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デジタル臨時行政調査会作業部会(第10回)

概要

  • 日時:令和4年5月18日(水)14時から17時まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1.開会
    2.議事
    (1)定期検査・点検規制、常駐・専任規制、書面掲示規制、往訪閲覧・縦覧規制、対面講習規制について関係省庁からヒアリング
    (2)意見交換
    3.閉会

資料

議事録等

日時

令和4年5月18日(水)14時から17時まで

場所

オンライン会議

出席者

座長

  • 小林史明 デジタル副大臣

構成員

  • 安念潤司(弁護士 中央大学大学院法務研究科 教授)

  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科 教授)

  • 落合孝文(弁護士 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)

  • 根本勝則(日本経済団体連合会 専務理事)

  • 増島雅和(弁護士 森・濱田松本法律事務所 )

事務局(髙松): 時間となりましたので、第10回「デジタル臨時行政調査会作業部会」を開会いたします。

なお、本日の構成員の皆様のご出席の状況についてですが、落合構成員、増島構成員におかれましては、途中からご出席、菅原構成員、上野山構成員におかれましては、ご欠席されています。

また、小林副大臣におかれましては、公務のため、途中で退席される予定となっています。

早速ですが、これより本日の議事に入らせていただきたいと存じます。

以降の議事進行については、安念副座長にお願いしたいと存じます。

安念副座長、お願いします。

安念副座長: 皆さん、こんにちは。

本日、第10回の作業部会ですが、議事(1)は関係省庁からのヒアリングが9件あります。

  1. 大気汚染防止のための定期測定。
  2. 食品衛生に係る営業施設の定期点検。
  3. 農地利用状況の定期調査。
  4. 高度管理医療機器等営業所管理者の常駐等。
  5. 主任無線従事者の常駐等。
  6. 警備業の認定証の掲示義務。
  7. 農地台帳のオンライン閲覧。
  8. 防火管理者講習のデジタル化。
  9. 司法試験のデジタル化です。

このヒアリングを行いました後、事務局より常駐・専任、対面講習、書面掲示、往訪閲覧縦覧に関する調整状況の報告について、説明の申出があります。

それでは、早速、ヒアリングに移らせていただきますが、ヒアリングの際の議事進行については、担当の髙松参事官及び大澤参事官にお願いしたいと思います。

まずは髙松参事官、よろしくお願いします。

事務局(髙松): 定期検査・点検を担当しています髙松です。よろしくお願いします。

1点目のヒアリングですが、大気汚染防止のための定期測定についてです。
 
事務局(髙松): ありがとうございます。

それでは、環境省水・大気環境局大気環境課の太田課長より、ご説明いただきたいと存じます。よろしくお願いします。

太田課長: 環境省水・大気環境局大気環境課長の太田です。

それでは、私から大気汚染防止のための定期測定について、ご説明します。

1ページ目をご覧ください。大気汚染防止法における排出ガス規制の概要についてです。

大気汚染防止法は、昭和43年に制定された法律で、大気の汚染に関しまして、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することなどを目的としていまして、硫黄酸化物や窒素酸化物などのばい煙等の発生源に対して、排出規制などを課しているものです。

これは環境基本法第16条に基づく環境基準の達成に向けて、施設の規模や種類ごとにこれら物質の排出基準を設定しています。

この法律の制定当初は、硫黄酸化物や窒素酸化物といったばい煙の規制を主眼としていましたが、その後の社会情勢を踏まえまして、規制対象物質を増やしてきているところです。

下に図がありますが、真ん中のところの揮発性有機化合物(VOC)については、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(SPM)の原因物質となっているものですが、なかなか改善がされないということで、平成16年に法改正して追加されています。

また、水銀については、平成25年に採択された水銀に関する水俣条約への対応ということで、平成27年に法改正をしまして、追加がされるなど、順次追加されてきているところです。

排出基準の違反者に対しては、故意、過失を問わず、罰則が適用されるほか、都道府県知事等は、排出基準違反のばい煙等を継続して排出するおそれがあると認めるときには、その事業者に対して改善や一時使用停止を命じることができることとなっています。

こうした事業者への不利益処分を科す判断が求められることから、一定の測定精度が得られる測定方法(公定法)も併せて、省令や告示等において定めているところです。

次のスライドをお願いします。このスライドは、排出規制に係る測定の頻度を示したものです。施設の規模、種類ごとに測定頻度が設定されています。

ここには例示として、ばい煙の一種である窒素酸化物と水銀等、これは水銀及びその化合物のことですが、その測定頻度を示したものです。

ばい煙発生施設については、全部で33の施設が決められていますが、その排出ガスの量ですとか、窒素酸化物については、総量規制の地域か、そうでないかによって、頻度が異なります。

総量規制というのは、施設ごとの基準のみでは環境基準の確保が困難な地域が設定されていまして、そういった地域における大規模工場に適用される工場ごとの基準が設定されているところです。

表をご覧いただくと、各施設の4万Nm3/h以上の大規模の施設については、総量規制地域内では常時監視、これは連続測定となり、その結果等については、多くのところではテレメーターなどで自治体にデータが常時行くといった形になります。

総量規制地域外では、2か月に1回の頻度のバッチでの測定を行います。

4万Nm3/h未満の施設については、6か月に1回、施設によっては、5年に1回の頻度で測定が義務づけられています。

一方、右側の欄ですが、水銀等については、連続測定が設定されていません。対象となる施設においては、4か月から1年に1回程度の測定が義務づけられているところです。

次のスライドをお願いします。これは連続測定が定められている窒素酸化物が法令でどのような測定に関する規定がされているのかというものを示したものです。

法律で排出基準、測定の義務、測定記録を保存しなければならないことが定められており、具体的には法の施行規則で定めているところです。

さらに具体的な測定方法については、窒素酸化物の場合は、右下のJIS K0104で定められているといったところです。

次のスライドをお願いします。これは連続測定が定められていないものの例で、水銀等を例示として掲げています。

同様に測定の義務等が法律ですとか、規則で定められており、具体的な方法については、告示で定められているところです。

次のスライドをお願いします。検査等の現場の実情としては、左側の図をご覧いただきたいと思いますが、事業者によるばい煙等の排出基準の遵守のために、連続測定の場合は、事業者が連続測定装置を設置して、その結果を記録し、連続測定でない場合は、多くの場合、民間検査機関等は定められた方法で分析して、計量証明書を発行します。

これを事業者において選定した公害防止管理者等によって、結果等の確認をし、その結果については、都道府県等が立入検査や報告聴取等によって、しっかり基準が遵守されているかどうかを確認しています。こういったスキームとなっています。

次のスライドをお願いします。これが国、地方自治体、ばい煙排出事業者の役割分担となっています。

次のスライドをお願いします。現状の大気汚染防止法の定期測定については、PHASE1に該当すると思います。

次のスライドをお願いします。さらにフェーズを進めるための課題としましては、技術面、コスト面等の課題があります。

技術面での大きなところは、こうした排出ガス中の大気汚染物質濃度の連続測定装置が開発されていない項目がたくさんあるといったことです。

新たな測定法ができた場合でも、その結果が現行の公定法と同等の結果が得られるかどうかの審議が必要ということで、これを連続測定等のデジタル化につなげていくためには、少し時間がかかるということです。

コスト面では、装置のイニシャルコストが結構かかるといったことです。窒素酸化物や硫黄酸化物の常時測定の装置ですと、500万円ぐらいするといったものですが、バッチでの測定ですと、年間10万円から42万円ぐらいということで、装置のイニシャルコストが非常にかかるといった課題等があります。

次のスライドをお願いします。目指すフェーズですが、常時測定については、我々としましては、デジタル技術の活用による規制目的の達成というフェーズを目指していきたいと考えています。

それに当たっては、まず常時監視技術が確立されていない物質についても、自動測定法が公定法として確立されることや、コスト面でも現行の公定法と同レベルの価格になることが必要と考えていますが、こうしたことの検討を進めまして、条件を満たした物質から順次デジタル技術の活用を拡大していきたい、このように考えているところです。

以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。

ただいまの説明について、ご意見、ご質問等がありましたら、お願いします。

安念副座長: ご説明いただいて、ありがとうございました。

極めて基礎的なことを伺うのですが、ただいまお示しいただいた資料の2ページ目ですが、常時ということで、かつ4万ノルマル立米・パー・アワー以上という大規模な工場等の施設のことだと思うのですが、これは常時観測ということであるならば、人間がずっと立ち会って観測することはできないので、既に常時の観測自体は全て自動化、機械化されていて、かつそれを通信でどこかに飛ばして記録するなり、分析するなりする方法になっているのではないかと想像するのですが、そのように理解してよろしいでしょうか。

太田課長: 基本的に常時となっているものについては、連続測定ということで、連続測定装置が各施設に入っています。

そのデータについては、多くのところでテレメーターなどで管轄する自治体にデータが送信されているという形になっています。

事務局(髙松): 事務局です。

テレメーターでの送付というのは、どのような形で渡されているのでしょうか。

環境省水・大気環境局大気環境課: まず事業者の連続測定器で数字が出るのですが、それは事業者が当然自分のところで確認します。そういった事業者から自治体にデータがさらに送られて、自治体でもそういう結果を見ることができるという体制になっています。

事務局(髙松): そうしますと、自治体で常時見ることができるということでよろしいですか。

環境省水・大気環境局大気環境課: そういう自治体もあるという状況です。

事務局(髙松): ありがとうございます。横から失礼しました。

安念副座長: 今の点は、そうすると、自治体は各事業所の排出状況というか、濃度について、ほぼリアルタイムで連続的に情報が得られていると考えてよろしいのですか。

環境省水・大気環境局大気環境課: そういうテレメーターを導入している自治体におかれましては、そういうデータをリアルタイムで確認ができるという状況になっています。

事務局(髙松): どのくらい導入されているかなど、イメージはありますでしょうか。

環境省水・大気環境局大気環境課: 今、手元にデータがありませんので、確認したいと思います。

事務局(髙松): ありがとうございます。

安念先生、いかがでしょうか。

安念副座長: そこは大切なのではないでしょうか。何か月に一遍とか、年に1回という測定を機械化しても、恐らくそのメリットはあまりない場合が多いだろうと思うのですが、常時測定となって、かつ総量規制地域内であれば、各事業所から出てくるデータが連続的に伝送されて、通信で送られてきて、自治体としても総量規制をする以上は、合成した数字が必要なわけだから、その合成した数字もリアルタイムで得られるということであれば、大変便利だし、そうでないとおかしいのではないかという気がします。とりわけ常時というところは完全に機械化というか、自動化する。まさにフェーズの高いところを目指すのが当然の姿ではないかと感じた次第でます。

事務局(髙松): 環境省さん、今の点についてはいかがでしょうか。

太田課長: 先生のご指摘はごもっともだと思います。テレメーターがどの程度導入されているかなどは確認したいと思います。

稲谷構成員: 今の点とほぼ同じような問題意識でのご質問なのですが、基本的な法律の立てつけというのは、要するにテレメーターなどを使わなかったケースで常時監視をしたとしても、例えば事業者でそのデータを全部保存しておいて、それを適宜検査できるようにしている。そのことによって規制基準を達成しようとしているという立てつけなのですか。

要するにどういう形で排出基準のモニタリングとか、エンフォースメントがされているのかというのがちょっと分かりにくかったところがあるので、素人なので申し訳ないのですが、もう少しその点を詳しく教えていただけるとありがたいと思います。

環境省水・大気環境局大気環境課: 今のご質問にお答えします。テレメーターで常時モニタリングできていないものも含めて、どのように担保しているかという部分については、事業者で測定したデータを保存しておいて、それを自治体が立入検査で確認をするときに、そうしたデータがちゃんと記録されていること、保管されていること、その記録されているデータが排出基準を満たされていること、こうしたものを確認します。

また、そこでデータがちゃんとしたやり方で取られているものかどうかというところについては、その測定結果について、計量証明というものを取って保存しているという形で、データの正確性についても担保しています。

各工場におきましては、公害防止管理者という国家資格を有する者が専任している場合、その者が環境分野のデータの保存、記録、そうしたものについて責任を持って行うという形で安全性を確認しているところです。

