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マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ(第8回)

概要

  • 日時:令和5年3月29日(水)17時00分から18時30分まで
  • 場所:オンライン開催
  • 議事次第:
    1. 開会
    2. 議事
      1. マイナンバーカード利活用サービス普及のための構造と今後のアクション
      2. 行政サービス分野での利便性向上に向けた取組みと論点
    3. 閉会

資料

参考資料

議事録

日時

令和5年3月29日(水)17時00分から18時29分まで

場所

オンライン会議

出席者

河野 太郎(デジタル大臣)
赤石 浩一(デジタル審議官)
安宅 和人(慶應義塾大学環境情報学部教授/ヤフー株式会社CSO)
太田 直樹(株式会社New Stories代表取締役)
齋藤 洋平(フューチャー株式会社取締役CTO)
庄司 昌彦(武蔵大学社会学部教授)
森信 茂樹(東京財団政策研究所研究主幹)
浅沼 尚(デジタル監)
本丸 達也(デジタル庁CA)
水島 壮太(デジタル庁CPO) 
冨安 泰一郎(デジタル庁統括官)
楠 正憲(デジタル庁統括官)
村上 敬亮(デジタル庁統括官)
吉川 浩民(総務省自治行政局長) 
上原 哲太郎(立命館大学情報理工学部教授)
大谷 和子(株式会社日本総合研究所執行役員法務部長)
後藤 省二(株式会社地域情報化研究所代表取締役社長)
宍戸 常寿(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
菅原 晶子(経済同友会常務理事・政策統括)

議事録

松田参事官: 定刻となりましたので、ただいまから、第8回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ」を開催させていただきます。お忙しい中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。

本日は、デジタル庁参事官の松田が司会を務めさせていただきます。よろしくお願いします。

今回もオンラインにて、報道関係者の方も含めて一般公開する形で開催させていただきます。既にオンラインで傍聴していただいておりますので、その旨、御報告を申し上げます。

本ワーキング・グループの構成員・特別構成員の方は、画面オン、音声は発信時のみオンにしていただきまして、それ以外のオンラインで傍聴される皆様におかれては、画面オフ、音声をミュートという形でしていただければと思います。

本日は、河野デジタル大臣、有識者の構成員、関係省庁のオブザーバーの方々に御出席いただいております。

それでは、まず、河野大臣より御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

河野大臣: 今日はお忙しい中、第8回「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキング・グループ」に参加していただきまして、誠にありがとうございます。
 
これまでのワーキング・グループでは、マイナンバー法に基づく情報連携について、システム面、法制度面から御議論いただいてまいりました。議論の中で、ユーザーの利便性あるいは利用率、利用者側の様々なKPIを設定し、把握しながら、社会にどのようなインパクト、利便性をもたらすことができるかという観点で、全体像あるいは目標を整理すべきといった御意見をいただいていると承知しております。
 
今日は、社会的インパクト創出に向けた全体構造と今後のアクション、それから、行政分野での利便性の向上に向けたシステムの整備について、今後の方向性と論点をお示しして、有識者の皆様には活発に御議論をいただきたいと思っているところでございます。
 
多忙の中、毎回御参加いただきまして、ありがとうございます。今日もどうぞよろしくお願いいたします。

松田参事官: ありがとうございました。
 
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
 
まず、資料における前半の議題を村上統括官、後半の議題を楠統括官より御説明差し上げ、その後、構成員・特別構成員の方より御意見をいただきたく存じます。
 
それでは、村上統括官より御説明をお願いいたします。

村上統括官: 資料を御覧ください。
 
1枚目、今、河野大臣から御紹介のありました論点、(1)の部分は自分から、(2)の部分は楠統括官から御説明をいただき、特に前半については、ソーシャルインパクト、これをどういう論理構造と指標の相場感から見ていくかということをきちんと議論していただいた上で、どういうアクションが必要か自由に御意見をいただければと思っております。
 
早速、前半に入ります。1枚めくってください。
 
おかげさまをもちましてと言っていいかまだまだというか、1億は行かないのかという声もございますが、9500万枚と。もう、ほぼ9600万枚に近づきつつありますが、正直1億は年度内は厳しいかなという情勢でありますけれども、今日この議論をする意義も、今までは持っている人が少ないから用途も少ない、用途も少ないから持っている人も少ない、外向きには言いにくいですがこの悪循環に苦しんできたわけですが、逆に言えば、15歳以下で、今、保有していない方が800万人ぐらいいらっしゃいます。
 
それから、認知症その他の事情により、取得にそれなりの支援が必要といった方々が、やはり1000万人前後いらっしゃいますので、9500万という数字は、成年男子、女子で見ますと、ほぼ、実はもう申請は終わったという状況でございまして、足元、今、大体66%ぐらいが既に交付済みなのでありますが、5月頃までには、これが本当に実際に9500万枚まで追いかけてくるという状態にございまして、健康保険証としてのひもづけも、公金口座のひもづけも御覧いただいているような数字で動いていると。こちらも労働人口ベースで見ますと、6000万前後という数字がございますので、いろいろな意味でアクティブな世帯で見るとか、成人というところで見ますと、実はまだまだ努力が必要ではございますけれども順調に上がってきていると。
 
次のページでございます。
 
さはさりながら、幾つかソーシャルインパクトと見るのであれば、少しマクロなところから見なくてはいけないだろうというところで、一気に評価は厳し目になりますけれども、数字を挙げてみました。
 
住民票の交付ということで言えば、年間件数が本来6000万件あるはずでございます。それに対して、今、600万が900万に伸びたところではございますけれども、6000万から見ると15%かということでございます。
 
同様に、医療機関、薬局での健康保険証、6万件しかなかったところが157万件まで急増してございますけれども、全体のインパクトから見ると、いまだ1%というのが正直なところでございます。
 
では、民間金融系サービス、オンライン本人確認はどうかというと、これは結構検討しておりまして、実は50%。
 
引越手続オンラインサービスは、この2月の後半に始まりました。順調にスタートいたしまして約3万件ということで、活用した方には御好評いただいているものの、40万件という月間件数から見ると現状7%ということでございます。
 
このように、本来あるべき手続がマイナンバーカードに全て置き換わった場合に対するインパクトということで見ていくと、このような数字が観察できるという御紹介です。
 
次のページをお願いします。
 
ここは、ある種のロジックツリーでございます。
 
左側に、要するにカードを持っている人、9500万ですが、ただし、カードを持っているということとカードが使えるということは微妙に違いますので、ここをもう少し整理をして書いてございます。
 
それに対して右側がユースケースで、使えるシーンということでございます。使える人が増える、使えるシーンが増える、その好循環を支えるのが④の利用数ということでございまして、このサービスが増えていく、そのことによってサービスを使えるシーンが増え、そのことによってサービスを使える人が増えという好循環を回していくことによって、先ほど御紹介をいたしましたソーシャルインパクトが見えてくるという頭の整理の中で、もう少し様子を見ていこうということでございます。
 
次のページでございます。
 
左端に先ほど御紹介いたしました、使える人と使えるシーンと使いやすさということをさらに分けてみますと、行政分野での利用ということと、民間・準公共分野での利用ということでございます。
 
上から順に全て説明をするのは避けさせていただきますが、例えばパスポートで言いますと、年間122万件利用シーンがあるはずであるのに対して、現状、こういう数字であると。このようにユースケースを並べていくのではないかということでございます。

例えば、民間のほうで見ましても、数字は御紹介いたしませんけれども、黒い全体の数字に対して何件来ているかと。私ども、こういった数字も今は空欄のところが多うございますが、それぞれ、黒のマックスの数字に対して、実際の利用件数というものを測っていけるようにしたいということでございます。
 
これをソーシャルインパクトにということで言いますと、先ほどは単純に件数の中での何万件ということで見てきましたけれども、最終的にたどり着くべきロジックは、実は件数だけではなく、それが結果として、まず、住民自身の手間暇、コストをどれだけ下げているか。それから、行政側の手間暇、コストがどれくらい削減しているか。何より、そのはざまで新しいサービスがどの程度起きているかといったような住民目線、行政目線、産業目線、3つの観点からのソーシャルインパクトが、先ほど御説明をした、もう一つ左の列の黒と青というところの、ややアウトカム的なインパクトに対して論理的に導かれるであろうということでございます。この辺、論理モデルの整理でございます。
 
次のページです。
 
では、使えるシーンはということで言うと、行政、準公共、民間と。リアルで活用するシーン、それから、ウェブで活用するシーン、こういったものを順に並べていて、先ほどのリストがどんどん増えていかねばならないと。
 
