閉じさせていただきたいと思います。

警察庁の皆様方、本日、ご協力いただきまして感謝を申し上げます。ただいまの議論を踏まえまして追加でご検討をお願いする場合もございますので、引き続きご協力をよろしくお願いいたします。

ヒアリング3点目は、駐車監視員の資格者講習です。警察庁交通指導課の杉課長から、ご説明をお願いできればと思います。よろしくお願い申し上げます。

杉課長: 警察庁交通指導課長の杉でございます。

ただいまから駐車監視員資格者講習のデジタル化についてのご説明をいたします。

まず1ページをご覧ください。

まず駐車監視員資格者講習の趣旨と背景からご説明をいたします。

警察における放置車両の確認、それと標章の取付けに関する事務については、平成18年6月施行の道路交通法の一部改正により、その業務を民間委託できることとされました。

駐車監視員は地域を巡回して実際の現場において放置車両の確認作業に従事するものであり、放置車両確認事務の委託を受けた法人は駐車監視員資格者証の交付を受けた者のうちから駐車監視員を選任することとされています。

放置違反は駐車監視員の確認を端緒とし、車両の使用者は放置違反金を納付する義務を負うことになります。このようなことから、道路交通法で守秘義務が課されるとともに、みなし公務員とされるなど業務の厳格性が求められる資格となります。

次に2ページをご覧ください。

駐車監視員資格者講習の概要を記載しております。講習は都道府県公安委員会ごとに行っており、多くの県では1年に1回、実施をしております。講習時間は15時間で、最初の2日間は1日7時間の講義を行い、おおむねその1週間後に筆記による1時間の修了考査を行っています。

修了考査は正誤式の50問を出題し、正解率90%以上を合格としております。

駐車監視員は千差万別な交通の現場において正確な知識とその応用が求められます。このため、講義の後も自主的な勉強をした後で考査に臨んでいますが、3割程度の者が不合格となっております。

下の段には受講の一般的な流れを記載しております。

次に、3ページをご覧ください。

上段には講習受講から駐車監視員資格者証交付までの流れを、その下の段には駐車監視員資格者証の交付を受けた者が実際に駐車監視員として活動するまでの流れを記載しております。ここにありますように、講習を受けたというだけでなく、最終日に実施している修了考査に合格した者に修了証明書を交付しております。

その後、所要の手続を経て駐車監視員資格者証の交付を受けた後、警察署長から委託を受けた法人に所属し、駐車監視員として選任されることで初めて活動することが可能となります。

4ページをご覧ください。

現状のPHASEとPHASEを進めるための課題としてデジタル庁からお示しいただいたものを記載しております。

現状は、紙、それから、人の介在が必要な状況でありまして、PHASEは1-②となります。

次に、5ページをご覧ください。

1つ目の論点は、本講習に関する一連のプロセスのうち、どの部分についてデジタル化を進める予定か、また、システムの構築、実施主体への実装などを要すると考えられるが、どのように進めていく予定かということでありますが、現状においてデジタル化が困難と考えているのは、不正防止対策をより厳格に行う必要がある修了考査の部分のみでありまして、その他の講習申込みから講習受講、修了証の交付につきましてはデジタル化を進めていくこととしております。

スケジュールにつきましては、警察庁は、現在、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づき、講習のオンライン化を含め、各種行政手続に係る各都道府県警察共通のオンラインシステムの構築・運用を目指して鋭意検討して行っているところでありまして、本講習についてもこのシステムを利用してデジタル化を進める予定としております。

現時点で予算の裏づけがありませんで、明確に運用開始時期を申し上げる段階にはありませんけれども、できるだけ早期の運用開始を目指して作業を進めてまいりたいと考えております。

なお、デジタル化を進めるに当たっての課題として記載している事項につきましては、引き続き警察庁内で対応を検討してまいります。

次に、6ページをご覧ください。

2つ目の論点は、修了考査について、デジタル化を進めるための課題は何かということでありますけれども、ご指摘のとおり、業務の効率化や受講者の利便性の向上の面からデジタル化は有効な手段となり得ると我々としても認識をしております。論点である修了考査のデジタル化に関しては、受講者の自宅などで考査を受けることを可能とした場合、ウェブカメラなどのデジタル技術により、なりすまし防止対策を講じることは可能と考えられますが、他方で、ウェブカメラの死角で行われたカンニング行為を確認できないことなどが課題となります。

また、ご提案のように会場に受講者を集めて人による監視の下で行うのであれば、現状と同程度の不正防止対策を講じることができますので試験のオンライン化は可能であると考えられるところでありますが、他方で、端末設備のある会場が必要となることから、会場を借り上げるにしましても、都道府県警察が自前の会場を準備するにしましても、経費の増加が課題となるところでございます。

最後に、7ページをご覧いただければと思います。

目指すPHASEとしましては、PHASEの2-1①、②、③、具体的には受講申込みから講習の受講、そして、修了証明書の発行をオンラインで行うことを目指しております。なお、修了考査につきましては、今後のデジタル技術の進展状況等も踏まえながらオンライン化の可否を検討してまいりたいと考えております。

ご説明は以上であります。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問、ありましたらよろしくお願いいたします。

それでは、増島構成員、よろしくお願いします。

増島構成員: ありがとうございました。

警察で試験を受けるという課題は、この話以外にも例えば自動車の免許証を取りに行くとかいろいろありますね。特定のもののための何かのみをターゲットとするというものではなくて、警察なら警察の中でやっている、似たような作業、まさに免許証とかを取るとか、そうしたものをどういうようにデジタル化していくのかということを大きく考えて、システムもそういうシステムにして、そこに同じものを使っていくみたいな、そういう発想が大事だと思います。

ちなみに、運転免許を取るときはたしか紙の試験をやったと思うのですけれども、あれは今、デジタル化はされているのでしたか。CBTみたいな場所は免許センターみたいなところに行ってやった記憶があるのですけれども、あそこでは今は機械で問題が解けるような状態なのでしたか。

杉課長: 私が現在承知している限りでは、オンライン化による学科試験の受験ということは行われてないと承知しています。他方、学科の講習というのがあるのですけれども、こういったものをオンラインで受講できるという仕組みは現在取り入れられて進められているところでして、その意味で利便性の向上をできるだけ考えていくという方向には我々としても考えてまいりたいと考えています。

増島構成員: まさに免許のところの試験も1か所の場所、場所はもう既に免許センターのところがあって、そこで今も紙で受けていると思うので、そうすると、そういう場所にシステムが存在していて、そこでポチポチと選択肢を選んでいくと、まさに学科試験が受けられるという、こういう状態をつくってさえいただければ、そこの中に出していくソフトウエアというか問題さえ変えればきっと駐車監視員も同じシステムでできるという、多分そういう発想になると思うので、このシステム、駐車監視員の制度をどうするかという発想というよりは、もう少し広く取っていただいて、今みたいな形で問題を解決していただくという、こういうようなアプローチがいいかなというようにお伺いをして感じました。ありがとうございます。

