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デジタル臨時行政調査会作業部会 テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第1回)

概要

  • 日時:令和4年10月3日(月)14時00分から16時00分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
  1. 開会

  2. 議事

    1. テクノロジーベースの規制改革推進委員会の開催等について(事務局から説明)
    2. テクノロジーベースの規制改革推進委員会の検討事項等について(事務局から説明)
    3. 登構成員からの説明
      • テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について
    4. 意見交換
  3. 閉会

資料

議事録等

開催日時

令和4年10月3日(月)14時00分から16時00分まで

場所

オンライン開催

出席構成員

座長

江崎浩(デジタル庁 チーフアーキテクト)

構成員

  • 遠藤典子(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート 特任教授)
  • 岡田有策(慶應義塾大学理工学部管理工学科 教授)
  • 小川恵子(EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 バンキングキャピタルマーケットリーダー レグテックリーダー パートナー 公認会計士)
  • 荻野司(一般社団法人重要生活機器連携セキュリティ協議会 代表理事)
  • 加藤真平(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
  • 川原圭博(東京大学大学院工学系研究科 教授)
  • 川端由美(自動車ジャーナリスト)
  • 久間和生(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構理事長)
  • 齊藤裕(独立行政法人情報処理推進機構デジタルアーキテクチャ・デザインセンター センター長)
  • 豊田啓介(東京大学生産技術研究所 特任教授)
  • 中垣隆雄(早稲田大学理工学術院創造理工学部 教授)
  • 中村修(慶應義塾大学環境情報学部 教授)
  • 根本勝則(一般社団法人日本経済団体連合会 参与)
  • 登大遊(独立行政法人情報処理推進機構サイバー技術研究室 室長)
  • 松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 教授)

概要

事務局(須賀):定刻となりましたので、第1回「テクノロジーベースの規制改革推進委員会」を開催いたします。

進行を務めさせていただきますデジタル庁参事官の須賀でございます。
本日、各構成員にはオンラインでご参加いただいております。
島田構成員、鈴木構成員、染谷構成員、中垣構成員はご欠席、遠藤構成員、川原構成員、永井構成員におかれましては、途中からご出席をいただく予定となっております。

それでは、本日の委員会の議事の概要をご説明させていただきます。

まず事務局より、この委員会の開催要領などについてご説明をさしあげ、座長のご紹介をさせていただきます。その先は座長に進行を替わっていただきまして、事務局よりこの委員会の検討事項や進め方についてご説明さしあげた後、登構成員から「テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について」、資料を基にご説明をいただきます。構成員の皆様からご自由にご発言いただく時間を最後にまとめて取らせていただきたいと思っております。

それでは、まず事務局より、資料1から3に沿いまして、本委員会の設置等についてご説明をさせていただきます。

資料は事前にお送りをさせていただいているものと同じでございますが、まず作業部会の設置要領についてでございます。

デジタル臨調作業部会の下で横断的な見直しに活用可能なデジタル技術の精査、安全性や実効性が確認されたデジタル技術の他の規制への適用可能性等の検討を行うために、テクノロジーベースの規制改革推進委員会を開催します。委員会のお名前を正式に「テクノロジーベースの規制改革推進委員会」とさせていただきましたのでご報告させていただきます。

それから、座長につきましてはデジタル庁のチーフアーキテクトもお務めになっていらっしゃいます、江崎浩先生にお願いをしたいと思っておりまして、座長の指名の下に構成員が今回決定をされております。

資料2でございますけれども、構成員の一覧、このようにさせていただいております。ご参加、どうもありがとうございます。

それから、資料3でございますけれども、運営要領といたしまして、資料の公開などについてこのように定めさせていただいております。
まず委員会において配布された資料は原則公表とさせていただき、また、議事録も事前に皆様にご確認いただいた後で公表させていただくということにしたいと思います。

他方で、話の内容によりましては委員会の決定を経まして資料、議事録の一部または全部を非公表とすることができることにしたいと思います。その中身、理由としては、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると認められる場合、それから、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると認められる場合、その他中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある等相当の理由があると認められる場合というようにさせていただいております。

その余のルールについては座長にお定めいただきたいと思っております。

では、先ほどご説明さしあげたとおり、この委員会の座長につきましては、デジタル庁チーフアーキテクトの江崎浩先生にお願いします。

江崎先生、ご挨拶、お願いできますでしょうか。

江崎座長:東京大学の江崎でございます。
非常に重要なこの委員会の座長を私のほうが務めるということでございますので、ぜひ皆様方からのご協力のほうをお願いできればというように思います。

これは日本のデジタル化を本格的に進めるために規制の見直し等を技術の観点からというのが大きなミッションだと思います。さらに、今日の日経新聞のトップはやはりサイバー攻撃に対してのところが非常に重要であると、厳しい状況にあるというようなことがございました。これはある意味、この委員会でつくるものがしっかりとしたサイバーセキュリティー対策を持った上で行うべきデジタル化を進めるというようなところもちょうど今日、議事になっているのが象徴しているのではないかというように思いますので、皆様方のいろいろなご見識、アイデア、ご経験等でぜひ実りのある委員会にできればというように思っていますので、どうぞご協力のほうをよろしくお願いいたします。

事務局(須賀):どうもありがとうございます。
それでは、以降の進行につきましては、江崎先生にお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

江崎座長:ありがとうございます。
それでは、以降の進行でございます。よろしくお願いします。
議事に入ります。

各構成員の自己紹介に関しましては、事前に顔合わせの会を設けさせていただいておりましたので、省略とさせていただければと存じます。

次に、事務局のほうから、本委員会の検討事項等についてのご説明のほうをお願いします。

事務局(須賀):ありがとうございます。
資料をまた画面共有させていただきます。

1ページめくりまして、本日のご議論いただきたいこととしては、まず、この会合のゴールや目指すべき姿、この会合で検討されるべき事項や進め方、それから、テクノロジーマップや技術カタログの在り方、そして、規制の見直しに向けた技術検証の進め方というように設定をさせていただいております。

次のページですけれども、スライドの2、行けますか。

この委員会のゴールとして現時点で想定しているものは、前回の皆様のブレストのときにいただいたアイデアを全部まとめるとこういうことかなということで書かせていただきました。まずデジタル原則に適合しない規制や行政サービスの見直しを加速化するために、先端技術の活用事例、いわゆるベストプラクティスについての知識ベースを共創する。

そして、同類型の規制の横断的な活用と官民による調達、技術調達を促進していく。

そして、技術利用を想定したリスクの再評価を通じて規制の在り方自体も不断に見直していく。

そして、国民生活を多様なリスクから最も効果的に守りながら、さらなる技術開発目標も提示をすることで、グローバルな市場の創出や展開につなげていくといった要素をご提示いただいたかなと思います。ほかに抜けているものがありましたら、この後、ご意見いただければと思います。

それから、3ページ目以降は、いろいろな場で皆様からいただいているご意見で重要だと思われるものを事務局のほうでピックアップして、備忘も兼ねてリストアップしておりますので、思い出すという観点から少しご説明をさせていただきます。

テクノロジーマップやカタログは、作って終わりではなくてアップデートあるいは実際に活用されるための環境やインセンティブづくりが必要だということ。

そして、このアップデートは官主導で延々とやっていくのではなくて、民主導で、民主体で自動生成されていくようなエコシステムとして広がっていくようなものがいいのではないか。

それから、技術カタログには、放っておくとメリットしか記載されないけれども、使う側からするとできないことも含めて分かるようなものになることが望ましい。この公表の仕方を工夫できないか。

それから、技術を導入することによって、規制の本来の趣旨に立ち返って、その在り方を見直すというフィードバックがかかることもあり得るのではないか。例えばデジタル化によって講習が容易に行えるようになれば、資格の有効期間自体を短縮して更新頻度を高めるというようなことも可能になるのではないかということもご指摘いただきました。

それから、デジタル技術が現場で実際に使われるようにするためのインセンティブ設計についてもご議論いただきました。

それから、現在のアナログな取組で必ずしも100%の精度が実現できているわけではないという事実をしっかりと見つめまして、デジタル技術についても100%の精度を求めるということではなくて、どこまでのリスクを許容し、どの程度の水準までを求めるのかというような指針や開発目標を示していくべきではないか。

それから、テクノロジーやサービスだけを探索してカタログ化するのではなくて、その上のレイヤーになりますけれども、規制所管省庁や事業者ごとに設定した規律が掲載されるガイドライン、このガイドライン自体もカタログ化、類型化を進めていくべきではないかというご指摘もございました。

次のページでございますが、これは江崎先生に会合の後に論点としてばっと整理していただいたのがこちらなりまして、今後、事務局としては、これを骨子としながら、ご指摘いただいたものを差し込んでいって論点が落ちないようにロングリストとして管理をしてきたいなというように思っております。

次のページですけれども、デジタル臨調14回作業部会を先週水曜日に開催しまして、こちらで作業部会の構成員からもたくさんのコメントを頂戴しております。

まず、マップやカタログの発展のさせ方に関しては、多段階的に成長していくことになるのではないか。1回作って終わりではない。将来的にはシーズとニーズのマッチングなどもできるようになっていくといいのではないか。

それから、カタログの取組に多くの人が集まって改善サイクルが回っていくような仕組み、視聴者を増やすような取組が必要ではないか。そうすれば自動で自然といいものになっていくのではないか。

それから、マップ・カタログが発展していくようにするためにはインセンティブ設計が重要だということをこちらでもご指摘いただきまして、政府調達との連携なども考えられないかということでございました。

それから、民主導でマップやカタログが更新されていくのは理想的なのだけれども、その場合にモラルハザードが生じないための仕組みも検討するべきではないか。

それから、デジタルマーケットプレイス(DMP)というものをデジタル庁で検討しております。これは政府調達の対象になり得るサービスをあらかじめマーケットプレイスに登録しておいて、競争入札ではなくてしっかりといいデジタル技術が機動的に調達されるような環境をつくっていくというような議論ですが、こちらとの連携の可能性はないのかというようなご指摘もございました。

それから、カタログの在り方については、現場での導入に当たっては、価格体系がどうなっているかということが結構重要であって、コスト面についてもしっかり分かるようにする必要があるのではないか。この点に関しては、現在、講習のデジタル完結について先行公募をかけており、そのときもコストのことは質問の中に入れるようにしておりますが、より使いやすい表示の仕方といったことは工夫の余地があるかなと思っております。

それから、技術導入に当たっては、技術だけで解決できる部分と運用で解決をする部分があるので、技術自体に関する情報を整理するのと併せて、どう運用していくのがよいかといった点も整理できるとよいのではないか。これは皆様からもベストプラクティスが参考情報として重要だというご指摘があったのと近いご指摘かなというように思っております。