それから、認証アプリということで言いますと、やはりマイナンバーカードの基本はオンラインで本人確認ができるというツールを、国家のインフラとして全国民に普及をさせようとしていると。したがって、この本人確認がオンラインでできるという手段をどう使っていただけるかということになってまいります。そういう意味での認証アプリでの認証シーンというのがどのように広がっていくのかというところも、一部、左半分のデジ田の世界と混ざる部分もございますが、見ていく必要があろうかという意味でのシーンを見るときの視点でございます。
 
次のページでございます。
 
では、次に、サービスの使いやすさ、ここはまだ工夫がいろいろ必要なところでございますが、窓口での手続というところでざっと見ていただきますと、マイナンバーカードを使うことによって点線の部分が消えていくというような形で、住民から見れば、どのように、まさにコストだけでなく時間が削られていくか。それから、恐らく場所の話もしなくてはいけないのですけれども。
 
それから、下のほうで言いますと、また同様に、UIの徹底的な改善、デジタル手続ということで、ビフォー、アフターが上に対して下のように見えてくるといったところも、全ての手続についてではないかもしれませんが、計測をしていく必要が具体的にあろうと思っております。
 
次のページでございます。
 
利用動向でございますが、先ほども見ていただいたとおり、では、保険証としての利用はどうなのかと。コンビニでの住民票交付はどうなのかと。確定申告でどうだったのだと。引越手続等々、実際にどんどん見ていくということでございます。
 
次のページでございますけれども、それをソーシャルインパクトで考えるということで言いますと、手続件数、それに対する所要時間削減というところの面積で出るというところもございますし、そのほかにも、新しい産業が起きるとか、社会から取り除かれた負荷。特にこの数字を出しますと、行政側での負担削減というところだけを見がちですが、実際に暮らしている方にとっての負担の軽減という数字にならない部分をどう数値に置き換えていくか、それから、まだ指標が開拓できておりませんが、例えば、判子をやめて電子証明したことによって、電子署名サービスが初年度だけで180億ぐらいのマーケットをつくったといったような数字もございますが、この裏側で、これを活用するサービスというものが出てくるはずでございます。こういったものをどのように捕捉していくかということを計測していくことが必要であろうということでございます。それも含めてインパクトを見ていこうと。この辺はまだまだいろいろな形で検討していく必要があろうかと思います。
 
これで終わりでございます。
 
以上のようなフレームを、取りあえず仮説として御用意をしてございますが、さらにこういった視点が必要ではないか、逆に言えば、このように見ればこういう用途があるはずではないかというところがいろいろ見えてくると思いますので、今日はこれをネタに前半部分については自由にコメントをいただければと思っております。
 
では、後半は楠統括官に御説明を譲りたいと思います。

楠統括官: 今の社会的インパクトも含めて、行政サービス分野における利便性向上に向けた取組と論点について、これまでの議論を踏まえてお話をさせていただきます。
 
もともと3年前に特別定額給付金でデジタル敗戦と言われたときには、主に住民の利便性という点で行政が持っている情報を全部手で入力をしなくてはいけない、項目も多いといった観点と、デジタルでせっかく受け取っても、職員が全部、エクセルで打ち出したもので消し込みをしているみたいなところがあったのに対して、これはシステム対応ができなかったので手でやっていたわけですけれども、こういった新しいデジタルサービスをリリースするたびに、システム対応のコストや時間もかかりますし、これを導入すれば、当然、トレーニングも含めて使い方を職員の方に覚えていただくというところもかかってくる。
 
あわせて、国全体のコストと見たときに、デジタルサービスのさらなる普及に伴って、これを1,700団体ばらばらに整備していくと、コストが増大してしまうおそれというのがあるので、ここをいかに割り勘効果を働かしていくかいうところも含めて考えていく必要がある。
 
課題に向けての必要な取組として、1つは、システムアーキテクチャの大幅な見直しでもって、2025年を主要な実装ターゲットとして、国・地方公共団体においてシステムの整備・見直しを進めていく。徹底したユーザーインターフェース、ユーザーエクスペリエンスの改善、共通機能の整備・普及、データの活用というところもありますし、また、併せて、これはシステムだけで解く問題ではなくて、デジタルの活用を前提とした制度設計も重要であると。
 
一方で、デジタル庁もデザイナーもいっぱい入ってきて、実際、人々がどう戸惑っているのかというところをきちんと数字で見始めているのですけれども、我々、3年前の給付金の混乱のときには、主に項目の入力の手間をどれだけ小さくしていけるかというところに着目をしていたのですけれども、これは実際にユーザーテスト等を実施していくと、実際には何分もかかってしまうのは、これは必ずしも項目の入力だけで時間がかかっているわけではなくて、カーソルの移動等のオペレーションにも相応の時間がかかっていますし、それ以上に、項目の理解、確認に時間がかかっている。この項目の入力であったりカーソルの移動等のオペレーションというのは、これはシステムの使い勝手を良くしていくところで改善をしていけるわけですけれども、一方で、項目の理解・確認や、あるいは入力の項目そのものが多いということは、システムだけではなくてしっかりと制度も含めて手当てをしていかないと、なかなか改善の難しいところでございます。
 
これまで、公共サービスメッシュに関しては、機関を超えた横の連携というところと、また、それぞれの機関の中でフロントのインターフェースとバックオフィスをきちんとつないでいって、確実に行政が持っている情報を、何度も何度も住民の方に入力していただかなくて済むようにする、この横の連携と縦の連携というものをしっかりとデータでもって活用できるようにしていくことが実現できれば、こういったことをシステム面で改善していけるのではないかと考えております。
 
繰り返しになりますけれども、行政機関が持つデータをフロントサービスで活用していく、これはいわゆる自治体内の情報活用によって申請情報をあらかじめ表示をし、入力を不要にしていく。また、もともと、これはずっとやってきているところですけれども、マイナンバー法に基づく行政機関間でのバックヤード連携をさらに促進をしていくことによって、ユーザビリティを高めていこうという検討を続けてきたというところがあります。
 
殊にフロントサービスとバックオフィスを連携させようとしたときに、これまでですと、ベンダーの違い、団体の違い等によってシステムの連携の仕組みというものがなかなか定まっていないので、一括でシステムを導入するということが非常に難しかったわけですけれども、今後、公共サービスメッシュでもって団体内の情報の活用というものを共通のインターフェースで持てるようにしていくことによって、ガバメントクラウド上に各自治体が共通で使えるようなアプリケーションの展開を容易にしていくと。
 
また、これは業務側でしっかりと自動処理も含めて、バックオフィスのサポートというものは非常に重要になってくるわけですけれども、地方公共団体の基幹業務システム統一・標準化、これを2025年度末までに標準準拠システムへの移行を目指しているというところですので、こういったバックオフィス側の仕組みの共通性が高まっていくことによって、標準化を完了した自治体から、データを活用した住民サービスを実現しやすくなるということで、いわゆる国として整備する新たなデータ連携の仕組みというものと、今、2025年度を目指して取り組んでいる、この基幹業務システムの統一・標準化というのは、一体となって、今後、危機があったときに、共通のサービスを素早く展開するということを実現するためのインフラとしていくということを考えております。
 
さらに高まる情報連携のニーズに対して、いかに高い性能を低コストで安全に対応できるようにしていくかというところで、これまで中間サーバ等を構築するためには、制度整備だけではなくて、その後の予算要求、システム整備も含めて、どうしても2~3年要してきたところでございますけれども、こういった中間サーバの個別構築を不要にして、ガバメントクラウド上の共通機能として整備をすることによって、より迅速に低いコストでデータの連携ができるようにしていくと。
 
また、もともと現行の情報提供ネットワークシステムというのは、あくまでバックオフィス連携を1日どれぐらい処理できるかという観点で、必ずしも、例えばマイナポータルで全国民に一斉にお知らせを送るみたいなものを想定していなかったわけですけれども、そうした分量のトラフィックに対しても、柔軟に対応をできるようにしていく。
 
一方で、これは決してガバクラ上で単一システムという話ではなくて、しっかりと団体ごとに異なる鍵でもって暗号化が行われ、しっかりと別のアカウントで管理をされて、これはテンプレートとして、ガバナンスを効かせるという点では、ガバメントクラウド上で共通して整理されていくわけですけれども、当然、デジタル庁も覗き見することはできないし、ほかの団体のデータも見ることができない。あくまで同じ仕組みがそれぞれの団体において動いていて、それぞれの団体のガバナンスに服しているという形での分散管理というものを継続していきながら、共通性を高めていく、こういった絵姿を考えております。
 
こういったことも含めて、いわゆる多様なニーズに応えるためのシステム整備において、官民の役割分担、国と地公体の役割分担というものを見直して、国としてもっと業務改革であったり、共通のシステムを提供していく。これはVRSをはじめとして、既にコロナ禍において試行していることでもありますけれども、より一層踏み込んで共通のサービスが利用できるようにしていくということと、将来的には、行政が持っている情報を一々本人が手打ちするのではなくて、意思表示のみで手続完結を実現できるようにしていくためには、これはシステムだけではなくて制度的な措置の課題も発生してまいりますので、ここは今後も、具体的にきちんとユーザビリティテストを繰り返したりしながら、どこにボトルネックがあるかというところは、虚心坦懐に調べながらやってまいりたいと考えております。
 
