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デジタル臨時行政調査会作業部会(第19回)

概要

  • 日時:2023年(令和5年)3月28日(火)10時00分から12時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. 法人ベース・レジストリと制度的課題について
    2. 土地系ベース・レジストリと制度的課題について
    3. 民間事業者向けデジタル本人確認ガイドライン策定完了について
    4. 行政手続のエンドツーエンドでのデジタル完結に向けた取組について
    5. 通知・通達等の見直しの現状について
    6. 地方公共団体におけるアナログ規制の見直しに係る課題調査について
    7. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事録等

日時

令和5年3月28日(火)10時00分から12時00分まで

場所

オンライン開催

出席者

座長

  • 大串正樹(デジタル副大臣)

構成員

  • 安念潤司(弁護士中央大学大学院法務研究科教授)
  • 稲谷龍彦(京都大学大学院法学研究科教授)
  • 岩村有広(日本経済団体連合会常務理事)
  • 上野山勝也(株式会社PKSHATechnology代表取締役)
  • 落合孝文(弁護士渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 増島雅和(弁護士森・濱田松本法律事務所)

事務局(松田): 第19回デジタル臨調作業部会を開会したいと思います。
今回も構成員の皆様にはオンラインでご参加をいただいております。

本日の構成員のご出席状況ですけれども、菅原構成員におかれましては所用によりご欠席、稲谷構成員におかれましては途中でご退席と伺っております。

早速ではございますが、これより本日の議事に入らせていただければと存じます。以降の議事進行につきましては安念副座長にお願いできればと思います。安念先生、よろしくお願いいたします。

安念副座長: おはようございます。安念です。
それでは、第19回の会議を始めます。
本日の議事は、
第1「法人ベース・レジストリと制度的課題について」。
第2「土地系ベース・レジストリと制度的課題について」。
第3「民間事業者向けデジタル本人確認ガイドライン策定完了について」。
第4「行政手続のエンドツーエンドでのデジタル完結に向けた取組について」。
第5「通知・通達等の見直しの現状について」。
第6「地方公共団体におけるアナログ規制の見直しに係る課題調査について」。
以上の6件でございます。

本日最初の議題である「法人ベース・レジストリと制度的課題について」は、法務省さん、国税庁さんにもご参加をいただいております。

まずは三島参事官よりご説明をお願いいたします。

三島参事官: それでは、法人について説明させていただきます。

まず3ページに前回の議事概要を載せておりますが、前回は共通基盤利用原則として、商業登記由来の情報を行政機関で共有することにより、申請事項、申請手続の省略が実現できる可能性があること、そのための横断的な法整備の方向性についてご議論いただきました。
本日は前回の目指すべき姿を実現するために行政機関間で共有する法人基本情報として求められる要件、提供主体、提供に係る法整備等、データの提供に係る在り方について議論いただきたいと考えております。

4ページに行っていただきまして、マスターデータとして求められる要件でございますが、前回、国税庁さんの発言にもありましたとおり、少なくとも日次で登記由来の情報について抜け漏れなく提供し続けることが求められる訳でございます。これを誰が担っていくかということが課題かと考えております。

具体的な省庁のお名前を出す前に5ページでございますが、行政機関内の役割分担に関しての整理でございます。前提として登記のような情報源の制度所管の行政機関に求められる役割とデータを提供する行政機関に求められる役割は異なると考えております。情報源の省庁においては、その情報の正確性や最新性、制度自体の信憑性が求められるわけでございますが、一方、データを提供する上では機械判読性や差分データを途切れなく提供するといった別の観点からの貢献が求められます。

6ページにおいて、他国の例を概念的にまとめていますが、データの提供に関してまで情報源の制度所管の行政機関が役割を果たしているかについては、国により事情が異なるということでございます。

7ページには、現状の登記由来の情報提供に係るシステム関連図を示していますが、要すれば、これまでの経緯で添付省略や法人番号の付番の関係で幾つかのルートに分かれている状態でございます。

一方で、8ページですが、必要なのは登記という情報源、そこから生成される品質を担保したデータ、ニーズに応じてAPIや閲覧等の機能を提供していくことでして、この考え方に従ってどこまでを共通基盤とするのか、どこまでを情報源たる省庁の役割とするのか、登記で言えば法務省になると思いますけれども、そちらについて整理をしていく必要があると考えております。

9ページには、具体的な役割分担を示しております。まず、ユーザーに対してニーズに応じた提供を行うAPIや認証認可等の連携基盤については、登記以外の許認可や資格事項等の属性情報への拡張可能性を考えると、共通基盤として整備をしていくのが適切なのではないかと考えております。その上で、データの品質の担保については、原則としてはユーザーと接点を持った最上流工程、すなわち登記であれば登記制度を所管する法務省において担うことが最適なのではないかと考えております。

一方で、登記情報システムは基幹システムでもあり、すぐに改修ということも現実的ではないというように考えております。原則論としては法務省が担うとしつつ、今後の更改に向けた仕様検討の中で取り組んでいくこととした上で、マスター側の整備が進まないと、さらにその先の参照側の個別制度を所管する行政機関側のシステム更改も進められないということを踏まえまして、まずはマスターデータを参照する形を先につくることが先決であると考え、過渡期と位置づけた上で共通基盤側、すなわち、デジタル庁側において担っていくことが必要なのではないかと考えております。

10ページには、こうしたことを踏まえた制度的対応の方向性についてまとめています。ベース・レジストリとしての利用範囲を定めることは前提としつつ、参照側の行政機関が情報を利用できること。また、データ提供を行う行政機関は参照側の行政機関の求めに応じて提供すること。それから、データ提供を行う行政機関は情報源の制度所管省庁にデータの提供その他の必要な協力を求めることができるといった所掌について整理が必要となるのではないかと考えております。

11ページは改めて本日ご説明した内容について議論いただくためにまとめていますのでご参照いただければと思います。

それでは、ご議論のほど、よろしくお願いいたします。

安念副座長: どうもありがとうございました。

それでは、ご議論いただきたいと思います。落合先生、お願いいたします。

落合構成員: ご説明いただきましてありがとうございます。ベース・レジストリの取組を進めていただいていることはとても重要だと思いますし、ぜひ整理を進めていければと思います。

その中で、やはりポイントになるところもあると思います。こういった情報を連携していく中で、最終的にはEBPMにつなげていく議論などもあるかと思いますが、一方で、各省庁のそういう検討会に入っていますと、なかなかデータをどういう形で使うといいのかについて、整理を十分にされていないことがあると思いますので、むしろルールをつくっていくことの方が情報の適正な利用につながっていく部分があるのではないかと思われます。プライバシーの方に関しては一度まとめた文書があったと思いますが、そういった個人情報に限らないデータの利用に関するルールの部分というのも今後、議論していけるといいのではないかというのが1つ目です。

2つ目としましては、やはり法人側の体系をしっかり整備していくことが大事だと思います。その意味では法人のIDの組合せをどうしていくのかということもありますが、例えばGビズIDなども実際には様々な省庁の手続などで中心的に使われるようになってきていると思います。一方で、こちらが制度化されていない部分もあって、なかなか他の手続との連携であったり、位置付けの整理が難しいような場合もあるのではないかと思います。そういった意味ではGビズIDの制度化のようなところについて、内容としては今、GビズIDの内容自体はどんどんよくなってきていると思いますが、一方で、最新性担保などに今後つなげていくためにも、そういった形でのご検討をいただけるといいのではないかと思いました。
以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

三島参事官、何か現段階でコメントがおありでしたらお願いします。

三島参事官: 落合先生、ありがとうございました。

GビズIDの在り方などにつきましては、今後、こういった各省間の情報連携などを進めていく中で、改めて検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