事務局(大澤): ありがとうございます。

上野山構成員、よろしくお願いいたします。

上野山構成員: ありがとうございます。

ちょっと趣旨からずれた質問になってしまうかもしれないのですけれども、何点か質問がありまして、1個はちょっとテクニカルなところなのですが、このプロセス自体はデジタル化するということで非常にいい取組で進めていただきたいなということなのですが、これは委託している先の人数の規模感と委託のフィー体系はどのようなものでしょうか。

あと2個目は、今後、いろいろなものがデジタル化していくねというときに結構重要な論点になるのかなと思っていてという質問なのですが、こういう違法駐車とかそういったものをどれぐらいの厳格度合いで取り締まる。あるべき厳格度合いの基準みたいなものは思想としてありますでしょうか。要はもう1台も全く止められないという世界を目指しにいっているということなのか、一定は遊びというかバッファーがあって、それを一定の取締りの中でガバナンスすることなのか、もしあれば教えていただきたいなと思っています。今後のデジタル化の未来を考える上で結構重要になってくる可能性もあるなと思って2個目をお伺いしております。

以上です。

杉課長: まず、委託の規模感というお話でありますけれども、警察署ごとの委託になりますが、委託の警察署数は415というのが令和3年の数字であります。資料の参考のところに規模感としては載せております。受託法人数は法人としては51です。大体50強というところでございます。駐車監視員の数というのは1,930で1,900を超えるところで大体推移をしておりまして、それが規模感です。

あと各警察署の中でユニットがあるわけですけれども、それは大体2にいかないぐらいの、1.何組というところで、2人ペアになってやっているという現状はありますので、その範囲でやっているものと理解をしております。

それから、2つ目の厳格度の話でありますけれども、今、申し上げたように各エリアを決めまして、ここは重点的に取締りをしなければいけないというところにつきましてはかなりの厳格度で、こういった駐車監視員を入れてしっかりと取り締まるというところが既にできている、あるいはしなければならない。他方、それ以外の地区も含めまして時間もそうですが、悪質、重大な違反といいますか、道路の安全と円滑を害するものというものにつきましては、それも厳しくやるということが基本姿勢でありますので、もちろんバッファーというか、その幅というのは少しあると思いますが、その意味で、ある程度そのエリアを絞ったところでは厳格にやっているというのが私どもの方向性であると考えております。

上野山構成員: 了解しました。ありがとうございます。

事務局(大澤): そうしましたら、落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

前向きにご検討いただいている部分があって非常にいいように思って、聞いておりましたが、私からも幾つか伺いたいことがあります。

一つが論点の(2)の中で端末設備のある会場が必要ということがありますが、この中で必ずしも設備、PCなどは行政側が準備していなくても、例えば試験用の専用ソフトウエアを入れていただいて、その上で監視の部分、要するにほかのブラウザとかを開けないような状況にしておいて、監視員が監視して、ほかのことを行っていないか、何かほかのものを見ていたりしないかを見ていただくことがあるように思います。例えばそういったものを設備というよりかは、PC等について持ち込んでいただくような選択肢で、例えば経費自体を削減する可能性もあるのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

もう一点が、収入証紙の点についてですが、都道府県ごとに削減といいますか、廃止をすることになっている都道府県もあるとは思っております。必ずしも全部の都道府県が同時に進んでいないことは承知しておりますが、デジタル化をもう既に地方部でも進んでおり、例えば鳥取なども廃止を公表されておりますし、かなりできる場合が増えていくと思います。全部の自治体がそろうまで全く進まないという形よりも、できるところからデジタル化を進めていっていただくことも重要ではないかと思います。この点はどうお考えになりますでしょうかというのが2点目です。

警察庁技術企画課: 1点目につきまして、警察庁の技術企画課のほうからご回答させていただきます。

先ほど先生からご提案がありましたような、受講者が端末を持ち込んだ上で専用のソフトウエアをインストールして行う試験というものも中長期的には検討の余地があるかなと聞いていて非常に勉強になりました。

他方で、やはり現時点で、そういったやり方をしてしまうとデジタルデバイドといいましょうか、高齢者の方も比較的多かったりしますので、ご自身でそういったデバイスを持っていないという方もいらっしゃるという状況の中では、受講者のデバイスにソフトウエアをインストールして試験を受けさせるというのは現時点では直ちには難しいのかなと感じております。

他方で、コストをできるだけ削減するための取組ということで、先ほど増島先生からもございましたけれども、共通化ですとか標準化といったようなことを通じまして、専用のソフトウエアの利用、受講者側のツールの利用といったようなところも含めて、今後、検討してまいりたいと考えております。

杉課長: それでは、私のほうから2点目の証紙のお話でありますけれども、これは条例との関係もありまして、私のほうで一概にお答えすることはできないのでありますが、都道府県ごとにいろいろな動きがあることは承知しておりますので、今、ご指摘の点も踏まえまして、今後の動向というものによく目配せをしながら作業を進めてまいりたいと考えております。

なお、今のご質問とはちょっと離れますが、先ほど各警察署でどのくらいのユニットが動いているかというお話で、1.幾つの単位だと申し上げましたが、もちろん大きいエリアがあるところ、たくさんの車があるところにつきましては複数のユニットを使っているということでありまして、少ないところは私が経験したところでも1ユニットで運用しているというようなところもありましたので、先ほど申し上げたところで、誤解のないように付言だけさせていただきます。

以上です。

落合構成員: 1点だけよろしいでしょうか。

先ほどの設備の点ですが、全員分を必ずしも準備しなくてもいいのではないかと思います。要するに、セッティングしてさしあげないとできない方のために、一部設備を準備しておく一方で、要するに持込みのものも併用してできるようにすることによって、全員分買わなくても、経費のところもご懸念されているように思いましたので、そういう方法も含めて対策もあり得るのとは思いました。

杉課長: ありがとうございます。

その点も参考にさせていただきながら、他方で、公平性の観点等もございますので、そこは中長期的に検討してまいりたいというように思います。

落合構成員: ありがとうございます。

公平性のところは、ソフトウエアのほうで図っていただく、ということだと思います。

以上です。

事務局(大澤): 岩村構成員、よろしくお願いします。

岩村構成員: 岩村です。

資格に更新手続や更新講習も含まれるのでしょうか。仮に含まれる場合、デジタル化についてはどのようになっていますでしょうか。

杉課長: この駐車監視員制度につきましては、資格につきまして更新制度はございませんので、その答えでよろしいでしょうか。

岩村構成員: 分かりました。ありがとうございます。

更新の講習は一括見直しが必要ではないかという問題意識を持っているものですから、伺った次第です。ありがとうございます。

事務局(大澤): それでは、大変恐縮でございますが、こちらのセッションはここで閉じたいと思います。

警察庁の皆様方、本日、ご協力いただきまして感謝を申し上げます。ただいまの議論を踏まえまして追加でご検討をお願いする場合もございますので、引き続きご協力をお願いいたします。

それでは、ヒアリング4点目でございます。宅地建物取引業関係規制ということで、3つの規制を一遍に扱うということになります。国土交通省不動産業課の三浦課長から、ご説明をお願いいたします。