以上となります。

松田参事官: ありがとうございました。
 
それでは、資料内容につきまして、構成員、特別構成員の方より御意見をいただきたく思います。大変恐縮でございますけれども、できるだけインタラクティブに議論をさせていただく観点で、お一人様3分を目安で御発言をいただければと思います。ローテクで恐縮ですけれども、2分半を経過した時点で、一度、事務局からベルにより合図をさせていただきまして、3分を経過したところで再度合図をさせていただきますので、何とぞ御協力をいただければと思います。それでは、挙手機能で手挙げ方式で進めさせていただければと思います。
 
最初に太田様、よろしくお願いします。

太田構成員: 太田です。発言します。
 
実は、明日、たまたまイギリスのGDSのディレクターだったマイク・ブラッケンが教えている大学院生が、デジ庁についてケーススタディでインタビューしたいというのを受けるのですけれども、今月、3月1日のデジタル社会構想会議の重点計画の提出書類に、GDSのケーススタディから4つポイントがあるというので書いた資料があるのですが、それで手短に3つ申し上げたいと思います。
 
4つ書いたGDSから学ぶ変革のポイントの1つが、クイックウィンというのがあって、初期の小さな成功ですね。これはやはりしっかり周知していくというのが、変革の推進力になるということで、最近のクイックウィンは、マイナポータルの引っ越しワンストップだと思うのです。これは先ほど、7%という、わずか2か月の利用率が出ていましたけれども、これは感動するレベルで使いやすい。こういうものを知らない方がいるので、周知するというのをあらゆるところでやっていく。クイックウィンをどれだけ連打できるかというのが変革のポイントになるので、まず、最初のクイックウィンは、コロナの接種アプリだったと思うのですけれども、次々と連打するのが大事だということです。
 
2番目は、変革の可視化ということで、まさにソーシャルインパクトがそれに当たるので、それをしっかり出していただく。そのときの初期のアウトカムは、利用率と利用した人の満足度だと思うのですが、中期的には利用していない人の満足度、要は、どんな制度があるか分からない、申請が複雑だという、その利用していない人の満足度というのを中期的なアウトカムに入れていただいて、それがデジタルセーフティーネットにもつながってくるので、時間軸でそのアウトカムというものをつくっていただくというのがいいかなと思います。
 
3番目が、ガバメントクラウドとかはすごくいいと思うのですけれども、使いこなせない自治体がいると思うので、使いこなせるような体制の整備というのを、特に都道府県というような広域の団体と一緒にやっていかないと、1,741のところがそれぞれやっていくというのは考えにくいと思うので。東京都はGovTech東京を出しましたけれども、一緒に検討いただくのが非常に効果的かなと思います。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
この後は、大谷様、齋藤様、森信様の順番に御発言いただければと思います。大谷様、よろしくお願いいたします。

大谷特別構成員: 大谷です。
 
御説明、どうもありがとうございました。これまでの成果が可視化された図表を用意していただきまして、皆様の御苦労の一端を理解したつもりでおります。
 
私からは3点ほど申し上げたいと思っております。
 
1つは、マイナンバーとか、マイナカードを利活用してどんな社会になっていくのか、そのイメージ像が共有できるように、数字だけではなく示していただくことがやはり必要ではないかと思っております。これまでも御努力いただいたところですけれども、単に添付書類が省略できるとか行政機関のバックヤード連携がなされて、事務が簡素になるというだけではなく、将来的には、ライフステージに応じた行政サービスの選択肢がプッシュ型で通知されて、手続を知らずに機会を喪失するということがないような社会を目指していくのだということが、そこまでの道筋が見えるように示していただくことが引き続き重要ではないかと思っております。
 
2つ目でございますが、利活用シーンが増えていくことは非常に望ましいことではありますけれども、UIについてはこれからということですが、広く多様な利用者に利用をしていただくようになってきますので、そういった幅広い層の声を拾っていただくことを引き続きお願いしたいと思っております。
 
3つ目でございますが、先ほど太田様のほうからも、自治体への支援、サポートといった御意見をいただいて、まさに同感でございます。昨今、闇バイト事件とでもいうのでしょうか、行政、地方政府の情報が悪用されているというようなセキュリティ事案というかインシデントの話も耳にしますので、そういったところで安全・安心、特に安心感を損ねることのないような丁寧な対応というのを、それぞれの自治体に支援していく枠組みを引き続き整えていただくことが必要ではないかと思っております。
 
これまでの御努力に感謝申し上げるとともに、引き続きこの3点をお願いしたいと思います。
 
以上でございます。

松田参事官: ありがとうございます。
 
続きまして、齋藤様、よろしくお願いいたします。

齋藤構成員: 齋藤です。御説明、ありがとうございました。
 
私から何点かコメントさせていただきます。
 
9ページを映していただきたいのですけれども、先ほど楠統括官からもお話があったと思うのですけれども、過去の特別定額給付金とか様々な取組の中でデジタル敗戦というお話があった中で、我々がモニタリングすべきポイントは、9ページの下の絵にある「住民の負担」の「送信」から「処理をする職員の負担」の「確認」に伸びる矢印の部分が、結局デジタルで完結することができずに、そのデータを一度自治体側では紙に印刷をしたり、そういったケースが散在されたりという問題点があったと思うのです。ですので、この前のWGの中でもこれまで議論させていただいているデジタル完結というポイントを見る上で、この「送信」から「確認」までの矢印というところが、具体的にどの程度デジタルで完結できているのかということをしっかりモニタリングしていくということが非常に重要なのではないかなと思っていますので、そういった観点を付け加えていただけるとよろしいのではないかなと思いました。
 
そういった点で言いますと、5ページ目のところにあったのですけれども、これは例だと思うのですが、住民票の交付というものをどう評価をするのかということは非常に大事なポイントだと思っていまして、年間6000万枚そもそも交付されている割合が100%になることがゴールなのか、本来であれば、この住民票の交付という枚数がゼロになることが私はゴールだと思うのです。そういった観点で、正しいKPIを用いないと間違った判断をしてしまうところが大いにあると思いますので、そこの住民票の交付というところはゼロにしていくということが一つの大きな目標ではないかなと思いますので、そういった観点を見てもらえるといいかなと思いました。
 
あと、民間金融系サービスのオンライン本人確認も、これはある金融系サービスということですので、非常に高い数字が出ていると思うのですけれども、実態としては、マイナンバーカードを写真で撮って首を動かしてという、eKYCの仕組みとか、ひどいところではコピーして送付をしてくださいみたいなものもまだまだたくさんあると思いますので、その分母の母数というものをしっかり捉えていただけると非常にいいのではないかなと思っています。
 
最後にもう一点だけ、19ページのところでお話があったと思うのですけれども、公共サービスメッシュについてです。
 
こちらの内容については、これまでのワーキング・グループの中で議論させていただいているポイントだと思うのですけれども、2025年ということで、そろそろ移行というものをどのように考えていくのかというところをしっかりまとめる必要があるのではないかなと思いました。
 
情報提供NWS、中間サーバの仕組みに副本をアップロードしているという今の仕組みがある中で、このメッシュに対してどのように段階的に移行していって、自治体の業務が遅滞なく推進できるかという観点と、そのシステムそのものを移行していくのかという観点が、このワーキング・グループとかデジタル庁の中の取組として提示されていくとよろしいのではないかなと思っています。
 
以上です。

松田参事官: 続きまして、森信様に御発言いただいた後、両統括官からお答えできるところを一旦お答えさせていただければと思います。では、森信様、よろしくお願いいたします。

森信構成員: ありがとうございます。
 
今、御説明があったように、マイナンバーカードを利用した行政手続の簡素化とか利便性の向上については、大変順調に進んでいると私も評価をしております。
 
一方で、マイナンバーで取得している所得情報を国民生活の安心とか給付につなげるといった制度のインフラの構築という面では、私はこの場で3年ほど言い続けているのですが、遅れていると思います。
 
例えば、今回、物価対策として、低所得者世帯に一律3万円の給付、こどもには一人当たり5万円の給付をするということになっているのですが、その判断基準は、住民税非課税かどうかというアナログ基準なのです。そうすると、こどもさんが2人いる場合には13万円の給付がもらえるのですが、少しでも住民税を負担していればゼロになるわけで、住民税の課税最低限で就労調整が行われるということになります。現にそういう話が広がっています。106万とか130万の壁よりも、このほうが深刻です。社会保険料の壁は、将来、年金をもらえるから、私は本当の壁ではないと思うのですが、住民税非課税は本当の壁なのです。
 