以上です。

稲谷構成員: ありがとうございます。

要するに、今、私が申し上げたように、基本的には事業者が自主的にやるというところで保存義務を課して、何かあったときのため、あるいは定期的に自治体がチェックしに行くという立てつけで運用されているということだと思います。

そうすると、2点、懸念がありまして、先ほど罰則を見たのですが、非常に軽いわけです。私は刑事法とか、サンクションを扱っているほうなので、経済合理性という観点から見た場合、違反するような事業者がいても、どういう形で摘発するのかというのは、結構難しいところがそもそもある立てつけになってしまっていることは否めないのではないかという点が1点です。

もう一つは、今のやり方というのは、いわゆる法を執行するための費用が非常にかかるやり方だと思います。つまりまず事業者側は、自分で保存というコストをかけて、さらにそれを自治体が一個一個、ある意味手作業という形で点検していくみたいなことをやるということになると、先ほどの安念先生のお話とつながってくるのですが、要するに自動化してしまって、排出関係のものというのが一元的に把握できるようにしてしまうと、今申し上げたようなコストというのは、全て減っていくことになりますし、また、事業者側の法に違反するインセンティブも下がっていくということになると思います。

確かにイニシャルコスト一つを取ってみても、高く見えるのですが、法執行全体の費用みたいなものを下げていって、より資源を活用していくみたいな観点に立つと、実は元が取れるようなやり方、特に全体として規格化していくみたいなやり方、それをやるときには、恐らく都道府県とどのような共通基盤をつくっていくかという問題も出てくると思いますが、そういった観点から推進していかれると、全体としてよりよい状態に近づくためのデジタル化として、この規制の実効性も上げつつ、全体の執行費用も下げつつということができるのではないかということを、お伺いしながら思った次第です。

事務局(髙松): 環境省さん、今の点についていかがでしょうか。

太田課長: 全体としては、そういった形で常時監視のような連続測定が各物質でもできるようになれば、どんどんそのような形に移行して、事業者さんや都道府県の職員の方の負担を減らしていけたらと考えているところではあります。

問題としては、たくさんの物質について測定の義務を課しているところですが、物質によっては、連続測定の技術が規制の方法として十分なものに開発されていないものが多々あるところですので、まずはそういった観点から連続測定ができるような技術開発が必要だと考えているところですので、そこについては、検討を進めていきたいと考えているところです。

以上です。

稲谷構成員: ありがとうございます。

ちなみになのですが、連続測定の技術が開発されていないというのは、規制物質の中の何割ぐらいがそういったものに当たるのでしょうか。

太田課長: 今、法的には常時監視を行っているのが窒素酸化物と硫黄酸化物ですので、それについては連続測定する技術、装置の普及などが十分にされていますが、ほかの物質については、今、そういう形の連続測定という公定法がないために、これから検討が必要といったようなところかと思います。

稲谷構成員: ありがとうございます。

ただ、細かいことを突っ込んでいるのかもしれないのですが、例えばここに技術面で開発されてない項目の中で鉛と挙がっているのですが、すみません、鉛が含まれている溶鉱炉の中で窒素酸化物が常時ということですね。こちらは私の読み違いでした。

もう一つ、測定の精度の話みたいなものがあったように思うのですが、そちらも今申し上げたような全体としてのモニタリングシステムがもしできてくると、測定精度にばらつきがあって、それが制裁につながりうるから確実にやらなければいけないというところも、少し意味合いが変わってくる可能性もないわけではないのかな、という点も気になったところです。

要するに全体としてきちっとモニタリングして、コントロールできるという状況ができてくると、従来型の制裁をかけてこうしろという形でやる方法と、透明性や説明責任が確保された新たなやり方との兼ね合いが生じるわけですが、そうすると、法規制を実施する上で重視すべきポイントや全体のバランス自体も変わってくる可能性があるので、そういった点も留意されると、より改革を進めていきやすいのではないかと思ったところです。ありがとうございました。

事務局(髙松): ありがとうございました。

環境省さん、参考までに常時監視が導入されていない対象物というのは、今、どういったものがありますでしょうか。

太田課長: 8ページの上にもありますが、例えばカドミウムとか、鉛、水銀など、重金属は検出下限値未満に実際の測定のデータが来るようなものが多いものですので、そういったものについては、求められるレベルまで測定できるような技術の開発が必要であり、また、前処理があるようなものについても、そういった技術開発が必要だと考えています。

事務局(髙松): ありがとうございます。

そのほか、ご質問、ご質問等ありましたら、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

本件については、定期検査の類型に入っており、今、PHASE2ということでご検討いただいているということです。

定期検査については、PHASE2におきまして、一つは、現行の枠組み、規制の枠組みも前提とした上で合理化ですとか、技術の導入を図っていくという取組も含まれています一方で、デジタル技術の活用について、最新のデジタル技術を前提とした今後の規制の在り方ということをご検討いただく取組も位置づけられていますので、本日のいただいたご指摘も踏まえて、環境省さんにおかれましては、ご検討いただけると幸いです。引き続きよろしくお願いします。

太田課長: ありがとうございました。

環境省としましても、本日のご意見等も踏まえまして、引き続き検討を進めたいと思います。どうもありがとうございました。

事務局(髙松): 環境省の皆さん、ありがとうございました。

これで1点目のパートを終了します。

2点目ですが、2.食品衛生に係る営業施設の定期点検についてです。

それでは、厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課の三木課長より、ご説明いただきたいと存じます。よろしくお願いします。

三木課長: よろしくお願いします。

資料に沿ってご説明します。

まず食品衛生法の制度の概要ですが、食品衛生法については、食品の関係を事業者に対していろいろな規制を行っており、公衆衛生上必要な規制をかけるという建付けになっています。

その中で食品等事業者については、自らの責任において販売する食品等の安全を確保するというような責務規定があります。このため、各事業者は、自主的に衛生管理を行うことをやっているような状況です。

平成30年に食品衛生法を改正しまして、国際標準であるHACCPという衛生管理の方法を取り入れたということでありまして、原則全ての営業者にHACCPに沿った衛生管理を義務づけているところです。

営業者は、厚生労働省が定める基準に基づいてHACCPに沿った衛生管理を行うために、衛生管理計画を作成して、それを管理計画どおり実施して、記録を取って保存することになっています。

その中で厚生労働省が定める基準としては二つありますが、一つ目は、施設の内外の清潔保持とか、ネズミ、昆虫等の駆除であるとか、その他一般的な衛生管理に関すること、これは一般衛生管理と呼んでいます。

それに加えて、各危害の発生を防止するために、特に重要な工程を管理する取組、これはHACCPに沿った衛生管理ですが、この2点をやっている状況です。

特に一般的な衛生管理に関する基準については、HACCPを効率的に機能させるために必要ということで、この表に示す14の項目について規定をしています。その中でも施設の衛生管理であるとか、設備等の衛生管理という項目がありまして、今回、赤の枠組みで囲んでいます設備等の衛生管理というところが議論になっていることを承知しています。

次のページですが、これは一般的なHACCPについて図でお示しをしているものですが、従来は最終的にできた製品について検査をしたり、問題がないかどうかの確認をするという管理でしたが、今回、HACCPによる衛生管理を取り入れることによって、工程ごとにどこに重要な危害が発生するかということで、それをまず洗い出しをして、必要な管理をやっていくということで、全体的な安全を確保するような流れになっています。

後でハンバーグの例示が出てきますが、ハンバーグであれば、特に加熱をすることが重要になってきますので、加熱工程で温度等についての継続的な監視、頻度を決めてモニタリングをして、問題がないかどうかを確認することになります。

3ページ目ですが、衛生管理に関する営業者と行政の役割についてご説明をしますと、左に書いていますように、営業者が実施をするのは、衛生管理計画の作成であるとか、衛生管理の実施、記録、保存ということを実施していくところであります。

それについて、行政側、主に保健所に食品衛生監視員がいますので、彼らが監視、指導、助言をしていく中で、営業者がそういったことをきちんと実践しているかどうか、それを記録等により確認をしていくということを行政がやっているような状況です。

次のページです。そういった中で、今回の規制の論点になっているところですが、一般衛生管理の基準の中で定期点検というようなことが位置づけられているということです。設備等の衛生管理として、ここに示すような温度計等については、その機能を定期的に点検して、点検の結果をちゃんと記録しなさいということが書かれており、営業者がいろいろと点検をする中で適切に機能しているかどうかということを確認します。いわゆる校正のことですが、それをやることが必要になっている状況です。

次のページをご覧ください。ハンバーグを例にしてご説明しますと、施設も大規模な施設と一般飲食店等のように中小規模の施設など、様々な施設があります。どちらかというと、営業施設的には、一般的な小規模の施設のほうが非常に多いというような状況になっています。

そのような中で日常的な衛生管理については、左に示すように、大規模な施設であれば、機械を使って連続的に製造していく中で、こういった機器を使った測定とか、記録が行われているということでありますし、小規模な施設では、温度計などを使って一個一個測定をしていくようなことで、日常的なモニタリングというか、チェックを行っているということになります。

そのような中で、温度計がちゃんと機能しているかどうかということの定期的な点検が右側に示しているものです。大規模な施設の機器であれば、計器類のメーカーなどが定期的な点検を行ったり、それで機能的に問題がないということを確認しており、小規模な施設の場合は、右下にあるように、営業者自身で確認したり、あるいはメーカーによる定期点検をやられたりということで、様々なやり方が認められていることになります。

次のページですが、そういう中で現状のフェーズについては、今のご説明したような中で、機器類については、機器を製造した者が作成をしている取扱説明書等で、どのような頻度で点検してくださいと書かれていれば、それに沿ってやられているということですが、食品の製造の状況によって、かなり酷使されているような状況であれば、点検の頻度は多くなるということでもありますし、通常の使用の方法であれば、通常の頻度での点検というのがなされるということで、基本的に特定の項目とか、頻度等については、食品衛生法では定めていない状況です。

そうした中で、デジタルツールによって、こういった点検が適切に実施されるのであれば問題ないということで、運用を行っている状況であります。こういったPHASE2の考え方については、既に導入されているというような認識です。

さらにフェーズを進めるための課題と対応策については、ここで言いますような校正については、各機器の一つ一つの点検が必要となりますので、そういった技術的なところを解決できるかどうかということが一つの課題だと認識をしています。

今回の条文は、定期点検に関する最低限の基準を定めていますので、これを撤廃するのは難しいのではないかと思っていますが、デジタルツールにより必要な点検が実施できる場合には、現状の規定に合致しているようなことを明示的にお示しすることは可能ではないかと考えているところです。

ご説明については以上です。

事務局(髙松): ありがとうございました。

今のご説明について、ご意見、ご質問等ありましたら、お願いします。安念先生、お願いします。

安念副座長: ご説明いただいて、どうもありがとうございました。

フェーズを進める方向でご検討いただくということで、大変心強く感じた次第なのですが、圧倒的に数の多い一般飲食店等の場合が何と言っても問題になるだろうと思います。その場合、デジタル技術の導入がどれだけ可能かということなのですが、どうなのでしょうか。

例えば温度計の自動校正といったもの、技術はそれとしてあるのでしょうが、それのイニシャルコストが高過ぎるとか、あるいは温度計以外の計測機器についても自動校正が可能であるのかどうか。また、それは現状において中小の事業者さんでも導入することが可能であるのか、あるいは今後そう遠くない未来にコスト低減が図られる見通しがあるのかどうかといった点について、ご見解が何かあれば伺いたいと存じます。

三木課長: ご質問ありがとうございます。

スライドの5ページ目にお示ししたように、先生がおっしゃるような中小の一般飲食店について非常に数が多いことは、私どもも承知をしています。

そういった中で、一般飲食店等については、営業者自身で点検をするような手引書を作ってやっているところでありますが、営業者自身がお金をかけずに校正の確認ができるような手順も示していますので、そういった手間をかけずに、例えば自動校正みたいなことができるものがあるとすれば、そういったものを導入するかどうかというのは、コストの問題になると思いますので、そこは事業者さんで判断されていくものだと思っています。

温度以外のものについて、どこまで技術的に可能なものが出ているかどうかというのは、私どもは承知をしていませんので、ある程度そこは事業者さんの裁量というか、どれを選択するかというのはお任せをしているような状況になっています。