三浦課長: 国土交通省不動産業課長の三浦と申します。よろしくお願いします。

では、3つのテーマにつきまして通しでご説明いたします。

最初は、登録講習ですけれども、登録講習は宅地建物取引士の資格をお持ちでない従業者の方々の資質の向上に向けて実施しているものでして、現在、24の民間機関、いわゆる専門学校の方に実施をお願いしています。内容は書いてあるとおりでして、講習修了時には試験を実施いたしまして、合格された方には宅建士の本番の試験において5問免除といったメリットが与えられております。

次のページです。

これが受講の申込みから申請が終わるまでの流れですけれども、矢印であるところにありますとおり、黄色い部分につきましては今でもウェブによる対応が学校によって可能になっていますので、申込みからウェブ講義というものも学校によっては可能になっています。修了試験はマークシートで一定以上の合格率、達成いたしますと5問免除の資格が与えられる。修了したときには紙で講習機関から受講者の方に修了証が渡される。受講者の方はそれを持ちまして、郵送で今度、宅建試験の本番の試験を行います試験機関に提出する場合もありますし、これはオンラインで提出することも可能となっています。この赤で囲った部分につきましては、今後、デジタル対応を可能にすることによって、要は紙の介在をなくそうという検討を今、関係機関のほうと進めているという状況です。

次のページをお願いします。

論点ということで大きく分けて2つ、事務局のほうと調整して提示していますが、この一連のプロセスのうち、どの部分をデジタル化する予定かという話で、矢印がございますけれども、先ほど申し上げました前半の講習申込みから講習受講ということについてはデジタル化が既に進んでいるということです。

真ん中の修了試験、やはり我々は難しい課題があるのかなと思っていますけれども、後半の修了証の交付ですとか宅建試験の申込みということについては、今後、紙をなくすという方向で関係機関と調整を行ってまいりたいと考えています。

もう一つの修了試験のデジタル化を進める上での課題は何かということにつきまして付記していますけれども、やはり修了試験は宅建試験の本番の合否に直結する重要な試験ですので、厳格な本人確認であったり不正防止ということが求められますために、現状、こうした学校のほうでは教室の中でスクーリングといって座学の講義が終わった後にそのまま試験に移行するという形でやっておりますので、そうした会場での試験監督ですとか本人確認を厳格にやって適正に試験を行っているという状況があります。

仮に自宅のほうで例えばオンラインで生徒さんが試験を受けるという場合、ウェブカメラといったデジタル技術というものは今後、ますます進展してくるとは思うのですけれども、やはりなりすまし、つまり、本当に本人がちゃんと受けているのかといった話ですとか、あるいはカンニング、隣に詳しい人がいるのではないかですとか、あるいはテキストがウェブカメラの見えないところに置いて不正が行われるのではないかという心配もありますので、この修了試験をデジタルで行うということ自体、我々は非常に懸念を持っているということもありまして、登録講習機関にも聞き取りをいたしましたが、やはり同様の認識を持っているという状況です。

次がイメージの流れです。これは今の復習ですけれども、上段の赤く囲ってあるところ、講習修了した証明書、紙でやるということは今後デジタルに置き換えることが可能と考えています。それから、実際の宅建士の試験の申込みをする場合も、今、郵送の場合と、一部、オンラインでも可能になることはできるのですが、今後は基本オンラインということにして紙でのやり取りをなくすということも関係機関と今後、調整を進めていきたいなと考えています。

次は2つ目の論点でして、業者名簿等の閲覧ということです。

宅建業はご覧のとおり、大臣または都道府県知事の免許が事業を行うに当たって必要となっていまして、そして、取引される方がこの業者さんは本当に免許を持っているか、いないのかですとか、ちゃんと宅建業の実績があるかないかということが分かって適切に相手方の業者さんを選定できるようにということで、例えば都庁ですとか、あるいは国交省でいきますと関東地方整備局といって出先のほうで実際にこうした書類が対面といいますか、紙の形で申し込めば閲覧することができるという制度になっています。

実際に閲覧される書類ですけれども、ちょっと小さい字で羅列していますが、左側のほうがいわゆる業者名簿といったリストです。それから、免許申請書の本体そのもの。右のほうに3番ということで添付書類とありますけれども、この添付書類のほうに割合、一般には見られない情報が実際に閲覧できるという状況になっていまして、例えば3の1の業の経歴書、これはいわゆる5年間の取引実績です。売買だったり、仲介だったりの取引実績のリストというものを申し込めば見られるということになっています。それから、5番のほうで、相談役と顧問とかといった、いわゆるオーナーの名称や住所を見ることができる。それから、9番の貸借対照表、いわゆるBS、PLといったこと、これは一般には非上場会社ですと見られないと思うのですけれども、宅建業者については見ることができるといったことで、取引の安全を期するために、こうした書類の閲覧というものを法律上、設けているという状況です。

次のページ。

一方で、こうした情報につきましては、オンラインでも見られるようにすることが利用者の利便性に供するという問題意識を我々は持っていまして、これは実は10年ほど前に耐震偽装事件ですとか、あるいは悪質なリフォームの事件というのが割合多かった時期がございまして、国交省のほうで消費者の方が安心して取引を行えるように、こうした基本的な企業情報につきましては、国交省のホームページの中にこうした業者検索システムというものを設けていまして、これは検索サイトで「国交省 業者検索」とやると一番上に出てくるぐらい非常に広く使われて、知っている方は非常に重宝されているサイトがございまして、この中で宅建業者はもちろんなのですけれども、建設業者の方とかマンション管理業者の方の許可や登録があるかないかですとか、住所はどこか、会社名、代表者といった企業情報の基本的なことについては誰でも今、インターネットで見ることが可能となっています。

次のスライド、論点でございますが、こうした利用者の利便性の向上というのは重要な論点でして、ネットでの閲覧をもっと進めるべきというのは我々も十分理解していますが、一方で、閲覧だけにとどまらず、こうした企業の内部情報といったことがコピーされて複写されて第三者に渡って広くまたネットで見られるようになるという状況につきましては心配事もありますので、こうした懸念を踏まえて今後、オンライン化を進める上での課題は何かということについて論点をいただいているということです。

幾つかこれも要素があると思うのですけれども、説明だけさせていただきますと、現状の説明ということで、現在は免許行政庁、これは国だったり都道府県だったりするのですが、ここで必ず事務所に閲覧所というものを設けていまして、そこでは閲覧を希望される方のまず身分をちゃんと確認する、所属の会社を確認する。それから、閲覧ですので、複写とか謄写ではありませんので、そうした複写やコピーや撮影がされないように職員がちゃんと立ち会った上で閲覧に供しているという運用をしています。

まず、仮にですけれども、オンラインでこれが閲覧可能となった場合に、そのオンラインの画面を普通のカメラで、スマートフォンだったり一眼レフのカメラだったりいろいろな撮影器具を使って複写されて個人の先ほどのBS、PLですとか住所ですとか、様々な一般には見られない情報が流布してしまうということ。これは本来の閲覧の目的を逸脱している行為も心配されますので、そうしたおそれがあるということは我々、心配しています。