それから、リスクの面に関してもご指摘がありました。技術を活用して問題が発生した場合の責任、この責任には民事責任と刑事責任と行政責任があるわけですけれども、それぞれの在り方についてしっかりと検討しておくべきではないか。行政責任については行政の無謬性からの脱却といったデジタル臨調全体で掲げてきたテーマにも関係をするのではないかということ。

それから、カタログで示されたとおりの性能が出ない場合の責任についてもしっかりと考えておくべきではないのか。ITサービスの分野ではServiceLevelAgreement(SLA)の考え方が広く普及しているわけですが、こういったものが参考になるのではないかというようなご指摘もございました。

それから、技術カタログの先行整備でございますけれども、まず先行整備することはいいねと、これでフィードバックを得ながらカタログ整備の在り方について検討をしていくのがいいでしょうねと。

それから、本人確認に関してIPAのデジタルアーキテクチャデザインセンター(DADC)が類型化をしまして、こういう類型であればこのぐらいの強度の本人確認が必要ということを整理したガイドラインを出しているのですが、そういった形が参考になるのではないかというようなご指摘もいただきました。

次のページでございますが、技術カタログについては、今、お示しした話と少しかぶる部分もございますけれども、このトラストの担保の方策ですとか責任の主体みたいなことというのはもともと論点認識をしておりまして、結構難しい議論になると思いますが、逃げずにしっかりそこを整理していく必要があるだろうなというように思っております。

その次のページですが、次回以降想定される議題といたしまして、マップとカタログの在り方は広い意味でずっと議論していただくわけですけれども、技術活用におけるセキュリティー等のリスク評価の進め方ですとか技術検証を具体的にどういうように実施をどこからしていくのか、そういったこともご議論いただければありがたいというように思っております。

最後のページでご報告になりますけれども、9月30日付で、先週の金曜日から技術カタログの先行整備を開始しております。具体的にはご報告いたしましたとおり、講習や試験のデジタル化、デジタル完結に必要な技術の公募というものをデジ庁のホームページにおいて始めております。応募フォームも見ていただけますので、これで十分だったのか、こういった質問がもっと入っているべきだったのではないかというようなことも含めましてぜひご指摘をいただければというように思います。10月21日締切りということで公募をしておりますので、その後、出てきたものを見ながら試行版として公表のための整理を始めていき、公表の前にぜひ皆様にもまたご意見を伺えればと思っております。

事務局からのご報告は以上になります。

江崎座長:どうもありがとうございます。
ただいまの事務局からの説明に対する構成員の皆様方からのご意見、ご質問等につきましては、冒頭の事務局からのご案内のとおり、本委員会における全ての説明を完了した後でまとめて時間を取らせていただければというように思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、次の議題のほうに移らせていただきます。

今回、独立行政法人情報処理推進機構、通称IPAですけれども、そこの登構成員のほうから、議事の3点目に記載されております「テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について」のご提案、ご説明のほうをいただければというように思います。

登構成員はいろいろなところで面白い役に立つようなソフトウエアを作ったりしていらっしゃって大変実践を重視した仕事をしてらっしゃいます。今回の登構成員からのご提言は今後のテクノロジーベースの規制改革の推進の方向性を検討する上で非常に参考にできるのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

では、登構成員、よろしくお願いします。

登構成員:こんにちは。登と申します。
今日はちょっと変なスライドを書いてきたのですが、口頭で併せて説明をしたいと思います。

自分が提案したいことは、大体この技術カタログというのはどういうような記事を書くとよいか、誰宛てに書くとよいか、どういうようなシステムで書くとよいか、そういうような記事の具体的な内容の性質とそれを編集するシステムとしてこういうようなものがあればいいのではないかと思って持ってきました。

自分がこれから述べる話は、大体この技術を組織の中にうまく入れ込むということに成功している例えばアメリカですと、Microsoft社とかAmazon社のクラウドのようなものを日本企業、みんな率先して使い始めております。こういうような歴史的にうまくいったところはこういうようなことをやっているのではないかという話をしたいと思います。

そして、もう一つは、自分も先ほど江崎先生からご紹介されましたように、大したことはないのですけれども、多少は同じようにMicrosoftみたいなやり方をまねて技術記事を書いたことで、自分の作ったソフトウエアも大分普及に成功しております。大体大きなものとしては3つ作ってきまして、VPNのソフトは600万ユーザーぐらい世界中で使ってもらっていますし、日本の国内では民間向けのテレワークのものは24万人に使ってもらっています。自治体のLGWAN向けのテレワークは日本の790行政庁で使ってもらっています。どれもフリーウエア的なオープンソース的なものですけれども、信用してもらいまして日本の多くの堅い組織の中で使ってもらったのです。そういうようにするにはこういうことが重要だったという経験も踏まえて説明をしたいと思います。

1ページ目の概要ですけれども、これはまず、いい技術であっても外部から組織に使ってくださいよと言うのは非常に難しいということを示しています。なぜなら、組織、特に日本的な大企業、また行政庁というものは前の動きをひたすら繰り返す性質がありますし、変化は望まないですし、外からは基本的に異物だということで排除します。何とかキャンペーンみたいな情報発信を国の機関や日本の企業もこの中に発信することは盛んにやるのですけれども、それが後になってどうなっているかというのはあまり聞こえません。うまく中まで入らずに、大抵立ち消えて冷めてしまうのではないかと思うのです。

これをちょっと図に表してみたのですけれども、大体組織というものは、この図の上のほうに強固な壁があって、ファイアウオールみたいなのがあるのです。ここに我々がこういうような技術の使い方があるぞと、これを用いて既存の業務をよりよくしようと外から言いましても、中の従来手法というほうがもうすごく幅を利かせていまして、それは変えたくないわけですから跳ね返されてしまうのです。

このファイアウオールというものがみそで、このファイアウオールというのは、大体はこの下の図に描きましたけれども、コンピューターのファイアウオールと非常によく似ておりまして、外から中へ情報を外主導始動で入れるのは極めて困難なのですが、中から始動して外にある情報を取ってくるように中に味方を増やしましたら、ここのファイアウオールというのは全く柔軟なものでして、一方向性になっていますから、中から外にこれはこれはということで情報を取ってきてもらうようにするのが一番いいのだということです。

また、後で述べますが、もう皆クラウド、クラウドということで日本社会に人気があるAmazonやMicrosoft等のクラウド製品やOS製品等も後で述べるような方法を用いて組織内の味方を増やし、その組織内個人の支持を得て大いに普及したのではないかと、そういうように考えております。このようにして適切な情報発信をして、企業の中からこれをぜひ使いたいと思わせることに成功したならば、従来型の日本の堅い日本企業でも普及して、そこが使ったのであるからうちも使おうということで他の組織にもそれが移っていくということで、全社会的に加速的に普及するのではないかと思います。今日述べたい趣旨はこのとおりであります。

具体的にどうすればいいかという考えを述べます。

大体デジタル技術というものは、従来の産業製品と比べて、例えばたくさん予算をつけるから工場を造ろう。石油化学コンビナート、鉄工所を造れ、そういうような感じだったら、これは非常にシンプルでありまして、上意下達的にやればスムーズなのですが、デジタル技術の場合、非常に細かくて、そして、精密で、組織の中でも個人の能力の幅がすごくぶれていますから、大きく能力がある方がごく少数、組織にいるときに平均的能力の方々を対象にして情報発信をしてもうまくいかなくて、この後で3枚目に出るのですが、大体この組織というものは3個、中にグループがあります。

1番は、偉いさんグループ。2番は、もうこれは非常に大規模な日常業務をする経営事務的機構、つまり、サラリーマン的集団の組織。3は、少数ながら組織内に実は隠れて存在する独立した頭脳を持ち、試行錯誤を好む、実質的技術的な決定権者であります。

名目上の決定権者はもちろん1のお偉いさんなのですが、彼らは先ほどのような従来産業型の意思決定とリーダーシップが非常にうまいものの、技術、特にデジタル技術についてはそれほどではなく、これはぜひ使えという形で1番の方々が考えても、そこまではいいのですけれども、この1番の方々が2番目にこれをでは使えというように押しつけますと、2番目はサラリーマン的集団で、従来手法を好んでいて、各個人の試行錯誤や各個人の専門性に基づいた判断やリスク管理の訓練というのはあまり受けてないのではないかと思います。2番目の方々は非常にすばらしい方々だと思っていまして、2番目の方々はこれがなければ日本の組織というものは成り立たず、大規模、そして、日常運営に必要な高い価値をお持ちの方々なので、この2番目はすばらしいのですけれども、殊にデジタル技術というところは2番目に1番目が持ってきても活用されないのだというように思います。

1番目に注入してから3番目に落とし込むというやり方は非常にうまくいかなくて、なぜなら、3番目の方々は技術の本質が分かっているので、技術の本質を分かっているかどうか怪しい1番目の方から、上から3番目に押しつけられますと、そういうような事例はよくありまして、最近でもビッグデータだ、ブロックチェーンだ、AIだ、Web3.0だと、何でもかんでも言ってくるものですからろくなものはないということで、3番から見ると1番は言ってくるけれども、無視しようと、そういうようになってしまうのです。

そうすると、これを今度は同じことを図に描いてみたのですけれども、組織がありまして、左側が技術の自分の責任で頭脳を働かせることができる人材で、左がA、右がサラリーマン的組織、B。Bの膨大な平均的なレベルに対して技術情報を注入しても活用することは困難なので、自分の考えは、この図の赤いほうのように情報発信というものは、このA群の少数だけれども、実質的にかなり決定権を、オフィシャルには権限がないにしろ、実質的に影響力があるのは左のAのほうだと思いますから、この左のAのほうにまず注入すべきであるというように思います。

そして、左のAのほうに注入するためには彼らが受け入れるもの、自然に受け入れられるコンテンツをいかにつくるかが重要だと考えます。そうしまして、Aに受け入れられたならば、これが次第に、AとBは同じ組織内ですから、信頼関係があり、組織の壁も薄いですから、左(A)から右(B)のほうにリンゴのマークのようにだんだんと右のほうに移ってきまして、右(B)で大規模運用をするための仕組みがつくられて、左(A)の方々はその際には必ず参加すると思いますが、そして、これが日常的大規模運用、右の一番端のほうにつながるというゴールにいくのではないかと思うのです。

これが自分の考える技術カタログの対象やそれを組織に注入するアーキテクチャーの図であります。

次は方法論について思うことを述べます。

彼らA群と呼んだ方々が実質的に受け入れ、熱心に読む情報というものはどういうものがあるか。これはまさに90年代から2020年までの30年ぐらいの現代の日本企業のコンピューターを支えていらっしゃるA群の方々がこの30年で読んでこられたものが非常に参考になると思いました。この右上にございます雑誌は『I/O』とか『ASCII』とか『UNIXMAGAZINE』とか『BASICマガジン』とか、こういうようなものは今のコンピューターを支えている方は若い頃から、また会社内でこそこそ読んできたもので、これはすごいのです。3つすごい要素があります。