安念副座長: 今、ご指摘いただいた両論点とも制度化という問題でくくれる話だったと思いますね。ありがとうございます。

上野山さん、どうぞお願いします。

上野山構成員: 上野山でございます。

取りまとめ、ありがとうございます。少し違う観点から何点かというところですけれども、まず本件は、超巨大なシステム構築案件ということになるわけですので、2点だけ意味が多少あるかなと思うところをコメントさせていただくと、1点目はやはり巨大なソフトウエア案件はどうしても当然要件は来年、再来年になると変わる特性のものであるので、巨大ソフトウエア案件を長く携わってきた専門家の方々をどこまでうまく開発初期フェーズから入れられるかが重要で、既に取り組まれているとは思うのですが、デジタル庁の中にいわゆるソフトウエアに強いエンジニアの方であるとか、巨大案件を過去に長年やられてこられている方は既におられると思うので、そういった方々をここのプロセスに既にやられてるとは思うのですがコアメンバーに入れて頂きたいというのがまず1個目の話です。

2点目は、今後何をつくるかは多少は変わっていったりするので、一定の変更が入る中、いかに生産性を落とさずに作るかの「作り方のインセンティブ」の議論は非常に重要だと思っています。巨大案件が大変になっていくパターンというのは大抵つくる側への受発注構造故にだんだん複雑怪奇なものになっていき、開発がディレイすることが起こります。今回、これをつくるというところのインセンティブデザインをどうしておくとそのような構造にならないのかというところが大きな塊としてつくり始める前に議論しておくべき論点なのではないかなと思いました。他の角度からのコメントになりますけれども、私からは以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。技術屋さんのリソースをどう調達するかという問題と、技術屋さんのこだわりだけに任せておくとそれはそれで大変だという、そういうお話だったと私は思いました。ありがとうございます。

落合先生、どうぞ。

落合構成員: そもそもポイントの内容についてお答えしていなかったような気がしますが、基本的にいただいたご提案に賛成という趣旨です。連携基盤を共通基盤化していくということは大事だと思いますし、まず法人の部分から、基本的な情報について連携していければということだと思います。商業登記やGビズIDと申し上げましたが、様々な形でいろいろなIDは行政で準備されているものはあると思います。いろいろとつなげていけるような形にするために共通基盤化することが大事ではないかと思います。

2つ目のデータの品質担保については、特に商業登記については不動産登記とまた違う側面があるかと思います。商業登記のほうは基本的にそこに書かれていればそれが正になるような類いの情報だと思いますし、実際に今のタイミングで法務省のほうでは法務局を通じてスクリーニングをされていると認識しておりますので、基本的な情報の入力項目や、そこに入力できる内容は既に定めていただいていて、基本的にはその部分までは法務省でないと行いようがないという部分ではあろうかと思います。

さらに連携をしていくときに全部の情報が必要かというと、細かい情報を全部取って連携するということではないのだろうとは思いますので、その中で例えば切り出しだとかクレンジングだとかそういうことは出てくると思います。そこの基本的な情報を具体的にどこにするかは今後、ご協議いただくことがいいとは思うのですが、ただ、ある程度のところまでは法務省で行っていただいて、その後、デジタル庁なりで引き取っていただくことではないかと思いました。

また、最後の制度的対応の方向性は、こういった検討をするべきではないのかという内容は先ほど申し上げたところですが、ここで書いていただいている内容も含めてデータの連携に関する制度整備をしっかり行っておいたほうがいいのではないかと思います。
一応全部についてコメントしたつもりです。以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、稲谷先生、お願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。

大変詳細な整理をありがとうございました。私のコメントも基本的に落合先生のものと重なってしまうのですけれども、今回いただいたご提案というのは現実的でもありますし、かつ過渡期とその後というのを分けて考えるというのも現実的だと思います。また、おっしゃられるとおりに拡張性を考えていくというところも重要だと思います。

それから、それぞれの役割をどうしていくのかというのは、データの品質の問題や利用範囲の問題ということにも関わってくるところなので、今、お示しされたものに基本的に賛成なのですけれども、これは恐らくこの後、データガバナンスの仕組みを大局的にどうするのかという話にも多分つながってくる部分だと思います。従いまして、このつながりという点を意識されて法制度というものをつくっていかれると、この後様々に横展開していくときにも非常に役に立つ試みとして位置付けることができるのかなと思いますので、そういった点もよろしくお願いします。

安念副座長: どうもありがとうございました。

肝の部分をご指摘いただきましたが、時間の関係もありますので次に進めさせていただきたいと思います。

今日は関係省庁の方々にもご出席をいただいておりますのでご意見を伺いたいと思います。
まずは国税庁さんに伺います。

現在、国税庁さんにおいては、法務省から提供を受けた商業・法人登記簿のデータについて、法人番号公表サイトで公表する上で、所要の品質担保作業を行っておられると認識しておりますが、まずはその品質担保作業の内容についてご説明いただきたいと思います。その上で、本日の事務局の説明を踏まえ、商業・法人登記簿のデータについて、文字の縮退・正規化等がなされたデータを受け取ることについてどのようにお考えであるかご見解を伺えればと存じます。よろしくお願いいたします。

国税庁(櫻井参事官): 国税庁の櫻井と申します。よろしくお願いします。

国税庁では、法人番号を指定して、その法人の商号又は名称、本店所在地、法人番号、この3つを法人番号公表サイトで公表するという事務を担当しています。法務省から登記簿のデータを頂きまして、それに基づき法人番号を指定して、その後、その3つを公表サイトで公表しています。

法務省とのデータ連携は毎日2回、午前と午後、行っています。前にもらったデータの差分をもらうという形で1日2回行っています。午前中に法務省からもらったデータはその日の午後4時、午後にもらったデータは翌日の午前11時に公表サイトで公表しています。
ただ、法務省から頂くデータは、例えばですけれども、住所表記に都道府県の記載がないものであったり、何丁目とか、3丁目とか1丁目とかそういうのがアラビア数字であったり、漢字であったり、また、商号とか所在地に、いわゆるJIS水準以外の外字等、ふだん使われないような漢字が使われていたり、文字が含まれている場合もあります。そのため、公表サイトに公表するときは、当然県名が省略されている場合は県名を補完する、丁目には漢数字とアラビア数字が混在していますので、アラビア数字に統一する等の対応をしています。また、文字については、いわゆるJIS水準の文字の置き換え等、データの補完や正規化を行った上でインターネットの公表サイトに掲載しています。

国税庁の法人番号を付番するシステムがあるのですけれども、この処理は基本的にはそのシステムの中で自動的に行っているものです。人がやっているわけではないということです。これがどのような作業をやっているのかという1点目のご質問のお答えです。
2点目、文字の縮退・正規化がされたデータを受け取ることについてどうかということですけれども、システムで自動的に行っていると申しましたが、当然処理結果の確認等は事務として行っていますので、もしも商業・法人登記簿のデータについて我々が行っているような作業の状態で提供を受けることができるようになれば、大変ありがたい状態になってくるということでございます。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。それはそうでしょうね。

次に、法務省さんに伺いたいと存じます。

本日、事務局から説明がありました第1の目指す姿の方向性、第2の役割分担ですが、過渡期と原則論を分けた上で進めることについて、ご異存があるかどうかご回答いただければと存じます。その上で、法務省さんとして懸念や留意事項がもしあればお教えをいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

法務省(土手課長): 法務省の土手でございます。よろしくお願いします。
法務省としましては、法人ベース・レジストリの活用によって事業者や関係行政機関の事務負担の軽減を目指すということは政府全体として重要であると認識しております。そのため、9ページで示されております目指す姿の方向性について異存はございません。

実現に向けては、今後、詳細を詰めていく中で具体的な課題が出てくると思いますが、現時点において法務省として留意が必要だというように考えている点が3点ほどございますので述べさせていただきます。

まず1点目は、役割分担については商業登記と不動産登記がございますので、これを一体で考えるということがもちろん必要であるというように考えております。なおかつベース・レジストリとして統一的に整理する必要があるのではないかというのが1点目でございます。

それから、2点目がデータの整備に当たっては、登記制度上、対応可能なことと対応不可能なことがあることが前提になりますので、その上で関係省庁と十分な調整を行う必要があるというように考えております。

3点目は、対応に必要な予算措置でございますけれども、事務局からのご説明でもありましたように、現状では登記について法務省が各省庁のニーズに応じた提供を行えば行うほど、自らの予算や人員等のリソースが逼迫するという構造に現状はなってございます。前回、関係省庁からのコメントにもございましたけれども、この過渡期と原則論、いずれにおいても予算面も含めてデジタル庁にしっかりと主導的な役割を果たしていただく必要があるというように考えております。