では、一方で、申請者の身分の確認をちゃんとすればいいのではないかというのも論点としてあると思うのですけれども、これもその人本人は一応閲覧の範囲内で見たとしても、その情報がやはり第三者に渡ったり、転々と流通するおそれというのは防ぎ切れないのかなというように思っていまして、第三者に渡って最終ではネット上で広く見られる状態に置かれるということは我々、非常に懸念しています。

もう一つの違った論点でデータ保存ということがこれからデジタル化を進めていく上で必要だろうということで我々、十分理解してございます。手続のオンライン化は次のページでご説明いたしますけれども、今、宅建業者というのは全国には13万業者いまして、例えば東京だと2万業者以上、いらっしゃいます。これは今、紙ファイルで閲覧所に保管されているという形になっていますので、これを全てデジタルに置き換えるということについてはかなりの労力ですとか時間がかかる話でございますので、こうしたことはやはり現実的な問題としては少し今すぐ、こうした紙をデジタルに置き換えるということについては難しい、負担が大きいのかなという認識を持っています。

それから、最後、3つ目の論点でございますが、業者票の掲示ということです。

業者票は右側にサンプルを載せています。委員の皆様方が不動産業のお店に行かれたときに大体40センチぐらいのプレートが壁に貼ってあるのをご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ここは取引される方、業者さんについての情報が十分に得られるようにということで基本的な免許証の番号ですとか有効期間ですとか代表者の名前ですとか、そうしたことについてプレートで貼るように、これは宅建業法の義務が課されてございます。こうしたことのプレートを貼ることが適切な執行をする上で必要だということで行っておりますけれども、実際に免許申請から業者票を掲示するまでのフローということで、左側に少し書いています。

先ほども少し触れましたが、免許申請書類というのは今、紙ベースで都道府県だったり国交省の出先だったり提出いただいております。我々のほうで、この要件に合致しているかどうかを審査して、合致していれば免許証を交付するということになります。免許証を受けましたら、実際にこの業者票を事務所のプレートに備え付けていただいて営業することができる、こういう流れになっています。

次のページですが、この業者票についてもオンライン化の取組ということで、先ほど触れました業者検索システムということとプレートに貼ってあります業者票を比較いたしますと、基本的にほぼ同じ情報がネットでも見られる状態になっているということですけれども、1つだけ宅建士、宅建の資格を受けて宅建士証を交付されて重要事項説明の業務を行う重要な役割を果たす宅建士の方については、事務所に行けばこのプレートに名前が書いてあるのですが、現在、この国交省の検索システム上は宅建士の方の個人の名前を載せるということはしておりませんで、その分については今、ネットとリアルな事務所のプレートについては情報の差分が生じているという状況があります。

最後です。論点ということで、これは2つほど事務局のほうからいただいてございますけれども、まず免許手続そのもののオンライン化ということにつきましては、我々は令和6年まで、つまり、2年後以内までに紙からデジタル化に移行を進めていこうと思ってございまして、現在、そのシステムの整備に向けた予算も必要となってまいりますが、具体的にしようということを検討しています。

あわせて、これは国のシステムではあるのですけれども、都道府県の方についても活用できるように、そういう利便性の高いシステムの構築に向けて、今、検討を進めているということです。

もう一つ、今の業者票の情報というのが、これは業者さんにこうやって義務的にネットで公開するのか、あるいは国交省の今の検索システムで情報を一括して出すのかということについて、同じ効果、つまり、差があるのかということのご質問ということです。

それから、もう一つは、アナログとデジタルの場合の情報が今、差があって、そろえる必要はないか、2つのポイントがあるのですけれども、先ほど例示でお示ししましたとおり、業者票に掲示される情報について、これは必要な情報については国交省の検索サイトでインターネット公開されているということでございますので、あえて個々の業者さんのほうにこうした情報開示を義務づけなくても同様の効果は得られていると考えてございます。

それから、もう一つ、宅建士の名前ということの公表につきまして、これは我々としては個人のプライバシーに関わる情報だろうということを思っていますので、インターネットで公表するとした場合に、そうしたプライバシー情報が悪用されて、つまり、ここの不動産会社にはこういう人が勤務しているという情報が取引に関係ない人でも見られる状況に置かれるということについては、今後、例えばからかいだったり興味半分だったり、あるいは場合によってはストーカー的なことも少し心配しなければいけないのかなと思ってございまして、それについて慎重に考えなければいけないのかなというように思っています。
以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問、よろしくお願いいたします。

それでは、増島構成員、よろしくお願いします。

増島構成員: ありがとうございます。

この国家試験をどういうようにやるかみたいな話はあらゆるところで発生をする課題なので、宅建の話だけではないなという感じがしましたので、これは何か別のアプローチをもしかすると考えなければいけないのかなという、こういう感じがしたというのが一点。

あと、最後のプライバシーの話があまりよく理解ができなくて、プライバシーの話は出してほしくない人の利益と知りたい人の利益をバランスするという、こういう話になるわけですけれども、国家資格であるところの何とか士を取りにいったという人たちがどこに所属をして仕事をしているのかという情報は、国家資格である以上はかなりパブリックな情報なのかなという、こういう感じがしました。何を言っているかというと、知る必要のある情報ではないかという、こういう感じがしています。

出すのは名前だけですということになっていたときに、例えば私は士業ですけれども、私たちのやつは全部ネットでさらされていまして、どこでやっているというのも、全部ばれている。こんな感じになっている立場からすると、私たちは別にストーカーも遭わないですし、何というのは別にないですよね。ストーカーをされる人はいるかもしれないですけれども、それは個別の話なので、若干制度上、これを出さないということにしているのは、宅建士なんていうのは別にそんなに重要な資格ではないのだという、こういう発想がそこに伴ってないと、パブリックにするべきである、するべきでないということとのバランスが取れないような感じがするのですが、他方で、先ほど宅建士というのは重要事項説明をしたりして建物取引にはもう不可欠な人だという、こういうお話をされたということでありますので、この名前を出さないということについての国交省さんとしての要するにバランシングは一体どういうように考えてらっしゃるのかなというのを教えていただきたいなというように思いました。

以上です。

三浦課長: ご指摘ありがとうございます。

我々として、宅建士の役割とか業務とかというのは非常に重要なものだと思っています。今、ご紹介がありましたとおり、売買契約ですとか賃貸借契約できちんとお客様に説明する義務をこなすので重要な資格だと思っています。

一方で、ほかのいわゆる士業ですね。士業、我々、勉強が少し足りない点もあるかもしれないのですけれども、基本的にこの宅建士の方というのは、いわゆる雇われの従業員でして、代表者として会社を代表して何かビジネスをするとか、会社の代表者としてのサインをするというよりは、お客様に対して取引の専門家として説明する責任があるということで、独立して業を営むという類いのものではないというのがいわゆる士業の中でもちょっと違った意味合いを持つのかなと思っていまして、その中で、国家資格の中で、事務的にいろいろお話しさせていただくときに我々も知識が足りないところもあったのですが、最近、いろいろな業界のほうで取引の管理の責任者ですとか、指導したり会社のマネジメントをするような資格について割合、表に、ネットで見られるような状況になっている中で、宅建士はそうした取引の専門家としてお客様に説明する業務の中で、その情報がパブリックなものとして広く世の中で見られる状態にするべきかということは、我々も今、いろいろ思案しないといけないのかなと思っておりますので、こうした個人情報の保護とかネット社会における情報開示の在り方について詳しい先生方のご知見、アドバイスをいただければなと思っているところはあります。