第1に、多様なレベルの高い情報が入っております。これはコンピューターの話が毎月膨大なページ数で専門的なことが書いていてレベルが高い上に、文書はよくある偉いさん向けのじゃんじゃかじゃーんみたいな、これを見なさいみたいなパワーポイントではなくて、かなり学術的に近い雰囲気があったのです。しかし、学術論文でもなく、難解でもなく、それなりに簡単に読めて、私はコンピューターの知らぬ知識をちょっと知りたいと思う方でも読めるのです。詳しい方が読んでも勉強になるのです。誰が読んでも知識・教養が身につくのです。これはすばらしいのではないかと思うのです。

そして、2番目は、双方向性があったように思われます。本を毎月楽しみに本屋で買うのですけれども、これはすごいなと、諸先輩方の雑誌記事を読みまして、まさに技術的な活用事例なんかが書いているのです。この言語やこのハードウエアやこのOSや、これを組み合わせるとこんなことができる。それでやってみたら自分も新しいことができたといったら、今度は書いてみたくなるのです。当時はインターネットもありませんでしたから、雑誌の編集者に私も書きますよと言うとどうぞどうぞということで、この権威のある雑誌に原稿を載せることがかなりできていて、実は半分以上はそういうような読者からの寄稿に頼っていたのではないかと思います。これが2番目です。

3つ目は、技術者が熱中する工夫が見られるということで、これは記事もさきに述べたように真面目な記事に加えまして、実際にこんな変なことを使ってみたいみたいな写真ですとか組織で使ってみたとか、写真やサンプルコード、そして、何よりも次に試せるCD-ROMみたいなのがついていたのです。これはもう釈迦に説法かと思いますが、インターネットが十分になかったので、CD-ROMを楽しみにしていたのですね。

1冊、ちょっとスキャンをしてみたのですが、この『ASCII』誌、1998年10月号をサンプルにしますと、これは500ページもありまして、まず広告欄からすごいです。Intelの偉いさん向けの「際立たせたのは、そのパフォーマンス。」という、こういうキャッチフレーズも書いているのですけれども、追加で下のほうにえらい細かいことも書いているのです。パフォーマンスのベンチマークだとか、PentiumⅡプロセッサは何が違うのかとか両方書いていますよね。大きいことも書きますし、小さいことも書く。最近の資料は、何か大きいことばかり書いてあるものと小さいことばかり書いてあるものの両極端になっているのですけれども、両方書いているというのがすごい。これが500ページ、毎月あって、980円である。

さきに述べましたお楽しみCD-ROMというのが毎月ついていて、今では大いに普及しているMicrosoftのEdgeやFirefoxというようなものも当時普及する前はこういうようなCD-ROMのおまけでついてきて、これを読んでみんな試してみて、MicrosoftやFirefoxのファンになったということであります。

次は目次を見てみましょう。さきに述べましたたくさんの、これはPDFでお配りしていますから拡大していただければと思いますが、まさにこのデジタル技術を使ってみてこんなことができたということを、多様性をもって、そして、わくわくさせるような内容として一覧がまず書いてあります。これを見て大体は自分の興味があるものを、そのページ番号が書いておりますから、何でもいいです。ビデオ編集でもいいですし、ぱっと開きます。これをぱっと開くと、こういうような内容になっていて、この文章は結構かなり日本語的にもきれいで、何度も校正してあって、学術論文にもよく似ているけれども、それほど難しくもなく、ちょうどよいです。

内容は大変濃ゆいのです。例えば「WindowsNT5.0β2の凄い中身」ということで、これは何かというと、当時全く普及していなかったNTというカーネルがあったのですが、このような記事のおかげで組織内技術者に受け入れられて、後に企業に広く普及し、現在、WindowsXP、Vista、10、11、Azureというように呼ばれてもうみんな使っているのが30年前、こんな記事になっていたのであります。
オフィスの記事とか、日本人もこれはアメリカのMicrosoftだけではなくて日本企業も書いてらっしゃいました。例えばソニー株式会社○○課長○○氏、私が作ったDVコーデックのソフトウエアの記事ということで、日本企業の方も実名で投稿されています。「XMLへの招待」。XMLというのは当時出たばかりで、この後、日本企業に向けましてどんどんと普及していったのであります。ちなみに、これより前はバイナリープロトコルで全く多種多様にばらばらだったのを統一したのがXMLです。こういうような記事を読んだ方々が、「これはこれは」ということで技術を身につけて、実際に業務をつくっていったのではないかと考えられます。

実は国の政府職員も有識者として盛んに技術情報をこういう『ASCII』のような雑誌に投稿なさっていました。例えば経産省IPA職員の前川さんによる記事です。「2020年のインターネットはどうなる?」というインタビューです。テラビットのバックボーンになるのではないか。実際に現在、総務省の統計によると10テラビットぐらいのバックボーンになっていますからこれは非常に当たっています。もう一個の記事もあります。「携帯はコンピューターになっていくだろう。」「ネットワークに常時つながる環境が、あと5年でやってくるだろう」。これは別の方の議事です。また、2020年はIPv6が普及するであろう。こういうようなことで非常に内容も正確な、これが1998年ですから、24年前がこのような正確な内容が書かれていたわけです。これは、驚くべきことでないでしょうか。

ところが、最近、こういうような大分技術的に深い内容のものがなくなってきておりまして、他方で、このスライドの上で述べている。3点セット、①「論点を的確に明確に伝えろ」、②「3行で書け。」そして、③「イメージを多用し、頭脳を使わなくても読めるようにしろ。技術的な表記は避けて組織的に分かりやすいようにしろ。」こういうような考え方がベストプラクティスになってしまっております。もし、我々の技術カタログでこの考え方に基づいて出したとしても、すでにレッドオーシャン化しておりまして、あまり注目されないのではないかと思うのです。

そこで、自分の提案は、今はこの上のやり方ばかり普及してしまって競争になっているので、さきに述べた雑誌記事のような下に書いた技術的に広く深く、叙述的で(叙述的というのはパワポではなくて文章でという意味です)、技術思想や内部構造の付随的内容にも富んで、全部読むとそしゃくするのに労力を要するものの、それが楽しくなる記事、つまり、正統的な技術系記事というものを誰も書いてないから供給がないので、ここを書けば大人気になることは間違いがないのではないかと思います。これはもう雑誌や書籍が多く消滅してしまって、これを読みたいなという方でも読むものがない状況になっておりますから、皆飢えているので、これを用意すれば自然にA群人材を通じて社会に浸透するであろうと思います。MicrosoftやAWSの技術カタログ等も、後で実例を挙げますが、このようにうまい部分を突いているのではないかと思います。

どういうようにすればそういう記事が書けるかという点を少し述べてみたのですが、1から12までありまして、技術的に正確だとか、広さと深さがあるとか、後でまたPDFをご覧いただければと思いますが、自分はこの12個が重要ではないかと思います。

例えばですが、7番、これは書き手が自分よりも何かレベルが高いような技術集団の中で特に高い能力を持っているのだということを一瞬でぱっと見て分かるようなレベルの記事でないと読んでくれないので、そういうようなレベルの記事が望まれるということが7番であります。

10番は、単に技術的な内容で終わらずに、例えば組織内への力関係、社会全体に与える影響とかそういうようなことを述べると読み手は技術的に革新を担っている気分になりまして、自分もやるのだということになるのだと思います。

そして、何よりも12番目、遊び心。面白い文章や秘密の写真やこぼれ話が5%ぐらい、よく読むと書いてある。これを適度に配置することが重要だと思います。

そうして、下の図に描きましたが、よくあるのは左、大体行政文書というのは2つしかなくて、左は、読み手が頭を使わなくてもよいジャンクフード的パワポ文書というのが左側で、右側というものは大変難解な論文、専門書、伝統的行政文書というのがあって、これらは両極端なので、技術的正当記事というものは先ほどの雑誌記事というのが真ん中の中庸的部分を突くものだというように思います。

さて、実際にそれをやって成功した例は多くあります。Microsoft社やAmazon社というものも実は企業の偉いさん向けに、何か空港で日本に帰ってきたときに、国際空港の壁に貼ってある技術コンサル会社の大きな宣伝みたいな感じのものを最近はやっていると思うのですけれども、この普及期である1990年代、2000年代はそうではなく、さきに述べた技術正当記事をたくさん書くことで技術者にどんどんと使ってもらったという経緯があります。これをいまだにやっているのがMicrosoftやAmazonで、彼らはコンピューターソフトの技術がすごいだけではなく、ドキュメンテーション能力がすごいのであります。2つ、両方やっているのであります。

日本企業の場合、これは分からなかったら、どうしてもドキュメントがないので営業さんやサポートさんに問い合わせないといけないのですが、組織内に隠れたA群人材の方は夜中のうちに解決方法を自分で見つけ出したいわけで、営業やサポートだと3日ぐらいかかるので、MicrosoftやAmazonのものはもう幅広く咀嚼するのに時間がかかるものの、奥深い文章が全部載っているので何とかその日の夜のうちに分かるのです、これが大事であります。

第2は、それを読んでいるうちに、単に技術を使う方法ではなく、技術を作った方々、つまり、MicrosoftやAmazonに住んでいるような正統的なメリケン技術者たちの能力や思考回路を分けてもらえる、こういうようなことに気づいて、単に仕事よりも自分の頭脳を強化するためにこれをどんどん読もう、こういうように思うのだと考えます。これらが鍵なのではないかと思います。

そこで、デジタル庁もこの技術カタログをやるのであれば、短期的には政策を実現するために、短い内容でもやむを得ないと思いますが、2年後とか5年、10年、40年ぐらいこれをやる意気込みで、このような記事を復活させるのがいいのではないかと思います。技術的に困ったときはデジ庁のxx.digital.go.jpにブラウザのところでURLを行けば、先ほどのAmazon、Microsoftみたいな技術カタログのトップページみたいなのが出まして、ここからたどっていくと全部書いてある、すごいと、こういうような、例えば日本の法令を調べたければe-Gov法令サイトというのは人気がありまして、20年ぐらいやられていると思うのですが、そういう感じの技術版ができればいいと思います。

そして、PDFはよろしくない。HTMLやHTTP、HTMLベースの記事で、編集をするときもWordやパワポを編集するのでなく、テキストファイルを編集して記事を書くべきである。カテゴリーごとのメタデータをつけ、そこからテクノロジーマップの表紙を作り、自動生成し、テクノロジーマップという表紙から各記事へのリンクが貼られるという部分は、自動的に起こらないとそのうちメンテナンスをしなくなってほったらかしになって使わなくなるので、MicrosoftやAmazonはこれをちゃんとやっています。12ページ目の写真のとおりです。