以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。役割分担を含めて3点について極めて重要なご指摘をいただきました。

三島参事官から何かコメントしていただくことはありますか。

三島参事官: 関係省庁とよく連携して進めていきたいと思います。ありがとうございます。

安念副座長: 法務省さんから目指す姿の方向性、非常に重要な留意点を3点いただきましたが、役割分担について過渡期と原則論を分けた上で進めるという方針についてはご異論ないように伺いましたが、そのように理解してよろしいでしょうか。

法務省(土手課長): そのとおりでございます。よろしくお願いします。

安念副座長: ありがとうございます。大変心強いお言葉をいただきました。今の3点の点についてはよく相談して進めていただきたいと存じます。

それでは、国税庁さん、法務省さん、お忙しいところ、ご出席をいただいてありがとうございました。

続いて2つ目の議題「土地系ベース・レジストリと制度的課題」については総務省さん、法務省さん、農林水産省さん、林野庁さん、国土交通省さんにもご参加をいただいております。
それでは、三島参事官よりご説明をお願いいたします。

三島参事官: 続いて、土地系ベース・レジストリについて、ご説明をさせていただきます。

まず1ページでございますけれども、本日ご議論いただきたいこととしては、前回、不動産登記分野についての検討状況を報告するようご指示をいただいていることを踏まえまして、不動産登記のベース・レジストリ、また、一体的に整備を進めておりますアドレス・ベース・レジストリの実装に向けた法的措置の必要性についてご議論いただきたいと考えております。

3ページに、土地系ベース・レジストリの整備のメリットを示しています。まずアドレスに関しましては管理主体が分散していることから、誰もが参照できるマスターデータが存在しておりません。このため、情報収集コストや名寄せコストが発生している状況となっており、ベース・レジストリの整備により、これらのコストが解消されることが見込まれております。

また、不動産登記につきましては、データ形式等の技術的な課題により効率的な利用が実現しておりませんので、機械判読性のあるデータを提供するベース・レジストリをつくることによって、各分野の業務効率化や新たな価値の創造、また添付省略、申請省略といったものの実現の可能性があるというように考えているところでございます。

4ページには、不動産登記ベース・レジストリから各行政機関の台帳あるいは行政機関の手続、情報提供においてどのような情報が必要とされているかまとめております。

一番右側にアドレス・ベース・レジストリがございますけれども、こちらは不動産登記ベース・レジストリより地番情報の提供を受けることになっております。

5ページには、アドレス・ベース・レジストリの課題を記載しております。町字や住居表示の実施につきましては自治体が実施しておりますので、情報源が自治体になるということ。これに対しまして、先ほどご説明させていただきましたとおり、地番については不動産登記法にのっとり法務省が実施しておりますので、それぞれ情報源が2つにまたがっており、これらを寄せて整備をするということが必要となっております。

7ページの制度的対応の方向性でございますが、法人と基本的には同じように考えている部分が多いのですけれども、まずマスターデータと各提供先の行政機関が必要として参照する項目というのを各行政機関ごとに特定することが必要だと考えております。また、これを参照して申請者の手続などを省略していくような法人と同様の制度改正を行い、また、情報源とマスターデータの提供側の責務と役割分担を規定していくことを考えております。
8ページは、提供先の情報機関が必要として参照する項目を行政機関ごとに特定ということでございますが、提供先において必要とする不動産登記の項目がかなり異なっておりますので、基本的にマスターデータとして全体を整備した上で適切なアクセスコントロールを行政機関ごとに行うことが基本かというように考えております。

9ページ以降は具体的なイメージが湧くように例示などを挙げさせていただいております。林地台帳の例でございますけれども、現在、森林の土地の所有者となった方が森林法の規定に基づいて届出が必要であるところ、不動産登記を変更した情報について林地台帳のほうに送ることができれば、この手続を省略する可能性があるのではないかということで例示をさせていただいております。

また、10ページには不動産登記情報の電子データを悉皆的に活用したらどのようなところのコストが下がるのかといった例。

また、11ページでございますが、こちらは不動産IDに関するものです。不動産IDに対しては現在、不動産登記ベース・レジストリから情報を提供して不動産IDの付番に活用していただくということも関係省庁間で想定しておりますので、適切な流れができれば、このような11ページ、12ページのようなユースケースが広がる可能性があるのではないかと考えておるところでございます。

13ページには、本日ご議論いただきたいポイントをまとめたページでございますのでご参照いただければと思います。

私からのご説明は以上でございますので、ご議論をお願いいたします。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、ご議論いただきたいと存じます。

稲谷先生、お願いします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。

この論点につきましては私の意見を引き取って、ご調査、ご整理いただきまして誠にありがとうございました。状況が大変よく分かりました。

丁寧にご整理いただいたところからも明確なように、イニシャルコストはともかくとしてもランニングコストとしては極めて効果が大きい施策であるということ、これは毎年、どのぐらいのコストがかかっているのかということで試算していただいていることからも明確です。12ページにご整理いただきました不動産IDによる課題解決の不動産取引の負担軽減でありますとか、あるいは防災など、ここに挙げられている例はいずれも、今後の日本の在り方に深く関わってくるのだと思います。特にSociety5.0という世界観を実現する上では、極めて重要な意味を持つ施策であるということが明確なのかなと思いますので、進める価値が非常に大きいものだと思います。

他方で、制度的対応の中で1点だけここに書かれていないことになってしまうのですけれども、気になっていることがございまして、それはこの論点に関して毎度申し上げていることで恐縮なのですが、不動産登記というのは現状、公信力がございませんので、不動産登記のベース・レジストリを信頼して取引関係に入ったとしても、その信頼が保証されるところがない危険があるわけです。もちろん、いろいろな法理があって救済することになっていますけれども、それよりも、デジタルで完結していく世界観ということを進めていくのであれば、やはりベース・レジストリを信頼して取引した場合には所有権が移転するような所有権変動の時期でありますとか、所有権変動のあり方そのものについても、このベース・レジストリを実装していくときには、どこかのタイミングで議論することは避けて通れない論点になるのかなという気がいたしておりますので、その点についてもどこかの段階でご検討いただければ幸いに存じます。

私からは以上でございます。どうもありがとうございました。

安念副座長: ありがとうございました。法律屋としてはその論点、興奮しますね。
落合先生、お願いします。

落合構成員: ありがとうございます。

私も稲谷先生に続いて、非常に意義がある取組ではないかと思っております。こういった手続の省略といった点は行政手続もそうだと思いますが、様々な民間側の場面も含めて利用の可能性が相当ある領域だと思いますので、ぜひそのようにしていただければと思います。一方で、表記揺れの問題などは目指すべき姿の2点目で、この辺は法人の場合よりもさらに大きいといいますか、非常に難しい問題があると思いますので、この辺りは特に頑張って整理をしていただければと思います。

ただ、先ほども商業登記の議論で申し上げた部分はありましたが、不動産の場合ですと現データ自体が正確なのかはかなり疑義があるケースも実際に多くあるように思っています。それこそ明治時代に測量したそのまま登記してあって、そのまま残っているようなパターンもあると思いますので、そうすると現状と必ずしも合っていないこともあると思います。そういう意味では単純に取引法理としてどうかという問題もあるのですが、事実状態の整理として正しいのかどうかが難しいと思います。挙げていただいた中でドローンですとか自動配送との組合せのような話も書いていただいている部分もあると思いますが、どちらかというと取引の安全というよりかは、具体的な現況に合っているかどうかが決定的に重要なタイプの用途になってきていると思います。この辺りは整理が非常に難しいですし、直ちにこうだと即断することはできないと思います。とはいえ、不動産取引だけではなくて物流の2024年ですとか、2025年の崖といった話もあると思いますので、いろいろな活用の可能性はある領域の議論ではないかと思います。

