本文へ移動

河野大臣記者会見(令和5年6月13日)

河野デジタル大臣記者会見要旨

(令和5年6月13日(火)10時32分から11時07分まで 於:オンライン)

1.発言要旨

地方職員共済組合において、人為的なミスによって元組合員の年金情報に誤ったマイナンバーを紐付けてしまうということがありました。その結果、別な方のマイナポータルの画面に、この元組合員の方の年金情報が表示されたという事案が1件確認されました。この場合、年金番号とか支給額というのは表示されますが、お名前は表示されることはありません。

マイナポータルを使うことで、それぞれ皆さんの年金記録を確認することができます。その際にご自身のものでない記録を確認したという問合せがデジタル庁にあったことから、総務省などと連携して調査・確認をいたしました。確認された誤りはこの1件のみです。既に正しい紐付けに修正しております。また、年金の支給額、掛金額は年金番号でやります。マイナンバーは情報連携のためのものですので、年金の支給額、掛金額への影響はございません。

紐付けを誤った原因として、共済組合において元組合員の情報をシステムに登録する際、(元組合員から)マイナンバーを取得していなかったということが原因です。この場合、お名前を元にJ-LISに照会を行って、元組合員のマイナンバーを確認することとなりますが、旧姓で照会を行った結果、生年月日、性別などが全く同じ別人がいらっしゃって、その人のマイナンバーを登録してしまったというミスがありました。本来、氏名、生年月日、性別に加えて、住所の合致を確認する必要がありますが、その確認が十分でなかったということです。さらに言うと、登録の際は本来マイナンバーを提出していただくということでございます。

再発防止策として、マイナンバーを提出していただいて、デジタルで確認できる体制を構築するということが大事です。既に関係省令の改正を行っていただくということにいたしましたので、資格を取得する際、あるいは裁定請求に関する情報をシステムに登録する際は、マイナンバーを記載していただくことを徹底することとしております。また、システム登録時には提出いただいたマイナンバーが正確かどうかを確認するために、J-LISに情報全件を照会し、登録データとJ-LISのデータの照合いたします。

共済組合において、これまでの登録済みデータに誤りがないか確認をするため、共済の既存データの総点検を実施するということにしております。国民年金・厚生年金を所管する年金機構はデータの誤りがありませんので、そこについては大丈夫ということでございます。共済では、マイナンバーをもとにJ-LIS照会を行った上で、照会結果の5情報が本人の5情報と一致することを確認する。一致が確認できない場合、本人に対してマイナンバーを確認できる資料の提供を求めることとしております。

今回事案が発生した地方公務員共済だけでなく、国家公務員共済、私立学校教職員共済、全ての共済年金について同様の対策を行います。年金機構はJ-LISのデータに対して、カナ氏名、漢字氏名、生年月日、性別、住所の5情報が一致した場合のみマイナンバーを登録するということを既にやってきておりますので、登録誤りは防止されていると承知しております。関係機関としっかり連携して、関連データの再点検など万全の対策を講じてまいりたいと思います。

その他のマイナンバーカード関連サービスの誤登録の事案につきまして、アップデートがあったものをお知らせいたします。

マイナ保険証につきまして、全ての保険者において引き続き点検を実施しております。点検は5月23日から実施しておりますが、その前日の5月22日までの間にマイナ保険証で別な方の資格情報が紐付いて登録された件数を厚生労働省において取りまとめております。昨年12月から今年5月22日までの間に、保険者から異なるマイナンバーが登録されたことによって、別な方の資格情報が紐付けられていた事例が60件。その中で薬剤情報などが閲覧された事例が5件でございます。これらの事例につきましては、既に情報閲覧を停止し、データの補正を全件実施済みです。

公金受取口座につきましては、昨年8月に誤登録事例があったという報告が1つの自治体から上がってきております。

マイナポイントの誤登録につきましては、総務省において、自治体への調査を行い、引き続き133自治体・173件を把握しております。

公金受取口座に家族の口座など本人でない口座を登録されている場合には、給付の遅れにつながるということでございますので、ご本人の口座に登録の修正をお願いしたいと思います。
また、マイナンバーカードについて、不安、誤登録の懸念などがある場合は、マイナンバーの総合フリーダイヤル0120-95-0178までお問い合わせをいただきたいと思います。

デジタル庁でもう1件。マイナポータルハッカソンを行いました。マイナポータルを活用した新しいサービスのアイディアを募集するマイナポータルハッカソンにつきまして、1次審査を通過した18チームによる5日間の熱心な取組が行われ、昨日、発表会を開催いたしました。