そして、読者からの寄稿や修正というのは受け付けることが重要だということ。

そして、読者が寄稿した場合、書き手というものは投稿して反映されるまでの時間が短ければ短いほど意欲が高まり、次の記事を書こうということになるので、これは技術的なことですが、編集システムでプル・リクエスト、Gitというものを受け付けて、承認されれば短時間で反映されるというようなことだと驚きがあり、自分もこのデジタル技術カタログに関与できるという喜びでどんどん記事が増えると考えます。

そうすると、さきの14回作業部会で出た懸念で、記事を民間主導で書かせるとモラルハザードが起きるのではないかという懸念が生じます。つまり、インチキ内容で営利目的の記事で氾濫するというスパムみたいなのが現れます。そこで、この自動ではなく承認ベースで、ただ、企業の執筆者が書いた技術記事でも技術情報を普及するものを目的とするのであれば、間接的に営利目的でも直接が違うならば掲載を認めればいいのではないかということだと思います。内容が怪しい場合は、今、まさに我々のような変な会議体みたいなのが常設でありまして、そこに見せて問題なければオーケー。特に怪しくなければ、もうデジ庁の政府職員がぽんぽんと承認してオーケー、こういうようなものでいいのではないかと思います。

最後に、ちょっと試作システムを作ってみたのであります。これは現代版のMicrosoftやAmazonのドキュメントサイトが裏でどう動いているかを研究しまして同じものを作ってみました。後で少し拡大しますが、大体のステップは次のとおりです。

まず1番で、誰かが投稿します。これが既存の記事の修正または新規記事の追加であります。そうすると、リポジトリサーバーにこれが格納され、デジ庁職員みたいな方がいまして、編集者です。2番目でレビュー、3番目で承認。そうすると、僅か1分以内に4番目が走り、ウェブサーバー装置というものに記事が格納されて、5番目のウェブブラウザで閲覧可能になるということです。

どういうようなものができるだろうかと、これも自分がちょっと作ってみた試作でありますが、15ページ目はユーザー、読者が見るページであります。さきにPDFはけしからぬ、HTMLのほうがいいというように言ったのは、大体は、まずURLが決まっていまして、そのURLをほかの人がコピーすると、そのページの中のこの章、この節が表示されるというような感じで、不変URLがつきます。これが非常に重要です。そして、コピー・アンド・ペーストも簡単ですから、それを受け入れる各組織の技術文書にそれを流用することも簡単です。これがWordやPDFだと非常に書式情報がついているし、面倒であります。さらに、画像や動画も表も貼り付けることもできます。これが読者に見えるようなイメージであります。

それでは、文章を書く、記事を書く人はどういう画面で作業することになるか。これは2種類ありまして、第1に、ウェブブラウザだけで完結するやり方があります。16ページ目の写真のようにテキストファイルで書きます。テキストファイルだと、ただ、フォントの大きさとかが設定できないので、設定したい場合、Markdownという書式を書けばこれが見出し、章、節、箇条書き、表だということを書きます。これがウェブブラウザですが、ウェブが気に食わないという方は技術者の中には多くいますから、そういう方々のためにgitというコマンドを用いて編集することも可能にするということがいいと思います。

次がレビューの画面であります。例えばデジ庁さんで毎日レビューをする担当の方には、この人がこんな記事の追加を書いていきましたよという差分が表示されます。それで承認するか、拒否するかを決めるということがいいのではないかと思います。

そうすると、なんともう10秒後ぐらいには承認されたならば、デジタル技術カタログの内容が実際に書き換わりまして、全世界に対して公開される。とても投稿者が喜び、こんなにすぐ扱ってもらえるのだったらさらに良質な記事を書こうというように考えまして、そして、コストをかけなくても多くの日本の技術者からよい記事が集まってくる。実際に活用事例を見いだしたA組織の方が記事を書いて、それを喜んで投稿するので、B組織、C組織、D組織はそれを見てやってみようという気分になるという、こういうようなよい技術カタログのサイトが長らく30年ぐらい価値を持って持続すればいいなというように思います。

以上で終わります。ありがとうございました。

江崎座長:どうも登さん、ありがとうございました。とても分かりやすく、しかし、実例のものも既にプロトタイプを作ったところまでご紹介いただいてありがとうございます。チャットのほうでは少しその議論も始まっているようですけれども、どうもありがとうございました。

それでは、最後というか、これから1時間ちょいぐらいは可能ですけれども、最後の4点目の一番重要な意見交換の時間とさせていただきます。

本日の議論に関して、あるいは今後の進め方等に関しまして、構成員の皆様からご意見、ご質問等をいただければと思います。特に本委員会の方針につきましては今後の皆様との議論、それから、ご対応に関わる重要な内容でございますので、なるべく多くの構成員の皆様から忌憚のないご意見をお聞かせいただければ幸いでございます。

ご発言をご希望の方はWebexの挙手機能により挙手の上、ご指名させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、どなたからでも結構でございますので、お手を挙げてご発言いただければと思います。あと川端さんがもう大分書き込んでいただいていますけれども、ご発言されますか。

川端構成員:分かりました。すみません、たくさん読んでいた時代のものが出てきたのでつい発言してしまいました。よろしくお願いします。

すみません、海外にいて、こんなところから出ております。よろしくお願いします。

すごくおっしゃるとおりだなと思っていて、従来、第三者的な視点、既に結構スタートアップだったりとか技術プロダクトを出している企業のオウンドメディアのところにかなりの情報があって、ウェブログ、ブログの形と技術者は時間がなかったり利用者は本当に短い時間でスキルを取りたいのでブログという形でざっと読めるものを喜ぶのと同時に、意思決定の導入者がセミナーを好むというのがあって、その二本立てでやられている傾向はすごい高いのですね。非常に効果的なのだと思います。

ただ、同時に、それを持っていって説得するときに、例えば言い方は悪いというか単純に聞こえるかもしれませんけれども、日経新聞に載っていましたというのは一緒に持っていくともっと効果的というのはあるのですよね。それはメディアのニュートラリティーが担保されているということで、今、先生がまとめてくださった過去に『ASCII』の例なんかはメディアニュートラリティーを担保していたというのと、それに喜んで参加するというタッチングポイントがあったという、その2点がオウンドメディアでは担保できないので、そこを今、ちょうどお話、おっしゃるとおりだなと思ったのです。

デジタル庁が例えば裏で支援するというか、プラットフォームを支援する。裏というか土台のところを支援する形で、そこに人的要因の例えばMicrosoftとかは、今、実はAmazonもそうなのですけれども、雑誌がすごい悪くなっているときに雑誌の紙媒体の編集者というのを採用しているのですよ。何でかというと、ウェブだと無条件にたくさん情報を載せられるのですけれども、紙メディアの場合はプロの目で精査して減らした形で伝えたいだけの情報を載せるとなっていて、これは何がいいかというと、読者のほうの理解に対して情報量が多いと情報がサチるというところが来て、ここを超えるともう読んでくれなくなるのですね。ただ、紙媒体は1か月180ページとかと決まっていたので情報を減らすという作業があって、紙の編集者があぶれるのをいいことにそれをかなり実は採っていて、後からデジタルスキルだったりとか英語は社内で教育すればいいやという形で、そういった人材がかなり入っているというような実情を特に日本に伝えるとローカールマーケットの人にあるというようには、周囲の人間の流れからしてもそういうのは感じているところです。

ですので、すごくおっしゃっていたことをよく整理されていて、メディア業界の側からとして、あと読者というか利用者の代表としてのジャーナリズムも私はよく採用の側からも書くのですけれども、そういった視点でも非常に同意できることだなというように思って聞いておりました。

江崎座長:どうもありがとうございます。

もう具体的にここまで案ができているのだったらやったらいいのではないですかという加藤構成員からのご意見もありますけれども、やはりこういう情報の発信を本当にプロフェッショナルな形で、デジタル庁で進めていくということができればですし、やらなければいけないというのが一つの内容かと。

ほかに皆様方からご意見等ございますでしょうか。登さんからの話だけではなくて、この委員会としてどういうことをやるべきかみたいなところも含めてご発言いただければと思います。挙手機能で。
では、経団連の根本さん、お願いします。

根本構成員:ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。

江崎座長:大丈夫です。

根本構成員:登さんのご発表はすばらしくて、私は技術屋でも何でもないので、そちらの方面からのアプローチはできない。とにかくこれだけできているのでこれでやってみたらというご意見に大賛成でございます。

ただ、プレの会合でも申し上げたのですけれども、それをどうやって社会の中に取り入れていくかなというところを相変わらず気にしております。座長のほうから冒頭、セキュリティーのお話で今日の日経新聞のお話がありましたけれども、もう一つ、リーガルテックのお話で、業務独占分野へのテクノロジーの利活用のところについて、極めて大きな壁が存在しているということが明らかになっております。

今日は弁護士分野の部分だけでございましたけれども、あれはぎりぎり詰めていくと、エックス線というかレントゲン写真、今、肺がんや何かで全部読影をやっているわけですが、あれはAIで読ませたら駄目ですよという議論につながりかねないような議論を含んでおりまして、ほかの業務独占分野について、コンピューター利活用が駄目ですよということの論拠を与えるようなことになってはいけないなというように思っています。それを避けるためには、やはりそれぞれの省庁で持っている様々な規制、それは何を守ろうとしているのか。その規制の目的とレベルをもう一度きちっと明らかにしていっていただく、それが現在の利用をしていい技術等々について何をどの程度まで守れるようになっているのかというのを明らかにしていく、そういうようなことも同時にやっていかないと、この委員会としてはなかなか厳しいものになるのではないかと。

冒頭、須賀さんのほうからお話しいただきました本委員会のゴールというところで、3つ目のポツのところに規制の在り方そのものを不断に見直していくということを入れていただきました。登さんのお話は恐らくポツの1つ目と2つ目、3つ目ぐらいのところを全部包含するような形になろうかと思います。ただ、それを実効あらしめるためには、やはり規制の在り方そのものも見直していただかないと本当に参考情報としてテクノロジーマップやカタログがありますね、そうですかで終わってしまいかねないので、ぜひ規制の見直しにつなげていただければというように思っております。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。
これは須賀さん、少し何か反応しますか。

事務局(須賀):ありがとうございます。

まず川端構成員のご指摘は、まさにジャーナリストの川端先生に入っていただけたことの意義を感じるものでありがたく思います。登構成員のご提案は私たちも伺った瞬間にこれをこのままやりたい、事務局が変なアレンジをせずにやってみたいというように思ったものなので、ぜひ構成員の皆様から、カタログとかマップの出し方がまず一つの目指してみる方向性としてこれでよろしいかどうかというのは今日伺いたいというように思っておりました。そのときに、まさに執筆をされる方の筆の力というのがかなり問われるということで、そこがデジ庁で集められるのかなというのをちょっと悩んでいたのですけれども、今、川端構成員からすぐ集められますという心強いコメントをいただきましたので、これでもう成立してしまったなという気持ちで、大変ありがたく思っております。具体的にご相談させていただければと思います。