単純な不動産だけではなくて構造物などの話も出てくるかと思います。IPAのほうでも三次元の空間IDのアーキテクチャー等も検討していたり、様々な検討がいろいろな場面であったと思います。国交省の不動産IDについてもおっしゃっていただきましたが、宅建業者の業務の関係で6時間と書いていただいていた部分がありましたが、多分窓口まで取りに行かないと紙をくれないとかそういう話も含めると、もっと何十項目か土地の調査とかでも時間はかかっていると思うので、実際には多分6時間以上に相当多くかかることになっているのが現状だと思います。そういった点も含めて、いろいろな課題を解決できる部分はあると思います。拡張可能性もあるのですが、一方で、極めて複雑なので、できるところから合理的に進めていただければと思います。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。筆で描いた公図等ありましたね。

それでは、関係省庁にご意見を伺いたいと存じます。事務局資料の13ページでございますが、本日議論いただきたいポイントについて、それぞれご意見をいただければと存じます。
まず林野庁さんでございますが、森林法所管の観点から、申請事項の簡素化や手続省略を実現する可能性及び提供先への情報共有に当たって留意すべき事項についてご意見を伺いたいと存じます。よろしくお願いいたします。

林野庁(長﨑屋課長): 林野庁でございます。

森林につきましては、不在村所有者の増加ですとか相続登記未了による所有者不明が大問題になっておりまして、こういう中で所有者を的確に把握するという観点から森林の土地の所有者届出制度と林地台帳制度というものを運用しております。どちらの制度におきましても所有権移動の確認のために登記事項証明書等の添付をお願いしているところでございまして、自治体からは不動産登記簿とのさらなる連携強化について要望を受けているところでございます。

ですので、本日ご説明いただいた不動産登記ベース・レジストリのように、各制度が共通に必要な情報を一元的に管理されて、それが迅速に提供される、そういった仕組みができることは大変よいことだと思っておりまして、これができることになれば、森林法の運用の効率化ですとか制度の見直しの可能性について我々としても併せて検討していきたいと考えております。

以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、次に、農水省さんに伺います。

不動産登記簿電子データのユーザーとしての観点から、データの悉皆的な活用による各分野の業務効率化や新たな価値創造の加速化、あるいは提供先への情報共有に当たって留意すべき事項についてご意見を伺いたいと存じます。よろしくお願いいたします。

農林水産省(窪山参事官): ありがとうございます。大臣官房参事官の窪山といいます。よろしくお願いします。

先ほど林野の話がありましたけれども、私からは農地の関係でお話させていただきます。農林水産省の農地の関係では、農地法や経営所得安定対策等があるのですけれども、全て農地の所在地や面積、そういった農地情報を活用して申請手続が行われたり、現場の確認業務がされているというのが実態です。特に現場の確認業務というと、農地の関係で言ったら農業委員会、経営所得安定対策ですとまた別の協議会というのがありまして、今まで手書きの地図を作って集落の方の協力もいただきながら農地を探して現地確認をやっているというのが実態でございます。相当なコスト、労力がかかっています。

これを抜本的に改善するということを考えまして、農地台帳、水田台帳等を一元的に管理をする農林水産省地理情報共通管理システム、通称eMAFF地図というものがありますけれども、そういったものの開発を進めております。一部、農地の関係の現地確認業務を効率化するための現地確認アプリというものの開発が進み、一部運用が始まっています。これを広げていくためには、それぞれの農地情報に地番情報を紐付けてタブレット上で表示し、確認業務ができるようにしていく必要があります。そのために、地方法務局で整備されている登記所備付地図のデータが必要ということで、これを提供いただいて紐付作業を順次進めているという状況でございます。

紐付作業が終わりますと、データは毎年毎年変わっていきますので最新のデータを連携し、更新していく必要があります。それから、確認業務だけではなくて申請業務においても、農地法の手続では不動産登記の情報を添付する必要があります。こういったところもわざわざ紙を準備させず、データ連携ができれば効率化されますので、今後、不動産登記データ、ベース・レジストリと、農林水産省の行政手続の全てをオンライン申請で共有するというシステムであるeMAFFのデータ連携もこれから検討ができると、より現場の農地関係業務というのは効率化がされていくと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、国交省さんに伺います。

不動産登記簿電子データのユーザーとしての観点から、データの悉皆的な活用による各分野の業務効率化や新たな価値創造の加速化あるいは提供先への情報共有に当たって留意すべき事項についてご見解を伺いたいと存じます。よろしくお願いいたします。

国土交通省(墳﨑課長): 国交省の不動産市場整備課長、墳﨑と申します。よろしくお願いいたします。

先ほどご紹介いただきましたとおり、昨年3月に国土交通省において不動産登記簿の不動産番号をベースとした不動産IDのルールを策定したところでございます。今後、不動産取引のみならず、物流、保健、防災、空き家など、幅広い分野での利活用を推進していきたいと考えているところでございます。

不動産IDについては、不動産番号をベースとしておりますので、まずは先ほど申し上げたユースケースも想定しながら、月次なのか、日次なのか、不動産番号のデータ更新の頻度も含めまして最新性と正確性の確保に向けたご検討を引き続きお願いできればと考えているところでございます。

また、さらに幅広い分野での活用を見据えますと、地番や住所、座標情報等から不動産IDを特定できる状態にまで持っていくことが望ましいと考えておりまして、不動産登記情報だけでなく地番、アドレスや位置情報等が一体的にベース・レジストリとして整備され、相互に参照可能となる状態が望ましいと考えております。デジタル庁など関係省庁の皆様におかれましては、これらの対応についても引き続きご検討いただければありがたいと考えているところです。

以上です。

安念副座長: ありがとうございました。
ベース・レジストリに対するご期待が非常に高いことを3省庁から伺いました。
次に、法務省さんに伺いたいと存じます。

不動産登記の管理主体としての観点から、不動産登記に関し、ベース・レジストリを整備し、マスターデータの提供側が情報源から迅速かつ正確にデータ更新に係る情報提供を受けることについてご見解を伺いたいと存じます。よろしくお願いいたします。

法務省(藤田課長): 不動産登記制度を所管している法務省民事局の藤田でございます。
今回のデジタル庁を中心としてなされた土地系ベース・レジストリの整理については、我々にとっても大きく2つの意義があると思っています。

1つ目は、不動産登記情報として非常に多様かつ機微な情報を扱っていますけれども、ご説明があったとおり、官民の様々な場面で情報の基礎基盤として広く活用される「アドレス・ベース・レジストリ」というカテゴリーが1つあるのと、もう一つは、各行政機関、省庁の行政目的のニーズに応じた行政機関内部に限った情報連携、共有のための「不動産ベース・レジストリ」というカテゴリーがあるということで、2つに明確に分けて整理がされたということは重要です。議論が混乱しないよう、これはしっかり区別して検討していくことが大事と思っております。

2つ目として、後者の行政機関間の「不動産ベース・レジストリ」に関し、先ほど他の省庁から不動産登記情報のもらい手としてのメリットの指摘がありましたが、これは我々、不動産登記情報を管理している法務省あるいはその出先機関である法務局の立場からしてもメリットがあります。これまでは、各省庁の個別のニーズ・オーダーに応じる形で、その時々で、データの抽出であったり提供をしたりという作業をしていて、こちらも相応の負担になっていたわけです。それが今回ベース・レジストリの枠組みの中で、この提供方法に一元化、一本化できることになれば、提供元である我々としても効率化のメリットは大きいと思っています。

その上で、この2つ目の行政機関間の「不動産ベース・レジストリ」の推進に当たっては、提供元の立場からすると、3点ほど留意が必要と思っています。

1点目は、既存の提供の枠組みとの整理、統合という観点です。先ほどもご紹介があったとおり、既に法務省と複数の省庁との間で、複数の情報連携の枠組みが既に運用されていますので、これをこの機会に、ベース・レジストリを通じたものに速やかに一本化、集約していくことが重要です。効率化のためにも、不動産ベース・レジストリが、既存の個別提供の枠組みと並走するようなことになってはいけないと思っております。

また、行政機関間の情報連携といったときには、現在、多くの行政機関や地方自治体が利用されている不動産登記事項の公用請求についても取り込む必要があります。現状は、公用請求があれば、不動産登記事項証明書という紙ベースで逐一交付しているところですが、これは法務局側にも相当の事務負担になっていますので、従前の公用請求に全面的に代替するものとしても、不動産ベース・レジストリを用いて集約していくことを進めていくべきと考えています。