増島構成員: なるほど。ありがとうございました。

例えば金融の世界でも保険を売る人、保険募集人というのがいますけれども、確かにこの人たちも試験を受けて登録していますが、名前は公表されてないとか、何か多分国全体で一定の考え方がもしかすると横の制度を見てみるとあるのかもしれなくて、そういうものが出てくると一体何を開示して、何を開示しないということにするのかというのは、もしかするとそろう目線というのはつくれるのかもしれないなというように今、お話をお伺いしたところで感じました。非常に勉強になりました。ありがとうございます。

三浦課長: ありがとうございます。

また、専門的なアドバイスをいただければ大変助かります。ありがとうございます。

増島構成員: ありがとうございました。

事務局(大澤): それでは、稲谷構成員、よろしくお願いします。

稲谷構成員: ありがとうございます。

私のほうもやはりプライバシーの点について気になったので少し申し上げたいと思うのですけれども、今お話しされていたリスクは、例えば、いわゆる破産者マップのような形のリスクとは恐らく違うリスクであるように思うのですね。破産者マップみたいなケースというのは、実際に公表されている情報について結果的には人々の社会的な評価を下げてしまうのだけれども、既に実際に公表されている情報なので、いわゆる刑法犯に問うことが結構難しい案件になってくる可能性があるという問題かと思います。

また、民法上もそもそも不法行為といえるのかみたいなところが、法的には難しい論点になってしまうようなケースだと思うのです。他方、今、おっしゃられていたストーカーが発生する可能性があるのではないかといったようなところにつきましては、これはストーカー等については個別に規制する法律がありますので、要するに、先ほど増島先生がおっしゃられたコストベネフィットを考える上では、そういった刑事法規制のような厳格な法規制がかかっている行為、そのことによって、そういう行為が生じるリスクというのは下がっている状態で、なお、その業務の公益性に鑑みて、公表するべきなのか、公表しないべきなのかということを衡量され、考えられるというようなことをやられると、もう少し整理された議論になるかもしれないなということを、お伺いしながら少し思ったところです。その点について、どのようにお考えでしょうか。もし何か現段階で何かあればお聞かせ願えればと思います。

三浦課長: ありがとうございます。

ストーカー規制法についての知見が十分ないので、例としてストーカーを出させていただきましたけれども、冒頭、少し触れましたとおり、この情報というのがもし検索システムのような企業情報として、国交省のサイトで見られるのですが、会社名をクリックした場合、例えば大手の名前でクリックした場合に仮に宅建士の名前を載せるということになると、大手になりますと何十人もの宅建士がばっと、これは5人に1人以上という規制になっていますので、つまり、従業員100人いたら20人の宅建士の名前が一斉に、今、プレートには書いてあるのですが、これがネットで見られる状況になってしまう。

そうしますと、会社に所属する、つまり、この人たちの勤務先がこの会社ということがひもづく形で見られるということが人によっては取引と全然関係ない人、この会社と取引しようと思ってない人もネットで見れば全国からアクセスできますので、そうした興味本位だったり、あるいは名前の収集だったり、そういう本来と違う目的で使われることで、そして、データがある人に収集されることによって、場合によってはストーカーのような、あるいは変に勧誘という言い方は悪いのですけれども、望んでいないコンタクトをされるような、そのようなリスクというのを露呈してしまうということを我々、少し心配しているということです。

稲谷構成員: ありがとうございました。

ぜひ申し上げた点等も加味しながら考えていただければと思います。よろしくお願いします。

三浦課長: ありがとうございます。よろしくお願いします。

事務局(大澤): 落合先生、よろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

私も何点かと思っております。

一つが、やはり先ほどのプライバシーの部分です。どういう情報が公開されている必要があるのかは、プライバシーの話ももちろん考慮される必要はあるわけですが、ディスクローズをすることによって重要な役割を果たすことがあるからこそ、そういった情報が外にも見えるようにすることが重要という部分はあろうかと思います。

例えば士業等についても、かなり多くの方が、結局は企業内や士業の法人の中でも代表者ではない形で働いておりますので、必ずしもほかの士業がそういう独立した営業を行っている人だけとも限らないことはあると思います。そういった中で、宅建業者の重要性も考えていただくことは重要ではないかと思います。

またもう一点ですが、情報開示をされる内容について、整理をされていく考え方が重要ということです。オンラインに合わせていくのか、それとも、アナログの開示があるから、この部分だけオンラインで開示するかといった分け方をしていただいている部分はあると思います。しかし、情報を閲覧するとは言っても、その中から情報が十分分かることもあるわけですし、現代の社会の中では、なかなかそういったものをアナログな手法を採用するだけで絶対的に閉じ込めておけるわけではないことを踏まえて頂くことも必要ではないでしょうか。ある程度、どちらのほうに合わせていくのか、どこに線を引くのかは、できる限りデジタルとアナログで同じ方向になるように考えていただくことも大事だと思います。そういった視点でさらにご検討いただけないかと思いました。

以上です。

事務局(大澤): コメントがございましたらよろしくお願いします。

三浦課長: ありがとうございます。

少し重複する回答かもしれませんけれども、ネットのない従来型において、やはり不動産のお店に行って、プレートを見て、ちゃんとこれは業歴が長いのだなと、社長、こういう人なのだなと、宅建士といって専門家の方はこういう人がいるのだなという安心感は、取引されるところに提供することに非常に意味があったと思うのですが、ネット社会においていろいろな情報が広く見えるようになった場合に、その今までの事務所に行ってちゃんと情報を確認してそこで安心感を得るという話と、先ほどのネットで取りあえず何か分からないけれども、名前が収集できるようになっている状態という中で、どこまで我々が宅建士の方のいわゆる個人名というものが検索可能な状態になるかということについて、少し我々も勉強が足りないというところもありますので、今、アドバイスいただきましたので、士業のほかの横並びですとか今後の動向等もデジタル庁さんのほうに情報を教えていただきながら、全体の整理の中でうまく調整できればなと考えています。非常に貴重なアドバイス、ありがとうございます。

落合構成員: ありがとうございます。

データベースも検索を何回も続けてできないようにするとか、いろいろやり方はあると思いますので、ぜひいろいろご検討いただければと思います。

以上です。

三浦課長: ありがとうございます。

事務局(大澤): それでは、こちらのセッションはここで閉じさせていただきたいと思います。

国交省の皆様方、本日はご協力いただきまして感謝申し上げます。ただいまの議論を踏まえまして追加でご検討をお願いする場合もございますので、引き続きご協力をよろしくお願いします。