安念副座長: ありがとうございます。

引き続き伺いたいのですが、手引書なのですが、手引書の中身を随時バージョンアップして、新しい技術はこういうものがありますというようなことをこれからご紹介になっていくという方針でしょうか。

三木課長: ご質問ありがとうございます。

手引書自体は事業者の団体が主に作っているもので、中身を厚生労働省が確認をするというものです。ですので、事業者の団体から、こういういいものがあるから、これを追記したいということであれば、手引書にどんどん載せていく形になろうかと思いますし、その辺は事業者の団体さんとも調整をしながら進めていくことになろうかと思います。

安念副座長: 取りあえずそれで結構です。どうもありがとうございます。

事務局(髙松): ありがとうございました。

そのほかにいかがでしょうか。稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: ありがとうございます。

今の最後の点と関係すると思うのですが、食品の衛生安全というのは、事業者自体にもある程度水準を維持しようというインセンティブが強い話だと思うのです。あそこの店で食べたらお腹を壊したというレピュテーションというのは、それによって事業者が非常に大きなダメージを受けることになりますので、自分から改善していこうというインセンティブがそれなりに働きやすいという意味では、ほかの規制とは前提が異なる部分もあると思っています。

そうだとすると、今おっしゃられた事業者でこういうものはどうだというものをチェックされるというシステムになっているのだとすると、先ほど安念先生がおっしゃられたような、こういうやり方もあるかもしれないみたいな情報がアクセスしやすい状態になるということがとても大切な気がするのです。つまりいろんな事業者がこういう新しい技術を使える可能性があることに気づくことによって、事業者側でもっとこうやったらコストが下がって、より安全な状態を維持することができるみたいな取組を発見できるきっかけになる気がするので、その辺りのうまいマッチングのやり方みたいなものができてくると、小規模事業者でもこういう取組のやり方があるかもしれないみたいな形で、自分たちで改善を図っていく可能性があると、お伺いをしながら思ったところです。ありがとうございました。

事務局(髙松): 厚労省さん、今の点についていかがでしょうか。

三木課長: 今の点はおっしゃるとおりでして、事業者さんは、当然食中毒などを起こすと甚大な被害が生じますし、信用問題にも関わりますので、衛生的なところは少なくとも守っていこうというような姿勢は事業者さんもあると思っています。

そのような中で、コストとか、手間をなるべくかけないようなものでいいものがあれば、それをどんどん使っていこうということは、事業者さんの姿勢にもあると思いますので、そういうものを事業者さん、団体さんからご提案をいただいたり、そういったところがもし可能で、紹介するような仕組みができれば、うまく進むのではないかと思っています。

稲谷構成員: ありがとうございました。

事務局(髙松): ありがとうございます。

そのほか、ご質問等はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、引き続きフェーズについて、厚労省さんと調整の上、方針を固めていきたいと考えています。よろしくお願いします。

厚労省さん、ご説明をありがとうございました。

三木課長: ありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

事務局(髙松): 以上、2点目のパートを終了します。

続きまして、3点目ですが、3.農地利用状況の定期調査についてです。

本件については、農地の利用状況の調査に衛星画像を活用する方向で検討が進められており、その状況を事務局からご報告します。

主に2点、ご説明します。1点目が規制の概要、2点目が見直しの状況、衛星画像の活用の状況についてです。

1点目の規制の概要についてですが、資料の条文をご覧いただければと思います。農地法では、第2条の2におきまして「農地について所有権又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する者は、当該農地の農業上の適正かつ効率的な利用を確保するようにしなければならない」と定められています。

このような農地の利用の最適化、具体的には担い手への農地利用の集積・集約化ですとか、遊休農地の発生防止・解消、新規参入の促進といった点になりますが、このような目的に向けた取組としまして、毎年1回、農地の利用状況の調査を行うこととされています。第30条の第1項をここに記載していますが、頻度が年1回と定められています。

なお、この調査は、農地等の利用の最適化のための取組を推進する機関として位置づけられており、原則として各市町村に一つ設置をされています農業委員会がこの調査を行うこととされています。

調査の結果、この農地は遊休地であると判定された農地については、知事の裁定により農地バンクへの貸付けが行われたり、あるいは固定資産税が重加されるなど、農地利用の最適化といった目的の下で、その所有者等に対して一定の不利益を生じさせることになるということです。

資料ですが、農地法の条文の下に農地法の運用についてという通知の抜粋を記載しています。ここで調査の方法が定められています。調査において遊休農地に関する情報を収集していくのですが、その際、道路からの目視によって雑草が繁茂していることが確認された場合は、写真を撮ってその旨を図面等により記録するということとされています。

このような方法で収集した情報のほか、標準的な農地の利用方法ですとか、当該地域の農業の特徴などを勘案して、農業委員会において遊休農地であるかどうかの判定が行われています。

ここに記載していませんが、同じ通知に調査を実施する時期も定められており、利用状況調査については、毎年8月頃に実施をすることと、夏に実施をするということも定められています。

次にご説明の2点目、見直しの状況等についてですが、資料の下半分に関連記事として全国農業新聞さんの記事の抜粋を記載しています。「衛星画像を活用し農地パトロール 解析アプリ実証試験 確認作業の軽減図る」という表題の記事となっています。

ここでは長崎県の雲仙市の吾妻町の農業委員会の取組が紹介をされています。農業委員会が行う調査について、衛星の画像解析アプリを活用した農地パトロールの実証実験が行われています。

利用状況調査は、毎年8月頃の暑い時期に実施しており、農業委員等の皆さんは、熱中症などへの不安を抱えながら作業をしています。この実証実験の下では、委員の皆さんがタブレット端末を携えて農地に入りまして、アプリによって耕作放棄地である可能性が70%以上と判定された農地については、目視の確認も重ねて行ったということです。70%未満とされた農地については、そちらも一応確認をしていますが、作業の掲示をつけて効率化を図られているということであります。

このような結果、委員の方々からは、以前の調査よりも楽になったというような声が紹介されているという状況です。

本件については、衛星データの利用拡大に向けた政府の取組、これは政府や自治体の業務の効率化・高度化に向けた衛星の適切な活用を進めていく、こういった目的で進められており、これを進めておられます内閣府さんと農水省さんとで協力を図りながら、今、触れました農業委員会の実証実験の結果も含めて検討が進められているということです。

農水省さんにおかれましては、本年の6月頃までに先ほどの通知ですとか、利用状況調査の実施要領の見直しをしまして、令和4年度の利用状況調査から衛星やドローンを活用した調査に移行できるように改善を図っていく、このような方針の下で進められているということです。

事務局からのご報告は以上です。

本件については、恐縮ですが、時間の関係もありますため、報告のみとします。ご質問等ありましたら、後ほど事務局までお寄せいただければと存じます。

定期検査・点検の議事は以上となります。

ここで安念先生に議事進行をお返しします。よろしくお願いします。

安念副座長: どうもありがとうございました。

ここからの議事進行については、担当の大澤参事官にお願いしたいと存じますので、よろしくお願いします。

事務局(大澤): 常駐・専任等の規制の見直しを担当しています大澤です。どうぞよろしくお願いします。

本日4点目のヒアリングは、4.高度管理医療機器等営業所管理者の常駐等を議題とします。

それでは、厚生労働省医療機器審査管理課の関野課長からご発表をお願いします。

関野課長: 医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長の関野です。本日はよろしくお願いします。

資料に基づいて、本日のテーマになっています内容の規制の現状とか、そういったところについてご紹介します。

今、お示ししています2ページ目のところになりますが、いわゆる高度管理医療機器等の販売業者等と言われる方に対して、本日のテーマであります管理者に関して定めた条文を示していまして、薬機法第39条の2のところで販売業者が管理者を置くことを求めているものです。

3ページをお願いします。本日のテーマは、主として管理者の部分ですが、規制の趣旨という言い方でなじむかどうかは分からないのですが、なぜ管理者が様々な業務を行うことになっているかといった当然の根底には、許可を受ける販売業者が薬機法において行うべき各行為や責務、あるいは遵守事項として定められていますので、結論から申し上げると、そういった販売業者が行う様々な法律に基づく対応に対して、営業所において管理者がそれらをまさに管理する立場として、販売業者から託された形で行うといった構図になっていますので、趣旨のところで販売業者の責務、あるいは遵守事項等について記載しています。

全てはご覧いただければ分かると思いますので、かいつまんでの説明になりますが、まず管理に関する帳簿を用意するとか、あるいは販売をする製品の品質の部分を確保する部分があります。

上から四つ目あるいは五つ目の○になりますが、苦情が寄せられた場合、回収ということが起こります。この背景には医療機器自体の不具合とか、不良品が出たという、いわゆる緊急時の対応ということで、原因究明ですとか、改善、さらには各取引先との連絡、実際の製品の回収とか、そういったもろもろの事情等を遅滞なく行うといったところも求められています。

そのほか、上から七つ目の従業員への教育訓練、下から二つ目にありますが、不具合発生時の製造販売業者等への連絡とか、こういったところが販売業者等に求められていることになります。

4ページをお願いします。同じように遵守事項として、管理者に対して権限を明確にするとか、体制整備、そのほか記録の作成もろもろについて、販売業者等に求められていることのご紹介になります。

5ページをお願いします。本題のところの営業所管理者に関する事項ですが、法律上の規定として上のボックスに書いていますが、営業所管理者が従業者を監督するということと、設備とか、取り扱う物品の管理を行うこと、営業所の様々な業務について、必要な注意をまさに現場で行うという役割を販売業者等から託された形で行う責任者という位置づけになろうかと思います。

下位法令である薬機法施行規則では、第164条を示しています。帳簿のことについて書いてあるのですが、実際に管理者が担う部分は第2項のところになりまして、1号から5号に書いてあるようなことを帳簿に記載する、そういう役割を担うのですが、裏返せば、帳簿に書くこと自体がどうこうというよりも、1号から5号に書いてある事柄は、先ほども触れましたが、管理者が実際に営業所の中で担っている部分がこの部分に反映されていることになります。受講の状況ですとか、品質確保の実施状況、不良品等への対応状況、教育訓練がきちんと行われているかどうかの現状把握といったような解釈の読み方で見ていただければと思います。

6ページをお願いします。同じように施行規則第172条では、業務や遵守事項を引き続き書いています。これについては、条文の引用をそのまま書いていますので、ちょっと読みにくいので、欄外の※のところに実際の管理者の権限も含めて、解釈ということで書いています。これも先ほどの繰り返しになりますが、業務の監督とか、指示、そういったことに関する権限が与えられているとか、備品の管理や設備の管理、そういったことになろうかと思います。

7ページをお願いします。これはご参考までにガイドライン上の通知になりますが、その中でも様々なことが実際に行うよう、通知レベルでも明確にしているということで、参考としてつけていました。

8ページをお願いします。最後のスライドになると思いますが、ここで一番左側にいただいた論点を三つ書かせていただいていまして、テレワークによって実施できる業務があるかないかということと、常駐規制の撤廃がどうなるのかということ、三つ目のところでは兼務のことについて課題をいただいていますので、それについて表に整理しました。

管理者は実施人ということで、常駐というような解釈の中で運用されてきていますので、現状はPHASE1という位置づけだと思いますが、目指すフェーズとしては、一番上のカラムになりますが、幾つか懸念といいましょうか、我々として検証したい部分がありますが、デジタル技術によっての運用の変更が可能ではないかということで、PHASE2を置いています。

その際、どういったことを検討する、あるいは課題として考えて懸念を払拭したいかということを間の部分に幾つか書いていまして、まずデジタル技術は現状どういうものが実用化されていて、現在、管理者が行っている管理の仕方に対して、どの程度きちんと性能を保てるかどうか、それが営業所の中にきちんと合理的に配備できるかどうか。コストの面も含めてですが、そういったところが相まって環境が整備されると、PHASE2に移行できるのだろうと思っているところです。

製品に不具合が生じた場合、これは人の健康、生命に影響する場合がありますので、こういった場合においてのスピード感といいましょうか、即応性といったことで、これもどういったデジタル技術が使われるかにもよるのですが、それと相まって確認といいましょうか、検証しておく必要があるのではないかと思っています。