2点目は、不動産ベース・レジストリでは情報源機関・提供機関・利用期間の三者がある中で、適切な連携・役割分担の整理が必要と思っております。不動産ベース・レジストリの枠組みが早期に実現すれば、法務省も情報源として、登記情報の適切な提供をしてまいりたいと思っていますが、ベース・レジストリの運営主体として提供機関となるデジタル庁であるとか、その先の利用機関である個別の行政機関との役割分担をしっかり決めておく必要があります。

現状の行政共助による個別対応の場合でも、不動産登記情報の情報連携に当たっては、情報を必要とする受け手の行政機関の予算と費用負担で、データ抽出や提供の作業を法務省側でも行っているところです。データ提供には、やはり相応の費用面での負担も発生する事務ですので、そういった課題の整理も考えないといけません。また、不動産登記情報は権利関係を含めて非常に多くの個人情報、機微な情報を抱えているシステムでありますので、不動産ベース・レジストリを通じて他の行政機関に提供するためには、行政機関間であっても、個人情報の整理も含めた全般的な法的整理、そのための法改正を含めた制度的対応が必要だと考えています。

最後に3点目として、先ほどご議論もありました、データ品質の確保という点です。この点は、現在、不動産登記情報については、デジタル庁の費用負担でデータクレンジングの実証実験が相当な規模で実施されているところです。現在はその結果、成果を待っている状況ですけれども、それを待って、今後も継続的に問題となる品質確保のための方策や、それに要する費用負担等を議論する必要があります。それについてはデジタル庁、あるいは登記情報を利用する行政機関とも相談させていただきながら、もし利用者側のニーズでデータの修正や見直しが必要なのであれば、その点は利用者側に応分の負担をお願いしながら、対応していきたいと思っています。

いずれにしても、政府を挙げて取り組まれている非常に重要な意義のある取組というように我々も認識しておりますので、不動産登記情報の提供元として、しっかりとできる対応を行ってまいりたいと考えています。

安念副座長: 誠にありがとうございました。重要な3つの留意点を含んだ上でベース・レジストリの構築整備について積極的に関与していただけるというように伺いました。大変心強いコメントをいただいたと思います。どうもありがとうございました。
次に、総務省さんに伺いたいと存じます。

地方自治法及び住居表示に関する法律を所管の立場から、アドレスに関し、ベース・レジストリを整備し、マスターデータの提供側が情報源から迅速かつ正確にデータ更新に係る情報を受けることについてご見解を伺いたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

総務省(寺田課長): 総務省住民制度課長の寺田でございます。お世話になっております。

今、おっしゃったように、地方自治法に基づく町字の関係等、住基法や地方自治法に基づく法律の関係について所管している立場で参加させていただいております。ただ、一方で、実務を担うのは市区町村だということもございまして、その観点からも重要かなというように思っております。

まずアドレス・ベース・レジストリに関しましては、行政手続の効率化に資するというものでございまして、実務を担う地方公共団体にとっても大変重要な意義がある取組であると考えています。総務省は、もとよりデジタル庁ほか関係省庁の皆さん方と共に地方公共団体のシステムの標準化に取り組んでおるという立場でもございます。そういった意味で、デジタル庁さんはじめ皆さん方と十分連携をして進めていく必要がある、このように考えているところでございます。

その上で、今後の取組といたしまして、地方公共団体の意見を十分に聞いて、地方公共団体の理解を得て、また協力を得られるようにするにはどういうことが必要か、こういうことをちゃんと実務に即して考えていく必要があると思っておりまして、具体的にどのような対応、どのような作業が市町村に発生するのか。また、これに対して人的な部分、あるいは財政的なところも含めて、しっかり協力できると地方公共団体が思えるようにする必要があると思っておりますし、新たな取組でもある部分はございますので、今後、どんな作業とか負担が発生し得るのかということを明らかにしていくということが必要かと思っております。デジタル庁さんはじめ関係機関と連携して取り組みたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。最前線で市区町村の協力を得られるための方策をよく考えなければいけないという点を含めて積極的にコミットしていただけるという総務省さんのご姿勢を伺ったと存じます。これもまた大変心強いコメントをいただきまして、誠にありがとうございました。

それでは、ご出席をいただきました各省庁の皆様、ご多用のところ、大変ありがとうございました。

それでは、続いて「民間事業者向けデジタル本人確認ガイドライン策定完了」についてです。
こちらについては、OpenIDファウンデーション・ジャパンKYCワーキンググループ本人確認ガイドラインタスクフォースリーダーでいらっしゃいます神谷英亮様にもご参加をいただいております。

それでは、吉田企画官からご紹介いただいた上で、神谷さんからガイドライン概要のご説明をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

吉田企画官: ありがとうございます。

今、ご紹介いただきましたデジタル庁企画官の吉田でございます。

昨年11月末にもこちらの民間事業者向けのデジタル本人確認ガイドラインの検討状況についてご報告させていただきました。また、その際、フランチャイズチェーン協会でもこちらを参考として本人確認ガイドラインを作成しているということで紹介させていただいたところでございます。今回、今年度末にかけて当該ガイドラインが取りまとまりましたので、OpenIDファウンデーションから発表していただくという趣旨でお時間いただきました。
では、神谷さん、よろしくお願いいたします。

神谷氏: OpenIDファウンデーション・ジャパンタスクフォースでリーダーを務めています、株式会社TRUSTDOCKの神谷と申します。よろしくお願いいたします。
先週の20日、私どもからリリースをしました「民間事業者向けのデジタル本人確認ガイドライン」についてご説明を申し上げます。

今日は2ページ目の順番でご説明申し上げます。

最初に、なぜガイドラインが必要かでございます。

まず、作成主体となったタスクフォースメンバーが4ページにございます。民間事業者10社、競合する事業者も含めて30回を超える会議を重ね、協調して策定してきました。デジタル庁と落合先生にもご参加いただきまして官民連携でつくった初めての本人確認ガイドラインでございます。

5ページ、左に卵のような絵がございます。こちらが本人確認と民間事業者の本人確認規制との関係を絵にしたものでございます。左の卵の黄身に見える部分が法令に本人確認の定めのある事業者、例えば金融機関や携帯電話のキャリアサービスが該当します。対して、大半の事業者は薄い黄色と白の部分の法令に定めがなくて本人確認の同意を自由に選択できる事業者です。オンラインサービスが広がっていますので、自主的に本人確認を導入する事業者が急増しています。しかしながら、民間事業者横断的な指針がなかったため、事業者のニーズもいただきまして作成に至ったものでございます。

このガイドラインは何ら規制を設けるものではありません。本人確認が分からない、導入に当たってどのような点に気をつけるべきかを知りたい事業者の拠り所となること、また、本人確認を選択する際のガイドブックとなることを想定してございます。

続いて、6ページでございますけれども、左に目次ベースで全体像を示しています。色を塗った部分が本人確認に関する基礎知識、また、各手法の特徴や比較をまとめた内容がメインコンテンツになります。

特徴を2つ右にまとめています。今回は、民間事業者が作成していますので、ユーザビリティーにこだわり、読みやすさ、使いやすさを重視して、全編スライド形式で作成しています。今後の改正も見据えていますので、そうした改正にクイックに対応するためにもこの形式が有効と考えています。

また右下、デジタル媒体での利用を想定してリンクを多用していまして、例えばマイナンバーカードの特徴を知りたいという方がいればそこにダイレクトに飛んでいくことができます。また、行政のホームページなどの関連情報も参照しやすいつくりになっています。先週のリリース後、各方面から反応をいただいているのですけれども、この2点、非常に好評いただいてございます。

8ページは、誰にどのように利用されるかでございますけれども、左と右に2つの利用主体を想定しています。左が先程申し上げてきたような個々の事業者がガイドブックとして参照する場合です。もう一つは、業界のガイドラインをつくるときに参照する場合です。先ほど吉田企画官からもご紹介がありました昨年の11月の作業部会で、コンビニエンスストアにおける酒・たばこ販売業の年齢確認ガイドラインの案について、JFAさんからご説明がありました。この民間事業者ガイドラインがまだ案文であった段階からJFAさんのほうで参考にしてつくられたものでございます。