それから、根本構成員からのご指摘について、これは作業部会のほうでは議論が非常に熱くされまして、要は規制の在り方自体にフィードバックがかかっていくはずだし、それこそがこのテクノロジーマップの本質だということでございましたので、かなり知的なレベルが高い議論をこなさなければいけないことになると思いますけれども、そこはしっかりと食らいついていきたいなというように思っております。

江崎座長:ありがとうございます。
まさに新しい技術が出てきて、そのときの規制をどうするのかというところですね。それはインセンティブも含めた形での議論というのをぜひやらなければいけないことで、改めましてそういう重要性をご指摘いただきましてありがとうございます。
ほかに。

落合構成員のほうから発言したいということなので、ほかにはお手が挙がっていませんので、では、落合さん、お願いします。

落合構成員:臨調作業部会の構成員の落合と申します。

先ほどの根本先生の発言を受けてですが、須賀さんが先ほどおっしゃっていただいたように、やはりデジタル原則の中でのアジャイルガバナンスが一つのキーワードになっていると思います。規制を見直す側からも、こういうものを技術的に整理してほしいということを、作業部会のほうからご相談させていただくこともあると思います。一方で、技術の整理をしていかれこういう進展があるということをフィードバックしていただく中で、作業部会で見直しをする方針も、改めて、お互い見直しをしながら議論を行っていくことが大事ではないかと思っております。そのような意味も込めて今日参加させていただいておりました。ほかにも作業部会のメンバーも入っておりますので、ぜひ連携して、より実効性が高まるような形でできればと思っております。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。そうですね。まさにアジャイルにその議論を進めていかないといけないということだと思いますね。

それでは、荻野構成員、お願いします。

荻野構成員:規制という話がいろいろ出ていましたので。この部会では、評価検証は認証しないという前提だったと思うが、こういういいものがあるよと人様に伝える場合については、セキュリティー的にはこんなところの認証を取っているよとか、日本企業は結構真面目にセキュリティーを考えたものづくりをやっているメーカーさんが結構最近増えています。そう考えると、海外の製品は機能があるのだが、セキュリティー的にちょっと弱いよとか、日本の製品は結構しっかりやっているよとか、このようにインセンティブを考えると、カタログにもセキュリティーのところに、ここまでやっているという、アピールするようなのがあっていいのではないかと思っています。

実は海外の状況ですが、今、すごく動いていまして、米国ではそれを調達要件にしていこうかという動きがあります。パブリックコメントも出ていて、かなり議論されているそうです。ワシントンにて議論した方によると、今、規制化するのか、それとも調達要件としていくのかについては議論中だということです。

それから、欧州では今年のQ3に法案を出されました。これが成立してしまうと、ある一定のセキュリティー要件を満足してないと欧州ではもう販売してはいけないという結構厳しい要件が出てきています。もし成立すると、販売する機器に対してセキュリティー要件を課していく厳しめの要件です。法案は、EuropeanCyberResilienceAct、commonstandardforcybersecurityproductです。この法案には、専任として4.5人月を割当、EUとしてもサポートをしっかりしていくという予算的な措置も入っています。施行されると1年間の猶予を置くということも書いてあり、2024年から実施されます。

このような欧米の動きも見ながら、日本としても国内での調達要件を考える必要があります。デジタル庁では、政府調達に関する検討をしていますが、やはり輸出企業からすれば、また、ベンチャーにとっても海外に輸出することを考えると、欧米との協調、欧米を横目に見ながら考えていくべきだと思います。これは今の状況の説明ですが、もし時間があれば、海外の今の状況を整理して発表させていただければと思います。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。非常に国内だけの話ではないというところを常に気にしてやらなければいけないというのも準備会の中でも議論されてきたところだと思います。

それでは、小川構成員、お願いします。

小川構成員:こんにちは。よろしくお願いいたします。

今、根本構成員、それから、落合構成員のご発言、非常にもっともだなというように思って聞いておりました。今、サイバーセキュリティーの話があったかと思います。そのほか個人情報の問題もありますし、対応すべき関連規制は多様にあると思っています。そうした観点からも今回掲げられていますように、リスクの最も効果的な守り方ですとか、リスク再評価といったテーマは、非常に重要に思っています。もちろん、規制自身を変えていくといった議論もあるかと思いますが、既存の規制に対し、その目的もしくは要件に対する適合性を逸脱するようなリスクについては、やはり同じようにきっちり考えて初めてデジタル化の社会実装にドライブがかかっていくだろうというように考えています。

私どもは日々、いろいろな事業会社様でDX推進といった議論に参加しておりますが、ここのところ、非常に大きく様相が変わってきていると感じています。これまでは、DX推進のドライブに対して、リスクコントロールは守りと対峙するように言われてきましたが、今はむしろ攻めのドライブの中に、規制対応、それから、DX推進に伴う新たなリスクの有効なコントロールというのが一体として入ってきている、と認識しています。

その理由ですが、今回のDX、デジタル化による社会の変化は非常にスピードが速い。さらに、一度リスクが顕在化すると、その影響が膨大になる。そのリスクの顕在化の影響のスピードが非常に速く、場合によってはあっという間に国境を越えてしまい、リスクの拡張性が、従来よりも格段に大きくなっています。

もちろん、私の専門分野であるリスクコントロールですが、一昔前はサンプルを取って確認するとか、実証上問題ないか確認、監査、検査するといった、私どもの用語で言うと、いわゆる発見統制、これが中心だったのですが、先ほど申しましたようにDX下では、リスクが一度顕在化すると、そのスピードがあまりにも速く影響が多くなりますので、リスクの顕在化してからではもう遅すぎる。社会的な影響があまりにも大きいということで、発見統制からむしろ自動化された予防統制へと重要性が大きくシフトしてきております。

こういう意味で、今回、公募で民間からテクノロジーを広く集うこととなると思いますが、システム、デジタルの機能の中に自動的にこういう予防的な統制機能の実装も、調達要件の中に検討していく必要があるだろうというように考えています。

このときに一番問題になるのは、このリスクを十分に事前に識別できるのかといったところかと思います。規制対応をデジタル化す場合ですと、その規制がそもそも目指していたものが何なのか、どういった民間もしくは消費者の利益を守るべきものであったのか、もしくはデジタル化により新たにどのようなリスクを生み出しうるのか、そういったところをまず明確にした上で、リスクを識別するプロセスが、重要になってきます。

ただ、我々も経験があるのですが、当初識別したリスクが当然日々いろいろとテクノロジーや、しいては内外環境が変化するに従ってやはり変わってくるということです。これに適宜対応していかなければならない。したがって、当初リスクを識別するのが官だとすると、もはやその官だけが責任を負うには限界があると認識をしております。ですので、例えばそういったところを含めて、リスクの識別自身の十分性も民間からある程度オープンに意見を求める、もしくは先ほどアジャイルにという話がありましたけれども、適宜そういった追加的に考慮すべきリスク、こういったものも公募するような仕組みもまた一つ新たな仕組みとしてあってもいいのかなあと思っています。なので、常に動的であるということを前提に、動的適合性をもった仕組みをいかに社会実装できるかといったところを、ぜひ、今後皆様と議論できていけたらと考えております。よろしくお願いいたします。

江崎座長:どうもありがとうございました。大変リスク管理のほうに関しての今までとは違う方法論をちゃんとつくってやらなければいけないというお話で、やはりそういうのも先ほどの登さんのようなところで、専門的なところと具体的なところというのをしっかり共有するという、それがどんどん変わっていくということに対しての情報発信をしていく。そこに産業界とのリエゾン関係をどうつくっていくかというところが非常に大事だというお話だったかと思います。ありがとうございます。

ほかに構成員の方からございますでしょうか。手が挙がっていない。

では、DADCの齋藤さん、お願いします。

齋藤構成員:どうもありがとうございます。映りましたか。

皆さんの話を聞いて大変面白く感じています。登さんの説明、すごくよかったので、私もすぐにでもやったらいいのではないかというように感じました。

そういう意味でいうと、当該の技術を社会に実装するためのシステム化という話の中に2つあるというように思っています。登さんがいろいろ技術的な話をこれからいろいろな民間も含めて活性化して、いろいろな内容を取り込めるようにしたらいいのではないかという中に、やはり先ほどの根本さんの話ではないのですけれども、規制の目的が何で、規制当局としてその技術を使って、今のAsIsのところからToBeに向けてどうしていくのかという、そういう当該のシステムの実現に向けた設計を行うシステム化みたいな話が一つありますよね。そのフレームワークとかアーキテクチャー的な話かもしれませんが、それをどうしていくかという話は、やはりこの会の中で少し議論したほうがいいのではないかというのが一点です。

もう一つ、それは逆に言うと先ほどのダイナミックに変わっていくような、動的に変わっていくようなリスクに対して、どんな形にしたらいいかという、いわゆる(その対応に必要な)ケーパビリティーの話があって、どういうケーパビリティーを今の規制当局の人たちがどこに備えたらそれが実現できるのだろうみたいな話があるので、今のいろいろな技術、デジタル技術をいろいろ適用して、いろいろな規制の部分に対して適用していく話に対しても、やはりそういう社会実装に向けたシステム設計が一つ要るかなというように捉えました。

さらに加えて、もう一つ、先ほどのいろいろな話の中で、やはりこういったいわゆるエコシステムをつくりながらやっていく、民間の人たちがいろいろな技術を適用しながら、そこにインセンティブを与えて活性化していくという、ある意味ではエコシステムをつくっていくような話なのですけれども、このエコシステムのドライバーとなるべき部門というのをどうしていくかという話がもう一つありますよね。

だから、ある意味で先ほどのインセンティブをどう与えるかみたいな話はどこかの、いわゆるGAFAMのようなプラットフォーマーの部隊がいて、そこが全体を眺めながら民間の人たちの技術を適用して規制当局とかいろいろな企業にいわゆる技術を提供していくような話を活性化していかなければいけない。最終的には事業をやっている事業者とか規制当局がある分野の技術を適用して、ある規制の部分というのをデジタルで置き換えていく話をするのですけれども、そのシステム化の話、いわゆるちょっとこういうところの活動を活性化していく話はまたもう一つ、エコシステムのシステム化みたいな話があります。その部分も何か検討しなければいけないのではないかなというように思いました。

基本的には今回の中で最終的に社会実装をやっていくわけですよね。社会実装をやった後には、やはりこれが継続的にサステーナブルにずっと続いていかなければいけないという中に、どういうケーパビリティーを持った組織をどこにつくったらいいのかみたいな話が併せて議論されると、実際に適用した後のある意味では運用とか保守みたいなところまで、いわゆる作り上げる前の話である企画開発から、構築して運用保守のようなライフサイクルできちんと回るのではないかと思いますので、そういう形を少し検討していくべきだというように思います。