販売先、取引先、あるいは医療機関等、実際に医療機器を使う相手方のデジタル環境にも留意が必要ということも付け加えています。

言わずもがなですが、インフラが止まった場合、サイバー攻撃で止まった場合、これに代わる代替方法も用意しておく必要があります。

そういったことを考えますと、必ずしも全てデジタル技術にシフトといいましょうか、移替えをするのではなくて、選択肢の一つとして合理的なやり方を持って、きちんとした現状の管理体制、あるいは管理の実情が十分に担保された状態をもって、実効性が行われる限りにおいては、デジタル技術の活用ということは可能ではないかという意味で、選択肢の一つというような位置づけが妥当と考えている次第です。

兼務の問題については、同じように実効性が上がるかどうかというところを検証といいましょうか、クリアできればと思っていますが、他方、県またぎのケースが許可の販売業の場合がありますので、そういった場合は、自治体の権限は別の法律になるかもしれませんが、その辺りを含めた整理が必要ではないかということで、一つの留意点を掲げています。

私からは以上になります。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまの説明について、ご意見、あるいはご質問がありましたら、お願いします。稲谷構成員、お願いします。

稲谷構成員: ご説明ありがとうございました。

私の率直な印象を申し上げますと、この話というのは、広い意味でのコンプライアンスの問題にかなり近いのかという印象を受けるのです。つまり品質の管理などをきちんと責任を持ってやってくださいとか、何か問題があったときに対応してくださいとか、そう言ったタイプの規制なのかという感じがするのです。

そうすると、コンプライアンスを強化するためにどういうインセンティブストラクチャーをつくっていくかという話のほうがもともとの本体としてあって、その中で企業が工夫をしながらいろんな技術を使って、それをより効果的・効率的なものに上げていくという、そういう目で見たほうがいいと思います。

そういった観点から見た場合に気になったところというのは、逆に言うと、現状では、こういったコンプライアンスを規制なしに企業が自身できちんとやっていくインセンティブが足りていないという、このようなご認識で、こういう形でいろいろ規制をつくっていかれたということなのかという点を少しお伺いしたいと思ったところです。

換言すると、事前に規制をかけていかないと、企業側で自主的に安全性とか、品質保証について責任を持ってやってくださいと頼んでも、何かあったときにきちんとした対応が取れない、取りにくいというところがあるので、こういう形になっているのかというところを少し確認いただければということです。お願いします。

関野課長: ご質問ありがとうございます。

今、先生がおっしゃられたとおり、薬機法は基本的に医療機器といった医療に使われる、場合によっては程度によって人へのリスクがあるようなものを取り扱い、それをきちんと取り扱うための保健衛生といいましょうか、そういったものを管理・規制する法律ですので、原則、禁止のことをむしろ法律での許可とか、承認という行為でもって、それを解除しているわけです。

したがって、製品そのものの流通し、あるいは使用されるという状態を限定的に承認、許可等という形で解除していますので、販売業者の方に対しても許可という形でお墨つきを与えた中で仕事をしていただいています。取り扱う製品に関する管理も含めてきちんと行われること、まさにコンプライアンスの部分です。

最近ではガバナンスという言い方をするのですが、きちんとした行為が行われない結果、事故が起こったというケースも少なからずある中で、社内の上下関係の連絡体制も含めてですが、ガバナンスも含めてかなり強化というところも求められている中で、今の現行制度が出来上がっていますので、先生がおっしゃるとおりの観点でのテーマであろうと思っています。

稲谷構成員: ありがとうございます。

その点は非常に重要だと私も思っており、要するに企業制裁の仕組みがこれまで諸外国に比べると構築できていなかったところがあると考えていまして、私の専門は企業の不祥事とか、企業制裁などであるということもあるのですが、そういった点について、ほかのデジタル化を考えていくときにも同じような問題がいろいろ出てきているような気がしますので、そういった問題意識があるということを共有させていただいて、より合理的な制度の構築に向けて、一つ動かすことができればと思っていたところですので、今のお返事は大変ありがたく存じます。

もう一点、少し気になった点としましては、例えばこういった規制に反した場合に、現状、業務停止みたいなものであるとか、資格の停止みたいなアクションが行政制裁としてあって、それは非常に強力だと思うのですが、その反面、こういった医療機器などというのは、特定のメーカーしか作れなかったり、特定の事業者しかうまくコントロールできないというケースなどもあったりするのかというところが少し気になっており、外国の例だと、こういった医療機器であるとか、薬品などに関しては、制裁制度を発動するときにも、そのことによって大きな被害が別のところでなるべく生じないように気をつけながらやるというところで制度を工夫したりしているのですが、そういった点ということも問題としてお感じになられているところはありますか。

関野課長: ありがとうございます。

規制ですので、違反した場合には法令に基づき適正に対処することが原則になりますが、確かに先生がおっしゃるとおり、1社しか供給しておらず、しかも、ほかに代替の治療手段がないような製品を取り扱っているような企業の方に対しては、行政措置を講ずるに当たっての判断というものは、慎重にならざるを得ない場合があります。

そこは事案の程度にもよるかと思いますので、最終的には個別の判断です。人道的な面も含めての総合的な判断のところにならざるを得ないケースも少なからずあるということが今までの実情だと思います。

以上です。

稲谷構成員: ありがとうございます。

すみません、私ばかりしゃべっているのですが、そうすると、例えば他の国だと、コンプライアンスとか、マネジメントとか、広い意味でのガバナンスに問題がある場合、結果的に経営陣の交代を求めたり、企業の制度そのものに手を入れていくようなシステムなどもあったりするので、そういった制度とも組み合わせていくと、今、ご懸念されていることなども少し対応できるのかと思ったりしたところです。どうもありがとうございました。

事務局(大澤): 次に落合構成員、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

私もご説明いただいた中の特に8ページを見ながら伺いたいと思います。営業所の管理者がテレワークを実施できるのかという点があります。お答えいただいた内容は、全体に対してお答えいただいたので、テレワークについてどう整理されていたかが分からない部分がありました。

去年、規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループの際に、プログラム医療機器の製造業の責任者だったと思いますが、テレワーク自体はできないような運用はされていないというお話があったと思っておりました。その件と今回の件との関係性が、どういう形になっているか分からない部分がありましたので、教えていただければと思いました。

関野課長: 規制改革でも落合先生にはお世話になりました。そのときのテーマは、我々も縦割りで恐縮なのですが、私自身がやり取りをしたのは、プログラム医療機器、いわゆるソフトウエアのみを取り扱う製造業者の責任技術者という言い方をしましたが、要は製造場所を預かる責任者の取扱いに関して、テレワークという言葉を使っていなかったのですが、必ずしも場合によっては自宅でもいいのではないかというお話でのやり取りになります。

これについては、先生がおっしゃられるとおり、必ずしも製造場所でなければいけないということではないというような整理で、現状、その辺りが製造業者にはそういう解釈を理解していない方も多いので、明確にすべきということで何かしらの文書を発出するということで、それは昨年度末に対応しているという事例だと思います。

言葉としては、テレワークという言葉をそのときは使っていませんが、実質同じ意味だと捉えていまして、今回の場合、8ページ目の左から三つ目のカラムに書いたフェーズを進めるための課題のところに書いていますのは、テレワークという限定的な方法に限らず、むしろ利活用されるデジタル技術は様々なものがあろうかと思いましたので、広く捉えてデジタル技術の利活用によって、その技術の程度とか、内容によっては、実地でなくても可能ではないかと広めに答えたので、こういうフレーズになっているということで、業務の内容を個別にごまかしたつもりもなく、広く全般的に技術次第ではないかという意味での書きぶりということでご理解いただければと思います。

落合構成員: ありがとうございます。

恐らくそのような部分もあると思っており、全体として課題を投げたつもりでもありましたので、それぞれレベル感が違うこともありますので、テレワークの部分は、テーマが違う部分もあろうかと思います。ガバナンスを確保する意味では共通する部分もあるでしょうし、また、物なのか、プログラムなのか、これによっても現場にいなければできること、できないことが違います。

プログラムの場合ですと、むしろ現場がどうこうという話ではなくなる側面もあろうかと思います。そういった意味では、テレワークについては一定の何かしらの限定はつけられるのかもしれないですが、できる範囲はさらに検証しながら広げていく可能性はありそうだと、こういう形で伺ってもよろしいしょうか。

関野課長: 規制改革のほうの話と同じような言い回しをするならば、この表の一番上の行に書いた実効性の保持です。実効性が上がれば、方法論はむしろ問わないというと言い過ぎかもしれませんが、ある程度実効性が担保されることをもってして、製造業者、あるいは管理者の担う業務がきちんと果たされていることを確認できるかどうかというところが究極のキーになってくると考えています。

以上です。

落合構成員: ありがとうございます。

まさしくおっしゃるとおりかと思っていまして、規制の目的自体といいますか、ガバナンスの程度は変えない中で、要するに、現場にいるという特定の方法を使わずに、どこまで現場にいる場合と同じようなガバナンスを実現できるのかという話だと思っております。テレワークで特に議論していたのですが、常駐規制との関係でも、結局、週1日テレワークを許容することを拡大していくと、次第に常駐規制の話にも関係してくると言いますか、そちらをどう整理するのかも論点は共通すると思います。そういった意味では、最終的にはここで書いていただいたように、全体として同じような論点で考えていくことが重要だと思います。

テレワークの部分で整理できる部分もあると思いますし、また、その中で目標は変えずに、どういう方法であれば、もともとのガバナンスを保った形で対応できるかだと思います。規制緩和というよりかは、技術代替だと思いますので、同レベルでしっかりできるような形にすることを、PHASE2を目指していると書いていただいた部分もあると思いますので、できる限り検証しながら、そういう形に進めていただけないかと思っていますので、よろしくお願いします。

関野課長: 今、先生が言われたとおり、五つ目の○にも書いてありますが、選択肢の一つということで、まさに代替法としてのデジタル技術という捉え方が一つのイメージとしては持っていますので、その辺りは恐らく共通認識なのではないかと理解しました。ありがとうございました。

落合構成員: ありがとうございます。

事務局(大澤): そうしましたら、根本構成員、よろしくお願いします。

根本構成員: ありがとうございます。

こういう形でご検討いただけるのは非常にありがたいと思っています。その際に少し質問したいのは、同じ8ページの一番上の課題の実効性の担保を可能にするということなのですが、何をもって実効性が保持されたと考えるかというところを確認させてください。帳簿の部分がありましたが、そちらについて全部オーケーになれば、実効性が保持されたと考えるのか、それぞれの項目についてさらに細目があれば、教えていただきたい。

要はどのようにデジタルで代替できるかということを考える際に、そういうメルクマールといいますか、一つ一つの項目がないと、可能かどうか判定ができないと思いますので、そちらはどのようにお考えかということを教えていただけたらと思います。

その中で恐らく一番重要なのは二つ目の○のところで、遅滞なく行われというような部分だと思いますが、この程度が現状の規律の中で核とされている安全性と同等、あるいはそれ以上であればよろしいということなのだろうと理解しておるのですが、そういう理解でよろしいかということです。

なお、○の三つ目は少し理解が難しくて、相手先のデジタル環境にも留意が必要ということなのですが、営業所と連絡を取るということがありますので、営業所と同等の対応が別の場所でできればいいことになろうかと思っているのですが、これは特別なものが必要かということが三つ目です。

四つ目は、災害等によるインフラ停止等々のところですが、こういう部分も二つ目に申し上げた現状の規律と同程度のもので対応できれば、それはそれでオーケーだと理解するということでよろしいかということが質問です。

以上です。

関野課長: ありがとうございます。

後ろから一つずつお答えしたいと思います。まず上から四つ目の災害時等に関しましては、現状と同水準という意味の捉え方ですので、同じ理解だと思っています。

その一つ上の相手先の関係ですが、これは恐らく当事者である営業所の管理者がどういうデジタル技術を使うかにもよりますが、これも結果的に1行目にあるように、実効性が上がるような連絡が瞬時にできるとか、そういったところとの兼ね合いということで、あくまでここは強い意味の課題というよりは、留意が必要だという捉え方です。

当然相手方がいて、その相手方は営業所ではなくて、自らが販売業者ですので、相手方は親元の製造所であったり、あるいはちょっと分かりにくいのですが、製造販売業者であったり、それは販売業者とはまた違って、実際に医療機器の製品の承認を取得する一番責任を持っている立場で、医療機器の不具合が起こったときに国への報告とか、そういった情報をきちんと速やかに行う立場が製造販売業者になります。