審査の結果、最優秀賞・デジタル大臣賞には、事業者と生活保護受給者あるいは母子家庭などをマッチングすることで、優待サービスを提供するアプリを提案した「CiPPo株式会社」のチームが選ばれました。この他にも子育て支援・健康支援、あるいは助成金の申請支援など、様々、結構魅力的な提案がたくさんございました。特別審査員からも優秀な提案がたくさんあって、受賞作品の選定に苦労したという話を伺いました。

提案いただいた作品につきまして、この国の未来につながる新しい価値を生み出すためにマイナポータルと連携したサービスとして、ぜひ実現していただきたいと思います。デジタル庁としても皆さんのチャレンジをサポートしていきます。応募してくださった皆さん、また一般審査員として参加してくれた皆さんに改めて感謝申し上げたいと思います。

今日の閣議で「消費者白書」を閣議決定いたしました。

消費者白書は、消費者基本法と消費者安全法に基づいて、消費者政策の実施状況や消費者事故等に関する情報について、国会へ毎年報告を行うものでございます。

今回は、「高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組」という特集で、高齢化の進展に基づいて、高齢者に特徴的な消費意識、消費者トラブルを分析しました。高齢者の中でも年齢が高くなるほど住宅修理関連の相談が上位になるなど、年齢層によってトラブル傾向に違いがあります。特に75歳以上は、消費者トラブルに遭った際に事業者に問い合わせるといった積極的な対応をしなくなる傾向があるという点をお示ししております。消費者庁としても、高齢者の見守り、消費者教育にしっかり取り組んでいきたいと思っております。

また、高齢者のボランティア活動やエシカル消費の取組についても取り上げました。消費者市民社会の実現に向け、高齢者の方々のこうした活動への参画が一層進むよう、消費者庁としても後押しをしていきたいと思っております。

また、消費者白書の分析に活用している「消費者意識基本調査」の結果も本日公表いたしました。今回、「ダークパターン」について、初めて消費者の経験を調査した結果、約9割の方が、売り切れ間近といった表示、あるいはカウントダウンタイマーといった購入をあおるような広告を目にしたり経験したりしたことがあるとお答えになられ、実際にそうしたことが予約や購入につながった、あるいは、それによって困ったという方が半数近くいることがわかりました。こうした分析を踏まえて、しっかりと消費者行政に取り組んでいきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)マイナンバーの各共済年金の点検ということについて言及されたと思うのですけれども、もう少し詳しく、既に始めているのか、始める時期など等々考えていることがあれば教えてください。

(答)各共済組合でこうした誤りがないかデータの点検をするということを決めましたので、なるべく早く作業に取りかかっていただいて、7月末までに作業結果の報告を遅くともしてもらうということにしております。

(問)関連で、他人の年金記録が閲覧できた件、デジタル庁の説明では1件という話があったと思うのですけれども、一部報道で約170件という話も出ています。デジタル庁も含めて、政府側で、総務省含めて、把握している数字というのが現在「1」ということで変わりないでしょうか。

(答)はい、1件のみです。170という報道があるのは承知をしておりますが、デジタル庁、総務省を含め、政府内で170という数字は全く最初から出てきておりません。現時点でデジタル庁に寄せられている問い合わせは1件のみでございます。

(問)170というのは現時点では違うということでよろしいでしょうか。

(答)はい。170という数字がどこから出てきているのか、少なくとも政府では170という数字は全く把握しておりません。当初からこの1件のみでございます。

(問)冒頭説明のあった共済での誤った紐付けについてなのですけれども、J-LIS照会した際に誤った人とマイナンバーを紐付けてしまうということは、マイナ保険証と同じような構図と考えていいのでしょうか。

(答)マイナンバーを提出していただいていなかったというのが原因でございますので、共済年金も保険証もマイナンバーを提出していただいて、登録をするということを徹底するような厚労省等の省令の改正をしていただきます。

(問)似たような原因と認識しているのですけれども、何かマイナンバーと他の情報を紐付ける際に、マイナンバーを提出していないから誤った人と紐付けてしまうというおそれって、他にも例えば、共済の例とか、保険証の例とか以外でも、起こり得る話なのでしょうか。

(答)今、そういうことがないかどうか確認を始めるようにしたいとは思っておりますが、一つはマイナンバーの提出がないとこれまでJ-LISに氏名、生年月日などで照会をかけておりましたが、生年月日が同じで、カナ氏名が一緒という方が、日本国内1億2,000万人いると結構いらっしゃいます。本来なら漢字氏名、住所といったデータもきちんと当てるところ、それをやらなかったという、マニュアルからの逸脱が原因になっていますので、まずはマイナンバーをきちんと提出をしていただき、登録する際には5情報が全部一致するかを確認して登録する。これを徹底することで、誤った紐付けは防げますので、これを徹底するようにしていきたいと思っております。