イメージとして、そういうようなシステムのところを捉えるときに、まだ取っかかりのところで皆さんとどういう議論をしたらいいか、まだ分からないのですけれども、まず具体的なこれから恐らくある分野に特定してとか、いわゆるユースケースみたいなトライアルをされると思うのですが、そこの中で、今、言った全体像をつくっていけばいいのではないかというように思いますので、ぜひよろしくお願いします。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。

やはり長期的にどういうアーキテクチャー構造でやるかというところまでしっかり考えなければいけないというご指摘、そのとおりだと思いますので、それはある意味、シンクタンク的な機能もあるでしょうし、シンクタンク的なところを超えて実装するというところまでの次の組織の形をどうつくるのかというようなお話をしっかりと議論して実装まで持っていかなければいけないというのが齋藤構成員のおっしゃった話かなと思います。ありがとうございます。

ほかにご意見ございますでしょうか。

中村先生、お願いします。

中村構成員:中村です。

お話、聞いていて、いろいろなことを考えてしまったのですけれども、まず一つは、先ほど川端さんがおっしゃったジャーナリズムというのは、結構目的を持って実は編集されているのだろうなと思うのですね。私、先ほどの登さんのお話の中で、ずっと若い頃、『UNIXMAGAZINE』なんかを一緒に編集長とやっていたのですけれども、やはりある方向性を持ってこういう記事を書こうだとか、テクノロジーの紹介、それから、ユースケースですよね。こういうように使ったときにこういうようになったよというようなことを共有していくだとか、そういうようなことを一生懸命編集する。

先ほど川端さんが最近、MicrosoftだとかAmazonはそういう編集者をしっかり雇っているのではないかというような話をおっしゃっていましたけれども、やはりこういうようなことというのはすごく専門性が高くて、それをどういう形でやっていけばいいのかなとちょっと考えたときに、本当に国がやるのというところがどうしても若干ぴんとこない。

先ほど登さんが言ってくれたようなシステムをぜひやりましょうというのは大賛成なのですけれども、これはやはりすごく編集者の色が実は雑誌には出ているのですよね。その中立性、それがジャーナリズムだと思いますけれども、非常にジャーナリズムとしての偏らない、ある意味、偏っているのだと思うのですが、編集方針みたいなものがしっかりあって、それをリードしていくということを国がどういう形で関与していくのかというところがちょっと見えないかなと。

だから、国がやったときにみんな国がつくったそんな情報を信じるのですかみたいなところも若干あって、このシステムを動かしていく体制をどうやってデジ庁としてサポートしていけるのか、どういう外郭でもいいのかもしれないし、一般企業でもいいのかもしれないし、何かうまく回す仕組みというのを考えていかないと長続きしないのではないのかなという気がしましたというのが1点目です。

我々、私の経験だと、やはりユニマガなんかをずっと書いていて、テクノロジーだとかユースケースというのは一生懸命書けるのだけれども、先ほど言った規制をやっている人たちの頭をどうやって変えていけばいいのか、そこに対してどうやってくぎを打っていけばいいのか。多分登君はできたよというようなことをどんどんキーパーソンで共有していけば世の中は変わるのだというストラテジーだと思うのですけれども、なかなかそれで本当に規制が壊れていくのだろうかというところが若干私も疑問である部分はあります。なので、分からないな。アメリカは例えばNISTがやっていますとかと言うと、もうそこに信頼感みたいなのがあって、そこが言うところには従いましょうみたいな雰囲気があるではないですか。そういうような、ここはテクノロジー的にニュートラルで、そして、ちゃんとやっているのだなというような冠をうまくつくっていくということができれば面白い方向には回っていくのではないかなという気はちょっとしました。

すみません、漠然としていて、方向性としては面白いと思うけれども、国が直接やるというのはなかなか難しいか、すごく腹をくくった形で新しい組織をつくって、そこがやるのだから、デジ庁が腹くくっているのだからいいのだというのだったらそれでもいいかもしれないですが、非常にニュートラルで、やはり世界を引っ張っていくというような意思で編集していかないとなかなかこの手の情報というのはうまくマネージできないのではないのかなという気がしました。

以上です。

江崎座長:ありがとうございます。
マガジンというか発信物の単なる情報の共有ではないところに持っていくところというところの注意をしなければいけないというお話ですし、これは齋藤構成員のお話にも通じるところですね。トラステッドなところというのを特にちゃんと新しくつくらないとサステーナビリティーの部分ができませんよねというご指摘だったかと思います。

ほかに構成員の方々。
松尾さん、お願いします。

松尾構成員:東京大学の松尾です。
2点ありまして、最初に須賀さんがご説明されていた部分で、本委員会のゴールというところで、先端技術の活用事例についての知識をつくっていくというように書かれていましたけれども、若干文句を言いたくて、というのは、活用事例でやるということは結局最初の事例が出てこないと始まりませんよということになっていて、本当はやはり技術というのは事例が出る前からこういうのができるかもというのが見えているところがすばらしいのであって、何か事例が出てからやっていくというのは、それも大事だとは思うのですが、ここに限定してしまうのはちょっと私としてはやや不満がありますというのが一つです。

もう一つが、登さんがご説明していただいた部分で、すごく力の入った内容でご説明いただいたのですが、私も以前、ああいった雑誌を本当に1か月に1回出るのを心待ちにして読んでいたみたいなところがありますのですごく分かるのですが、私は時代が変わっているというように思っていまして、やはり専門性の高いものを発信するだけでは人は読んでくれない。今の日本の学会等でもそこがすごく苦しんでいるところだと思うのですよね。

なので、システムを作って編集しやすくしてというのは、それ自体は今までもずっとあった流れだと思うのでいいと思うのですけれども、何かこれだけだと難しいのだろうなというように思っていて、やはり本会の目的からすると、テクノロジーが未来をどう変えていくかということにあるわけなので、そういう観点から、こういうテクノロジーはこういうような未来をつくる可能性がありますよというのをしっかり発信していく。先ほどからあったような、どういった編集をするかというのと関わっているかもしれませんが、そのときに技術的な裏づけをしっかり書いていくという、そういうことになるのではないかなというように思っていまして、登さんが挙げていただいた例はそういう意味では本当に未来を見るような記事がいっぱい例として挙がっていたので、そういう意味では、そういう趣旨に近いのかなと思っているのですが、そこの趣旨をより明確にして、やはりテクノロジーで未来を変えていくのだと、そのための発信であり、そのための事例収集なのだというようにして、そこを規制改革につなげていくという、そういうことではないかなというように思いました。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。
これはどうしようかな。須賀さん。

事務局(須賀):よろしいですか。いろいろ意見、ありがとうございます。

松尾先生にご指摘いただいた点は、実は大臣との話の中でもちょっと議論になりまして、つまり、採用事例が本当にゼロなものをカタログ収載していくのか、マップに技術エリアとして認識していくのかというのは結構思想が出るなと思っています。規制のコンプライアンスに使おうとするのならある程度ユースケースぐらい持ってきてよ、という考え方があり得る一方で、そもそも規制があるから実装できないような技術エリアをアンロックしてくれればこのテクノロジーによってこうやって未来が変わっていく可能性がありますということだとすると、具体的な事例が一切ない中で未来を想像するといった書き方をしなければならない可能性がありまして、それはどちらを目指すべきなのかというのはできればこの委員会でご議論いただきたいなと思っていた点です。なので、事務局が答えを持っているわけではないのですが、論点認識をしていますというのがまず一つ目。

それから、この後、もし可能であれば、登構成員からも改めてコメントいただければと思うのですけれども、このテクノロジーマップなりカタログができていく課程では編集の意図というのはやはりある程度あるはずで、つまり、世界中の人が見て意味のある、読んで面白いニュートラルで普遍性のあるドキュメントにはやはりならなくて、これはあくまで日本国が日本の国内において行われるあらゆる活動の安全性とイノベーションというものをうまく高いレベルで融合させるために、ここまでのテクノロジーは使っていってほしいとか使えて世の中を変えるべきだという、国家としての意思というものがある程度入ってくるのではないかと思います。あくまで視点は日本国民の生命・身体の安全だったりとか日本の国益ということに最後は立脚せざるを得ないのではないかというように思うので、その辺りもそれでいいのか、むしろ全然そういうことと離れた主体が、より信頼性が高いということだけを目指して編集していくほうがいいのかというのもぜひ教えていただけたらなと思います。

江崎座長:ありがとうございます。

では、遠藤さん、お手を挙げていますが、先に登さん、ちょっと反応されますか。

登構成員:登は後で大丈夫です。

江崎座長:分かりました。
非常に今、動いているものだけではなくてどういうように方向性を向けていくとか可能性、それから、その方面の研究開発、ビジネスを加速させるという観点でのカタログなり記事も必要ではないかというのが松尾構成員のご指摘で、それは大臣とも共有しているお話だということで、ぜひこの会で議論するべきだということでございますね。

それでは、遠藤構成員、お願いします。

遠藤構成員:ありがとうございます。

まだ理解が及んでいないということもあるのかもしれません。この会の主目的が規制改革なのか、先ほど松尾構成員もおっしゃられたように未来の技術の方向性を提示することなのか、もっと踏み込んで民間が使用しやすいようなテクノロジーマップを官が主導して作成することなのか。未来技術とそのマップががリンクして規制改革につながっていくロジックがまだ理解ができてないところがありますので、そこを何とかキャッチアップしたいと思っているのですが、私の研究領域から申し上げますと、デジタルに関する規制改革において、安全保障に関わる技術が何か、ラインナップを挙げていただいて、そのリスク要因は何かを事務局に整理していただける機会があるとするとよいと、思います。そこまで進めるおつもりはないのかもしれませんので、須賀さんになるのかもしれませんけれども、ご教示いただけたらと存じます。ありがとうございます。

江崎座長:ありがとうございます。

須賀さん、反応しますか。何かその辺の議論。

事務局(須賀):テクノロジーの探索は事務局で実施しようと思います。例えば今、講習試験をデジタル完結したいと思ったときに使えるテクノロジーなりサービスの探索を先行的にやっているわけですが、それを今後、あらゆる規制エリアに広げていきたい。そのあらゆるというのがどのぐらいの単位で、どこからやればいいのかというのはぜひ委員会にご相談しながらと思っています。

ご質問は、探索して出てきたテクノロジー一覧をこの場で見ていただいて、こういうリスクがあるねといった議論をしていただくことを想定しているか、という意味でよろしいでしょうか。むしろ、江崎先生にもご指摘いただいているように、様々なリスクに対する様々なガイドラインとか規制がある中で、求められるリスク対応のレベルを整理していくつもりはあるか、というご主旨でしょうか。このテクノロジーについては例えば松竹梅でいえば松のレベルの対応が必要だ、といったことを交通整理していくことが技術の活用の後押しになるので、そこまでやっていくつもりなのかというご質問だとすると、イエスと思っております。