それでは、大変押してしまって申し訳ございません。安念先生に議事進行をお返しいたします。よろしくお願いします。

安念副座長: 大澤参事官、どうもありがとうございました。ヒアリングは以上4件で今日はおしまいです。

今日の最後の議題「行政サービスのデジタル完結に向けて」に入りたいと思います。

ご説明いただきますのは須賀参事官、藤本CTO、それから、樫田データアナリストです。よろしくお願いいたします。

事務局(須賀): ありがとうございます。

前々回、5月20日の作業部会におきまして、経済界要望を踏まえて行政手続のデジタル完結をどうやって進めていくか、その中でもシステム面からのアプローチということをデジ庁全体としてどう考えていくか、臨調がどうそこに連携させていただくかという話を藤本CTOからしていただきました。あの後、ずっとデジ庁の中の有志のチームで議論をしてまいりまして、今回、そのチームのキーマンでいらっしゃる樫田さんから、現状、ここまで議論が進んでいますということで、臨調が課題と考える行政手続、法令根拠がない給付金のような予算事業も含めた行政サービスのデジタル完結に向けたアプローチについて紹介をしていただきたいと思います。質疑応答の対応のために藤本CTOにも同席いただいています。

では、樫田さん、よろしくお願いします。

樫田データアナリスト: ありがとうございます。デジタル庁の樫田です。皆様、よろしくお願いします。

今回の資料に関しては、個別の手続というよりは、いわゆる行政の手続のデジタル完結というのを目指していく上で、それに必要な整理のための考え方というかフレームワークのようなものをご紹介させていただきますので、そういった観点で皆様、見ていただいてぜひご指摘、ご意見等をいただければと思っております。

特に今回の資料の中で強調したい点というのは主に2つでありまして、いわゆる行政手続のデジタル化という言葉がよく語られるとは思うのですけれども、やはり手続というものにはいろいろなシステムだったりフローが関わっているので、どこの部分をどれぐらいデジタル化するかということによって得られる便益のほうが大きく異なるので、幾つかの類型の中で、どのデジタル化のことを指しているかというのをある程度峻別してお話ししたほうがよいかなというご提案が一つと、あともう一つが、いわゆる完全なデジタル完結、深いデジタル化を目指すことになった場合に、実際にどのようなアクションというのが必要で、デジタル臨調としてはどういった働きかけが必要かという、そういったアクションの整理に関して簡単にご紹介できればなというように思っております。

その観点において、こちらで挙げている図のフレームワークみたいなものを見ていただければと思っております。これはいわゆる本当に簡単な概念図なのですけれども、行政の手続というのは、このようなIT一般で言うリクエストレスポンスモデルとして記述できるかなと思っておりまして、簡単に言うと、ある手続を完結したいような主体の方というのがリクエスト、要は何らかの申請だったりとか手続の開始というのをしまして、それを受け取った客体、基本的には行政の方というのが申請というのを受け取って、実際にその裏側にあるやや今、レガシーなシステムだったりレガシーなデータベースというのを使ってそれを処理する。その結果として、何らかのレスポンス、例えば住民票を発行するだったりとか、給付金を給付するだったりとか、そういったアクションをするといったような①から⑥の流れというのが今、行政の手続として簡単なフローとして描けると思います。

皆様ご承知のとおり、今、この①から⑥のそれぞれというのが非常にレガシーなまま行われていると、行政手続というのは非常に例えば実際に申請する方のUXが悪かったりとか、もしくは裏側でコストがかかったりするといったような現状がありますので、この①から⑥それぞれをデジタル化することによって体験をよくしたりとかコストを下げるといった営みというのがいわゆる行政のデジタル化及びデジタル庁の活動範囲だというように考えられると思います。

しかし、この①から⑥においてどの部分をデジタル化するかということによって、そこから得られるものだったりとか、もしくはかかる工数というのは大きく違ってきますので、それらは割と類型化した上で峻別してお話しする必要があるかなというのが今回のこのご提案の肝となっております。

例えばここにその類型みたいなのを幾つか示しておるのですが、先ほどの手続の流れにおいて、この青い部分というのが実際にデジタル化された部分というように捉えてください。そのときに、例えばよくあるのが、この①のリクエスト、いわゆる申請を出す住民だったり事業者の方というのが申込みをする部分に関してはネットからできるみたいな形でリクエスト部分のところはデジタル化されているのですが、その裏側の実際に申請を受け取った方は今までどおり人間がやっていて、その後に続くシステムとかフローも全てレガシーのままだとすると、この①のリクエストする方の手間は少し省けるのですけれども、待ち時間というのは基本的に全てが紙のままと変わらなかったりとか、かかる行政コストというのも今のままとあまり変わっていないので、本当に少しの便益しか得られないというのが実態かなと思っております。

ただ、デジタル臨調しかり、行政の中で行政の手続のデジタル化というのが語られる場合に、いわゆる本当に①の部分だけがデジタル化されたものもデジタル化というように言われている節があるかなと思っていて、それがこの後に続くPhase2、Phase3と呼んでいる、より多くの部分がデジタル化されているプロセスと同じには語れないというところが割と肝かなと思っていて、今後、行政のデジタル化というものを語るときに、どの類型に当たるもののことを指しているのかということは区別して話す必要があるかなというのが一つ大きな主張としてあるかなと思っています。

基本的には、デジタル完結と言っている世界観に関して言うと、最初にリクエストを出すリクエストの部分も、それを受け取って、それを処理して返すという全ての部分というのが裏側のデータを含めてきちんとアップデートされているような状態というのを基本的にはデジタル完結というように定義するのがふさわしいかなというように我々及びデジタル庁のデジ臨の関係者の中では考えております。

これは具体的にどういうことかというと、リクエストを出す主体というのが自分で紙の書類だったりとか情報とか必要なものというのを集めてもらわずに済み、例えばマイナンバーだったりとか事業者IDのような何か身分証明のようなものというのをシステム上で提示すれば、裏側でそのIDに相当する必要なデータ、例えば住民票だったりとか、もしくは所得控除の情報だったりが自動的に連携されて手続が一瞬で済むみたいな形、いわゆる行政手続の60秒スマホ完結みたいな、そういった世界観というのをデジタル完結と呼ぶべきかなと思っていて、これと一番左のものというのは基本的には大きく区別されて話されるべきというように思っております。

また、その先の世界としては、いわゆる手続をしたい方というのが自分からリクエストを出して手続をするのではなくて、必要な手続があったら手続されることを許可しますよという形でオプトインしておくことによって、裏側のデータが勝手にその方にはこういった手続が必要ということをAIのほうで判別して、自動的に処理して手続を完了する。そして、完了しましたということを伝えて申請者がそれはオーケーですというように言えば自動で手続が済むという、いわゆるデータ駆動のような形で手続が済むようなAmbient、空気のように手続が終わる世界観というのが最終的に目指す姿かなとは思っていますが、当面目指すべきところ、また、このAmbientを目指すために必要な通過点として、この全てがデジタル完結されているPhase3というように須賀さんと呼んでいるものというのを目指していく必要があるかなというのが今の考えでいます。