(問)保険証ですとか、年金もそうですけれども、今後マイナンバーの提出を徹底するということですけれども、最初からそのようにしておくということは難しかったのでしょうか。

(答)最初からルールでは、マイナンバーを提出していただくことになっておりましたが、マニュアルからの逸脱があったということですので、逸脱のないように今後徹底していくということになります。マニュアルを逸脱すると、こうした誤情報が起こるというのが大変悪い形で出てまいりましたので、それぞれマニュアルの徹底が大事だということが身に沁みることになったと思いますので、今後はそれを徹底していただけると思います。

(問)日本年金機構だと、5情報が一致した場合のみ登録していたということで、事務を行う主体によって取扱がばらばらになっていたことも原因になっているかのように見えるのですけれども、その辺りに原因は大臣としてはどこにあるとお考えで、今後どのような対策をとっていくか、改めてお願いします。

(答)マニュアル通りにやっていれば、保険証も年金情報も紐付けの誤りというのは起きませんが、マニュアル順守という意識がこれまで徹底されていなかったのではないかと思います。こういう形で誤情報というのが出てまいりましたので、誤った紐付けを起こさないためにも必ずマニュアルを徹底する。まずは、マイナンバーをきちんといただいて、マイナンバーで照会をかけて5情報が一致しなければ、ご本人に再び確認をする。これを徹底していきたいと思います。

(問)マニュアルの逸脱という話ですけども、こちらの逸脱した主体は、今回のトラブルが起きた地方職員共済組合ということでよろしいでしょうか。

(答)はい。その通りです。

(問)総理の指示を受けた点検については、各共済組合がそれぞれ調べるという理解でいいのかということと、7月末までに調査を終えて、デジタル庁なり政府として、改めてこの再発防止策というものは出すのでしょうか。

(答)それぞれの共済でまず点検をしていただくことになります。それと同時に、マイナンバーを取得するということを徹底するということになります。誤情報があれば、直ちに閲覧を停止し、訂正するということをやりたいと思っております。その後の対策として、今回、マイナンバーを取得し、5情報を当てて、5情報の一致がなければ、本人に確認するということ、これを徹底するということに尽きると思います。いずれお名前にカナが振られるなど、今回の法改正で対応が進む部分は、システムの改修ということを将来的にはやって、それでも当てられるようにしたいと思います。

(問)共済組合については、そもそもマイナンバーを提出しなくても登録できてしまうというところがマニュアルの逸脱ということでいいのですか。

(答)本来はマイナンバーを提出していただいて、マイナンバーでJ-LISに当てにいくというのがルールですが、マイナンバーをいただかずに、その他の氏名、あるいは生年月日で当てていた。その結果、住所がおそらく違っていたのだと思いますが、それに気づかずに誤った人を登録してしまったということだと思います。

(問)そもそも人の手でやるようなものなのかというのがわからないのですけども、システム化とかというのはできないものなのですか。

(答)システム化できるものはシステム化していきたいと思っておりますが、年金の情報の登録というのが、全員揃ったタイミングで何かリストからできるものがあるのかどうか、そういったことも含め、今後は考えていかなければいけないのかなと思いますが、それができるかどうか今すぐにお答えできません。

(問)マイナンバーの提出というのは、共済組合の被保険者の方が提出する意味合いでいいのですよね。共済組合の方に提出するという意味ですか。

(答)そうです。共済組合に提出していただくと、共済組合がJ-LISに当てにいくということになります。

(問)氏名とか、生年月日だけを提出して、それだけでJ-LISと一致させていたというのが実態ということですね。

(答)そういうケースがあったのだと思います。少なくともこのケースはそうでした。

(問)公金受取口座について昨年8月に誤登録事例があったという報告が一つの自治体が上がってきているっていうのは、これは新たにまた出てきたという意味ですか。

(答)これは、1,741自治体に調査をかけて、今のところ1,713自治体から回答いただいておりますが、1自治体から1件、8月に誤登録があったという報告があります。

(問)これまでの発表から新たに1件見つかって、それは去年の8月の段階で見つかっていたという意味ですね。

(答)8月の段階で誤登録があったということで、今回の点検で見つかったのだと思います。

(問)共済組合の点検対象は何件ぐらいあるのですか。

(答)すみません。今すぐにはわかりません。

(問)マイナンバーカードと公金受取口座の誤登録に関連して伺いたいのですけども、トラブルがあったり、家族口座を紐付けてしまった事案があって、平塚市の方で給付金に使用すると予定していた公金口座の利用が停止されたという報道があったと思いますが、特に自治体が、具体的に影響が出ていることについて、大臣のお考えを、ご所感を伺えればと思います。