遠藤構成員:また後でフォローアップしていただけたらと思います。個別にご相談します。

事務局(須賀):承知しました。

江崎座長:やはり既にある規制とか既にある考え方というのは温度差があるというのをどうするかというのが非常に厄介な、かつ難しい問題の一つでありますね。

ほかにございますでしょうか。ご発言いただいてない方もいらっしゃいますけれども、ぜひご発言いただければと思います。

では、いろいろもうチャットで書き込んでらっしゃいますが、加藤先生、肉声でどうぞ。

加藤構成員:肉声ですか。書いたとおりなので。特にないと思いますよ。結構テーマが大きいですし、各自分の組織の社長みたいな人がいっぱいいるので、コンセンサスを取るのは無理なのではないか。だから、今、結構いいなとみんなが言っている登さんのやり方で、ただ進めればいいのですけれども、恐らくいわゆるバックログリファインメント、それができるようにしておけば極論、変なことにはならないと思うのですけれどもね。ここにいる人たち、みんな有識者なので。ただ、それをやらないと、幾ら筋がよくてもだんだんもしかしたらずれていったりするので、1回やってみて、次の会議で、これでいいのでしたかみたいなのを繰り返していくのが一番いいと思うのですけれども、どこかのタイミングで振り返れないぐらい結構巨大な話になってきたときに、また次のサイクルに入ればいいのではないですかねと思います。

江崎座長:やはりまさにアジャイルにできるようにしておいて、もう一つは、今日やると言ったからといって役人に丸投げするなという。

加藤構成員:そうですね。ありていに言うと、ある一点の品質とかある一点の中身を議論するよりも、これが間違っていたときとか改善が必要なときにいかに次の改善のスピードが速くできるようにしておくかだと思うので、それはこのメンバーである程度そういうやり方ですよねと合意しておくのもあると思いますし、何かツールとかを使ってコミュニケーションを取りやすくしておくのもそうだと思いますし、そちらのほうが重要なのではないかなと思うのですよね。ある定点の何かよさより、いかに速く物事を変えられるか。結構その専門家がここにはいっぱい集まっていると思うので、まずはそれを先に構築したほうが私はいいのではないかなと。一点を見ようとするとみんないろいろな思いがあると思うのでというように思いました。

江崎座長:そうですね。それは齋藤さんがおっしゃったアーキテクチャーをどうつくっていくのかという話にもすごく通じる話。

加藤構成員:そうですね。そう思います。

江崎座長:中村構成員からは編集方針の大筋だけをまず合意したいねということが出ていますので、これは次回ぐらいですかね。今日の意見をいただいて整理をしておくという感じではないかと思います。

ほかにご意見をお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか。ご発言されてない方は、永井さんとか豊田先生とかいらっしゃるのかな。
豊田先生とかどうですか。

豊田構成員:では、よろしいでしょうか。今、お話の内容はそのとおりだと思うので、まずアジャイルに進めていくというのもおっしゃるとおりだと思います。

今、横で聞いていると言うとちょっと他人事みたいですが、聞いていて少し立ち位置が皆さん、いろいろな方がここはいらっしゃるので、当然プログラムをごりごりに書く方から経営的、大分大局的に見られる方までいらっしゃって、その中でこの扱い方に若干見ている領域が温度差というか、ずれがあるのかなという気はしているのですね。なので、そこを全部やろうとするととても追いつかないので、どこに注力するかというのはもう少し絞ったほうが現実的なのかという気はしています。今、かなり本当に正論として全部やろうということになりかねないような議論にはなっていると思うので。

例えばターゲットとして、プログラムをごりごり書く方向けの話、使いやすいようにする。それはでもプログラミング、git的なものではなくて、あくまで記事として書いていくというのが登さんのお話だと思うのですが、でも、それを規制とかそちらのほうまで行くとそれの構造化とか、意味化、編集みたいなところに入っていくので、どこの部分をこのテクノロジーマップのコアにするのかというのはもう少し、それをこれからやっていくということなのだと思うのですが、描き出しというのはすごく重要なのだろうなと思いました。

例えばこれは万博の話で恐縮なのですけれども、あれでもPLL(People’sLivingLab)というので委員会みたいなのがあって、もう500か何か応募するアイデア、投稿するのを私も全部見させられたのですが、結局そうなってくると各社の詳細データというのはほぼ誰も見る時間がなくて、最初の頭づけのPDF3枚をひたすらみんなが時間をかけて見ていく。でも、結局一番コアの解像度の高いところはほとんど分からないということになってしまいがちなので、登さんの話はそうならないようにすごく具体的なものをばらばらと挙げていく。その構造化の部分は後で幾らでもできるから、その意味づけとか読み取り方が自由にできるような流動的なメディアというかプラットフォームをつくっておくのがすごく大事なのだということなのだと思うので、であれば、もうその性能にとにかく特化するというのはすごく大事なような気はしました。失礼します。

江崎座長:どうもありがとうございます。非常に具体的にどういうような構成にするかということをもう少し決めないと、というようなお話かと思いますね。

それでは、あと川原先生、いらっしゃいますか。

川原構成員:ちょっと1時間遅れて参加をしていたのであまりキャッチアップできてない部分もあるのですけれども、最初、前回の準備のときにも申し上げたことなのですが、これを書くことによってその後のいろいろなビジネスモデルが変わっていくような話もつながるといいのかなと思っていまして、要はこれでうまくいったという代わりに例えば検査を目視点検の代わりに何かモジュールを作る。そのモジュール自体の健全性を見るだけで手軽に検査ができるとか、学び直しができるとか、何かそういう情報管理ではなくてビジネスモデルも含めて夢ですね。夢というか、今、これで現時点、これを置き換えられますというだけではなくて、今後、この技術が進展するとこんな感じで維持管理も楽になりますよとか、そこまで含めた記事になっているとまた違う展開も見えるのかなという気がしています。多分、今の議論のポイントとは違う観点ですけれども、1つ加えさせていただきました。

江崎座長:どうもありがとうございます。

それは松尾先生がおっしゃったお話も関係しているところですね。これを変えれば次のどういうものが起きていくというようなところも非常に重要なところですので。

それでは、岡田さん、お願いできますか。

岡田構成員:岡田です。よろしくお願いします。
今の川原先生の話にも私もちょっとつながって思っていることなのですけれども、今の登先生のお話があったようなアプリケーションの発達だとかそういうところを含めていろいろな形でデータを取っていくというところは今回のお話でいいとは思うのですが、実際にデータを取るところの機械だとかそれを使っていくということになってくると、先ほどちょっとおっしゃったコストよりも実際プライスみたいなところのほうが多分私は大事になってくるとは思っているので、それをどういうように見せていくのかというところ。

さらには、先ほどお話のあったようにインフラに使っていくのはインフラの維持管理もそうなのですけれども、技術自体の維持管理を誰がするのかというところも一番大事な点になってくる。

それから、さらにいえば、初期投資というところを大体どこも皆さん、嫌がるので、いわゆるいろいろな意味で情報のインフラがそろっているところで使いましょうはいいのですけれども、物を買いましょうという話になるとランニングコストはいいが、最初の金が使えないみたいなことも出てくるので、いろいろな意味でどこまでコストやプライスみたいなものを乗せるかというところも出てくるでしょうが、まずは先ほど松尾さんがおっしゃったように、こんなものもあるよ、こんなのができるよというところでどんどん出していくのがいいのではないかと私も思います。

あまり本当に使ってくださいみたいな話になってくると、試食はするけれども、最後は自分、自腹はしないという人が大体多くなっていくのが今、言ったように初期投資の話が出てくるのでそこは多くなってくるので、取りあえずいいものですよと言った後に、では、幾らなら買いますかみたいなところから逆にプライス設定していくようなところを考えていくような、そういうようなオーダーに持っていかないと、すぐに使ってくださいというところになるとみんないろいろな意味で理由を言いながら出してくれないなというのは私自身の経験で思っているので、どういうように現場に落としていくのかというところは少し出口戦略を2段階、3段階ぐらい置いていくような話も見えてきたほうがいいのかなという感じはします。

江崎座長:ありがとうございます。かなりカタログの内容としての注意点をご指摘いただいたようなところだと思いますね。ちゃんとうまくいくというところでないところをしても、結局それはうまくいかない、実装されないものになるので、そうではないようにちゃんと気をつけろというのが非常に重要な方針だと思います。

岡田構成員:そうですね。SIPインフラのときにもカタログ、分厚い電話帳みたいなのを作っていろいろな技術、皆さんに見てもらって、それ自身は非常にいろいろな方々に読んでいただいたところまでいって、今もJSTのホームページのほうからアクセスできたりしますけれども、結局、その先の話になってくると、いろいろな意味で使ってもらうというところに対してはなかなかおっしゃっていたように安全性だとか何かというところのデータをどんどん、国交省、土建の方も入っていますが、そういうところでどんどんフォローアップしてもらっていても、結局最後の一押しになってくると金がねみたいな話になってくるので、そこら辺のところで言うと、いろいろな意味で出口の2段階、3段階みたいなところを見据えていかないと、いろいろしたけれどもねで止まってしまうという感じは否めないなという気はちょっとしています。

江崎座長:そうですね。ありがとうございます。それはどういうようなインセンティブを政策あるいはビジネスのところでできているかという話も多分含めたお話になるという。

それでは、久間さん、お願いできますか。

久間構成員:農研機構の久間です。
本委員会の目的は、デジタル技術を活用して既存の規制をいかにより安全にするか、またいかにより効率化するか、ということですね。その観点から、構成員の皆様のご指導のとおり、デジタルマップや技術カタログは作ったら終わりではなく、使いながらより使いやすくする、内容も充実させるように進化させるべきです。本日、登先生がご講演で提案された手法の活用は非常に効果的と思います。

さて、規制をデジタル化する際には、それぞれの規制が必要とする安全性のレベルや使用される環境を整理しておくことが不可欠です。一方、利用するデジタル技術は性能と使用環境で分類して、定量的な性能基準として整理しておく。そうすることにより、対象となる規制のデジタル化かどうかを大まかに知ることができるし、技術の他の規制への横展開も効率化できる。そのためには、デジタル技術を使えるかどうかを知るために、規制省庁にヒアリングやアンケートなどなどを行い精査する必要があると思います。

例えば画像認識技術を用いた規制でも、それぞれの規制省庁が所管する規制ごとに、必要とされる精度や使用環境は異なります。従って、画像処理技術やAI技術があるから使えるという、単純なものではなく。必要とされる精度や使用環境も含めて規制省庁ヒアリングが必要だ思います。各規制省庁の規制に対する考え方やスペックを知らないと、優れたアーキテクチャー設計はできないと思います。
さらに、技術カタログやデジタルマップはいつまでもデジタル庁が運営するのではなく、最終的には民間主体で運用しなければならない。IPAのような法人、スタートアップ、民間のシンクタンクなどの受皿を想定して、デジタル庁がどこまでやれば民間に移管ができるのか、また移管後も当初は支援が必要と思いますが、それをいかに自立させて民間単独で運営できるように仕向けていくかについての議論も必要だと思います。