販売業者の役割は、医療機関とか、末端ユーザーに近いところにいる立場なので、医療機関とか、現場で起こった様々な事象をきちんとキャッチした場合に、それを国に報告する義務のある製造販売業者に伝えられるかどうかといった関係性での実効性が上がるかどうかというところに留意が必要とみていただければと思います。薬機法はその辺のステークホルダーの関係が少し複雑ですので、分かりにくい面がありますが、そういった関係性の部分ということになります。

二つ目に関しては、不具合が起こったときです。これは結構大事なのですが、結局は人への影響なり、健康被害の発生と拡大です。どの程度限定的に抑えられたかというところが個別事象によって違ってくるので、何日以内の対応ができていればいいと一律には決められないのですが、個別のケースで対応が遅かったり、もしこれが同日中に対応できていれば、2例目、3例目の死亡例が発生しなかったのではないかとか、そういったところとの兼ね合いになってきますので、一概には言えないのですが、いずれにしても、結果責任といいましょうか、事件、事故を検証したときに程度によって、あるいは対応状況を振り返ったときにどのぐらいの対応が可能だったのではないかといったところとの兼ね合いで変わってくるものだと思っています。

そういう意味で一つ目についても同じようなことになるのですが、特に大事な部分は、帳簿というよりはまさに二つ目にあるような不良品が出た場合とか、不具合が出た場合、それから、製品自体を販売業者の営業所の中に保管したりする場合がありますので、物品の品質が劣化していないかとか、そういったところの目配りがどのぐらいできるかといったところが問われてくるのだろうと思っており、その辺りがどういう技術をもって変えることができるかといったところで、技術の具体的な姿が見えてくると、こちらとしてはイメージがつかみやすいと思っている点であります。

お答えになっていない部分もあるかもしれませんが、四つに対してお答えをさせていただきました。

根本構成員: 最後の点から申し上げると、技術の状況を見てということになりますと、リクワイヤメントがはっきりしないと技術は対応のしようがないということになろうかと思いますので、薬機法で求めているリクワイヤメントは何なのだということを詳細に出すことが必要ではないかと思いました。

とりわけ製造業者のコメントがありましたが、複雑な機器になりますと、恐らくデータ系のところは、販売業者のところで見ているケースは非常に少ないのではないかと思われます。ウオッチしているところは、営業所ではそれを見ていても状況が把握できませんので、故障等の兆候が出る前に把握できるのは、製造事業者側でデータを見ているケースにとどまるのではないかというような気がしました。

デジタル環境のお話は、初動の電話程度のところから始まると思いますし、図面、あるいはデータのやり取りが日常的にできるような形の部分なのだろうと思います。恐らくその際に最もそういう環境が整備されていないのは医療機関側になるのは、通常考えると分かりますので、そこのレベルに対応できれば、現在の規律体系の中で行われていることは十分に確保できるのではないかということですので、お答えは要りませんが、ぜひリクワイヤメントをはっきりしていただきたい。そうでないとやりようがないという印象でした。

以上です。

事務局(大澤): 時間が限られていますが、落合先生、手短によろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

今の議論を伺って、もう一度改めてこれを見ていきますと、不具合ですとか、苦情や回収の議論がありました。特に回収については、プログラムの場合ですと、現場に物がないので、そもそも代替技術ということでもなく、そもそも現場がないと思います。苦情や連絡については、今ですと電話の転送などは通常に行われており、例えばコールセンター業務などで外注すること自体も多くあります。先方に配慮してメールではなくファックスで送付するとしても、インターネットファックスで送ることもできますので、少なくともプログラムの場合はあまり関係がないのではないかと思いました。インフラの停止、サイバー攻撃の点についても、デジタルの場合ですと、通信としてBCPプランがちゃんとできているかどうかという話であると思います。これは現場があってもなくても、プログラムの場合と同じように対応できるように思われ、ある程度整理ができそうな課題と思いました。物の場合は、依然として現場でないとという部分はあると思いますが、特にプログラムについては、積極的にお考えいただければと思いました。

以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。

もしよろしければ、時間も限られていますので、このセッションはこちらで終了したいと思います。

厚労省様におかれましては、本日の議論を踏まえまして、引き続き検討をお願いしたいと存じます。厚労省の皆様、本当にありがとうございました。

続いてのヒアリングですが、5.主任無線従事者の常駐等を議題としたいと思います。総務省電波政策課の荻原課長からご発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

荻原課長: それでは、資料の表紙をめくっていただきまして、1ページ目をご覧ください。主任無線従事者制度について、まず趣旨と目的というところでまとめていますが、ご承知のように、電波は空間を伝わるものでして、電波を利用して通信を行う際に誤った操作を行いますと、ほかの通信に混信ですとか、妨害を与えてしまうということがあります。

このため、電波法におきましては、原則として電波に関する一定の知識、技能を身につけた人が無線設備を操作するということを原則としており、これは無線従事者制度と申し上げていますが、そういった原則の下で運用していただいているということです。

そのような中、無線通信技術が進歩しており、電波利用は急速に普及しています。皆さん、スマートフォンを1台のみならず、2台、3台と持っていらっしゃる方もいると思います。そのような中、電波利用のさらに一層の促進を図るために、平成2年5月、かなり前になるのですが、無線従事者の資格を持っている人だけしか無線局の操作ができないという制度を、無線設備の操作を主任無線従事者の監督の下であれば、資格を持っていない人であっても操作できるようにする主任無線従事者制度が導入されたということです。

制度の概要については、2番以下で説明したいと思います。下半分になりますが、今、申し上げましたとおり、電波法において、無線局の免許人が主任無線従事者を選任し、主任無線従事者の監督を受けることで、無資格者の方でも無線設備を操作できるという制度になっています。

主任無線従事者ですが、二つ目の○のところをご覧いただきたいのですが、無資格者の方の監督をするわけですので、その方が行っている無線設備の操作の状況を的確に把握して、必要なときは適切に指示をしていただくことが主な任務になります。

それに加えて、本制度では、左下に小さい字で書いていますが、五つの業務を主任無線従事者の職務として位置づけているということです。この中にはリアルタイム性が求められないものもありまして、例えば計画訓練の立案や実施とか、あるいは書類の作成など、そういったことも含まれています。

特に一番重要なのは、冒頭で申し上げましたように、無資格者の方の無線設備の操作を的確に把握して、適切な指示を行うことです。無線設備を操作する無資格者に対しては、主任無線従事者の指示に従うことが義務づけられているものです。

次のページをご覧いただきたいのですが、ここは手続のことが書いてありますが、主任無線従事者を選任したときには、無線局免許人の方は、その旨を総務大臣に届け出ていただくとか、主任無線従事者に講習を受講させることなどが義務づけられています。

その下の○は、今回、ここで課題として挙げられていることに密接に関連する部分ですが、主任無線従事者が行う監督については、誤操作ですとか、機器の故障によりほかの無線局に混信や妨害を与えることを防ぐために、原則としては無線局を運用する無資格者に側従する。つまりそばにいて監督することを前提にした制度になっているのですが、現在は、特定の場合においては、必ずしもそばにいなくてもよいということにしています。

その場合、監督についてこういった要件を満たしてほしいということを下の※2で小さく書いてあるのですが、ここにありますように臨場性、指示可能性、継続性という三つの要素を満たせばよいということなのです。

臨場性については、二つのケースを限定列挙する形で制度化しています。(1)にありますように、一つの構内で主任無線従事者の監督を受けて無線設備を操作する場合になります。

(2)は無人の無線局です。例えば山の上に中継する無線局が建っていたりするのですが、それが他の無線局に管理されて操作されている場合であって、その場合は主任無線従事者との通信手段が確保されていれば、無資格者が山の上に登って操作ができるということになっています。

指示可能性に着目いただきたいのですが、指示可能性を確保するに当たっては、通信手段によることもできるとしています。

今後の検討課題のところをご覧いただきたいのですが、主任無線従事者の監督の下で無資格者が操作を行う際には、ほかの無線局に混信とか、その他妨害を与えることを防ぐために、無資格者の誤操作とか、機器の故障が起きた場合、ほかの無線局にそういったことが起きないように、主任無線従事者が速やかに操作を取って代わるとか、あるいは不良な電波をすぐに止めるとか、そういった具体的な措置を取る必要があると考えています。

通信ネットワークを活用して遠隔で監督する場合においても同様で、主任無線従事者はこのような措置が適切に措置できるように、確保できることが必要ではないかと考えています。

今回、論点として挙げていただいていると認識していますが、テレワークに関しましては、デジタル技術が進展していますので、様々なことができるようになってきています。

ネットワークを活用してテレワークを行うということを検討するに当たりましては、まずは無線局というのは、様々な場面で様々な利用のされ方をしていますので、利用状況についてしっかり把握した上で、その状況を踏まえて、例えば遠隔で主任無線従事者が監督する場合、現地で操作している無資格者がいるわけですが、その際に無線局に関するどんな情報が必要になってくるのかとか、その場合、映像が必要なのかどうか、あるいはドローンであれば、位置情報が分かればいいのかどうか、適切な操作を監督するために必要な条件をまず明確にする必要があるだろうと考えています。

デジタル技術によってということで、一言で語られることもあるのですが、デジタル技術には様々なものがありますので、どのような技術を必要とするのかということについても検討が必要だと考えています。

いずれにしても、私どもとしましては、そういった検討課題が幾つかあるのは承知していますが、デジタル技術が発展した現代におきまして、できるだけ業務を効率化していくというのは、免許人の方々にとっても必要ですし、あるいは総務省側の職員もそういった効率化をすれば、業務の効率化につながっていきますので、ぜひ積極的に検討を進めていきたいと考えています。

ただ、今、申し上げたような課題は、同時にしっかり検討する必要がありますので、まずは無線局の利用状況等をしっかり調査してまいりたいと考えているところです。

私からの説明は以上です。

後ろの資料は、法令の実際の規定ぶりを載せています。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまの説明について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島先生、お願いします。

増島構成員: ありがとうございました。

私はアマチュア無線の免許は持っているのですが、いつの間にこんなルールができたのか、すごいと思いました。基本電波をいじるときに免許を持っていないというのは、私の感覚からはあり得なくて、車を運転するのに免許がないことと同じような状態という認識でした。

ここの部分を現状に存在しているもので緩和しているのは、テレワークも無線なので、無線で無線の話をしているので、不思議な感じになっているのですが、取りあえずやっているのは、遠隔でも外から指示ができていて、常に通信手段が確保されていて、その人が指示できていて、教育訓練ができていると、例外規定が適用されるという状態になっていると理解しているのですが、これがまず正しいかということです。

これができているとなると、基本的にはテレワークみたいなトピックに対応ができるとのお答えになってくるのではないかという感じがしたのですが、いろいろな状況を見て、フェーズがどこかということを別途検討しなければいけないという話でまとめていただいているのですが、例外でいろいろで来ますという話とフェーズが特定できませんという話はどういう関係に立っているのかという部分を教えていただくとありがたいと思いました。

以上です。

荻原課長: ありがとうございます。

私の説明が十分でなかったかもしれませんが、2ページの上から二つ目の○の注釈のところに監督の要件の臨場性、指示可能性、継続性ということで三つ書いています。1の臨場性のところなのですが、臨場性を確保する場合、実際には側従していることを要しないことを言っています。

それについては、(1)(2)のケースに限定しており、例えば一つの構内です。工場であれば、工場の中だけで無線設備を無資格者の方が操作する場合は、主任無線従事者は工場のどこかにいればいいということになります。それは(1)で言っているところです。

(2)は、遠隔で操作するということを言っているのですが、前段に書いてありますが、無人運用の無線局、要するに自動で運用される無線局であって、なおかつほかの無線局等に管理されているものです。自動で制御され、管理されているものについては、主任無線従事者は、通信手段さえあれば、遠くにいても構わないという規定になっています。

私どもが認識しているのは、例えば工場などでドローンを使って設備の点検などを行うときに、無資格者の人がドローンを無線で操作して、それをテレワークで遠方から主任無線従事者が監督するという形だと思うのですが、それについては、残念ながら(1)と(2)のどちらにも該当しないのです。(1)はあくまでも主任無線従事者が一つの構内の中にいなければいけませんので、そういう意味では、テレワークで工場内の無線システムの操作を監督するというのは、今、認められていないという形になっています。