例えば今のお話は非常に概念的なお話でしたので、卑近な例を1つ挙げて具体的な手続について例を述べさせていただきます。

例えば今、コロナ禍が始まり、いわゆる飲食店のコロナ休業における給付金というもの、非常に工数がかかっているという現状がある中で、そういったものを全てデジタルで完結できるというような手続の仕組みというのを今、デジタル庁で検討及び進行しておりますが、具体的には、ある飲食店が自粛協力したときの給付金というのを申請するときには、こういった情報が今、必要になっています。

いわゆる本人の身元を証明するもの及び営業関係の許可証であったり、実際に営業している営業実態の証明。例えば電気料金の領収書であったり、もしくは売上げ関連のデータ、そして、給付金の振込先、こういったものを全て紙で集めて提出しているという実態がございます。

これがデジタル完結するというのはどういう状態かというと、こういった法人に関わる、店舗に関わる情報とか許可証というものは各省庁のほうで、裏側でデータとして持っているものですし、営業実態とか売上げのものに関しても例えば電力使用量データについては、電力事業法に基づく枠組の中でデータを取得することについて、関係者と交渉中であったりとか、売上げに関しては、いわゆるfreeeとかマネーフォワードのようなデジタル化が進んでいる民間のクラウドサービスを使うことによって基本的にはデジタル化することができる。こういった状態を実現することによって、この申請者の方が紙で情報を集めるのではなくてIDを掲出することによってID連携を裏側で行い、一瞬で手続が終わるといった状態というのを目指すということが非常に求められているのかなというように考えております。

ここの点で重要なところとしては、では、そのように裏側でデータが連携されていればよいというような、いわゆるゴール設定は分かりましたというときに、具体的にその状態というのを実現するためにどういったアクションが必要なのかということに話が発展するかと思いますが、ここも同じく飲食店の店舗自粛協力金の例で整理をさせていただいています。

ここが先ほど述べさせていただいた、この手続に必要な情報ではあるのですが、こういった情報に関するデータ、裏側で持っておくデータというのが実際に今、使えるかどうか。いわゆる先ほどの手続を完結させるために自動で使える状態になっているかどうかというのを担当者のほうに問い合わせて整理させていただいております。

すごく簡単に述べてしまうと、こういったデータというのを先ほどのデジタル完結の手続のために使うのに必要な要素は3つ。法令が整備されていること、データそのものが整備されていること、そして、その整備されたデータというのが使ってもよい、使えるようなシステム環境になっていることの3つになります。

こちら、例なのですけれども、こういった各必要な手続データに関わるそういったものの整備状況というのは今、このようになっております。この①から③に関わる全ての必要な整備というのを「済」、つまり、ブルーの状態に持っていくことができれば基本的には60秒でスマホ完結のような、それに近いような手続の全デジタル化というのが進むという考えができるので、必要な手続に関しましては、こういったどれくらい整備が進んでいて、逆に整備が進んでいないボトルネックは何かというのをマップ化して示すことによって、それに関してはここの法令整備とか、データ整備に関しては例えばデジタル臨調のほうで各省庁と連携をして整備を進めていく、そういったプッシュバックが必要みたいな議論というのがはかどるのではないかなと思っているので、こういった1つのマップのようなものの考え方というのを提案したいと思います。

最後に補足になるのですが、今、1つの手続に関してマップのようなものというのを提示させていただいたのですが、仮に複数、今回に関しては6つほどの具体的な手続に関しての例に関して、どういった書類というかデータが必要かということを必要な書類及びどの手続というようなものを簡単にまとめております。

そうしますと、浮き上がってくるのは、自然とどの手続でも必ず必要となる、いわゆる汎用的な情報、今回に関してはいわゆる事業者の手続というものを例に取っておるので、商業登記とか法人情報とか、もしくは確定申告のような売上げ、事業実態に関わるようなデータというのは手続のどれを問わず基本的には必要なので、より汎用性が高いデータということが考えられ、こういったものの整備というのは何より急がれるかなというのが1つ述べられるかと思います。

一方で、その他に例えば業界で固有の情報、例えば建築だったら建築系の資格、飲食だったら飲食系の資格情報であるとか、もしくは手続固有の情報。例えば先ほどの自粛要請金であれば自粛をしているといったようなエビデンスのもの、こういったものというのは少し汎用性が下がってくるものではありますので、こういった手続固有のものなのか、それとも、どの手続でもある種、オーバーヘッドで使える汎用性の高いものなのかといった情報というのをこういったマップで峻別しながら、どういった手続、どういった省庁のどういった法令というのをよりアンロックしていくかみたいな順番の戦略というのを練った上で攻めていけると非常に素早いデジタル化をするのではないかなと考えてこういったご提案をさせていただいている次第です。

すみません、ちょっとお時間が押しているので駆け足になってしまいましたが、ご用意した資料としては以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

いかがでしょうか。何かご指摘いただくことがありましたら伺います。

上野山さん、お願いします。

上野山構成員: ありがとうございます。

まさにこういう整理、すごいすばらしいなと思って聞いておりまして、3ページのところのような整理が共通認識になっていくと本当に進んでいきそうだなという予感を強く感じました。さらにこれを進められておられるのが5ページだと思うのですけれども、このPhase3の特に④のところ、非常に重要なのだろうなと思っていまして、このデータにアクセスできるようにするというところだと思うのですが、この部分を5ページの整理で言うと、1個ご質問ですが、この5ページの一番右の③の利活用環境というところというのはイコールAPI化するという整理で捉えられているのか、いろいろ整理していく中でもしかするとAPI化でないぐらい動かさなければいけないところが出てくるかもしれない。ここはどういう感じなのかを1つ教えてください。

樫田データアナリスト: 上野山さん、ありがとうございます。

まさにご指摘いただいたとおり、今、整理している最中でございまして、ここの定義に関しては、担当者によっても意見が分かれるところではございますが、大筋としては、API化されているという文言が最低限正しいかなというように言えます。

意見が分かれるところとしましては、単純にAPI化されてもAPIの仕方によって、レスポンスが遅かったりとか、もしくは可用性が低かったりする形ですと意味がないので、単純なAPI化ではまだ完結ではないのではないかということで、ある種、条件を切ったモダンなAPI化みたいなものでないと③が済みとは言えないという意見もございますし、今、調査中なのですが、単純にモダンなAPIを切ったところで、それが本当に問題なく使えるかみたいなところに関して、ほかのブロッカーがないかというところは少し調査を進めながら定義の精緻化を行う必要があるかなというように思っている点で、まさにいただいたご質問は、やらねばならないところそのものかなというように認識しています。

上野山構成員: ありがとうございます。

でも、いずれにせよ、多分この5ページの見える化していくということができると、この問題の難しさは、本当にいろいろな部門あるいは組織が横断的に関わっている中できちんと交通整理して進めていけるかどうかというところが本当に大変なところなのだと思うのですけれども、それをこういうシンプルなフレームワークで色塗りするゲームにシフトしていけるような共通認識がつくれると非常に進むのではないかなと思いました。

すみません、ちょっと感想みたいになってしまって恐縮ですけれども、私からのコメントは以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

