# 教育DXロードマップ概要(案) 令和7(2025)年XX月XX日 デジタル庁 総務省 文部科学省 経済産業省 # スライド1 教育DXのミッション・ビジョン ## 教育政策の総括的な基本方針 - 2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成 - 日本社会に根差したウェルビーイングの向上 ## デジタル社会の目指すビジョン - デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会 - 誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化 ## 教育DXのミッション 誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会 ## 教育DXのビジョン 学ぶ人のために、あらゆるリソースを # スライド2 子供たちを取り巻く背景とデジタル化の強み@ 多様なデジタルツールの活用により、生まれた環境や生まれ持った特性等に関わらず、全ての子供たちに自分にあった学びを実現 ## 顕在化する子供たちの多様性 ### 小学校35人学級における子供の多様性 - 学習面、行動面で困難を示す子供 3.6人 - 特異な才能がある子供 0.8人 - 日本語を家であまり話さない子供 1.0人 - 家にある本の冊数が少なく学力の低い傾向が見られる子供 12.5人 - 不登校や不登校傾向の子供 4.8人 (出典)内閣府「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」をベースに更新された中央教育審議会「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)参考資料」(令和6年12月25日開催) ## 自分らしい学びの実現にはまだ課題 ### 自分にあった授業になっていないと思う ### 「前年度までに受けた授業は、自分にあった教え方、教材、学習時間になっていた」という質問に対して、「当てはまらない」「どちらかといえば、当てはまらない」と回答した児童生徒の割合(対象:小6・中3) - 小学校 15.7% - 中学校 18.5% (出典)文部科学省・国立教育政策研究所「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)」より作成 ### 上記の各質問に「とても当てはまる」「少し当てはまる」と回答した児童生徒の割合(対象:小4から中3) - 授業の内容が難しすぎると思う 30.5% - 授業の内容が簡単すぎると思う 15.4% (出典)文部科学省「義務教育に関する意識に係る調査」 ## デジタルの活用により可能・容易になる多様な学びの例 ### 個別最適なサービス提供 - 子供の興味関心や解答状況に応じて提供する問題やその難易度等を調節 - 動画により苦手な内容を反復して学習 ### 多様なインターフェース - タイピングに加え、手書きや音声での入力が可能 - 多言語対応や白黒反転、拡大等が容易 ### 柔軟な組み合わせが可能 - 苦手な分野は動画教材を参照しながらじっくり学習 - ドリル教材で誤った箇所は教科書に遷移し、関連ページに立ち戻って復習 # スライド3 子供たちを取り巻く背景とデジタル化の強みA デジタルの活用により自分にあった学びを支援するに当たっては、習熟度に応じた問題の提供などアルゴリズムによる最適化のみに頼るのではなく、データや生成AI等の活用により、学習者が主体的に学ぶ中で最適な学びとなるよう自ら学習を調整することを支援することも重要 ## 「今後、あなたの学校が再び休校した場合、以下のことを行う自信はどれほどありますか」という質問に対し「あまり自信が無い」「全然自信が無い」と回答した日本の生徒の割合(アンケート対象:15歳) - 自分で学校の勉強をする予定を立てる自信が無い 63.3% - 自分の学習の進み具合を評価する自信が無い 65.3% - 自律的な学習に課題 (出典)文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査2022年調査(PISA2022)のポイント」より作成 ## デジタルの活用により可能・容易になる自律的な学びの例 ### 主体的な学習を支援 - 自らの学習データを踏まえ、計画や振り返りを作成 - 生成AIとの壁打ちを通じて、足りない視点を見つけ、考えを深める(※) - ※生成AIの活用については、年齢制限等に留意が必要 ### プロセス・ログを容易に蓄積・保存 - 自らの進捗や得意・苦手分野についてログをもとに参照 - 自動的に記録された成果物や学習過程をもとにしたパフォーマンス評価やポートフォリオ評価等の多様な評価 # スライド4 教師を取り巻く背景とデジタル化の強み 教師の在校等時間はここ数年で改善傾向にあるが、依然として厳しい勤務実態が存在。一人一人の子供たちの「自分らしい学び」を実現するため、まずは校務DXにより教師の業務を効率化するとともに、多様なデジタルツールやデータの利活用により業務の質を向上 ## 教師の時間外在校等時間※の割合(令和5年4月〜令和6年3月) - 「月45時間」を超える時間外在校等時間の割合が、小学校で約25%、中学校で約43%、高等学校で約28%。 ### チャート | カテゴリー | 月45時間以下 | 月45時間超〜80時間以下 | 月80時間超 | |---|---|---|---| | 小学校教諭 | 75.2 | 23.2 | 1.6 | | 中学校教諭 | 57.5 | 34.4 | 8.1 | | 高等学校教諭 | 71.8 | 22.5 | 5.7 | - ※教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として外形的に把握することができる時間。 - ※1か月の時間外在校等時間の上限時間は基本的に45時間以内(公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が 教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針) - (出典)令和6年度教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査 ## デジタルの活用により可能・容易になる教師の業務の例 ### 業務の効率化 - 紙の資料、プリントの印刷が不要 - 生成AIによって文書やプリントの作成を効率化 - テストの採点やアンケートの集計が容易に - 一度入力した情報が連携され再入力不要に ### 教師の見取りの充実 - 従来の机間指導のみでは困難であった、クラス全員の状況を瞬時に把握することが可能に - 学びのプロセスなどをデータを活用して把握できることで、これまで以上に充実した個々の児童生徒に対する見取りが可能に # スライド5 関係施策の相互関係と主な論点 ## 学ぶ人のためにあらゆるリソースを デジタルにより個別最適な学び・協働的な学びを一体的に充実 ### デジタル化による校務・事務負担の軽減 業務負担を軽減し、子供に向き合える環境を実現 - 次世代校務DXの推進 - 調査のオンライン化 - 高校入試事務のデジタル化 - やめることリストの実現 ### 多様な学びのための学習環境の整備 生成AI含め多様な学習ツールの導入により、自らの進度や特性等に合わせて学べる環境を実現 - 1人1台端末を活用した学びの推進 - 必要なネットワーク環境の整備 - 多様な学習ツールの導入 ### データによる学習者の自己理解・教師の見取りの充実 システム・ツールを越えてデータが連携され、学習者の自己理解・教師の見取りを支援 - 教育デジタルサービスの相互接続 - 教育データの標準化の推進 - 教育データの分析・活用の推進 ### 生涯を通じて学びのデータを活かせる環境の整備 個人起点・組織起点のデータ連携に向けた基盤を整備 - 主体・データの真正性の確保 **教育政策や実践にも資する教育データの研究目的の利用** # スライド6 12のやめることリスト(デジタルに変えること)〜教師が学習者に向き合う環境を実現するために〜 デジタル完結・ワンスオンリーの徹底により、「デジタルの良さ」を実感しながら、教職員の負担を大幅に軽減し、学習者に向き合う時間を確保することが取組の第一歩である。そのため、12のやめること(デジタルに変えること)のリストを作成した。各教育委員会・学校において、積極的なデジタル化を進めることが期待される。政府としても、「校務DXダッシュボード」等を活用しながら、校務DXの実現に向けた取組を進めていく。 - ? @ 電話等による児童生徒の欠席連絡等の受付 - ? A 紙での保護者への調査・アンケート - ? B 紙での各種調査票等の学校から保護者への配布・保護者から学校への回収 - ? C 紙での教職員への調査・アンケート - ? D 新入学児童生徒の名簿情報の校務支援システムへの不必要な手入力 - ? E 電話や書面による保護者との日程調整 - ? F 職員会議等資料の紙での共有 - ? G 紙での児童生徒への調査・アンケート - ? H 学校から保護者へ発信するお便り等の紙での配布 - ? I 教職員が作成した教材等の各自での保存 - ? J 学校徴収金の現金徴収 - ? K 紙での学校内外の行事日程や特別教室等に係る利用予約等の管理 ※なお、デジタル機器を有しない家庭への対応など、地域や学校の実情を踏まえ柔軟な対応を進めることが重要 # スライド7 関係施策の目標 ## デジタル化による 校務・事務負担の軽減 - As Is - 校務支援システムを自前サーバーに構築し、職員室に固定された端末からのアクセスを前提とした校務 - 紙ベースの業務が主流 - 2028~2029(R10~11) 校務DX・デジタルを前提にした多様な学びの進展 - 次世代校務DX環境の全国的な整備 - アカウント管理に必要な情報はシステム間でワンスオンリーで連携可能 - To be DXによる自分らしい学びの実現 - あらゆる業務のデジタル完結・情報のワンスオンリーが徹底 - →教師が子供に向き合える環境を整備 ## 多様な学びのための 学習環境の整備 - As Is - 1人1台端末は整備済だが、校内外のネットワークが不十分 - 端末の利活用状況の格差 - 2028~2029(R10~11) - GIGA第2期端末が県域で調達され、日々効果的に活用 - 必要なネットワーク環境が整備済 - 自治体が多様なツールを調達できるよう支援し、発達の段階に応じて、生成AI等も含む自分に合ったツールで学ぶことができる環境整備 - To be - 端末やネットワークといった学習環境が整備 - 多様なツールを組み合わせた自分らしい学びが全国に普及 - →多様なツールで学べる環境を実現 ## データによる学習者の自己理解・教師の見取りの充実 - As Is - 標準規格・標準化の実証は進むが、内容情報の実質化や社会実装に課題 - データ利活用の先行事例は蓄積されているが、取組状況には自治体間格差 - 2028~2029(R10~11) - 標準規格の普及やデータ標準の実装が進み、システム間のデータ連携が可能 - 名寄せ等の作業を人力で行うこと(目検等)を最小化しつつ、ダッシュボード等でデータの可視化が実現 - To be - 多様なデータを利活用し、学習者が自分の状況を理解したり、教師が学習者の状況を深く・多面的に理解できる - →データで学習者の学びを支援 ## 生涯を通じて学びのデータを活かせる環境の整備 - As Is - データ連携の取組や検討が主に自治体内の連携に限定 - 2028~2029(R10~11) - 転進学時のデータの学校間の引継ぎのデジタル完結が先行自治体より段階的に開始 - 高等教育分野における共通基盤の活用促進等、各教育段階で本人起点でのデータ活用の社会実装が段階的に開始 - To be - 本人の意思で学びの履歴を持ち運べ、学びの成果をどこでも活用し、自己実現することや必要な支援を受けることにつなげられる。 - →生涯にわたって多様なリソースを学ぶ人のために ## 主なマイルストーン KPI - 次世代校務DX環境への移行(2026-2029) - GIGA第2期(2024-2028) - GIGA第3期(2029-) - 必要なネットワーク速度確保済みの学校100%(-2025) - デジタル教科書を実践的に活用する学校100%(2028) - 全国学力・学習状況調査を順次CBT化(2025-) # スライド8 重点事項に関する工程表 *を付した項目については、「校務DXダッシュボード」においてモニタリングを実施予定 ## 次世代校務DXの推進 - 都道府県域で共同調達・帳票統一の促進(2025-2029) - 全自治体で次世代校務DX環境の導入を検討(2026) - 全自治体で次世代校務DX環境導入済み(2029) - 自治体の取組状況をモニタリング*し、次世代校務DX環境への移行に向けた支援等の必要な取組の推進(2025-2029) - 全自治体で次世代校務DX環境導入済み(2029) ## 高校入試実務のデジタル化 - 都道府県での実証(2025) - モデル仕様書の活用等により、各都道府県における調達・導入を支援(2025-2028) - 原則として、希望する各都道府県でデジタル化(2028) - 各都道府県の取組状況の調査を踏まえ、必要な取組の推進(2025-2028) - 原則として、希望する各都道府県でデジタル化(2028) ## やめることリストの実現 - 自治体の取組状況をモニタリング*し、必要な取組の推進(2025-2029) ## 1人1台端末を活用した学びの推進 - 都道府県域で1人1台端末の共同調達(2025-2028) - ※ 2026年度中に、地方公共団体における効率的な執行・活用状況について検証するとともに、次期更新に向けて、今後の支援の在り方を検討し、方向性を示す。 - 文部科学省CBTシステム(MEXCBT)の活用促進(2025-2029) ## 多様な学習ツールの導入 - 1人1台端末や生成AI等の活用に関する好事例創出・横展開(2025-2029) - 多様なサービスのカタログ化やモデル仕様書、DMPを通じた調達支援(2025-2029) ## 必要なネットワーク環境の整備 - ネットワーク改善支援(2025) - 全校で必要なネットワーク速度を確保(2025) - サービスのカタログ化(2025) - 全校で必要なネットワーク速度を確保(2025) ## 教育デジタルサービスの相互接続 - 「相互運用標準モデル(※)」の改訂・普及、標準への適合性評価に向けた検討・実施(2025-2029) - (標準への適合性をセルフチェックする仕組みをR7以降早期に運用開始、R7より第三者機関による標準への適合性確認の仕組みについて具体的に検討) ※「初等中等教育におけるシステム間連携のための相互運用標準モデル」 - モデルスケジュール等を活用した標準規格による教育データ連携の横展開(2025-2029) - 全自治体で年次更新作業が自動化(2029) ## 教育データの標準化の推進 - 学習指導要領コードと単元情報の対照表作成(2025) - 次期学習指導要領の内容情報としての活用方法について検討(2026-2028) - 原則として、自治体が希望する場合、全てのツールから標準化されたデータの出力が可能に(2028) - 活動情報等の標準化(2025) - 標準化された主体・内容・活動情報の普及・活用促進(2026-2028) - 原則として、自治体が希望する場合、全てのツールから標準化されたデータの出力が可能に(2028) ## 教育データの分析・活用の推進 - 「教育データの利活用に係る留意事項」の周知徹底、必要に応じて改訂(2025-2029) - 全自治体で個人情報の適正な取扱いを早急に徹底(2026) - 希望する全自治体が、校務系と学習系のデータを統合した教育データを可視化・利活用するためのツール(ダッシュボード等)を整備(2029) - データ利活用に取り組む自治体への伴走支援、教育データの分析・活用手法についての横展開(2025-2029) - 希望する全自治体が、校務系と学習系のデータを統合した教育データを可視化・利活用するためのツール(ダッシュボード等)を整備(2029) ## 主体・データの真正性確保 - 基盤整備に向けた調査研究(2025) - 技術実証(2026) - 技術実証を踏まえ、実証・実装支援(2027-2029)