そうは言っても、デジタル技術の活用は今後重要になってきていますし、様々な技術がありますので、無線のシステムの利用の仕方によっては、遠隔で一定の情報を主任無線従事者がモニターできるようになっていれば、遠隔で無資格者の操作を監督できるケースはあるのではないかと思っていまして、そういう意味では、どのような無線局の利用状況だったらそういうことができるかをしっかり調査したいということを最後のところで申し上げた次第です。

増島構成員: なるほど。趣旨は非常によく理解できました。免許を持たない人が無線をやるのはあり得ないと何となく思ったのですが、確かにそこの操作可能性みたいなものを遠隔でできるような場合には、現状あり得る可能性があるのではないかということで、前向きにご検討をいただけるという文脈の理解でよろしいわけですね。

荻原課長: どのようなケースで遠隔でテレワークができるかということをしっかり検討していきたいと思っています。

増島構成員: 非常によく分かりました。ありがとうございました。

事務局(大澤): 稲谷構成員、よろしくお願いします。

稲谷構成員: ご説明いただき、ありがとうございました。

今のやり取りとも少しつながるようなお話なのですが、遠隔で無線の電波を発信する機械、どういうメカニズムか完全に把握していないので、変なことを言うかもしれないのですが、遠隔でモニタリングできるというやり方もあるということもおっしゃられたように思うのですが、そうすると、さらに一歩進んで、無線の電波を発信する機器同士が接続されて、電波が混信しないように調整しながらシステムを組むみたいなこともできたりするのか。AIなどを使って、その地域で混信が起きないように、それぞれつながっているところが自動的に調整するみたいなものを備えていくという世界観もあったりすると思ったのですが、先ほど自動的に無線が監督されているというのはあったと思うので、そういう取組とか、さらにはそういったところに進んでいくような話というのが、技術的に可能かどうか分からないのですが、あったりするのかということを少しお聞かせ願えればと思ったところです。

荻原課長: ありがとうございます。

先生がおっしゃったような状況に至るには、まだ課題が多く、自動で無線局同士が交渉して混信を避けるようにするというところまで、技術的にはまだ確立されていないです。ですので、どうしてもシステムをつくるときに、あらかじめ技術者の人が電波の出方を調整したり、電波が変動した場合には対処が必要になってくるという状況の中で、今回の件も検討していかなければいけないというのが実情です。

稲谷構成員: ありがとうございます。

将来的にそういう技術ができてくると、そういったところに移行するということも視野には入っているという感じなのですか。

荻原課長: 技術的にはすごく難しいと思うのですが、AIの活用でそういった技術の活用が広がっていくというのは、大変すばらしいことだと思います。今、様々な分野の方がAIの研究をされていますので、そういったところもよくウオッチしてまいりたいと思っています。

稲谷構成員: ありがとうございます。

事務局(大澤): 落合構成員、お願いします。

落合構成員: 前向きにご検討いただいているように感じています。ありがとうございます。

具体的にどこの点が課題なのかを理解したいと思いましたが、監督と言う場合、具体的に監督する側としては、当然監督される側に連絡ができていないと駄目なのだろうと思います。ただし、例えば一の構内と書いてある場合があるということは、必ずしも同じ部屋であることまでは要さないということで、別の部屋から見ていたりするようなこともあり得るという想定にも見えました。そういった場合にどういった設備があれば監督できている状態になっているのか、どういうことを指示できる必要があるのかを理解したいと思ったのですが、いかがでしょうか。

荻原課長: ありがとうございます。

一の構内ということで、同じ部屋にいなくてはいけないということではありません。工場であれば、工場の中にいれば、何かあったときにすぐに駆けつけることはできると考えています。ですので、この制度をつくった当時も、一つの構内で主任従事者がすぐに駆けつけられるところにいるということであれば、何かあったときにも適正な対処ができるということで、こういった規定になっています。

例えばちょっと離れた家から通信ネットワークを使って通話をしたり、操作をしたりということができるのかというと、今はそういったことができる規定にはなっていないです。ただ、今後は一つの構内で無線システムを扱う場合、主任無線従事者が遠隔でできるようにするにはどうしたらいいかということを考えたときには、例えばドローンが操作を誤って構内の外に出てしまうと、ほかの無線局に悪影響を及ぼす可能性がありますので、そういうことは絶対に防がなければいけないので、無線従事者がパソコンなどでドローンの位置情報を常に把握したり、位置情報が外に近寄ってきたら、適切に指示が行えるような、利用環境がちゃんと整えられていることが必要なのではないかと、現時点ではそういったことが想定されるのではないかと思っています。よりドローンの利用の方法とか、いろいろと調べながら、デジタル技術でどういったところを代替できていくのかということをちゃんと検討していく必要があると思っています。

落合構成員: ありがとうございます。

確かにおっしゃっていただいたように、例えば指示の部分、オーバーライドできるまでの環境があれば、間違いなく大丈夫なのだろうとは思いました。しかし、監督をするときに、実際、現場で対応されているときに、例えば目の前に人がいて対応させているのであれば、権限をオーバーライドするまでは必要ないのではないかと思いました。その辺は、実際、監督としてどのレベルぐらいなのでしょうか。この際に、どの程度対面といいますか、一緒にいる場合に対応が求められる形になっているのかということがあり、その考え方とレベル感を合わせる作業があると思います。規制を緩和する必要は全くないと思うのですが、レベルを保って代替するということだと思いますので、今後もさらに研究を進めていただければと思いました。

荻原課長: ありがとうございます。

事務局(大澤): 時間の関係もありますので、これ以降のご質問については、事務局までお寄せいただければと存じます。

総務省の皆様方におかれましては、本日の議論を踏まえて、引き続きご検討をお願いしたいと思います。皆様方、どうもありがとうございました。

それでは、続いてのヒアリングは、警備業の認定証の掲示義務を議題とします。

警察庁生活安全企画課の鈴木課長からご発表をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。

鈴木課長: 本日は、警備業の認定に関しまして、ご説明するようにというお話ですので、いただいたお時間の範囲内でご説明したいと存じます。

それでは、早速、スライドを用いながらご説明をいたします。

1ページをご覧ください。警備業については、人の生命、身体、財産を守ることを主な業務内容とするものでありまして、その業務の実施の適否が国民生活の安全に大きな影響を与えるものですので、業務の適正な管理運営を図るために、警備業法の規定によりまして、認定制とされています。

警備業を営もうとする者は、警備業法第4条の規定で、同法第3条各号に規定する欠格要件のいずれにも該当しないことについて、都道府県公安委員会の認定を受けなければならないとされています。

スライドの下にありますように、認定を受けようとする者は、法第5条の規定によりまして、申請書類等を手数料と共に持ってきていただきまして、審査の後、認定がなされれば、認定証が交付をされることになります。

認定を受けた警備業者は、法第6条の規定によりまして、認定証を主たる事務所の見やすい場所に掲示することとされているところであります。

2ページは、警備業の欠格要件を規定する法第3条の規定となります。

3ページですが、こちらにある書類が申請の際に必要となるものになります。

4ページです。次に警察で運用を行っています、警察行政手続サイトについてご説明をします。警察庁では警察関係の一部の手続のうち、定型的なものについて、メールによる簡易な方法で申請等の手続ができるよう、試行的なウェブサイトとして警察行政手続サイトを構築しまして、令和3年6月に運用を開始しています。

警備業に関しましては、廃止の届出等の五つの手続を対象としています。

今後より多くの手続をオンラインで行うことができる本格的なシステムを別途構築するため、その検討を長官官房を中心に進めており、利用者の利便性の向上に資するよう、マイナンバーカード等を用いた本人確認、手数料のオンライン納付についても検討しているところです。

5ページをご覧ください。今回取り上げています警備業の認定についての現在のフェーズについては、警備業の認定の申請はPHASE2②、認定証の掲示はPHASE1①となります。

スライドの下にあります課題(論点)については、デジタル庁さんからご提示のあったものを記載しているところであります。

6ページですが、いただいた論点の1点目、警察行政手続サイトへのキャッシュレスの納付のためのシステムの拡充についてであります。

この点については、先ほど申し上げたとおり、警察行政手続サイトは簡易的なシステムとして構築されたものですので、現状、オンライン納付の機能はありません。

手数料の制度については、都道府県の制度となっていますので、都道府県との調整も必要となるところであります。

この課題については、現在検討中の本格的なシステムにおいて、検討を進めていくことを考えています。

7ページをご覧ください。いただいた論点の2点目、住民票の写し等の真正性、認定証のデジタル発行の真正性の確保についてです。

この点についても、現在の警察行政手続サイトは試行的な簡易的なシステムでありますので、本人確認の機能はありません。

将来的には電子署名を用いて本人性を担保することは可能であると考えていますが、住民票の写し等の紙媒体をデータ化したものの内容が、申請の紙媒体のものと同一であることをどのように担保するかということについては、より大きな枠組みの中で検討がなさるべきものだと考えています。引き続き検討していきたいと考えています。

8ページをご覧ください。上半分がいただいた論点の3点目、認定証の掲示規制について、インターネットで公表することに加えて、現地における掲示を残存させてはどうかというものです。

これについては、インターネットの利用による公示を可能としつつ、デジタル弱者保護の観点から、主たる営業所における掲示についても継続することが望ましいのではないかと考えられるところであります。

スライドの下半分をご覧ください。いただいた論点の4点目、警察行政手続サイトに認定手続も拡充できないかということです。

現在検討中の本格的なシステムにおいて、認定手続を対象として検討することは可能であると考えていますが、現在運用しています警察行政手続サイトは、あくまで簡易的なシステムとして運用しているものでありますので、これを拡充することは、費用対効果の点から優先度が低くなるのでないかと考えられるところです。

9ページをご覧ください。目指すフェーズについてですが、PHASE2、デジタル原則に適合する手段を可とするという方向を考えているところです。

説明は以上となります。

スライドの10ページ以降は、統計数値、条文の規定を載せていますので、ご参考にしていただければと思います。

警察庁からは以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島構成員、お願いします。

増島構成員: どうもありがとうございました。前向きに検討いただけていると思いました。

全体的に見ると、警察さんは地方にもたくさんあるというのが特徴で、それぞれが独立してと言うと変ですが、やられているという形になっていらっしゃると思うのですが、特にデジタル原則中に共通基盤利用原則があったと思っていまして、例えば本人確認の仕組みというのは、共通基盤を国でつくりますというのがあって、多分そういうものを導入していただいて、何か仕組みをつくるということをしていただくのだろう。あと、支払いの部分もそうです。この辺の決済の基盤なども一つつくるということをやるのだと思いますので、これを使いましょうという、こういう施策を打ち出していただくのが、デジタル原則的には期待されると思いました。

同時に、地方自治体でそれぞれの県警がいるのですというお話についても、共通基盤利用原則に従って、同じものを使ってくださいという話をしていただいて、仕様の重複みたいなものが起こらないようにするというのが、日本国政府の方針だと思っていましたので、その辺りの共通基盤利用原則を意識した形で、施策を講じていただけるとありがたいと感じたところです。

以上です。

警察庁技術企画課: 現在、警察庁では共通基盤システム、警察の共通基盤を構築しており、先ほど先生がおっしゃったように、47都道府県ばらばらに今まで整備していた情報管理システムを警察庁で一元的に整備しまして、こちらを47都道府県に使ってもらおう。手数料の納付ですとか、本人確認の方法ですとか、こういったものは共通の機能を用意して、共通的に使ってもらおうという形の施策を進めています。ですので、警備業の関係でも警察庁で整備している共通基盤を活用した上で、手続を構築していくということを検討していますので、ご参考にしていただければと思います。

増島構成員: なるほど。ありがとうございます。

どこまで縦でやるのかという話があって、納付システムとか、何とかシステムとか、いろいろあって、それぞれ走っているものがあるというのは十分に承知している反面、全体的に共通のものでやりたいという話とか、デジタル庁さんなのか、国全体でもやっているようにも伺っていて、時間軸もいろいろあったり、それぞれの省庁でもともとやられていたプロジェクトなどもあると思うので、アライメントというのはあるという感じはしました。