11月の部会で稲谷先生や経団連の岩村様、また皆様から、民と民が連携した理想的な枠組みであるというご評価、本当にありがたいご評価をいただきました。その際、ほかの業界の横展開についてもご提案をいただきましたので、経団連の皆様をはじめ民間団体、デジタル庁、関係省庁の皆様にもご協力をいただいてこうした横展開を進めていければと思ってございます。

次、3点目がどのような社会がつくられるかということです。本人確認の主たる目的は、なりすまし等の偽造の不正、そこから発生する被害の防止ですので、本人確認や、その認知が広がり、本人確認の理解や導入が広がれば安心・安全なサービスが広がっていきます。ここは主として目指すところでございます。

また、下段の2つも意識して進めていく必要があると考えています。一つは、左側ですけれども、政府も掲げていらっしゃいます、「誰一人取り残されない社会」でございます。例えば障害を抱える方が使いにくいデジタル本人確認ばかりが普及するような状況というのは避けていかなければいけないと考えています。アメリカのNISTから、現在策定中の基準の案文が示されていますけれども、これまで以上に公平性の確保というのが強調されています。こうした動きも意識していかないといけないなと考えています。

右側、インターオペラビリティーの確保も極めて重要でございます。今回、このガイドラインの中では、OpenIDConnectというID連携技術の利活用を推奨してございます。マイナンバーカードが広がってきましたので、マイナンバーカードの利活用とも絡めながらこうした技術の位置づけも高めてまいります。

14ページの課題と今後の対応でございます。

上のリード文にも書きましたけれども、行政手続の本人確認との整合性も進めていく必要があると考えています。行政手続については4年前に政府から示されたガイドラインがございます。現在、デジタル庁において改定に向けた検討が始まっていると聞いていますので、行政と民間のガイドライン、役割は異なりますけれども、共通する項目も整理していくというところから始めて、ガイドラインの連携を進め、2つのガイドラインがデジタル社会の言わば車の両輪となるように努めてまいります。

そして、左側に書きましたけれども、規制が必要な手続の検討、これも重要な課題です。例えば、いわゆるルフィー事件を受けて、現在、犯罪対策閣僚会議ではデータ通信専用のSIMカードの契約時に本人確認を義務づけるという検討がなされています。先ほどの卵の絵がございましたけれども、その黄身の部分の検討に当たります。こうした課題に取り組んでいくことも安心・安全なデジタル社会の構築に不可欠であると認識しております。

また、多様な社会の推進、右の技術進歩、国際動向への対応というのは先ほどのご説明した誰一人取り残されない社会、インターオペラビリティーの推進と対応している課題だと考えています。

こうした課題に効果的に対応するためには、デジタル庁のリーダーシップの下、関係省庁、業界団体をはじめ、例えばデザインの専門家の方、ユーザビリティーに知見のある団体、また、認証の専門家を含む多様な関係者の方々が、我が国の本人確認の在り方を協議、連携できる場を設けるフェーズに入ってきているのではないかというように考えています。私どもが作成した民間ガイドラインが、そうした環境整備の追い風となるように私どもも関係者と連携に取り組んでまいりますので、デジタル庁の皆様には、官民連携のさらなる推進をリードしていただくようご提案とお願いを申し上げて、私の本日の説明を終わります。ありがとうございます。

安念副座長: 神谷さん、どうもありがとうございました。

稲谷先生のおっしゃる理想的な体制の成果物でございますね。時間の関係上、誠に恐縮でございますが、ご意見、ご質問等がありましたら事務局にメールなどでお寄せいただければと存じます。神谷さん、本当に今日はどうもありがとうございました。

続いて「行政手続のエンドツーエンドでのデジタル完結に向けた取組について」でございます。
楠目企画官、ご説明お願いいたします。

事務局(楠目): デジタル臨調事務局、企画官の楠目でございます。

議題の4の行政手続のデジタル完結に向けた取組についてのご報告をさせていただきます。
1ページの行政手続のデジタル化の状況について、昨年も作業部会のほうでご報告をさせていただいているところですが、その後の状況を見ましても、資料に記載のとおり、申請等で50%強、処分通知等で2割弱のデジタル化の状況にとどまっておりまして、さらなる取組が求められる状況となっているところでございます。こうした状況を踏まえまして、昨年、デジタル臨調で取りまとめていただきました一括見直しプランでも、枠内にございますように、デジタル完結の推進についての記載を盛り込んでいただいているところでございます。

このような背景を踏まえまして、今後の対応といたしまして、改めて各府省における取組についての横断的な調査・点検を実施いたしたいと考えており、今回、ご報告をさせていただくものでございます。具体的には、年間1万件以上の申請手続、約1,300件とこれに対応する処分通知について令和7年度までにデジタル完結を目指す取組を各府省に要請いたしますとともに、対応が困難なものについては課題の整理・分析等を行ってまいりたいと考えております。また、各府省の取組状況や方針につきましては、年央までに取りまとめまして各種計画等にも反映して取組を推進してまいりたいと考えております。

以上が取組の概略ですが、背景のデータ等についても簡単に補足させていただきます。
2ページは1万件以上の手続のオンライン化の状況を経年で表したものでございます。青色が申請、オレンジが処分通知でございまして、点線についてはより重点的に取組を進めている10万件以上の手続についての状況となっております。

3ページは申請の手続の規模ごとに年間の手続件数との関係を表の形で表したものでございます。上の枠内に記載しておりますとおり、手続件数ベースで見ますと1万件以上の手続でほぼ100%になりますので、今回の横断的な調査・点検の対象としては1万件以上の手続をベースに考えているところでございます。

また、枠内2点目に記載してございますが、特に10万件以上の手続につきましては、システム整備の観点からも重点的に取り組むこととしておりまして、デジタル庁本体で実施しております各府省の情報システムに関する予算要求のプロセスなどとも一体的に取り組むことで各府省の取組を推進してまいりたいと考えております。

4ページは今回の横断的調査における主な調査項目になります。下の枠では、申請と処分通知で左右に書き分けてございますけれども、いずれもオンライン手続の可否の状況、オンライン未対応の場合には実施時期、実施方法を検討いただくこととしております。加えて、申請等のほうに記載してございますが、手数料のオンライン納付の状況についてもこの機に現状や方針を確認してまいりたいと考えております。

5ページは少し細かくて恐縮ですけれども、調査・点検を行う際の方針についてまとめたものでございます。

まず申請手続等については、調査・点検の対象が1万件以上の手続としておりますが、「※」のところにありますように複数の経済界要望のある手続等については点検対象に加えることとしております。また、申請手続等については令和7年までのオンライン化をこれまでも求めていますが、今回、前倒しも含めた検討をいただき、現状を把握してまいりたいと考えております。

次に処分通知等でございますけれども、申請手続等のオンライン化と併せて令和7年度までの対応の検討を今回要請してまいります。

2点目の記載、前回の作業部会でご報告させていただいたものでございますが、各府省庁における処分通知のデジタル化の取組が加速化されるよう、参考となるガイドラインの作成、周知も併せて取り組んでまいりたいと考えております。

また、先行事例の横展開等による対応が困難なものにつきましては、課題の整理・分析を行いまして対応の検討をしてまいりたいと考えてございます。

最後に、手数料のオンライン納付でございますけれども、デジタル庁において各府省に共通機能を提供するという方針がございますので、こうしたことも踏まえて各府省の取組の検討を促進してまいりたいと考えているところでございます。

6ページ以降は参考資料ですのでご参照いただき、説明については割愛させていただきます。
以上のような横断的な調査・点検により、行政手続のデジタル完結に向けた取組を推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

私のほうから以上でございます。

安念副座長: 楠目さん、どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのご説明について、各構成員の方からご意見、ご質問等がございましたら、どうぞ。