住民税非課税世帯というのは、さらに高等教育についても、入学金の免除とか授業料の免除とかあるわけで、こういう1点を超えるとゼロになる、突然崖から落ちるという制度については、マイナンバーを活用してスムーズにしていくことが政府の役割ではないかと思います。
 
欧米には、崖のようなものをなくしてスムージングを行う制度があります。これは、いわゆる給付付き税額控除、イギリスではユニバーサルクレジットと言いますが、要するに、税、社会保険料を引いた後のネットの所得に対して、低所得者層に一定の金額の給付をしていくことによって、崖が生じないようにする制度があります。
 
この制度をつくるのは所管官庁の責任だと思いますが、制度をつくる際、そのためのインフラがあるかどうかというのが決定的に重要だと思いまして、そのインフラをつくるのはデジタル庁ではないかと思っております。そもそも、このマイナンバーの趣旨は、法律の大綱にも「より公平・公正な社会の実現」と「社会保障がきめ細かかつ的確に行われる社会の実現」だと書いてあります。

松田参事官: では、今、お答えできる範囲で、両統括官からお答えできるところの回答なり意見交換をさせていただければと思います。

村上統括官: まず、私から。
 
個々には触れませんが、1つはデジ庁の国民Gでよく議論しているのですが、最近、インディードさんとか労働のオンラインマーケット系で言うAISSモデル、言い方はいろいろなようですが、要は、アクナレッジ、知ってもらって、インタレストを持ってもらって、サーチをして、アクションを起こして、サティスファクションということなのですけれども、このAISSで言うと、実はマイナポや行政手続の部分は、サーチしてアクションするという部分なのです。
 
実はその手前のところのアクナレッジとインタレストは、実はここに力を入れていないと、独善的なPDCAをSとAだけで回し始める危惧があるという議論がございまして、ところが、政府がお抱えメディアを持つというわけにもなかなかいきませんし、御本人がいらっしゃる前で大変恐縮なのですが、デジタル庁は、今、大変発信力のある大臣にいていただいて、事実上、そこがアクナレッジとインタレストの強力なドライブを回していただいているところも、実質的に9500万枚までかさ上げするのには大いに。
 
別によいしょをしているわけではないのですが、太田先生や大谷先生から言われたような、アーリーハーベストの部分をしっかり回収しながら知らせるとか丁寧なイメージ図を書くとか、安心感をきちんとお伝えをするというようなところは、逆に言うと、民間ビジネスで言えば、したがって、どうやってオウンドメディアを育てるかという議論がマーケティングの世界では当然のようにあろうかと思いますが、国民サービスをデジタル庁が提供するという観点からも、その手前のメディアをどのよう工夫していくかというところと併せて考えないと、自分たちが持っているツールの使い勝手を自分たちだけでうんうんうなっても恐らくうまくいかないであろうというところは、今、どういうメディア戦略も含めて考えるのかというのを悩んでいるところでございます。
 
当然、一つ一つ分かりやすいイメージ図をつくるとか、分かりやすい成果、例えば引っ越しはそうなのだよとか、もちろん丁寧に広報をしていくわけでございますけれども、併せて話題にするとか、関心を持っていただくとかというフックをどこに探していくかというものは、行政官は大変苦手なところなので、引き続き御指導いただければと思っています。
 
大きくあと2つ分けて申し上げますと、2つ目が、齋藤先生からも御指導いただきましたけれども、実はこのマイナンバーカード系の話というのは、基本的にはフロント系でございまして、やはり認証と認証に伴い、申請する、申し込む、手続をするというところは、今回、大分ターゲットに入ってきていますが、後ろ側でそれがちゃんと基幹業務のデジタル化とつながっているのかというところが課題なのでしょうというところはおっしゃるとおりではないかと思います。
 
これは、今、タイムフレームが別で動いておりまして、専門はむしろ楠統括官のほうにお譲りしたりたいと思いますが、公共サービスメッシュから実際の自治体の中の業務をはじめとして、これはまたこれできちんとメニューとして動かしてございますけれども、こういった自治体の中の業務のDXの話と、フロント系の話というのがちゃんと連動して動いているのかというところは、今、マイナンバーカードの普及とそのオンライン化の方が部分的に先行している面もございますので、しっかりとこれをどのように同期を取っていくかということを考えなければならないと思ってございます。
 
自分から、最後、触れさせていただく3点目ということで言いますと、まさに森信さんがおっしゃられた、ある種の非課税の谷というか、昔、鈴木健君が「なめらか」と言っていましたけれども、本当にフルデジタルになりますと、非連続な制度設計の断面をなくして、本当になだらかに税率を変えるとか給付率を変えるとか、まさにそれは、実現すればデジタルの力ということだと思うのですが、そのためにはアナログに完全に消えていただかないと、なかなかそういう設計に踏み込んでいけないという問題がございます。
 
最後のほうの論点にもございましたけれども、9500万というのは相当程度全数に近い。実際、今、マイナ保険証のほうでも、厚労省が何に苦しんでいるかというと、義務化されないマイナンバーカードでありますが、保険証としてほぼ全員に持っていただくことで、医療全体のクオリティが変えられるというところを、どこまで全数追い込んでいけるかというのは、マイナンバーカードは申請主義ですけれども、医療機関におけるマイナンバーカードへの対応は法的義務化をするみたいな形で、上手に工夫をしながら一挙に全員を連れていくというところを、実は厚労省さんはすごく苦労してやっていただいているのですけれども、そういったようなデジタルで全員連れていくことによって給付行政が滑らかになるとか、もう少し非連続な断面を設けない、いろいろな制度設計ができるのではないかというところは、まだ実現までには時間がありますが、ぜひ取り組んでみたいテーマだと考えているところでございます。
 
全てにお答えする形になりませんが、取りあえず私から3点拾わせていただきました。ありがとうございます。

松田参事官: ありがとうございます。

楠統括官。

楠統括官: では、同じく3点ほどお答えできればと思うのですけれども、いわゆる市区町村の御支援、特にクラウド移行、1,740団体がそれぞれクラウドエンジニアを雇うというのが現実的ではない中で、都道府県の役割というのは今後出てくると思っております。東京都をはじめとして複数の都府県でそういった具体的な動きがある中で、私どもも先進的な取組をしている団体からしっかりと学びながら、各自治体へどういった形で横展開できるかというところを勉強し始めているところなのですけれども、やはり、実態を見てみると、県によって、それぞれベンダーの入り繰りの状況とかも違うので、非常に県による介入がやりやすい分布の県もあれば、なかなか難しいところもあって、47一律でできるかというと難しい面もあるのですけれども、そこはしっかりと今後考えてまいりたいと思います。具体的な検討を進めてまいります。

そして、齋藤委員からありました移行の話、これは非常に重要でして、今、公共サービスメッシュのPoCが第三弾まで進んでいるところですけれども、移行に向けた技術的論点をかなり進めているところであります。また、あわせて、どうやってフロントとバックをつないでいくかということを考えていくと、メッシュだけでは駄目で、上手に責任分界点をつくって、フロントとバックを一体として整備する。これは、例えばワクチンパスポートとかはそれに近い整備のやり方で、非常に短期間で自動化されたプロセスをつくることができたのですけれども、こういったワクチンパスポートのような垂直型のモデルを、例えば給付におけるデジタル関係給付とかほかのユースケースに広げていけないかということもリサーチは始めております。

一方で、VRSのときには、引っ越しはじめとしてなかなか連携できない、市役所の手オペになっていた部分というのは相当あるのですけれども、こういったものを自動化していく上で、公共サービスメッシュの様々な機能というのは非常に役に立ちそうだというところも見えてきてもおりますので、この辺しっかりと、移行モデルも含めて具体的に詰めてまいりたいと考えております。

最後に、森信先生の御指摘のところですけれども、なかなか滑らかな給付にできないところというのは、システムの問題と構造的な問題と両方あるように思います。システムという面で言うと、現状だと、自治体が今の基幹システムにおいて持っている情報だけでいかに迅速に給付をできるかというところを追求して、おかげさまで特定公的給付でもって使えるデータ自体は広くなり、プッシュ型の給付も含めて非常に円滑に給付ができるようになってはいるのですけれども、これを、いざ、もっと滑らかな給付にしていこうとすると、例えば世帯に関する情報をそれぞれのシステムでどう持っているかに始まりまして、これはかなり制度を何年がかりかで改修をしていきながら、その制度と合せ技でシステムそのものを見直していく必要があると。ところが、現状、こういった緊急給付というのは、毎回、別の役所に単発で短期間でともかく配れというように落ちていますので、これは本当に滑らかな給付をするのであれば、そういったことに対して、3年5年かけて責任を持ってやるというところを1か所決めて、制度とシステム両面で整備をしていかないと、なかなか難しいのではないかと思います。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
それでは、この後、後藤様、菅原様、上原様、その後、庄司様にお願いできればと思います。では、後藤様、よろしくお願いします。