今後どこまでプロジェクトが下りていくのかという話にもよるかもしれないですが、オンライン申請などの本人手続とか、本人確認などというのは、基盤を開発する計画がいろいろと立っており、警察庁さんの中で全部やりますという話なのかどうなのかというのは、私もほかのプロジェクトとの進捗がよく分からない部分もあるのですが、いろんなところで同じようなことをやっているのをどういうふうに共有してやっていくかという、ここがアラインされるといいと思いました。

それぞれでプロジェクトをやられているのを邪魔するつもりは全くないのですが、全体的には皆さんが同じことを考えられながら連携なく動いているのではないかと思った次第です。

事務局(大澤): ほかはいかがでしょうか。稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: いろいろと前向きにご検討されていると理解しました。ありがとうございます。

私からは細かいというか、しようもない話なのかもしれないのですが、認定証の掲示の話で少しお伺いしたいのですが、警備業者の事務所に直接普通の人が行って契約するというのは、あまりないような気もします。警備会社は、大きい会社に普通の消費者が頼むようなところがあるような気もしていて、小さい警備業者に行って、事業所で見るみたいなことはあまりないような気もするのですが、そうすると、デジタル弱者保護の在り方というのも、一般の消費者を保護するということとは何となく違うような気もして、むしろどんどん進めてしまっても、そこまで大きな問題は生じないような気もしたのですが、例えば警備業者のサイズであるとか、どのぐらい一般の消費者が小さいところを使っているかとか、そういった辺りのデータはお持ちだったりするのでしょうか。

鈴木課長: ご質問ありがとうございます。

警備業者の数について、少しご紹介したいと思います。統計がまとまっている最新のものが、令和2年中のデータになります。ご容赦いただきたいのですが、令和2年中の警備業者の数は1万113ありまして、このうち、100人未満の警備業者が9,056ということで、全体の89.5%を占めているところです。あと、5人以下というところも、全体の25.4%を占めており、警備業自体は中小企業、ないしは中小の事業者さんが多いという状況もあります。

今、先生がおっしゃったように、大手さんは非常に大きな会社があるというのは、おっしゃるとおりですが、警備業全体を見ると、今、申し上げたような状況でして、そうした面も考えていかなければいけないと思っているところです。

稲谷構成員: ありがとうございます。

小さいところは、例えば工事の会社などが個別に結んだりしているというイメージを持っていたのですが、そうではなくて、消費者がダイレクトに契約を結ぶこともよくあるということなのですか。

鈴木課長: ご質問ありがとうございます。

先生がおっしゃるように、一般の方は大手さんと結ばれることが多いのではないかと思っています。一方で、まさに事業者さんが警備業者と契約したり、そういう場合には、今、申し上げたような中小の事業者さんも結構いらっしゃるということになろうかと思います。

稲谷構成員: ありがとうございます。

B to Bでやるのであれば、消費者そのものを保護するときとは違う緩め方というか、やり方もあると思っただけです。

事務局(大澤): 落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

私からも今後検討されていくに当たり、何点か伺えればと思います。

公金の点については、総務省、デジタル庁などを中心として、各省庁でeLTAXを利用することなども含めて、検討をしていただいてはどうか、という話を規制改革会議などでも議論していたように思っております。そういった基盤を利用していかれる可能性がありそうかということが一つです。

一方で、直近ですと、自治体ごとに、例えば窓口納付のものなども、クレジットカードだけに限らず、電子マネーなどでも支払えるようにする取組もあります。この点、例えば早いタイミングでは、自治体に委ねて、電子的手法を使えるところは使って良い形にすることもあると思いますが、その辺りはどうでしょうかということです。

本人確認についてですが、事業者については、例えばgBizIDという話があると思います。一方で、個人については、公的個人認証などを含めて、デジタル庁で準備しているものがあると思います。この辺り、どういう見通しでお考えになられているかを伺えればと思います。

以上です。

警察庁技術企画課: ご質問ありがとうございます。
 
先ほど公金、手数料の納付の関係のお尋ねがありましたが、今、我々でもどういう方法があり得るのかというところを検討しており、最も費用対効果の高い形で制度設計ができるようにと考えていまして、それを踏まえた形で、システムのつくり込みを行っていく予定です。

先ほど自治体ごとにいろいろな支払いの方法があって、そちらを活用したらどうかというご示唆もありましたが、こちらは警察庁が提供するシステムになりますので、47都道府県で一定程度精通的なものである必要があると考えていますので、そこはある程度ラインを引かざるを得ないと考えています。

また、本人確認の方法についても、gBizIDの使用といったものも、今、我々では検討しているところですし、公的個人認証の制度も使っていきたいと考えています。

先ほど増島先生からもご指摘がありましたが、他省庁で取組が進められているものについても、我々はしっかりと目配りをしながら対応していきたいと考えています。

落合構成員: ありがとうございます。

公金については、総務省なども交えて統一的にというか、警察庁さん以外の各省庁がなるべく一緒にという議論もあるかと思いますので、そういう視点も考慮していただくことは宜しいかと思いますし、先ほどの自治体の件は、もし過渡期に早めにやれるところがあればどうかという趣旨でしたので、最終的にそうしなければならないという意味では全くありません。そこは目標として見ているところは同じだと思っています。

事務局(大澤): デジタル庁から補足しますと、今の落合先生のご指摘、それから、先ほどの増島先生のご指摘で共通すると思いますが、共通基盤利用原則との関係で、例えば本人確認、あるいは手数料の納付の基盤を共通したものとしてつくるべきではないか、こういったご指摘だったと思いますが、これは経済界からも行政手続に関するご要望を多く頂戴しており、今、作業部会の中で対応することができないか、こういった検討を進めていますので、そうした検討とも連携しながら、また、各府省庁様のいろいろなご要望、ご要請があると思いますので、そうしたものをしっかりと聞きながら検討していきたいと思っています。

ほかによろしいでしょうか。
 
時間の関係もありますので、よろしければ、ここのセッションはこちらで終了したいと思います。

警察庁の皆様方におかれましては、本日の議論も踏まえまして、引き続きご検討をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

続いてのセッションは、農地台帳のオンライン閲覧を議題とします。

このセッションでは、事務局から農水省の取組を先行事例としてご紹介したいと思います。

資料に沿ってご説明します。

今回の点検では、往訪閲覧あるいは縦覧規制をデジタル原則への適合性の点検の対象としています。この規制は行政機関が保有しています情報、あるいは書面を国民が閲覧をする際に行政機関に出向かなければならない、こういった規制のことですが、各省と調整を進める中で、閲覧の対象物に個人情報等の機密情報が含まれているために、オンライン閲覧への移行ができない、不適当であるという指摘がなされるケースがあります。

具体的な懸念は表に示していますとおりですが、例えば閲覧情報の無断の撮影、すなわち閲覧者がスマホ等でディスプレイを無断で撮影してしまう、あるいは閲覧を認められた申請者以外の方が申請者とともに情報を閲覧することが容易になってしまう、こういったものが挙げられています。

こうした課題への有効な解決手段の一つとしては、閲覧の目的達成に必要のない個人情報を除外する、こういった制度的な工夫を行うことがあり得るのではないかと我々は考えています。

次のページに行って、この点については、先行事例として農地法施行規則の農地台帳のオンライン閲覧というものが挙げられようかと思います。

中ほどに記載がありますとおり、これは農業委員会が整理をしました農地台帳、こちらには農地の所有者の氏名、あるいは農地の所在地でありますとか、面積、これは一筆一筆、こういったものが整理をされていて、その他権利関係などが記載されています。

これをインターネットで閲覧させる場合、農地の所有者あるいは権利の相手方の氏名などを公表の対象から除外して閲覧に供しているといったものです。こうした措置によりまして、プライバシーに配慮した形でデジタル化を実現しまして、時間的な制約、あるいは場所的な制約がなく、情報のオンライン閲覧が可能となっているもので、こうした事例を横展開していきたいと考えています。

時間の関係もありますので、本件については、ご質問などがありましたら、事務局までお寄せいただければと考えています。

引き続きまして、8番目のヒアリングに移りたいと思います。8番目は防火管理者講習のデジタル化を議題とします。総務省消防庁予防課の白石課長からご発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

白石課長: 資料に従いまして、ご説明したいと思います。

1ページ目をご覧ください。防火管理講習について関連する法令ですが、消防法第8条第1項で、学校、病院、工場、百貨店等の防火対象物で政令で定めるものの管理権原者は、政令で定める資格を有する者のうちから防火管理者を定め、防火管理上必要な業務を行わせなければならないとされています。

防火管理制度は、建物の防火安全を確保するために、ソフトの管理が非常に重要であることから、建物の用途や規模に応じて防火管理者を定めることとしています。

防火管理者の資格の要件の一つとして、防火管理講習の課程を修了した者が消防法施行令第3条に定められています。

2ページ目をご覧ください。防火管理者講習の実施主体は都道府県知事、市町村の消防長、総務大臣の登録を受けた法人、これは登録講習機関と呼んでいますが、こういったものが対象となります。

また、講習の種類は、防火対象物の種類に応じて、甲種防火管理講習と乙種防火管理講習に分かれています。

甲種防火管理講習には、新規講習と再講習があります。講習は座学が中心となりますが、一部に、より実効性を高めるために、消火器や屋内消火栓等の操作方法など、実技を取り入れている消防本部もあります。

講習時間等については、右表のとおりとなっています。

3ページをご覧ください。防火管理の目的は、多数の者が出入りし、勤務し、または、居住する防火対象物において、防火管理者を定め、消防計画の作成及びこれに基づいた防火管理上必要な業務を行わせ、火災の発生防止や被害軽減を図ることとなっています。これらは過去の火災等の教訓を踏まえて、随時充実・強化が図られていったところです。

4ページ目をご覧ください。防火管理講習の流れを示しています。受講の申込みや受講料の支払いについては、一部ではオンラインやクレジットカード払い等を実施しています。現状、多くは対面講習となっていますが、一部の消防本部や登録講習機関において、新規講習や再講習について、オンライン講習を可能とするところが出てきているところです。

防火管理講習の実施状況については、右表のとおりとなっています。

5ページ目をご覧ください。先行事例として、新規講習については、岐阜市消防本部が本年からオンライン講習を開始しています。消火器の操作の実技講習や効果測定については、対面で行うというハイブリッド方式を採用しています。

6ページをご覧ください。登録講習機関であります日本防火・防災協会においては、令和3年度から甲種防火管理講習の再講習についてオンライン講習を開始しています。今年度からは受講定員の拡大や、企業向けの再講習をオンラインで実施すると聞いています。

7ページをご覧ください。当てはめの理由と現状ですが、甲種防火管理新規講習及び甲種防火管理再講習については、PHASE2、類型1の①②と整理しています。

フェーズを進めるための課題(論点)について、事務局から四つの論点をいただいています。それぞれについて、簡単にご説明をしたいと思います。

第一に実技講習の考え方ですが、一部の消防本部は、消火器を用いた消火訓練や、自動火災報知設備の操作の体験等を実技で取り入れています。

例として、甲種防火管理新規講習をオンラインで実施している岐阜市消防本部においては、座学をオンラインで行い、実技と効果測定を対面で行っています。従前の講習と同等の効果を得るためには、対面とオンラインを組み合わせて実施する工夫も必要であると考えています。

次に本人確認の件についてですが、登録講習機関は、受講申込者宛てに受講に必要なパスワードを送付することで対応しています。

岐阜市消防本部は、オンライン申込時に顔写真つきの身分証明書の画像データを添付させ、オンライン講習に必要なIDとパスワードを送付し、実技等の対面講習の際に直接本人確認を行っていると聞いています。

今後、適正にオンライン講習を実施するためには、こういった本人確認の事例等、他のいろいろな事例についての把握に努めていく必要があると考えています。

三つ目として、様々な講習の主体があるということに対してですが、オンライン講習を実施しています消防本部や、登録講習機関の実施方法や課題について、各消防本部等へ共有するとともに、実施状況やオンライン化の計画の調査を行って、各消防本部等をサポートするためのガイドラインの作成等について検討しているところです。

8ページをご覧ください。四つ目の論点として、これまでのオンライン化を踏まえた課題ですが、オンライン講習を実施しています講習機関から、初期導入費用や保守費用のコスト面の課題があると伺っています。これはデジタル庁を中心としたオンライン講習システム、例えば共通プラットフォームのようなものの整備がなされますと、オンライン講習の導入がさらに促進されるのではないかと考えています。