稲谷先生、お願いいたします。

稲谷構成員: 稲谷でございます。
大変丁寧なご説明、ありがとうございました。大変よく分かりました。

私のほうから、今日の論点とは少し違うのかもしれないのですけれども、今回いただいたデータを見ていて少し気になったところがございます。3ページの申請等の手続数と年間手続件数の関係の表なのですが、これを見ますと、全部で2万4911手続ある中、1万2476手続は「0件、不明」と、使われてないものがあるわけですね。

作業部会の役割の中には、デジタル化を進めていくということのほかに、実際には意味がない規制、または意味をなくしている規制、あるいは、なぜそうなってしまったのかという規制のあり方そのものを検証することもあったような気がしております。今回のテーマとは少し違うかもしれないですが、規制の作成時には意味があったがなくなった、あるいはもともと意味がなかった、どちらかも分からないというところもありますが、今までの規制方法に若干問題があったというのは割とはっきり見えているデータな気もします。こういった辺りは今後、関係省庁さんに考え方を整理していく必要が特にあるのではないかということも含めて、何らかの形でデジタル庁さんとして発信していただけると非常によいのではないかなと思ったところです。

関係のない論点だったかもしれませんが、気づいたところですので申し上げました。ありがとうございます。

安念副座長: 関係ありますよね。意味のないようなものを検証していくのも作業部会の役割かと思います。0件は本当に不思議ですね。

事務局(楠目): 稲谷先生、ありがとうございます。

こちらの「0件、不明」の中に自治体が扱っていて件数が把握できていないもの等も含まれてはいるところなのです。また、0件のものは本当に古い規制等のほかにいろいろ救済手続が定められてあったり、行政側で間違いがあったときに正すような手続を理念的に置いてあったり、そういうものもあったりするようなので、必ずしも見た目のインパクトほどに無駄なものがあるわけではないかもしれません。こちらのデータの元になっている棚卸調査というものをデジタル庁でやっているのですが、そちらでも各手続が本当に必要かどうかも確認し、廃止の可否も含めての検討を毎年やっております。そういった取組とも併せて、いただいたご指摘を踏まえて進められるようにしてまいりたいと思います。どうもありがとうございます。

稲谷構成員: ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

安念副座長: ありがとうございました。
落合先生、いかがですか。

落合構成員: ありがとうございます。
こちらも非常に重要な取組を進めていただいておりまして、順調に数字も伸びてきている点は非常にすばらしいと思います。ただ、絶対数としてやはりパーセンテージがまだ低い部分があると思いますので、今後、ぜひ全般としてはさらに加速化していただければと思います。

その上で、手続の割合を上げていく際に、もともと規制面のほうはほとんどきれいにしている部分はあったと思います。しかし、規制改革推進会議で行っていた書面、押印、対面の見直しのときも、一部の手続は2020年頃だったと思いますが、そのタイミングでは完全にオンライン化はできなくても仕方がないということで、性質上、そのまま書面や押印を残していてもいい手続や、見直したら印鑑がないと駄目だったということで追加したものもあったように思います。全面的にデジタルに移行できるようにすることが今回の論点であろうと思いますので、そういった意味では規制改革推進会議とも連携していただきながら、書面、押印のところで先祖返りしたことが残っていて恐縮ではあるのですが、ほかの重点項目について既に進めていただいていておりますが、改めて書面、押印のテーマもぜひ潰していければと思います。

手数料のオンライン納付という点も非常に重要な点だと思います。この点もやはり規制改革推進会議等で手続のデジタル化を議論する際、納付の部分にも関係することはよくあると感じております。クレジットカード等と書いていただいていましたので、様々な手段を想定していただいているとは思いますが、自治体の関係も含めてe-TaxやeLTAX等といったものとの連携も含めていろいろな領域で進めることになっております。そういったものとの整合性を含め、できる限り分かりやすい形で連携して進めていただければと思いますので、ぜひまた今後整理いただければと思います。

また、先程のご説明で、不要でないものもあるとは承知しましたが、不要な手続は終了させるという、稲谷先生もおっしゃっていただいた方針も大事だと思います。
以上です。

事務局(楠目): ありがとうございます。

いただいたご指摘、ごもっともだと思いますので、引き続き規制室や関係部局とも連携しながら取組を着実に進めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

安念副座長: ありがとうございます。

ほかにご発言いただく方はいらっしゃいませんでしょうか。ご発言がないようでございますので、この議題はこれくらいにさせていただきたいと思います。

落合先生のおっしゃるように、確かに既に公的な納付についてはデジタルで支払う手段があるのだから、そちらとも連携できたら、それは便利であることは違いないですよね。どうもありがとうございました。

それでは、第5の議題でございます「通知・通達等の見直しの現状」についてです。

「通知・通達等の見直しの現状」については、非公開

事務局(松田): 「地方公共団体におけるアナログ規制の見直しに係る課題調査」について、簡単にご報告できればと思います。

1ページですが、国がどのようにアナログ規制を類型化して見直しをしていっているのか、どのような体制で進めているのかといったところについて、地方公共団体で自主的な取組をされる場合に参考にしていただくため、昨年、マニュアルを発出してございますが、その後、幾つかの自治体で取組を開始していただいております。

資料に記載している地方公共団体以外でも取組が進んでいるところかと思いますが、直接我々がお聞きしているところで言うと、福岡市につきましては既にデジ臨親会でもご発表いただいておりますが、市の条例・規則等のうち、アナログ規制475条項の洗い出しをされ、順時見直しを進められています。また、大分県では2月の時点ではありますけれども、アナログ規制962条項の洗い出しをされ、今後、国の法令の見直しの動向を踏まえて改正を検討されているということです。また、岐阜県におかれましては、庁内で条例や通知・通達等を洗い出すのが大変な人海作業になるということもありまして、作業の一部を自動処理するため、Excelマクロでの内製ツールを活用した洗い出しを実施されていると聞いております。こちらは2月に開催された自治体対象のフォーラムでもご紹介され、ほかの自治体も大変関心を持たれていましたので、他の自治体にこちらのツールを使っていただけるよう、岐阜県のご厚意で、3月6日に共創プラットフォームでも公開をしております。現在、約20団体がこちらのツールを活用して、洗い出しをされているといった動きがございます。
他方、ページ下の部分ですけれども、各自治体からは、規制の洗い出し作業に苦労している、国のアナログ規制で条例委任を行っているものを一覧で整理できないか、具体的にどうやって直していくのかというところをもう少し情報が欲しいといったお問い合わせをいただいています。

3ページは、大分県のアナログ規制の洗い出しについて、部局別状況のご紹介です。全体で962条項ありますが、数でいきますと、福祉保健部が361、警察本部が159、土木建築部や農林水産部、生活環境部も対象となる規制がかなりあります。

3ページでは、先程ご説明した状況も踏まえ、具体的に幾つかの自治体の方々と具体的な洗い出しと見直しをしっかりやってみるということで、デジ臨の調査事業として開始することを考えてございます。右下のほうですけれども、こちらの事業に係るモデル自治体について、2月下旬から3月17日にかけて公募を実施しておりました。先ほどご説明いたしました先行団体である大分県、福岡市の2団体に加え、公募により選定した13団体、全体15団体の方々と一緒に、アナログ規制の抽出、見直し案の検討等してく予定で、本日、モデル自治体の公募結果についても河野大臣から発表していただくということで考えております。
モデル自治体となった都道府県、政令市、市町村では、左側にあります検討対象のイメージに記載している「消防・防災」、「医療・福祉・健康」、「子育て」、「環境」、「農林水産業」、「土木・インフラ」の分野の中で見直しニーズの高い分野について重点的に分析いただき、それぞれの自治体で連携、分担していただく形で、総ざらいで洗い出しをしたいと思っております。

右下のほうにありますけれども、調査・検討の結果につきましては、昨年11月にバージョン1として公表している「地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアル」を改訂し、全国の地方公共団体に共有したいと考えています。都道府県で横並びに見ると大体同じような規制があると思いますし、政令市や市町村におかれても、同じようなことが考えられます。先行して取り組んだ自治体の具体例を見ていただくことで、様々な自治体が取り組みやすくなればと考えているところでございます。