稲谷先生、いかがですか。

稲谷構成員: ありがとうございます。

今日はこのお話を伺うために参加しただけでも価値があったと思えるような、本当にすばらしい進捗だと思います。

私はこのPhaseで言うところのAmbientをやはり目指していくというのがとても大事だと思っています。その理由といたしましては、やはり、社会的な援助が必要なのに、制度や手続の存在すら知らない人がかなりいたりすることがございます。そういう人に対して、自動的にサービスが提供できるようになるということのベネフィットというのは物すごく大きいと思います。また、そうであるからこそ、逆に言うと、例えば5ページ目の先ほどの上野山さんのご指摘とも関係があるのですけれども、いろいろ個人データをある意味、結合させながら使うということがどうしても必要になってくる場面というのが出てくると、そのデータ保護法上どうなのだという話が必ず出てくると思うのですが、そういったご疑問に答えていく鍵にもなると思うのですね。確かにリスクはあるのかもしれないけれども、非常にエッセンシャルなサービスに事実上アクセスできない、結局保護を受けることができてない人たちがかなりいるという状況を鑑みると、それはやはりデータが濫用されるリスクを上回るベネフィットというのが出てくると思います。
また、もう一つのコメントとして、データの使い方として、恐らくこの作業部会の2回目だったか、3回目だったかでヒアリングした際に、データを結合しなくてもデータフローだけをうまく利用することで、各省庁が持っているデータを実際に結合して巨大なデータベースにしなくても、データを組み合わせたサービスが可能になるという技術についてのお話を伺ったような気がします。ですので、そういうアーキテクチャにすると、なお、プライバシーとの関係でも、制度の許容度が上がっていくような気がします。

データ保護やプライバシーと関係する法令との関係でも、ぜひ上手いアーキテクチャの組み方をしていただいて、レベル3、レベル4に進んでいけるようにしていただければと思った次第です。どうもありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。

ほか、落合先生、お手が挙がっていますか。

落合構成員: ありがとうございます。

私も非常にすばらしい進捗があったように思います。本当にすばらしいなと思いますし、こういうことを整理していくことこそが、臨調の価値そのものではないかと思っております。

特にこのPhase、今、示していただいている場面のPhase2、3ですが、ここまで進めていかないとデジタル化として認めないということは、我々がいろいろな取組を行っていくに当たり、各省庁にしっかり示していくことも大事ではないかと思っています。私もできる限り意識して、こちらのバックオフィス部分が楽になるようにということで、現場の方々が嫌にならないよう、効率を上げるために大事だと思いますので、そこはより高い原則に上げていけるといいように思っております。

データベースの点については、先ほど稲谷先生がおっしゃっていただいたような基本的には疎結合で共通利用をできるようにしていくことが大事だと思っています。それぞれ増島先生が前の議題で共通利用を意識して指摘されていたと思いますが、その前提としてデータのマッピングを進めていただいていることは極めて重要だと思います。これがあるからこそ、新しく何をつくらなければならいかが戦略的に打ち出せるようになるということだと思います。こういった部分は欧州では非常に戦略的に行っていて、日本は場当たり的な様子がこれまであったと思います。そういった部分でキャッチアップしていくために極めて大事な取組だと思いました。

最後の第3点として、稲谷先生がおっしゃられたデータ法に関する部分です。これは個人情報の話の部分もあると思いますが、例えば医療分野の検討で私も厚労省の検討会に入っている中で議論することもあります。そこでは、ガバナンス強化を行いつつ同意を行わない可能性もあるのではないかという議論を行っていることもあります。そういった中では例えば医事法の先生方も、それはそれでGDPRと比較するとしても全然法制化の余地はあるのではないかということは議論しているところではありました。必要な場合にはそういった部分の法整備をしながらということもあるのでしょうが、いずれにしても、我が国の法制の中でも情報を利用できるようにしていく仕組みは作りうるのだと思います。ヨーロッパのほうでも、またBtoGの情報提供に関して個人情報に限らずデータ法案の中では法整備がされようとしていることもありますので、そういったところで議論されている内容なども参考にして、政府側を起点として情報を利用できるような枠組みも検討することを、データベースについても、法令面と併せて両輪で進められるとより良いように思いました。

以上でございます。

事務局(須賀): 最後に一言、藤本CTOからもコメントいただけたらと思います。

藤本CTO: エグゼキューションのところというのがやはりこれからすごく大事になってくるなと思うので、ちょうどデジタル庁のほうで1年たってちょっとずつ組織も何とかなり始めてきていると言うと怒られますけれども、そこで今、7月ぐらいからプロジェクトを横断してこういうあるべき形に持っていこうというのが計画されて、今、私はそちらの取りまとめとかもさせていただいているので、樫田さんにこうやって共通言語となるもの、それはデジタル庁の中、全体でもそうだし、あとは最終的には各省庁を含めてこういう言語で話していこう、こういうゲームをしていこうというところをそろえられるというのはすごく大事だし、それらを上手に使って、あとはシステムもちゃんと左右見渡して、ユーザーにとって最適な形でやっていこうねという動きがようやく7月ぐらいから動き始めることができたので、あとは実装のほう。これは本当に全部やるのは時間がかかりますけれども、一個一個進めていければと思いますし、また、ちょこちょことご報告させていただければと思うので、今後ともよろしくお願いします。

以上です。

安念副座長: どうもありがとうございました。

しかし、長生きしてよかったなという感じの絵を見せてもらいましたね。

樫田データアナリスト: ありがとうございます。頑張ります。

安念副座長: あまりにも大きい絵をどかんと見せられて、しかし、そうはいっても、これしかないなという。これをどうやって刷り込んでいくかという、そういう話になってきそうですね。どうもありがとうございました。

最後に、ご感想などを含めて副大臣より一言いただければと存じます。

大串座長: 今日は多岐にわたるテーマ、積極的なご発言、皆様ありがとうございました。

最初、フロッピーディスクの記録媒体の話から始まって、常駐・専任規制とか書面掲示規制、対面講習規制など、関係省庁のヒアリングも行いつつ、いろいろな課題が見えてきたところでもございます。最後の行政サービスのデジタル完結の話でも非常に分かりやすくて、興味深いお話が聞けたかと思います。いい意味でいい情報が共有できたかなというように思います。

今日いただいたご意見をまた踏まえまして、事務局において今後の対応を検討させていただきたいと考えますので、引き続きのご協力、よろしくお願いいたします。

本日はありがとうございました。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。

それでは、事務局より、次回の作業部会の開催について、ご説明をいただきます。

事務局(大澤): 事務局でございます。

次回の作業部会の詳細につきましては、事務局より追ってご連絡をさせていただきます。

なお、本日の議事につきましては、公開になじまない内容はないと思いますので、後ほど事務局のほうで議事録を作成いたしまして構成員の皆様方にご確認をいただいた上で公開をさせていただきたいと思っております。

また、本日の資料につきましては、特段ご異議がないようでございましたら、全てデジタル臨調のウェブサイトで公開をさせていただきたいと思います。

事務局から以上でございます。

安念副座長: 本当に闊達に議論をいただきましてありがとうございました。

これで13回の会議を終わります。どうも皆さん、ありがとうございました。