後藤特別構成員: 後藤でございます。それでは、二、三発言をさせていただきます。
 
11ページを出していただけますでしょうか。
 
住民の方の負担軽減というのは大変大きなテーマだと思いますけれども、そんな中で言うと、この中で、手続の時間的なところで整理をしていただいている、これは一つの分かりやすい指標なのですけれども、それ以外に、例えばオンラインで手続ができると、住民の方は行政の窓口、自治体であったり国の機関の窓口に行く必要がなくなる。そこの交通費みたいなところも、ファクターとしてはかなりあるのだろうなと。あるいは手続ができる時間帯の制限がなくなる。オンライン、基本的に夜間とか土日休日等もできるという前提で仕組みをつくるでしょうから、そこのところの制約の部分がどういう形でメリットになってくるのかということを何らかの形で表すと、社会的なインパクトという意味で言うと相当大きくなってくるのかなと思います。
 
それから、19ページ出してもらいましょうか。ぜひお願いをしたいのは、公共サービスメッシュの辺りが、申し訳ないのですがまだ分かりにくい。このことによって、具体的に何がどうなるのか、そのために、あるいは今の行政制度をどう変えようとしているのか、法律をどう変えるのかというような辺りをもう少し説明をいただけると、国民も非常に分かりやすくなると思います。この辺り、ぜひ工夫をしていただきたい。
 
19ページのところで言うと、機関のところはこれは国ですよね。自治体ではないですよね。それまでの似たようなところでは自治体だったりする。機関というところ、あるいは行政という言葉が、国だったり自治体だったり、それの両方だったりが、いろいろな意味で使われているのが非常に分かりにくくなっている原因の一つになっていると思います。
 
いつもかみついてばかりですので、いいこともちょっと言っておきましょう。
 
3月27日から高速道路の障害者割引の手続が変わりました。私はまだ手続をしていないのですが、私自身も50年近く前から車椅子を使っている重度の障害者なのですけれども、そういう意味で言うと、この内容は、マイナンバーカードを使ってオンラインで手続ができる。対象になる車に制限があったのを、それをかなり外している。いわゆるBPRも含めて制度的にも見直していただいている。これは大変すばらしい取組みだなと思いました。ぜひこういう形が端緒になって、国民の皆さん、住民の皆さんに利便性が広がっていくといいなと思っております。
 
以上でございます。

松田参事官: ありがとうございます。
 
それでは、菅原様、よろしくお願いいたします。

菅原特別構成員: ありがとうございます。冒頭、少し遅れてしまい大変失礼いたしました。
 
まず、デジタル社会のインフラ、パスポートでもあるマイナンバーカードの急速な普及をはじめとする各種政策について、精力的に進めていただきまして、デジタル庁の皆様にはお礼を申し上げます。マイナンバーカード、マイナンバー、マイナポータルを国民生活の中で、どういうシーンで利用を進めるのかという保有から使用の段階に加速化していく必要があるわけですが、各種政策の効果をできるだけ定量的に、また、可視化をしていくということは引き続き力を入れてほしいと思います。
 
分かりやすさという点ではデジタルセーフティーネットの分野を強化すべきではないかと思います。また、各政策を広く満遍なくやるのもいいのですが、むしろ特定の分野を重点的にやる。例えば、今回、こども家庭庁もできることから、子育て分野というものに力を入れてみるというのも一つではないかと思います。この分野のユーザーは、相対的にデジタル技術を使いこなせるデジタルネイティブ世代も多く情報の拡散性が高いという効果もあります。また、デジタル庁のミッションの一つとして「誰一人取り残されない」という言葉がよく使われておりますが、要保護児童、いわゆる虐待などの広域連携のデータ連携、また、こどもの健康状態を見ながらデータで異常値が発見されると、それにより児相との連携ができるとか、具体的なシーンについて掘り下げていくということができると思っております。

また、これは現場の声ですが、GtoCのみならず子育て関連としては、女性活躍とか男性の育児休暇取得義務化などに相まって、企業における人事労務の手続が大きな負担となっています。特に中小企業、ベンチャーでは大きな負担です。年末調整のように年次業務ではなく、常時発生し得る産前産後、子育てに関する各種申請業務は利便性が高まると、その効果が分かり易い分野だと思います。社員から人事労務に提出しなければいけない書類も、母子手帳や住民票の写しなども多く、マイナポータルと企業の人事労務、また、マイナポータルと健康組合などがAPI連携して申請に必要な添付書類をマイナンバーやマイナポータルに代替したり、また、提出不要にすると、利便性が高くなると思います。スマートフォンを含めたデジタルネイティブ世代、そういうところから進めると効果が出ると思います。ありがとうございました。

松田参事官: ありがとうございます。
 
それでは、上原様、よろしくお願いいたします。

上原特別構成員: 私のほうからも少しお話しさせていただきます。
 
まず、最初の社会的インパクトというところなのですけれども、これは普及率が75ぐらいまで来たということは、私も予想はしていたのですけれども、ここから先はすごく長い道のりがあるだろうと思っていて、それはどうしても、ある種の、なぜこのような制度、マイナンバーカードでありマイナンバー制度そのものが運用されているのかということに対する懐疑的な声はなかなか消えてなくならないと思っていますので、残念ながら100になるのはかなり遠い道のりだろうと思っています。
 
そこを少しでも払拭していくためには、なぜこのようなことをやっているのかというのを、繰り返しシンプルなメッセージとして伝えていくというのをやっていただかないと、これが100に近づかないだろうと思っています。
 
つまり、行政の効率化というのがまずマイナンバーの一つの大きなテーマだったわけですから、それでしたら、社会的インパクトというものを示すのであれば、これはシンプルにコストで示していただくというのが一番分かりやすいメッセージになるはずなので、これをできるだけ分かりやすいもので伝えていただきたいと思います。
 
例えば住基ネットが始まったときに、年金の交付のために毎年送っていたはがきがなくなったと。いわゆる本人確認ですね。あれがなくなったという、非常に見えやすい形でコスト削減というのが分かって、こういうことを幾つか積み重ねていただくことで何のためにやっているのですか、これは行政の効率化のためなのですというのが分かりやすいメッセージとして示されると思いますし、マイナンバーカードに関しても、本人確認なのですよというところをうまく伝えていただくことで、デジタルの本人確認で、こういうシーンで使えますということの対応というのが分かりやすくなって、うまく伝わるようになるのではないかと思います。
 
これに関して言いますと、マイナンバーカードはいろいろな機能が詰め込まれていってしまっていますので、分かりにくくなっているという面もあって、特に、今度はスマホでのJPKI機能の搭載という話になったときに、この辺が混濁するのではないかというのを心配しているので、この辺の手当てもお願いしたいと思います。
 
また、マイナンバーをまいたことによって負の側面というのも確実にあって、例えばマイナンバー収集のために、本人確認とマイナンバーの収集という手続のために非常に重いコストが民間に今かかっています。実際、私、何度も何度もマイナンバー提出の書類を書くというのをやっているわけですけれども、あそこの効率化というのも考えていただきたいと思います。
 
次に、後半のほうなのですけれども、これは1つだけです。
 
公共サービスメッシュに関して、これをつくるに当たって、この方式にするのであれば、どのようなデータ利用が行われているのかというのを本人に返す透明性の仕組み、つまり、今のコアシステムで言うやり取り記録に当たる仕組みというのが、どう実装されるのかというのは非常に大きな論点であろうと思います。これは本人に対する本人参加の仕組みを担保するために重要な仕組みだと思いますので、ぜひ実現していただきたいと思います。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
それでは、庄司様、お願いいたします。

庄司構成員: 御説明、ありがとうございます。
 
私からも幾つか申し上げたいと思います。
 
まず簡単なところから。5ページの、数字を把握していこうという部分についてですけれども、引っ越しワンストップは、引っ越しが便利になったねということでいいとは思うのですけれども、引っ越しにおける利用が増えるということよりも、恐らく、自治体間でデータのやり取りがスムーズにできるようになったということに意義があるのだと思うのです。その意味では、これの応用が幾つできるかということもかなり重要なのではないかと。引っ越しのことだけではなくて、別の手続でも、こういった自治体間の連携がスムーズにできるようになりましたというところを見ていく必要があるのではないかと思います。
 
それから、14ページになりますけれども、ここの辺りでおっしゃっていた、2025年を実装ターゲットとしてということでありますが、一方で、その下のほうで、制度そのものの見直しもしていかなくてはいけないということもおっしゃっています。
 