以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。もう実際にいろいろな調整をされている久間さんですので、やはり現場がどうなっているかというのをちゃんと知った上でないと多分機能しないぞというご指摘、それをちゃんとやりなさいというご指摘だと思います。ありがとうございます。

それでは、最後、永井さん、お願いできますか。

永井構成員:アスタミューゼ、永井です。
すみません、私も途中で参加させていただいておりますので全部キャッチアップできてない前提で、既にご議論していただいているかもしれませんが、皆さんのどの話もとても納得感があるという部分と、実はこういうテクノロジーを普及させるときに特に海外なんかで事例で多いのは、アクセラレーターとなるようなプレーヤーをつくっていくという戦略もあるのかなと思っておりまして、そういう翻訳、通訳をカタログに対してしていってビジネスにしていくようなインセンティブを設計、それ自体、全てインセンティブを設計する必要はないかもしれませんが、そういうことを例えば認定したりとか、こういった技術導入を加速していくようなプレーヤーを間接的にたくさんつくっていくことによって、全てがダイレクトに理解してもらえるようなものを目指すというのは限界があるのかなというところでは、そういったダイレクトのもちろんリテラシーが高い人向けのリアルタイムの交流のコミュニケーションができるようなメディアと、一方で、ある程度お墨をつけてしっかりと体系的に整理していったものに関しては、そういったものをしっかり解釈して伝達したりギャップのところを埋めていけるようなアドバイスができるようなプレーヤー企業をある程度、数をつくっていくということもあるのかなというように皆様の議論の中で聞きながら思った次第でございます。

私からは以上です。

江崎座長:ありがとうございます。やはり実装するときのプレーヤーを含めた設計が極めて重要だというご意見で、本当に難しい問題ではありますが、また、これからの皆さんの議論の中でいい方法、できそうな方法をまずつくっていくという。そのときにサステーナビリティーなりというのをちゃんと意識しておかないと、というのも皆さん方から出てきた問題ですね。

一応一回り、今日いらっしゃる方にはご発言いただきましたけれども、まだ2回目でも結構です。何かご発言されたいことがございますでしょうか。よろしいですか。
では、登さん、お願いします。

登構成員:登です。
思いますに、この技術の使い方とか昔の雑誌記事的な雰囲気のものをまとめるという重要な仕事と、それに基づいて規制をする、また、規制を受ける方々のかなり組織の上のほうの方々の頭を変えて、これでお墨つきが得られたと思えるに足る情報をまとめるという方法、この2つがあるのではないかと思います。この2つを混合しますと少し訳の分からない話になると思いました。この会議の皆様の専門領域も、大体この2つに大きく分かれているような気がしました。

自分の考えは、今チャット欄に少し書いてみたのですが、(1)はオフィシャルなほぼ完成形で、この規制はこれでクリアできますよという情報を、一種、お墨つきをつけるようなイメージで掲載する完成形みたいなのが(1)である。

(2)は、(1)に至るまでには各組織内での豊富な試行錯誤が必要であります。その試行錯誤は行政の組織内でも民間企業でも行われます。ところが、日本の組織の特徴としては、これを試行錯誤してみようという際に上司をひとまずは安心させないといけませんし、ほかの組織と一緒になって試していますよとか、ほかの組織がこんなことを書いていますよというような、この技術をこう使えば少なくとも危険はないという具合に、例えば、「grepコマンドというものがある。これを使えば文章の検索ができるらしい。しかし、grepコマンドで文章が全部消えてしまうと危ないではないかと上司が心配しておる」というときに、いやいや、そんなことはないと、それを示すために昔だったらそういう雑誌等がございましたけれども、今、非常に少ないので、それを満たすものとして、投稿されていて、それなりにまともでちゃんとして、テクノロジー的にニュートラルでちゃんとやっている雰囲気がある、これがあれば試行錯誤する始まりとして組織内で使えると思います。

そして、試行錯誤をした結果をその方はリポジトリにまた書くことになります。そうすると、他の組織もそれを見て、より新しい試行錯誤ができます。今のは(2)なのですが、これが繰り返されると最後はもう既存の規制をクリアできるレベルに高まるので、そうすると、デジタル庁の委員会とかで(1)の記事が作成されまして、その(1)は(2)のたくさんの技術リポジトリに載せられた、技術的なちゃんとやった結果に基づいておるのだという技術面での担保は(2)で取って、それを最後に承認したら(1)で、もっと短い内容でいいと思いますが、その(1)と(2)は今チャットのコメントで中村先生から、「(1)と(2)は同じシステムで、カテゴリー分けをしてもいいのではないか」というアイデアがありました。その方法もあると思いますし、ひょっとすると媒体的な見え方とか、先ほど登が申し上げたようなHTMLのMicrosoftのドキュメントみたいなものが(2)で、もう少し行政的な「霞が関曼荼羅的」なやつが(1)なのかもしれませんので、ひょっとすると分けたほうがいい場合もあると思います。

まとめますと、このように(1)規制の頭を変える、(2)それのための技術的蓄積を高める試行錯誤を許容する、この2つに分けて考えていくとよいというように思いました。

以上であります。

江崎座長:ありがとうございます。
多分2のほうは、この委員会の中では各業界のコンソーシアムでの活動というのもリンクさせようという意味においては、コンソーシアム、業界ごとにこういう可能性をどうグループとしてチャレンジをするというようなところを考えていくだろう。そこに多分研究開発費をどこから持ってくるか、あるいは人的、技術をどうするかというお話が入ってきて、それは国の政策の大枠の中にどういうように盛り込んでいくか、あるいは業界としてどう取り組むのかという話をぜひ議論したいというのがたしか事務局から出てきたコンソーシアムという民間との関係をどうつくるかというところにも関係するのではないかなと思いますね。

ほか、構成員の皆様方からございますか。
齋藤さん、お願いします。

齋藤構成員:ちょっと参考までに。私、ずっと制御の世界をやってきたのです。基本的には、これは参考ですから聞いてください。制御の世界では、我々、制御システムの制御と保護というのをやはり分けたのです。大体我々がやってきた時代にデジタルの時代に、やはりいろいろなアナログをデジタルに変えるみたいな話の中で、人命に関わるところ、これはデジタルで暴走しても止められるようにするというので、例えばいつも回りっ放しになるようなモーターだと電源遮断するとか、人が乗っているようなケーブルカーみたいなものは落ちてしまったら駄目なので、もう何があっても強制的にブレーキをかけるとか、それをハード的に組んだのです。

恐らく今回の規制改革の中でも同じようにシステムとして最後、人の人命に関わるようなところをどうするかという議論は今のデジタルのところだけではなくてシステム的にどういうような仕掛け、仕組みを入れたらいいのだみたいな話がもう一つ出てくると思うのですよ。そういう視点で、先ほど規制当局の人たちがいろいろAsIsのところみたいな話になりましたけれども、もう全てデジタルでというよりは、システムとしてどういうようなシステムにしたらいいのかという、そういう議論を考えていったほうがいいというのが一つです。

それともう一つ、やはり使うものによってどの程度の重要性かというのは変わってきますよね。だから、技術は同じでも使うレベルによって、使う重要性によってそのレベル感があって、その周りに作り上げる、今、言ったような保護のシステムみたいな話、周りのシステムをどうするかみたいな話はまた別に出るように思います。だから、どちらかというと、社会実装に向けては具体的に今のAsIsをどう変えるかというのは、そういった議論もやはりそれぞれのシステムごとに、それぞれの規制がかかっている分野ごとにやはり考えていくべきではないかと思いますので、これは参考までに皆さんに紹介しております。

以上です。

江崎座長:ありがとうございます。

まさにそういう知見と経験がたくさんある業界がほかの業界に対してちゃんとした情報の提供と共有をしていくというようなところもカタログとしては非常に重要なものだろうという認識は事務局もあると思います。ありがとうございます。

ほか、ございますでしょうか。
では、ないようですので、もしこれまでのところで須賀さん、何か反応したいことはありますか。

事務局(須賀):どうもありがとうございます。

たくさんご指摘いただきましたので全て論点認識していきたいと思いますが、取り急ぎ、まず決めようとおっしゃっていただいたこととして、登構成員にご提案いただいたような(2)の仕組みを試行的に作り始めていただきたいと思います。作り始めていただき、具体的な記事も川端構成員のご協力も得つつ書いていきながら、やはりこういうことをしないと意味がないねなどということを議論していただく。但し走り出す際に編集方針だけはしっかりと決めておくべきだということでしたので、次回、ぜひ編集方針についてはこういった形でどうかというご提案をさせていただきたいと思います。

それから、もう一つ、久間構成員からおっしゃっていただきましたけれども、規制の各当局が結局どういうことをどのレベルでやってほしいと思ってらっしゃるのかとか、どこが肝というか、テクノロジーの導入に対して逡巡するポイントなのかというところが非常に重要だと思っていまして、今回、講習のデジタル完結のテクノロジーを募集するときも、講習とか試験をやってらっしゃる当局の方にペインポイントをしっかりヒアリングをした上でそれを反映させてみたわけですが、そういったことを各分野について現在試行しておりますので、まだ仕掛かりではございますけれども、こういった分野についてはこういうことが気になるようですということを事例としてご紹介できればと思います。

それから、幾つか構成員からこういう話ができるよというようにおっしゃっていただきました。例えば小川構成員からガバナンスの最前線、発見統制から予防統制といった話も含めて現在、どういったことが海外で言われているのかということを1回教えていただいて勉強するのも大事かなというように思いました。それから、荻野構成員から海外動向について、もし必要あればおっしゃっていただきました。その辺りもご相談しながら議題として挟んでいけたらと思います。

取り急ぎ以上です。

江崎座長:どうもありがとうございます。

これから多分事務局のほうから構成員の皆さん方にもお願いをすることになると思いますので、その節はぜひご快諾いただければというように思います。

それでは、本日の議事は以上になりますけれども、事務局から次の委員会等についてのご説明、お願いします。

事務局(須賀):本委員会はおおむね毎月1回程度の開催を予定しておりまして、次回の開催について10月下旬から11月上旬を想定いたしまして、この後、事務局から各構成員の皆様にご都合を伺わせていただこうと思います。

本日の議事につきましては、後日、事務局からご出席の皆様に議事録案の確認をお願いした上で、デジ庁のホームページにおいて公表させていただきたいと思います。

それから、本日の資料につきましても、特段のご異議がないようでございましたら、全てデジ庁のデジタル臨調のホームページにて公開をさせていただきたいと思います。

本日は充実した議論、どうもありがとうございました。

江崎座長:どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の会議は閉会としたいと思います。

ぜひ皆様方からいろいろなご意見、ご提案等いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。大変お疲れさまでございました。