(答)これまで自治体が把握している口座が対象になる場合には問題ないと思いますが、それ以外に給付する場合、また紙で情報をいただかなければならなくなりますのでいろいろと時間がかかるのだろうと思います。それぞれ、これから給付を行う自治体とデジタル庁、個別にご相談しながら対応していきたいと思います。

(問)追加で家族口座13万件とか、そういったことがありますので、自治体に対して公金受取口座の給付金への利用というのは、デジタル庁として現時点で促していくものなのか、利用控えるように呼びかけていくものなのか。そういった自治体への対応というのは、もう少しどういったことなのかを伺えればと思います。

(答)これまでの給付と同じ対象者の場合には、自治体もそれぞれ口座を把握されていると思いますが、個人への給付を新たに始めるような場合には、公金受取口座を登録されている方を使っていただく、その際には、氏名の確認をお願いいたしておりますが、既に口座の存在は確認できておりますので、手間は相当簡素化されると思います。

(問)新たに公金受取口座でわかった1件は、先日発表のあった748件の内数になるかもしれないし、プラスになるかもしれない。そこはまだわからないという状況なのでしょうか。

(答)これは、修正が済んでいるから、この間の748には入らないのかな。もう既に修正が終わっていれば入りません。修正されているかどうか確認しないといけないと思います。

(問)マニュアルからの逸脱なのですけれども、照会を受けたJ-LIS側はマニュアルの逸脱はしていないのでしょうか。

(答)すみません、これはちょっと共済組合の様式を確認しないといけないと思います。ごめんなさい。私は、これはマニュアルと理解をしておりましたが、共済からJ-LISに出す様式にマイナンバーが入っているかどうかを確認させてください。J-LISは、その場合は、4情報で当てろと言っていることになると思います。そうすると、いずれにしろ、4情報でなくて、2情報で当ててしまったので、共済のマニュアルの逸脱にはなると思いますが、マイナンバーを使わなかったということではなくて、マイナンバーがない場合には4情報で当てるはずを、住所を当てずに2情報で当ててしまった。結果、旧姓の方が、旧姓と名前が同じ方と当たってしまったということなので、そのマニュアルの逸脱がマイナンバーを出さなかったことなのか、4情報を2情報で当ててしまったことなのか、そこは確認させてください。
あと、先ほどの新しい1件は既に修正済みということですから、748件には含まれないということです。

(問)私の抱いたイメージは、J-LISが本来出してはいけない、足りていないので突き返さなければいけないところで、出してしまったために起きたのかなという、先の説明で印象を受けたものですから、そうするとJ-LISが、J-LIS法もしくはマイナンバー法に違反する何かマニュアルの逸脱があったようにも聞こえたのですけれども、そういうことではないのですか。その可能性もまだある。

(答)マイナンバーがない場合には、その他の情報を全件が一致していることを確認して、登録をするということになっていますので、マイナンバーがない場合にも、全件情報を出すということになります。それを全件一致している場合に登録するはずが、氏名、生年月日の一致で登録をしてしまったということから、誤りになったということだと思います。

(問)やはり、組合側に基本的には問題があった可能性があるということなのでしょうか。

(答)そこは具体的に確認します。

(問)先程の年金のところなのですが、今回、旧姓で照会を行ったとのことなのですが、それはつまり間違った名前で照会を行って、さらに確認も足りなかったということでいいのでしょうか。

(答)確認しますが、旧姓使用で仕事をされていたのではないかと思います。それで、旧姓で当てたら、旧姓と同じ氏名、生年月日の方がいたということかもしれません。

(問)名前が例えば合っていて、今の苗字で照会をしていても、例えば生年月日、性別が同じ人がいたら、同じような誤りが起きる可能性もあったということですね。

(答)氏名、住所、生年月日、性別を確認するということになっておりますが、住所の確認をしなかったということです。

(問)消費者行政について1問だけ質問させてください。ダークパターンの消費者意識基本調査は大変興味深い初めての調査なのですが、9割の人たちが目にしたことがあり、5割の人たちが購入などに結びついているということなのですが、現実的には、「残り3個」、「88人が見ています」、「カウントダウンが始まる」という3つが同時に来ます。大体、同時に来ているものが多いのではないかと思うのですが、先程の発言で、消費者行政に反映させていただきたいということなのですが、何かどのように反映させていただけるのか、大臣のお考えをお聞かせください。

(答)OECDが、ダークパターンが消費者の行動にどのように影響を与えるかという実証実験を行うことになっていますので、今、日本はOECDの消費者政策委員会の副議長国でございます。まずは、この実証実験に日本も参加しながら議論をしっかりリードしていきたいと思っております。それから、ダークパターンの中には、おそらく景表法など現行の法律で規制できるものもあるのではないかと思っておりますので、まずそうした具体的事案がないかどうか、しっかり見て、そういうものについては厳正に対処していきたいと思います。

(以上)