私、最近思うのですけれども、2025年ターゲットで、みんなわっと動いているのはいいのですが、制度設計の話となると、これはその先の話になると思うのです。私、自分では「第2ラウンド」と呼んでいますけれども、2025年度に公共サービスメッシュが始まり、標準化、ガバクラ移行が終わった後に、どんな大きな改革をやりましょうかというような議論をそろそろ始めたほうがいいのではないかと思います。それが見えると、25年度までに、やはりこれはやらなきゃいけないよねということができるでしょうし、あるいは、その制度の議論が始まると、実はこの部分は先送りでもいいのではないかとか、いろいろ議論がしやすくなるのではないかと思いますので、25年度の先の議論を始めることが必要なのではないかと思います。
 
それから、これは楠さんの話だったと思うのですけれども、デジタルが難しいというのだけでなく、行政を見直していく必要があると。行政の難しさということも見直してシンプルにしていくということも必要だと思います。
 
最後に、前半で村上さんにお話しいただいた見える化です。データで把握していくということについてですけれども、ぜひ、標準化など、住民サービスの分かりやすいところ以外の裏側のものも見える化して公表していくということをやっていったほうがいいと思います。どうしても分かりやすいところばかり見える化して進めてしまうと、後ろ側のところへの関心が薄れてしまいますので、ぜひ、標準化など、これについても見える化をしていくということをお願いしたいと思います。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
続いての、安宅様からいただいた後、また、両統括官からそれぞれお答えできるところでお答えをさせていただければと思います。では、安宅様、よろしくお願いします。

安宅構成員: 安宅です。ありがとうございます。
 
9500万枚、すごいと思います。ループだとか縦と横という説明も分かりやすかったです。スマホ60秒が残っているのもいいと思います。
 
4つ、5つあるのですけれども、何枚というのも大事なのですが、インフラサイドで、APIの整備の目標というのをクリアにして、それを可視化してくというのをちゃんとやったほうがいいのではないかと思ったのが1つ。
 
それと、同じインフラですけれども、デジタルとリアルをつなぐのは、本当は生体認証だと思うのですが、スマホ側の能力をつないでもいいのですけれども、そこは、ユーザビリティが非常に重要な部分ですが、スコープにまだ入っていないと思うので、官邸の時代から議論はしているのですけれども、入っているのかもしれないけど、取りあえず遠いので、もうちょっと明確に入れたほうがいいのではないかなと思っています。
 
カードと番号が違いますから、カードはトークンとして非常にパワーはありますけれども、番号だけの利活用を高めるために、そこは極めて重大だと思っています。
 
2つ目の方の役所のサービスサイドですけれども、基本、主語が地方公共団体でサービスとして行われているのかなと思うのですが、それは全然いいと思います。先ほど太田委員のおっしゃったとおり、クイックウィンの展開、引っ越しみたいな話、これも官邸のときから言っていた話ですが、すごくできているのはすばらしいので、ぜひとは思います。
 
幾つか、もうちょっと追加したらいいのではないかと思うのです。分かりやすいものです。
 
1つは、この間のパンデミック、ディザスターみたいなものはまたやっていきますので、そういうショック時対応の力というものを劇的に上げるという話。あと、今、いろいろな国の人がいっぱい日本にいますけれども、そういうグローバルな方々の対応みたいな話。あと、何度も手入力しなくてはならないものがやたら役所の窓口で多いですけれども、ああいうものが消えるみたいなもの、こういったものは追加で入れたら意味があるかなと思いました。
 
3つ目の固まり、行政側の業務側の話です。
 
これは、今、マイナンバーの委員会なので、スコープ外かもしれないですけれども、やはりデジタル庁というのは基本的に業務革新をやるためみたいなところが本質だと思われ、24時間365日人がいなくても動くようにするということがうまくできるようになるだけで人が非常に楽になるはずであって、そういったことをうまくできないのか。オフィスにいる方は、オンラインで本来できるようにするというのはどこまでできるかということは、これはインサイド、役所ですけれども、ぜひと思うところです。
 
最後は民間の話です。
 
ほとんどの人にとって、役所に行く頻度はそんなに高くないです。なので、ぜひ民間側に展開して、ログインシステムとしてうまく使えるのであれば、本当に便利ですし、ぜひここもマイナンバーの利活用スコープに最後に追加できたらするべきかなと思いました。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
それでは、両統括官からお答えできるところをお答えさせていただければと思います。

村上統括官: では、私の関係のところだけピックアップをいたしますと、普及率の関係ですが、実は1億人までと1億人から先は違う世界だと私どもは思っておりまして、端的に言うと、お子さんと、それから、認知症、その他事情を抱えた方になりますので、後段について言うと、学校及び認知症等の課題を抱えた方の手続にどう対応していくかということで、すごく変な言い方をすると、多分その方のほとんどは、本人自身がマイナポータルを使わない人たちになってまいりますので、1億人手前の普及率問題と1億人から先問題は、どう普及させていくかもあるのですけれども、その方々がどういう手続をする方なのかということも含めて考えないと、単純にあと2,000をどう攻めるかという世界ではないのかなということで、特にこの分野は厚労省、文科省が強く関係してくる部分になりますから、それぞれの役所と、普及も、その方々に対する用途の開拓も、両方をセットで議論していくことが必要ではないかと考えてございます。
 
コストが分かりやすいのではないかと話がありましたが、逆に言うと、コストに出ない部分をどう評価するかというのを、僕らソーシャルインパクトではすごく悩んでいまして、特に、産業創出効果というのはそれなりにあるのではないかと思っているのと、あと、やはり時間という、特に暮らしている方の時間をどう見るかというのは、なかなか数字換算できないものですから、その辺も併せて御指導を引き続きいただければと思ってございます。
 
それから、ある種の分かりにくさという話とか、行政自体の見直しとか、この辺は多分一群の問題ではないかと思うのですけれども、マイナポータルが使いにくいとか分かりにくいとかという御批判もあるのは、UIを一生懸命直しておりますが、逆に何が起きているかと別の面から言いますと、あらゆる市民サービスがマイナポに集まったことによって、もともとの市民サービスの分かりにくさが分かりやすく出ているということもあるのではないかなと思ってございます。
 
その中には、サービス間で連携すればいいものを、もともとサービス間が連携していないという実務の問題、それから、正直言うと、自治体ごとにいろいろな手続が違うという問題、やはりそういった問題が複合的にマイナポに集まることによって分かりやすく出ているというところは、まさに行政業務そのものの問題であり、我々が、楠さんがやっていらっしゃる中央システムの標準化の問題みたいなところと、行政官として適切な発言かどうか分かりませんが、少なくともデジタル化の側面に関して言うと、明らかに行き過ぎた地方自治が全体のコスト効率を下げているという問題に切り込んでいかないと、マイナポで分かりやすくと言っているだけだと、問題の本質にリーチしないのではないかというところは、デジ庁の所掌範囲を超えるかもしれませんが、どのように進めていくのかというのは、我々自身も悩みながら取り組んでいるところでございます。
 
それから、そのために民間側にコストが意外とかかっているって話はあるのですが、逆に言うと、今度、犯収法をそういう方向で検討しようと思っているのですが、オンラインでやるときは、逆に言うと全部マイナンバーカードを使ってくれと。あれもある、これもある、運転免許の顔写真を送るという対応もある、いろいろ残っているから全部対応しなくてはいけないので、今まで普及率が低かったので、もうマイナンバーカード一本化と言えず、あれもやってくれ、これもやってくれということになってきたのですけれども、マイナンバーカードの普及率がここまで普通の成年男子、女子に関しても来ていますので、逆に言うと、思い切って全部マイナンバーカードだけにしてくれと言ったほうが、犯収法の議論などは、明らかに金融機関からもそうしてくれという要望をいただいていますので、そういった側面もあるのかなと見てございます。
 
ただ、そうすると、マイナポ万歳かというと、安宅さんがおっしゃられたとおりでございまして、実はAPIを上手に切って、いかに民間サービスの中にマイナポが裏で持っている機能をマイナポに感じさせずに溶け込ませていくかというのが次のフェーズの大きな課題だと我々は思ってございます。意外と知られていないのですが、実はもうAPI、100事業者に切っていまして、いろいろな形で思い思いにやっていますし、例えば、今回のデジ田の交付金などで言うと、母子健康手帳は一挙にオンラインアプリ化するのではないかという方向性が。特に、お母さんはみんな携帯を使う世代なので、多分デジタル推進も要らないので一挙に行くのではないかというのが見えてきているのですけれども、マイナポの画面は行ったり来たりする煩雑さがものすごく残っておりまして、やはりAPIをどう合理的に切って、どんどん民間サービスにこのサービスを提供していくかということをもっと深く考える必要があるだろうなと考えてございます。
 