最後のページは、今後のスケジュールとなります。本日、モデル自治体の公募について採択団体を15団体発表させていただきます。4月以降、テクノロジーマップの受託事業者と同じ受託事業者を想定していますが、業務委託を受けていただく事業者が決定した後、調査をスタートしたいと思っております。12月頃には点検・見直しマニュアルの改訂を進め、全国の地方公共団体における取組を支援していきたいと考えてございます。

また、4月以降の「※」書きのところですけれども、先進事例について共有してほしいとのご意見を幾つかの自治体からいただいておりましたので、共創プラットフォーム等を通じて、情報提供いただける自治体の取組は随時共有しながら、最終的には12月に改訂するマニュアルにも掲載する形で作業を進められればと思ってございます。

ご報告は以上になります。

安念副座長: どうもありがとうございました。

第6の議題の地方公共団体へのバックアップについて、松田参事官からご説明をいただきました。どうぞご発言をいただきたいと存じます。増島先生、お願いします。

○増島構成員ありがとうございます。
地方公共団体の関係ですが、地方公共団体からの様々な問い合わせに寄り添っていただいて、モデルという形で、伴走していただくようなプランを考えていただいたというのはとてもいいと思っています。このモデル自治体に手を挙げてくれた方々というのはどちらかというと積極的な人たちかと思いますが、モデル事業が進むことによって全国に波及という、ここの絵が本当にそうなるのか。よく分からないと言って取り組まない人たちが一定いるのではないかと想像しているのですけれども、ここにどういうようにアプローチをされていくのかなという点を教えていただきたいと思いました。

安念副座長: ありがとうございます。

岩村常務、落合先生の順でご発言をいただけますでしょうか。

岩村構成員: 「自治体ごとにばらばらな申請や手続等に必要な書類を何とかしてほしい」という要望は経済界で非常に大きいので、ぜひこうした取組をさらに前に進めてほしいと思っております。ただ、まさに増島先生がおっしゃったように、これまでも政府においてモデル事業や好事例の横展開は行われており、技術的な助言はできるのだと思うのですが、強制力が伴わないという点をどのように解決するかが大きな課題だと考えております。上手なやり方を考える以外にないのですが、つまるところ、実際の住民の方が声を上げるということが最も効果的ではないでしょうか。こうしたことも含めて、実効性を伴う方法を考えることが一案ではないかと考えております。このモデル自治体の取組についても進捗状況を定期的にご教示いただければありがたく、よろしくお願い申し上げます。

落合構成員: やはり地方自治体の関係の取組も非常に重要ですので、こちらも進めていただいてありがとうございます。
ぜひこういう形で進めていっていただければというように思いますし、その際にやはり業務プロセスの見直しまでしっかり行えるようにしていくことが大事だと思いますので、その点も含めたマニュアルなどもできるような形になるといいのかと思います。

もう一点が、最終的には完全なオンライン化を目指していくと思いますので、特に最初の段階では手を挙げていただいている自治体にインセンティブというか、プラスになるような取組をしていきつつということだと思います。義務化だったり、ディスインセンティブだったり、そういうものもある瞬間になったら考えていかなければならないかとも思いますし、内容によっては共通化してしまうこともあるかもしれないと思いますので、そういった先々の工程についてもどこかのタイミングでご検討いただければと思います。
以上です。

安念副座長: 松田参事官からまとめてコメントいただけますでしょうか。

事務局(松田): ありがとうございます。本質的な点をいろいろご指摘いただいてありがとうございます。

地方公共団体の先行事例については、伴走していくという形はいいという一方、これをどのように本格的に横展開していけるのかというところの課題感であったと思います。これについては我々も完全な解を持ち合わせているわけではありません。ただ、地方公共団体の関係では、幾つかの取組がございます。一つはデジ田の交付金ですが、自治体におけるアナログ規制見直しに当たり、技術実装に必要な経費は、デジタルの活用とそれによる地域の課題解決・住民の利便性向上を図る取組として、デジタル田園都市国家構想交付金の充当が可能です。自治体全体のデジタル化により、住民向けのサービスをよくしていくというものに入れ込んでいますけれども、それをプッシュしていくということも必要かと思います。

また、先ほどご説明した先行自治体で、都道府県と市町村で既に組んで出していただいている事例がございます。基本的に基礎自治体に業務がかなりあるわけですけれども、全体をサポートするということで都道府県に取り組んでいただけるケースも今回採択させていただいておりますので、そういう意味では都道府県がある種、コーディネーションしながら基礎自治体と一緒になってやっていくようなモデルも今回つくっていければなというように思っています。

今回、年末までに具体的な取組方法が示せると思います。そこまで示せると、フォローアップの方法も検討できるかと思いますので、この辺りが当面考えていることでございます。
将来的な課題としては、保育の就労証明書の関係も以前取り上げましたが、内閣府で様式を統一するということ、むしろ省令で統一をするということを決めていただいたということになります。その事務はもちろん基礎自治体がやられていますが、様式やシステム周り等、全国共通した方が合理的だというものについて、どう取り上げていくのかは今後、国、地方公共団体の事務の関係というよりは、システムとサービスをどうするのが一番合理的なのかという観点で整理されていく必要があると思っていまして、これは我々だけではできない議論だとは思いますが、かなり本質的な議論というように思っております。こちらも先生方にご議論いただければというように思っております。

安念副座長: ありがとうございました。

その意味でもマニュアルのバージョン2.0の公表が待たれますね。よろしくお願いいたします。
それでは、議論については以上とさせていただきたいと存じます。
最後に、大串副大臣より一言いただきたいと存じます。

大串デジタル副大臣: ありがとうございます。

構成員の皆様におかれましては、本日も積極的な議論をありがとうございました。1番目の法人ベース・レジストリと制度的課題につきましては、前回議論いただいた目指すべき姿の実現に向けて、データ提供体制のアーキテクチャーのあるべき姿や関係省庁との役割分担、データ提供に係る法整備についてご議論いただいたところであります。本日のご議論を踏まえまして、今回提示いたしました役割分担であったり、法整備の方向性の下で関係省庁とも連携しながら制度や予算等への反映を進めてまいりたいと考えております。

2番目の土地系ベース・レジストリと制度的課題につきましては、不動産登記及びアドレスの情報共有による業務効率化や利便性向上についてご議論いただきました。土地・建物の所在、地番等に関する情報は収集や利活用のための作業が多くの主体で重複しております。ベース・レジストリの活用を通じて、国民と行政機関双方の負担の軽減に取り組んでまいりたいと思います。

3番目の民間事業者向けのデジタル本人確認ガイドラインにつきましては、民間における重要な取組でありまして、私からも改めて作成関係者の皆様に敬意を表したいと思います。今後、このガイドラインも活用しながら信頼性の高い民間サービスが提供されることを期待しております。

4番目の行政手続のエンドツーエンドでのデジタル完結に向けた取組につきましては、申請等におけるオンライン化に加えて、処分通知等のオンライン化についても加速化を図るべく、本日の議論を踏まえまして横断的な調査・点検等に取り組んでまいります。

また、そのほか、5番目の通知・通達等の見直しや6番目の地方公共団体におけるアナログ規制の見直しにつきましても、本日の議論を踏まえまして引き続き取組を進めてまいります。本日もありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

安念副座長: 副大臣、どうもありがとうございました。
それでは、次回の作業部会等について、事務局よりご説明をお願いいたします。

事務局(松田): ありがとうございます。
次回の作業部会の詳細につきましては、事務局より追ってご連絡をさせていただきたいと思います。

なお、本日の議事5「通知・通達の見直しの現状」につきましては、各省調整中の状況でございますので、ご異議がないようでございましたら、現時点では非公開とさせていただきまして、それ以外の部分につきましては後ほど議事録を作成し、皆様にご確認をいただいた上で公開させていただきたいというように考えております。

なお、本日の資料の取扱いにつきましては、「通知・通達等の見直しの現状」を除く資料につきましてデジタル庁ホームページに公開をさせていただきたいと存じます。
以上でございます。

安念副座長: ありがとうございました。

それでは、以上をもって第19回の会議を終わります。ありがとうございました。