我々としても、今後、状況のヒアリングや情報を把握しながら、課題の把握に努めてまいりたいと思っています。

フェーズを進めるための課題ですが、防火管理講習というのは、高齢の方の受講も考えられますので、オンライン講習と対面講習は併存する形になっていく必要があるのではないかと考えています。

また、防火管理者の質の向上、質の確保を図るためには、実技講習も有用な要素であると考えています。

運用コストが重要な要素であると考えており、申請から修了証の発行まで、一連の対応ができる利便性のある安価なシステムの開発情報や、市販化の状況等の把握に努め、情報共有していくことが必要であると考えています。

9ページになりますが、我々はPHASE3を目指し、甲種防火管理講習についてはデジタル完結を目指していきたいと考えています。

以下は参考の法令等です。

説明は以上です。

事務局(大澤): ありがとうございました。

ただいまのご説明について、ご意見、ご質問がありましたら、お願いします。増島構成員、お願いします。

増島構成員: ご説明いただきまして、ありがとうございました。

共通基盤を使いながらオンラインを進めていったり、いろいろ工夫をしていただけるということで、ありがとうございます。

教えていただきたいのですが、岐阜市はすごく先行して頑張っていらっしゃる状況になっており、何が原因で彼らはこういうふうに頑張っていらっしゃるのかということが分かると、同じような形でほかの市もできるのではないかと思ったので、教えていただきたいと思いました。

岐阜市がやっていることを横展開すると、同じようなことがいろんなところでできるのではないかと感じるわけですが、そういう展開の方法は難しそうに見えていらっしゃるのでしょうか。この2点を教えてください。

白石課長: ありがとうございます。

岐阜市については、コロナ対応の関係で、令和2年に消防長が指示をして、かなり全体が動いたと伺っています。それほど規模が大きくない市において、これだけ取組まれているということは、他の市町村の参考にもなると思いますので、我々としてはこういう事例をより多く集めて、深く状況を聞いたりして、水平展開を図れるような形を取っていきたいと思っています。

また、岐阜以外の消防本部、例えば東京などでも、今、オンラインで実施することについての検討を進めていると聞いています。令和5年度末と聞いていますが、そのぐらいからできるという情報もありますので、いずれにしても、こういった情報を広く展開しながら、促進を図っていきたいと思います。

増島構成員: どうもありがとうございます。

難しいです。自治体さんにそれぞれ早くやってくれという話と、共通基盤を使えという話、二つのことを申し上げると、どういう順番でやったらいいのかとか、難しいところもあるかと思っていますが、ぜひ前向きな活動として取り組んでいただけるとありがたいと思いました。

白石課長: ありがとうございます。

事務局(大澤): 他はいかがでしょうか。落合構成員、よろしくお願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

前向きに進めていただいておりますが、さらに先行的な事例を踏まえて進めていただきたい点もあると思っています。

今後の進め方ではありますが、規模が大きいところと小さいところがあると思っています。本人確認の進め方や、デジタル手段の活用も含めて、一様に実施できるわけでもないとは思います。しかし、できるだけ多くの方に早く使っていただけるようにと思っております。実技の部分はどうしても面前で行わざるを得ないことがあろうかと思いますが、そうではない部分は、できるだけ参加が大きくできるようなところから進めていただけるように、うまく働きかけをしていただければと思いますが、いかがでしょうか。

白石課長: おっしゃるとおりでありまして、講習のニーズが多いところと少ないところと、かなり差があります。したがいまして、できるだけ大きなところ、先ほど申し上げた東京などもそうですが、政令市とか、そういったところに最初に取り組んでいただけるように、我々としても働きかけをしていきたいと思います。

以上です。

落合構成員: ありがとうございます。

事務局(大澤): 他はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしましたら、こちらのセッションはこちらで終了したいと思います。

消防庁の皆様におかれましては、本日の議論を踏まえまして、引き続きご検討をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。

続いてのヒアリングは、司法試験のデジタル化を議題としたいと思います。

ここからは、非公開の会議となりますので、デジタル庁、法務省の皆様以外の省庁におかれましては、恐れ入りますが、退席をお願いします。

法務省大臣官房人事課の三谷試験管理官からご発表をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

三谷管理官: 本日はこのようなご説明の機会を与えていただき、ありがとうございます。

司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について、本省で検討している内容をご説明します。

資料をご覧いただきながら、お聞きいただければと思います。

資料の上の左側からご覧いただけますでしょうか。司法試験の概要についてご説明します。司法試験は、皆様、ご存じのとおりだと思いますが、法曹、つまり裁判官、検察官、弁護士になろうとする人に必要な学識・応用能力の有無を判定する試験であります。合格しますと、司法修習生となる資格が与えられ、司法修習を終了することにより、法曹となる資格が与えられるものです。

司法試験の内容ですが、短答式の試験が3科目と論文式の試験が4科目8分野であります。現状、短答式はマークシートに手書きで記入する方式で、論文式は手書きで記述する方式により解答することとされています。

試験の実施時期ですが、毎年5月中旬頃に4日間、これは論文式の試験が3日間、短答式の試験が1日、全国7試験地で実施しています。

司法試験を受験するには、法科大学院を修了するか、司法試験の予備試験に合格することが必要です。

司法試験ですが、令和3年に受験した人数は3,424名、1,421名が合格しております。

続きまして、予備試験の概要についてご説明します。お示ししている資料の上部の右側をご覧いただけますでしょうか。予備試験は法科大学院を経由しない人にも法曹資格取得の途を開くために設けられた試験であります。合格者には司法試験を受験する資格が与えられるものです。

予備試験の試験内容ですが、こちらは短答式の試験が8科目、論文式の試験が10科目、口述試験が2科目です。短答式試験に合格した人のみが論文式試験を受験でき、論文式試験に合格した人のみが口述試験を受験できる形になっています。

試験の方式については、短答式はマークシートに手書きで記入する方式、論文式は手書きで記述する方式により解答することになっています。

予備試験の実施時期等ですが、毎年5月中旬頃に全国7試験地で短答式を実施し、7月の中旬頃に全国4試験地で論文式試験、最後に10月下旬頃に一つの試験地で口述試験を実施しています。

予備試験は受験資格に制限はありません。

令和3年の実績ですが、受験者は1万1717名おり、最終合格者は467名でした。

これら司法試験と予備試験の実施主体は司法試験委員会であり、この委員会の庶務を我々法務省大臣官房人事課が担当しています。

次ですが、資料の中段の課題という欄をご覧いただけますでしょうか。司法試験・予備試験におけるデジタル化の必要性に関する課題についてのご説明をします。現状、二つの試験とも、短答式試験、論文式試験はいずれも手書きで筆記をすることで解答することとされています。特に論文式試験については、ほかの国家試験では類を見ないほどの大部の答案を手書きで作成することが求められるという特徴があります。

具体的な量をイメージしますと、司法試験の論文式試験における答案の作成量は、1問当たりA4サイズの答案用紙が最大で8枚に上るものです。論文式試験は合計9問ありますが、答案用紙8枚のものが7問あり、4枚のものが2問ありますので、最大で、合計で64枚の答案を作成することになる試験であります。

このような試験の方式については、次のような指摘があるところです。過度に事務処理能力を試す試験になっており、受験者に無用の負担を負わせているのではないかというご指摘もありますし、試験に合格して法曹になれば、業務文書をパソコンで作成するのが通常となるのに対して、試験のみ手書きを要求するのは実務に即していないのではないかという指摘も受けているところであります。

また、試験運営上の事務作業の面での課題ですが、現在のやり方では、受験者全員分の答案用紙を準備する作業から始まりまして、解答が記入された答案用紙を全国各地の試験場から回収・運搬する。回収したものを一旦スキャンして、PDFデータ化した上で、採点の公正性を担保するために、誰が作成したのかが分からない状態となるような、必要なマスキング作業を行って匿名化して、そのデータを改めて印刷して紙媒体に戻します。そして、その紙媒体を採点の担当者のところに運搬するという、煩雑な作業を行うという流れになっています。また、答案審査、つまり採点の場面においても、答案用紙に記入された手書きの文字については、判読が困難な場合が少なくありませんので、答案の採点担当者には無用な負担をかけている状況にございます。

そのほかですが、受験の手続です。出願等の受験手続の面においても、現状では出願手続、受験票、合格通知書の交付等の手続は、郵送でのみ行っています。受験手数料の納付も収入印紙によってのみ行っている状況です。

このような現状の課題の解消に向けた取組ということで、資料の一番下の欄をご覧いただけますでしょうか。これらの課題を改善し、受験者や採点担当者の負担軽減、利便性の向上等を図るために、司法試験と予備試験の双方についてデジタル化を検討する必要があると考えているところです。

具体的には、短答式試験と論文式試験について、それぞれICTを活用するという検討を行っているということですが、例えばパソコンを使用して答案を作成する方式の試験を導入することも検討しています。ただ、一方におきまして、試験においてICTを活用するには、カンニング等の不正行為を防止して、試験の公正性・公平性を確保できるかという点など、様々な課題がありますので、その実現に向けた調査・検討をきちんと行う必要があると考えているところです。

また、今、申し上げたようなICTの活用のほかにも、受験手続のオンライン化に向けた検討も行っています。具体的には、現在郵送で行われている出願手続や受験票、合格通知書の交付等の作業をオンラインでできるようにする。また、収入印紙で行われている受験手数料の納付方法について、収入印紙ではなく、キャッシュレスで行えるようにすることについての検討を行っています。

まだまだ課題や検討すべき事項は山積みですが、引き続きデジタル化についての検討を進めてまいりたいと考えているところです。

私からのご説明は以上になります。

【司法試験のデジタル化に係る意見交換については非公開】

事務局大澤: そろそろ時間も差し迫っておりますけれども、ほかはいかがでしょうか。

よろしいようでしたら、こちらのセッションはここで終了とさせていただきたいと思います。

法務省の皆様方におかれましては、本日の議論を踏まえまして、引き続きご検討をお願いしたいと思います。法務省の皆様方、本日は誠にありがとうございました。それでは、ここで一旦、安念先生に議事進行をお返しさせていただきたいと思います。

安念副座長: 大澤参事官も長丁場で本当に大変でした。ありがとうございました。

ヒアリングは以上でございます。

引き続きですが、事務局からご説明をいただきます。常駐・専任、対面講習、書面掲示、往訪閲覧縦覧に関する調整状況の報告について、引き続き大澤参事官からご説明をいただきます。

【常駐・専任、対面講習、書面掲示、往訪閲覧縦覧に関する調整状況については非公開】

安念副座長: 本日のヒアリングにもあった「試験」については、例えば法務省さんの中でも所管されているもの、ほかの省庁が所管されているものもあると思いますが、基本的には一つつくれば、応用ができるようなものだと思います。そういった部分は、もう少し広い範囲で見ていただいたほうが、全体として投資対効果がよくなる可能性もあるのではないかと思いますので、今後検討していく際には留意いただきたいと思います。それでは、最後に事務局より次回の作業部会の開催について、ご説明をいただきたいと存じます。

事務局(大澤): 事務局から3点ご連絡を申し上げます。

次回の作業部会については、今週金曜日、20日の14時半から開催したいと思います。よろしくお願いします。

2点目、本日の議事についてですが、9点目のヒアリングの司法試験のデジタル化については、議事の一部が公表になじまないため、ご異議がないようでしたら、当該部分を非公開とさせていただきます。

また、今、私からご説明しました報告事項についても、ご異議がないようでしたら、非公開とし、これら以外の部分について、後ほど議事録を作成して、皆様にご確認をいただいた上で、公開させていただきたいと存じます。

3点目、本日の資料の取扱いですが、最後の報告の部分については、非公開ということで、それ以外については、デジタル臨調のホームページで公開をしたいと思います。

以上です。

安念副座長: どうもありがとうございました。

本日は非常に長丁場で、構成員の皆様、事務局の皆様に大変なご負担をおかけしました。特に髙松、大澤両参事官には出ずっぱりで活躍をしていただきまして、本当にありがとうございました。

それでは、皆さん、長時間どうもありがとうございました。