あと、そのときに、生体認証がいつ使えるのかと。それはそのまま楠さんの御専門でいらっしゃいますけれども、今度、Androidが先行しますが、携帯に載りますと、少なくとも携帯、スマホが持っている生体認証を2ステップの2ステップ目に使うということはもう始めますので、どんどん使えるところで生体を取ってくというのは、いろいろ議論はあろうかと思いますが、長期的に見ると、やっている側も住民の方も両方ハッピーということになると思いますので、どうできるかなとか、最後、安宅さんが言われた24時間365日稼働というのも、例えば受け付けるだけなら別に24時間365日対応できるだろうみたいな話もあろうかと思いますので、ぜひ引き続きの検討課題として、フロント系とバック系もしくは、行き過ぎた地方自治、もしくは、ばらばらなサービス間の合理化みたいな話をどうデジタルをレバレッジにかけて修正していくかというところも含めてやっていきたいと思ってございますので、ぜひいろいろな知恵をいただければと思います。
 
いろいろ一遍に申し上げましたが、一旦は以上でございます。

松田参事官: ありがとうございます。
 
楠統括官のほうから何かお話は。

楠統括官: 後藤委員から話があった、公共サービスメッシュで何がどうなるのか分からないと、制度面をどうするのだ、みたいなお話もありましたけれども、当初、官邸で議論をしていたときには、大規模な制度見直しも含めた検討の視野になっていましたけれども、その後のもろもろの検討の中で、状況の変化もあり、基本的には現行の法制の枠の中で実現可能なところをしっかりとやっていくという形に現在ではなっている。おおむね、3年前、これを何とか解かなくてはいけないねといった問題を、その中でもできるのではないかというような見通しが立ったというのはこの1年ぐらいの検討であって、別に公共サービスメッシュの実現のために、これから何かマイナンバー法の大きい改正が要るかみたいなところはそうではないと。
 
一方で、関係属性のやり取りのやり方を含めて、より柔軟性が高まってきた中で、情報提供ネットワークシステムの制限を前提として複雑な制度になっているようなところというのは、戸籍の連携をはじめもろもろある中で、こういったものを、公共サービスメッシュの技術的な制約の中でほぐしていける部分があるかみたいなところは、将来議論として出てくる可能性というのはあるのかもしれないのですけれども、庄司委員からも、2025の先にどんな改革をやるのかの青写真を見せてほしいという御意見があって、非常にそこを見せていくことの大事さというのは理解しつつ、責任を持てるのかと。
 
我々が、例えば2026年の通常国会にこんな法案を出しますと言えるかというところもありますし、これは、多分、デジ庁の話だけではなくて、制度所管府省のほうで考えていただく部分というのも出てくる話なので、我々、まず、技術的な制約を一個一個取っ払っていく。それを前提としてどのようなことを制度として公表していくか。これは鶏と卵の関係というのを一個一個ほぐしていく必要があるのかなと思っておりまして、我々、一歩一歩、自分たちがきちんとコミットしたことを実行できる形で落とし込んでいく中で、どうやってバトンを渡していくかということを考えていく必要があるのかなと思っております。
 
あと、生体認証の話がありましたけれども、これはスマホ搭載のときにも相当考えて、国が余計なプライバシー情報を持たないような枠組みで、生体情報はスマホの中に閉じ込める形で実現をしておりまして、生体認証といったときに、中国とかそのほかの国々でやっているようなタイプのものとよく議論が混ざりがちになるのですけれども、やはりプライバシーを保護しながらどう適切にやっていくかというところは、一つ一つ慎重な検討が必要なのではないかと思います。
 
あと、菅原委員から話があった、企業における人事労務のところをどのように負担を軽減していけるか、これはいろいろなやり方があると思っていまして、一義的には、企業にサービスを提供している民間のERPの高度化みたいなところをどうしていけるかという部分でこれまで、主にマイナンバー制度そのものが、行政機関のシステムをどうやって連携させていくかということを、この10年ぐらい頑張ってきたというところもあって、なかなか民から官とか、民民のところに今落ちている様々な事務というものを、どのようにデジタル化していくかというところになかなか踏み込めなかった部分もある。ここをどのようにメスを入れていって、デジタル化でより便利なやり方にしていくかというところは、業界や制度所管府省とともに時間をかけて考えていく必要があると思います。
 
これは上原先生から御指摘のあった、いわゆるマイナンバーの収集の非効率さ、講演したり原稿をいっぱい書いていると、何で年末にレターパックがいっぱい送られてきて、あるいは、よく分かっていない会社は、簡易書留とか書留で送ってくるので、土日の郵便局の営業時間が随分と短くなったなということを思いながら、これをどうやって出そうかと思って、書留というところをバツとやって、そのままポストに入れてしまったりもするわけですけれども、この辺は制度の問題だけではなく、制度的にはマイナンバーカードでやることもできるのですけれども、これまでアナログとデジタルで2系統持ってもらえなかった。ようやくカードが十分に普及したので、今後はデジタルでのマイナンバーの収集というのも増えてくるとは思うのですけれども、これは国だけでやることではなくて、民間の番号収集代行業者なども巻き込んで、どういうことをやっていけばこういったところのデジタル完結が進むのかというところをしっかりと取り組んでいく必要があると思いますし、その中で仮に制度上の論点が出てきた場合には、しっかりと受け止めて、どういったやり方があるかというところを考えてまいりたいと思います。
 
以上です。

松田参事官: 楠統括官、ありがとうございました。
 
ここからは、最後、10分弱になってございますけれども、追加で御意見がある方々に御意見いただくフリーディスカッション形式でやらせていただければと思います。
 
その中で、最初に、宍戸様に手を挙げていただいておりますので、宍戸様より御発言をお願いいたします。

宍戸特別構成員: 宍戸です。発言の機会をいただいて、ありがとうございます。
 
構成員、特別構成員の皆様がおっしゃっていることにほとんど共感するところが多いのですけれども、大きく3点申し上げたいと思います。
 
1点目は、私、自分自身、この間引っ越しして、役所に行って、マイナンバーカードの発行と重なっているので、現場は大変だなと思ったのですけれども、マイナンバーについて、地方公共団体の職員の方が適切な理解を持つ。それはマイナンバーあるいはマイナンバーカードを担当している人だけではなくて、全ての公務員の方がこの問題について理解を持ち、現場に来た人に、マイナンバーの話ですね、それだと、うちの話ですねということが分かるように、全公務員の方にこの意義を理解していただくことが大事なのではないか。そこはぜひデジタル庁にお願いをしたいと思います。これが1点目です。
 
2点目、3点目は、いずれも、今の普及状況を踏まえての先の話なのかもしれませんけれども、先ほど菅原さんもおっしゃっていましたけれども、人々の生き方と、マイナンバー、マイナンバーカードが関わってくるということを踏まえた普及や啓発、あるいはマクロに見ているだけではなく、一人一人の生き方と、このマイナンバー、マイナンバーカードがどう関わってくるかどうかいうところに力点を置いていくというのはいろいろあるだろうと思います。
 
まさに子育て世代、子育て中の人にとっては何を意味するか、ハンディキャップのある人にとって何を意味するか等々あると思うのです。本当は、デジタル化が完全に進んでくれば、一人一人の生き方を類型化あるいはライフステージを類型化せずに、個別に全ての場面に対応する話なのかもしれませんけれども、まだ、今はそこに行く手前だとすると、例えば、今、子育て中の方にとってみると、マイナンバー、マイナンバーカードがあると、これとこれとこれがこれで全部簡単にできますとか、あるいは、特に若い世代で引っ越しが多いときに、マイナンバー、マイナンバーカードがあると、これとこれとこれの手続が簡単にできますとか、そういうストーリーとか見せ方も大事ではないかなと思いました。
 
このことは裏返して言いますと、先ほど来、村上さん、楠さんがおっしゃったことにも関わるのですけれども、それぞれの行政の在り方自体に関わってくるところが大きいのだろうと思います。マイナンバー、マイナンバーカードによって、それぞれの行政の問題があぶり出されてくるということもあるのだと思いますけれども、それはひっくり返して言いますと、生活保護行政であれ給付行政であれその局面の中で、行政サービスの満足度などを測るときに、同時にマイナンバーやマイナンバーカードがあることによる満足度とか逆に不満を測るぐらいに、全ての行政分野でマイナンバーを使う、あるいはデジタル庁が進めるデジタル化によるメリット、デメリットとか、人々の理解を測る、全ての行政分野の国民の満足度を測るときに入れるぐらいの勢いでやっていただいたらいいのではないかなと、私自身は思っています。
 
長くならないように最後の点だけもうちょっと申しますと、マイナンバー、マイナンバーカードによってどれだけのメリットが出ているかを把握するのは、例えば道路あるいは高速道路を整備することによって、どれだけの経済効果とか新たに産業が生まれているのか生まれていないのかを測るのと似ているところがありまして、インフラによる測り方が難しいところ、効果はあると思うのですが、それらのインフラの効果の測り方を参考にされるといいのかなと思いました。
 
私からは以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
もし、よろしければ、先ほど森信様、途中のところがあったかなと思いますが、森信様、いかがでしょうか。

森信構成員: ありがとうございます。簡潔に。
 
逆転が生きないようスムージングをする制度は、イギリスはもう30年前、韓国でも10年前に導入しています。だから、そんな難しい話ではなくて、差額を給付していくということなので、やろうと思えば私はできると思うのですが、楠さんがおっしゃったように、この制度をつくる責任官庁と一緒になってやらないと、インフラだけ整備しろというのではできないという点はすごくよく分かります。その「霞が関の壁」を乗り越えるようなデジタル庁になってほしいなというのも、また一方では思うことです。
 
以上です。

松田参事官: 後藤様、上原様、お手を挙げていただいているかと思いますが、後

藤様、何かありますでしょうか。

後藤特別構成員: ありがとうございます。
 
先ほど楠さんのほうから、私が申し上げたことについてのお答えがあったのですが、やはりまだそういう意味で言うと、お話を聞いて、なるほどそういうお考えなのかということは分かりましたけれども、では、具体的にどういうサービスをどういう形で公共サービスメッシュに乗せていこうとしているのかとか、こういうことはやはりきちんとお伝えをいただきたいなと私自身は思っております。
 
特に、今日の資料の中でお話がありましたけれども、今の自治体の標準化の進め方の中で言うと、自治体の基幹系のシステムが24時間、外に対してリアルタイムでレスポンスをするようなことは考慮されていないというのが私の認識です。そういう意味で言うと、例えば中間連携のサーバが将来なくなるとか、こういう絵のところだとすると、実際の基幹系のシステムをもう一度つくり直さなければならない。そこは、まさに先ほど庄司先生がおっしゃったように、セカンドフェーズ、2番目のフェーズとして、これから先、具体的なデザインなりを考えていくところにも当然関わってくるところだろうと。そういう意味で言うと、まだまだ道半ばで遠いかなという思いつつ、でも頑張りたいなとも思ったりもしております。
 
それから、村上さんから行き過ぎた地方自治という話があったので、これはどこかで少しディスカッションさせてください。よろしくお願いいたします。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
上原様、ありますでしょうか。

上原特別構成員: 私のほうから2つ。
 
1つ目は、公共サービスメッシュに関してです。
 
やりたいことというのは、もう利便性を上げるということが分かっているのですけれども、そのために、何をどういう哲学でもってデザインしています、何はやります、何はやりません、つまり、よく言われる国民に対する監視につながるのではないかという懸念に対する払拭のためにこういうことをやっていますということを、もう少し分かりやすく示していただくことが大事だと思っています。
 
そのためにも、私、先ほども申しましたけれども、公共サービスメッシュの中でやり取りされている情報が何であって、例えばこの制度のために、この省庁とこの省庁とこの省庁のこのデータを突合させていただきますみたいなことを本人に返すような仕組みというのを必ずつけます。そうすると透明性が上がります。これは例えば、xROADなどがやっている仕組みと同じですよね。そのようなものは必ずつけますみたいなことをまず示していただかないと、もろ手を挙げて皆さん賛成とはならないのではないかという懸念を持っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 
それから、もう一つ、社会的インパクトに関してなのですけれども、先ほどコストだけではないという話があり、私は、やはりコスト以外の話というのはなかなか響きにくいと思っていますので、そちらに労力を割くよりは、もう少し危機感的なことがあってもいいのかなと思います。私は地方自治体のほうにいますので、非常に感じるのは、地方自治体というのは、特に地方からどんどん疲弊していきます。窓口コストというのが重くのしかかってくるのだと。これを軽減するために、必ずこれをやらなくてはいけないのだという思いを持っております。その辺りを押し出していただくことによって、もう少し理解が進むのではないかと。そして、また、実現されることによって社会的インパクトというのが、例えば窓口が少し減りましたとか、そんな格好で示せるのではないかと思っています。
 
以上です。

松田参事官: ありがとうございます。
 
議論はいろいろあると思いますけれども、お時間も限られておりますので、今の御発言等々も含めまして、両統括官から何か追加でコメント等は。

楠統括官: 上原委員から改めて課題提起をいただきましたけれども、当然、現状、情報提供ネットワークシステムにおいても、情報提供等記録の開示を行っているわけですし、その考え方というのは、基本的には踏襲するということが大前提であると考えております。
 
また、後藤委員から中間サーバをなくす、なくさないという点の御懸念いただきましたけれども、これは3年前の当時と違うのは、私どもも自治体システム標準化を通じて、かなり自治体システムの、実際、どういうつくりになっているのかという知見は、この2~3年で大幅に高まったところでございます。当時は全てAPI連携にするのがよかろうということを3年前は議論していましたけれども、現状だと本当にリアルタイム性が要求される属性情報が絞られる点であったり、庁内データ連携においての様々なAPIの在り方に関しても、ベンダーとの対話が進んでいる状況ですので、そこは現実的な移行パスというのはあるのではないかというところの議論は、以前よりもかなり解像度を上げて庁内では連携をしているところですけれども、これをどのように順番に情報として出していってレビューいただくかというのは、この平場でやるには細か過ぎる話でもあるので、今後、進め方について考えてまいりたいと思います。

村上統括官: 私から一言。立場を忘れて自分も委員になったような気分なコメントで恐縮ですが、やはり全てにという流れが1つ、ベースにあるのだと思うのですけれども、どうしても市民全てのほうに関心が行っていますけれども、こうやって議論を伺っていると、むしろ自治体の中とか行政の中とか、分かりやすく言えば、自治体職員のデジタルリテラシー問題は、高齢者のデジタルリテラシー問題よりもむしろ先に手つけるべき問題なのではないかとか、むしろ自治体の中の全てにというものがあるのだろうなと思って伺っていました。
 
そういう意味では、上原先生がおっしゃっていましたけれども、そもそも役人は、指標と言うと、常に正しい指標を受験勉強的につくろうとするのですけれども、測り方に正解はないので、どんどん合目的にやれるところで効果の高い測り方のところはどんどんやっていったらいいのではないかというメッセージとして受け止め、頑張りたいと思います。
 
最後に1つアイデアですが、現実的には無理があるのであれですけれども、そういう意味で、リアルタイムレスポンス原則みたいものを挙げて、リアルタイムにレスポンスしない行政は駄目だみたいな運動論から引っ張っていくと、嫌でもフロントと業務がつながっていくのではないかとか、そういう価値観運動みたいなことをこの際仕掛けてみるなんていうのも、統括官として言ってはいけない無責任な責任かもしれませんが、一つの発想としてはあるのかななどと思いながらお話を拝聴していました。今日は大変有益な御意見をたくさんいただき、ありがとうございました。

松田参事官: ありがとうございました。
 
それでは、河野大臣から何かコメントなどはありますでしょうか。

河野大臣: どうもありがとうございました。
 
大変長時間にわたり活発な御議論をいただきました。せっかく御議論いただいているときに、ベルがちんちんちんちんと申し訳ございませんでした。進行をどうしようかということでお許しをいただきたいと思います。
 
途中でどなたかが言っていましたが、住民票を何枚出したかとかということではなくて、住民票を出さないようにするのが大事なのだというのが、私も本当にそのとおりだなと思いまして、今やっている方向性が間違っていないのか、そこは確認しながら、本当の意味でのデジタル化というのはどういうことなのかなというのをきっちり捉えながら行かないといけないなと思いました。ありがとうございます。
 
今、私が痛烈に感じていますのは、何をやろうとしても、必ず3年後、3年後とみんな各省が持ってくるのです。1年目は法律を改正します、2年目に予算を取ります、それで、システムをつくって3年目からというので、これをやはり何とかしないと。ずっと3年後、3年後で、しかも、今の役所のローテーションでいくと、3年後は誰もいないみたいなことになりかねないので、根本的にここの問題をどうするかというのは考えていかなくてはいけないなと思いながらやっております。
 
今日、いろいろ御議論いただいた点を踏まえまして、デジタル社会の実現に向けた重点計画をしっかり検討を進めていきたいと思います。また今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

松田参事官: ありがとうございました。
 
本日の議事は以上となります。最後に事務局より事務連絡をさせていただければと思います。
 
本ワーキング・グループの資料と議事録につきましては、デジタル庁のホームページで公開いたします。議事録につきましては、明日以降、事務局より委員の皆様に御確認の連絡を差し上げますので、御確認をお願いいたしたいと思います。
 
また、本日会議終了後でございますけれども、事務局のほうで記者ブリーフィングを実施いたします。
 
以上をもちまして、本日のワーキング・グループは閉会とさせていただきます。お忙しい中、誠にありがとうございました。